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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-196876(P2021-196876A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】入力システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/048 20130101AFI20211129BHJP
   G06F 3/03 20060101ALI20211129BHJP
   G06F 3/046 20060101ALI20211129BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20211129BHJP
   B43K 29/00 20060101ALI20211129BHJP
   B43K 8/22 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   G06F3/048
   G06F3/03 400A
   G06F3/046 B
   G06F3/041 520
   B43K29/00 Z
   B43K8/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2020-103021(P2020-103021)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】堀江 利彦
【テーマコード(参考)】
2C350
5E555
【Fターム(参考)】
2C350GA13
2C350GA14
5E555AA26
5E555AA76
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA65
5E555BB02
5E555BB05
5E555BC04
5E555CA12
5E555CA14
5E555CB11
5E555CB46
5E555CC11
5E555DA01
5E555DA40
5E555DB03
5E555DB56
5E555DC24
5E555DD07
5E555DD20
5E555EA07
5E555EA09
5E555EA11
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】作業者が、入力領域を所定の角度回転させて入力作業をしたときにも、その入力結果の表示画像を直観的に感得し易くする入力システムを提供する。
【解決手段】表示画面を備える表示装置と、位置指示器による指示位置を検出する位置検出部を備え、位置指示器による指示位置の入力を受ける入力領域が、当該入力領域を形成する面に直交する方向を回転中心軸として回転可能になるようにされている入力装置とからなり、入力装置の位置検出部で検出された位置指示器による指示位置の検出情報を表示装置に送信し、表示装置の表示画面に、指示位置の検出情報に応じた表示画像を表示するようにする入力システムである。入力領域の回転変位に応じて、入力領域の回転変位の方向と同方向に、表示画像を回転させるように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を備える表示装置と、
位置指示器による指示位置を検出する位置検出部を備え、前記位置指示器による前記指示位置の入力を受ける入力領域が、当該入力領域を形成する面に直交する方向を回転中心軸として回転可能になるようにされている入力装置と、
を備え、前記入力装置の前記位置検出部で検出された前記位置指示器による前記指示位置の検出情報を前記表示装置に送信し、前記表示装置の表示画面に、前記指示位置の検出情報に応じた表示画像を表示するようにする入力システムであって、
前記表示画像を、前記入力領域の前記回転変位に応じて前記入力領域の前記回転変位の方向と同方向に回転させるように制御する
ことを特徴とする入力システム。
【請求項2】
前記表示装置は、前記表示画面を、当該表示画面に直交する方向を回転軸心方向として回転させる回転機構部を備えると共に、前記回転機構部を制御して、前記入力領域の回転変位に応じて前記表示画面を回転させる制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記表示画面に表示する表示画像を、前記入力領域の回転変位に関わらず、前記入力領域が回転変位をしていない状態での表示画像となるようにする機能を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の入力システム。
【請求項4】
前記入力装置は、前記入力領域の回転変位を検出する回転変位検出部と、前記回転変位検出部で検出した前記回転変位の情報を前記表示装置に送信する送信部とを備え、
前記表示装置の前記制御部は、前記送信部からの前記入力領域の回転変位の情報に基づいて前記回転機構部を制御して、前記入力領域の回転変位に応じて前記表示画面を回転させるように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の入力システム。
【請求項5】
前記入力装置は、前記入力領域の回転変位を算出するための回転変位算出用情報を取得して前記表示装置に送信する情報取得送信部を備え、
前記表示装置は、前記入力装置の前記情報取得送信部からの前記回転変位算出用情報から、前記入力領域の回転変位を算出する回転変位算出部を備え、前記制御部は、前記回転変位算出部の算出結果に基づいて前記回転機構部を制御して、前記表示画面を回転させるように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の入力システム。
【請求項6】
前記入力装置は、前記位置検出部の位置検出領域面上に移動可能に載置されて、前記位置指示器による前記指示位置の入力を受け付ける、前記位置検出部とは別体の入力受付部を備え、
前記入力領域は、前記入力受付部に形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載の入力システム。
【請求項7】
前記入力受付部は、前記位置検出部の前記位置検出領域面における前記入力領域の回転位置を前記位置検出部に対して位置指示するための位置指示機能部を備えており、
前記回転変位検出部は、前記位置検出部で、前記位置指示機能部による前記位置指示に基づいて前記入力領域の前記回転変位を検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力システム。
【請求項8】
前記入力受付部は、前記入力領域の前記位置検出部の前記位置検出領域面における回転位置を前記位置検出部に対して位置指示するための位置指示機能部を備えており、
前記情報取得部は、前記位置検出部で、前記位置指示機能部による前記位置指示に基づいて前記入力領域の前記回転変位を算出するための情報を、前記回転変位算出用情報として取得する
ことを特徴とする請求項5に記載の入力システム。
【請求項9】
前記位置指示器は、筆記媒体に筆記跡を残せる筆記機能を備える電子ペンであり、
前記入力受付部は、前記筆記媒体を保持する保持部材を備え、前記入力領域は、前記保持部材で保持される前記筆記媒体で形成されており、
前記位置指示機能部は、前記保持部材に設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載の入力システム。
【請求項10】
前記位置検出部は、前記筆記媒体を介して、前記位置指示器による前記指示位置の入力を検出する
ことを特徴とする請求項9に記載の入力システム。
【請求項11】
前記位置検出部は、前記位置指示器による前記指示位置を検出するための位置検出センサを備えるタブレットである
ことを特徴とする請求項6に記載の入力システム。
【請求項12】
前記位置検出部は、前記位置指示器による前記指示位置を検出するための位置検出センサが組み込まれた、前記入力受付部が載置可能であるマット部材である
ことを特徴とする請求項6に記載の入力システム。
【請求項13】
前記入力装置は、前記入力領域を位置検出領域として有する前記位置検出部を備えるタブレットと、前記入力領域を形成する面に直交する方向を回転中心軸として回転可能になるような状態で前記タブレットが載置される回転載置台とを備え、
前記回転変位検出部は、前記タブレットの回転変位を、前記回転載置台の回転変位として検出することで、前記入力領域の前記回転変位を検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力システム。
【請求項14】
前記入力装置は、前記入力領域を位置検出領域として有する前記位置検出部を備えると共に、前記入力領域の回転位置を位置指示するための位置指示機能部を備えるタブレットと、前記タブレットが載置可能であり、前記タブレットの前記位置指示機能部と信号をやり取りすることで前記タブレットの前記入力領域の回転位置を検出する位置検出センサが組み込まれているマット状部材とを備え、
前記回転変位検出部は、前記マット状部材の前記位置検出センサで、前記タブレットの前記位置指示機能部による前記位置指示に基づいて前記入力領域の前記回転位置を検出するための位置情報を取得し、前記取得した前記位置情報を用いて前記入力領域の回転変位を検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の入力システム。
【請求項15】
前記入力装置は、前記入力領域を位置検出領域として有する前記位置検出部を備えると共に、前記入力領域の回転位置を位置指示するための位置指示機能部を備えるタブレットと、前記タブレットが載置可能であり、前記タブレットの前記位置指示機能部と信号をやり取りすることで前記タブレットの前記入力領域の回転位置を検出する位置検出センサが組み込まれているマット状部材とを備え、
前記情報取得送信部は、前記マット状部材の前記位置検出センサで、前記位置指示機能部による前記位置指示に基づいて前記入力領域の前記回転位置を算出するための位置情報を、前記回転変位算出用情報として取得し、前記表示装置に送信する
ことを特徴とする請求項5に記載の入力システム。
【請求項16】
前記入力装置は、前記入力領域を位置検出領域として有する前記位置検出部を備えるタブレットと、前記タブレットの回転変位を検出することで前記入力領域の回転変位を検出して前記表示装置に送信する回転変位検出部とを備え、
前記表示装置は、前記入力装置の前記入力領域の回転変位の情報に基づいて、前記入力領域の回転変位に応じて、前記表示画像を前記表示画面において前記回転変位の方向と同方向に回転変位させて表示する制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力システム。
【請求項17】
前記入力装置は、前記タブレットの前記入力領域を形成する面に直交する方向を回転中心軸として回転可能になるような状態で前記タブレットが載置される回転載置台を備え、
前記回転変位検出部は、前記回転載置台の回転変位を検出することで前記タブレットの回転変位を検出する
ことを特徴とする請求項16に記載の入力システム。
【請求項18】
前記入力装置は、前記入力領域を位置検出領域として有する前記位置検出部を備えると共に、前記入力領域の回転位置を位置指示するための位置指示機能部を備えるタブレットと、前記タブレットが載置可能であり、前記タブレットの前記位置指示機能部と信号をやり取りすることで前記タブレットの前記入力領域の回転位置を検出する位置検出センサが組み込まれているマット状部材とを備え、
