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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-197276(P2021-197276A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04303 20160101AFI20211129BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20211129BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20211129BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20211129BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20211129BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20211129BHJP
【FI】
   H01M8/04303
   H01M8/04694
   H01M8/04228
   H01M8/04746
   H01M8/04313
   H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-102823(P2020-102823)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100212657
【弁理士】
【氏名又は名称】塚原 一久
(72)【発明者】
【氏名】立川 克之
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AC04
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA57
5H127BA58
5H127BA59
5H127BA60
5H127BB02
5H127BB26
5H127CC01
5H127DA11
5H127DB82
5H127DC09
5H127DC29
5H127DC42
5H127DC81
(57)【要約】
【課題】燃料電池システムが短時間停止状態のときに、作業者に違和感を与えずにシステムの終了処理を行うことができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム100は、制御部70と、オンのときに燃料電池スタック10は発電し、オフのときに燃料電池スタック10は発電を停止するキースイッチ71と、水素タンク42に水素が充填されることを検出する注入口スイッチ53とを備える。そして、制御部70は、キースイッチ71がオンからオフに切り替えられた後に、キーオフ延長時間の経過前に、注入口スイッチ53が水素タンク42に水素が充填されることを検出したときには、エアコンプレッサ23、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48の作動音を低下させる静音制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給される燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料電池スタックに空気と前記燃料とを供給する補機と、
前記燃料電池スタック及び前記補機を制御する制御部と、
オンのときに前記燃料電池スタックは発電し、オフのときに前記燃料電池スタックは発電を停止するキースイッチと、
前記燃料タンクに前記燃料が充填されることを検出する充填検出部と
を備え、
前記制御部は、前記キースイッチがオンからオフに切り替えられた後、キーオフ延長時間に、前記充填検出部が前記燃料タンクに前記燃料が充填されることを検出したときには、前記補機の作動音を低下させる静音制御を行う燃料電池システム。
【請求項2】
前記補機は前記燃料電池スタックに空気を供給するためのエアコンプレッサと、前記燃料タンクから前記燃料電池スタックに前記燃料を供給するためのインジェクタとを含み、
前記制御部は、前記静音制御を行うときに前記エアコンプレッサ及び前記インジェクタを停止する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料タンクに前記燃料を供給する燃料注入口をさらに有し、
前記充填検出部は、前記燃料注入口に設けられ、前記燃料を充填するための充填ノズルが挿入されたことを検出する注入口スイッチである請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックに供給される燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料電池スタックに空気と前記燃料とを供給する補機と、
