【課題】サービスサイトに電子申請する場合に、IDや電子証明書の個人管理を排除し、利用者グループ単位で共有可能な仕組みを構築することで、柔軟かつ安全な電子申請を行うこと。
【解決手段】本実施の形態に係る電子申請支援装置は、利用者グループ毎に、利用者ID及び電子証明書と、当該利用者グループに属する担当者のユーザIDとを格納するためのマスタと、利用者グループ毎に、利用者ID及び電子証明書と、当該利用者グループに属する担当者のユーザIDとを前記マスタに登録する利用者グループ登録手段と、前記マスタから担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループの利用者ID及び電子証明書を取得し、利用者ID及び電子証明書を使用して、前記サービスサイトに電子申請を行う電子申請手段と、を備えている。
前記利用者グループは、雇用保険に関する申請を行うための雇用保険申請グループ及び社会保険に関する申請を行うための社会保険申請グループを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子申請支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
社会保険・雇用保険に関する手続きは、管轄の役所へ提出することにより行うことが一般的である。しかし、2020年4月から、社会保険・労働保険の一部の届出書について、特定の法人の電子申請が義務化されるように、今後、手続きの電子申請化が大きく加速していく。例えば、社会保険・労働保険の電子申請を行うには、電子政府の総合窓口システム(以下「e−Gov」)を利用する必要がある。
【0018】
e−Govから手続きの申請を行うためには、利用者毎に、ID/パスワードの発行、電子証明書(会社で1つ用意)のブラウザへのインポート、e−Govアプリケーションのインストール、基本情報の入力が必要である。
【0019】
しかしながら、これらを個人管理とした場合に、ID/パスワードや電子証明書、ひいては個人情報の漏えい・紛失といった危険性がつきまとう。また、e−Govの仕組み上、申請したIDと同一のIDでなければ申請手続きの状況や公文書の取得ができないため、ID/パスワードの紛失をしてしまうと、過去の手続きの状況照会や公文書の取得ができなくなる。
【0020】
図1は、e−Govを利用する場合の事前準備を説明するための図である。
図1を参照して、「1.e−Govを利用する場合の事前準備」を説明する。
【0021】
1.1.まず、電子証明書を会社で1つ用意し、担当者間で貸し借りを行い、端末にインポートする。電子証明書の取得は、「https://www.e−gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/manu_certificate.html」参照のこと。電子証明書のインポートは「https://www.e−gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup04/certificate_import.html」参照のこと。
【0022】
1.2.担当者毎に、端末に、e−Gov電子申請システムをインストールする。e−Gov電子申請アプリケーションのインストールは、「https://www.e−gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup03/index.html」参照のこと。
【0023】
1.3.担当者毎(端末毎)に基本情報を入力する。申請者・届出者の入力は、「https://www.e−gov.go.jp/help/shinsei/manual/help911.html」参照のこと。
【0024】
1.4.担当者毎に、e−Govを利用するためのID/パスワードの発行を行う。パーソナライズは、「https://www.e−gov.go.jp/help/shinsei/flow/setup03/index.html」参照のこと。
【0025】
図2は、従来の課題を説明するための図である。
図2を参照して、「2.課題」を説明する。
【0026】
2.1.電子証明書を貸し借りすることにより、紛失リスクが発生する。
【0027】
2.2.IDやパスワードを忘れてしまうと、電子申請した手続きの状況を照会できなくなり、公文書の取得もできない。例えば、一般の給与業務ソフトウェアを利用している場合、IDとパスワードの管理が大変となる。
【0028】
2.3.他の担当者が申請した手続きの状況を見ることができない。具体的には、例えば、電子申請を行った担当者の席へ移動し、状況を見せてもらうことになるが、担当者が不在の場合、手続きが進められない。
【0029】
