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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-197254(P2021-197254A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】電池加熱装置および車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6569 20140101AFI20211129BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20211129BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20211129BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20211129BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20211129BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20211129BHJP
   H01M 10/667 20140101ALI20211129BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20211129BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20211129BHJP
【FI】
   H01M10/6569
   B60H1/22 651Z
   H01M10/615
   H01M10/625
   H01M10/6556
   H01M10/633
   H01M10/667
   B60K1/04 Z
   H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-101918(P2020-101918)
(22)【出願日】2020年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087723
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 修
(74)【代理人】
【識別番号】100165962
【弁理士】
【氏名又は名称】一色 昭則
(74)【代理人】
【識別番号】100206357
【弁理士】
【氏名又は名称】角谷 智広
(72)【発明者】
【氏名】山中 玄太郎
(72)【発明者】
【氏名】富永 孝
(72)【発明者】
【氏名】黒石 真且
(72)【発明者】
【氏名】加藤 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克明
【テーマコード(参考)】
3D235
3L211
5G503
5H031
【Fターム(参考)】
3D235AA01
3D235BB36
3D235BB41
3D235CC15
3D235HH02
3D235HH08
3D235HH34
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA60
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503BB02
5G503DA16
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GD03
5H031AA09
5H031HH06
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】 低温環境下において小さな電力で加熱することができる電池加熱装置および車両を提供することである。
【解決手段】 電池加熱装置100は、二次電池BT1と、化学蓄熱装置と、ヒートポンプ140と、化学蓄熱装置とヒートポンプ140とに熱媒体RF1を循環させる第1流路と、化学蓄熱装置と二次電池BT1とに熱媒体RF2を循環させることが可能な第2流路と、制御部190と、を有する。化学蓄熱装置は、蓄熱器120と、吸着器130と、蓄熱器120および吸着器130の間を移動可能な反応性流体と、を有する。ヒートポンプ140は、凝縮器141と膨張弁142と蒸発器143と圧縮機144とを有する。第1流路は、ヒートポンプ140の凝縮器141と化学蓄熱装置の吸着器130とに熱媒体RF1を循環させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
化学蓄熱装置と、
ヒートポンプと、
前記化学蓄熱装置と前記ヒートポンプとに第1熱媒体を循環させる第1流路と、
前記化学蓄熱装置と前記二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能な第2流路と、
制御部と、
を有し、
前記化学蓄熱装置は、
蓄熱器と、吸着器と、前記蓄熱器および前記吸着器の間を移動可能な反応性流体と、を有し、
前記ヒートポンプは、
凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機とを有し、
前記第1流路は、
前記ヒートポンプの前記凝縮器と前記化学蓄熱装置の前記吸着器とに前記第1熱媒体を循環させ、
前記第2流路は、
前記化学蓄熱装置の前記蓄熱器と前記二次電池とに前記第2熱媒体を循環させることが可能であること
を含む電池加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電池加熱装置において、
前記ヒートポンプの前記凝縮器は、
前記第1熱媒体により前記化学蓄熱装置の前記吸着器を加熱し、
前記化学蓄熱装置の前記蓄熱器は、
加熱された前記吸着器から流入する前記反応性流体と反応して発熱すること
を含む電池加熱装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電池加熱装置において、
前記二次電池の温度を測定する温度計を有し、
前記制御部は、
前記二次電池の温度が予め定めた閾値未満である場合に、
前記二次電池に前記第2熱媒体を循環させること