前記燃料電池スタック及び前記補機を制御する制御部と、
オンのときに前記燃料電池スタックは発電し、オフのときに前記燃料電池スタックは発電を停止するキースイッチと
を備え、
前記制御部は、キーオフ延長時間に前記キースイッチが所定回数連続でオンからオフに切り替えられたときには、前記補機を停止する強制終了制御を行う燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムを搭載したフォークリフト等の産業用車両において、車両のキーのオン及びオフを短時間で切り替えたときには、エネルギー効率や燃料電池システムの部品劣化抑制の観点からキーのオン、オフの切り替えの度に、燃料電池システムの起動処理及び終了処理を行わないことが好ましい。そのため、特許文献1に記載の燃料電池システムは、車両のキーをオフにしたときに運転者が所定の操作を行った場合には燃料電池システムの終了処理を行い、所定の操作を行わなかった場合には燃料電池システムを短時間停止状態にして終了処理を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−61343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池システムにおいて、燃料電池システムを短時間停止状態としたときに、燃料電池スタックの発電を停止させるための燃料電池システムの終了処理が行われる。この燃料電池システムの終了処理は、燃料電池スタックの掃気処理等のためにコンプレッサやインジェクタ等の補機の駆動を伴うため、例えば作業者が燃料タンクに燃料を充填するために充填プラグを車両の燃料注入口に挿入された後、キーをオフにした車両から補機の駆動音が生じて作業者に違和感を与える場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、燃料電池システムが短時間停止状態のときに、作業者に違和感を与えずにシステムの終了処理を行うことができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックに供給される燃料を貯留する燃料タンクと、燃料電池スタックに空気と燃料とを供給する補機と、燃料電池スタック及び補機を制御する制御部と、オンのときに燃料電池スタックは発電し、オフのときに燃料電池スタックは発電を停止するキースイッチと、燃料タンクに燃料が充填されることを検出する充填検出部とを備える。制御部は、キースイッチがオンからオフに切り替えられた後、キーオフ延長時間に、充填検出部が燃料タンクに燃料が充填されることを検出したときには、補機の作動音を低下させる静音制御を行う。
【0007】
また、補機は燃料電池スタックに空気を供給するためのエアコンプレッサと、燃料タンクから燃料電池スタックに燃料を供給するためのインジェクタとを含み、制御部は、静音制御を行うときにエアコンプレッサ及びインジェクタを停止してもよい。
また、燃料タンクに燃料を供給する燃料注入口をさらに有し、充填検出部は、燃料注入口に設けられ、燃料を充填するための充填ノズルが挿入されたことを検出する注入口スイッチを有し、注入口スイッチが充填ノズルが挿入されたことを検出することで、燃料タンクに燃料が充填されることを検出してもよい。
【0008】
また、本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池スタックと、燃料電池スタックに供給される燃料を貯留する燃料タンクと、燃料電池スタックに空気と燃料とを供給する補機と、燃料電池スタック及び補機を制御する制御部と、オンのときに燃料電池スタックは発電し、オフのときに燃料電池スタックは発電を停止するキースイッチとを備える。制御部は、キーオフ延長時間にキースイッチが所定回数連続でオンからオフに切り替えられたときには、補機を停止する強制終了制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る燃料電池システムによれば、キースイッチがオンからオフに切り替えられて、燃料電池システムが短時間停止状態のときに、補機の作動音を低下させる静音制御を行うため、作業者に違和感を与えずにシステムの終了処理を行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る燃料電池システムによれば、キースイッチが所定回数連続でオンからオフに切り替えられたときには、補機を停止する強制終了制御を行うため、作業者に違和感を与えずに作業者の操作により強制的に燃料電池システムの終了処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示す概略図である。
図2図1に示す燃料電池システムのキーオフ時の動作を示すフローチャートである。
図3図2に示す通常終了モードのタイミングチャートである。
図4図2に示すサイレント終了モードのタイミングチャートである。