この課題を解決するために、本実施の形態では、e−GovAPIを利用したソフトウェアから電子申請する場合の、電子申請用の利用者ID/パスワードを必要としない権限管理の仕組みを構築し、社会保険・労働保険の電子申請化に対して、セキュリティリスク対策と業務効率化を実現した。付言すると、e−GovAPIを利用するために必要な「利用者ID」について、システムで自動採番し、ソフトウェアのログインIDと紐づけることで、ユーザが「利用者ID」を意識することなく、電子申請することが可能となる。このように、e−Govに電子申請する場合に、ID/パスワード/電子証明書の個人管理を排除し、部門等(利用者グループ)の単位で共有可能な仕組みを構築することで、柔軟かつ安全な電子申請を可能とした。
【0030】
具体的には、本実施の形態では、(1)手続きの種類や所属する事業所によって担当グループを分けるために、利用者グループを作成することで、担当グループ毎に手続きできる仕組みを構築した。(2)新たにユーザIDやパスワードを管理する必要を削減するために(セキュリティリスクの排除)、利用者IDを自動で採番し、既存のログインIDと紐づけることで、新たなユーザIDとパスワードの管理を不要とするしくみを構築(利用者IDは暗号化)した。(3)電子証明書が保存されている媒体の貸し借りをなくすために(セキュリティリスクの排除)、利用者グループに電子証明書を紐づけることで、作業時に電子証明書の使用を不要とするしくみを構築した。(4)電子証明書のインポート作業を不要とするために(セキュリティリスクの排除)、利用者グループに電子証明書を紐づけることで、ブラウザへのインポート作業を不要とするしくみを構築した。(5)電子証明書の有効期限を管理するために、電子証明書の有効期限が1ヶ月を切った場合に警告を出す仕組みを構築した。
【0031】
図3及び
図4は、本実施の形態の処理イメージを説明するための図である。
図3は、e−Gov電子申請の利用者グループを作成し、メンバーを割り当てる処理を説明するための図である。
図3を参照して、e−Gov電子申請の利用者グループを作成し、メンバーを割り当てる処理を説明する。以下では、社会保険関係の手続きを行う「社会保険グループ」と、雇用保険関係の手続きを行う「雇用保険グループ」に分ける。
【0032】
利用者グループ_雇用保険について、例えば、上司A(ログインID:Tky001)と、部下A(ログインID:Tky002)と、部下B(ログインID:Tky003)を担当者とするグループを作成する。利用者グループ_雇用保険の利用者ID:abke23kdを登録する。利用者IDは自動採番してもよい。利用者グループ_雇用保険に1つの電子証明書を割り当てて登録する。申請に必要な基本情報(各手続共通の情報)を登録する。また、異動・退職による担当変更があった場合は、担当者の割当を変更する。
【0033】
利用者グループ_社会保険について、例えば、上司A(ログインID:ログインID:OSK001)と、部下A(ログインID:OSK002)と、部下B(ログインID:OSK003)を担当者とするグループを作成する。同様に、利用者グループ_社会保険の利用者ID:d9djmd7を登録する。利用者グループ_社会保険に1つの電子証明書を割り当てて登録する。申請に必要な基本情報(各手続共通の情報)を登録する。また、異動・退職による担当の変更があった場合は、利用者グループ_社会保険の担当者を変更する。
【0034】
図4は、本実施の形態において、電子申請のイメージを説明するための図である。
図4を参照して、本実施の形態の電子申請のイメージを説明するための図である。
【0035】
(1)例えば、部下A(雇用保険担当)がログインID:Tky002、Password:90hkduy6でログインする。ここで、利用者IDの入力は不要であり、ログインIDと利用者グループの紐付きで、利用者ID:abke23kdを特定する。利用者ID:abke23kdで例えば資格取得届_10名分を申請する。
【0036】
(2)部下B(雇保)、ログインID:Tky003、Password:dkr7b03jでログインする。申請画面起動時、電子証明書の有効期限が1か月以内になっていると、警告メッセージが表示される。利用者ID:abke23kdで、例えばm[資格喪失届_3名分]を申請する。
【0037】
(3)上司A(雇保)、ログインID:Tky001、Password:oSrg31cでログインする。例えば、資格取得届_10名分、資格喪失届_3名分を申請する。
【0038】
(4)上司A(社保)、ログインID:OSK001、Password:・・・でログインするが、電子申請する際に用いた利用者IDでしか照会できない。そのため、他のグループに属する社員は手続ができない。
【0039】
[2.構成]
図5を参照して、本実施の形態に係る電子申請支援システムの構成の一例について説明する。
図5は、本実施の形態に係る電子申請支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図5に示す電子申請支援システム1は、ネットワーク300を介して互いに接続される電子申請支援装置100及び複数の端末200・・・とで構築されている。
【0040】
図5に示す電子申請支援装置100は、例えば、サービスサイト(例えば、e−Gov)に電子申請を行う会社や事務所(例えば、保険事務所等)等で好適に使用することができる。
【0041】
