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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-197631(P2021-197631A)
(43)【公開日】2021年12月27日
(54)【発明の名称】ネットワーク機器
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20211129BHJP
【FI】
   H04L12/70 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-102858(P2020-102858)
(22)【出願日】2020年6月15日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】小林 史人
(72)【発明者】
【氏名】平野 優
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA12
5K030HC01
5K030HC14
5K030HD03
5K030JA10
5K030JA11
5K030MB01
5K030MB20
5K030MC01
(57)【要約】
【課題】問い合わせに応じて動作不良の原因をネットワーク機器で診断する。
【解決手段】ネットワーク機器10において、制御部16が、利用者から指定された動作不良と対応する診断手順情報14Aを記憶部14から取得し、診断手順情報14Aに基づいて、チェック項目の診断を行うことにより、動作不良に対する診断結果を特定し、診断結果を利用者へ提示する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルエリアネットワークを通信網に中継接続するネットワーク機器であって、
前記ネットワーク機器で発生しうる動作不良ごとに、当該動作不良を診断するための診断手順を記載した診断手順情報を記憶する記憶部と、
利用者から指定された動作不良と対応する診断手順情報を前記記憶部から取得し、前記診断手順情報に基づいて、チェック項目の診断を行うことにより、前記動作不良に対する診断結果を特定し、前記診断結果を前記利用者へ提示する制御部と
を備えることを特徴とするネットワーク機器。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク機器において、
前記ローカルエリアネットワークに接続された電話装置との音声通話で、前記利用者から出力された音声をテキストデータに変換して取得するとともに、任意のテキストデータを前記音声に変換して前記利用者へ提示する音声処理部をさらに備え、
前記制御部は、前記診断結果を提示する際、前記診断結果を示すテキストデータを前記音声処理部で音声に変換して前記電話装置との音声通話により前記利用者に提示し、前記電話装置との音声通話により前記利用者から出力された音声を前記音声処理部でテキストデータに変換して取得する
ことを特徴とするネットワーク機器。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク機器において、
前記制御部は、予め設定されている診断用電話番号に対する前記電話装置からの呼び出しに自動応答することにより、前記利用者との音声通話を開始することを特徴とするネットワーク機器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のネットワーク機器において、
前記制御部は、前記利用者から出力された前記動作不良を示す音声を前記音声処理部でテキストデータに変換することにより、前記利用者から指定された動作不良を特定することを特徴とするネットワーク機器。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワーク機器において、
操作入力部および画面表示部を有するユーザーインターフェースをさらに備え、
前記制御部は、前記診断結果を提示する際、前記診断結果を示すテキストデータを前記ユーザーインターフェースで画面表示することにより前記利用者に提示し、前記利用者から設定変更操作を取得する際、前記設定変更操作を示す前記利用者の操作入力を前記ユーザーインターフェースで取得する
ことを特徴とするネットワーク機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク機器で発生した動作不良の原因を診断できる機器診断技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビジネスホンシステムの主装置やPBXシステムのPBX装置などの電話制御装置は、電話制御装置からインターネットなどの通信網を利用する場合、LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)に一旦接続された後、ゲートウェイやルーターなどのネットワーク機器を介して通信網に中継接続される。特に、ネットワーク機器には、外部や内部からの脅威に対応するため、各種の高度なセキュリティ機能が搭載されつつあり、高機能化する傾向にある。