図5】本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示す概略図である。燃料電池システム100は、産業用車両であるフォークリフトに搭載されている燃料電池システムである。燃料電池システム100は、複数の燃料電池セルからなる燃料電池スタック10と、セルモニタ11を有している。燃料電池スタック10は、内部に設けられた図示しない複数のセルにおいて燃料としての水素と、空気中の酸素とを反応させて発電を行う。セルモニタ11は、燃料電池スタック10の各セルの状態を監視する監視装置である。なお、この実施の形態1では燃料電池システム100はフォークリフトに搭載されているが、これに限定されるものではなく、他の種類の産業用車両や、自動車に搭載されていてもよい。
【0013】
また、燃料電池システム100は、燃料電池スタック10に空気を供給するための空気供給部20を有している。空気供給部20には、第1空気配管21aと第2空気配管21bとが設けられている。第1空気配管21aの一端は、フォークリフトの図示しない空気取り入れ口に接続されている。また、第1空気配管21aには、第1空気配管21aの内部を流通する空気量を測定するエアフロメータ22と、第1空気配管21a内部の空気を圧送するエアコンプレッサ23と、エアコンプレッサ23を駆動するモータ24と、モータ24に電流を供給するインバータ25とが設けられている。また、第1空気配管21aの他端は、後に詳しく説明するインタークーラ35に接続されている。なお、エアコンプレッサ23、モータ24及びインバータ25は補機を構成している。
【0014】
第2空気配管21bは、一端がインタークーラ35に接続され、他端が燃料電池スタック10のカソードK側に接続されている。また、第2空気配管21bには、開閉により燃料電池スタック10への空気の供給及び遮断を切り替えるエアシャットバルブ26が設けられている。
【0015】
また、燃料電池システム100は、燃料電池スタック10を冷却する冷媒を供給するための冷媒供給部30を有している。冷媒供給部30には、冷媒を冷却するラジエータ32と、燃料電池スタック10とラジエータ32とを接続する第1冷媒配管31a及び第2冷媒配管31bとが設けられている。第1冷媒配管31aは、燃料電池スタック10からラジエータ32に冷媒を流通させる配管であり、第2冷媒配管31bはラジエータ32から燃料電池スタック10に冷媒を流通させる配管である。ラジエータ32の近傍にはラジエータ32に送風し冷却するファン33が設けられている。
【0016】
また、第2冷媒配管31bには、冷媒を圧送するための冷媒循環ポンプ34と、インタークーラ35が設けられている。インタークーラ35には第1空気配管21a及び第2空気配管21bが接続されている。インタークーラ35は、第1空気配管21aに流通している空気を冷媒により冷却し、この冷却された空気を第2空気配管21bに流通させる。
【0017】
第1冷媒配管31aと、インタークーラ35及び燃料電池スタック10の間の第2冷媒配管31bとの間に、第3冷媒配管31cが設けられている。第3冷媒配管31cは第1冷媒配管31aと第2冷媒配管31bとをバイパスしている。第3冷媒配管31cにはイオン交換器36が設けられている。
【0018】
また、燃料電池システム100は、燃料電池スタック10に燃料としての水素を供給する水素供給部40を有している。水素供給部40には、水素を貯留する水素タンク42と、水素タンク42からの水素の供給を制御する水素タンクバルブ部43と、水素タンクバルブ部43と燃料電池スタック10のアノードA側とを接続する第1水素配管41aとが設けられている。なお、水素タンク42は燃料タンクを構成している。
【0019】
水素タンク42には、図示しない外部の水素充填設備から水素を充填するために、図示しない充填プラグを挿入するためのレセプタクルである水素注入口54が設けられている。水素注入口54には、充填プラグが挿入されたことを検出するための注入口スイッチ53が設けられている。なお、注入口スイッチ53は充填検出部を構成している。また、水素注入口54は燃料注入口を構成している。
【0020】
水素タンクバルブ部43には、水素タンク42から供給される水素の量を調節するメインバルブ44と、水素の圧力を調整するレギュレータである減圧バルブ45と、メインバルブ44と減圧バルブ45との間の第1水素配管41aの圧力を測定する第1水素圧力センサ46aとが設けられている。
【0021】
また、第1水素配管41aには、上流側である水素タンクバルブ部43側から、下流側である燃料電池スタック10のアノードAに水素を噴射する供給装置であるインジェクタ47が設けられている。インジェクタ47の上流側にはインジェクタ47が水素を噴射する前の、第1水素配管41aの圧力を測定する第2水素圧力センサ46bが設けられている。また、インジェクタ47の下流側にはインジェクタ47が水素を噴射した後の、第1水素配管の圧力を測定する第3水素圧力センサ46cが設けられている。なお、インジェクタ47は補機を構成している。
