【解決手段】TVSダイオード1は、n型半導体層6と、n型半導体層6上に形成されたp型半導体層10と、p型半導体層10の表層部に形成されたn型のダイオード領域41と、ダイオード領域41と間隔を空けてp型半導体層10の表面とn型半導体層6との間の領域に形成されたn型のコンタクト領域31,33A.33Bと、p型半導体層10の表面上に形成された表面絶縁膜50と、コンタクト領域31,33A.33Bに電気的に接続されるように、表面絶縁膜50上に配置された第1電極61,21と、ダイオード領域41に電気的に接続されるように、表面絶縁膜50上に配置された第2電極62,22とを含む。
前記ダイオード領域と前記p型半導体層とによって第1ダイオードが形成され、前記p型半導体層と前記n型半導体層とによって、前記p型半導体層を介して前記第1ダイオードに逆直列接続された第2ダイオードが形成されている、請求項1に記載のTVSダイオード。
前記第1方向用ダイオード領域と前記第1p型領域とによって第1ダイオードが形成され、前記第1p型領域と前記n型半導体層とによって、前記第1p型領域を介して前記第1ダイオードに逆直列接続された第2ダイオードが形成され、
前記第1ダイオードと前記第2ダイオードとによって第1方向用ダイオードが形成され、
前記第2方向用ダイオード領域と前記第2p型領域とによって第2方向用ダイオードが形成されている、請求項9に記載のTVSダイオード。
前記第1ダイオード領域、前記第2ダイオード領域および前記コンタクト領域のn型不純物がリンまたはヒ素である、請求項9〜13のいずれか一項に記載のTVSダイオード。
前記ダイオード領域と前記p型半導体層とによって、カソードが前記第2電極膜に電気的に接続された第1ダイオードが形成され、前記p型半導体層と前記n型半導体層とによって、前記p型半導体層を介して前記第1ダイオードに逆直列接続され、カソードが前記コンタクト領域を介して前記第1電極膜に電気的に接続された第2ダイオードが形成されてる、請求項18に記載のTVSダイオードの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[1]第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係るTVSダイオードの模式的な斜視図である。
図2は、
図1のTVSダイオードの平面図である。
図3は、
図2のIII−III線に沿う図解的な断面図である。
図4は、
図2のIV−IV線に沿う図解的な断面図である。
図5は、
図2のV−V線に沿う図解的な断面図である。
図6は、
図4のVI−VI線に沿う方向から見た平面図ある。
図7は、
図4のVII−VII線に沿うに沿う方向から見た平面図である。
図8は、
図4のVIII−VIII線に沿う方向から見た平面図である。なお、
図1では、第1外部電極21および第2外部電極22の表面の凹凸を省略している。
【0018】
図1〜
図5を参照して、第1実施形態に係るTVSダイオード1は、略直方体形状の基体2を含む。基体2は、第1主面3と、その反対側に位置する第2主面4と、第1主面3と第2主面4とを接続する側面5A〜5Dを有している。基体2の第1主面3および第2主面4は、いずれも第1主面3の法線方向から見た平面視において、長方形状に形成されている。基体2の側面5A〜5Dには、基体の長手方向に沿って延びる一対の長手側面5A,5Bと、基体2の短手方向に沿って延びる一対の短手側面5C,5Dとが含まれる。
【0019】
基体2は、本実施形態では、n型半導体層6と、n型半導体層6上に形成されたp型半導体層10とを含む積層構造を有している。n型半導体層6は、n
+型半導体基板7と、n
+型半導体基板7上に形成されたn型層8とを含む積層構造を有している。基体2の第1主面3は、p型半導体層10によって形成されており、基体2の第2主面4は、n
+型半導体基板7によって形成されている。
【0020】
基体2の長手方向に沿う長辺の長さL1は、例えば0.4mm〜2mmである。短手方向に沿う短辺の長さL2は、例えば0.2mm〜2mmである。基体2の厚さTは、例えば0.1mm〜0.5mmである。この実施形態では、L1は0.9mm程度であり、L2は0.5mm程度であり、Tは0.3mm程度である。
n
+型半導体基板7は、例えば、シリコン基板である。n
+型半導体基板7のn型不純物は、例えばヒ素(As)である。n
+型半導体基板7のn型不純物は、リン(P)であってもよい。n
+型半導体基板7のn型不純物濃度は、例えば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3であることが好ましい。p型半導体層10のp型不純物は、例えばボロン(B)である。p型半導体層10のp型不純物濃度は、例えば、3.0×10
15cm
−3〜3.0×10
17cm
−3であることが好ましい。
【0021】
n
+型半導体基板7上にはn
+型半導体基板7の表面からシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されたn型エピタキシャル層が形成されており、n型エピタキシャル層の表層部全域に前述のp型半導体層10が形成されている。n型エピタキシャル層のうち、p型半導体層10が形成されていないn
+型半導体基板7側の領域が前述のn型層8である。
【0022】
n
+型半導体基板7の膜厚は、例えば、100μm〜500μmであり、n型層8の膜厚は、例えば、4.0μm〜7.0μmであり、p型半導体層10の膜厚は、0.5μm〜1.5μmである。n型層8の比抵抗は、例えば、0.3Ωcm以上である。
基体2の第1主面3上には、第1外部電極21と、第2外部電極22とが互いに間隔をおいて配置されている。第1外部電極21は、基体2の長手方向の一方側端部に配置されている。第2外部電極22は、基体2の長手方向の他方側端部に配置されている。第1外部電極21および第2外部電極22は、平面視で基体2の短手方向に長い長方形状である。
【0023】
図3〜
図6を参照して、基体2の第1主面3側の表層部には、p型半導体層10を複数の領域に分離するためのn型の領域分離層30が形成されている。
図6では、明瞭化のために、領域分離層30にドットを付して示し、後述するn型のダイオード領域41にクロスハッチングを付して示している。
領域分離層30は、基体2の長手方向の一方側端部に形成された第1コンタクト領域31と、基体2の長手方向の他方側端部に形成された非コンタクト領域32と、第1コンタクト領域31と非コンタクト領域32とを連結する一対の第2コンタクト領域33A,33Bとを含む。
【0024】
第1コンタクト領域31、非コンタクト領域32および第2コンタクト領域33A,33Bは、深さ方向に関し、p型半導体層10の表面とn型半導体層6との間の領域に形成されている。第1コンタクト領域31、非コンタクト領域32および第2コンタクト領域33A,33Bの底部は、n
+型半導体基板7内に位置している。つまり、第1コンタクト領域31、非コンタクト領域32および第2コンタクト領域33A,33Bは、p型半導体層10の表面からn
+型半導体基板7の厚さ途中まで延びている。
【0025】
第1コンタクト領域31は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状である。非コンタクト領域32は、平面視において、基体2の短手方向に長い矩形環状(矩形枠状)である。非コンタクト領域32は、基体2の長手方向に沿って延びた一対の第1枠部32A,32Bと、基体2の短手方向に沿って延びた一対の第2枠部32C,32Dと含む。各第2枠部32C,32Dの長さは、各第1枠部32A,32Bの長さよりも長い。
【0026】
一対の第2コンタクト領域33A,33Bは、それぞれ、平面視において、基体2の長手方向に沿って延びた帯状である。一対の第2コンタクト領域33A,33Bは、平面視において、第1コンタクト領域31における非コンタクト領域32側の縁部の両端部から、非コンタクト領域32側に向かって延び、非コンタクト領域32における第1コンタクト領域31側の第2枠部31Cに接続されている。
【0027】
領域分離層30のn型不純物は、例えば、リン(P)またはヒ素(As)である。この実施形態では、領域分離層30のn型不純物は、リンである。領域分離層30のn型不純物濃度は、例えば、1.0×10
18cm
−3〜1.0×10
21cm
−3であることが好ましい。
領域分離層30における第1コンタクト領域31ならびに第2コンタクト領域33A,33Bは、本発明の「n型のコンタクト領域」の一例である。
【0028】
p型半導体層10は、領域分離層30によって、第1領域11と、第2領域12と、その他の領域(周縁部領域)とに電気的に分離されている。