【0003】
このようなネットワーク機器は、新規に設置する場合のほか、既存のネットワーク機器と置き換える場合がある。したがって、設置時には、種々の異なる接続環境や使用環境に応じた様々な情報を設定する必要がある。また、搭載されているセキュリティ機能を効果的に利用するには、様々な情報を適切に設定しておく必要がある。このため、通常は、専門的な知識を有する工事者がネットワーク機器を設置することになる。
【0004】
設置後、動作不良が発生した場合、LANに接続された電話制御装置などの通信処理装置を利用する利用者は、その動作不良の原因や解決策をインターネットで調べようとする。しかし、多く場合、インターネット接続不良が発生するため、インターネットを利用して調べることはできない。また、利用者は、専門的な知識を有する工事者が設置したものであるため、動作不良の原因が設定ミスであるとは考えない。このため、利用者は、機器の故障と判断して、機器の製造元や販売元となる事業者のカスタマーズサービスに連絡する。
【0005】
この際、カスタマーズサービスで、利用者から動作不良の状況を適切に把握できない場合、設定ミスが原因であっても、事業者が無駄な機器返品を受け付けたり、事業者のサービス技術者が現地へ出向いて確認したりすることになり、動作不良対応の事業者負担が必要以上に大きくなる。このことは、利用者に限られたことではなく、工事者にも当てはまることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−311418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、機器の動作不良に対して適切に対応するための技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術は、機器にエラーが発生した場合、機器からサポートセンターへIP電話による問い合わせができるようにしたものである。
しかしながら、このような従来技術では、カスタマーズサービスと同様に、サポートセンターでの対応が必要となるため、依然として、動作不良対応の事業者負担を抑制することができないという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、利用者からの問い合わせに応じて動作不良の原因をネットワーク機器で診断できる機器診断技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明にかかるネットワーク機器は、ローカルエリアネットワークを通信網に中継接続するネットワーク機器であって、前記ネットワーク機器で発生しうる動作不良ごとに、当該動作不良を診断するための診断手順を記載した診断手順情報を記憶する記憶部と、利用者から指定された動作不良と対応する診断手順情報を前記記憶部から取得し、前記診断手順情報に基づいて、チェック項目の診断を行うことにより、前記動作不良に対する診断結果を特定し、前記診断結果を前記利用者へ提示する制御部とを備える。
【0010】
また、本発明にかかる上記ネットワーク機器の一構成例は、前記ローカルエリアネットワークに接続された電話装置との音声通話で、前記利用者から出力された音声をテキストデータに変換して取得するとともに、任意のテキストデータを前記音声に変換して前記利用者へ提示する音声処理部をさらに備え、前記制御部は、前記診断結果を提示する際、前記診断結果を示すテキストデータを前記音声処理部で音声に変換して前記電話装置との音声通話により前記利用者に提示し、前記電話装置との音声通話により前記利用者から出力された音声を前記音声処理部でテキストデータに変換して取得する。
【0011】
また、本発明にかかる上記ネットワーク機器の一構成例は、前記制御部が、予め設定されている診断用電話番号に対する前記電話装置からの呼び出しに自動応答することにより、前記利用者との音声通話を開始する。
【0012】
また、本発明にかかる上記ネットワーク機器の一構成例は、前記制御部が、前記利用者から出力された前記動作不良を示す音声を前記音声処理部でテキストデータに変換することにより、前記利用者から指定された動作不良を特定する。
【0013】
また、本発明にかかる上記ネットワーク機器の一構成例は、操作入力部および画面表示部を有するユーザーインターフェースをさらに備え、前記制御部は、前記診断結果を提示する際、前記診断結果を示すテキストデータを前記ユーザーインターフェースで画面表示することにより前記利用者に提示し、前記利用者から設定変更操作を取得する際、前記設定変更操作を示す前記利用者の操作入力を前記ユーザーインターフェースで取得する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ネットワーク機器が、利用者からの問い合わせに応じて動作不良の原因を診断することができる。また、発生した動作不良がインターネット接続不良であって、動作不良の原因や解決策をインターネットを利用して調べることはできない場合であっても、動作不良の原因を診断することができる。したがって、動作不良の原因が単なる設定ミスである場合には、機器の製造元や販売元となる事業者のカスタマーズサービスへ連絡することなく、動作不良を解決することが可能となり、事業者負担を大幅に軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ネットワーク機器の構成を示すブロック図である。
