【解決手段】同軸コネクタ10は、同軸ケーブルCbの端末に接続したジャック1、ジャック1を導入できる端子収容室2rを内部に有する外部ハウジング2、及び、ジャック1を端子収容室2rの内部に係止するリテーナ3a・3bを備える。ジャック1は、外部コンタクト14の外周方向に突出した輪帯143を有する。リテーナ3a・3bは、輪帯143に背面側から当接して、輪帯143を抜け止めする係止片31dを形成している。リテーナ3a・3bを外部ハウジング2の導入開口2hに圧入すると、潰しリブ31rは塑性変形するが、係止片31dが輪帯143に背面側から当接することで、外部ハウジング2から輪帯143が後退する方向に移動することを阻止できる。
中心導体、この中心導体を包囲する誘電体、この誘電体を覆う外部導体、及び、この外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した円筒状の端子組立体と、
前記端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアームを有する外部ハウジングと、
前記端子組立体を前記端子収容室の内部に係止するリテーナと、備え、
前記端子組立体は、外部コンタクトを有し、
前記外部コンタクトは、
基端部側に形成し、前記外部導体と接続自在な外部導体接続部と、
先端部側に形成し、相手側外部コンタクトと接続自在なコンタクト接続部と、
中間部に形成し、外周方向に突出した方形の輪帯と、を有し、
前記外部ハウジングは、
前記端子収容室に形成し、前記外部コンタクトを外周方向から保持する溝部と、
前記リテーナを圧入可能に前記外部ハウジングの外面に開口し、前記端子収容室に連通した矩形の導入開口と、を有し、
前記リテーナは、
前記溝部と反対側から前記輪帯に当接して前記輪帯を抜け止めする係止片と、
前記外部ハウジングから前記輪帯が後退する方向に移動することを阻止可能に、一方の側面から突出した一つ以上の潰しリブと、を有している、同軸コネクタ。
前記外部ハウジングは、一対一組の前記端子組立体を前記端子収容室に収容していると共に、一対の前記リテーナを圧入可能に、前記導入開口を両側面に開口している、請求項1から3のいずれかに記載の同軸コネクタ。
【背景技術】
【0002】
一方の同軸ケーブルの端末に固定した一方の端子組立体(例えば、ジャック)と、他方の同軸ケーブルの端末に固定し他方の端子組立体(例えば、プラグ)を接続することで、高周波信号を一方の同軸ケーブルから他方の同軸ケーブルに伝送できる。又は、高周波信号を他方の同軸ケーブルから一方の同軸ケーブルに伝送できる。
【0003】
一般に、同軸ケーブルは、円形の中心導体、中心導体の周囲を囲うフッ素系樹脂などの誘電体、誘電体の周囲を囲う編組線などの外部導体、及び、外部導体を被覆保護する絶縁シースで構成している。
【0004】
又、従来のプラグなどの端子組立体は、円筒状の外部コンタクトと中心コンタクトを備えている。外部コンタクトと中心コンタクトの間には、インシュレータが介在されている。外部コンタクトは、その一端部側に圧着部を有している。又、外部コンタクトは、インシュレータを介して、他端部側に中心コンタクトを同軸上に配置している。
【0005】
誘電体の周囲を囲う編組線などの外部導体を絶縁シースの周囲に折り返した状態で、つまり、同軸ケーブルを端末処理した状態で、絶縁シースの外部から外部導体を外部コンタクトの圧着部を圧着することで、外部コンタクトと外部導体を電気的に接続できると共に、同軸ケーブルの端末に端子組立体を固定できる。
【0006】
例えば、同軸ケーブルの端末に端子組立体を固定した同軸コネクタであって、部品点数を抑制し、高周波信号の伝送特性を向上した同軸コネクタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1による同軸コネクタは、同軸ケーブルの端末に接続した端子組立体と、端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有するロック機構付きの外部ハウジングと、端子組立体を端子収容室の内部に係止するリテーナを備えている。そして、端子組立体を構成する外部コンタクトには、外周方向に突出した方形の輪帯を形成し、端子収容室には、輪帯を外部ハウジングから抜け止めするハウジングランスを形成している。又、リテーナには、輪帯を外部ハウジングから抜け止めする係止片を設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図11は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す図であり、