図5において、電子申請支援装置100は、例えば、電子申請支援システム1のサーバとして機能し、ネットワーク300を介して、クライアントとして機能する複数の端末200・・・と通信可能に接続されている。また、電子申請支援装置100は、ネットワーク300を介して、電子申請を受け付けるサービスサイトの一例であるであるe−Gov400と通信可能に構成されている。なお、本発明では、サービスサイトはe−Gov400に限られるものではなく、他のサービスサイトに電子申請する場合にも可能である。
【0042】
端末200・・・は、例えば、デスクトップPC、ラップトップPC、タブレット等であり、例えば、会社の従業員(例えば、担当者等)等がそれぞれ使用するものである。
【0043】
電子申請支援装置100は、端末200・・・とデータの送受信を行い、例えば、端末200・・・からのリクエストに応じて、端末200・・・にUI(各種画面情報)を提供し、端末200・・・の表示部に表示される各種画面上でのユーザのオペレータの操作に応じた情報の入力を受付け、各種処理を行う。
【0044】
電子申請支援装置100は、例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータでもよい。電子申請支援装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。電子申請支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0045】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、電子申請支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、電子申請支援装置100と端末200・・・やe−Gov400とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0046】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0047】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納され
る。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。
【0048】
また、記憶部106は、電子申請利用者グループマスタ106a、電子申請利用者グループメンバマスタ106b、電子申請利用者ID管理マスタ106c、電子証明書マスタ106d、ユーザマスタ106e、及びデータファイル等を備えている。
図6は、電子申請利用者グループマスタ106a、電子申請利用者グループメンバマスタ106b、電子申請利用者ID管理マスタ106c、電子証明書マスタ106d、及びユーザマスタ106eの構成例を示す図である。電子申請利用者グループマスタ106a、電子申請利用者グループメンバマスタ106b、電子申請利用者ID管理マスタ106c、電子証明書マスタ106d、ユーザマスタ106eを総称して、単に「マスタ」と称する。マスタの構成は、
図6の構成に限られるものではなく、分割や統合して構成してもよく、また、一部の構成を追加・削除して構成してもよい。
【0049】
電子申請利用者グループマスタ106aは、e−Gov400へのAPI連携を利用して、電子申請する利用者グループを管理するためのマスタであり、
図6に示すように、会社NO、利用者グループCD、利用者グループ名、及び基本情報のデータを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0050】
電子申請利用者グループメンバマスタ106bは、利用者グループ毎に属するユーザ(担当者)を管理するためのマスタであり、
図6に示すように、会社NO、利用者グループCD、ユーザIDを関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0051】
電子申請利用者ID管理マスタ106cは、
図6に示すように、会社NO、利用者グループCD、及び利用者ID(暗号化)を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0052】
電子証明書マスタ106dは、
図6に示すように、会社NO、利用者グループCD、電子証明書(暗号化)、PINコード(暗号化)、有効期間終了日を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。電子証明書は、例えば、e−Gov400が指定する認証局から取得したものである。
【0053】
ユーザマスタ106eは、システムを利用するユーザを管理するためのマスタであり、
図6に示すように、ユーザID、パスワード、ユーザ名を関連づけて登録したテーブル等で構成することができる。
【0054】
データファイル106fは、各種データを格納するためのファイルである。
【0055】