第1領域11は、第1コンタクト領域31と、一対の第2コンタクト領域33A,33Bと、非コンタクト領域32の第1コンタクト領域31側の第2枠部32Cとによって囲まれた領域である。第1領域11は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状である。
【0029】
第2領域12は、非コンタクト領域32によって囲まれた領域である。第2領域12は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状である。
第1領域11の表層部には、第1領域11の周縁部を除く中央領域に、n型のダイオード領域41が形成されている。ダイオード領域41の膜厚は、例えば、0.5μm〜2.0μmである。ダイオード領域41のn型不純物は、例えば、リン(P)またはヒ素(As)である。この実施形態では、ダイオード領域41のn型不純物は、リンである。ダイオード領域41のn型不純物濃度は、例えば1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3であることが好ましい。
【0030】
図4および
図5を参照して、ダイオード領域41および第1領域11との間の領域には、pn接合部が形成されている。ダイオード領域41および第1領域11の間のpn接合部によって、第1領域11をアノードとし、ダイオード領域41をカソードとする第1pn接合ダイオードDAが形成されている。
第1領域11およびn型半導体層6(n型層8)との間の領域には、pn接合部が形成されている。第1領域11およびn型半導体層6の間のpn接合部によって、第1領域11をアノードとし、かつn型半導体層6をカソードとする第2pn接合ダイオードDBが形成されている。第1pn接合ダイオードDAおよび第2pn接合ダイオードDBは、第1領域11を介して逆直列に接続されている。
【0031】
図3〜
図5および
図7を参照して、基体2の第1主面3には、表面絶縁膜50が形成されている。
図7では、明瞭化のため、表面絶縁膜50にドットを付して示す。
表面絶縁膜50は、基体2の第1主面3のほぼ全域を被覆している。表面絶縁膜50は、酸化膜(SiO
2膜)および窒化膜(SiN膜)のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。この実施形態では、表面絶縁膜50は、SiO
2膜からなる。また、表面絶縁膜50は、例えば、0.1μm〜2μmの厚さを有していてもよい。
【0032】
表面絶縁膜50には、表面絶縁膜50を貫通する第1〜第4コンタクト孔50a〜50dが形成されている。第1コンタクト孔50aは、第1コンタクト領域31の少なくとも一部を露出させるための開口である。第2コンタクト孔50bは、一方側の第2コンタクト領域33Aの少なくとも一部を露出させるための開口である。第3コンタクト孔50cは、他方側の第2コンタクト領域33Bの少なくとも一部を露出させるための開口である。第4コンタクト孔50dは、ダイオード領域41の少なくとも一部を露出させるための開口である。
【0033】
第1〜第3コンタクト孔50a〜50cが、本発明の「第1コンタクト孔」の一例であり、第4コンタクト孔50dが、本発明の「第2コンタクト孔」の一例である。
図3〜
図5および
図8を参照して、表面絶縁膜50の上には、第1電極膜61および第2電極膜62が互いに間隔を空けて形成されている。
第1電極膜61は、第1コンタクト領域31および一対の第2コンタクト領域33A,33Bを覆うように配置されている。第1電極膜61は、第1パッド部63と、一対の第1配線部64A,64Bとを一体的に含む。第1パッド部63は、第1コンタクト領域31を覆うように配置されている。第1パッド部63は、平面視において、第1コンタクト領域31とほぼ同じ大きさの長方形状に形成されている。第1パッド部63は、表面絶縁膜50上から第1コンタクト孔50aに入り込み、第1コンタクト領域31にオーミック接触している。
【0034】
一対の第1配線部64A,64Bは、基体2の長手方向に沿って第1パッド部63から第1ダイオード領域41B側へ向かって直線状に引き出されている。一方側の第1配線部64Aは、一方側の第2コンタクト領域33Aを覆うように配置されている。一方側の第1配線部64Aは、表面絶縁膜50上から第2コンタクト孔50bに入り込み、一方側の第2コンタクト領域33Aにオーミック接触している。
【0035】
他方側の第1配線部64Bは、他方側の第2コンタクト領域33Bを覆うように配置されている。他方側の第1配線部64Bは、表面絶縁膜50上から第3コンタクト孔50cに入り込み、他方側の第2コンタクト領域33Bにオーミック接触している。
第2電極膜62は、第2領域12のほぼ全域およびダイオード領域41を覆うように配置されている。第2電極膜62は、第2パッド部65と第2配線部66とを一体的に含む。第2パッド部65は、平面視において、第2領域12の周縁部を除く中央部を覆うように配置されている。第2パッド部65は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状に形成されている。第2パッド部65は、表面絶縁膜50上に形成されている。
【0036】
第2配線部66は、ダイオード領域41を覆うように、基体2の長手方向に沿って第2パッド部65から第1パッド部63側へ向かって引き出されている。第2配線部66は、表面絶縁膜50上から第4コンタクト孔50dに入り込み、ダイオード領域41にオーミック接触している。
図8を参照して、平面視において、第2配線部66は、一対の第1配線部64A,64Bの間に、隙間(スリット)を挟んで嵌り込むように配置されている。この隙間68によって、第1電極膜61と第2電極膜62とは、電気的に絶縁されている。第1電極膜61および第2電極膜62は、例えば、Ti膜とTin膜とAlCu膜とが、この順で積層された、Ti/Tin/AlCu膜であってもよい。
【0037】
図1〜
図5を参照して、表面絶縁膜50の上には、絶縁層70が形成されている。絶縁層70は、第1電極膜61および第2電極膜62を被覆している。絶縁層70は、表面絶縁膜50上に形成された第1絶縁膜71と、第1絶縁膜71上に形成された第2絶縁膜72とを含む。第1絶縁膜71は、例えば、酸化膜(SiO
2膜)および窒化膜(SiN膜)のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。この実施形態では、第1絶縁膜71は、SiN膜からなる。
【0038】
第2絶縁膜72は、例えば、ポリイミド等の絶縁性樹脂を含んでいてもよい。また、絶縁層70は、例えば、1μm〜10μmの厚さを有していてもよい。この実施形態では、例えば、第1絶縁膜71の厚さが0.5μm〜2μmであり、第2絶縁膜72の厚さが0.5μm〜8μmであってもよい。
絶縁層70には、第1開口73および第2開口74が形成されている。第1開口73は、第1パッド部63の周縁部を除く中央領域を露出させる。第2開口74は、第2パッド部65の周縁部を除く中央領域を露出させる。
【0039】
第1開口73内には、第1外部電極21が形成されている。第1外部電極21は、第1開口73内において第1パッド部63(第1電極膜61)に電気的に接続されている。これにより、第1外部電極21は、第1電極膜61を介して領域分離層30(31,32,33A,33B)と電気的に接続されている。また、第1外部電極21は、TVSダイオード1をフリップチップ実装(表面実装)するときの端子として機能するので、第1外部端子と称されてもよい。
【0040】
第1外部電極21は、絶縁層70から突出するように形成されている。第1外部電極21は、複数の金属膜が積層された積層構造を有していてもよい。複数の金属膜は、第1電極膜61側からこの順に積層されたNi膜、Pd膜、Au膜を含んでいてもよい。
第2開口74内には、第2外部電極22が形成されている。第2外部電極22は、第2開口74内において第2パッド部65(第2電極膜62)に電気的に接続されている。これにより、第2外部電極22は、第2電極膜62を介してダイオード領域41と電気的に接続されている。また、第2外部電極22は、TVSダイオード1をフリップチップ実装(表面実装)するときの端子として機能するので、第2外部端子と称されてもよい。
【0041】
第2外部電極22は、絶縁層70から突出するように形成されている。第2外部電極22は、複数の金属膜が積層された積層構造を有していてもよい。複数の金属膜は、第2電極膜62側からこの順に積層されたNi膜、Pd膜、Au膜を含んでいてもよい。
図2〜
