【解決手段】作業車両(1)は、モータ(40)の回転数を設定するアクセルレバー(201)と、無負荷状態であるか否かを判定するバッテリ出力判定部(15)と、無負荷状態であると判定された場合、オートアイドル機能を有効に設定するオートアイドル機能設定部(13)と、モータ(40)を、アクセルレバー(201)によって設定された回転数よりも低い回転数で回転させるモータ回転数制御部14とを備える。
前記無負荷状態判定部は、前記電動モータに供給されるエネルギー値を所定の間隔で取得し、前記エネルギー値を取得する毎に、当該エネルギー値を用いて前記無負荷状態であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
前記オートアイドル機能設定部は、前記無負荷状態判定部が前記無負荷状態であると判定した回数が所定回数以上連続した場合、前記オートアイドル機能を有効に設定することを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
前記オートアイドル機能設定部は、前記オートアイドル機能を有効に設定中、前記無負荷状態判定部が、無負荷状態ではないと判定した場合、前記オートアイドル機能を無効に設定することを特徴とする請求項2または3に記載の作業車両。
前記無負荷状態判定部は、前記エネルギー値が第1閾値を超えた場合、または前記エネルギー値が第2閾値を超えた回数が所定回数以上連続した場合、無負荷状態ではないと判定することを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
前記オートアイドル機能設定部が前記オートアイドル機能を有効に設定中、前記操作部に対する操作があった場合、前記無負荷状態判定部は、無負荷状態でないと判定することを特徴とする請求項4または5に記載の作業車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、電動モータは、アクセルセンサが高回転位置にあれば、作業中でない場合でも高回転を維持することになる。特許文献1に記載された技術は、作業モードか走行モードかにより、基準回転数を切り換えるものであり、作業中でない場合でも、アクセルセンサの位置に応じた、電動モータの回転が維持されることになる。よって、無駄な電力が消費されることを抑制することはできない。
【0007】
また、特許文献2は、エンジンの回転数が所定値以上のときに電動モータへの電力の供給を遮断することが記載されているのみであり、作業中等における電動モータの制御については記載されていない。
【0008】
本発明の一態様は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、無用な電力消費を抑制できる作業車両を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る作業車両は、電動モータを備えた作業車両であって、前記電動モータの回転数を設定する操作部と、前記電動モータによる作業または走行を行っていない状態である無負荷状態であるか否かを判定する無負荷状態判定部と、前記無負荷状態判定部が前記無負荷状態であると判定した場合、前記操作部によって設定された回転数よりも低い回転数で前記電動モータを回転させるオートアイドル機能を有効に設定するオートアイドル機能設定部と、前記オートアイドル機能が有効に設定されている場合、前記電動モータを、前記操作部によって設定された回転数よりも低い回転数で回転させるモータ回転数制御部と、を備えている。
【0010】
従来、電動モータは、無負荷状態であるか否かに関わらず、操作部によって設定された回転数で回転し続ける。一方、前記の構成によれば、電動モータによる作業または走行を行っていない状態である無負荷状態であると判定された場合、電動モータを、操作部によって設定された回転数よりも低い回転数で回転させるオートアイドル機能を有効に設定する。よって、従来のように、無負荷状態であるにもかかわらず、電動モータが操作部によって設定された回転数で回転し続けるということがなくなるので、無駄に電力を消費してしまうということを抑制することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記無負荷状態判定部は、前記電動モータに供給されるエネルギー値を所定の間隔で取得し、前記エネルギー値を取得する毎に、当該エネルギー値を用いて前記無負荷状態であるか否かを判定するものであってもよい。