【0022】
燃料電池スタック10のアノードA側には、燃料電池スタック10のセル内で酸素と反応しなかった未反応水素と、セル内で酸素及び水素が反応することにより発生した水とを燃料電池スタック10の外部に排出する第2水素配管41bが設けられている。第2水素配管41bは、第2水素配管41b内の水素を水分と分離する気液分離器50に接続されている。気液分離器50には、分離された水素が流通する第3水素配管41cが接続されている。第3水素配管41cは第2水素配管41bのインジェクタ47の下流に接続されている。また、第3水素配管41cは、気液分離器50により分離された水素を第2水素配管41bに圧送する水素循環ポンプ48を有している。水素循環ポンプ48は、燃料電池スタック10の制御を行うFCECU(Fuel Cell Electronic Control Unit)49に接続されて制御されている。また、水素循環ポンプ48は補機を構成している。
【0023】
気液分離器50により分離された水分には、完全に分離しなかった水素の成分が含まれている。気液分離器50には第4水素配管41dの一端が接続されており、この水素を含む水分が第4水素配管41dを流通する。また、第4水素配管41dには、開閉により第4水素配管41dの水素を含む水分の流通を制御する排気排水バルブ51が設けられている。
【0024】
また、燃料電池スタック10のアノードA側には、燃料電池スタック10のセル内で水素と反応しなかった酸素を含む空気を排出するための第3空気配管21cの一端が接続されている。第3空気配管21cには、第3空気配管21cに流通する空気の圧力を制御する調圧バルブ28と、第3空気配管21cに流通する空気の圧力を測定するエアセンサ27とが設けられている。
【0025】
第4水素配管41dの他端及び第3空気配管21cの他端には、希釈器52が接続されている。希釈器52は、第4水素配管41dに含まれる水素を、第3空気配管21cに流れる空気により希釈するために設けられている。また、第4水素配管41dに流れる水分を貯留するための貯水タンク60が、希釈器52に接続されている。貯水タンク60には、貯留された水分を排出する排水管61が設けられている。
【0026】
また、燃料電池システム100には、システム全体を制御するための制御部70が設けられている。具体的には、セルモニタ11、エアフロメータ22、エアコンプレッサ23、モータ24、インバータ25、エアシャットバルブ26、エアセンサ27、調圧バルブ28、ファン33、冷媒循環ポンプ34、水素タンクバルブ部43、メインバルブ44、減圧バルブ45、第1,第2,第3水素圧力センサ46a,46b,46c、インジェクタ47、水素循環ポンプ48、FCECU49、排気排水バルブ51及び注入口スイッチ53等に、制御部70は電気的に接続されており、測定信号の送受信や制御信号の送受信を行うことができる。また、制御部70には、燃料電池システム100を搭載したフォークリフトのキーを挿入して操作する、キースイッチ71が接続されている。
【0027】
次に、この実施の形態1に係る燃料電池システムの動作について説明する。
フォークリフトを運転する場合には、図1に示すように作業者はキースイッチ71の図示しない挿入口にキーを挿入し、キースイッチ71をオフからオンに切り替える。制御部70はキースイッチ71のオンを検出すると、燃料電池システム100を起動し燃料電池スタック10が発電を開始する。
【0028】
図2は、燃料電池システム100のキーオフ時の動作を示すフローチャートである。フォークリフトの運転を停止して、燃料電池システム100を停止するには、ステップS1において、作業者はキーを操作しキースイッチ71をオンからオフに切り替える。これにより、燃料電池システム100は短時間停止状態となる。
【0029】
制御部70はキースイッチ71のオフを検出すると、ステップS2の処理を行う。ステップS2では、制御部70が検出したキースイッチ71がオフに切り替わったタイミングである時間T1から、予め設定されたキーオフ延長時間が経過して時間T2以上となったかを制御部70が判定する。ここでキーオフ延長時間とは、キースイッチ71がオフに切り替わったタイミングである時間T1から、時間T2までの予め設定された時間(T2−T1)をいう。なお、この実施の形態1ではキーオフ延長時間であるT2−T1は30秒に設定されているが、この時間に限定されるものではない。フォークリフトに対して作業者が何も操作を行わずに、時間T1からキーオフ延長時間が経過して、時間T2以上となった場合、すなわち、ステップS2においてYESの場合には、処理はステップS3に進む。ステップS3において、制御部70は、作業者がすぐにキーをオンにし、再度フォークリフトを運転する可能性が低いため、通常終了モードの処理を行う。
【0030】