図11(A)は、同軸コネクタの斜視図、
図11(B)は、同軸コネクタの正面図、
図11(C)は、
図11(B)のB−B矢視断面図、
図11(D)は、
図11(B)のC−C矢視断面図である。
【0010】
図12は、従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。なお、本願の
図11と
図12は、特許文献1の
図1と
図2に相当している。
【0011】
図11又
図12を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9は、円筒状の端子組立体(以下、ジャックという)91、直方体状の外部ハウジング92、及び、絶縁性を有するリテーナ93を備えている。ジャック1は、同軸ケーブルCbの端末に接続している。
【0012】
図11(C)又は
図11(D)を参照すると、外部ハウジング92は、ジャック91を導入できる端子収容室92rを内部に有している。又、外部ハウジング92は、図示しない相手側外部ハウジングに係止自在なロックアーム92aを上部に有している。リテーナ93は、ジャック91を端子収容室92rの内部に係止できる。
【0013】
図11は
図12を参照すると、ジャック91は、金属スリーブ911と中心コンタクト912を備えている。又、ジャック91は、円筒状のインシュレータ913と円筒状の外部コンタクト914を備えている(
図1(C)又は
図1(D)参照)。金属スリーブ911は、絶縁シースWiを剥離した同軸ケーブルCbの端末を内部に導入し、外部導体Wbを圧着できる。中心コンタクト912は、その基端部を中心導体Wcに接続している。
【0014】
図1(C)又は
図1(D)を参照すると、インシュレータ913は、中心コンタクト912を中心部に保持している。外部コンタクト914は、インシュレータ913を内部に保持している。外部コンタクト914は、外部導体接続部941、コンタクト接続部942、及び、方形の輪帯943を連続して形成している。
【0015】
図1(C)又は
図1(D)を参照すると、外部導体接続部941は、外部コンタクト914の基端部側に形成している。外部導体接続部941は、外部導体Wbと誘電体Diの間に挿入されている。そして、金属スリーブ911の軸部91sを圧着することで、同軸ケーブルCbの端末にジャック91を固定でき、外部導体Wbと外部コンタクト914を電気的に接続できる。
【0016】
図11は
図12を参照すると、コンタクト接続部942は、外部コンタクト914の先端部側に形成している。コンタクト接続部942は、図示しない相手側外部コンタクトと接続できる。輪帯943は、外部コンタクト914の中間部に形成している。輪帯943は、外部コンタクト914の外周方向に突出している。
【0017】
一方、
図11(C)を参照すると、外部ハウジング92は、ハウジングランス921を底部に有している。
図11(C)又は
図11(D)を参照して、コンタクト接続部942を先頭に、ジャック91を端子収容室92rに挿入すると、輪帯943がハウジングランス921の係止爪を押し下げることができる。輪帯943が端子収容室92rの奥壁に当接した状態では、ハウジングランス921の係止爪が弾性復帰して、輪帯943を抜け止めできる。
【0018】
又、
図12を参照すると、外部ハウジング92は、一対の係止穴92h・92hを有している。一対の係止穴92h・92hは、端子収容室92rに連通すると共に、外部ハウジング92の一方の面から他方の面に向けて貫通している。
【0019】
一方、
