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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-196888(P2021-196888A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】鑑定証明システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/00 20120101AFI20211129BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20211129BHJP
【FI】
   G06Q30/00 340
   G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-103179(P2020-103179)
(22)【出願日】2020年6月15日
(11)【特許番号】特許第6894033号(P6894033)
(45)【特許公報発行日】2021年6月23日
(71)【出願人】
【識別番号】520214477
【氏名又は名称】クリプトモール オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 絵美
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB21
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品の新製品または中古品を購入したユーザーが信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる鑑定証明システムを提供する。
【解決手段】バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品とギャランティカードとを紐付けすること、および製品情報および取引情報を専用プラットフォームのブロックチェーンデータに書き込むことにより、要鑑定製品の新製品または中古品を購入したユーザーが信頼性の高い鑑定証明を簡単に行えるようにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の鑑定証明が必要とされる製品の鑑定証明システムであって、
秘密鍵α、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(a)が貼着または組み込まれた前記製品、および秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)が貼着または組み込まれたギャランティカードを用いて鑑定証明が行われ、
前記製品の製品情報、前記製品がユーザーへ渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーンデータとして記録する専用プラットフォームと、
前記製品情報および前記取引情報を、製造メーカー・製造者および流通業者が、前記ブロックチェーンデータに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、
前記ユーザーが前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を備え、
前記製造メーカー・製造者および前記流通業者が、前記アプリケーション[A]を用いて、前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータに書き込み、
前記ユーザーが、前記製品に付与された前記秘密鍵α、および前記ギャランティカードに付与された前記秘密鍵βを使用し、前記アプリケーション[B]を用いて、前記製品の前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むことにより、前記製品の鑑定証明を行うことを特徴とする、鑑定証明システム。
【請求項2】
前記ブロックチェーンデータに前記製品情報および前記取引情報を書き込む権限が、これらの情報に関わる前記製造メーカー・製造者または前記流通業者に限定して与えられることを特徴とする、請求項1に記載の鑑定証明システム。
【請求項3】
前記専用プラットフォームとして、P2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用することを特徴とする、請求項1または2に記載の鑑定証明システム。
【請求項4】
前記アプリケーション[A]および前記アプリケーション[B]は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の端末にダウンロードされ作動するものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【請求項5】
前記製品情報は、前記製品の商品名、品番、製造メーカー・製造者、製造場所、製造年月日等の製品に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【請求項6】
前記製品には、前記小型記録媒体(a)と共に、秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)〜秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体が貼着または組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【請求項7】
前記小型記録媒体(a)〜(a)および前記小型記録媒体(b)の少なくとも1つには、GPS機能が備えられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の鑑定証明が必要とされる製品(以下、「要鑑定製品」ともいう。)の鑑定証明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品は、通常、製造メーカーや製造者(著作者)によって製造された後、物流業者、卸売り業者、小売業者等の流通業者を通じてユーザーに販売されるといった複雑な流通経路を辿り、鑑定証明、すなわち、製品が模造品でなく真正品であることの証明がユーザーに求められている。また、近年では、インターネットを通じて上記製品がユーザーに販売されることも多くなってきたため、これらの製品の鑑定証明の必要性が増大している。
【0003】
要鑑定製品には、通常、真正品であることを証明・保証するための証明書(以下、「ギャランティカード」ともいう。)が発行される。ギャランティカードには、製品の商品名、品番、製造メーカー・製造者、製造場所、製造年月日等の製品に関する情報(以下、「製品情報」ともいう。)が記載される。しかしながら、近年は、インターネット等を通じてギャランティカードのみを入手することも可能となってきたことから、ギャランティカードによる鑑定証明は十分信頼性のあるものではない。
【0004】