【0012】
前記の構成によれば、電動モータに供給されるエネルギー値を用いて、無負荷状態を判定するので、適切に無負荷状態を判定することができる。なお、電動モータに供給されるエネルギー値とは、例えば、電動モータに電力を供給するバッテリの出力電力、出力電流、電動モータの回転数を制御するインバータの出力電力、出力電流が挙げられる。
【0013】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記オートアイドル機能設定部は、前記無負荷状態判定部が前記無負荷状態であると判定した回数が所定回数以上連続した場合、前記オートアイドル機能を有効に設定するものであってもよい。
【0014】
前記の構成によれば、無負荷状態判定部が無負荷状態であると判定した回数が所定回数以上連続した場合、つまり、無負荷状態のまま所定時間が経過した場合、オートアイドル機能を有効にする。すなわち、瞬間的に無負荷状態となったような場合は、オートアイドル機能を有効にしない。これにより、電動モータの回転数が必要以上に上げ下げされてしまうことを抑制することができる。
【0015】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記オートアイドル機能設定部は、前記オートアイドル機能を有効に設定中、前記無負荷状態判定部が、無負荷状態ではないと判定した場合、前記オートアイドル機能を無効に設定するものであってもよい。
【0016】
前記の構成によれば、オートアイドル機能を有効に設定中、無負荷状態でないと判定された場合、オートアイドル機能を無効に設定する。これにより、電動モータの回転数は、操作部によって設定されて回転数となるので、電動モータによる作業等を適切に行うことができる。
【0017】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記無負荷状態判定部は、前記エネルギー値が第1閾値を超えた場合、または前記エネルギー値が第2閾値を超えた回数が所定回数以上連続した場合、無負荷状態ではないと判定するものであってもよい。
【0018】
前記の構成によれば、エネルギー値が第1閾値を超えた場合、または、第2閾値を超えた回数が所定回数以上連続した場合、無負荷状態ではないと判定するので、オートアイドル機能を直ちに無効に設定すべき場合と、ある程度の時間をおいて無効に設定すべき場合とで分けて対応することができる。なお、第1閾値とは、オートアイドル機能を直ちに無効に設定すべき動作に対応する値であり、第2閾値とは、オートアイドル機能を直ちに無効に設定する必要はないが、継続すれば無効に設定すべき動作に対応する値である。
【0019】
本発明の一態様に係る作業車両では、前記オートアイドル機能設定部が前記オートアイドル機能を有効に設定中、前記操作部に対する操作があった場合、前記無負荷状態判定部は、無負荷状態でないと判定するものであってもよい。
【0020】
操作部に対する操作は、電動モータによる作業を行うという作業者の意図によるものと考えられる。そして、前記の構成によれば、オートアイドル機能が有効に設定されているときに、操作部に対する操作があった場合、無負荷状態ではないと判定され、オートアイドル機能が無効となる。これにより、作業者が、電動モータによる何らかの作業を行おうとしているにもかかわらず、オートアイドル機能が有効に設定され、電動モータの回転数が低いままであるという状態を回避することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、電動モータによる作業または走行を行っていない状態である無負荷状態であると判定された場合、電動モータを、操作部によって設定された回転数よりも低い回転数で回転させるオートアイドル機能を有効に設定する。よって、従来のように、無負荷状態であるにもかかわらず、電動モータが操作部によって設定された回転数で回転し続けるということがなくなるので、無駄に電力を消費してしまうということを抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る作業車両1について説明する。