図2】診断手順情報の構成例である。
図3】診断動作を示すシーケンス図である。
図4】診断処理例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[ネットワーク機器]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかるネットワーク機器について説明する。図1は、ネットワーク機器の構成を示すブロック図である。
このネットワーク機器10は、ゲートウェイやルーターなどの通信機器からなり、通信回線L1を介してインターネットなどの通信網NWと接続し、配下に接続されたローカルエリアネットワーク(以下、LAN:Local Area Networkという)を通信網NWに中継接続する機能を有している。
【0017】
LANには、図1に示すように、通信網NWを介してサーバ装置30へアクセスする電話装置20やパソコン21などの通信処理装置が接続されている。電話装置20は、単独電話機やファクシミリ装置だけでなく、ビジネスホンシステムの主装置やPBXシステムのPBX装置などの電話制御装置や、無線ルーターを介してLANに接続されるスマートホンなどの携帯電話端末であってもよい。
【0018】
多くの場合、ネットワーク機器10は、専門的な知識を有する工事者が設置するが、LANに接続された電話装置20などの通信処理装置を利用する利用者が設置する場合もある。また、動作不良が発生した場合、利用者がその動作不良の原因や解決策を調べようとするが、これは利用者だけではなく工事者がネットワーク機器10の設置時に行うこともある。したがって、利用者と工事者を区別する必要はなく、利用者と工事者のいずれも本発明を利用できるため、本発明では、利用者に工事者も含まれるものとする。
【0019】
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるネットワーク機器10の構成について詳細に説明する。
図1に示すように、ネットワーク機器10は、主な回路構成として、網I/F11、端末I/F12、中継処理部13、記憶部14、制御部16、音声処理部15、およびユーザーI/F17を備えている。
【0020】
[網I/F]
網I/F11は、通信回線L1を介して通信網NWとの間でデータ通信を行う機能を有している。
[端末I/F]
端末I/F12は、LANを介して接続された電話装置20やパソコン21などの通信処理端末との間でデータ通信を行う機能を有している。
[中継処理部]
中継処理部13は、端末I/F12に接続されているLANを、網I/F11から通信回線L1を介して通信網NWに中継接続する機能を有している。
【0021】
[記憶部]
記憶部14は、全体として半導体メモリなどの記憶装置からなり、制御部16での処理に用いる各種の処理データやプログラム14Pを記憶する機能を有している。
プログラム14Pは、制御部16のCPUと協働することにより、制御部16での呼制御処理や告知制御処理を実行するための各種処理部を実現するプログラムである。プログラム14Pは、ネットワーク機器10に接続された外部装置や記録媒体(ともに図示せず)から、予め読み込まれて記憶部14に保存される。
【0022】
記憶部14で記憶する主な処理データとして、診断手順情報14Aがある。診断手順情報14Aは、ネットワーク機器10で発生しうる動作不良ごとに、当該動作不良を診断するための診断手順が記述された処理データである。図2は、診断手順情報の構成例である。ここでは、「インターネットがつながらない」という動作不良に関する診断手順が記載されており、4つの手順ごとに、ネットワーク機器10がチェックすべきチェック項目と、そのチェック項目に基づきチェックしたチェック結果に対する診断結果との組が、それぞれテキストデータで登録されている。
【0023】
診断手順情報14Aは、ネットワーク機器10で発生しうる動作不良ごとに予め用意される。例えば、ネットワーク機器におけるパケットのルーティング設定やフィルタリング設定における設定ミスに関わる動作不良や、ネットワーク機器におけるLED等の点灯の設定ミスに関わる動作不良に対応して、診断手順情報14Aを予め用意すればよい。
【0024】
図2の例では、手順1のチェック項目として「PPP設定は有効か?」という項目が登録されている。また、手順1の診断結果として、装置が自動でチェックしたチェック結果「はい」については「手順2」へ移行すべき旨が登録されており、チェック結果「いいえ」については「PPP設定を有効にしてください」という利用者に提示する診断結果が登録されている。利用者は、ネットワーク機器10から提示される診断結果に基づいて設定変更等を行う。
【0025】
したがって、ネットワーク機器10の設定ミスが動作不良の原因であれば、診断結果が示す再設定作業により、動作不良が解決されることになる。なお、ネットワーク機器10の設定ミスが動作不良の原因ではなく、再設定作業により動作不良が解決されない場合、例えば、手順4の診断結果に登録されているように、チェック結果「はい」については「カスタマーセンタにお問い合わせください」という診断結果が利用者に提示される。