図5に戻り、制御部102は、電子申請支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、ログイン処理部102aと、利用者グループ登録部102bと、電子申請部102cと、照会部102dと、マスタメンテ部102eと、警告部102fと、を備えている。
【0056】
ログイン処理部102aは、端末200からのリクエストに応じて、ログイン画面を提供し、ログイン画面上で端末200の担当者がユーザID/パスワードを入力し、入力されたユーザID/パスワードをユーザマスタ106eと照合して一致する場合には認証する。ログイン処理部102aは、ログインに成功した場合には、当該端末200にメニュー画面を提供する。
【0057】
利用者グループ登録部102bは、利用者グループ毎に、利用者ID及び電子証明書と、当該利用者グループに属する担当者のユーザIDとをマスタに登録する。この場合、利用者ID及び前記電子証明書をマスタに暗号化して登録してもよい。利用者グループは、雇用保険に関する申請を行うための雇用保険申請グループ及び社会保険に関する申請を行うための社会保険申請グループを含むことにしてもよい。
【0058】
電子申請部102cは、マスタから担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループの利用者ID及び電子証明書を取得し、利用者ID及び電子証明書を使用して、サービスサイトであるe−Gov400に電子申請を行う。
【0059】
照会部102dは、マスタから担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループの利用者IDを取得し、取得した利用者IDを使用して、前記電子申請手段がした電子申請の状況をサービスサイトであるe−Gov400に照会する。
【0060】
マスタメンテ部102eは、例えば、不図示のマスタメンテ画面上でのオペレータの操作に応じて、ユーザマスタ106eに対して、データの登録・追加・変更・削除等の編集を行うためのものである。
【0061】
警告部102fは、マスタに格納されている電子証明書の有効期限を警告するためのものであり、例えば、電子証明書マスタ106fを参照して、電子証明書の有効期限が一ヶ月となった場合に、電子申請データ作成画面において警告を通知する。
【0062】
[3.具体例]
図5〜
図17を参照して、本実施の形態における電子申請支援装置100の制御部102の処理の具体例について説明する。
図7は、本実施の形態における電子申請支援装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明するための図である。
【0063】
(全体の処理)
図7を参照して、本実施の形態における電子申請支援装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。
図7において、ログイン処理部102aは、ログイン処理を実行する(ステップS1)。具体的には、ログイン処理では、ログイン処理部102aは、端末200からのリクエストに応じて、ログイン画面を提供し、ログイン画面上で端末200の担当者がユーザID/パスワードを入力し、入力されたユーザID/パスワードをユーザマスタ106eと照合して一致する場合にはユーザを認証する。ログイン処理部102aは、ログインに成功した場合には、当該端末200にメニュー画面を提供する。メニュー画面に表示される項目を実行するためのソフトウェア、すなわち、利用者グループ登録部102b、電子申請部102c、照会部102dを実現するためのプログラムを「業務ソフトウェア」と称する場合がある。
【0064】
端末200の担当者は、メニュー画面から(1)利用者グループ登録、(2)電子申請、(3)照会のいずれかを選択することができる(ステップS2)。
【0065】
ステップS2において、(1)利用者グループ登録が選択された場合には、利用者グループ登録部102bは、利用者グループ登録処理を実行する(ステップS3)。具体的には、利用者グループ登録処理では、利用者グループ登録部102bは、端末200に登録画面(利用者グループ登録画面、利用者メンバー登録画面)を提供し、登録画面上での端末200の担当者の操作に応じて、利用者グループ毎に、利用者ID及び電子証明書と、当該利用者グループに属する担当者のユーザIDとをマスタに登録する。
【0066】
この場合、利用者ID及び前記電子証明書をマスタに暗号化して登録してもよい。利用者グループは、雇用保険に関する申請を行うための雇用保険申請グループ及び社会保険に関する申請を行うための社会保険申請グループを含むことにしてもよい。
【0067】
ステップS2において、(2)電子申請が選択された場合には、電子申請部102cは、電子申請処理を実行する(ステップS3)。具体的には、電子申請処理では、電子申請部102cは、端末200に電子申請データ作成画面を提供し、電子申請データ作成画面上での端末200の担当者の操作に応じて、マスタから担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループの利用者ID及び電子証明書を取得し、利用者ID及び電子証明書を使用して、サービスサイトであるe−Gov400に電子申請を行う。