前記回転変位検出部は、前記マット状部材の前記位置検出センサで、記位置指示機能部による前記回転指示に基づいて前記入力領域の前記回転位置を検出するための位置情報を取得し、前記取得した前記位置情報を用いて回転変位を検出する
ことを特徴とする請求項16に記載の入力システム。
【請求項19】
前記入力装置は、前記入力領域を位置検出領域として有する前記位置検出部を備えるタブレットと、前記タブレットの回転変位を算出するための回転変位算出用情報を取得して前記表示装置に送信する情報取得送信部を備え、
前記表示装置は、前記入力装置の前記情報取得送信部からの前記回転変位算出用情報から、前記入力領域の回転変位を算出する回転変位算出部を備えると共に、前記回転変位算出部の算出結果に基づいて、前記表示画像を前記表示画面において前記回転変位の方向と同方向に回転変位させて表示する制御部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の入力システム。
【請求項20】
前記入力装置は、前記入力領域の回転位置を位置指示するための位置指示機能部を備える前記タブレットと、前記タブレットが載置可能であり、前記タブレットの前記位置指示機能部と信号をやり取りすることで前記タブレットの前記入力領域の回転位置を検出する位置検出センサが組み込まれているマット状部材と、前記マット状部材の前記位置検出センサで、前記位置指示機能部による前記位置指示に基づいて前記入力領域の前記回転位置を検出するための位置情報を、前記回転変位算出用情報として取得し、前記表示装置に送信する前記情報取得送信部とを備える
ことを特徴とする請求項19に記載の入力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置指示器による位置指示入力を受け付ける入力装置と、入力装置で受け付けられた位置指示入力に応じた表示画像を表示画面に表示する表示装置とを備える入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば液晶ディスプレイを表示画面として備えると共に、表示画面の表面上又は裏側に位置検出センサを備える液晶タブレットが賞用されており、作業者は、この液晶タブレットの表示画面上で電子ペンを操作して例えばデジタル絵画を描く入力作業をすることができる。作業者による、この液晶タブレットを用いた入力作業スタイルは、紙に描くのと同様にペン先と視線が一致することになるので、最も作業効率の上がる作業スタイルとなると期待されている。
【0003】
しかし、この液晶タブレットにおける作業において、紙に描く場合における紙の四方からの入力を実現しようとすると、システムが大きくなるという問題があった。また、液晶ディスプレイの輝度、熱などにより、作業者の疲労が蓄積し易かったり、液晶ディスプレイの表示画面を立てて使用する場合には、作業者は、電子ペンを手て持って、空中で入力作業をすることになり、腕が疲れるという問題があった。
【0004】
そこで、従来から、表示画面を備える表示装置例えばコンピュータと、コンピュータとは別体のタブレットからなる入力システムが用いられている(例えば特許文献1(特開2016−029519号公報)参照)。電子ペンを用いてデジタル絵画を作成する作業者は、コンピュータの表示画面を見ながら、タブレット上で電子ペンを操作して入力作業を行うようにする。
【0005】
ところで、この種の入力システムにおいては、表示装置の表示画面は、表示装置の設置場所において固定された状態とされると共に、表示画面の表示画像は、タブレットの入力領域の向き(例えば矩形の入力領域の場合には、横方向及び縦方向の向き)に関係なく、常に、タブレットの横方向の向きが表示画面の水平方向となり、縦方向が表示画面の垂直方向となるように表示されている。
【0006】
また、最近は、電子ペンとして、筆記具のシャープペンシルやボールペンの機能を有するものが提案されており、例えば特許文献2(WO2019/220728号公報)に記載されるように、位置検出センサの入力面上に紙を載置して、その紙に、電子ペンのシャープペンシルやボールペンの機能により筆記入力したとき、位置検出センサでその筆記入力に応じた筆記跡データ(座標列データ)を得ることができるようにした入力装置も提案されている。
【0007】
そして、特許文献2の場合には、入力装置で取得された筆記跡データは、表示装置に送信され、その表示画面に、紙に筆記入力されたものに対応する表示画像が表示される。この場合にも、特許文献2では、表示装置の表示画面には、位置検出センサの入力面上で、紙が位置検出領域の横方向に対して斜めに回転された向きとなっていても、常に、紙の横方向が、表示画面の水平方向となるように補正されて、表示画像が表示されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016−029519号公報
【特許文献2】WO2019/220728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、デジタル絵画を作成しようとしたり、紙に絵画を描いたりする作業者は、タブレットや紙の横方向を、ディスプレイの横方向に一致させるのではなく、所定の角度、回転させて入力作業をしたときに、その入力結果の表示画像を直観的に感得し易くするために、当該表示画像も、当該タブレットや紙の回転に応じて回転した状態で表示させたい要求がある場合もある。
【0010】
しかしながら、上述したように、従来のシステムでは、表示画像は、作業中のタブレットや紙の横方向の向きに関係なく、常に、固定的に、タブレットの横方向や紙の横方向が表示画面の水平方向に一致するように表示されるために、上記の作業者の要求に答えることができなかった。
【0011】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした入力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、
表示画面を備える表示装置と、
位置指示器による指示位置を検出する位置検出部を備え、前記位置指示器による前記指示位置の入力を受ける入力領域が、当該入力領域を形成する面に直交する方向を回転中心軸として回転可能になるようにされている入力装置と、
を備え、前記入力装置の前記位置検出部で検出された前記位置指示器による前記指示位置の検出情報を前記表示装置に送信し、前記表示装置の表示画面に、前記指示位置の検出情報に応じた表示画像を表示するようにする入力システムであって、
前記表示画像を、前記入力領域の前記回転変位に応じて前記入力領域の前記回転変位の方向と同方向に回転させるように制御する
ことを特徴とする入力システムを提供する。
【0013】
上述の構成の入力システムにおいては、制御部により表示装置の表示画像は、位置指示器による位置指示入力を受ける入力領域の回転に応じて、入力領域の回転変位の方向と同方向に回転するように制御される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明による入力システムの第1の実施形態の構成例の概要を説明するための図である。
図2】この発明による入力システムの第1の実施形態で用いられるペーパークリップの構成例を説明するための図である。
図3】この発明による入力システムの第1の実施形態で用いられる位置指示器の例としての電子ペンの構成例を説明するための図である。
図4】この発明による入力システムの第1の実施形態の構成例における入力装置の電気的構成例を示す図である。
図5】この発明による入力システムの第1の実施形態の構成例における表示装置の電気的構成例を示す図である。
図6】この発明による入力システムの第1の実施形態の構成例における要部の動作を説明するために用いる図である。
図7】この発明による入力システムの第2の実施形態の構成例の概要を説明するための図である。
図8】この発明による入力システムの第3の実施形態の構成例の概要を説明するための図である。
図9】この発明による入力システムの第3の実施形態の構成例における入力装置の回転載置台の電気的構成例を示す図である。
図10】この発明による入力システムの第3の実施形態の構成例における表示装置の電気的構成例を示す図である。
図11】この発明による入力システムの第3の実施形態の構成例の動作を説明するための図である。
図12】この発明による入力システムの第4の実施形態の構成例の概要を説明するための図である。
図13】この発明による入力システムの第4の実施形態の構成例における表示装置の電気的構成例を示す図である。
図14】この発明による入力システムの第5の実施形態の構成例の概要を説明するための図である。
図15】この発明による入力システムの第5の実施形態の構成例における入力装置のタブレット端末の構成例を説明するための図である。
図16】この発明による入力システムの第5の実施形態の構成例における表示装置の電気的構成例を示す図である。
図17】この発明による入力システムの第6の実施形態の応用構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明による入力システムの幾つかの実施形態を図を参照しながら説明する。
【0016】
[第1の実施形態;図1図6
図1は、第1の実施形態の入力システムの構成の概要を説明するための図である。第1の実施形態の入力システムは、表示装置10と、入力装置20とからなる。
【0017】
表示装置10は、この例では、表示部11を備えると共に、後述するように、コンピュータで構成される制御回路を備えている。すなわち、表示装置10は、例えば表示部付きのパーソナルコンピュータの構成とすることができる。この第1の実施形態の入力システムにおける制御部は、この表示装置10が備えるコンピュータにより構成される。
【0018】
この例の表示装置10の表示部11は、例えば液晶ディスプレイで構成されており、その表示画面11Dは、この例では、図1(A)及び(C)に示すように、長方形形状を有している。
【0019】
図1(B)は、表示装置10を、表示部11の表示画面11Dに沿う方向から見た側面図である。この図1(B)に示すように、この例の表示装置10においては、ベース部12に対して、スタンド部13が、例えばベース部12に対して植立されるように結合されている。そして、スタンド部13の上端部には、表示部回転機構部14が取り付けられ、表示部11が、この表示部回転機構部14の回転軸に、表示画面11Dを含む面内で回転することが可能な状態で結合されている。
【0020】
表示部回転機構部14は、この実施形態では、表示部11の表示画面11Dに直交する方向の回転軸を備える。図1(B)の一点鎖線ASは、表示部回転機構部14の回転軸の軸心中心位置を示している。そして、この表示部回転機構部14の回転軸に対して、表示部11が、表示画面11Dの中央位置において取り付けられる。表示部回転機構部14においては、回転軸は、例えば駆動用モーターにより回転するように構成されている。そして、後述もするように、表示装置10に設けられる制御回路は、入力装置20からの情報に基づいて定められる回転角だけ、表示部11の表示画面11Dが表示部回転機構部14の回転軸を中心として回動するように構成されている。
【0021】