図5を参照して、第1外部電極21は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状に形成されている。第1外部電極21は、基体2の角部に配置される角部が面取りされることによって、当該1対の角部に、基体2の角部に対向するコーナ面81を有している。
【0042】
第1外部電極21の表面には、複数の第1凸部82が形成されている。複数の第1凸部82は、第1外部電極21の表面に起伏を形成している。この実施形態では、各第1凸部82は、平面視四角形状に形成されている。この実施形態では、複数の第1凸部82は、行列状に配置されている。
第2外部電極22は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状に形成されている。第2外部電極22は、基体2の角部に配置される角部が面取りされることによって、当該1対の角部に、基体2の角部に対向するコーナ面83を有している。
【0043】
第2外部電極22の表面には、平坦部84と複数の第2凸部85が形成されている。平坦部84は、第2外部電極22の表面が平坦に形成された部分であり、第2外部電極22の内方側の2つの角部のうちの一方の角部86の近傍に設けられている。この実施形態では、平坦部84は、平面視において、角部86を頂点とする直角二等辺三角形状に形成されている。
【0044】
各第2凸部85は、第2外部電極22の平坦部84の周囲に設けられており、第2外部電極22の表面の平坦部84以外の領域に起伏を形成している。この実施形態では、各第2凸部85は、平面視四角形状に形成されている。複数の第2凸部85は、平坦部84よりも小さい表面積で形成されている。この実施形態では、複数の第2凸部85は、行列状に配置されている。
【0045】
このような第1外部電極21および第2外部電極22によれば、第1外部電極21および第2外部電極22の各表面に向けて光が照射されると、第1凸部82および第2凸部85によって構成される凹凸面によって、その光を良好に乱反射させることができる。これにより、第1外部電極21および第2外部電極22を良好に確認できるので、TVSダイオード1の表裏判定を容易に行うことができる。また、第1外部電極21および第2外部電極22のうち、第2外部電極22のみに直角二等辺三角形状の平坦部84が形成されているので、第1外部電極21と第2外部電極22とを容易に判別することができる。例えば、第1外部電極21と第2外部電極22とをカメラで撮像して得られた画像を画像処理することによって、第1外部電極21と第2外部電極22とを容易に判別することができる。
【0046】
第1外部電極21および第1電極膜61は、本発明の「第1電極」の一例であり、第2外部電極22および第2電極膜62は、本発明の「第2電極」の一例である。
図9は、
図5の断面図のより具体的な形状を示す断面図である。
図9に示すように、第2、第3および第4コンタクト孔50b、50cおよび50dは、表面絶縁膜50の表面から基体2へ向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
図9には現れていないが、第1コンタクト孔50aも同様に、表面絶縁膜50の表面から基体2へ向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
【0047】
各第1配線部64A,64Bおよび第2配線部66は、それぞれ、表面絶縁膜50上の部分が表面絶縁膜50の厚さに起因して嵩上げされている。これにより、第1配線部64Aおよび64Bは、表面絶縁膜50上の部分から、それぞれ、第2コンタクト孔50bおよび第3コンタクト孔50cへ向かって凹む曲面状の上面64Aa,および64Baを有している。また、第2配線部66は、表面絶縁膜50上の部分から、それぞれ第4コンタクト孔50dへ向かって凹む曲面状の上面66aを有している。
【0048】
また、前述したように、第2配線部66とその両側に配置された第1配線部64A,64Bとの間は、隙間68によって、互いに電気的に絶縁されている。隙間68の幅(第1配線部64A,64Bと第2配線部66との距離d)は、たとえば、1μm〜10μmである。
図10は、ダイオード領域41およびその直下の領域の濃度プロファイルを説明するためのグラフである。
図10において、横軸は、基体2の第1主面3からの深さ[μm]を示している。縦軸は、不純物濃度[cm
−3]を示している。
【0049】
ダイオード領域41は、基体2の第1主面3からその直下のp型半導体層10(第1領域11)に向かって、n型不純物濃度が連続的に減少する濃度プロファイルを有している。
ダイオード領域41の直下のp型半導体層10(第1領域11)は、当該p型半導体層10のダイオード領域41側の表面からn型層8に向かって、p型不純物濃度が急峻に増加した後、緩やかに減少する濃度プロファイルを有している。
【0050】
n型層8は、n型層8のp型半導体層10側の表面からn
+型半導体基板7に向かってn型不純物濃度が連続的に増加する濃度プロファイルを有している。
図10において、C1は、ダイオード領域41とp型半導体層10との間のpn接合部の不純物濃度を示し、C2は、p型半導体層10とn型層8との間のpn接合部の不純物濃度を示している。
【0051】
図11A〜
図11Jは、
図1のTVSダイオード1の製造工程の一例を説明するための工程図である。
図11A〜
図11Jは、
図4の切断面に対応する断面図である。
TVSダイオード1を製造するには、
図11Aを参照して、n
+型半導体基板7上にn型エピタキシャル層91が形成されてなる元基体102が用意される。元基体102は、第1主面3と、その反対側に位置する第2主面4と、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A〜5Dとを有している。
【0052】
次に、
図11Bに示すように、元基体102の第1主面3に酸化膜(シリコン酸化膜)92が形成される。
次に、
図11Cに示すように、p型不純物(この例ではボロン)93が酸化膜92を介してn型エピタキシャル層91内に注入された後、熱処理が行われる。
この後、酸化膜を形成するための熱処理が行われると同時にp型不純物を拡散するための熱処理が行われる。これにより、
図11Dに示すように、n型エピタキシャル層91の表層部にp型領域94が形成されると同時に酸化膜92の膜厚が大きくなる。
【0053】
次に、
図11Eに示すように、酸化膜92における、領域分離層30を形成すべき領域に対応する部分に開口部95が形成される。そして、開口部95を介してn型不純物(この例ではリン)が基体2内に注入された後、熱処理が行われる。また、表面に酸化膜を形成するための熱処理が行われる。
これにより、p型領域94がさらに拡散され、n型エピタキシャル層91の表層部にp型半導体層10が形成され、p型半導体層10とn
+型半導体基板7との間にn型エピタキシャル層からなるn型層8が形成される。これにより、n
+型半導体基板7とn型層8とからなるn型半導体層6が得られる。また、n型半導体層6とその上に形成されたp型半導体層10とからなる基体2が得られる。また、基体2の第1主面3からn
+型半導体基板7の深さ途中まで延びた領域分離層30(31,32,33A,33B)が形成される。この領域分離層30よって、p型半導体層10は、第1領域11、第2領域12およびその他の領域に分離される。また、
図11Eの酸化膜92の開口部95内に酸化膜(図示略)が形成される。
【0054】
次に、
図11Fに示すように、酸化膜92における、ダイオード領域41を形成すべき領域に対応する部分に開口部96が形成される。そして、開口部96を介してn型不純物(この例ではリン)が基体2内に注入された後、熱処理が行われる。また、酸化膜を形成するための熱処理が行われる。これにより、
図11Fに示すように、第1領域11の表層部にダイオード領域41が形成される。また、
図11Fの酸化膜92の開口部96内に酸化膜(図示略)が形成される。
【0055】
次に、
図11Gに示すように、酸化膜92上に酸化膜を形成することにより、基体2の第1主面3上に、表面絶縁膜50が形成される。
次に、
図11Fに示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、表面絶縁膜50に、第1〜第4コンタクト孔50a〜50dが形成される。
次に、
図11Iに示すように、例えば、スパッタ法によって、基体2の第1主面3上に、第1主面3の露出面および表面絶縁膜50を覆うように、電極膜が形成される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、電極膜が、所望の形状にパターニングされる。これにより、第1電極膜61(63,64A,64B)および第2電極膜62(65,66)が形成される。