【0068】
ステップS2において、(3)照会が選択された場合には、照会部102dは、照会処理を実行する(ステップS4)。具体的には、照会処理では、照会部102dは、端末200に照会画面を提供し、照会画面上での端末200の担当者の操作に応じて、マスタから担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループの利用者IDを取得し、取得した利用者IDを使用して、電子申請の状況をサービスサイトであるe−Gov400に照会する。
【0069】
ログアウトが行われた場合には(ステップS5の「Yes」)、当該フローを終了する一方、ログアウトが行われていない場合には(ステップS5の「No」)、ステップS2に戻る。
【0070】
図8〜
図17を参照して、本実施の形態における電子申請支援装置100の制御部102の処理の具体例について説明する。
図8は、電子申請利用者グループマスタ106a、電子申請利用者グループメンバマスタ106b、電子申請利用者ID管理マスタ106c、電子証明書マスタ106d、ユーザマスタ106eに登録されるサンプルデータを示す図である。
【0071】
(電子申請前の事前設定)
図8〜
図13を参照して、電子申請前の事前設定の流れを説明する。
図9は、電子申請前の事前設定の流れを説明するためのフローを示す図である。
【0072】
図9において、まず、ログイン処理(S1)を実行する。ログイン画面上で端末200の担当者がユーザID/パスワードを入力すると、ログイン処理部102aは、入力されたユーザID/パスワードをユーザマスタ106eと照合して一致する場合にはユーザを認証して、端末200にメニュー画面を提供する。
図10は、ログイン画面の一例を示す図である。
【0073】
メニュー画面(
図7参照)で端末200の担当者が利用者グループ登録を選択すると、利用者グループ登録部102bは、利用者グループ登録処理(S3)を実行する。利用者グループ登録処理では、まず、利用者グループの登録を行う。利用者グループの登録では、利用者ID、基本情報、電子証明書の登録を行う。
【0074】
具体的には、利用者グループ登録部102bは、利用者グループ登録画面上での端末200の担当者の操作に応じて、電子申請利用者グループマスタ106a、電子申請利用者ID管理マスタ106c、及び電子証明書マスタ106dにそれぞれデータを登録する。利用者グループ登録画面上でデータを入力して、登録ボタンをクリックすることでマスタにデータを登録する。この場合、利用者IDを自動生成(例えば、8〜12桁の英数字の組み合わせをランダムに生成する)してもよい。また、電子証明書や利用者IDは暗号化して登録してもよい。また、登録した利用者IDをe−Gov400に登録する。
【0075】
次に、利用者グループ登録処理では、利用者グループメンバの登録を行う。利用者グループメンバの登録では、マスタにおいて、作成した利用者グループにユーザの紐付けを行う。具体的には、利用者グループ登録部102bは、利用者グループメンバ登録画面上での端末200の担当者の操作に応じて、電子申請利用者グループマスタ106aの利用者グループと、ユーザマスタ106eのユーザの一覧を取得して、電子申請利用者グループメンバマスタ106bに利用者グループCDとユーザIDを登録して、利用者グループとユーザのマッピングを行う。
【0076】
図11は、利用者グループ登録画面の一例を示す図である。
図11に示す利用者グループ登録画面では、利用者グループコード、利用者グループ名、申請者情報や連絡先情報の基本情報、電子証明書のデータを入力して、登録ボタンを押すことで、電子申請利用者グループマスタ106a、電子申請利用者ID管理マスタ106c、及び電子証明書マスタ106dにデータが登録される。利用者IDは、登録ボタンが押された場合に自動採番して更に暗号化して、電子申請利用者ID管理マスタ106cに登録する。また、電子証明書は暗号化して電子証明書マスタ106dに登録する。
【0077】
図12及び
図13は、利用者グループメンバ登録画面の一例を示す図である。利用者グループメンバ登録画面では、利用者グループコードとユーザIDをマッピングする。
【0078】
図12に示す利用者グループメンバ登録画面において、利用者グループコードは、電子申請利用者グループマスタ106aに登録されている利用者グループコードの中から選択することができる。また、左側のリストにユーザマスタ106eに登録されたユーザID及び対応するユーザ名の一覧を表示し、この左側のリストから利用者グループコードと紐付けするユーザIDを選択して、右側のリストに追加する。また、右側のリストに追加されたユーザIDは、
図13に示すように削除することができる。
【0079】
不図示の登録ボタンを押すことで、選択された利用者グループコードと右側のリストに追加されたユーザIDが電子申請利用者グループメンバマスタ106bに登録される。例えば、
図13に示す例では、利用者グループコード「A00001」と右側のリストのユーザID「1000000002」が電子申請利用者グループメンバマスタ106bに登録される。