図1は、作業車両1の概要を示すブロック図である。なお、本実施形態では、作業車両1における作業車としての機能および走行に関する機能は、公知の技術を用いて実現可能であるので、ここでは説明しない。また、作業車両1として、ここではトラクタを例に挙げて説明するが、作業車両1は、トラクタに限られるものではない。トラクタ以外にも、工事・建設等に用いられる建設機械車両等であってもよい。
【0024】
図1に示すように、作業車両1は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)10、操作部20、バッテリパック30、モータ(電動モータ)40、およびインバータ50を含む。
【0025】
電子制御ユニット10は、作業車両1における電子的な制御を司るユニットであり、操作位置取得部11、バッテリ出力取得部12、オートアイドル機能設定部13、およびモータ回転数制御部14を含む。
【0026】
操作位置取得部11は、操作部20における操作、具体的には、後述するアクセルレバー(操作部)201、およびアクセルペダル202の操作位置を取得し、オートアイドル機能設定部13に通知する。
【0027】
バッテリ出力取得部12、所定の周期で、バッテリパック30の出力を取得する。バッテリパック30の出力とは、バッテリパック30からの出力電力、または出力電流である。なお、バッテリ出力取得部12は、バッテリパック30からの出力に代えて、インバータ50の出力電力または出力電流を取得してもよい。つまり、バッテリ出力取得部12は、モータ40に供給されるエネルギー値を取得するということができる。
【0028】
オートアイドル機能設定部13は、バッテリ出力判定部(無負荷状態判定部)15を含み、作業車両1が無負荷状態であるか否かを判定するとともに、無負荷状態の場合に、オートアイドル機能を有効に設定する。
【0029】
無負荷状態とは、作業車両1にて走行、および作業等が行われていない状態である。作業車両1が無負荷状態であるか否かは、バッテリ出力判定部15により行う。バッテリ出力判定部15は、バッテリ出力取得部12からバッテリパック30の出力が、一定時間、所定値以下であるか否かを判定することにより、作業車両1が無負荷状態であるか否かを判定する。例えば、バッテリ出力判定部15は、バッテリパック30からの出力電力が4.0[kw]以下の状態が3[秒]続いた場合に無負荷状態と判定する。
【0030】
オートアイドル機能とは、
図2に示すアクセルレバー201の操作位置がモータ40を高回転とする位置にある場合であっても、無負荷状態であれば、モータ40の回転数を低回転とするものである。例えば、アクセルレバー201の操作位置に基づくモータ40の最高回転数が2800[r/min]の場合に、無負荷状態となったとき、アクセルレバー201の操作位置に関わらず、モータ40の回転数を1000[r/min]とする。
【0031】
モータ回転数制御部14は、オートアイドル機能設定部13によるオートアイドル機能の設定の有無に応じて、モータ40の回転数を制御するものである。すなわち、オートアイドル機能が無効であれば、モータ回転数制御部14は、操作位置取得部11が取得したアクセルレバー201の操作位置に基づき、モータ40の回転数を制御し、オートアイドル機能が有効であれば、無負荷状態であるか否かに応じてモータ40の回転数を制御する。
【0032】
操作部20は、作業車両1に対する操作を行うものであり、アクセルレバー201、アクセルペダル202、ブレーキペダル203、シャトルレバー204、クラッチペダル205、主変速レバー206、および副変速レバー207を含む。
図2に、操作部20の例を示す。
図2に示す例では、ハンドルの右側にアクセルレバー201、左側にシャトルレバー204が配置され、足元の右側に、ブレーキペダル203、アクセルペダル202が、左側にクラッチペダル205が配置されている。また、座席の左側に主変速レバー206および副変速レバー207が配置されている。
【0033】
アクセルレバー201は、主に作業時に使用されるものであり、レバーを手前に引くとモータ40(およびエンジン(図示せず))の回転数が上がり、レバーを前側に押すと、モータ40(およびエンジン)の回転数が下がる。アクセルペダル202は、主に道路走行時に使用されるものであり、ペダルを踏込むとモータ40(およびエンジン)の回転数が上がり、ペダルから足を離すとアクセルレバー201で設定した回転数までモータ40(およびエンジン)の回転数が下がる。
【0034】