図3は、図2に示す燃料電池システムの通常終了モードのタイミングチャートである。ステップS1(図2参照)において、キースイッチ71がオフに切り替わったタイミングのT1では、制御部70により燃料電池システム100の構成は以下の動作となるように制御されている。注入口スイッチ53はオフに切り替えられている。また、水素循環ポンプ48は、Duty比D1で動作している。この実施の形態1ではDuty比D1は18%である。また、エアコンプレッサ23は停止され、エアシャットバルブ26が開状態に切り替えられているため、第2空気配管21bを経由して燃料電池スタック10のカソードKへ流入する空気の流量であるエア流量は0(NL/min)である。インジェクタ47の駆動許可はオンに切り替えられている。さらに、排気排水バルブ51は閉状態に切り替えられている。
【0031】
ステップS3の通常終了モードにおいては、制御部70は発電により燃料電池スタック10のセル内に生じた水分を乾燥させる掃気処理を実施する。この掃気処理では、制御部70は水素循環ポンプ48を予め設定されたDuty比であるD2で駆動させる。この実施の形態1では、Duty比D2は40%である。また、制御部70はエアコンプレッサ23を制御し、エアシャットバルブ26を開状態に切り替え、燃料電池スタック10のカソードKへ流入する空気の流量であるエア流量を予め設定されたM(NL/min)とする。ここで、エア流量Mは0(NL/min)より大きく且つ後に説明するエア流量H(NL/min)よりも少ない量である。なお、この実施の形態1ではエア流量M(NL/min)は100(NL/min)である。
【0032】
次に、制御部70はエアコンプレッサ23を制御し、時間T2から所定の時間経過後の時間T3までの間に、エア流量をM(NL/min)から予め設定されたH(NL/min)に徐々に増加させる。なお、この実施の形態1ではエア流量H(NL/min)は300(NL/min)に設定されている。この制御を行う理由は、キーオフ延長時間が経過した時間T2で最初からエア流量がH(NL/min)となるようにエアコンプレッサ23を制御すると、エアコンプレッサ23の駆動音が大きくなり騒音の原因となる。一方、キーオフ延長時間が経過した時間T2から時間T3までの間でエア流量がM(NL/min)からH(NL/min)となるように制御することで、エアコンプレッサ23の駆動音を抑制し騒音を低減することができるためである。
【0033】
時間T3において、水素循環ポンプ48のDuty比がD2であり、エア流量をHとする制御がされているため、燃料電池スタック10に流入した空気により燃料電池スタック10のセル内が掃気され、セル内の水分は水素循環ポンプ48の作用により気液分離器50へ排出される。
【0034】
次に、時間T3から所定の時間経過後の時間T4に、制御部70は排気排水バルブ51を閉状態から開状態に切り替える。これにより、燃料電池スタック10のセル内から気液分離器50へ排出された水分が希釈器52を経由して貯水タンク60に貯留され、排水管61から排出される。
【0035】
次に、時間T4から所定の時間経過後の時間T5に、制御部70は、エアコンプレッサ23を停止する制御を行う。これにより、エア流量は0(NL/min)となる。次に、時間T5から所定の時間経過後の時間T6に、制御部70は水素循環ポンプ48のDuty比を0%に制御する。これにより、燃料電池スタック10の掃気処理が終了する。
【0036】
次に、再び図2を参照して、ステップS2において、時間T1から予め設定されたキーオフ延長時間が経過していない場合、すなわち、NOの場合には処理はステップS4に進む。ステップS4において、制御部70は、水素充填判定処理を行う。ステップS4の水素充填判定処理では、制御部70は水素注入口54の注入口スイッチ53の状態を検出することにより、水素注入口54に水素充填設備の充填プラグが挿入されたか否かを判定する。水素注入口54に充填プラグが挿入されていない場合には、注入口スイッチ53はオフとなる。注入口スイッチ53がオフであると制御部70が判定した場合、すなわちステップS4においてNOの場合には、処理はステップS2に戻り、制御部70は再度キーオフ延長の判定を行う。
【0037】
水素注入口54に充填プラグが挿入され、注入口スイッチ53がオフからオンに切り替わった場合、すなわちステップS4においてYESの場合には、処理はステップS5に進む。ステップS5において、制御部70は燃料電池システムの静音制御であるサイレント終了モードの処理を行う。図4は、図2に示すサイレント終了モードのタイミングチャートである。ステップ3の通常終了モード(図3参照)で説明したように、キースイッチ71がオフに切り替わったタイミングの時間T1では、注入口スイッチ53はオフ、水素循環ポンプ48はDuty比D1、エア流量は0(NL/min)、インジェクタ47の駆動許可はオン、排気排水バルブ51は閉状態となるように制御されている。
【0038】