を含む電池加熱装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電池加熱装置において、
前記蓄熱器と前記吸着器とを接続する接続管と、
前記接続管を開放状態と閉止状態とのいずれかの状態にする弁と、
を有し、
前記制御部は、
前記弁の開放状態と閉止状態とを制御すること
を含む電池加熱装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の電池加熱装置において、
暖機対象を有し、
前記第2流路は、
前記化学蓄熱装置の前記蓄熱器と前記暖機対象とに前記第2熱媒体を循環させることが可能であること
を含む電池加熱装置。
【請求項6】
二次電池と、
外部電源から前記二次電池を充電する充電器と、
前記二次電池から電力を供給されて回転駆動するモーターと、
前記二次電池と前記モーターとの間で直流と交流とを変換するパワーコントロールユニットと、
化学蓄熱装置と、
ヒートポンプと、
前記化学蓄熱装置と前記ヒートポンプとに第1熱媒体を循環させる第1流路と、
前記化学蓄熱装置と前記二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能な第2流路と、
制御部と、
を有し、
前記化学蓄熱装置は、
蓄熱器と、吸着器と、前記蓄熱器および前記吸着器の間を移動可能な反応性流体と、を有し、
前記ヒートポンプは、
凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機とを有し、
前記第1流路は、
前記ヒートポンプの前記凝縮器と前記化学蓄熱装置の前記吸着器とに前記第1熱媒体を循環させ、
前記第2流路は、
前記化学蓄熱装置の前記蓄熱器と前記二次電池とに前記第2熱媒体を循環させることが可能であること
を含む車両。
【請求項7】
請求項6に記載の車両において、
前記ヒートポンプの前記凝縮器は、
前記第1熱媒体により前記化学蓄熱装置の前記吸着器を加熱し、
前記化学蓄熱装置の前記蓄熱器は、
加熱された前記吸着器から流入する前記反応性流体と反応して発熱すること
を含む車両。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の車両において、
前記制御部は、
前記充電器が前記二次電池を充電している場合に、
前記蓄熱器と前記充電器とに前記第2熱媒体を循環させること
を含む車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両において、
前記二次電池の温度を測定する温度計を有し、
前記制御部は、
前記充電器が前記二次電池を充電しておらず、
前記二次電池の温度が予め定めた第1閾値未満である場合に、
前記蓄熱器と前記二次電池とに前記第2熱媒体を循環させること
を含む車両。
【請求項10】
請求項9に記載の車両において、
車両搭載機器の温度を測定する第2温度計を有し、
前記制御部は、
前記充電器が前記二次電池を充電しておらず、
前記二次電池の温度が予め定めた前記第1閾値以上であり、
前記車両搭載機器の温度が予め定めた第2閾値未満である場合に、
前記蓄熱器と前記車両搭載機器とに前記第2熱媒体を循環させること
を含む車両。
【請求項11】
請求項6から請求項10までのいずれか1項に記載の車両において、
前記蓄熱器と前記吸着器とを接続する接続管と、
前記接続管を開放状態と閉止状態とのいずれかの状態にする弁と、
を有し、
前記制御部は、
前記弁の開放状態と閉止状態とを制御すること
を含む車両。
【請求項12】
請求項6から請求項11までのいずれか1項に記載の車両において、
前記凝縮器は、
車室内にあり、
前記蒸発器は、
車室外にあること
を含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の技術分野は、電池加熱装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の内部では熱が発生し、発生した熱は熱エネルギーとして利用されることがある。例えば、内燃機関が発生する熱は車室内の暖房に利用されることがある。また、省エネルギーの観点から、車両内の熱エネルギーを何らかの用途に利用する技術が開発されてきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両を充電する際の発熱を利用する熱管理制御装置が開示されている。蓄熱器および吸着器が外部電源から車両を充電するための充電器が発する熱を回収する技術が開示されている(特許文献1の段落[0015])。また、その回収した熱で車両内の機器を暖機対象とする旨が開示されている(特許文献1の段落[0109])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018−127164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電気自動車は内燃機関を持たず、二次電池が電気自動車を駆動するための電力を担う。このため、電気自動車の排熱量は従来の自動車の排熱量に比べて非常に少ない。
【0006】
二次電池の正極および負極では化学反応が生じるが、このような化学反応は温度に依存する。例えば、リチウムイオン二次電池は低温環境下でも放電可能である。しかし、低温環境下ではリチウムイオン二次電池の出力は比較的小さい。すなわち、低温環境下では、二次電池が車両を駆動させるための十分な出力を発揮できないことがある。
【0007】
本明細書の技術が解決しようとする課題は、低温環境下において小さな電力で加熱することができる電池加熱装置および車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様における電池加熱装置は、二次電池と、化学蓄熱装置と、ヒートポンプと、化学蓄熱装置とヒートポンプとに第1熱媒体を循環させる第1流路と、化学蓄熱装置と二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能な第2流路と、制御部と、を有する。化学蓄熱装置は、蓄熱器と、吸着器と、蓄熱器および吸着器の間を移動可能な反応性流体と、を有する。ヒートポンプは、凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機とを有する。第1流路は、ヒートポンプの凝縮器と化学蓄熱装置の吸着器とに第1熱媒体を循環させる。第2流路は、化学蓄熱装置の蓄熱器と二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能である。