ブレーキペダル203は、強制的に作業車両1を停止させるものであり、左右それぞれに独立している。なお、連結金具(図示せず)により左右をつなぐことにより、左右両輪のブレーキを同時にかけることができる。シャトルレバー204は、作業車両1の前進、および後進を切り換えるものであり、レバーを持ち上げて前に押せば前進し、手前に引けば後進する。クラッチペダル205は、エンジンの動力を各作動部に断続するものであり、ペダルを踏込むとクラッチが切れ、ペダルから足を離すとクラッチがつながる。主変速レバー206および副変速レバー207は、アクセルレバー201およびアクセルペダル202の操作位置に対する車速を変更するものであり、副変速レバー207は、主変速レバー206それぞれの操作位置に対し、さらに細かい設定を行うものである。
【0035】
バッテリパック30は、充電および放電が可能なバッテリであり、インバータ50を介してモータ40に電力を供給することによりモータ40を動作させる。
【0036】
インバータ50は、モータ回転数制御部14の指示によりモータ40の回転を制御するものである。
【0037】
〔処理の流れ〕
次に、
図3および
図4を参照して、作業車両1におけるオートアイドル機能を有効に設定する処理の流れ、および無効に設定する処理の流れについて説明する。
図3は、オートアイドル機能を有効に設定する処理の流れを示すフローチャートであり、
図4は、オートアイドル機能を無効に設定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
図3に示すように、オートアイドル機能を有効に設定する処理の場合、まず、バッテリ出力取得部12は、バッテリパック30からの出力を取得する(S101)。そして、バッテリ出力判定部15は、バッテリ出力取得部12が取得した出力がON閾値以下か否かを判定する(S102)。ON閾値とは、作業車両1が無負荷状態であるか否かを判定するための閾値であり、作業車両1が作業中または走行中でない場合のバッテリパック30の出力を基に定められる。そして、バッテリ出力取得部12が取得した出力が、ON閾値以下の場合(S102でYES)、バッテリ出力判定部15は、無負荷状態カウントを「1」加算する(S103)。無負荷状態カウントとは、作業車両1が無負荷状態にあるか否かを判定するための値である。そして、バッテリ出力判定部15は、無負荷状態カウントがカウント閾値を超えるか否かを判定する(S104)。そして、無負荷状態カウントがカウント閾値を超える場合(S104でYES)、バッテリ出力判定部15は無負荷状態であると判定し、オートアイドル機能設定部13は、オートアイドル機能を有効に設定する(S105)。
【0039】
一方、ステップS102で、バッテリパック30の出力がON閾値以下ではないと判定した場合(S102でNO)、バッテリ出力判定部15は、無負荷状態カウントをリセットし(S106)、所定時間が経過すると(S107でYES)、ステップS101に戻る。そして、バッテリ出力取得部12はバッテリパック30の出力を取得する。すなわち、ステップS107における「所定時間」とは、バッテリ出力取得部12がバッテリパック30の出力を取得する周期ということができる。例えば、所定時間が0.5秒であれば、バッテリ出力取得部12は、0.5秒周期でバッテリパック30の出力を取得することになる。
【0040】
また、ステップS104において、無負荷状態カウントがカウント閾値を超えない場合(S104でNO)、ステップS107に進み、所定時間が経過すると(S107でYES)、ステップS101に戻る。すなわち、この場合、無負荷状態カウントが維持されたままステップS101に戻ることになる。
【0041】
以上により、バッテリパック30の出力がON閾値よりも小さい状態が所定時間以上、継続する場合に、無負荷状態と判定し、オートアイドル機能を有効に設定することができる。例えば、所定の間隔が0.5秒で、バッテリパック30の出力がON閾値よりも小さい状態が3秒以上、継続した場合、無負荷状態とするのであれば、無負荷状態カウントが「6」を超えたとき、無負荷状態と判定することができる。この場合、カウント閾値は「6」となる。
【0042】