表示装置10は、この例では、例えばBluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能やWi−Fi(登録商標)規格の無線通信機能を備え、入力装置20と無線接続が可能に構成されている。
【0022】
入力装置20は、第1の実施形態では、位置検出部の例を構成するタブレット21と、ペーパークリップ22と、位置指示器の例としての電子ペン23とから構成される。ペーパークリップ22は、筆記媒体、この例では1〜複数枚の用紙24を挟持して保持する保持部材の例を構成する。第1の実施形態では、ペーパークリップ22により保持される用紙24が、電子ペン23による指示位置入力を受ける入力領域を形成する。
【0023】
そして、第1の実施形態では、用紙24を保持した状態のペーパークリップ22が、タブレット21の位置検出センサの位置検出領域面上に載置され、電子ペン23により、この用紙24上において、すなわち、用紙24が占める領域(これが入力領域となる)内で、筆記入力がなされる。第1の実施形態の入力装置20では、保持部材の例としてのペーパークリップ22により入力領域を形成する用紙24が保持されることで入力受付部が構成される。
【0024】
タブレット21は、この例では、電磁誘導方式で電子ペン23と信号のやり取りをする位置検出センサを備える。そして、タブレット21は、電子ペン23による位置指示入力を位置検出センサを通じて検出し、その検出した電子ペン23による指示位置の座標情報を、この例では近距離無線通信機能を用いて表示装置10に送信するようにする。
【0025】
図1(A)及び(C)に示すように、この第1の実施形態の入力システムにおいては、ペーパークリップ22は、タブレット21の位置検出センサの位置検出領域内を移動させて、任意の位置において載置することができる。そして、ペーパークリップ22は、その長手方向をタブレット21の位置検出センサの横方向に平行にして載置する(図1(A)の状態参照)だけなく、その平行な状態から回転させて、位置検出センサの横方向に対して所定の角度の向き(回転角)を形成する状態(図1(C)の状態参照)として使用することが可能である。
【0026】
ペーパークリップ22は、後述するように、タブレット21の位置検出センサと電磁誘導方式で信号のやり取りをすることで、当該ペーパークリップ22自身の位置検出センサの位置検出領域における位置や向き(回転角)をタブレット21に伝えるための載置状態指示信号送信部を備える。ペーパークリップ22には、入力領域を構成する用紙24が保持されるので、この載置状態指示信号送信部は、用紙24からなる入力領域の、タブレット21の位置検出領域面における位置を、タブレット21に対して位置指示するための位置指示機能部として機能する。
【0027】
電子ペン23は、この第1の実施形態では、タブレット21の位置検出センサとやり取りする位置指示信号を送信する位置指示信号送信部に加えて、用紙24に筆記入力して、その筆記跡を形成するための筆記跡形成部を備える。電子ペン23の筆記跡形成部の構成例としては、例えば、シャープペンシルユニットやボールペンユニットがある。この実施の形態において、電子ペン23は、筆記跡形成部としてシャープペンシルユニットを備えている。
【0028】
この第1の実施形態における入力装置20においては、電子ペン23の筆記跡形成部による用紙24に対する筆記跡形成の入力操作がなされたとき、電子ペン23の位置指示信号送信部からの信号が、用紙24を介して位置検出センサとやり取り可能であることで用紙24に形成された筆記跡に対応する筆記跡データを、位置指示入力の検出出力として取得する。
【0029】
この第1の実施形態における入力装置20においては、前述したように、電子ペン23による位置指示入力を受ける入力領域は、ペーパークリップ22に挟み込まれて保持されている用紙24の領域とされる。したがって、電子ペン23による位置指示入力を受ける入力領域は、ペーパークリップ22により保持されている用紙24の大きさ及び形状で決まる領域となる。
【0030】
タブレット21は、この実施形態では、表示装置10と無線接続するために、位置検出センサや例えばBluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能やWi−Fi(登録商標)規格の無線通信機能を備える。
【0031】
以上のように、第1の実施形態においては、入力装置20における入力領域は、ペーパークリップ22により保持される用紙24の大きさ及び形状で決まる領域であり、図1(A)及び(C)に示すように、タブレット21の位置検出センサの入力面上において、任意の位置及び任意の向き(向きはタブレット21の位置検出センサの横方向に対する方向)とすることができる。
【0032】
この場合に、入力装置20を用いて用紙24に電子ペン23を用いて絵画などを描く作業者は、例えば図1(A)の下部に示すように、タブレット21の位置検出センサの入力面の横方向にペーパークリップ22の長手方向を一致させた状態で用紙24に絵画入力をするときには、表示装置10の表示部11の表示画面11Dには、当該用紙24に描かれた筆記跡が、図1(A)の上部に示すように、表示画面11Dの水平方向とペーパークリップ22の長手方向とが一致するように表示されると、作業がし易い。
【0033】
また、例えば図1(C)の下部に示すように、タブレット21の位置検出センサの入力面の横方向に対してペーパークリップ22の長手方向が所定の角度を有するように、ペーパークリップ22を回転させた状態で用紙24に絵画入力をするときには、表示装置10の表示部11の表示画面11Dには、当該用紙24に描かれた筆記跡が、図1(C)の上部に示すように、表示画面11Dの水平方向に対して、ペーパークリップ22の回転、すなわち、入力領域の回転に応じて、当該ペーパークリップ22の長手方向が所定の角度を成すように表示されると、作業がし易い場合もある。
【0034】
この点に鑑み、この第1の実施形態の入力システムにおいては、以下に詳細に説明するように、ペーパークリップ22のタブレット21の位置検出センサの横方向に対する傾き角(回転角)に応じて、表示装置10の表示部11の表示画面を回転させることで、表示画面を見ながらの使用者の入力作業を、よりやり易くなるようにしている。
【0035】
なお、筆記媒体は、紙に限られるものではなく、筆記跡を残せることができ、かつ、当該筆記媒体を介して電子ペン23による指示位置を位置検出部が検出可能であれば、どのようなものであってもよい。
【0036】
[ペーパークリップ22の構成例]
図2は、筆記媒体の保持部材の例としてのペーパークリップ22の構成例を説明するための図である。図2(A)は、ペーパークリップ22の外観図であり、全体として細長の形状とされている。図2(A)に示すように、ペーパークリップ22は、細長板状の下挟持片221と、同様の細長板状の上挟持片222とが、回動支持結合部223によって結合されている。回動支持結合部223は、下挟持片221と上挟持片222の短辺方向の中間部において、下挟持片221及び上挟持片222の長手方向に設けられている。そして、下挟持片221が所定の面上に載置されている状態において、上挟持片222が回動支持結合部223を回動支軸としてシーソー運動するように回動することが可能になっている。
【0037】
そして、図2(A)において、回動支持結合部223の後側の、下挟持片221と上挟持片222の間にはU字型の板ばね224が装着されている。この板ばね224の弾性的な付勢により、下挟持片221の短辺方向の前端部221aと上挟持片222の短辺方向の前端部222aとは、常時、所定の弾性偏倚力により互いに衝合するように偏倚される状態とされる。すなわち、ペーパークリップ22は、下挟持片221の前端部221aと上挟持片222の前端部222aとにより、用紙24を挟持して保持するように動作する。なお、ペーパークリップ22は、挟持した用紙24が、タブレット21の位置検出センサ上で移動しないようにする、いわゆるペーパーウェイトとしても機能する。
【0038】
そして、ペーパークリップ22の下挟持片221の内部には、載置状態指示信号送信部が設けられる。すなわち、この例では、図2(B)に示すように、下挟持片221の内部の長手方向の左側端部には左コイル225Lが設けられ、長手方向の右側端部には右コイル225Rが設けられる。左コイル225Lと右コイル225Rとは、例えば、下挟持片221の長手方向の中心位置を基準にして左右対称となる位置に設けられる。図2(B)に示すように、左コイル225Lと右コイル225Rとの間の距離Lgが予め定められた距離となるようにされる。
【0039】
さらに、図2(C)に示すように、ペーパークリップ22の下挟持片221の内部には、左コイル225Lにコンデンサ226Lが接続されて設けられ、右コイル225Rにコンデンサ226Rが接続されて設けられる。左コイル225Lとコンデンサ226Lとで左共振回路227Lが構成され、右コイル225Rとコンデンサ226Rとで右共振回路227Rが構成される。これら左共振回路227L及び右共振回路227Rは、タブレット21の位置検出センサと電磁誘導結合する載置状態指示信号送信部を構成する。
【0040】
なお、この例では、左共振回路227Lと右共振回路227Rの共振周波数は、互いに異なるように構成されている。また、左共振回路227Lと右共振回路227Rの共振周波数は、電子ペン23の共振回路237の共振周波数とも異なるように構成されている。これにより、タブレット21では、左共振回路と右共振回路のうちの、いずれの共振回路からの帰還信号であるかを認識することができるように構成されている。
【0041】
ペーパークリップ22が、タブレット21の位置検出センサの位置検出領域面上に載置された場合に、タブレット21においては、位置検出センサのループコイルに供給される周波数信号により磁界が発生するので、ペーパークリップ22の左共振回路227L及び右共振回路227Rに誘導電流が誘起される。そして、タブレット21の位置検出センサのループコイルへの周波数信号の供給が停止されると、ペーパークリップ22の左共振回路227L及び右共振回路227Rから位置検出センサのループコイルに電磁誘導結合により信号が帰還され、この帰還された信号を受信したループコイルの位置を検出することで、タブレット21では、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置が検出される。
【0042】
このペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置が検出されると、このペーパークリップ22に挟持される用紙24の形状および大きさが予め定まったいるとすれば、用紙24により定まる入力領域の、タブレット21の位置検出センサの位置検出領域面上での位置と、タブレット21の横方向に対する傾き(回転角)を決定することができる。
【0043】
この場合に、ペーパークリップ22の長手方向の長さ(横幅)と、用紙24の横幅とがほぼ同じとなるようにしておく。そして、ペーパークリップ22の横幅と用紙224の横幅とを揃えるようにして、ペーパークリップ22により用紙24を保持するようにすれば、用紙24により定まる入力領域の位置及び方向(用紙24の横方向のタブレット21の位置検出領域面の横方向に対する角度)も、タブレット21で検出することができる。
【0044】
タブレット21は、位置検出センサの位置検出領域における電子ペン23による指示位置の検出出力と共に、このペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置の検出出力も表示装置10に送信する。