【0009】
この電池加熱装置は、化学蓄熱装置とヒートポンプとを有する。ヒートポンプの凝縮器は、化学蓄熱装置の吸着器を加熱する。加熱された吸着器の反応性流体は蓄熱器に移動する。反応性流体と反応した蓄熱器は二次電池を好適に加熱する。凝縮器における発熱量はそれほど多くなくてよい。このため、電池加熱装置は、二次電池を小さな電力で早期に加熱することができる。このため、暖機時間は短くてよい。
【発明の効果】
【0010】
本明細書では、低温環境下において小さな電力で加熱することができる電池加熱装置および車両が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の車両EC1の概略構成図である。
図2】第1の実施形態の電池加熱装置100を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態の蓄熱器120および吸着器130における熱媒体との熱交換を示す図である。
図4】第1の実施形態のヒートポンプ140の役割を示すグラフである。
図5】第1の実施形態の車両EC1の流体の流路を示す概略図である。
図6】第1の実施形態の車両EC1の蓄熱状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。
図7】第1の実施形態の車両EC1の電池暖機状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。
図8】第1の実施形態の車両EC1の機器暖機状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。
図9】第1の実施形態の車両EC1の通常運転状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。
図10】第1の実施形態の電池加熱装置100の制御部190が実行するフローチャートである。
図11】第1の実施形態におけるヒートポンプ140の凝縮器141の配置を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施形態について、電池加熱装置および車両を例に挙げて説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。本明細書において、流路は、例えば、第1機器と第2機器とを接続している。ここで、「第1機器と第2機器とを接続する流路」とは、流路が第1機器の周囲と第2機器の周囲とにわたって配置されていることを示している。流路を流れる熱媒体は、第1機器の周囲と第2機器の周囲とに流れる。この場合に、流路を流れる熱媒体は、第1機器と第2機器と熱交換可能である。
【0013】
(第1の実施形態)
1.車両
図1は、第1の実施形態の車両EC1の概略構成図である。車両EC1は電気自動車である。車両EC1は、モーターMT1と、パワーコントールユニットPC1と、二次電池BT1と、を有する。また、車両EC1は、電池加熱装置100を有する。また、車両EC1は、その他の駆動系、制御系を有する。
【0014】
モーターMT1は、車両EC1を駆動することができる。モーターMT1は、二次電池BT1から電力を供給されることにより回転駆動し、駆動力伝達系を介して車軸に駆動力を伝達する。
【0015】
パワーコントロールユニットPC1は、モーターMT1を制御することができる。パワーコントロールユニットPC1は、インバーターと昇圧コンバーターとを有する。インバーターは、直流電圧と交流電圧とを変換する。昇圧コンバーターは二次電池BT1の電圧を昇圧することができる。このため、パワーコントロールユニットPC1は、二次電池BT1からの直流電圧を交流電圧に変換してモーターMT1に電力を供給し、モーターMT1からの交流電圧を直流電圧に変換して二次電池BT1に電力を供給することができる。つまり、パワーコントロールユニットPC1は、二次電池BT1とモーターMT1との間で直流と交流とを変換することができる。
【0016】
二次電池BT1は、モーターMT1に電力を供給する蓄電デバイスである。二次電池BT1は、例えば、リチウムイオン二次電池である。もちろん、その他の二次電池であってもよい。
【0017】
2.電池加熱装置
図2は、第1の実施形態の電池加熱装置100を示すブロック図である。図2に示すように、電池加熱装置100は、二次電池BT1と、充電器110と、化学蓄熱装置CHS1と、ヒートポンプ140と、制御部190と、を有する。
【0018】
化学蓄熱装置CHS1は、二次電池BT1を加熱するための装置である。化学蓄熱装置CHS1は、蓄熱器120と、吸着器130と、反応性流体と、を有する。
【0019】
充電器110は、外部電源から二次電池BT1を充電するための装置である。充電器110は、例えば、家庭用電源装置から二次電池BT1を充電することができる。
【0020】
蓄熱器120は、流路を流れる流体(後述する熱媒体RF2)から熱を回収し、化学反応を利用して蓄熱する。吸着器130は、化学反応を起こす反応性流体を吸着し、保存する。蓄熱器120および吸着器130は、接続管CT1により接続されている。接続管CT1は、蓄熱器120と吸着器130とを接続するとともに連通している。接続管CT1には、後述するように弁V1が設けられている。弁V1は、接続管CT1を開放状態と閉止状態とのいずれかの状態にする。この弁V1の開閉により、蓄熱器120または吸着器130の内部の反応性流体が接続管CT1を介して移動する。反応性流体の移動は、蓄熱器120および吸着器130の内部の圧力差により生じる。そのため、反応性流体の移動方向は、蓄熱器120の内圧および吸着器130の内圧により決まる。
【0021】