【0080】
(電子申請と手続きの照会)
図14〜
図17を参照して、電子申請と手続きの照会の流れを電子申請前の事前設定の流れを説明する。
図14は、電子申請と手続きの照会の流れを説明するためのフローを示す図である。
【0081】
図14において、メニュー画面(
図7参照)で端末200の担当者が電子申請を選択すると、電子申請処理(S4)を実行する。電子申請処理では、電子申請部102cは、電子申請データ作成画面上での端末200のオペレータの操作に応じて、選択した利用者グループコード(電子申請利用者グループメンバマスタ106bにおいて、担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループのみ指定可能)に紐付く利用者ID及び電子証明書を電子申請利用者ID管理マスタ106c及び電子証明書マスタ106dから取得し、取得した利用者ID及び電子証明書を使用して、作成した申請書類について、サービスサイトであるe−Gov400に電子申請を行う。
【0082】
図15及び
図16は、電子申請データ作成画面の一例を示す図である。
図15に示す電子申請データ作成画面は、利用者グループコードを選択する欄と、手続きの内容を選択する欄と、申請データ作成画面を表示するためのボタンと、添付ファイル指定画面を表示するためのボタンと、電子申請の送信を行う送信ボタンとを備えている。
【0083】
利用者グループコードを選択する欄では、電子申請利用者グループメンバマスタ106bにおいて、自分のユーザIDに紐付く利用者グループコード、すなわち、自分が所属するグループのみ選択が可能となっている。手続きの内容を選択する欄では、例えば、「1:雇用保険・資格取得届」、「2:雇用保険・資格喪失届」、「3:社会保険・資格取得届」、「4:社会保険・資格喪失届」が選択可能となっている。
【0084】
「申請データ作成画面へ」のボタンを押すと、申請データ作成画面が表示され、担当者は、申請データ作成画面上の操作で申請データのファイルを作成することが可能となっている。
【0085】
「添付ファイル指定画面へ」のボタンを押すと、添付ファイル指定画面が表示され、担当者は、添付ファイル指定画面上の操作で添付する申請データのファイルを指定することが可能となっている。
【0086】
担当者が、利用者グループコードと手続きの内容を選択し、申請データ作成画面で申請データの作成・添付ファイル指定画面で添付ファイルを指定した後、送信ボタンを押すと、選択した利用者グループに紐づく電子申請利用者ID管理マスタ106cの利用者ID及び電子証明書マスタ106dの電子証明書を取得してデコードした後、利用者ID及び電子証明書を使用して、添付ファイルについての電子申請データをe−Gov400に送信する。
【0087】
図15に示す例では、ユーザID「1000000001」の山下茂(例えば、雇用保険グループの部下A)が、自己の所属する雇用保険の利用者グループコード「A0001」と手続きの内容「1:雇用保険・資格取得届」を選択し、申請データ作成画面で雇用保険の申請データのファイルを作成して、添付ファイル指定画面で作成した雇用保険の申請データの添付ファイルを指定した後、送信ボタンを押す。これにより、選択した利用者グループ「A0001」に紐づく電子申請利用者ID管理マスタ106cの利用者ID及び電子証明書マスタ106dの電子証明書を取得してデコードした後、利用者ID及び電子証明書を使用して、雇用保険の資格取得の電子申請データがe−Gov400に送信される。
【0088】
図16に示す例では、ユーザID「1000000002」の木下雄二(例えば、雇用保険グループの部下B)が、自己の所属する雇用保険の利用者グループコード「A0001」と手続きの内容「2:雇用保険・資格喪失届」を選択し、申請データ作成画面で雇用保険の資格喪失の申請データのファイルを作成して、添付ファイル指定画面で作成した雇用保険の資格喪失の申請データの添付ファイルを指定した後、送信ボタンを押す。これにより、選択した利用者グループ「A0001」に紐づく電子申請利用者ID管理マスタ106cの利用者ID及び電子証明書マスタ106dの電子証明書を取得してデコードした後、利用者ID及び電子証明書を使用して、雇用保険の資格喪失の電子申請データがe−Gov400に送信される。
【0089】
図14に戻り、
図14において、メニュー画面(
図7参照)で端末200の担当者が照会を選択すると、照会部102dは、照会処理(S5)を実行する。照会処理では、照会部102dは、照会画面上での端末200のオペレータの操作に応じて、選択した利用者グループコード(電子申請利用者グループメンバマスタ106bにおいて、担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループのみ指定可能)に紐付く利用者IDを電子申請利用者ID管理マスタ106cから取得し、取得した利用者IDを使用して、e−Gov400に対して、電子申請部102cが申請した申請書類についての照会を行う。
【0090】
図17は、照会画面の一例を示す図である。