【0045】
表示装置10では、後述するように、このタブレット21から受信した検出出力に基づいて、表示部11の表示画面11Dに、電子ペン23による位置指示入力に応じた筆記跡の画像情報を表示すると共に、表示画面11Dの回転角を制御するようにする。
【0046】
[電子ペン23の構成例]
図3は、電子ペン23の構成例を説明するための図であり、ペン先側の部分を拡大して示している。なお、図3では、ペン筐体の内部を露呈させた状態を示している。
【0047】
そして、図3(A)は、筆記跡形成部としてシャープペンシルユニットを備えた第1の実施形態における電子ペン23を示している。なお、この実施形態で使用可能な電子ペンとしては、筆記跡形成部としてボールペンユニットを備えたものでもよい。そこで、図3(B)に、筆記跡形成部としてボールペンユニットを備えた電子ペン23Xを示した。
【0048】
<シャープペンシルユニットを備えた電子ペン23の構成>
図3(A)に示すように、ペン筐体230の内部には、シャープペンシルの芯の繰り出し機構を備えた前部ユニット231Sfとシャープペンシルの芯が装填される後部ユニット231Sbからなるシャープペンシルユニット231Sを備える。
【0049】
ペン筐体230のペン先側には、コイル235が巻回されているフェライトコア232が設けられる。このフェライトコア232は、貫通孔を備え、前部ユニット231Sfは、この貫通孔を挿通するように配設されている。フェライトコア232に巻回されているコイル235の両端は、後部ユニット231Sbと平行に設けられた回路基板238に形成されたコンデンサ236に接続されて共振回路237(図4参照)が形成される。
【0050】
前部ユニット231Sfのペン先側とは反対の端部には、リング状部233aと突起233bとからなる筆圧伝達部233が固着されて設けられている。筆圧検出部234は、この筆圧伝達部233の突起233bにより押圧される。筆圧検出部234は、前部ユニット231Sfのペン先側に印可される圧力(筆圧)を、例えば静電容量の変化として検出する周知のもので構成される。この例では、筆圧検出部234で構成される可変容量コンデンサは、コイル235及びコンデンサ236と並列に接続されて、共振回路の一部として構成される。
【0051】
図3(A)では図示を省略するが、後部ユニット231Sbのペン先側とは反対側の端部には、使用者によってノック操作されるノックボタンが装着され、このノックボタンが使用者によりノック(押圧)操作されることによって、シャープペンシルの芯Ldが前部ユニット231Sfから繰り出される。
【0052】
そして、使用者が、筐体230の先端の開口から突出している前部ユニット231Sfのペン先から繰り出されている芯Ldを用紙24に押し当てて筆記を行うと、芯Ldによって用紙24上に筆記跡が記録される。このとき、ペン先側に設けられているフェライトコア232に巻回されているコイルと、コンデンサ236で構成される共振回路は、用紙24を介してタブレット21の位置検出センサとの電磁結合により、位置検出センサからの信号を受信すると共に、受信した信号を位置検出センサに帰還するように動作する。
【0053】
このとき、電子ペン23のペン先に印加される筆圧が筆圧検出部234で検出される。検出された筆圧の情報は、この例では、共振回路の共振周波数の変化(位相)として、電子ペン23から位置検出センサに帰還する信号に含められる。
【0054】
タブレット21では、電子ペン23からの帰還信号を位置検出センサを通じて受信し、その受信信号をいずれのループコイルで受信したかを検出することに基づいて、用紙24を介した電子ペン23による指示位置が検出され、その検出された指示位置の時系列データとして、用紙24の筆記跡の電子データが取得される。また、タブレット21では、位置検出センサを通じて受信した電子ペン23からの帰還信号の周波数変位(位相変位)に基づいて、電子ペン23のペン先に印加される筆圧が検出される。
【0055】
<ボールペンユニットを備えた電子ペン23Xの構成>
電子ペン23Xにおいては、図3(B)に示すように、電子ペン23の場合のシャープペンシルユニット231Sに代えて、ボールペンユニット231Bが、ペン筐体230Bの内部に設けられる。ボールペンユニット231Bは、インク装填部231Biと、当該インク装填部231Biからインクの供給を受けて、インクによる筆記跡を記録する先端にボールを備えたペン先部231Btとからなる。
【0056】
そして、コイル235Bが巻回されたフェライトコア232Bは、ボールペンユニット231Bのインク装填部231Biに対して設けられる。コイル235Bの両端は、回路基板238Bに形成されたコンデンサ236Bに接続されて並列共振回路を形成する。
【0057】
そして、電子ペン23Xにおいては、ボールペンユニット231Bのペン先側とは反対の端部に筆圧検出部234Bが設けられ、ボールペンユニット231Bの軸心方向への摺動移動に応じて、筆圧検出部234Bが押圧されるように構成されている。この電子ペン23Xの例においても、筆圧検出部234Bで構成される可変容量コンデンサは、コイル235B及びコンデンサ236Bと並列に接続されて、共振回路の一部として構成される。
【0058】
この電子ペン23Xは、筆記跡形成部がボールペンユニット231Bとなる点が、電子ペン23と異なるだけで、上述した電子ペン23と同様の動作を行う。
【0059】
なお、第1の実施の形態の電子ペンの筆記跡形成部としては、上述したシャープペンシルユニットやボールペンユニットに限られず、例えば、万年筆ユニット、蛍光ペンユニットなど、筆記跡を形成することができるものであれば、どのようなものであっても用いることができる。
【0060】
[タブレット21の構成例]
図4は、この第1の実施の形態の電磁誘導方式タブレット21の構成例を説明するためのブロック図である。なお、図4では、タブレット21と電磁誘導結合する電子ペン23の電子回路構成例及びペーパークリップ22の電子回路構成例を、併せて示した。
【0061】
すなわち、電子ペン23は、電子回路構成として、コイル235と、コンデンサ236と、筆圧検出部234で構成される可変容量コンデンサCvとが並列に接続されることにより構成された共振回路237を備える。
【0062】
また、図2(C)にも示したように、ペーパークリップ22は、載置状態指示信号送信部として、左コイル225Lとコンデンサ226Lとで構成される左共振回路227Lと、右コイル225Rとコンデンサ226Rとで構成される右共振回路227Rとを備える。
【0063】
タブレット21は、位置検出センサ201と、位置検出回路202と、無線通信部203とを備えて構成されている。位置検出センサ201は、X軸方向ループコイル群201Xと、Y軸方向ループコイル群201Yとが積層されて構成されたものである。
【0064】
なお、位置検出センサ201の電極を構成するX軸ループコイル群201Xの各ループコイルX1〜Xnと、Y軸ループコイル群201Yの各ループコイルY1〜Ymのそれぞれは、1ターンの場合もあれば、2ターン以上の複数ターンの場合もある。また、各ループコイル群201X、201Yのループコイルの数n,mも位置検出センサ201のサイズに応じて適宜のものとすることができる。
【0065】
位置検出回路202は、発振器204と、電流ドライバ205と、選択回路206と、切り替え接続回路207と、受信アンプ208と、位置検出用回路209と、筆圧検出用回路210と、制御部211とからなる。制御部211は、マイクロプロセッサにより構成されている。制御部211は、選択回路206におけるループコイルの選択、切り替え接続回路207の切り替えを制御すると共に、位置検出用回路209及び筆圧検出用回路210での処理タイミングを制御する。
【0066】
そして、位置検出センサ201のX軸方向ループコイル群201X及びY軸方向ループコイル群201Yが選択回路206に接続されている。選択回路206は、2つのループコイル群201X,201Yのうちの一のループコイルを順次選択する。発振器204は、周波数f0の交流信号を発生する。発振器204は、発生した交流信号を、電流ドライバ205と筆圧検出用回路210に供給する。電流ドライバ205は、発振器204から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路207へ送出する。
【0067】
切り替え接続回路207は、制御部211からの制御により、選択回路206によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ205が、受信側端子Rには受信アンプ208が、それぞれ接続されている。そして、位置検出センサ201から信号を送信する場合には、切り替え接続回路207は端子T側に切り替えられ、逆に、位置検出センサ201が外部からの信号を受信する場合には、切り替え接続回路207は端子R側に切り替えられる。
【0068】
そして、切り替え接続回路207が、端子T側に切り替えられている場合には、選択回路206により選択されたループコイルに、電流ドライバ205からの電流が供給される。これにより、当該ループコイルにおいて磁界が発生し、これに対向する電子ペン23の共振回路237やペーパークリップ22が備える共振回路227L,227Rに作用させるための信号(電波)を送信するようにできる。
【0069】
一方、切り替え接続回路207が、端子R側に切り替えられている場合には、選択回路206により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路206及び切り替え接続回路207を介して受信アンプ208に送られる。受信アンプ208は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、位置検出用回路209及び筆圧検出用回路210へ送出する。
【0070】
すなわち、X軸方向ループコイル群201X及びY軸方向ループコイル群201Yの各ループコイルには、電子ペン23の共振回路237やペーパークリップ22が備える共振回路227L,227Rから送信される電波によって誘導電圧が発生する。
【0071】
位置検出用回路209は、電子ペン23の共振回路237の共振周波数の成分、また、ペーパークリップ22の左共振回路227L及び右共振回路227Rのそれぞれの共振周波数の成分のそれぞれについて、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、その検波出力信号をデジタル信号に変換し、制御部211に出力する。
【0072】
制御部211は、位置検出用回路209からの3個の共振周波数成分についてのデジタル信号、すなわち、各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルのそれぞれに基づいて、電子ペン23のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値、また、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225RのX軸方向及びY軸方向の位置の座標値、をそれぞれ算出する。
【0073】
一方、筆圧検出用回路210は、受信アンプ208の出力信号の内の、電子ペン23の共振回路237の共振周波数の成分を発振器204からの交流信号で同期検波して、それらの間の周波数変位(位相差)に応じたレベルの信号を得、その周波数変位(位相差)に応じた信号をデジタル信号に変換して制御部211に出力する。制御部211は、筆圧検出用回路210からのデジタル信号、すなわち、送信した電波と受信した電波との周波数変位(位相差)に応じた信号のレベルに基づいて、電子ペン23に印加されている筆圧を検出する。