図12を参照すると、リテーナ93は、二股に分岐した一対の係止爪片93d・93dを有している。一対の係止爪片93d・93dは、外部ハウジング92の係止穴92h・92hに挿入できる。
図11(D)又は
図2を参照して、係止爪片93dは、リテーナ93を外部ハウジング92に装着した状態で、輪帯943の他方の面に当接して、輪帯943を抜け止めする部分円弧状の係止片931を有している。
【0020】
図11又は
図12を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9は、同軸ケーブルCbの端末に接続したジャック91と、ジャック91を導入できる端子収容室92rを内部に有するロックアーム92a付きの外部ハウジング92と、ジャック91を端子収容室92rの内部に係止するリテーナ93で同軸コネクタを構成し、外部コンタクト914には、外周方向に突出した方形の輪帯943を中間部に設け、端子収容室92rには、輪帯943を抜け止めするハウジングランス921を設け、リテーナ93には、輪帯943を抜け止めする係止片931を設けることで、部品点数を抑制できる。
【0021】
図11は
図12を参照すると、従来技術による同軸コネクタ9は、外部コンタクト914には、外周方向に突出した方形の輪帯943を中間部に設け、リテーナ93には、輪帯943を抜け止めする係止片931を設けることで、従来技術による同軸コネクタ9は、端子組立体の部品点数を抑制し、輪帯の数を削減することで伝送特性を向上できる、としている。
【0022】
しかしながら、従来技術による同軸コネクタは、外部ハウジング92の上面から、外部ハウジング92の係止穴92h・92hに、リテーナ93を挿入しており、外部ハウジング92の長手方向にリテーナ93が僅かに移動することが懸念される。
【0023】
外部ハウジング92の端子収容室92rに挿入された端子組立体91は、輪帯943がリテーナ93で逆止めされているが、外部ハウジング92の係止穴92h・92hとリテーナ93に隙間があるため、輪帯943が端子収容室92rの奥壁から後退する方向に移動することが懸念される。そして、これにより、インシュレータ913の先端縁と相手側コンタクトのインシュレータの先端縁との隙間が拡がり、高周波信号の伝送特性が不安定になる心配がある。
【0024】
外部ハウジングの内部に組み込まれた端子組立体が外部ハウジングから後退する方向に移動することを確実に阻止することで、高周波信号の伝送特性を安定させる同軸コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0025】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、外部ハウジングの内部に組み込まれた端子組立体が外部ハウジングから後退する方向に移動することを確実に阻止することで、高周波信号の伝送特性を安定させる同軸コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明者らは、同軸ケーブルの端末に接続した端子組立体と、端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアームを有する外部ハウジングと、端子組立体を端子収容室の内部に係止するリテーナで同軸コネクタを構成し、外部ハウジングは、端子組立体の外殻を構成する外部コンタクトを外周方向から保持する溝部を端子収容室に形成すると共に、端子収容室に連通した導入開口を形成し、リテーナには、導入開口に圧入できる潰しリブを一方の側面に有し、潰しリブは、端子組立体が外部ハウジングから後退する方向に移動することを阻止可能に、リテーナの一方の側面から突設することで、高周波信号の伝送特性を安定できると考え、これに基づいて、以下のような新たな同軸コネクタを発明するに至った。
【0027】