また、バッテリパック30の出力がON閾値以上となると、ステップS106で無負荷状態カウントがリセットされるので、ステップS104で判定対象となる無負荷状態カウントは、連続して「バッテリ出力<ON閾値」である判定されたときの積算値となる。これは、バッテリ出力判定部15が、連続して無負荷状態であると判定した回数ということができる。よって、ステップS104では、バッテリ出力判定部15が無負荷状態であると判定した回数が所定回数(カウント閾値)以上連続しているか否かを判定しているということができる。
【0043】
また、上記によれば、無負荷状態と判定された場合に、オートアイドル機能を有効に設定するので、作業者が何らかの操作を行うことなく、自動的にオートアイドル機能が有効となる。よって、作業者に負担を強いることなく、モータ40の消費電力を削減することができる。
【0044】
また、
図4に示すように、オートアイドル機能を無効に設定する処理の場合、まず、バッテリ出力取得部12は、バッテリパック30からの出力を取得する(S201)。そして、バッテリ出力判定部15は、バッテリ出力取得部12が取得した出力がOFF閾値A(第1閾値)より大きいか否かを判定する(S202)。ON閾値Aよりも大きい場合(S202でYES)、オートアイドル機能設定部13は、オートアイドル機能の設定を無効とする(S209)。
【0045】
一方、ON閾値Aよりも大きくない場合(S202でNO)、バッテリ出力判定部15は、バッテリ出力取得部12が取得した出力がOFF閾値B(第2閾値)よりも大きいか否かを判定する(S203)。そして、OFF閾値Bよりも大きい場合(S203でYES)、バッテリ出力判定部15は、時間カウントを「1」加算する(S204)。時間カウントとは、作業車両1が無負荷状態ではなくなったか否かを判定するための値である。そして、バッテリ出力判定部15は、時間カウントがカウント閾値を超えるか否かを判定する(S205)。そして、時間カウントがカウント閾値を超える場合(S205でYES)、バッテリ出力判定部15は無負荷状態ではなくなったと判定し、オートアイドル機能設定部13は、オートアイドル機能を無効に設定する(S209)。
【0046】
一方、ステップS203で、バッテリパック30の出力がOFF閾値B以下ではないと判定した場合(S203でNO)、バッテリ出力判定部15は、時間カウントをリセットする(S206)。その後、オートアイドル機能設定部13は、操作部20のアクセルレバー201の操作があったか否かを、操作位置取得部11が取得した操作位置から判定する(S207)。そして、アクセルレバー201の操作がなく(S207でNO)、所定時間が経過すると(S208でYES)、ステップS201に戻る。そして、バッテリ出力取得部12はバッテリパック30の出力を取得する。
【0047】
また、ステップS205において、時間カウントがカウント閾値を超えない場合(S205でNO)、ステップS208に進み、所定時間が経過すると(S208でYES)、ステップS201に戻る。すなわち、この場合、時間カウントが維持されたままステップS201に戻ることになる。
【0048】
また、ステップS207において、アクセルレバー201の操作があった場合(S208でYES)、オートアイドル機能設定部13は、オートアイドル機能を無効に設定する(S209)。
【0049】
以上により、バッテリパック30の出力がOFF閾値A以下の場合、バッテリパック30の出力がOFF閾値B以下の状態が所定時間以上、継続した場合、および、アクセルレバー201の操作があった場合に、オートアイドル機能の無効に設定することができる。OFF閾値を、OFF閾値AとOFF閾値Bとの2つとすることにより、瞬時にオートアイドル機能を無効にすべき勤作(例えば、アクセルペダル202の踏み込み)と、オートアイドル機能を瞬時に無効にする必要はないが、継続する場合はオートアイドル機能を無効にすべき動作(例えば、ステアリングに触れる)等に対応することができる。なお、OFF閾値A>OFF閾値Bである。
【0050】
また、バッテリパック30の出力がOFF閾値B以上となると、ステップS206で時間カウントがリセットされるので、ステップS205で判定対象となる時間カウントは、連続して「バッテリ出力>OFF閾値B」であると判定されたときの積算値となる。これは、バッテリ出力判定部15が、連続して「バッテリ出力>OFF閾値B」であると判定した回数ということができる。よって、ステップS205では、バッテリ出力判定部15が「バッテリ出力>OFF閾値B」であると判定した回数が所定回数(カウント閾値)以上連続しているか否かを判定しているということができる。