特許文献1には、プラスチック製カード等の媒体に情報を格納したICチップを取り付けたものを証明書として用い、証明書の表面に印刷された情報とICチップのメモリから読み出した情報とを照合することによって証明書の正当性判定を行う手法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示された手法を要鑑定製品に適用すると、偽造が難しくなることからギャランティカード自体の正当性は確認できるとしても、このギャランティカードと製品とを紐付けるものは、製品に刻印された品番だけであることから、鑑定証明は十分には行えない。
【0005】
また、特許文献2には、製品にICチップを取り付け、ICチップに記録した製品情報を、スマートフォン、携帯電話等により読み出し可能にする手法が開示されている。しかしながら、特許文献2の手法を要鑑定製品に適用すると、上記の製品情報の読み出しに際し、パスワードを設定しない場合には、要鑑定製品の流通業者、ユーザー以外の第三者も製品情報を知ることが可能となり、要鑑定製品が真正品であるか否か、要鑑定製品等の製造年月日が新しいか否か等のユーザーが知られたくない製品情報を第三者が取得可能となる。一方、パスワードを設定した場合には、要鑑定製品が複雑な流通経路を辿るうちにパスワードが不明となり、必要な場合に鑑定証明が行えなくなる可能性が高くなる。
【0006】
また、特許文献3は、製品にシリアルコードを付与し、これをシリアルコードリーダーで読み取り、製品データベースに照会することにより、製品の鑑定証明を行う手法が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示された手法を要鑑定製品に適用した場合には、特許文献2に開示された手法と同様の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−357377号公報
【特許文献2】国際公開第2014/207890号
【特許文献3】特開2020−35197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品の新製品または中古品を購入したユーザーのみが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる鑑定証明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本件出願人等は、バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の要鑑定製品は、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりするものの、通常、要鑑定製品とギャランティカードは共に流通・販売されることに着目し、要鑑定製品とギャランティカードとを紐付けし、両者によって、ユーザーのみが信頼性の高い鑑定証明を簡単に行える方法について鋭意検討し、本発明を成したものである。
【0010】
さらに、本発明では、製造メーカー・製造者および流通業者が、製品情報および取引情報を、専用プラットフォームのブロックチェーンデータに書き込むことにより、製品情報および取引情報が改竄されることを完全に防止し、鑑定証明の信頼性を更に高めている。
【0011】
本発明の要旨を以下に示す。
(1)バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の鑑定証明が必要とされる製品の鑑定証明システムであって、
秘密鍵α、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(a)が貼着または組み込まれた前記製品、および秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)が貼着または組み込まれたギャランティカードを用いて鑑定証明が行われ、
前記製品の製品情報、前記製品がユーザーへ渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーンデータとして記録する専用プラットフォームと、
前記製品情報および前記取引情報を、製造メーカー・製造者および流通業者が、前記ブロックチェーンデータに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、
前記ユーザーが前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を備え、
前記製造メーカー・製造者および前記流通業者が、前記アプリケーション[A]を用いて、前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータに書き込み、
前記ユーザーが、前記製品に付与された前記秘密鍵α、および前記ギャランティカードに付与された前記秘密鍵βを使用し、前記アプリケーション[B]を用いて、前記製品の前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むことにより、前記製品の鑑定証明を行うことを特徴とする、鑑定証明システム。
(2)前記ブロックチェーンデータに前記製品情報および前記取引情報を書き込む権限が、これらの情報に関わる前記製造メーカー・製造者または前記流通業者に限定して与えられることを特徴とする、(1)に記載の鑑定証明システム。
(3)前記専用プラットフォームとして、P2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用することを特徴とする、(1)または(2)に記載の鑑定証明システム。
(4)前記アプリケーション[A]および前記アプリケーション[B]は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の端末にダウンロードされ作動するものであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
(5)前記製品情報は、前記製品の商品名、品番、製造メーカー・製造者、製造場所、製造年月日等の製品に関する情報を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
(6)前記製品には、前記小型記録媒体(a)と共に、秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)〜秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体が貼着または組み込まれていることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
(7)前記小型記録媒体(a)〜(a)および前記小型記録媒体(b)の少なくとも1つには、GPS機能が備えられていることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【発明の効果】
【0012】
本発明の鑑定証明システムは、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品の新製品または中古品を購入したユーザーのみが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0013】