【0074】
制御部211には、無線通信部203が接続されている。無線通信部203は、この例では、Bluetooth(登録商標)規格の通信方式で無線通信を行う。そして、制御部211は、検出した電子ペン23の指示位置の座標値、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置の座標値及び筆圧値を、無線通信部203を通じて表示装置10に送信する。
【0075】
[表示装置10の構成例]
前述したように、この実施形態の表示装置10は、表示部11を備えたパーソナルコンピュータの構成とされる。図5に、この実施形態の表示装置10の構成例のブロック図を示す。
【0076】
この実施形態の表示装置10は、図5に示すように、CPU(Central Processing Unit)により構成される制御部101に対して、システムバス100を通じて、表示制御部102、回転機構部ドライバ103、無線通信部104、メモリ部105、表示画像生成部106、回転角算出部107、のそれぞれが接続されて構成されている。
【0077】
表示制御部102には、表示部11が接続されている。表示制御部102は、表示画像生成部106で生成された表示画像を、表示部11の表示画面11Dに表示するようにする。
【0078】
回転機構部ドライバ103は、表示部回転機構部14を駆動する。この場合に、この例では、前述したように、表示部11の表示画面11Dは、表示部回転機構部14の回転軸に取り付けられており、その回転軸が、駆動モータにより回転駆動されるように構成されている。回転機構部ドライバ103は、回転角算出部107で検出された回転角θだけ、回転角算出部107で検出された回転方向に、表示部11の表示画面11Dを回転させるように、表示部回転機構部14の駆動モータを駆動する。
【0079】
無線通信部104は、タブレット21と無線通信するためのもので、この例では、Bluetooth(登録商標)規格の通信方式で無線通信を行う。無線通信部104を通じてタブレット21から受信される電子ペン23の指示位置の座標値、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置の座標値及び筆圧値を含む電子データは、メモリ部105に記憶される。
【0080】
表示画像生成部106は、メモリ部105に記憶された電子データを用いて表示画像を生成する。すなわち、表示画像生成部106は、電子ペン23の指示位置の座標値の時系列データを用いて電子ペン23の筆記跡の表示情報を生成する。その際に、筆圧値のデータを用いて、その筆記跡の表示情報の例えば線の太さや、濃淡の濃さを定める。
【0081】
回転角算出部107は、図6に示すように、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置の座標値のデータから、タブレット21の位置検出センサの横方向を基準方向ARoとした回転角(傾き角)θを検出する。すなわち、回転角算出部107は、例えば図6に示すように、左コイル225Lの位置の座標値を(x1,y2)とし、右コイル225Rの位置の座標値を(x2,y2)としたとき、右コイル225Rの位置を回転中心とした基準方向ARoに対する回転角θを、
θ=tan-1(y2−y1)/(x2−x1)・・・(式1)
として算出する。このとき、回転角算出部107は、回転方向も同時に算出する。この例では、回転角算出部107は、時計回りの回転方向か、反時計回りの回転方向かを算出する。
【0082】
表示画像生成部106は、回転角算出部107で算出された回転角θが、θ≠0のときには、生成した表示画像を、算出された回転角θを用いて逆方向に回転させるようにすることで、表示画像の水平方向を表示画面11Dの水平方向に一致させるようにする。これにより、この第1の実施形態においては、表示画面11Dに表示される表示画像は、入力装置20における入力領域の回転変位に関わらず、当該入力領域が回転変位をしていない状態での表示画像となるように制御される。
【0083】
なお、表示画像生成部106では、生成した表示画像を、算出された回転角θ及び回転方向を用いて逆方向に回転させるようにするのではなく、電子ペン23の指示位置の座標値のデータのそれぞれを、算出された回転角θを用いて逆方向に回転させるように座標値変換を行っておき、その座標変換値を用いて表示画像を生成するようにしてもよい。
【0084】
以上のようにして生成された表示画像は、表示制御部102に送られ、この表示制御部102の表示制御により、表示部11の表示画面11Dに、表示画像の水平方向が表示画面11Dの水平方向に一致する状態で表示される。なお、図示は省略したが、表示装置10は、表示画像を拡大、縮小する機能を備え、使用者の操作により、表示画像のズーム倍率を制御可能である。
【0085】
そして、この実施形態においては、回転角算出部107で算出された回転角θ及び回転方向の情報は、回転機構部ドライバ103に送られる。回転機構部ドライバ103は、受け取った回転角θだけ、受け取った回転方向に、表示画面11Dを回転させるように、表示部回転機構部14のモータを駆動させる。
【0086】
第1の実施形態の入力システムは、以上のように構成されているので、例えば図1(A)の下部に示すように、タブレット21の位置検出センサの位置検出領域内において、ペーパークリップ22の長手方向を、タブレット21の位置検出領域の水平方向に一致させるようにした状態で、使用者が電子ペン23により、用紙24上で筆記入力をしたときには、図1(A)の上部に示すように、表示装置10の表示部11の表示画面11Dは回転されない。
【0087】
そして、図1(C)の下部に示すように、タブレット21の位置検出センサの位置検出領域内において、ペーパークリップ22の長手方向を、タブレット21の位置検出領域の水平方向に対して所定の角度を形成するように回転させた状態で、使用者が電子ペン23により、用紙24上で筆記入力をしたときには、図1(C)の上部に示すように、表示装置10の表示部11の表示画面11Dは、ペーパークリップ22の方向に一致するように、ペーパークリップ22の回転方向と同方向に回転される。
【0088】
したがって、電子ペン23を用いて、入力領域を形成する用紙24上に、絵画を描くなどの作業を行おうとする作業者は、用紙24、すなわち、入力領域を、所定の角度だけ回転させて入力作業をしたときに、その入力結果の表示画像を直観的に感得し易くなり、作業者は、入力作業がし易くなると共に、作業効率の向上を期待できる。
【0089】
なお、上述の第1の実施形態では、入力領域の回転角及び回転方向は、表示装置10の回転角算出部107で算出するようにした。しかし、入力装置のタブレット21の制御部211において、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置情報を用いて、上述した式1の演算を行って、回転角θ及び回転方向を算出し、その算出した回転角θ及び回転方向の情報を、タブレット21から表示装置10に送信するようにしてもよい。
【0090】
また、上述の第1の実施形態では、表示画像の生成する際に、表示画像の水平方向と表示画面の水平方向とを一致させるようにする処理は、表示装置の表示画像生成部で行うようにした。しかし、入力装置のタブレット21の制御部211において、電子ペン23による指示位置の座標情報を、検出した回転角θの情報を用いて、入力領域の水平方向が表示画面の水平方向に一致するように予め座標変換を行っておき、その座標変換した指示位置の座標情報を、タブレット21から表示装置10に送信するようにしてもよい。
【0091】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態は、タブレット21を位置検出部として用い、このタブレットの位置検出センサの位置検出領域面に、入力領域を形成する用紙24を挟持したペーパークリップ22で構成される入力受付部を載置して使用するようにした入力システムであった。
【0092】
次に説明する第2の実施形態は、上述の第1の実施形態の入力システムの変形例であり、位置検出部を、タブレットではなく、位置検出センサを組み込んだマット部材で構成する。この第2の実施形態では、位置検出部以外の構成は、第1の実施形態と同様とされる。そのため、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同様の構成部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0093】
図7は、第2の実施形態の入力システムの全体の構成例を説明するための図である。この第2の実施形態の入力システムは、第1の実施形態の入力システムと同様の構成の表示装置10と、位置検出部の例を構成するマット部材21Mを備える入力装置20Aとからなる。
【0094】
表示装置10は、図7(A)及び(B)(図1(A)及び(B)と同じ)に示すように、表示部11を備えるパーソナルコンピュータの構成の構成であり、前述したように、例えば液晶ディスプレイで構成される表示部11の表示画面11Dは、表示部回転機構部14により、表示画面11Dを含む面内で回転軸を中心に回転することが可能なように構成されている。
【0095】
入力装置20Aのマット部材21Mは、図7(A)の下方に示すように、例えば机27の天板27aを覆うように配設されるものである。このマット部材21Mは、この例では、第1の実施形態の入力システムのタブレット21の位置検出センサと同様の電磁誘導方式の位置検出センサ201Mを備えると共に、位置検出回路202M及び無線通信部203Mを備える。位置検出回路202M及び無線通信部203Mは、図4を用いて説明した第1の実施形態の入力システムの位置検出回路202及び無線通信部203と同様の構成を有し、同様の動作を行う。
【0096】
そして、この第2の実施形態の入力システムの入力装置20Aにおいても、第1の実施形態と同様に、保持部材の例としてのペーパークリップ22により入力領域を形成する用紙24が保持されることで入力受付部が構成される。さらに、この第2の実施形態の入力システムの入力装置20Aにおいても、第1の実施形態と同様に、用紙24に筆記跡を形成する筆記跡形成部の例としてのシャープペンシルユニットを備えている電子ペン23を、位置指示器の例として用いる。
【0097】
この第2の実施形態の入力システムにおいては、位置検出部がタブレット21からマット部材21Mに変更されているだけで、上述した第1の実施形態と同様の動作が行われる。すなわち、作業者が、電子ペン23により、用紙24上に筆記入力を行うと、その筆記入力に応じた筆記跡の座標情報からなる筆記跡データが、マット部材21Mの位置検出回路202Mで検出される。そして、ペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置が、マット部材21Mの位置検出回路202Mで検出される。そして、位置検出回路202Mで検出された筆記跡データとペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置データが、無線通信部203Mを通じて表示装置10に送信される。
【0098】