【0056】
次に、
図11Jに示すように、例えばCVD法によって、第1電極膜61および第2電極膜62を被覆するように窒化膜が堆積されることにより、第1絶縁膜71が形成される。次に、第1絶縁膜71上に感光性ポリイミドが塗布されて第2絶縁膜72が形成される。次に、第1開口73および第2開口74に対応するパターンで第2絶縁膜72が露光・現像される。次に、第2絶縁膜72をマスクとして第1絶縁膜71がエッチングされて、第1開口73および第2開口74が形成される。これにより、第1開口73および第2開口74を有する絶縁層70が形成される。
【0057】
最後に、第1開口73および第2開口74を埋めるように、Ni膜、Pd膜およびAu膜が順にめっき成膜されて、第1外部電極21および第2外部電極22が形成される。これにより、
図1〜
図9に示すようなTVSダイオード1が得られる。
図12は、TVSダイオード1の電気的構造を示す回路図である。
TVSダイオード1は、第1pn接合ダイオードDAおよび第2pn接合ダイオードDBの直列回路を含んでいる。
図4を参照して、第1pn接合ダイオードDAのカソードは、ダイオード領域41および第2電極膜62を介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。第2pn接合ダイオードDBのカソードは、n型半導体層6(n型層8およびn
+型半導体基板7)、領域分離層30の第1および第2コンタクト領域31,33A,33Bならびに第1電極膜61を介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。つまり、第1pn接合ダイオードDAのカソードは第2外部電極22に接続され、第2pn接合ダイオードDBのカソードは、第1外部電極21に接続されている。
【0058】
以下において、第2外部電極22から、第1pn接合ダイオードDAおよび第2pn接合ダイオードDBの直列回路を通って、第1外部電極21に向かって電流が流れる方向を「第1方向」ということにする。一方、第1外部電極21から、第2pn接合ダイオードDBおよび第1pn接合ダイオードDAの直列回路を通って、第2外部電極22に向かって電流が流れる方向を「第2方向」ということにする。具体的には、第1方向は、第2外部電極22から、第2電極膜62、ダイオード領域41、第1領域11(p型半導体層10)、n型層8およびn
+型半導体基板7、領域分離層30の第1および第2コンタクト領域31,33A,33Bならびに第1電極膜61を通って、第1外部電極21に電流が流れる方向である。第2方向は、その反対経路を通って電流が流れる方向である。
【0059】
図1に示すようなTVSダイオード1において、p型半導体層10のp型不純物(この例ではボロン)のドーズ量が異なる第1〜第3実施例について、電圧−電流特性(V−I特性)等を測定した。
第1〜第3実施例のp型半導体層10のp型不純物のドーズ量は、次の通りである。
第1実施例:1.0×10
15cm
−2
第2実施例:3.0×10
14cm
−2
第3実施例:1.0×10
14cm
−2
図13A、
図13Bおよび
図13Cは、それぞれ、第1実施例、第2実施例および第3実施例のV−I特性を示すグラフである。
図13A、
図13Bおよび
図13Cにおいて、横軸は第1外部電極21および第2外部電極22との間の電圧値V[V]であり、縦軸は第1外部電極21および第2外部電極22との間の電流値I[A]である。
【0060】
図13A、
図13Bおよび
図13Cにおいて、実線は、電流を第1方向に流した場合のV−I特性(以下、「第1のV−I特性」という。)を示すグラフであり、破線は電流を第2方向に流した場合のV−I特性(以下、「第2のV−I特性」という。)を示すグラフである。横軸の電圧Vは、第1外部電極21および第2外部電極22との間の電圧の絶対値を示している。
【0061】
図13A、
図13Bおよび
図13Cから、電流を第1方向に流した場合のV−I特性と、電流を第2方向に流した場合のV−I特性とが異なることがわかる。つまり、本実施形態では、p型半導体層10のp型不純物のドーズ量を変化させることによって、電圧−電流特性を調整することができる。
また、
図13Aおよび
図13Bのグラフから、電流を第1方向に流した場合のブレークダウン電圧は、電流を第2方向に流した場合のブレークダウン電圧よりも低くなることがわかる。
【0062】
この理由について説明する。
図10を参照して、ダイオード領域41とp型半導体層10との間のpn接合部の不純物濃度C1は、p型半導体層10とn型層8との間のpn接合部の不純物濃度C2よりも高い。このため、第1pn接合ダイオードDAの逆方向ブレークダウン電圧(第1方向に電流を流した場合のダイオードDAのブレークダウン電圧)は、第2pn接合ダイオードDBの逆方向ブレークダウン電圧(第2方向に電流を流した場合のダイオードDBのブレークダウン電圧)よりも小さくなる。これにより、第1方向に電流を流す場合のTVSダイオード1のブレークダウン電圧は、第2方向に電流を流す場合のTVSダイオード1のブレークダウン電圧よりも低くなる。
【0063】
図13Aの第1のV−I特性を示すグラフ(実線)と、
図13Bの第1のV−I特性を示すグラフ(実線)を比較すると、
図13Bでは、ブレークダウン電圧よりも低い電圧領域において、リーク電流(電流I)が低いことがわかる。
図14Aおよび
図14Bは、それぞれ、第1実施例および第2実施例のI
pp−V
cl特性を示すグラフである。
図14Aおよび
図14Bにおいて、横軸はピークパルス電流I
pp[A]を示し、縦軸はクランプ電圧V
cl[V]を示している。
図14Aおよび
図14Bにおいて、実線は、電流を第1方向に流した場合のI
pp−V
cl特性(以下、「第1のI
pp−V
cl特性」という。)を示すグラフであり、破線は電流を第2方向に流した場合のI
pp−V
cl特性(以下、「第2のI
pp−V
cl特性」という。)を示すグラフである。
【0064】
図14Aおよび
図14Bのグラフから、電流を第1方向に流した場合のクランプ電圧V
clは、電流を第2方向に流した場合のクランプ電圧V
clよりも低くなることがわかる。
なお、第1実施例の端子間容量は56[pF]程度であり、第2実施例の端子間容量は39[pF]程度であった。
【0065】
つまり、本実施形態では、第1方向に電流を流した場合に、例えば、
図3Bおよび
図4Bに示すように、ブレークダウン電圧が4V程度であり、ブレークダウン電圧よりも低い電圧領域においてリーク電流が小さく、クランプ電圧が低い、特性が得られることがわかる。このような特性(第1のV−I特性および第1のI
pp−V
cl特性)は、比較的低電圧で作動する回路においてサージ電圧を吸収するのに適している。
【0066】
したがって、本実施形態に係るTVSダイオード1を、第1のV−I特性を利用した単方向TVSダイオードとして使用することにより、比較的低電圧で作動する回路においてサージ電圧を吸収するのに好適な単方向TVSダイオードを実現できる。
[2]第2実施形態
図15は、本発明の第2実施形態に係るTVSダイオードの平面図である。
図16は、
図15のXVI−XVI線に沿う図解的な断面図である。
図17は、
図15のXVII−XVII線に沿う図解的な断面図である。
図18は、
図15のXVIII−XVIII線に沿う図解的な断面図である。
図19は、
図15のXIX−XIX線に沿う図解的な断面図である。
図20は、
図15のXX−XX線に沿う図解的な断面図である。
図21は、
図17のXXI−XXI線に沿う方向から見た平面図である。
図22は、
図17のXXII−XXII線に沿う方向から見た平面図である。
図23は、
図17のXXIII−XXIII線に沿う方向から見た平面図である。
【0067】
第2実施形態に係るTVSダイオード1Aの外観は、
図1に示される第1実施形態に係るTVSダイオード1の外観と同様である。
図1、
図15〜
図20を参照して、TVSダイオード1Aは、略直方体形状の基体2を含む。基体2は、第1主面3と、その反対側に位置する第2主面4と、第1主面3と第2主面4とを接続する側面5A〜5Dを有している。基体2の第1主面3および第2主面4は、いずれも第1主面3の法線方向から見た平面視において、長方形状に形成されている。基体2の側面5A〜5Dには、基体の長手方向に沿って延びる一対の長手側面5A,5Bと、基体2の短手方向に沿って延びる一対の短手側面5C,5Dとが含まれる。
【0068】
基体2は、本実施形態では、n型半導体層6と、n型半導体層6上に形成されたp型半導体層10とを含む積層構造を有している。n型半導体層6は、n
+型半導体基板7と、n