(1)本発明による同軸コネクタは、中心導体、この中心導体を包囲する誘電体、この誘電体を覆う外部導体、及び、この外部導体を被覆する絶縁シースを有する同軸ケーブルの端末に接続した円筒状の端子組立体と、前記端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアームを有する外部ハウジングと、前記端子組立体を前記端子収容室の内部に係止するリテーナと、備え、前記端子組立体は、外部コンタクトを有し、前記外部コンタクトは、基端部側に形成し、前記外部導体と接続自在な外部導体接続部と、先端部側に形成し、相手側外部コンタクトと接続自在なコンタクト接続部と、中間部に形成し、外周方向に突出した方形の輪帯と、を有し、前記外部ハウジングは、前記端子収容室に形成し、前記外部コンタクトを外周方向から保持する溝部と、前記リテーナを圧入可能に前記外部ハウジングの外面に開口し、前記端子収容室に連通した矩形の導入開口と、を有し、前記リテーナは、前記溝部と反対側から前記輪帯に当接して前記輪帯を抜け止めする係止片と、前記外部ハウジングから前記輪帯が後退する方向に移動することを阻止可能に、一方の側面から突出した一つ以上の潰しリブと、を有している。
【0028】
(2)前記潰しリブは、前記導入開口に圧入する一方の面側から他方の面側に向けて、突出量を漸増していることが好ましい。
【0029】
(3)前記リテーナは、前記導入開口に挿入容易なテーパを前記一方の側面に形成していることが好ましい。
【0030】
(4)前記外部ハウジングは、一対一組の前記端子組立体を前記端子収容室に収容していると共に、一対の前記リテーナを圧入可能に、前記導入開口を両側面に開口していることが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明による同軸コネクタは、同軸ケーブルの端末に接続した端子組立体と、端子組立体を導入できる端子収容室を内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアームを有する外部ハウジングと、端子組立体を端子収容室の内部に係止するリテーナと、を備え、外部ハウジングは、外部コンタクトを外周方向から保持する溝部を端子収容室に形成すると共に、端子収容室に連通した導入開口を形成し、リテーナには、導入開口に圧入できる潰しリブを一方の側面に有し、潰しリブは、端子組立体が外部ハウジングから後退する方向に移動することを阻止可能に、リテーナの一方の側面から突出することで、高周波信号の伝送特性を安定できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による同軸コネクタの構成を示す斜視図であり、
図1(A)は、同軸コネクタを前面側か観た状態図、
図1(B)は、同軸コネクタを背面側か観た状態図である。
【
図2】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【
図3】前記実施形態による同軸コネクタに備わる端子組立体の構成を示す図であり、
図3(A)は、端子組立体の斜視図、
図3(B)は、端子組立体の平面図、
図3(C)は、端子組立体の左側面図、
図3(D)は、
図3(C)のA−A矢視断面図である。
【
図4】前記実施形態による同軸コネクタに備わる外部ハウジングの構成を示す図であり、
図4(A)は、外部ハウジングの正面図、
図4(B)は、外部ハウジングの平面図、
図4(C)は、外部ハウジングの右側面図、
図4(D)は、外部ハウジングの左側面図、
図4(E)は、外部ハウジングの斜視図である。
【
図5】前記実施形態による同軸コネクタに備わる端子組立体の構成を示す斜視図であり、第1の端子組立体は、中心コンタクトの基端部に中心導体を圧着した状態図、第2の端子組立体は、インシュレータの内部に中心コンタクトを組み込んだ状態図、第3及び第4の端子組立体は、金属スリーブの軸部を同軸ケーブルの外部導体に圧着した状態図をそれぞれ示している。
【
図6】前記実施形態による同軸コネクタに備わるリテーナの構成を示す斜視図であり、一対のリテーナを対向配置した状態である。
【
図7】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す拡大図であり、
図7(A)は、同軸コネクタの左側面図、
図7(B)は、
図7(A)のA−A矢視断面図である。
【