以下では、利用者との間でチェック項目やチェック結果をやり取りする方法として、音声処理部15を用いて音声でやり取りする場合を例として説明する。
【0026】
[音声処理部]
音声処理部15は、LANに接続された電話装置20との音声通話で、利用者から出力された音声をテキストデータに変換して取得する機能と、任意のテキストデータを音声に変換して利用者へ提示する機能とを有している。
【0027】
[制御部]
制御部16は、CPUとその周辺回路を有し、CPUと記憶部14のプログラム14Pとを協働させることにより、ネットワーク機器10の動作を制御する各種の処理を実行する機能を有している。
制御部16が実行する主な処理として、中継処理部13を制御する中継制御処理と、端末I/F12を介した電話装置20と音声処理部15との間の音声通話を制御する通話制御機能と、予め設定されている診断用電話番号に対する電話装置20からの呼び出しに自動応答して音声通話を開始し、動作不良の診断処理を実行する診断機能とを有している。
【0028】
制御部16は、診断機能として、利用者から指定された動作不良と対応する診断手順情報14Aを記憶部14から取得する機能と、取得した診断手順情報14Aに基づいて、チェック項目の診断を行い、動作不良に対する診断結果を特定し、診断結果を利用者へ提示する機能とを有している。
【0029】
また、利用者との間で診断結果を、音声処理部15を用いて音声でやり取りする場合、制御部16は、診断結果を提示する際、診断結果を示すテキストデータを音声処理部で音声に変換して電話装置20との音声通話により利用者に提示する機能と、電話装置20との音声通話により利用者から出力された音声を音声処理部15でテキストデータに変換して取得する機能と、利用者から出力された動作不良を示す音声を音声処理部15でテキストデータに変換することにより、利用者から指定された動作不良を特定する機能を有している。
【0030】
[ユーザーI/F]
ユーザーI/F17は、キーやスイッチからなる操作入力装置により、利用者の操作を検出して制御部16へ出力する機能と、LCDなどの画面表示装置により、制御部16から出力された各種テキストデータなどの情報を画面表示する機能とを有している。
【0031】
[本実施の形態の動作]
次に、図3を参照して、本実施の形態にかかるネットワーク機器10の機器診断方法の動作について説明する。図3は、診断動作を示すシーケンス図である。
ここでは、ネットワーク機器10の設置時に、インターネット接続不良という動作不良が発生したため、工事者が電話装置20を用いてネットワーク機器10で動作不良の診断を行う場合を例として説明する。
【0032】
まず、工事者がネットワーク機器10に対して各種の設定情報を設定する設定処理を行い(ステップS100)、設定処理の完了に応じて、ネットワーク機器10が予め設定されているインターネットへの接続を開始し(ステップS101)、プロバイダのデフォルトゲートウェイであるサーバ装置30へPPP接続を要求したものとする(ステップS102)。ここで、何らかの不具合があってサーバ装置30から認証エラーが返送された場合(ステップS103)、ネットワーク機器10で認証エラー発生と判定され、インターネットへの接続不可状態となる(ステップS104)。
【0033】
この後、工事者が任意のURLへのアクセス要求を操作した場合(ステップS105)、電話装置20からLANを介してネットワーク機器10へアクセス要求メッセージが通知される(ステップS106)。
ネットワーク機器10の制御部16は、端末I/F12で受信したアクセス要求メッセージに応じて、インターネットへの接続可否を確認し、接続不可状態であるため、接続エラーメッセージを返送する(ステップS107)。これにより、電話装置20のブラウザに接続エラーが表示され、工事者がネットワーク機器10の動作不良を確認する。
【0034】
この動作不良を診断するため、工事者が電話装置20で所定の診断発信操作を行った場合(ステップS110)、電話装置20からネットワーク機器10に対して、予め設定されている診断用電話番号を発信先とする呼び出しメッセージが送信される(ステップS111)。
制御部16は、端末I/F12で受信した診断用電話番号を発信先とする呼び出しメッセージに応じて、電話装置20からの呼び出しに自動応答し(ステップS112)、応答メッセージが返送される(ステップS113)。これにより、端末I/F12を介して電話装置20と音声処理部15との間で音声通話が開始される(ステップS114)。
【0035】
続いて、工事者が電話装置20から、発生した動作不良の内容を示すメッセージ、例えば「インターネットがつながらない」という音声を出力する(ステップS120)。
制御部16は、音声処理部15から、この音声を音声認識して得られたテキストデータを取得して、診断すべき動作不良を特定し(ステップS121)、診断処理を開始する(ステップS122)。
【0036】