+型半導体基板7上に形成されたn型層8とを含む積層構造を有している。基体2の第1主面3は、p型半導体層10によって形成されており、基体2の第2主面4は、n
+型半導体基板7によって形成されている。
【0069】
基体2の長手方向に沿う長辺の長さL1は、例えば0.4mm〜2mmである。短手方向に沿う短辺の長さL2は、例えば0.2mm〜2mmである。基体2の厚さTは、例えば0.1mm〜0.5mmである。この実施形態では、L1は0.9mm程度であり、L2は0.5mm程度であり、Tは0.3mm程度である。
n
+型半導体基板7は、例えば、シリコン基板である。n
+型半導体基板7のn型不純物は、例えばヒ素(As)である。n
+型半導体基板7のn型不純物は、リン(P)であってもよい。n
+型半導体基板7のn型不純物濃度は、例えば、1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3であることが好ましい。p型半導体層10のp型不純物は、例えばボロン(B)である。p型半導体層10のp型不純物濃度は、例えば、3.0×10
15cm
−3〜3.0×10
17cm
−3であることが好ましい。
【0070】
n
+型半導体基板7上にはn
+型半導体基板7の表面からシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されたn型エピタキシャル層が形成されており、n型エピタキシャル層の表層部全域に前述のp型半導体層10が形成されている。n型エピタキシャル層のうち、p型半導体層10が形成されていないn
+型半導体基板7側の領域が前述のn型層8である。
【0071】
n
+型半導体基板7の膜厚は、例えば、100μm〜500μmであり、n型層8の膜厚は、例えば、4.0μm〜7.0μmであり、p型半導体層10の膜厚は、0.5μm〜1.5μmである。n型層8の比抵抗は、例えば、0.3Ωcm以上である。
基体2の第1主面3上には、第1外部電極21と、第2外部電極22とが互いに間隔をおいて配置されている。第1外部電極21は、基体2の長手方向の一方側端部に配置されている。第2外部電極22は、基体2の長手方向の他方側端部に配置されている。第1外部電極21および第2外部電極22は、平面視で基体2の短手方向に長い長方形状である。
【0072】
図16〜
図21を参照して、基体2の第1主面3側の表層部には、p型半導体層10を複数の領域に分離するためのn型の領域分離層30が形成されている。
図21では、明瞭化のために、領域分離層30にドットを付して示し、後述するn型の第1〜第3ダイオード領域41〜43にクロスハッチングを付して示している。
領域分離層30は、基体2の長手方向の一方側端部に形成された第1コンタクト領域31と、基体2の長手方向の他方側端部に形成された非コンタクト領域32と、第1コンタクト領域31と非コンタクト領域32とを連結する複数の第2コンタクト領域34A〜34Cとを含む。
【0073】
第1コンタクト領域31、非コンタクト領域32および第2コンタクト領域34A〜34Cは、深さ方向に関し、p型半導体層10の表面とn型半導体層6との間の領域に形成されている。第1コンタクト領域31、非コンタクト領域32および第2コンタクト領域34A〜34Cの底部は、n
+型半導体基板7内に位置している。つまり、第1コンタクト領域31、非コンタクト領域32および第2コンタクト領域34A〜34Cは、p型半導体層10表面からn
+型半導体基板7の厚さ途中まで延びている。
【0074】
第1コンタクト領域31は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状である。非コンタクト領域32は、平面視において、基体2の短手方向に長い矩形環状(矩形枠状)である。非コンタクト領域32は、基体2の長手方向に沿って延びた一対の第1枠部32A,32Bと、基体2の短手方向に沿って延びた一対の第2枠部32C,32Dと含む。各第2枠部32C,32Dの長さは、各第1枠部32A,32Bの長さよりも長い。
【0075】
複数の第2コンタクト領域34A〜34Cは、平面視において、基体2の長手方向に長い帯状であり、基体2の短手方向に間隔を空けて配置されている。複数の第2コンタクト領域34A〜34Cの一端は、平面視において、第1コンタクト領域31における非コンタクト領域32側の縁部に接続されている。複数の第2コンタクト領域34A〜34Cの他端は、平面視において、非コンタクト領域32の第1コンタクト領域31側の第2枠部31Cに接続されている。
【0076】
説明の便宜上、複数の第2コンタクト領域34A〜34Cのうち、平面視において、基体2の側面5Aの近傍にあるものを一方側の第2コンタクト領域34Aといい、基体2の側面5Bの近傍にあるものを他方側の第2コンタクト領域34Cといい、それらの間にあるものを中間の第2コンタクト領域34Bということにする。平面視において、複数の第2コンタクト領域34A〜34Cの幅は、非コンタクト領域32の各枠部32A〜32Dの幅よりも大きい。
【0077】
領域分離層30のn型不純物は、例えば、リン(P)またはヒ素(As)である。この実施形態では、領域分離層30のn型不純物は、リンである。領域分離層30のn型不純物濃度は、例えば、1.0×10
18cm
−3〜1.0×10
21cm
−3であることが好ましい。
領域分離層30における第1コンタクト領域31ならびに第2コンタクト領域34A〜34Cは、本発明の「n型のコンタクト領域」の一例である。
【0078】
p型半導体層10は、領域分離層30によって、第1領域15と、第2領域16と、第3領域17と、その他の領域(周縁部領域)とに電気的に分離されている。第1領域15は、第1コンタクト領域31と、一方側の第2コンタクト領域34Aと、中間の第2コンタクト領域34Bと、非コンタクト領域32における第1コンタクト領域31側の第2枠部32Cとによって囲まれた領域である。第1領域15は、平面視において、基体2の長手方向に長い長方形状である。
【0079】
第2領域16は、第1コンタクト領域31と、中間の第2コンタクト領域34Bと、他方側の第2コンタクト領域34Cと、非コンタクト領域32における第1コンタクト領域31側の第2枠部32Cとによって囲まれた領域である。第2領域16は、平面視において、基体2の長手方向に長い長方形状である。平面視において、第1領域15と第2領域16の長手方向の長さは等しい。平面視において、第1領域15の短手方向の長さは、第2領域16の短手方向の長さよりも長い。つまり、第1領域15の平面視の面積は、第2領域16の平面視の面積よりも大きい。
【0080】
第3領域17は、非コンタクト領域32によって囲まれた領域である。第3領域17は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状である。
第1領域15および第3領域17は、本発明の「第1p型領域」の一例であり、第2領域9Bは、本発明の「第2p型領域」の一例である。
第1領域15の表層部には、第1領域15の周縁部を除く中央領域に、n型の第1ダイオード領域41が形成されている。第2領域16の表層部には、第2領域16の周縁部を除く中央領域に、n型の第2ダイオード領域42が形成されている。第3領域17の表層部には、第3領域17の周縁部を除く中央領域に、n型の第3ダイオード領域43が形成されている。
【0081】
第1ダイオード領域41および第3ダイオード領域43は、本発明の「第1方向用ダイオード領域」の一例であり、第2ダイオード領域42は、本発明の「第2方向用ダイオード領域」の一例である。
これらのダイオード領域41,42,43の膜厚は、例えば、0.5μm〜2.0μmである。ダイオード領域41,42,43のn型不純物は、例えば、リン(P)またはヒ素(As)である。この実施形態では、ダイオード領域41,42,43のn型不純物は、リンである。ダイオード領域41,42,43のn型不純物濃度は、例えば1.0×10
19cm
−3〜1.0×10
21cm
−3であることが好ましい。
【0082】
図17および
図20を参照して、第1ダイオード領域41および第1領域15との間の領域には、pn接合部が形成されている。第1ダイオード領域41および第1領域15の間のpn接合部によって、第1領域15をアノードとし、かつ第1ダイオード領域41をカソードとする第1pn接合ダイオードDAが形成されている。
第1領域15およびn型半導体層6(n型層8)との間の領域には、pn接合部が形成されている。第1領域15およびn型半導体層6の間のpn接合部によって、第1領域15をアノードとし、かつn型半導体層6をカソードとする第2pn接合ダイオードDBが形成されている。第1pn接合ダイオードDAおよび第2pn接合ダイオードDBは、第1領域15を介して逆直列に接続されている。