さらに、本発明の鑑定証明システムは、製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)が、要鑑定製品の製品情報および取引情報を、専用プラットフォームのブロックチェーンデータに順次書き込んでいくことにより、製品情報および取引情報を相互補完しながら正確に記録することができ、さらに、製品情報および取引情報が改竄されることを完全に防止できるため、鑑定証明の信頼性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】要鑑定製品およびこれと共に販売され、流通するギャランティカードを示す模式図である。
図2】本発明の鑑定証明システムの一実施形態を示す概略図である。
図3】本発明の鑑定証明システムにおいて、専用プラットフォームに記録される、製品情報、取引情報の各情報を記録したブロックチェーンデータの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の鑑定証明システムについて、図面を用いながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の鑑定証明システムで取り扱われる、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品1、およびこれと共に販売され、流通するギャランティカード2を示す模式図である。 要鑑定製品1には、秘密鍵α、製品情報(商品名、品番、製造メーカー・製造者、製造場所、製造年月日等)を含む情報を記録した小型記録媒体(a)1aが貼着または組み込まれており、また、ギャランティカード2には、秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)2aが貼着または組み込まれている。小型記録媒体(a)1a、小型記録媒体(b)2aとしては、要鑑定製品1およびギャランティカード2の形状、構造、大きさ等に応じて、マイクロチップ、QRコード(登録商標)、電子透かし等の小型記録媒体を適宜用いることができる。
【0017】
要鑑定製品1の小型記録媒体(a)1a、およびギャランティカード2の小型記録媒体(b)2aの製品情報は、後に詳しく説明するように、要鑑定製品1の出荷時に、製造メーカー・製造者により入力される。
【0018】
図2は、本発明の鑑定証明システムの一実施形態を示す概略図である。
【0019】
この実施形態では鑑定証明システムは、
a)要鑑定製品1の製品情報、要鑑定製品1がユーザーに渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーン8aのブロックチェーンデータ8bとして記録する専用プラットフォーム8、
b)専用プラットフォーム8に、インターネット環境7を介して、アプリケーション[A]9により接続される端末[A]5、および
c)専用プラットフォーム8に、インターネット環境7を介して、アプリケーション[B]10により接続される端末[B]6
により構成されている。
【0020】
製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)3は、製品情報および取引情報を、アプリケーション[A]9を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。この実施形態では、製造メーカー・製造者および流通業者3が製品情報および取引情報を効率的に書き込めるように、端末[A]5を、リーダー5−2を備えるパーソナルコンピュータ5−1としているが、スマートフォン等の他の端末も適宜用いることができる。
【0021】
また、ユーザー4は、アプリケーション[B]10を用いて、要鑑定製品1に付与された秘密鍵α、およびギャランティカード2に付与された秘密鍵βを使用して、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品1の製品情報および取引情報を読み込むことができ、これによりユーザーは信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。この実施形態では、ユーザー4がブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品1の製品情報および取引情報を簡単に読み込めるように、端末[B]6を、スマートフォン6−1としているが、パーソナルコンピュータ等の他の端末も適宜用いることができる。
【0022】
アプリケーション[A]9は端末[A]5にダウンロードされ作動するものであって、これを用いて、製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)3は、製品情報および取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むことができ、また、アプリケーション[B]10は端末[B]6にダウンロードされ作動するものであって、ユーザー4は、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品1の製品情報および取引情報を読み込むことができる。
【0023】
要鑑定製品1の小型記録媒体(a)1aに記録された秘密鍵α、製品情報を含む情報、および、ギャランティカード2の小型記録媒体(b)2aに記録された秘密鍵β、製品情報を含む情報の読み取りは、図2に示すように、パーソナルコンピュータ5−1のリーダー5−2や、スマートフォン6−1を接触させて行うこともできるし、NFC(NearField Communication)、RFID(Radio Frequency IDenticifier)等の近距離無線通信により非接触で行うこともできる。
【0024】
ブロックチェーン8aとしては、分散型台帳等のP2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用できる。
【0025】
図3は、本発明の鑑定証明システムにおいて、製造メーカー・製造者により製造された要鑑定製品1について、専用プラットフォーム8に記録される、製品情報、取引情報の各情報を記録したブロックチェーンデータ8bの概念図である。
【0026】
図3を用いて、製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)3が、製品情報および取引情報を、端末[A]5を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む状況について、説明する。
【0027】
要鑑定製品1(図3では要鑑定製品1として、製造メーカーにより製造されるバッグを例示)は製造メーカーで製造された後、ギャランティカード2をセットして出荷されるが、出荷の際には、まず、<製造メーカーの製造担当者>は、アプリケーション[A]9を用いて、次のような製品情報、5W1H情報(誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように)を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