診断処理では、特定した動作不良に関する診断手順情報14Aに基づいて、診断処理を行い、診断結果が特定された場合(ステップS123)、ネットワーク機器10は、特定された診断結果と必要に応じて設定変更等の操作要求を音声により工事者へ提示し(ステップS124)、電話装置20との音声通話を終話して(ステップS125)、一連の診断動作を終了する。
これにより、工事者は、ネットワーク機器10から提示された診断結果に従って、ネットワーク機器10の再設定、あるいは、カスタマーセンタへの問い合わせなど、動作不良を解決するための具体的な作業を行うことができる。
【0037】
[診断処理]
次に、図4を参照して、図3のステップS122で実行される診断処理の一例について説明する。図4は、診断処理例を示すフローチャートである。
ここでは、「インターネットがつながらない」という動作不良に対する診断処理例について説明する。なお、診断手順情報14Aには、前述した図2に示した例が予め登録されているものとする。
【0038】
本発明は、「インターネットがつながらない」という動作不良に限らず、ネットワーク機器の設定ミスに関わるあらゆる動作不良に適用することができる。例えば、ネットワーク機器におけるパケットのルーティング設定やフィルタリング設定に関わる設定ミスに関わる動作不良や、ネットワーク機器におけるLED等の点灯の設定ミスに関わる動作不良等にも対応できる。その場合には、動作不良のそれぞれに対応した診断手順情報14Aを予め用意すればよい。
【0039】
まず、ネットワーク機器10の制御部16は、診断手順情報14Aの手順「1」を参照して、「PPP設定は有効か?」というチェック項目を取得し、診断する(ステップS150)。
【0040】
ここで、診断の結果「いいえ」という結果であった場合(ステップS150:いいえ)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「1」を参照して、「いいえ」に対応する診断結果「PPP設定を有効にしてください」というテキストデータを取得し、音声で工事者に提示し(ステップS151)、一連の診断処理を終了する。
【0041】
一方、ステップS150で、診断の結果「はい」という結果だった場合(ステップS150:はい)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「1」を参照して、「はい」に対応する診断結果「手順2」というテキストデータを取得し、次の手順「2」へ移行する。
【0042】
続いて、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「2」を参照して、「ログから認証エラーは出ていないか?」というチェック項目を取得し、診断する(ステップS152)。
【0043】
ここで、診断の結果が「いいえ」という結果であった場合(ステップS152:いいえ)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「2」を参照して、「いいえ」に対応する診断結果「IDまたはパスワードが間違っています」というテキストデータを取得し、音声で工事者に提示し(ステップS153)、一連の診断処理を終了する。
【0044】
一方、ステップS152で、「はい」という診断結果を取得した場合(ステップS152:はい)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「3」を参照して、「はい」に対応する診断結果「手順3」というテキストデータを取得し、次の手順「3」へ移行する。
【0045】
続いて、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「3」を参照して、「デフォルトGWはPPP接続しているルートか?」というチェック項目を取得し、診断する(ステップS154)。
【0046】
ここで、診断の結果が「いいえ」という結果であった場合(ステップS154:いいえ)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「3」を参照して、「いいえ」に対応する診断結果「デフォルトGWの設定をPPPxに設定してください」というテキストデータを取得し、音声で工事者に提示し(ステップS155)、一連の診断処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS154で、工事者から「はい」という診断結果を取得した場合(ステップS154:はい)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「3」を参照して、「はい」に対応する診断結果「手順4」というテキストデータを取得し、次の手順「4」へ移行する。
【0048】
続いて、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「4」を参照して、「DNSはPPP接続しているルートか?」というチェック項目を取得し、診断する(ステップS156)。
【0049】