蓄熱器120は、筐体の内部に蓄熱剤を収容している。蓄熱剤としては、主に、アルカリ金属元素とアルカリ土類金属元素と遷移金属元素とのうち少なくとも一種類と塩素との化合物であるとよい。アルカリ金属元素として、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)が挙げられる。その金属塩化物(アルカリ金属塩化物)として、LiCl、NaCl、KCl等が挙げられる。また、アルカリ土類金属元素として、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)が挙げられる。その金属塩化物(アルカリ土類金属塩化物)として、MgCl2 、CaCl2 、SrCl2 等が挙げられる。また、遷移金属元素には多くの種類があるが、蓄熱に適した遷移金属塩化物として、MnCl2 、FeCl2 、CoCl2 、NiCl2 等が挙げられる。これらのうち、カルシウム塩化物(CaCl2 )およびストロンチウム塩化物(SrCl2 )がより好適である。
【0022】
吸着器130は、筐体の内部に吸着剤を収容している。吸着剤は反応性流体を吸着しやすい材料であるとよい。吸着剤として、例えば、活性炭等が挙げられる。もちろん、上記以外の材料であってもよい。
【0023】
反応性流体は、蓄熱器120および吸着器130の間を移動可能な流体である。反応性流体は、蓄熱器120に収容されている蓄熱剤と吸着器130に収容されている吸着剤と反応または吸着することが可能である。反応性流体は、氷点下であっても高い蒸気圧により輸送が可能であるとよい。反応性流体として、例えば、アンモニア(NH3 )が挙げられる。
【0024】
ヒートポンプ140は、吸着器130を加熱するための装置である。ヒートポンプ140は、凝縮器(コンデンサー)141と、膨張弁142と、蒸発器(エバポレーター)143と、圧縮機(コンプレッサー)144と、を有する。外部からの電力は圧縮機144に供給される。そして、蒸発器143は外部から熱を奪い、凝縮器141は外部に熱を放出する。そのため、ヒートポンプ140の凝縮器141が化学蓄熱装置CHS1の吸着器130に熱を伝える。また、ヒートポンプ140には凝縮器141、膨張弁142、蒸発器143、圧縮機144、を接続する流路が存在する。その流路の中を熱媒体が凝縮器141、膨張弁142、蒸発器143、圧縮機144、凝縮器141の順に循環する。ヒートポンプ140は、二次電池BT1から電力を供給される。または、ヒートポンプ140はその他の二次電池等から電力を供給されてもよい。
【0025】
制御部190は、各部を制御する。詳細については後述する。
【0026】
3.蓄熱器および吸着器
図3は、第1の実施形態の蓄熱器120および吸着器130における熱媒体との熱交換を示す図である。接続管CT1は、蓄熱器120と吸着器130との間で反応性流体RF0を移動させることができる。
【0027】
吸着器130は、吸着剤AD1と配管PP1とを有する。配管PP1は熱媒体RF1を流すことができる。熱媒体RF1は、例えば、液体である。熱媒体RF1は、例えば、水系の不凍液である。熱媒体RF1は、エチレングリコールを主成分とするLLCであるとよい。吸着剤AD1は配管PP1の外側面と接触している。そのため、吸着剤AD1は配管PP1の内部を流れる熱媒体RF1と熱交換することができる。
【0028】
蓄熱器120は、蓄熱剤HS1と配管PP2とを有する。配管PP2は熱媒体RF2を流すことができる。熱媒体RF2は、例えば、液体である。熱媒体RF2は、例えば、水系の不凍液である。熱媒体RF2は、エチレングリコールを主成分とするLLCであるとよい。蓄熱剤HS1は配管PP2の外側面と接触している。そのため、蓄熱剤HS1は配管PP2の内部を流れる熱媒体RF2と熱交換することができる。
【0029】
例えば、蓄熱剤HS1がCaCl2 であり、反応性流体RF0がNH3 である場合について説明する。アンモニアが吸着器130から蓄熱器120に移動すると、蓄熱器120の内部で下記の化学反応が生じる。
CaCl2 ・2NH3 +6NH3 → CaCl2 ・8NH3 +吸着熱
アンモニアが蓄熱器120から吸着器130に移動すると、上記の逆反応が生じる。
【0030】
4.電池加熱装置による二次電池の加熱
4−1.二次電池の温度と放電能力
二次電池BT1は、例えば0℃近辺の低温環境下でも放電することができる。しかし、このような低温環境下では二次電池BT1の放電能力は著しく低下する。そのため、低温環境下においては、二次電池BT1を好適に暖めることが好ましい。
【0031】
4−2.ヒートポンプの役割
図4は、第1の実施形態のヒートポンプ140の役割を示すグラフである。図4の横軸は吸着器130の温度である。図4の縦軸は蓄熱器120の温度である。図4に示すように、吸着器130の温度が上昇するほど、蓄熱器120の温度は上昇する。図4の横軸の値と縦軸の値とは、蓄熱材および吸着材の材料等を変えると変化する。しかし、蓄熱材および吸着材の材料等を変えても傾向はそれほど変わらない。
【0032】
第1の実施形態では、ヒートポンプ140により吸着器130の温度を上昇させる。このため、例えば、外気温が0℃の場合に、吸着器130の温度を矢印J1に示すように、25℃まで上昇させる。この条件下で吸着器130の反応性流体を蓄熱器120に移動させる。この場合には、矢印J2および矢印J3に示すように、蓄熱器120の温度は50℃程度に上昇する。
【0033】
蓄熱器120が十分に高い温度に達しているため、蓄熱器120の箇所を通過する熱媒体RF2は二次電池BT1を好適に加熱することができる。
【0034】
ヒートポンプ140による吸着器130の加熱を行わなかった場合について説明する。この場合には、矢印J4および矢印J5に示すように、0℃の吸着器130から熱媒体を蓄熱器120に移動させると、蓄熱器120は35℃程度に達する。蓄熱器120が熱を与える熱媒体RF2の温度は35℃よりも低い。このため、二次電池BT1を加熱するのに時間がかかる。
【0035】
5.流路
図5は、第1の実施形態の車両EC1の流体の流路を示す概略図である。車両EC1は電気自動車である。車両EC1は、電池加熱装置100と、パワーコントロールユニットPC1と、トランスアクスルTA1と、ラジエーターRD1と、を有する。
【0036】
トランスアクスルTA1は、トランスミッションとディファレンシャルギアとを有するユニットである。ラジエーターRD1は、車両CE1の内部の各部を冷却するためのものである。
【0037】