【0051】
次に、
図5を参照して、オートアイドル機能が設定されている場合と、されていない場合における処理について説明する。
図5は、オートアイドル機能の有効、無効に基づく処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
図5に示すように、オートアイドル機能が有効(ON)の場合(S301でYES)、モータ回転数制御部14は、オートアイドル機能に基づく回転、すなわち、無負荷状態であれば、低回転となるようにモータ40の回転数を制御し(S302)、オートアイドル機能が有効でない(OFF)場合(S301でNO)、モータ回転数制御部14は、アクセルレバー201の操作位置に基づく回転となるようにモータ40の回転数を制御する(S303)。
【0053】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0054】
本実施形態に係る作業車両1Aは、上述した実施形態1に記載した作業車両1と比較して、走行モード機能を備える点が異なる。走行モードとは、走行モード機能が有効(ON)のときは、主変速レバー206、副変速レバー207の位置に応じ、アクセルペダル202の踏込具合によってモータ40の回転数が制御される一方、走行モード機能が無効(OFF)のときは、アクセルレバー201に位置に応じて、モータ40の回転数が一定となるものである。なお、機械式トランスミッションの代わりに無段階変速による制御を行ってもよい。
【0055】
一般的に、モータ40は、アクセルレバー201の操作位置に応じた回転数となる。よって、アクセルレバー201の操作位置が高回転位置にあれば、モータ40は高回転し続けることになる。これは、作業車両1が停止している場合や低速走行している場合であっても同様である。この場合、モータ40は無駄に高回転を維持していることになる。
【0056】
本実施形態に係る作業車両1は、走行モード機能を備えることにより、走行モード機能が有効のときは、アクセルペダル202の踏込具合によってモータ40の回転数が制御される。よって、走行していない、または低速走行中であるにもかかわらず、モータ40が高回転で回転し続けるということを抑制することができる。
【0057】
走行モード機能の有効および無効は、操作部20に含まれるスイッチ(図示せず)により設定することができる。なお、走行モード機能を無効にする場合は、後述する走行モード設定部18により自動的に行うこともできる。
【0058】
図6に、本実施形態に係る作業車両1Aの機能ブロック図を示す。
図6に示すように、作業車両1Aは、作業車両1のオートアイドル機能設定部13に代えて、電子制御ユニット10Aに走行モード設定部18を備える。
【0059】
走行モード設定部18は、バッテリ出力判定部19を含み、走行していない状態で、作業車両1Aが無負荷状態であるか否かを判定するとともに、走行していないかつ無負荷状態ではない場合に、走行モード機能を無効に設定する。
【0060】
実施形態1と同様に、無負荷状態とは、作業車両1Aにて作業等が行われていない状態である。作業車両1Aが無負荷状態であるか否かは、バッテリ出力判定部19により行う。バッテリ出力判定部19は、バッテリ出力取得部12からバッテリパック30の出力が、一定時間、所定値以下であるか否かを判定することにより、作業車両1が無負荷状態であるか否かを判定する。
【0061】
図8および
図9を参照して、走行モード機能がONの場合とOFFの場合とにおける、アクセルペダル202のペダル踏込度合(ペダル角度)とモータ40の回転数との関係を説明する。なお、ここでは、作業車両1は、主変速レバー206および副変速レバー207を備え、主変速レバー206による変速は無段階変速であるものとして説明を行う。
【0062】
図8の符号801は、走行モード機能が有効(ON)で、前進する場合のアクセルペダル202のペダル踏込度合(ペダル角度)とモータ40の回転数との関係を示す。符号801に示すように、走行モード機能が有効の場合、アクセルペダル202の踏込度合が大きくなるほど、モータ40の回転数が大きくなる。なお、
図8における「H速」、「M速」、「L速」とは、副変速レバー207における操作位置であり、「H速」→「M速」→「L速」の順で、アクセルペダル202の踏込度合に対するモータ40の回転数の上がり具合が小さくなる。
【0063】