表示装置10では、第1の実施形態と同様に、電子ペン23による筆記跡が表示画面11Dに表示される。そして、表示装置10では、マット部材21Mからのペーパークリップ22の左コイル225L及び右コイル225Rの位置データに基づいて算出されたペーパークリップ22の回転方向及び回転角に基づいて、表示画面11Dがペーパークリップ22と同方向に同じ回転角だけ回転させられる。
【0099】
この第2の実施形態の入力システムにおいては、作業者は、第1の実施形態の場合のようにタブレット21の位置検出領域を意識することなく、机27の天板27aの上のマット部材21M上で、用紙24を保持するペーパークリップ22を任意の回転位置で使用することができ、作業者にとって使い勝手が良いというメリットがある。
【0100】
なお、この第2の実施形態の表示装置10においても、ペーパークリップ22に保持された入力領域に入力された筆記跡の表示情報は、表示画面上において、拡大、縮小が可能であり、また、表示位置も常に画面中央に表示するように移動することが可能に構成されている。
【0101】
[第3の実施形態]
第3の実施形態の入力システムは、上述の第1及び第2の実施形態の入力システムとは入力装置の構成が異なる。すなわち、上述の第1及び第2の実施形態の入力システムでは、入力装置は、位置検出部と、位置検出部とは別体の入力受付部とで構成し、位置検出部の位置検出領域内における入力受付部に形成される入力領域の回転変位を検出するようにした。これに対して、第3の実施形態においては、入力装置は、位置検出部と、当該位置検出部自身を機械的に回動変位可能とする回転載置台とで構成され、入力領域は位置検出部の位置検出領域で構成される。すなわち、この第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態におけるような、位置検出部とは別体の、入力領域を形成する入力受付部は備えない。
【0102】
図8は、この第3の実施形態の入力システムの全体の構成例を説明するための図である。この第3の実施形態の入力システムは、表示装置10Bと、入力装置20Bとからなる。
【0103】
入力装置20Bは、位置検出部を構成すると共に入力領域を備えるタブレット21Bと、このタブレット21Bが載置される回転載置台28とで構成される。この第3の実施形態の入力システムでは、タブレット21B及び回転載置台28のそれぞれが、表示装置10Bと無線通信する機能を備えて構成されている。
【0104】
表示装置10Bは、第1及び第2の実施形態の入力システムと同様に、表示部11の表示画面11Dが表示部回転機構部14により回転軸を中心に回転する構成を備える。表示装置10Bは、タブレット21B及び回転載置台28のそれぞれと無線通信する機能を備える。
【0105】
タブレット21Bは、この例では、上述の第1及び第2の実施形態の入力システムのタブレット21と同様の電磁誘導方式のタブレットの構成とされており、タブレット21の位置検出センサ201、位置検出回路202及び無線通信部203と同様の構成の位置検出センサ201B、位置検出回路202B及び無線通信部203Bを備えている。位置検出センサの位置検出領域が入力領域となる。
【0106】
この例のタブレット21Bの位置検出回路202Bの制御部211(図4参照)は、入力受付部のペーパークリップ22の位置を検出する動作は不要であるので行わなず、電磁誘導方式の電子ペン23Bによる指示位置を検出する機能と、筆圧を検出する機能を備える。
【0107】
なお、この第3の実施形態の入力システムの電子ペン23Bは、上述の第1及び第2の実施形態の電子ペン23のような筆記媒体に筆記跡を残すようにする筆記跡機能部を備える必要はないので、シャープペンシルユニットやボールペンユニットなどを備えない、一般的な電磁誘導方式の電子ペンの構成とされる。
【0108】
そして、位置検出回路202Bで、検出された電子ペン23Bによる指示位置の筆記跡データと、筆圧データとが、無線通信部203Bを通じて表示装置10Bに送信される。
【0109】
入力装置20Bの回転載置台28は、この例では、図8に示すように、タブレット21Bの大きさとほぼ同じ大きさの薄板状の筐体281を備え、その筐体281の上面281aが、タブレット21Bが載置される面とされる。そして、薄板状の筐体281の中心部に、図8に示すように、円柱状の回転支軸部282が設けられており、筐体281は、この回転支軸部282を回転中心として、筐体281の上面281aに対して直交する方向を回転軸方向として自由に回転するように構成されている。
【0110】
したがって、図8に示すように、タブレット21Bが、その位置検出センサの位置検出領域で構成される入力領域の入力面(電子ペン23Bの筆記入力を受け付ける面)とは反対側の裏面が、回転載置台28に載置されると、タブレット21Bは、回転可能の状態となり、作業者が、タブレット21Bを任意に回転させることが容易にできる。
【0111】
なお、この場合に、回転載置台28は、自由に回転するといっても、僅かな力では回転を開始せず、作業者が意図的に所定の力で回転させるようにしたときに回転運動を開始するように構成されている。そして、回転載置台28の回転を停止したときには、再び、僅かな力では回転を開始しない状態に戻るように構成されている。このような回転載置台28は、周知のものであるので、ここでは、その詳細な構成の説明は省略する。
【0112】
なお、回転載置台28の筐体281の回転支軸部282を除く上面281aは、タブレット21Bの裏面との間で所定の摩擦力を発生するように構成されており、これにより、タブレット21Bを回転載置台28に係止されるようにされている。
【0113】
回転載置台28は、この例では、回転支軸部282に対する筐体281の回転角を検出し、その検出した回転角の情報を、表示装置10Aに送信することができるように構成されている。図9は、回転載置台28の電気的構成例を説明するためのブロック図である。
【0114】
回転載置台28の回転支軸部282と、筐体281との間には、回転支軸部282を回転中心とした筐体281の回転角に応じたパルス数のパルスを、電磁的に、あるいは光学的に発生する回転検出エンコーダ284が設けられている。回転検出エンコーダ284は、筐体281の回転方向を検出する機能も備えている。この回転検出エンコーダ284の構成は、周知であるので、ここではその詳細な構成の説明は省略する。
【0115】
この回転検出エンコーダ284の回転方向の情報を含む出力パルスは、回転変位情報生成部285に供給される。回転変位情報生成部285は、回転検出エンコーダ284の出力パルスから回転方向を検出すると共に、そのパルス数を計数し、その計数値から、回転載置台28の筐体281の回転角を検出し、それらを示す回転変位情報を生成する。回転変位情報生成部285で生成された回転載置台28の筐体281の回転方向及び回転角を示す回転変位情報は、無線通信部283を通じて表示装置10Bに送信される。無線通信部283は、この例では、Wi−Fi(登録商標)規格の無線通信機能部で構成される。
【0116】
[表示装置10Bの電気的構成例]
この第3の実施形態の表示装置10Bは、図10に示すような電気的構成を備える。この図10において、第1の実施形態の表示装置10と同様の構成部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0117】
図10に示すように、表示装置10Bは、CPUにより構成される制御部101B対して、システムバス100を通じて、第1の実施形態の表示装置10と同様の表示制御部102、回転機構部ドライバ103、無線通信部104が接続されると共に、メモリ部105B、表示画像生成部106B、回転角算出部107B、無線通信部108Bのそれぞれが接続されて構成されている。無線通信部108Bは、回転載置台28の無線通信部283と無線通信するためのもので、この例では、Wi−Fi(登録商標)規格の無線通信機能部で構成されている。
【0118】
メモリ部105Bは、制御部101Bの制御に基づき、無線通信部104で受信したタブレット21Bからの電子ペン23Bによる筆記跡データ及び筆圧データと、無線通信部108で受信した回転載置台28からの回転変位情報とをバッファリングする。
【0119】
表示画像生成部106Bは、制御部101Bの制御に基づき、メモリ部105Bに記憶されている筆記跡データ及び筆圧データを用いて前述したようにして、電子ペン23Bの筆記跡の表示画像を生成する。この場合に、タブレット21Bでは、入力領域と位置検出領域とが一致しており、第1の実施形態のように入力領域が位置検出部の位置検出領域に対して回転することはないので、表示画像生成部106Bでは、表示画像を第1の実施形態のように逆回転させる処理は行われない。そして、この表示画像生成部106Bで生成された表示画像が、表示制御部102を通じて表示部11の表示画面11Dに表示される。
【0120】
回転角算出部107Bは、制御部101Bの制御に基づき、メモリ部105Bに記憶されている回転変位情報からタブレット21Bの回転方向及び回転角θを算出する。そして、この回転角算出部107Bで算出された回転方向及び回転角θの情報が、回転機構部ドライバ103に供給される。これにより、表示部回転機構部14は、回転機構部ドライバ103により、算出された回転方向に、算出された回転角θだけ、表示画面11Dを回転させるようにする。
【0121】
すなわち、この第3の実施形態の入力システムにおいては、図11の下方に示すように、タブレット21Bを、回転載置台28上において、所定の角度を形成するように回転させた状態で、使用者が電子ペン23Bにより、入力領域であるタブレット21Bの位置検出領域において筆記入力をしたときには、図11の上部に示すように、表示装置10Bの表示部11の表示画面11Dは、タブレット21Bの回転に一致するように回転される。
【0122】
したがって、電子ペン23Bを用いて、入力領域を構成するタブレット21Bの位置検出領域で、絵画を描くなどの作業を行おうとする作業者は、タブレット21Bを、所定の角度だけ回転させて、入力領域を回転させて入力作業をしたときに、その入力結果の表示画像を直観的に感得し易くなり、作業者は、入力作業がし易くなると共に、作業効率の向上を期待できる。
【0123】
なお、上述の第3の実施形態では、回転載置台28で検出した回転変位情報は、表示装置10Bに直接送信するようにした。しかし、タブレット21Bに、回転載置台28の無線通信部283と無線通信する無線通信部を設けて、タブレット21Bから、電子ペン23Bの筆記跡データ及び筆圧データと共に、回転載置台28の回転変位情報をも、表示装置10Bに送信するように構成してもよい。その場合に、回転載置台28とタブレット21Bとを、USBケーブルなどを用いて有線で接続し、回転載置台28からの回転変位情報は、その有線でタブレット21Bに送信するようにしてもよい。
【0124】
[第4の実施形態]
第4の実施形態の入力システムは、第3の実施形態の入力システムの変形例である。第3の実施形態の入力システムでは、入力装置20Bのタブレット21Bの回転に応じて、表示装置10Bの表示部11の表示画面11Dを、表示部回転機構部14により回転させるように構成した。
【0125】
これに対して、第4の実施形態の入力システムでは、図12に示すように、表示部回転機構部14を備えず、表示画面を回転することができない表示装置10Cを用いる。そして、第4の実施形態では、図12に示すように、表示画面を回転する代わりに、表示部11Cの表示画面11CDに表示する表示画像を、タブレット21Bの回転に応じて表示画面11CD内において回転させて表示するようにする。なお、第4の実施形態の入力システムでは、入力装置は、第3の実施形態の入力装置20Bをそのまま用いる。