図5に示すように、電池加熱装置100は、二次電池BT1と、温度計TM1と、充電器110と、蓄熱器120と、吸着器130と、ヒートポンプ140と、流路150と、流路160と、流路170と、流路180と、制御部190と、を有する。温度計TM1は、二次電池BT1の温度を測定し、制御部190に測定温度を送信する。
【0038】
流路150は、ヒートポンプ140と化学蓄熱装置CHS1とに熱媒体RF1を循環させるための熱媒体回路である。より詳細には、流路150は、ヒートポンプ140の凝縮器141と化学蓄熱装置CHS1の吸着器130とに熱媒体RF1を循環させる。流路150は凝縮器141と吸着器130との間にポンプPM1を有する。ポンプPM1は流路150に熱媒体RF1を循環させるためのものである。
【0039】
流路160は、蓄熱器120と充電器110とに熱媒体RF2を循環させるための熱媒体回路である。流路160は、三方弁TV1とポンプPM2と三方弁TV2とを有する。三方弁TV1は、蓄熱器120の箇所に流す熱媒体RF2を流路160と流路170とのどちらから流すかを切り替える。三方弁TV2は、蓄熱器120の箇所を流れた熱媒体RF2を流路160と流路170とのどちらに流すかを切り替える。ポンプPM2は、蓄熱器120の箇所に向かって熱媒体RF2を送出するためのものである。
【0040】
流路160は、流路161、162、163、164、165を有する。流路161は三方弁TV1とポンプPM2とを接続する。流路162はポンプPM2と蓄熱器120とを接続する。流路163は蓄熱器120と三方弁TV2とを接続する。流路164は三方弁TV2と充電器110とを接続する。流路165は充電器110と三方弁TV1とを接続する。
【0041】
流路170は、蓄熱器120と二次電池BT1とに熱媒体RF2を循環させるための熱媒体回路である。流路170は、蓄熱器120の箇所からの熱媒体RF2を二次電池BT1の箇所に流すことができる。流路170は、三方弁TV3と三方弁TV4とを有する。三方弁TV3は、蓄熱器120の箇所を流れた熱媒体RF2を流路170と流路180とのどちらから流すかを切り替える。三方弁TV4は、蓄熱器120の箇所を流す熱媒体RF2を流路170と流路180とのどちらから流すかを切り替える。
【0042】
流路170は、流路171、172、173、174を有する。流路171は三方弁TV2と三方弁TV3とを接続する。流路172は三方弁TV3と二次電池BT1とを接続する。流路173は二次電池BT1と三方弁TV4とを接続する。流路174は三方弁TV4と三方弁TV1とを接続する。
【0043】
流路180は、パワーコントロールユニットPC1とトランスアクスルTA1とラジエーターRD1とに熱媒体RF2を循環させるための熱媒体回路である。また、流路180は、蓄熱器120の箇所からの熱媒体RF2をパワーコントロールユニットPC1とトランスアクスルTA1とラジエーターRD1とに流すことができる。流路180は、弁V2とポンプPM3とを有する。弁V2とポンプPM3とは、パワーコントロールユニットPC1とトランスアクスルTA1とラジエーターRD1との間で熱媒体RF2を循環させるために機能する。
【0044】
流路180は、流路181、182、183、184、185、186、187、188、189を有する。流路181は三方弁TV3とパワーコントロールユニットPC1とを接続する。流路182はパワーコントロールユニットPC1と三方弁TV4とを接続する。流路183は三方弁TV3とトランスアクスルTA1とを接続する。流路184はトランスアクスルTA1と三方弁TV4とを接続する。流路185は三方弁TV3とラジエーターRD1とを接続する。流路186はラジエーターRD1と三方弁TV4とを接続する。流路187は三方弁TV3と弁V2とを接続する。流路188は弁V2とポンプPM3とを接続する。流路189はポンプPM3と三方弁TV4とを接続する。
【0045】
流路160および流路170は、化学蓄熱装置CHS1と二次電池BT1とに第2熱媒体RF2を循環させることが可能である。より詳細には、流路160および流路170は、化学蓄熱装置CHS1の蓄熱器120と二次電池BT1とに第2熱媒体RF2を循環させる。
【0046】
制御部190は、ヒートポンプ140と、三方弁TV1、TV2、TV3、TV4と、弁V1、V2と、ポンプPM1、PM2、PM3と、を制御する。例えば、制御部190は、弁V1、V2の開放状態と閉止状態とを制御する。また、制御部190は、三方弁TV1、TV2、TV3、TV4による連通状態を制御し、熱媒体RF2が流れる経路を制御することができる。制御部190は、温度計TM1から二次電池BT1の温度を受信することができる。制御部190は、その他の機器等を制御してもよい。
【0047】
6.電池加熱装置における状態
電池加熱装置100は、蓄熱状態と、電池暖機状態と、機器暖機状態と、通常運転状態と、に応じて反応性流体RF0、熱媒体RF1、熱媒体RF2を流す箇所を切り替える。制御部190が、この切り替えを制御する。
【0048】
6−1.蓄熱状態
図6は、第1の実施形態の車両EC1の蓄熱状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。蓄熱状態では、充電器110が二次電池BT1の充電時に発する熱を蓄熱器120に蓄える。充電器110による二次電池BT1の充電時には車両EC1は始動していない。なお、図6から図9においては、ヒートポンプ140を除き、熱媒体RF1、熱媒体RF2が循環する領域が黒色で表現されている。
【0049】
6−1−1.流路150
充電状態では、制御部190はヒートポンプ140およびポンプPM1を動作させない。このため、熱媒体RF1は流路150を循環しない。
【0050】
6−1−2.流路160
充電状態では、充電器110は外部電源から二次電池BT1を充電する際に発熱する。制御部190は、充電器110と蓄熱器120とに熱媒体RF2を循環させる。熱媒体RF2は、流路161、162、163、164、165を循環する。これにより、充電器110が発する熱が蓄熱器120に蓄えられる。このとき弁V1は開いている。反応性流体は蓄熱器120から吸着器130に移動する。
【0051】
6−1−3.流路170
充電状態では、車両EC1は起動していないため、熱媒体RF2は流路170を循環しない。