商品名 :バッグ
品番 :XXYYZZ0011
製造メーカー:××
製造場所 :イタリア
製造年月日 :2020年1月1日
【0028】
次に、<製造メーカーの製造責任者>は、アプリケーション[A]9を用いて、<製造メーカーの製造担当者>が記録した製品情報の検品結果、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0029】
要鑑定製品1が製造メーカーから出荷された後、<物流業者>は、アプリケーション[A]9を用いて、製造メーカーから製品を受け取った日時、卸売り業者に納品した日時、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0030】
要鑑定製品1が製造メーカーから入荷された後、<卸売り業者>は、アプリケーション[A]9を用いて、物流業者から製品を納品された日時、物流業者に小売業者へ搬送させた日時、5W1H情報を含む情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込む。
【0031】
このようにして、製造メーカーおよび流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)3の製品情報および取引情報が、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに順次書き込まれていく。
【0032】
図3では、要鑑定製品1として、製造メーカーにより比較的大量に製造されるバッグを例に説明したが、製造者(著作者)により比較的少量で製造される美術工芸品についても、同様に、専用プラットフォーム8に、製品情報、取引情報の各情報を、ブロックチェーンデータ8bとして記録することができる。
【0033】
ブロックチェーンデータ8bに製品情報および取引情報を書き込む権限は、これらの情報に関わる製造メーカー・製造者および流通業者それぞれに限定して与えられる。例えば、製造メーカー・製造者には製品情報を書き込む権限しか与えられない。
【0034】
このように、製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)3が、要鑑定製品1の製品情報および取引情報を順次書き込んでいくことから、要鑑定製品1が複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりしても、要鑑定製品1の製品情報および取引情報が正確に記録できる。
【0035】
さらに、製品情報および取引情報を、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込むことにより、製品情報および取引情報が改竄されることを完全に防止することができる。すなわち、ブロックチェーンデータ8b内の各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンク(ハッシュ値)が含まれており、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。
【0036】
要鑑定製品1の新製品または中古品を購入したユーザー4は、端末[B]6を用いて、要鑑定製品1に付与された秘密鍵α、およびギャランティカード2に付与された秘密鍵βを使用し、アプリケーション[B]10を用いて、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品1の製品情報および取引情報を読み込むことができる。これにより、要鑑定製品1およびギャランティカード2を所有する真のユーザーだけが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0037】
以上に説明したように、本発明の鑑定証明システムは、複雑な流通経路を辿って流通したり、インターネットを通じて販売されたりする要鑑定製品の新製品または中古品を購入したユーザーが、信頼性の高い鑑定証明を簡単に行うことができる。
【0038】
さらに、本発明の鑑定証明システムは、製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)が、要鑑定製品の製品情報および取引情報を、専用プラットフォームのブロックチェーンデータに順次書き込んでいくことにより、製品情報および取引情報を正確に記録でき、また、製品情報および取引情報が改竄されることを完全に防止することができるため、鑑定証明の信頼性を更に高めることができる。
【0039】
さらに、本発明の鑑定証明システムは、要鑑定製品1に付与された秘密鍵α、およびギャランティカード2に付与された秘密鍵βを使用して、専用プラットフォーム8のブロックチェーンデータ8bに書き込まれた、要鑑定製品1の製品情報および取引情報を読み込むことにより、要鑑定製品1およびギャランティカード2を所有する真のユーザー4だけが、鑑定証明を行うことができる。
【0040】
本発明の鑑定証明システムでは、好適には、要鑑定製品1に、小型記録媒体(a)と共に、秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)〜秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体を貼着または組み込むことができる。これにより、秘密鍵α、秘密鍵βだけでなく、秘密鍵α〜αの全ての秘密鍵が揃ってはじめて鑑定証明が成立するマルチシグが採用でき、鑑定精度をより確実なものとすることができる。さらに、n個の小型記録媒体(a)〜(a)を要鑑定製品1の各パーツに貼着または組み込むことにより、パーツの一部が模造品と交換されている場合でもこれを検知することができる。例えば、要鑑定製品1が自動車の場合、車体および各タイヤそれぞれに小型記録媒体を貼着または組み込むことにより、全てが真正品でなければ鑑定証明が成立しなくなる。
【0041】
また、本発明の鑑定証明システムでは、好適には、小型記録媒体(a)〜(a)および前記小型記録媒体(b)の少なくとも1つに、GPS機能を備えることができる。これにより、要鑑定製品1の各パーツや、ギャランティカードを紛失したり、これらが盗難にあった場合でも、容易にその所在を検知することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 要鑑定製品
1a (秘密鍵α、製品情報を含む情報を記録した)小型記録媒体(a
2 (要鑑定製品と共に流通・販売される)ギャランティカード
2a (秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した)小型記録媒体(b)
3 製造メーカー・製造者および流通業者(物流業者、卸売り業者、小売業者等)
4 ユーザー
5 端末[A]
5−1 パーソナルコンピュータ
5−2 リーダー
6 端末[B]
6−1 スマートフォン
7 インターネット環境
8 専用プラットフォーム
8a ブロックチェーン
8b ブロックチェーンデータ
9 アプリケーション[A]
10 アプリケーション[B]