図8】前記実施形態による同軸コネクタの構成を示す拡大図であり、
図8(A)は、一対のリテーナを外部ハウジングの導入開口に圧入する前の状態図、
図8(B)は、一対のリテーナを外部ハウジングの導入開口に圧入した状態図である。
【
図9】前記実施形態による同軸コネクタと相手側同軸コネクタを接続した状態図であり、
図9(A)は、同軸コネクタ対の斜視図、
図9(B)は、同軸コネクタ対の正面図、
図9(C)は、同軸コネクタ対の右側面図である。
【
図10】前記実施形態による同軸コネクタと相手側同軸コネクタを接続した状態を拡大した横断面図である。
【
図11】従来技術による同軸コネクタの構成を示す図であり、
図11(A)は、同軸コネクタの斜視図、
図11(B)は、同軸コネクタの正面図、
図11(C)は、
図11(B)のB−B矢視断面図、
図11(D)は、
図11(B)のC−C矢視断面図である。
【
図12】従来技術による同軸コネクタの構成を示す斜視分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[同軸コネクタの構成]
最初に、本発明の一実施形態による同軸コネクタの構成を説明する。
【0034】
(全体構成)
図1又
図2を参照すると、本発明の一実施形態による同軸コネクタ10は、四つの円筒状の端子組立体(以下、ジャックという)1、直方体状の外部ハウジング2、及び、絶縁性を有する一対のリテーナ3a・3bを備えている。ジャック1は、同軸ケーブルCbの端末に接続している(
図2又は
図3参照)。
【0035】
図2又は
図7(B)及び
図8を参照すると、外部ハウジング2は、ジャック1を導入できる端子収容室2rを内部に有している。又、
図2を参照すると、外部ハウジング2は、コアハウジング21と位置決め保証部材(以下、CPAという)22を有している。
【0036】
図2又は
図7(B)及び
図8を参照すると、コアハウジング21は、外部ハウジング2の後面側から端子収容室2rに挿入できる。コアハウジング21を端子収容室2rに挿入した状態では、四つのジャック1を区画している。又、コアハウジング21は、一対の半円弧状の溝部21d・21dを相反する向きに形成している(
図2参照)。溝部21dには、外部コンタクト14を外周方向から保持できる。一対の溝部21d・21dは、端子収容室2rに形成しているということもできる。
【0037】
図2又は
図7(B)を参照すると、CPA22は、外部ハウジング2の後面側から端子収容室2rに挿入できる。CPA22は、外部ハウジング2に仮係止されており(
図1参照)、相手側同軸コネクタ8と同軸コネクタ10が嵌合されると、本係止位置まで可動させることができるようになり(
図9参照)、コネクタの半嵌合を防止すると共に、本係止位置ではコネクタの嵌合ロックの変位を規制し、コネクタの抜け防止となる。一対のリテーナ3a・3bは、ジャック1を端子収容室2rの内部に係止できる(
図8(B)参照)。
【0038】
図2又は
図3及び
図5を参照すると、ジャック1は、金属スリーブ11と中心コンタクト12を備えている。又、ジャック1は、円筒状のインシュレータ13と円筒状の外部コンタクト14を備えている。金属スリーブ11は、絶縁シースWiを剥離した同軸ケーブルCbの端末を内部に導入し、外部導体Wbを圧着できる。中心コンタクト12は、その基端部を中心導体Wcに接続している。
【0039】
図2又は
図3及び
図5を参照すると、インシュレータ13は、中心コンタクト12を中心部に保持している。外部コンタクト14は、インシュレータ13を内部に保持している。外部コンタクト14は、外部導体接続部141、コンタクト接続部142、及び、方形の輪帯143を連続して形成している。
【0040】
図2又は
図3及び
図5参照すると、外部導体接続部141は、外部コンタクト14の基端部側に形成している。外部導体接続部141は、外部導体Wbと誘電体Diの間に挿入されている。そして、金属スリーブ11の軸部11sを圧着することで、同軸ケーブルCbの端末にジャック1を固定でき、外部導体Wbと外部コンタクト14を電気的に接続できる。
【0041】
図1から