次に、キーオフ延長時間が経過する時間T2以前である時間T7において、水素注入口54(図1参照)に充填プラグが挿入され注入口スイッチ53がオンに切り替わったことを制御部70が検知したときには、制御部70は水素循環ポンプ48のDuty比を0%に制御し、インジェクタ47の駆動許可をオンからオフに切り替えてインジェクタ47を停止する。これにより、燃料電池スタック10のアノードAへの水素の供給が停止する。また、制御部70はエアコンプレッサ23、モータ24及びインバータ25を駆動せず、燃料電池スタック10のアノードAへのエア流量は0(NL/min)に保たれる。こうしてステップ5のサイレント終了モードでは、ステップ3の通常終了モードで行ったような燃料電池スタック10の掃気処理を行わずに、燃料電池システム100の動作を終了する。
【0039】
燃料電池システム100の静音制御であるサイレント終了モードでは、燃料電池スタック10の掃気処理を行わずに燃料電池システム100を停止するため、作業者がキースイッチ71をオフに切り替えた後に、エアコンプレッサ23、モータ24、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48といった駆動音の比較的大きな補機類が駆動しない。このため、作業者がキースイッチ71をオフに切り替えた時間T1からキーオフ延長時間が経過する時間T2までの間に、水素注入口54に充填プラグを挿入した場合に燃料電池システム100から駆動音が生じて作業者に違和感を与えるということを防止することができる。また、モータ24を駆動するインバータ25も駆動しないため、インバータ25の駆動音も発生せず、さらに燃料電池システム100の駆動音を抑えることができる。
【0040】
このように、本実施の形態に係る燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10に供給される水素を貯留する水素タンク42と、燃料電池スタック10に空気と水素とを供給する補機であるエアコンプレッサ23、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48と、燃料電池スタック10、エアコンプレッサ23、モータ24、インバータ25、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48を制御する制御部70と、オンのときに燃料電池スタック10は発電し、オフのときに燃料電池スタック10は発電を停止するキースイッチ71と、水素タンク42に水素が充填されることを検出する注入口スイッチ53とを備える。そして、制御部70は、キースイッチ71がオンからオフに切り替えられた後、キーオフ延長時間に、注入口スイッチ53が水素タンク42に水素が充填されることを検出したときには、エアコンプレッサ23、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48の作動音を低下させる静音制御を行うため、燃料電池システム100が短時間停止状態のときに、作業者が水素タンク42に燃料を充填する操作をしたときに、作業者に違和感を与えずにシステムの終了処理を行うことができる。
【0041】
また、補機は燃料電池スタック10に空気を供給するためのエアコンプレッサ23と、水素タンク42から燃料電池スタック10に燃料を供給するための水素循環ポンプ48とを含み、制御部70は、静音制御を行うときにエアコンプレッサ23及び水素循環ポンプ48を停止するため、駆動音の大きい補機を停止することでより効果的に作業者に違和感を与えない静音制御をすることができる。
【0042】
また、水素タンク42に燃料を供給する水素注入口54をさらに有し、注入口スイッチ53は、水素注入口54に設けられ、水素を充填するための充填ノズルが挿入されたことを検出する注入口スイッチ53であるため、簡単な構成で水素タンク42に水素が充填されることを検出することができる。
【0043】
なお、この実施の形態1ではステップS5のサイレント終了モードにおいて、制御部70は水素循環ポンプ48のDuty比を0%に制御していたが、水素循環ポンプ48の駆動音が作業者に違和感を与えない程度のDuty比に制御部70が水素循環ポンプ48を制御してもよい。例えば、ステップS3の通常終了モードにおけるDuty比であるD2(40%)の約3分の1、すなわち12%のDuty比で動作するように制御部70が水素循環ポンプ48を制御してもよい。また、ステップS5のサイレント終了モードにおいて、制御部70はエアコンプレッサ23、モータ24及びインバータ25を停止する制御をしていたが、エアコンプレッサ23、モータ24及びインバータ25の駆動音が作業者に違和感を与えない程度のエア流量となるように、エアコンプレッサ23、モータ24及びインバータ25を制御部70が制御してもよい。さらに、ステップS5のサイレント終了モードにおいて、制御部70はインジェクタ47の駆動許可をオフにしてインジェクタ47を停止していたが、インジェクタ47の駆動音が作業者に違和感を与えない程度に制御部70がインジェクタ47を制御してもよい。このような制御であっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、この実施の形態では水素タンク42に水素が充填されることを検出するため、充填検出部として注入口スイッチ53を有していたが、これ以外の手段で水素タンク42に水素が充填されることを検出してもよい。例えば、図示しない水素充填設備と燃料電池システム100の制御部70との間で無線通信を行い、水素タンク42に水素が充填されるという情報が水素充填設備から制御部70に送信されるものであってもよい。