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021年5月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の鑑定証明が必要とされる製品の鑑定証明システムであって、
秘密鍵α、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(a)が貼着または組み込まれた前記製品、および秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)が貼着または組み込まれたギャランティカードを用いて鑑定証明が行われ、
前記製品の製品情報、前記製品がユーザーへ渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーンデータとして記録する専用プラットフォームと、
前記製品情報および前記取引情報を、製造メーカー・製造者および流通業者が、前記ブロックチェーンデータに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、
前記ユーザーが前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を備え、
前記製造メーカー・製造者および前記流通業者が、前記アプリケーション[A]を用いて、前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータに書き込み、
前記ユーザーが、前記製品に付与された前記秘密鍵α、および前記ギャランティカードに付与された前記秘密鍵βを使用し、前記アプリケーション[B]を用いて、前記製品の前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むことにより、前記製品の鑑定証明を行うことを特徴とする、鑑定証明システム。
【請求項2】
前記ブロックチェーンデータに前記製品情報および前記取引情報を書き込む権限が、これらの情報に関わる前記製造メーカー・製造者または前記流通業者に限定して与えられることを特徴とする、請求項1に記載の鑑定証明システム。
【請求項3】
前記専用プラットフォームとして、P2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用することを特徴とする、請求項1または2に記載の鑑定証明システム。
【請求項4】
前記アプリケーション[A]および前記アプリケーション[B]は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の端末にダウンロードされ作動するものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【請求項5】
前記製品情報は、前記製品の商品名、品番、製造メーカー・製造者、製造場所、製造年月日等の製品に関する情報を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【請求項6】
前記製品には、前記小型記録媒体(a)と共に、秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)〜秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体が貼着または組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の鑑定証明システム。
【請求項7】
前記小型記録媒体(a)〜(a)および前記小型記録媒体(b)の少なくとも1つには、GPS機能が備えられていることを特徴とする、請求項6に記載の鑑定証明システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の要旨を以下に示す。
(1)バッグ、カバン、衣類、時計、美術工芸品、自動車等の鑑定証明が必要とされる製品の鑑定証明システムであって、
秘密鍵α、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(a)が貼着または組み込まれた前記製品、および秘密鍵β、製品情報を含む情報を記録した小型記録媒体(b)が貼着または組み込まれたギャランティカードを用いて鑑定証明が行われ、
前記製品の製品情報、前記製品がユーザーへ渡るまでの各流通段階における取引情報の各情報を、ブロックチェーンデータとして記録する専用プラットフォームと、
前記製品情報および前記取引情報を、製造メーカー・製造者および流通業者が、前記ブロックチェーンデータに書き込むために使用されるアプリケーション[A]と、
前記ユーザーが前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むために使用されるアプリケーション[B]と、を備え、
前記製造メーカー・製造者および前記流通業者が、前記アプリケーション[A]を用いて、前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータに書き込み、
前記ユーザーが、前記製品に付与された前記秘密鍵α、および前記ギャランティカードに付与された前記秘密鍵βを使用し、前記アプリケーション[B]を用いて、前記製品の前記製品情報および前記取引情報を、前記ブロックチェーンデータから読み込むことにより、前記製品の鑑定証明を行うことを特徴とする、鑑定証明システム。
(2)前記ブロックチェーンデータに前記製品情報および前記取引情報を書き込む権限が、これらの情報に関わる前記製造メーカー・製造者または前記流通業者に限定して与えられることを特徴とする、(1)に記載の鑑定証明システム。
(3)前記専用プラットフォームとして、P2Pネットワークを有するブロックチェーンを利用することを特徴とする、(1)または(2)に記載の鑑定証明システム。
(4)前記アプリケーション[A]および前記アプリケーション[B]は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の端末にダウンロードされ作動するものであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
(5)前記製品情報は、前記製品の商品名、品番、製造メーカー・製造者、製造場所、製造年月日等の製品に関する情報を含むことを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
(6)前記製品には、前記小型記録媒体(a)と共に、秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)〜秘密鍵αを含む情報を記録した小型記録媒体(a)のn個(nは2以上の整数)の小型記録媒体が貼着または組み込まれていることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の鑑定証明システム。
(7)前記小型記録媒体(a)〜(a)および前記小型記録媒体(b)の少なくとも1つには、GPS機能が備えられていることを特徴とする、()に記載の鑑定証明システム。