図3を参照すると、コンタクト接続部142は、外部コンタクト14の先端部側に形成している。コンタクト接続部142は、図示しない相手側外部コンタクトと接続できる。コンタクト接続部142は、外周に切り込みを有さないクローズドエントリで構成しているが、コンタクト接続部142は、一つ以上の切り込みを外周に切り欠いたオープンエントリで構成することもできる。輪帯143は、外部コンタクト14の中間部に形成している。輪帯143は、外部コンタクト14の外周方向に突出している。
【0042】
又、
図2又は
図4(A)を参照すると、外部ハウジング2は、一対の矩形の導入開口2h・2hを両側面に開口している。一対の導入開口2h・2hは、端子収容室2rに連通している。一対の導入開口2h・2hには、リテーナ3a・3bを圧入できる。
【0043】
図2又は
図6及び
図8を参照すると、リテーナ3a・3bは、輪帯143に背面側から当接して、輪帯143を抜け止めする係止片31dを形成している。係止片31dは、実体として、コアハウジング21の溝部21d(
図2参照)と反対側から、外部コンタクト14を外周方向から保持できる半円弧状の溝部3dに形成した半円弧状の段差である。
【0044】
又、
図6又は
図8(A)を参照すると、リテーナ3a・3bは、一方の側面から突出した一対の三角錐体状の潰しリブ31r・31rを形成している。一対の潰しリブ31r・31rは、リテーナ3a・3bの一方の側面の略中央部に離隔して形成している。又、潰しリブ31rは、外部ハウジング2の導入開口2hに圧入する一方の面側から他方の面側に向けて、突出量を漸増している。
【0045】
図8を参照して、リテーナ3a・3bを外部ハウジング2の導入開口2hに圧入すると、潰しリブ31rは塑性変形するが、係止片31dが輪帯143に背面側から当接することで、外部ハウジング2から輪帯143が後退する方向に移動することを阻止できる。
【0046】
又、
図6又は
図8(A)を参照すると、リテーナ3a・3bは、下り傾斜したテーパ31tを一方の側面に形成している。テーパ31tは、潰しリブ31rを除く一方の側面の全面に亘り形成されている。テーパ31tをリテーナ3a・3bの一方の側面に形成することで、リテーナ3a・3bを外部ハウジング2の導入開口2hに容易に挿入できる。
【0047】
図1から
図8を参照すると、実施形態による同軸コネクタ10は、同軸ケーブルCbの端末に接続した端子組立体1と、端子組立体1を導入できる端子収容室2rを内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアーム22aを有する外部ハウジング2と、端子組立体1を端子収容室2rの内部に係止するリテーナ3a・3bと、を備え、外部ハウジング2は、外部コンタクト14を外周方向から保持する溝部21dを端子収容室2rに形成すると共に、端子収容室2rに連通した導入開口2hを形成し、リテーナ3a・3bには、導入開口2hに圧入できる潰しリブ31rを一方の側面に有し、潰しリブ31rは、端子組立体1が外部ハウジング2から後退する方向に移動することを阻止可能に、リテーナ3a・3bの一方の側面から突設することで、高周波信号の伝送特性を安定できる。
【0048】
(金属スリーブの構成)
次に、実施形態による金属スリーブ11の構成を説明する。
図2又は
図3及び
図5を参照すると、金属スリーブ11は、電導性を有する円筒状の金属部材からなることが好ましく、圧着可能な軸部11sとフランジ部11fを備えている。軸部11sは、その外周方向から圧縮することで、外部導体接続部141を介して、同軸ケーブルCbの外部導体Wbを圧着できる。
【0049】
図2又は
図3及び
図5を参照すると、フランジ部11fは、軸部11sの端部に形成している。フランジ部11fは、コアハウジング21の溝部21dに外周方向から嵌合できる(
図2参照)。
図3を参照して、外部コンタクト14の基端部にフランジ部11fを固定した状態で、コアハウジング21と共に、フランジ部11fを端子収容室2rの内部に導入すると(
図7(B)又は
図8参照)、外部ハウジング2に対して、金属スリーブ11の外周方への振れを抑制できる。