【0052】
6−1−4.流路180
充電状態では、車両EC1は起動していないため、熱媒体RF2は流路180を循環しない。
【0053】
6−2.電池暖機状態
図7は、第1の実施形態の車両EC1の電池暖機状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。電池暖機状態では、蓄熱器120は二次電池BT1を優先的に加熱する。基本的には、蓄熱器120により加熱された熱媒体RF2は、二次電池BT1のみを加熱する。電池暖機状態は、運転者が車両EC1を始動させた直後に実行される。
【0054】
6−2−1.流路150
電池暖機状態では、制御部190がヒートポンプ140を始動させるとともにポンプPM1を始動させる。このため、加熱された熱媒体RF1は流路150を循環する。そして、ヒートポンプ140の凝縮器141が発する熱が熱媒体RF1を介して吸着器130に伝達される。これにより、吸着器130が収容する吸着剤が加熱される。このとき弁V1は開いている。反応性流体は吸着器130から蓄熱器120に移動する。そして、蓄熱器120は発熱する。
【0055】
6−2−2.流路160
電池暖機状態では、蓄熱器120が二次電池BT1を加熱するため、熱媒体RF2は流路164、165を循環しない。
【0056】
6−2−3.流路170
電池暖機状態では、制御部190は、蓄熱器120から二次電池BT1に熱媒体RF2を送出する。熱媒体RF2は、流路161、162、163、171、172、173、174を循環する。蓄熱器120により加熱された熱媒体RF2は、二次電池BT1を加熱する。
【0057】
6−2−4.流路180
電池暖機状態では、制御部190が弁V2を開放し、ポンプPM3を始動させる。このため、熱媒体RF2は流路180を循環する。ただし、流路180を循環する熱媒体RF2は蓄熱器120により加熱されていない。つまり、流路170を流れる熱媒体RF2と流路180を流れる熱媒体RF2とは、互いに独立に流れ、合流しない。
【0058】
6−3.機器暖機状態
図8は、第1の実施形態の車両EC1の機器暖機状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。機器暖機状態では、蓄熱器120はパワーコントロールユニットPC1等の車両搭載機器を加熱する。
【0059】
6−3−1.流路150
機器暖機状態では、制御部190がヒートポンプ140を始動させるとともにポンプPM1を始動させる。このため、加熱された熱媒体RF1は流路150を循環する。そして、ヒートポンプ140の凝縮器141が発する熱が熱媒体RF1を介して吸着器130に伝達される。これにより、吸着器130が収容する吸着剤が加熱される。このとき弁V1は開いている。反応性流体は吸着器130から蓄熱器120に移動する。そして、蓄熱器120は発熱する。
【0060】
6−3−2.流路160
機器暖機状態では、充電器110の箇所に熱媒体RF2を流す必要がないため、熱媒体RF2は流路164、165を循環しない。
【0061】
6−3−3.流路170
機器暖機状態では、二次電池BT1を加熱する必要がないため、熱媒体RF2は流路172、173を循環しない。
【0062】
6−3−4.流路180
機器暖機状態では、制御部190は、蓄熱器120から各機器に熱媒体RF2を循環させる。熱媒体RF2は、流路161、162、163、171、181、182、183、184、185、186、174を流れる。熱媒体RF2は、ヒートポンプ140による熱アシストを受けた蓄熱器120から十分に加熱されている。熱媒体RF2は、各機器を加熱する。
【0063】
6−4.通常運転状態
図9は、第1の実施形態の車両EC1の通常運転状態の場合に熱媒体が流れる箇所を示す図である。通常運転状態では、蓄熱器120は二次電池BT1および他の機器を加熱しなくてよい。
【0064】
6−4−1.流路150
通常運転状態では、熱媒体RF1は流路150を循環しない。
【0065】
6−4−2.流路160
通常運転状態では、熱媒体RF2は流路160を循環しない。また、このとき弁V1は閉じている。
【0066】
6−4−3.流路170
通常運転状態では、熱媒体RF2は流路170を循環しない。
【0067】
6−4−4.流路180
通常運転状態では、制御部190が弁V2を開放し、ポンプPM3を始動させる。このため、熱媒体RF2は流路180を循環する。ただし、流路180を循環する熱媒体RF2は蓄熱器120により加熱されていない。
【0068】
7.制御フロー
図10は、第1の実施形態の電池加熱装置100の制御部190が実行するフローチャートである。制御部190は、温度計MT1から二次電池BT1の温度を取得し続ける。また、制御部190は、図示しない温度計から機器の温度を取得し続ける。ここで、機器とは、例えば、パワーコントロールユニットPC1、トランスアクスルTA1、ラジエーターRD1である。これらの機器は、これらの機器の温度を測定する温度計を有する。もちろん、温度を取得する対象である機器は上記以外の機器を含んでもよい。
【0069】
S101では、制御部190は車両EC1が外部から充電されているか否か判断する。そのために、制御部190は充電器110と通信を行う。車両EC1が外部から充電されていれば(S101:Yes)、S102に進む。車両EC1が外部から充電されていなければ(S101:No)、S103に進む。
【0070】
S102では、制御部190は車両EC1を「蓄熱状態」とする。そして、S101に戻る。
【0071】
S103では、制御部190は車両EC1が始動している状態(オン状態)であるか否かを判断する。ここで、始動している状態とは、運転者が始動ボタンを押した後の状態である。車両EC1がオン状態である場合には(S103:Yes)、S104に進む。車両EC1がオン状態でない場合には(S103:No)、S101に進む。
【0072】
S104では、制御部190は二次電池BT1の温度が予め定めた閾値(第1閾値)未満であるか否か判断する。二次電池BT1の温度が予め定めた閾値未満である場合には(S104:Yes)、S105に進む。二次電池BT1の温度が予め定めた閾値以上である場合には(S104:No)、S106に進む。
【0073】