ここで、診断の結果が「いいえ」という結果であった場合(ステップS156:いいえ)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「4」を参照して、「いいえ」に対応する診断結果「DNSの設定をPPPxに設定してください」というテキストデータを取得し、音声で工事者に提示し(ステップS157)、一連の診断処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS156で、「はい」という診断結果を取得した場合(ステップS156:はい)、制御部16は、診断手順情報14Aの手順「4」を参照して、「はい」に対応する診断結果「カスタマーセンタにお問い合わせください」というテキストデータを取得し、音声処理部15で音声合成して得られた音声を、端末I/F12から音声通話を介して電話装置20の工事者へ提示し(ステップS158)、一連の診断処理を終了する。
【0051】
図4では、工事者との間での診断結果の提示や設定変更等の操作依頼を、音声処理部15を介して音声でやり取りする場合を例として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図1に示したユーザーI/F17を介してやり取りしてもよい。
例えば、工事者に診断結果や設定変更等の操作依頼を提示する場合には、ユーザーI/F17の画面表示装置に、診断結果や設定変更等の操作依頼の内容を示すテキストデータを表示すればよい。また、工事者から設定変更等の操作を取得する場合には、ユーザーI/F17の操作入力装置で設定変更等を示す工事者操作を検出すればよい。
【0052】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、ネットワーク機器10において、制御部16が、利用者から指定された動作不良と対応する診断手順情報14Aを記憶部14から取得し、診断手順情報14Aに基づいて、診断し、診断結果を利用者へ提示するようにしたものである。
【0053】
これにより、ネットワーク機器10が、利用者からの問い合わせに応じて動作不良の原因を診断することができる。また、発生した動作不良がインターネット接続不良であって、動作不良の原因や解決策をインターネットを利用して調べることはできない場合であっても、動作不良の原因を診断することができる。
【0054】
したがって、動作不良の原因が単なる設定ミスである場合には、機器の製造元や販売元となる事業者のカスタマーズサービスへ連絡することなく、動作不良を解決することが可能となる。このため、カスタマーズサービスへ連絡頻度を低減できるだけでなく、事業者が無駄な機器返品を受け付けたり、事業者のサービス技術者が現地へ出向いて確認したりする回数を削減でき、事業者負担を大幅に軽減することが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態において、LANに接続された電話装置20との音声通話で、利用者から出力された音声をテキストデータに変換して取得するとともに、任意のテキストデータを音声に変換して利用者へ提示する音声処理部15をさらに備え、制御部16が、診断結果を提示する際、診断結果を示すテキストデータを音声処理部15で音声に変換して電話装置20との音声通話により利用者に提示し、設定変更操作等を取得する際、電話装置20との音声通話により利用者から出力された音声を音声処理部15でテキストデータに変換して取得するようにしてもよい。
【0056】
これにより、ネットワーク機器10に設けたユーザーI/F17での利用者操作を必要とすることなく、ネットワーク機器10の配下に接続した電話装置20を用いて、極めて容易に診断結果を利用者との間でやり取りすることができる。
【0057】
また、本実施の形態において、制御部16が、予め設定されている診断用電話番号に対する電話装置20からの呼び出しに自動応答することにより、利用者との音声通話を開始するようにしてもよい。
【0058】
これにより、利用者が電話装置20から診断用電話番号に対して呼び出しを行うだけで診断を開始することができ、極めて容易に診断を開始することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態において、制御部16が、診断結果を提示する際、診断結果を示すテキストデータをユーザーI/F17で画面表示することにより利用者に提示し、設定変更操作等を取得する際、設定変更操作等を示す利用者の操作入力をユーザーI/F17で取得するようにしてもよい。
【0060】
これにより、ネットワーク機器10の配下に電話装置20を接続することなく、ネットワーク機器10に設けられているユーザーI/F17を用いて、極めて容易に診断結果の提示や設定変更操作等の依頼や操作入力を利用者との間でやり取りすることができる。
【0061】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0062】
10…ネットワーク機器、11…網I/F、12…端末I/F、13…中継処理部、14…記憶部、14A…診断手順情報、14P…プログラム、15…音声処理部、16…制御部、17…ユーザーI/F、20…電話装置、21…パソコン、30…サーバ装置、L1…通信回線、LAN…ローカルエリアネットワーク、NW…通信網。
図1
図2
図3
図4