【0126】
この第4の実施形態の入力システムにおける表示装置10Cの電気的構成例のブロック図を、図13に示す。この図13において、図10に示した第3の実施形態の表示装置10Bと同様の構成部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0127】
図13に示すように、表示装置10Cは、CPUにより構成される制御部101Cに対して、システムバス100を通じて、表示制御部102、無線通信部104、メモリ部105B、表示画像生成部106B、回転角算出部107B、無線通信部108Bのそれぞれが接続されると共に、座標回転部109Cが接続されて、構成されている。
【0128】
この表示装置10Cの座標回転部109Cは、制御部101Cの制御に基づいて、メモリ部105Bに記憶されている筆記跡データの座標値を、回転角算出部107Bで算出された回転方向に、算出された回転角θだけ回転した座標値に変換する。そして、座標回転部109Cは、回転後の変換座標値を、表示画像生成部106Bに供給する。
【0129】
したがって、表示画像生成部106Bは、表示装置10Cの表示部11Cの表示画面11CDの水平方向に対して、回転角算出部107Bで算出された回転方向に、算出された回転角θだけ回転した表示画像を生成する。そして、この表示画像生成部106Bで生成された表示画像が、表示制御部102を通じて表示部11Cの表示画面11CDに、図12に示すように表示される。
【0130】
この第4の実施形態の入力システムにおいては、表示装置10Cは、表示部回転機構部14を備える必要がないので、構成を簡略化することができるという効果が得られる。
【0131】
[第5の実施形態]
第5の実施形態の入力システムは、図14に示すように、表示装置10Dと、入力装置20Dとで構成される。
【0132】
表示装置10Dは、第3の実施形態の表示装置10Bと同様に構成され、表示部11の表示画面11Dを回転機構部4により回転可能に構成されていると共に、2個の無線通信部を備える。
【0133】
入力装置20Dは、第2の実施形態と同様のマット部材21Mと、手書き入力対応のタブレット端末30とで構成される。すなわち、この第5の実施形態の入力システムでは、第2の実施形態における電子ペン23による指示位置の位置検出機能のない入力受付部(用紙24を保持するペーパークリップ22とからなる)に代えて、電子ペン23による指示位置の位置検出機能を備える手書き入力対応のタブレット端末30を用いる。タブレット端末30は、この例では電磁誘導方式の位置検出回路を備える。
【0134】
なお、この第5の実施形態の入力システムにおいても、位置指示器としては、筆記跡形成部の例としてのシャープペンシルユニットを備える電子ペン23を用いる。筆記跡形成部としては、シャープペンシルユニットに限られないことは、第2の実施形態で説明した通りである。
【0135】
[タブレット端末30の構成例]
図15は、この例の手書き入力対応のタブレット端末30のハードウエア構成例を説明するための分解構成図である。図15に示すように、タブレット端末30は、大きく分けると、指示入力面となる載置面31S側を上側として、上から順番に、図15(A)に示す上部カバー(上板)31と、図15(B)に示す、電子ペン23によって指示される位置を検出するための位置検出センサ32と、図15(C)に示すシールドシート33と、図15(D)に示すセンサカバー34とを備える。
【0136】
最下部に位置するセンサカバー34は、合成樹脂や金属などにより形成され、上面は開口部となっている薄い箱型に構成され、このセンサカバー34内にシールドシート33と位置検出センサ32とが収納される。
【0137】
シールドシート33は、位置検出センサ32への不要な信号の混入を防止すると共に、位置検出センサ32から発生する磁束の漏れをなくす役割をする。シールドシート33は、位置検出センサ32の指示入力面を兼用する載置面31S側とは反対側の面の全面を覆うように設けられる。
【0138】
位置検出センサ32は、図4に示した位置検出センサ201と同様の構成を備え、多数のループコイルを備えて構成されている。この第5の実施形態の入力システムでは、この位置検出センサ32は位置検出部の位置検出センサを構成する。
【0139】
上部カバー31は、電子ペン23から送信された信号(電波)を透過させる素材、例えば合成樹脂、ガラスやセラミックなどにより形成される。この上部カバー31の外部に露呈する面側が、位置検出センサ32の指示入力面を兼用する載置面31Sとなる。
【0140】
上部カバー31の載置面30Sの上端部には、図15(A)に示すように、クリップ部材35が設けられ、図15(A)に示すように、用紙40を上部カバー31の載置面31S上に挟持されるようにしている。上部カバー31は、位置検出センサ32を覆って保護すると共に、用紙40が載置される上板として機能するものである。この第5の実施形態の入力システムでは、用紙40が占める領域が、電子ペン23により筆記入力を受け付ける入力領域となる。
【0141】
用紙40は、複数枚が束ねられて所定の厚さを有する状態で、タブレット端末30の上部カバー31のクリップ部材35により挟持される場合もある。電子ペン23は電磁誘導方式であるので、所定の厚さの複数枚の用紙が存在しても、位置検出センサ32との間で、電磁波のやり取りが可能である。
【0142】
そして、図15(C)において、シールドシート33と共に示したように、シールドシート33を挟んで位置検出センサ32と対向する位置に、位置検出回路301と、無線通信部302とが設けられる。位置検出回路301は、位置検出センサ32を通じて電子ペン23による指示位置の座標データ(筆記跡データ)を形成するものである。無線通信部302は、位置検出回路301で生成された座標データ(筆記跡データ)を表示装置10Dに送信するもので、この例では、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能部で構成されている。この無線通信部302に対して送信アンテナATが設けられている。
【0143】
そして、図15(D)に示すように、センサカバー34の底板34aの内部には、載置状態指示信号送信部が設けられる。すなわち、この例では、図5(D)に示すように、センサカバー34の底板34aの、クリップ部材35の下方となる領域において、クリップ部材35の長手方向の左側端部には左コイル36Lが設けられ、右側端部には右コイル36Rが設けられる。
【0144】
そして、センサカバー34の底板34aの内部には、さらに、左コイル36Lにはコンデンサ(図示は省略)が接続されて左共振回路が形成され、また、右コイル36Rにはコンデンサ(図示は省略)が接続されて右共振回路が形成されて設けられている。これら左共振回路及び右共振回路は、第2の実施形態の入力システムにおけるペーパークリップ22の左共振回路227L及び右共振回路227Lと同様にして、タブレット端末30において、マット部材21Mの位置検出センサと電磁誘導結合する載置状態指示信号送信部を構成する。なお、この例では、左共振回路と右共振回路の共振周波数は、互いに異なるように構成されており、マット部材21Mにおいては、いずれの共振回路からの帰還信号であるかを認識することができるように構成されている。
【0145】
したがって、タブレット端末30が、マット部材21M上に載置された場合に、マット部材21Mにおいては、位置検出センサ201Mを通じて位置検出回路202Mで、タブレット端末30の左共振回路及び右共振回路と電磁誘導結合することにより、タブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置を検出できる。そして、この実施形態では、マット部材21Mは、検出したタブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標データを、無線通信部203Mを通じて表示装置10Dに送信する。無線通信部203Mは、この例では、Wi−Fi(登録商標)規格の無線通信機能部で構成されている。
【0146】
表示装置10Dでは、このタブレット端末30から受信した筆記跡データに基づいて、表示部11の表示画面11Dに、電子ペン23による位置指示入力に応じた筆記跡の画像情報を表示すると共に、マット部材21Mから受信したタブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標データを用いて、表示画面11Dの回転角を制御するようにする。
【0147】
[表示装置10Dの電気的構成例]
この第5の実施形態の表示装置10Dは、図16に示すような電気的構成を備える。この図16において、第1の実施形態の表示装置10と同様の構成部分には、同一参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0148】
図16に示すように、表示装置10Dは、CPUにより構成される制御部101D対して、システムバス100を通じて、第1の実施形態の表示装置10と同様の表示制御部102、回転機構部ドライバ103が接続されると共に、無線通信部104D、メモリ部105D、表示画像生成部106D、回転角算出部107D、無線通信部108Dのそれぞれが接続されて構成されている。
【0149】
無線通信部104Dは、タブレット端末30の無線通信部302と無線通信するためのもので、この例では、Bluetooth(登録商標)規格の近距離無線通信機能部で構成されている。また、無線通信部108Dは、マット部材21Mの無線通信部203Mと無線通信するためのもので、この例では、Wi−Fi(登録商標)規格の無線通信機能部で構成されている。
【0150】
メモリ部105Dは、制御部101Dの制御に基づき、無線通信部104Dで受信したタブレット端末30からの電子ペン23による筆記跡データ及び筆圧データと、無線通信部108Dで受信したマット部材21Mからのタブレット端末30の左コイル225L及び右コイル225Rの位置座標データとをバッファリングする。
【0151】
表示画像生成部106Dは、制御部101Dの制御に基づき、メモリ部105Dに記憶されている筆記跡データ及び筆圧データを用いて前述したようにして、電子ペン23の筆記跡の表示画像を生成する。この場合に、タブレット端末30では、入力領域と位置検出センサ32の位置検出領域とが一致しており、表示画像生成部106Dでは、表示画像を第1の実施形態のように回転させて水平方向を一致させる処理は行われない。そして、この表示画像生成部106Dで生成された表示画像が、表示制御部102を通じて表示部11の表示画面11Dに表示される。
【0152】
回転角算出部107Dは、制御部101Dの制御に基づき、メモリ部105Dに記憶されているタブレット端末30の左コイル225L及び右コイル225Rの位置座標データから、第1の実施形態で説明したようにして、タブレット端末30の回転方向及び回転角θを算出する。そして、この回転角算出部107Dで算出された回転方向及び回転角θの情報が、回転機構部ドライバ103に供給される。これにより、表示部回転機構部14は、回転機構部ドライバ103により、算出された回転方向に、算出された回転角θだけ、表示画面11Dを回転させるようにする。
【0153】