【0083】
第1pn接合ダイオードDAは本発明の「第1ダイオード」の一例であり、第2pn接合ダイオードDBは本発明の「第2ダイオード」の一例であり、これらの直列回路は、本発明の「第1方向用ダイオード」の一例である。
同様に、第3ダイオード領域43および第3領域17との間の領域には、pn接合部が形成されている。第3ダイオード領域43および第3領域17の間のpn接合部によって、第3ダイオード領域43および第3領域17をアノードとし、かつ第3ダイオード領域43をカソードとする第3pn接合ダイオードDCが形成されている。
【0084】
第3領域17およびn型半導体層6(n型層8)との間の領域には、pn接合部が形成されている。第3領域17およびn型半導体層6の間のpn接合部によって、第3領域17をアノードとし、かつn型半導体層6をカソードとする第4pn接合ダイオードDDが形成されている。第3pn接合ダイオードDCおよび第4pn接合ダイオードDDは、第3領域17を介して逆直列に接続されている。
【0085】
第3pn接合ダイオードDCは本発明の「第1ダイオード」の一例であり、第4pn接合ダイオードDDは本発明の「第2ダイオード」の一例であり、これらの直列回路は、本発明の「第1方向用ダイオード」の一例である。
図20を参照して、第2ダイオード領域42とそれを取り囲む第2領域16との間の領域には、pn接合部が形成されている。第2ダイオード領域42とそれを取り囲む第2領域16の間のpn接合部によって、第2領域16をアノードとしかつ第2ダイオード領域42をカソードとする第5pn接合ダイオードDEが形成されている。第5pn接合ダイオードDEは、本発明の「第2方向用ダイオード」の一例である。
【0086】
図18、
図20および
図21を参照して、第2領域16の表層部には、第2領域16(第5pn接合ダイオードDEのアノード)を第1外部電極21に電気的に接続するための一対のp
+型コンタクト領域45,46が形成されている。一方の第1p
+型コンタクト領域45は、第2領域16の表層部において、中間の第2コンタクト領域34Bの長さ中間部に沿う領域と、中間の第2コンタクト領域34Bの表層部の一部とに跨って形成されている。ただし、第1p
+型コンタクト領域45は、第1領域15には達してない。
【0087】
他方の第2p
+型コンタクト領域46は、第2領域16の表層部において、他方側の第2コンタクト領域34Cの長さ中間部に沿う領域と、他方側の第2コンタクト領域34Cの表層部の一部とに跨って形成されている。ただし、第2p
+型コンタクト領域46は、他方側の第2コンタクト領域34Cに対して第2領域16と反対側のp型半導体層10の領域(p型半導体層10の周縁領域)には達していない。
【0088】
p
+型コンタクト領域45,46のp型不純物は、例えばボロン(B)である。p
+型コンタクト領域45,46のp型不純物濃度は、p型半導体層10のp型不純物濃度よりも高い。p
+型コンタクト領域45,46のp型不純物濃度は、例えば1.0×10
19cm
−3〜3.0×10
20cm
−3であってもよい。
第1ダイオード領域41およびその直下の領域の濃度プロファイルは、前述の
図10と同様な濃度プロファイルを有している。また、第3ダイオード領域43およびその直下の領域の濃度プロファイルは、前述の
図10と同様な濃度プロファイルを有している。
【0089】
図16〜
図20および
図22を参照して、基体2の第1主面3には、表面絶縁膜50が形成されている。
図22では、明瞭化のために、表面絶縁膜50にドットを付して示している。表面絶縁膜50は、基体2の第1主面3のほぼ全域を被覆している。表面絶縁膜50は、酸化膜(SiO
2膜)および窒化膜(SiN膜)のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。この実施形態では、表面絶縁膜50は、SiO
2膜からなる。また、表面絶縁膜50は、例えば、0.1μm〜2μmの厚さを有していてもよい。
【0090】
表面絶縁膜50には、表面絶縁膜50を貫通する第1〜第7コンタクト孔51〜57が形成されている。第1コンタクト孔51は、第1コンタクト領域31の少なくとも一部を露出させるための開口である。第2コンタクト孔52は、一方側の第2コンタクト領域34Aの少なくとも一部を露出させるための開口である。第3コンタクト孔53は、第1p
+型コンタクト領域45の少なくとも一部および中間の第2コンタクト領域34Bの少なくとも一部を露出させるための開口である。第4コンタクト孔54は、第2p
+型コンタクト領域46の少なくとも一部および他方側の第2コンタクト領域34Cの少なくとも一部を露出させるための開口である。
【0091】
第5コンタクト孔55は、第1ダイオード領域41を露出させるため開口である。第6コンタクト孔56は、第2ダイオード領域42を露出させるための開口である。第7コンタクト孔57は、第3ダイオード領域43を露出させるための開口である。
第1〜第4コンタクト孔51〜54が、本発明の「第1コンタクト孔」の一例であり、第5コンタクト孔55または第7コンタクト孔57が、本発明の「第2コンタクト孔」の一例であり、第6コンタクト孔55が、本発明の「第3コンタクト孔」の一例である。
【0092】
図16〜
図20および
図23を参照して、表面絶縁膜50の上には、第1電極膜61および第2電極膜62が互いに間隔を空けて形成されている。
第1電極膜61は、第1コンタクト領域31、第2コンタクト領域34A,34B,34Cおよびp
+型コンタクト領域45,46を覆うように配置されている。第1電極膜61は、第1パッド部63と、複数(この例では3つ)の第1配線部64C,64D,64Eとを一体的に含む。第1パッド部63は、第1コンタクト領域31を覆うように配置されている。第1パッド部63は、平面視において、第1コンタクト領域31とほぼ同じ大きさの長方形状に形成されている。第1パッド部63は、表面絶縁膜50上から第1コンタクト孔51に入り込み、第1コンタクト領域31にオーミック接触している。
【0093】
3つの第1配線部64C,64D,64Eは、第1パッド部63に対して櫛歯状に形成されている。3つの第1配線部64C,64D,64Eは、基体2の長手方向に沿って第1パッド部63から第3ダイオード領域43側へ向かって直線状に引き出されている。一方側の第1配線部64Cは、一方側の第2コンタクト領域34Aを覆うように配置されている。一方側の第1配線部64Cは、表面絶縁膜50上から第2コンタクト孔52に入り込み、一方側の第2コンタクト領域34Aにオーミック接触している。
【0094】
中間の第1配線部64Dは、中間の第2コンタクト領域34Bおよび第1p
+型コンタクト領域45を覆うように配置されている。中間の第1配線部64Dは、表面絶縁膜50上から第3コンタクト孔53に入り込み、第1p
+型コンタクト領域45および中間の第2コンタクト領域34Bにオーミック接触している。
他方側の第1配線部64Eは、他方側の第2コンタクト領域34Cおよび第2p
+型コンタクト領域46を覆うように配置されている。他方側の第1配線部64Eは、表面絶縁膜50上から第4コンタクト孔54に入り込み、第2p
+型コンタクト領域46および他方側の第2コンタクト領域34Cにオーミック接触している。
【0095】
第2電極膜62は、第1ダイオード領域41、第2ダイオード領域42および第3ダイオード領域43を覆うように配置されている。第2電極膜62は、第2パッド部65と、複数(この例では2つ)の第2配線部66A,66Bとを一体的に含む。第2パッド部65は、第3ダイオード領域43を覆うように配置されている。第2パッド部65は、平面視において、第3ダイオード領域43とほぼ同じ大きさの長方形状に形成されている。第2パッド部65は、表面絶縁膜50上から第7コンタクト孔57に入り込み、第3ダイオード領域43にオーミック接触している。
【0096】
2つの第2配線部66A,66Bは、第2パッド部65に対して櫛歯状に形成されている。第2配線部66Aおよび第2配線部66Bは、それぞれ、第1ダイオード領域41および第2ダイオード領域42を覆うように、基体2の長手方向に沿って第2パッド部65から第1パッド部63側へ向かって直線状に引き出されている。
第2配線部66Aは、表面絶縁膜50上から第5コンタクト孔55に入り込み、第1ダイオード領域41にオーミック接触している。第2配線部66Bは、表面絶縁膜50上から第6コンタクト孔56に入り込み、第2ダイオード領域42にオーミック接触している。
【0097】