図17に示す照会画面は、利用者グループコードを選択する欄と、手続きの内容を選択する欄と、照会する送信日を指定する欄と、照会結果(申請状況、送信日時、手続き名称、公文書、コメント)が表示されるエリアと、送信ボタンとを備えている。
【0091】
利用者グループコードを選択する欄では、電子申請利用者グループメンバマスタ106bにおいて、自分のユーザIDに紐付く利用者グループコード、すなわち、自分が所属するグループのみ選択が可能となっている。手続きの内容を選択する欄では、例えば、「1:雇用保険・資格取得届」、「2:雇用保険・資格喪失届」、「3:社会保険・資格取得届」、「4:社会保険・資格喪失届」が選択可能となっている。指定がない場合は、利用者グループコードに紐付く利用者IDについての指定される送信日の申請状況を確認することができる。送信日は、電子申請を行った送信日を指定することが可能である。
【0092】
担当者が、利用者グループコード、手続き、送信日を選択して、送信ボタンを押すと、
選択した利用者グループに紐づく電子申請利用者ID管理マスタ106cの利用者IDを取得してデコードした後、デコードした利用者IDを使用して、電子申請の手続き(送信日指定)の照会のリクエストをe−Gov400に送信する。e−Gov400は照会のリクエストを受け取ると、照会結果を返信する。照会結果を受け取ると、照会結果を表示する。
【0093】
図17に示す例では、ユーザID「1000000003」の中川秀俊(例えば、雇用保険グループの上司A)が、自己の所属する雇用保険の利用者グループコード「A0001」と送信日「2020/3/31」を選択して送信ボタンを押す。これにより、選択した利用者グループ「A0001」に紐づく電子申請利用者ID管理マスタ106cの利用者IDを取得してデコードした後、利用者IDを使用して、電子申請の手続き(送信日「2020/3/31」)の照会のリクエストをe−Gov400に送信する。e−Gov400は照会のリクエストを受け取ると照会結果を送信し、この照会結果が照会画面に表示される。
図17に示す例では、照会結果を表示するエリアでは、1行目に、申請状況「到達」、送信日時「2020/3/31 09:00」、手続き名称「雇用保険・資格取得届」、公文書「なし」、コメント「なし」が表示され、2行目に、申請状況「到達」、送信日時「2020/3/31 12:00」、手続き名称「雇用保険・資格喪失届」、公文書「なし」、コメント「なし」が表示される。
【0094】
以上説明したように、本実施の形態によれば、利用者グループ毎に、利用者ID及び電子証明書と、当該利用者グループに属する担当者のユーザIDとを格納するためのマスタと、利用者グループ毎に、利用者ID及び電子証明書と、当該利用者グループに属する担当者のユーザIDとを前記マスタに登録する利用者グループ登録部102bと、マスタから担当者がログインしたユーザIDが属する利用者グループの利用者ID及び電子証明書を取得し、利用者ID及び電子証明書を使用して、サービスサイトに電子申請を行う電子申請部102cと、を備えているので、サービスサイトに電子申請する場合に、IDや電子証明書の個人管理を排除し、利用者グループ単位で共有可能な仕組みを構築することで、柔軟かつ安全な電子申請を行うことが可能となる。
【0095】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0096】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0097】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0098】
また、電子申請支援装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0099】
例えば、電子申請支援装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて電子申請支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0100】
また、このコンピュータプログラムは、電子申請支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0101】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0102】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0103】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0104】
また、電子申請支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、電子申請支援装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0105】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。