【0050】
(中心コンタクトの構成)
次に、実施形態による中心コンタクト12の構成を説明する。
図3(D)又は
図5を参照すると、中心コンタクト12は、導電性を有する金属筒からなることが好ましく、圧着部12cを基端部に有している。同軸ケーブルCbの中心導体Wcに、圧着部12cを圧着することで、中心コンタクト12と中心導体Wcを電気的に接続できる。
【0051】
図3(D)又は
図5を参照すると、実施形態による中心コンタクト12は、筒状のいわゆる雌コンタクトで構成しているが、中心コンタクト12は、ピン状のいわゆる雄コンタクトで構成することもできる。
【0052】
(端子組立体の組立方法)
次に、実施形態によるジャック1の組立方法を説明する。最初に、同軸ケーブルCbの端面から絶縁シースWiを所定の長さで剥離すると共に、誘電体Diの端面から外部導体Wbを所定の長さで剥離し、誘電体Diの端面から中心導体Wcを所定の長さで突出するように、中心導体Wcを切断する(第1工程)。
【0053】
次に、端末処理した同軸ケーブルCbに、金属スリーブ11を挿通しておく。この場合、金属スリーブ11は、同軸ケーブルCbの絶縁シースWi側に移動しておくことが好ましい(第2工程)。
【0054】
次に、同軸ケーブルCbの中心導体Wcに、圧着部12cを圧着して、中心コンタクト12を中心導体Wcに固定する(第3工程)。次に、インシュレータ13を外部コンタクト14の内部に組み込んだ状態で、外部コンタクト14の背後からインシュレータ13の内部に、中心コンタクト12を挿入する(第4工程)。
【0055】
次に、中心コンタクト12をインシュレータ13の内部に更に挿入すると共に、外部導体Wbと絶縁シースWiの間に外部導体接続部141を挿入しておく(第5工程)。次に、金属スリーブ11を外部コンタクト14に向かって移動し、外部コンタクト14と外部導体接続部141の段差にフランジ部11fを突き当てる(第6工程)。
【0056】
次に、金属スリーブ11の軸部11sを外周方向から圧縮する(第7工程)。そして、一連の組立工程を終了する。
図2に示した状態では、外部導体接続部141を介して、同軸ケーブルCbの外部導体Wbを圧着している。
【0057】
(同軸コネクタの組立方法)
次に、実施形態による同軸コネクタ10の組立方法を説明する。最初に、
図2を参照して、ジャック1をその外周方向からコアハウジング21の溝部21dに組み付ける。次に、四つのジャック1をコアハウジング21に組み込んだ状態で、四つのジャック1付きコアハウジング21を外部ハウジング2の後面側から端子収容室2rに挿入する。これにより、四つのジャック1を外部ハウジング2の内部に保持できる。又、
図2を参照して、CPA22を外部ハウジング2の後面側から端子収容室2rの上部にプリセット(仮挿入する)。
【0058】
図2を参照して、次に、四つのジャック1を外部ハウジング2の内部に保持した状態で、外部ハウジング2の両側面からリテーナ3a・3bを圧入する(
図8(B)参照)。これにより、外部ハウジング2から輪帯143が後退する方向に移動することを阻止できる。そして、一連の組立作業を終了する。
【0059】
(同軸コネクタ対の構成)
次に、実施形態による同軸コネクタ10と相手側同軸コネクタ8を接続した同軸コネクタ対の構成を説明する。
【0060】
図9を参照すると、実施形態による同軸コネクタ対は、同軸コネクタ10が同軸ケーブルCbの端末に接続したケーブルコネクタであり、相手側同軸コネクタ(以下、同軸コネクタと略称する)8を図示しないプリント基板に実装されるプリント基板用コネクタで構成している。
【0061】
図9を参照して、同軸コネクタ10と同軸コネクタ8を接続した状態では、高周波信号を同軸ケーブルCbからプリント基板に伝送できる。又は、高周波信号をプリント基板から一方の同軸ケーブルに伝送できる。
【0062】
図9又は
図10を参照すると、同軸コネクタ8は、導電性を有するブロック状の外部導体82、複数の筒状のインシュレータ813、及び、インシュレータ813の内部に保持された中心コンタクト812を備えている。