【0045】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2に係る燃料電池システムを説明する。なお、実施の形態2において、実施の形態1の図1図4の参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるのでその詳細な説明は省略する。この実施の形態2の燃料電池システムは、システムを強制終了する制御をすることができる燃料電池システムである。
図5は、実施の形態2に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。ステップS1においてキースイッチ71(図1参照)がオフに切り替わった後、処理は、ステップS6に進む。ステップS6の強制終了操作判定においては、制御部70は作業者がキースイッチ71に対し強制終了操作を行ったか否かを判定する。この強制終了操作は予め設定された、キースイッチ71に対する特定の操作であり、この実施の形態2では時間T1から時間T2までの間、すなわちキーオフ延長時間の経過前に、作業者がキースイッチ71を5秒以内に2回連続でオフに切り替える操作である。なお、強制終了操作はこの操作に限定されない。
【0046】
ステップS6において作業者によって強制終了操作が行われなかったと制御部70が判定した場合、すなわちNOの場合には、処理はステップS2に進みキーオフ延長判定の処理が行われる。一方、ステップS6において作業者によって強制終了操作がされたと制御部70が判定した場合、すなわちYESの場合には、処理はステップS7に進む。ステップS7では、制御部70は強制終了モードの処理を行う。強制終了モードでは、制御部70は燃料電池システム100のエアコンプレッサ23、モータ24、インバータ25、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48を含む補機を強制終了して、燃料電池システム100を強制終了する。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0047】
このように、燃料電池スタック10と、燃料電池スタック10に供給される燃料を貯留する水素タンク42と、燃料電池スタック10に空気と水素とを供給する補機であるエアコンプレッサ23、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48と、燃料電池スタック10、エアコンプレッサ23、モータ24、インバータ25、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48を制御する制御部70と、オンのときに燃料電池スタック10は発電し、オフのときに燃料電池スタック10は発電を停止するキースイッチ71とを備え、制御部70は、キーオフ延長時間に、キースイッチ71が5秒以内に2回連続でオンからオフに切り替えられたときには、エアコンプレッサ23、モータ24、インジェクタ47及び水素循環ポンプ48といった補機を停止する強制終了制御を行うことで、作業者が燃料電池システム100のメンテナンスを行う等の理由で即時燃料電池システム100を停止することを要する場合に、燃料電池システム100の駆動音を抑制し、作業者に違和感を与えずに作業者の操作により強制的に燃料電池システム100の終了処理を行うことができる。
【0048】
なお、この実施の形態2では、作業者がキースイッチ71を5秒以内に2回連続でオフに切り替える強制終了操作を作業者が行うことでステップS7の強制終了モードの処理により燃料電池システム100を強制終了することができたが、強制終了操作のキースイッチ71の操作はこれ以外の操作であってもよい。例えば、キースイッチ71をオフにする回数は、例えば3回連続オフに切り替える等の任意の回数であってもよいし、強制終了操作を受け付ける時間をT1から10秒以内としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 燃料電池スタック、23 エアコンプレッサ(補機)、24 モータ(補機)、25 インバータ(補機)、42 水素タンク(燃料タンク)、47 インジェクタ(補機)、48 水素循環ポンプ(補機)、53 注入口スイッチ(充填検出部)、54 水素注入口(燃料注入口)、70 制御部、71 キースイッチ(キー検出部)。
図1
図2
図3
図4
図5