第1配線部64C,64D,64Eおよび第2配線部66A,66Bは、平面視において、隙間(スリット)68を挟んで互いに噛み合うように配置されている。この隙間68によって、第1電極膜61と第2電極膜62とは、電気的に絶縁されている。第1電極膜61および第2電極膜62は、例えば、Ti膜とTin膜とAlCu膜とが、この順で積層された、Ti/Tin/AlCu膜であってもよい。
【0098】
図15〜
図20を参照して、表面絶縁膜50の上には、絶縁層70が形成されている。絶縁層70は、第1電極膜61および第2電極膜62を被覆している。絶縁層70は、表面絶縁膜50上に形成された第1絶縁膜71と、第1絶縁膜71上に形成された第2絶縁膜72とを含む。第1絶縁膜71は、例えば、酸化膜(SiO
2膜)および窒化膜(SiN膜)のいずれか一方または双方を含んでいてもよい。この実施形態では、第1絶縁膜71は、SiN膜からなる。
【0099】
第2絶縁膜72は、例えば、ポリイミド等の絶縁性樹脂を含んでいてもよい。また、絶縁層70は、例えば、1μm〜10μmの厚さを有していてもよい。この実施形態では、例えば、第1絶縁膜71の厚さが0.5μm〜2μmであり、第2絶縁膜72の厚さが0.5μm〜8μmであってもよい。
絶縁層70には、第1開口73および第2開口74が形成されている。第1開口73は、第1パッド部63の周縁部を除く中央領域を露出させる。第2開口74は、第2パッド部65の周縁部を除く中央領域を露出させる。
【0100】
第1開口73内には、第1外部電極21が形成されている。第1外部電極21は、第1開口73内において第1パッド部63(第1電極膜61)に電気的に接続されている。これにより、第1外部電極21は、第1電極膜61を介して領域分離層30(31,32,34A,34B,34C)と電気的に接続されている。また、第1外部電極21は、TVSダイオード1Aをフリップチップ実装(表面実装)するときの端子として機能するので、第1外部端子と称されてもよい。
【0101】
第1外部電極21は、絶縁層70から突出するように形成されている。第1外部電極21は、複数の金属膜が積層された積層構造を有していてもよい。複数の金属膜は、第1電極膜61側からこの順に積層されたNi膜、Pd膜、Au膜を含んでいてもよい。
第2開口74内には、第2外部電極22が形成されている。第2外部電極22は、第2開口74内において第2パッド部65(第2電極膜62)に電気的に接続されている。これにより、第2外部電極22は、第2電極膜62を介して第1ダイオード領域41、第2ダイオード領域42および第3ダイオード領域43と電気的に接続されている。また、第2外部電極22は、TVSダイオード1Aをフリップチップ実装(表面実装)するときの端子として機能するので、第2外部端子と称されてもよい。
【0102】
第2外部電極22は、絶縁層70から突出するように形成されている。第2外部電極22は、複数の金属膜が積層された積層構造を有していてもよい。複数の金属膜は、第2電極膜62側からこの順に積層されたNi膜、Pd膜、Au膜を含んでいてもよい。
図15〜
図20を参照して、第1外部電極21は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状に形成されている。第1外部電極21は、基体2の角部に配置される角部が面取りされることによって、当該1対の角部に、基体2の角部に対向するコーナ面81を有している。
【0103】
第1外部電極21の表面には、複数の第1凸部82が形成されている。複数の第1凸部82は、第1外部電極21の表面に起伏を形成している。この実施形態では、各第1凸部82は、平面視四角形状に形成されている。この実施形態では、複数の第1凸部82は、行列状に配置されている。
第2外部電極22は、平面視において、基体2の短手方向に長い長方形状に形成されている。第2外部電極22は、基体2の角部に配置される角部が面取りされることによって、当該1対の角部に、基体2の角部に対向するコーナ面83を有している。
【0104】
第2外部電極22の表面には、平坦部84と複数の第2凸部85が形成されている。平坦部84は、第2外部電極22の表面が平坦に形成された部分であり、第2外部電極22の内方側の2つの角部のうちの一方の角部86の近傍に設けられている。この実施形態では、平坦部84は、平面視において、角部86を頂点とする直角二等辺三角形状に形成されている。
【0105】
各第2凸部85は、第2外部電極22の平坦部84の周囲に設けられており、第2外部電極22の表面の平坦部84以外の領域に起伏を形成している。この実施形態では、各第2凸部85は、平面視四角形状に形成されている。複数の第2凸部85は、平坦部84よりも小さい表面積で形成されている。この実施形態では、複数の第2凸部85は、行列状に配置されている。
【0106】
このような第1外部電極21および第2外部電極22によれば、第1外部電極21および第2外部電極22の各表面に向けて光が照射されると、第1凸部82および第2凸部85によって構成される凹凸面によって、その光を良好に乱反射させることができる。これにより、第1外部電極21および第2外部電極22を良好に確認できるので、TVSダイオード1Aの表裏判定を容易に行うことができる。また、第1外部電極21および第2外部電極22のうち、第2外部電極22のみに直角二等辺三角形状の平坦部84が形成されているので、第1外部電極21と第2外部電極22とを容易に判別することができる。例えば、第1外部電極21と第2外部電極22とをカメラで撮像して得られた画像を画像処理することによって、第1外部電極21と第2外部電極22とを容易に判別することができる。
【0107】
第1外部電極21および第1電極膜61は、本発明の「第1電極」の一例であり、第2外部電極22および第2電極膜62は、本発明の「第2電極」の一例である。
図24は、
図20の断面図のより具体的な形状を示す断面図である。
図24に示すように、第2〜第6コンタクト孔52〜56は、表面絶縁膜50の表面から基体2へ向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
図24には現れていないが、第1コンタクト孔51および第7コンタクト孔57も同様に、表面絶縁膜50の表面から基体2へ向かって先細りとなるテーパ状に形成されている。
【0108】
各第1配線部64C,64D,64Eおよび各第2配線部66A,66Bは、それぞれ、表面絶縁膜50上の部分が表面絶縁膜50の厚さに起因して嵩上げされている。これにより、第1配線部64C,64Dおよび64Eは、表面絶縁膜50上の部分から、それぞれ、第2コンタクト孔52、第3コンタクト孔53および第4コンタクト孔54へ向かって凹む曲面状の上面64Ca,64Daおよび64Eaを有している。また、第2配線部66Aおよび66Bは、表面絶縁膜50上の部分から、それぞれ第5コンタクト孔55および第6コンタクト孔56へ向かって凹む曲面状の上面66Aaおよび66Baを有している。
【0109】
また、前述したように、第2配線部66Aとその両側に配置された第1配線部64C,64Dとの間および第2配線部66Bとその両側に配置された第1配線部64D,64Eとの間は、隙間68によって、互いに電気的に絶縁されている。隙間68の幅(第1配線部64C,64D,64Eと第2配線部66A,66Bとの距離d)は、たとえば、1μm〜10μmである。
【0111】
つまり、
図11Aに示すように、n
+型半導体基板7上にn型エピタキシャル層91が形成されてなる元基体102が用意される。次に、
図11Bに示すように、元基体102の第1主面3に酸化膜(シリコン酸化膜)92が形成される。次に、
図11Cに示すように、p型不純物(この例ではボロン)93が酸化膜92を介してn型エピタキシャル層91内に注入された後、熱処理が行われる。
【0112】
この後、酸化膜を形成するための熱処理が行われると同時にp型不純物を拡散するための熱処理が行われる。これにより、
図11Dに示すように、n型エピタキシャル層91の表層部にp型領域94が形成されると同時に酸化膜92の膜厚が大きくなる。
次に、
図25Aに示すように、酸化膜92における、領域分離層30を形成すべき領域に対応する部分に開口部95が形成される。そして、開口部95を介してn型不純物(この例ではリン)が基体2内に注入された後、熱処理が行われる。また、表面に酸化膜を形成するための熱処理が行われる。
【0113】
これにより、p型領域94がさらに拡散され、n型エピタキシャル層91の表層部にp型半導体層10が形成され、p型半導体層10とn
+型半導体基板7との間にn型エピタキシャル層からなるn型層8が形成される。これにより、n
+型半導体基板7とn型層8とからなるn型半導体層6が得られる。また、n型半導体層6とその上に形成されたp型半導体層10とからなる基体2が得られる。また、基体2の第1主面3からn