図8の符号802は、走行モード機能が無効(OFF)の場合のアクセルペダル202のペダル踏込度合(ペダル角度)とモータ40の回転数との関係を示す。符号802に示すように、走行モード機能が無効の場合、モータ40の回転数はR_OFFで一定となる。なお、ここでは、アクセルレバー201に操作位置に基づくモータ40の回転数がR_OFFであるとする。
【0064】
また、
図9に、走行モード機能が有効で、後進する場合のアクセルペダル202のペダル踏込度合(ペダル角度)とモータ40の回転数との関係を示す。
図9の符号901に示すように、走行モード機能が有効で、後進する場合、前進する場合と同様に、アクセルペダル202の踏込度合が大きくなるほど、モータ40の回転数が大きくなる。ただし、前進する場合と比較して、モータ40の回転数が大きくなる程度が小さくなる。これは、後進の場合、前進と比較して必要な速度が遅いためである。なお、これは必須ではなく、前進の場合と後進の場合とで、アクセルペダル202の踏込度合とモータ40の回転数との関係が同じであってもよい。
【0065】
次に、
図7を参照して、走行モード機能が無効にされる場合の処理の流れについて説明する。なお、ここでは、予め走行モード機能が有効に設定されているものとする。走行モード機能を無効とする処理では、まず、バッテリ出力取得部12は、バッテリパック30からの出力を取得する(S401)。そして、バッテリ出力判定部19は、作業車両1Aが走行していない状態で、バッテリ出力取得部12が取得した出力がモード閾値Aより大きいか否かを判定する(S402)。モード閾値Aよりも大きい場合(S402でYES)、走行モード設定部18は、走行モード機能の設定を無効(OFF)とする(S408)。
【0066】
一方、モード閾値Aよりも大きくない場合(S402でNO)、バッテリ出力判定部19は、バッテリ出力取得部12が取得した出力がモード閾値Bよりも大きいか否かを判定する(S403)。そして、モード閾値Bよりも大きい場合(S403でYES)、バッテリ出力判定部19は、時間カウントを「1」加算する(S404)。そして、バッテリ出力判定部19は、時間カウントがカウント閾値を超えるか否かを判定する(S405)。そして、時間カウントがカウント閾値を超える場合(S405でYES)、バッテリ出力判定部19は無負荷状態ではなくなったと判定し、走行モード設定部18は、走行モード機能を無効に設定する(S209)。
【0067】
一方、ステップS403で、バッテリパック30の出力がモード閾値Bよりも大きくないと判定した場合(S403でNO)、バッテリ出力判定部19は、時間カウントをリセットする(S406)。そして、所定時間が経過すると(S407でYES)、ステップS401に戻る。そして、バッテリ出力取得部12はバッテリパック30の出力を取得する。
【0068】
また、ステップS405において、時間カウントがカウント閾値を超えない場合(S405でNO)、ステップS407に進み、所定時間が経過すると(S407でYES)、ステップS401に戻る。すなわち、この場合、時間カウントが維持されたままステップS401に戻ることになる。
【0069】
以上により、バッテリパック30の出力がモード閾値Aよりも大きい場合、およびバッテリパック30の出力がモード閾値Bよりも大きい状態が所定時間以上、継続した場合に、走行モード機能を無効(OFF)に設定することができる。閾値を、モード閾値Aとモード閾値Bとの2つ設定することにより、瞬時に走行モード機能を無効にすべき勤作(例えば、PTO作業等のモータ40を高回転にして行う作業)と、走行モード機能を瞬時に無効にする必要はないが、継続する場合は走行モード機能を無効にすべき動作(例えば、ステアリングに触れる)等に対応することができる。
【0070】
〔変形例〕
作業車両1は、実施形態1の機能と実施形態2の機能との両方の機能を有していてもよい。すなわち、作業車両1は、オートアイドル機能と走行モード機能との両方を備えていてもよい。
【0071】
〔ソフトウェアによる実現例〕
作業車両1(1A)の制御ブロック(特に電子制御ユニット10(10A))は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0072】
後者の場合、作業車両1(1A)は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。