S105では、制御部190は車両EC1を「電池暖機状態」とする。そして、S101に戻る。
【0074】
S106では、制御部190は機器の温度が予め定めた閾値(第2閾値)未満であるか否か判断する。機器の温度が予め定めた閾値未満である場合には(S106:Yes)、S107に進む。機器の温度が予め定めた閾値以上である場合には(S106:No)、S108に進む。
【0075】
S107では、制御部190は車両EC1を「機器暖機状態」とする。そして、S101に戻る。
【0076】
S108では、制御部190は車両EC1を「通常運転状態」とする。そして、S101に戻る。
【0077】
このように、ヒートポンプ140の凝縮器141は、熱媒体RF1により化学蓄熱装置CHS1の吸着器130を加熱し、化学蓄熱装置CHS1の蓄熱器120は、加熱された吸着器130から流入する反応性流体と反応して発熱する。
【0078】
制御部190は、充電器110が二次電池BT1を充電している場合に、蓄熱器120と充電器110とに熱媒体RF2を循環させる。
【0079】
制御部190は、充電器110が二次電池BT1を充電しておらず、二次電池BT1の温度が予め定めた第1閾値未満である場合に、蓄熱器120と二次電池BT1とに熱媒体RF2を循環させる。
【0080】
制御部190は、充電器110が二次電池BT1を充電しておらず、二次電池BT1の温度が予め定めた第1閾値以上であり、車両搭載機器の温度が予め定めた第2閾値未満である場合に、蓄熱器120と車両搭載機器とに熱媒体RF2を循環させる。
【0081】
8.第1の実施形態の効果
第1の実施形態の車両EC1の電池加熱装置100は、蓄熱器120と吸着器130とヒートポンプ140とを有する。蓄熱器120および吸着器130は、ヒートポンプ140からの熱アシストを受けて二次電池BT1を加熱する。このため、二次電池BT1を好適に加熱することができる。また、ヒートポンプ140が吸着器130を加熱する際の熱量は十分に小さい。そのため、ヒートポンプ140に電力を供給する二次電池BT1またはその他の電池は、小さな電力を出力するだけでよい。そして、二次電池BT1の加熱速度は十分に速い。車両EC1をオンした直後の二次電池BT1の出力を早期に上げることができる。このため、暖機時間は短くてよい。
【0082】
化学蓄熱装置CHS1は、原理的には電力を消費しない。しかし、化学蓄熱装置CHS1だけでは十分な熱量を得られない。そこで、ヒートポンプ140が化学蓄熱装置CHS1を熱的にアシストすることにより、第1の実施形態の電池加熱装置100は小さな電力で二次電池が出力を発揮しやすい状態にすることができる。電池加熱装置100の電力消費量は、現行のPTCヒーターの電力消費量の1/3程度である。
【0083】
制御部190が各三方弁を制御することにより、熱媒体RF2が流れる経路を設定する。このため、電池加熱装置100は、二次電池BT1を加熱することが可能であり、また、二次電池BT1を暖機することなく他の車両搭載機器を暖機することが可能である。「二次電池BT1を加熱することが可能」とは、二次電池BT1の箇所に流路が存在し、熱媒体RF2を流す経路を切り替えることが可能であり、二次電池BT1の流路に熱媒体RF2を実際に流すことができることを意味している。
【0084】
8−1.化学蓄熱装置のみの場合
比較のために、化学蓄熱装置CHS1のみの場合を考える。この場合には、図4に示すように、低温環境下において蓄熱器120の温度がそれほど上昇しない。このため、二次電池BT1を早期に加熱することが困難である。
【0085】
8−2.ヒートポンプのみの場合
比較のために、ヒートポンプ140が二次電池BT1を加熱する場合について説明する。低温環境下で二次電池BT1の出力が不足している状況において、ヒートポンプ140を動作させるための電力が大きい。第1の実施形態では、熱を発生させるために電力を消費しない化学蓄熱装置CHS1を用いているため、第1の実施形態の電池加熱装置100は、低温環境下で二次電池BT1を加熱することに適している。
【0086】
9.変形例
9−1.ハイブリッド車両
第1の実施形態の車両EC1は電気自動車である。しかし、第1の実施形態の技術をハイブリッド車両に適用することもできる。
【0087】
9−2.ヒートポンプの配置
図11は、第1の実施形態におけるヒートポンプ140の凝縮器141の配置を示す概念図である。図11に示すように、凝縮器141を車両EC1の車室内に配置し、蒸発器143を車両EC1の車室外に配置するとよい。凝縮器141が車室内を暖めることができるからである。凝縮器141を、例えば、アームレスト、コンソールボックスの近くに配置するとよい。もちろん、上記以外の位置に配置してもよい。
【0088】
9−3.外気温
また、外気温がそれほど低くない場合には、ヒートポンプ140を始動しなくてよい。例えば、二次電池BT1の温度が予め定めた低温閾値未満である場合には、蓄熱器120および吸着器130およびヒートポンプ140を用いて熱媒体RF2を加熱する。二次電池BT1の温度が予め定めた低温閾値以上高温閾値未満である場合には、ヒートポンプ140を用いずに蓄熱器120および吸着器130を用いて熱媒体RF2を加熱する。二次電池BT1の温度が予め定めた高温閾値以上である場合には、熱媒体RF2を加熱しない。
【0089】
9−4.温度の取得
制御部190は、温度計TM1から一定時間ごとに二次電池BT1の温度を取得してもよい。また、制御部190が、必要なときに温度計TM1から二次電池BT1の温度を取得してもよい。車両搭載機器の温度についても同様である。
【0090】
9−5.車両搭載機器
第1の実施形態の車両EC1は、パワーコントロールユニットPC1、トランスアクスルTA1、ラジエーターRD1に熱媒体RF2を供給する。しかし、熱媒体RF2を供給する機器は、上記以外であってもよい。熱媒体RF2の供給先は、車両搭載機器であって温度調整が必要な機器であればどのような機器であってもよい。
【0091】
9−6.車両以外の装置
電池加熱装置100は、車両EC1以外の装置に用いてもよい。車両EC1以外の装置は、二次電池BT1を有し、二次電池BT1により起動されるものであればどのような装置であってもよい。第1の実施形態の技術は、例えば、小型の工作機械、建物の非常用電源等、二次電池を備える装置であればどのような装置にも適用可能である。