+型半導体基板7の深さ途中まで延びた領域分離層30(31,32,34A,34B,34C)が形成される。この領域分離層30よって、p型半導体層10は、第1領域11、第2領域12およびその他の領域に分離される。また、
図25Aの酸化膜92の開口部95内に酸化膜(図示略)が形成される。
【0114】
次に、
図25Bに示すように、酸化膜92における、第1ダイオード領域41、第2ダイオード領域42および第3ダイオード領域43を形成すべき領域に対応する部分に開口部96が形成される。そして、開口部96を介してn型不純物(この例ではリン)が基体2内に注入された後、熱処理が行われる。また、酸化膜を形成するための熱処理が行われる。
【0115】
これにより、第1領域15の表層部に第1ダイオード領域41が形成され、第2領域16の表層部に第2ダイオード領域42が形成され、第3領域17の表層部に第3ダイオード領域43が形成される。また、
図25Bの酸化膜92の開口部96内に酸化膜(図示略)が形成される。
次に、
図25Cに示すように、酸化膜92上に酸化膜を形成することにより、基体2の第1主面3上に、表面絶縁膜50が形成される。
【0116】
次に、
図25Dに示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、表面絶縁膜50に、第1〜第7コンタクト孔51〜57が形成される。
次に、第1p
+型コンタクト領域45および第2p
+型コンタクト領域46を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示略)が表面絶縁膜50上に形成される。そして、イオン注入マスクを介してp型不純物(この例ではボロン)が基体2に注入された後、熱処理が行われる。
【0117】
これにより、第2領域16の表層部に、第1p
+型コンタクト領域45(
図20参照)および第2p
+型コンタクト領域46が形成される。第1p
+型コンタクト領域45の一部は、中間の第2コンタクト領域34Bの表層部に入り込んでいる。第2p
+型コンタクト領域46の一部は、他方側の第2コンタクト領域34Cの表層部に入り込んでいる。この後、イオン注入マスクが除去される。
【0118】
次に、
図25Eに示すように、例えば、スパッタ法によって、基体2の第1主面3上に、第1主面3の露出面および表面絶縁膜50を覆うように、電極膜が形成される。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、電極膜が、所望の形状にパターニングされる。これにより、第1電極膜61(63,64C,64D,64E)および第2電極膜62(65,66A,66B)が形成される。
【0119】
次に、
図25Fに示すように、例えばCVD法によって、第1電極膜61および第2電極膜62を被覆するように窒化膜が堆積されることにより、第1絶縁膜71が形成される。次に、第1絶縁膜71上に感光性ポリイミドが塗布されて第2絶縁膜72が形成される。次に、第1開口73および第2開口74に対応するパターンで第2絶縁膜72が露光・現像される。次に、第2絶縁膜72をマスクとして第1絶縁膜71がエッチングされて、第1開口73および第2開口74が形成される。これにより、第1開口73および第2開口74を有する絶縁層70が形成される。
【0120】
最後に、第1開口73および第2開口74を埋めるように、Ni膜、Pd膜およびAu膜が順にめっき成膜されて、第1外部電極21および第2外部電極22が形成される。これにより、
図15〜
図24に示すようなTVSダイオード1Aが得られる。
図26は、TVSダイオード1Aの電気的構造を示す回路図である。
TVSダイオード1Aは、第1pn接合ダイオードDAおよび第2pn接合ダイオードDBの直列回路(第1方向用ダイオードD
AB)と、第3pn接合ダイオードDCおよび第4pn接合ダイオードDDの直列回路(第1方向用ダイオードD
CD)と、第5pn接合ダイオードDE(第2方向用ダイオード)とを含んでいる。
【0121】
図17および
図20を参照して、第1pn接合ダイオードDAのカソードは、第1ダイオード領域41および第2電極膜62を介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。第2pn接合ダイオードDBのカソードは、n型半導体層6(n型層8およびn
+型半導体基板7)、領域分離層30の第1および第2コンタクト領域31,34A〜34Cならびに第1電極膜61を介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。つまり、第1pn接合ダイオードDAのカソードは第2外部電極22に接続され、第2pn接合ダイオードDBのカソードは、第1外部電極21に接続されている。
【0122】
第3pn接合ダイオードDCのカソードは、第3ダイオード領域43および第2電極膜62を介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。第4pn接合ダイオードDDのカソードは、n型半導体層6(n型層8およびn
+型半導体基板7)、領域分離層30の第1および第2コンタクト領域31,34A〜34Cならびに第1電極膜61を介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。つまり、第3pn接合ダイオードDCのカソードは第2外部電極22に接続され、第4pn接合ダイオードDDのカソードは、第1外部電極21に接続されている。
【0123】
図20を参照して、第5pn接合ダイオードDEのカソード(第2ダイオード領域42)は、第2電極膜62を介して、第2外部電極22に電気的に接続されている。第5pn接合ダイオードDEのアノード(第2領域16)は、p
+コンタクト領域45,46および第1電極膜61を介して、第1外部電極21に電気的に接続されている。つまり、第5pn接合ダイオードDEのアノードは第1外部電極21に接続され、第5pn接合ダイオードDEのカソードは、第2外部電極22に接続されている。
【0124】
以下において、第2外部電極22から基体2内を通って第1外部電極21に向かって電流が流れる方向を「第1方向」といい、第1外部電極21から基体2内を通って第2外部電極22に向かって電流が流れる方向を「第2方向」という。第1方向用ダイオードD
AB,D
CDは、第1実施形態に係るTVSダイオード1と同様な特性を有している。具体的には、第1方向用ダイオードD
AB,D
CDは、例えば、前述の
図13Bに示すような、第1のV−I特性(実線のグラフ)および第2のV−I特性(破線のグラフ)を有している。また、第1方向用ダイオードD
AB,D
CDは、例えば、前述の
図14Bに示すような、第1のI
pp−V
cl特性(実線のグラフ)および第2のI
pp−V
cl特性(破線のグラフ)を有している。
【0125】
第1のI
pp−V
cl特性で示されるブレークダウン電圧をV
B1とすると、第2外部電極22の電圧V
2が第1外部電極21の電圧V
1よりも高くかつその差(V
2−V
1)がV
B1以上になると、第1方向用ダイオードD
AB,D
CDに第1方向に電流が流れる。したがって、第2外部電極22に(V
1+V
B1)以上のサージ電圧が印加されると、第1方向用ダイオードD
AB,D
CDに第1方向に電流が流れる。これにより、第1方向用ダイオードD
AB,D
CDの第1のV−I特性に基づき、サージ電圧が吸収される。
【0126】
第2方向用ダイオードDEの順方向電圧をV
Fとすると、第1外部電極21の電圧V
1が第2外部電極22の電圧V
2よりも高くかつその差(V
1−V
2)がV
F以上になると、第2方向用ダイオードDEに第2方向に電流が流れる。
第1方向用ダイオードD
AB,D
CDの第2のV−I特性で示されるブレークダウン電圧をV
B2とすると、V
B2は第2方向用ダイオードDEの順方向電圧V
Fよりも大きいため、第1方向用ダイオードD
AB,D
CDに、第2方向に電流は流れない。
【0127】
第2実施形態においても、比較的低電圧で作動する回路においてサージ電圧を吸収するのに好適な単方向TVSダイオードを実現できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。例えば、前述の第2実施形態では、第3領域17に第3ダイオード領域43が形成されているが、第3領域17の第3ダイオード領域43が形成されていなくてもよい。この場合には、表面絶縁膜50に、第7コンタクト孔57は形成されない。
【0128】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能で
ある。