すなわち、この第5の実施形態の入力システムにおいては、図14の下方に示すように、タブレット端末30を、マット部材21M上において、所定の角度を形成するように回転させた状態で、使用者が電子ペン23により、入力領域であるタブレット端末30のクリップ部材35で保持された用紙40の領域において筆記入力をしたときには、図14の上部の点線で示すように、表示装置10Dの表示部11の表示画面11Dは、タブレット端末30のマット部材21M上における回転状態に一致するように回転される。
【0154】
したがって、この第5の実施形態の入力システムにおいても、絵画を描くなどの作業を行おうとする作業者は、タブレット端末30を、所定の角度だけ回転させて、マット部材21M上で回転させて入力作業をしたときに、その入力結果の表示画像を直観的に感得し易くなり、作業者は、入力作業がし易くなると共に、作業効率の向上を期待できる。
【0155】
また、この第5の実施形態の入力システムによれば、入力装置20Dに用いるマット部材21Mは、電子ペン23による指示位置を検出する必要はないので、ループコイルの配列ピッチは、タブレット端末30の位置を検出することができればよい程度の粗いピッチとすることができ、コストの低減に役立つ。
【0156】
なお、上述の第5の実施形態では、タブレット端末30のマット部材21M上での回転角θは、表示装置10Dで検出するようにしたが、マット部材21Mにおいて算出して、表示装置10Dに送信するように構成してもよい。
【0157】
また、上述の第5の実施形態では、マット部材21M上で検出したタブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標データは、マット部材21Mから表示装置10Dに送信するようにした。しかし、タブレット端末30にマット部材21Mの無線通信部203Mと無線通信する無線通信部を設けて、タブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標データをマット部材21Mからタブレット端末30が受けると共に、タブレット端末30から、電子ペン23の筆記跡データ及び筆圧データと共に、タブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標データを、表示装置10Dに送信するように構成してもよい。その場合に、マット部材21Mとタブレット端末30とを、USBケーブルなどを用いて有線で接続し、マット部材21Mからのタブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標データを、その有線でタブレット端末30に送信するようにしてもよい。
【0158】
また、第5の実施形態では、手書き入力対応のタブレット端末30を入力装置の位置検出部に用いたが、手書き入力対応ではない通常構成のタブレットであっても、タブレットの筐体の底面に、載置状態指示信号送信部としての左コイル及び右コイルを設けることで用いることができる。その場合の動作は、上述と同様であるが、用紙に手書き入力する必要がないので、電子ペンは、筆記跡形成部を備えない一般的なタイプのものを用いることができる。
【0159】
また、上述の第5の実施形態において、マット部材21Mに代えて、タブレット端末30よりも大きい位置検出領域を備えるタブレットを用い、そのタブレットで、タブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置座標を検出することができるように構成してもよい。
【0160】
[第6の実施形態]
この第6の実施形態の入力システムは、図示は省略するが、第5の実施形態の入力システムにおいて、表示装置10Dに代えて、第4の実施形態の表示装置10Cと同様の構成の表示装置を用いるようにする。その他の構成は、第5の実施形態と同様にする。
【0161】
この第6の実施形態の入力システムの表示装置では、第5の実施形態のように、表示装置の表示部の表示画面を回転する代わりに、第4の実施形態で説明したようにして、表示装置の表示部の表示画面に表示する表示画像を、図12に示したように、タブレット端末30のマット部材21M上での回転方向および回転角θに応じて、回転させて表示するように制御する。
【0162】
この第6の実施形態の入力システムにおいても、上述の第1〜第5の実施形態の入力システムと同様の効果が得られる。
【0163】
図17は、この第6の実施形態の入力システムの応用例を示すもので、この例は、学習システムに応用した例である。この図17の応用例の入力システムにおいては、複数人例えば6人の生徒のそれぞれに対して、上述した第5の実施形態の入力システムにおける入力装置20Dを設けると共に、教師用として表示装置50を設ける。
【0164】
図17の例では、6人の生徒のそれぞれの机27の天板の上にマット部材21Mを配設しておくと共に、各生徒用のタブレット端末30を、それぞれのマット部材21M上に載置して、各生徒が電子ペン23を用いて筆記入力することができるようにして、
各生徒に入力装置20Dを設ける。この例では、タブレット端末21Mのそれぞれ及びマット部材21Mのそれぞれは、各生徒に対応付けられた識別情報を、筆記跡データ及び筆圧データと共に、また、タブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置情報と共に表示装置50に送信する。
【0165】
表示装置50は、この例では、図17において点線で示すように表示画面51Dを生徒数に応じて分割して、各分割表示領域に、各生徒の入力装置20Dにおける電子ペン23による筆記跡を含む画像を表示するようにする。各分割表示領域に表示する筆記跡を含む画像としては、この例では、タブレット端末の入力領域に対応する枠画像FLと、当該枠画像FL内に表示される各生徒が電子ペン23を用いて筆記入力をした筆記跡の画像Pxとからなる。
【0166】
この場合に、表示装置50の表示画面41Dの各分割表示領域のそれぞれは、各生徒に対応付けられた識別情報に基づいて、それぞれの生徒に対応付けられている。すなわち、例えば、生徒「○○太郎」に割り当てられた入力装置20Dのタブレット端末30及びマット部材21Mからの情報に基づく画像は、図17の例では、表示画面51Dの左上の分割表示領域に表示されるように構成されている。なお、図17の例では、表示画面51Dの分割表示領域のそれぞれには、表示装置50の記憶部に、識別情報のそれぞれに対応付けられて記憶されている生徒名が読み出されて表示されている。
【0167】
そして、表示装置50は、各生徒の入力装置20Dから送信されている情報に基づいて、各分割表示領域に表示する枠画像FL及び筆記跡の画像Pxを生成して、各分割表示領域に表示するようにする。この場合に、筆記跡の画像Pxは、枠画像FLの枠領域内に表示されるようにされる。
【0168】
すなわち、表示装置50は、生徒の入力装置20Dからの情報を受信すると、当該情報に含まれる識別情報を検出して、対応する分割表示領域が表示画面51Dのいずれの分割表示領域であるかを認識する。そして、受信した情報のうち、マット部材21Mからのタブレット端末30の左コイル36L及び右コイル36Rの位置情報に基づいて、タブレット端末30のマット部材21M上での回転方向及び回転角を、前述の実施形態で説明したようにして算出する。
【0169】
次に、表示装置50は、受信した情報のうち、タブレット端末30から受信した筆記跡データ及び筆圧データを用いて、前述の実施形態と同様にして、筆記跡の画像Pxを生成する。そして、表示装置50は、タブレット端末の入力領域に対応する枠画像FLの枠領域内に筆記跡の画像Pxを表示する画像を、算出したタブレット端末30のマット部材21M上での回転方向及び回転角に合わせて回転させた画像を生成し、その生成した画像を、表示画面51Dの、認識した分割表示領域に表示する。
【0170】
したがって、教師用である表示装置50の表示画面51Dには、図17に示すように、机27上のマット部材21Mにおける各生徒のタブレット端末30の回転方向及び回転角に応じた画像が、分割表示領域のそれぞれにおいて表示される。したがって、教師は、各生徒がタブレット端末30をマット部材21M上でどのような載置姿勢の状態で筆記作業を行っているかを認識することができる。これにより、教師は、生徒の姿勢を類推することができ、生徒の姿勢の癖や、学習の集中度などを認識することに役立てることができる。
【0171】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態の例では、位置検出部及び位置指示器の例としての電子ペンは、電磁誘導方式のものを用いたが、電磁誘導方式のものに限られるわけではなく、例えば静電容量方式(アクティブ静電容量方式を含む)の位置検出部及び電子ペンを用いることもできる。特に、第3の実施形態及び第4の実施形態における入力装置が回転載置台に載置されるタブレットの構成の場合には、電磁誘導方式のタブレットと電子ペンのみならず、アクティブ静電容量方式のタブレット及び電子ペンを用いることができる。第5の実施形態及び第6の実施形態において、マット部材21M上にタブレットを載置する構成、あるいはタブレット上にタブレットを載置する構成の場合も同様に、静電容量方式(アクティブ静電容量方式を含む)のタブレット及び電子ペンを用いることができる。
【0172】
また、位置指示器は、電子ペンに限られず、種々の形態のものであってもよい。そして、位置検出部が静電容量方式の場合には、作業者の指も位置指示器を構成することができるものである。
【0173】
また、上述の実施形態では、表示装置と入力装置とは無線で接続するようにしたが、接続線により有線接続するようにしてもよい。
【0174】
また、第1の実施形態、第2の実施形態、第5の実施形態及び第6の実施形態では、ペーパークリップ22の位置やタブレット端末30の位置を検出するために、電磁誘導方式の位置検出センサと、コイル及びコンデンサからなる共振回路とを用いる構成としたが、この例に限られるものではなく、ペーパークリップ22の位置やタブレット端末30の位置を検出することができるものであれば、どのような構成のものであってもよい。
【0175】
また、上述の実施形態の入力システムでは、入力装置の入力領域の回転方向及び回転角に応じた表示画像の回転を、常に行うように構成したが、入力装置あるいは表示装置に、表示画像の回転を実行するか否かを切替指示する切替操作部(表示アイコンを含む)を設け、その切替操作部により表示画像の回転を実行する指示状態に切り替えられているときにのみ、入力領域の回転変位に応じた表示画像の回転制御を実行するようにしてもよい。
【0176】
また、表示装置の表示部の表示画面は、表示部回転機構部14により回転させるようにするのではなく、手動で表示画面を回転させることができるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0177】
10,10B,10C,10D…表示装置、11,11C…表示部、11D,11CD…表示画面、14…表示部回転機構部、20,20A,20B,20D…入力装置、21,21B…タブレット、21M…マット部材、22…ペーパークリップ、23,23B…電子ペン、24,40…用紙、28…回転載置台、30…手書き入力対応のタブレット、35…クリップ、32,201,201M…位置検出センサ、202,202M,301…位置検出回路、203,203M,302…無線通信部
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