【0063】
図9を参照すると、外部導体82は、複数の脚部8fを底面から突出している。複数の脚部8fをプリント基板に開口したスルーホールに挿入すると共に、ハンダ接合することで、同軸コネクタ8のプリント基板への接合強度を増強できる。又、
図10を参照すると、外部導体82は、外部コンタクト14と電気的に接続している。複数の脚部8fをプリント基板に形成したグラウンドパターンにハンダ接合することで、外部導体Wbとプリント基板を電気的に接続できる。
【0064】
図10を参照すると、インシュレータ813は、外部導体82と中心コンタクト812を電気的に絶縁している。中心コンタクト812は、その先端部が中心コンタクト12と電気的に接続している。又、中心コンタクト812は、その基端部が外部導体82の底面から突出している。中心コンタクト812の基端部をプリント基板に形成した信号パターンにハンダ接合することで、中心導体Wcとプリント基板を電気的に接続できる。
【0065】
図10を参照すると、インシュレータ13の先端縁とインシュレータ813の先端縁は、所定の隙間Cを設けて、対向配置されている。実施形態による同軸コネクタ10は、端子組立体1が外部ハウジング2から後退する方向に移動することを阻止可能に構成しているので、インシュレータ13とインシュレータ813の隙間Cが拡がることを抑制できる。これにより、高周波信号の伝送特性を安定させることができる。
【0066】
又、CPA22は、外部ハウジング2に仮係止されており(
図1参照)、相手側同軸コネクタ8と同軸コネクタ10が嵌合されると、本係止位置まで可動させることができるようになり(
図9参照)、コネクタの半嵌合を防止すると共に、本係止位置ではコネクタの嵌合ロックの変位を規制し、コネクタの抜け防止となる。
[同軸コネクタの作用]
次に、実施形態による同軸コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0067】
図1から
図8を参照すると、実施形態による同軸コネクタ10は、同軸ケーブルCbの端末に接続した端子組立体1と、端子組立体1を導入できる端子収容室2rを内部に有し、相手側外部ハウジングに係止自在なロックアーム22aを有する外部ハウジング2と、端子組立体1を端子収容室2rの内部に係止するリテーナ3a・3bと、を備え、外部ハウジング2は、外部コンタクト14を外周方向から保持する溝部21dを端子収容室2rに形成すると共に、端子収容室2rに連通した導入開口2hを形成し、リテーナ3a・3bには、導入開口2hに圧入できる潰しリブ31rを一方の側面に有し、潰しリブ31rは、端子組立体1が外部ハウジング2から後退する方向に移動することを阻止可能に、リテーナ3a・3bの一方の側面から突設することで、高周波信号の伝送特性を安定できる。
【0068】
又、
図6又は
図8(A)を参照すると、リテーナ3a・3bは、下り傾斜したテーパ31tを一方の側面に形成している。テーパ31tは、潰しリブ31rを除く一方の側面の全面に亘り形成されている。テーパ31tをリテーナ3a・3bの一方の側面に形成することで、リテーナ3a・3bを外部ハウジング2の導入開口2hに容易に挿入できる。
【0069】
図6又は
図8(A)を参照すると、リテーナ3a・3bは、一方の側面から突出した一対の三角錐体状の潰しリブ31r・31rを形成しているが、潰しリブ31rは、リテーナ3a・3bの一方の側面から突出したボス又は爪片などのディテントで構成することもできる。
【0070】
又、実施形態による同軸コネクタ10は、複数の同軸ケーブルCbを備えた多芯同軸ケーブルを開示したが、本発明による技術的思想を応用すれば、単芯同軸ケーブルを構成することもできる。
【0071】
更に、実施形態による同軸コネクタ10は、外部コンタクト14を半円弧状の溝部で保持しているが、半円弧状の溝部を方形の溝部に変形することもできる。又、実施形態による同軸コネクタ10は、外部ハウジング2とコアハウジング21を別体で構成しているが、外部ハウジング2及びコアハウジング21の形状を工夫することで、外部ハウジング2とコアハウジング21を一体で構成できる。