【0092】
9−7.暖機対象
ヒートポンプ140および化学蓄熱装置CHS1が暖機する暖機対象は二次電池に限らず、動作に温度依存性がある機器であればどのような機器(暖機対象)であってもよい。暖機対象は車両搭載機器に限らない。この場合に流路は、化学蓄熱装置CHS1の蓄熱器120と暖機対象とに熱媒体RF2を循環させることが可能である。
【0093】
9−8.蓄熱
第1の実施形態では、蓄熱器120は充電器110から熱を回収する。蓄熱器120は、その他の熱源から熱を回収してもよい。例えば、車両がプラグインハイブリッド車両である場合には、蓄熱器120はエンジンから熱を回収してもよい。
【0094】
9−9.圧力センサー
蓄熱器120および吸着器130は、それぞれ圧力センサーを有するとよい。圧力センサーにより、制御部190は反応性流体の移動状態を検出することができる。つまり、制御部190は、蓄熱の終了時の判定をすることができる。
【0095】
9−10.ヒートポンプ
制御部190は、外気温に応じてヒートポンプ140の出力を調整するとよい。外気温が低い場合には、ヒートポンプ140の出力値をやや高く設定し、外気温がそれほど低くない場合には、ヒートポンプ140の出力値をやや低く設定すればよい。制御部190は、外気温または二次電池BT1の温度からヒートポンプ140の出力値を設定する。制御部190は、外気温が低いほどヒートポンプ140の出力値を高く設定すればよい。
【0096】
9−11.熱媒体
熱媒体RF1および熱媒体RF2は異なる流路を流れる。しかし、熱媒体RF1および熱媒体RF2の材料が同じであれば、熱媒体RF1および熱媒体RF2が互いに合流または分岐できるように流路を構成してもよい。
【0097】
9−12.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてよい。
【0098】
(付記)
第1の態様における電池加熱装置は、二次電池と、化学蓄熱装置と、ヒートポンプと、化学蓄熱装置とヒートポンプとに第1熱媒体を循環させる第1流路と、化学蓄熱装置と二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能な第2流路と、制御部と、を有する。化学蓄熱装置は、蓄熱器と、吸着器と、蓄熱器および吸着器の間を移動可能な反応性流体と、を有する。ヒートポンプは、凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機とを有する。第1流路は、ヒートポンプの凝縮器と化学蓄熱装置の吸着器とに第1熱媒体を循環させる。第2流路は、化学蓄熱装置の蓄熱器と二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能である。
【0099】
第2の態様における電池加熱装置においては、ヒートポンプの凝縮器は、第1熱媒体により化学蓄熱装置の吸着器を加熱する。化学蓄熱装置の蓄熱器は、加熱された吸着器から流入する反応性流体と反応して発熱する。
【0100】
第3の態様における電池加熱装置は、二次電池の温度を測定する温度計を有する。制御部は、二次電池の温度が予め定めた閾値未満である場合に、二次電池に第2熱媒体を循環させる。
【0101】
第4の態様における電池加熱装置は、蓄熱器と吸着器とを接続する接続管と、接続管を開放状態と閉止状態とのいずれかの状態にする弁と、を有する。制御部は、弁の開放状態と閉止状態とを制御する。
【0102】
第5の態様における電池加熱装置は、暖機対象を有する。第2流路は、化学蓄熱装置の蓄熱器と暖機対象とに第2熱媒体を循環させることが可能である。
【0103】
第6の態様における車両は、二次電池と、外部電源から二次電池を充電する充電器と、二次電池から電力を供給されて回転駆動するモーターと、二次電池とモーターとの間で直流と交流とを変換するパワーコントロールユニットと、化学蓄熱装置と、ヒートポンプと、化学蓄熱装置とヒートポンプとに第1熱媒体を循環させる第1流路と、化学蓄熱装置と二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能な第2流路と、制御部と、を有する。化学蓄熱装置は、蓄熱器と、吸着器と、蓄熱器および吸着器の間を移動可能な反応性流体と、を有する。ヒートポンプは、凝縮器と膨張弁と蒸発器と圧縮機とを有する。第1流路は、ヒートポンプの凝縮器と化学蓄熱装置の吸着器とに第1熱媒体を循環させる。第2流路は、化学蓄熱装置の蓄熱器と二次電池とに第2熱媒体を循環させることが可能である。
【0104】
第7の態様における車両においては、ヒートポンプの凝縮器は、第1熱媒体により化学蓄熱装置の吸着器を加熱する。化学蓄熱装置の蓄熱器は、加熱された吸着器から流入する反応性流体と反応して発熱する。
【0105】
第8の態様における車両においては、制御部は、充電器が二次電池を充電している場合に、蓄熱器と充電器とに第2熱媒体を循環させる。
【0106】
第9の態様における車両は、二次電池の温度を測定する温度計を有する。制御部は、充電器が二次電池を充電しておらず、二次電池の温度が予め定めた第1閾値未満である場合に、蓄熱器と二次電池とに第2熱媒体を循環させる。
【0107】
第10の態様における車両は、車両搭載機器の温度を測定する第2温度計を有する。制御部は、充電器が二次電池を充電しておらず、二次電池の温度が予め定めた第1閾値以上であり、車両搭載機器の温度が予め定めた第2閾値未満である場合に、蓄熱器と車両搭載機器とに第2熱媒体を循環させる。
【0108】
第11の態様における車両は、蓄熱器と吸着器とを接続する接続管と、接続管を開放状態と閉止状態とのいずれかの状態にする弁と、を有する。制御部は、弁の開放状態と閉止状態とを制御する。
【0109】
第12の態様における車両においては、凝縮器は、車室内にある。蒸発器は、車室外にある。
【符号の説明】
【0110】
EC1…車両
BT1…二次電池
CHS1…化学蓄熱装置
100…電池加熱装置
110…充電器
120…蓄熱器
130…吸着器
140…ヒートポンプ
141…凝縮器
142…膨張弁
143…蒸発器
144…圧縮機
150、160、170、180…流路
190…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11