【解決手段】実施形態の一態様は、第1バッテリ、第2バッテリおよび発電機が並列接続されるとともに、第1バッテリと発電機との間に第1リレーが介挿され、第2バッテリと発電機との間に第2リレーが介挿され、第1リレーおよび第2リレーがそれぞれ、並列接続された複数のスイッチ部を含むように構成された電源システムの制御装置であって、検出部と、スイッチ制御部と、発電制御部とを備える。検出部は、複数のスイッチ部におけるオン固着を検出する。スイッチ制御部は、検出部によってオン固着が検出された場合、複数のスイッチ部のうち、少なくともオン固着が検出されたスイッチ部と並列接続されたスイッチ部の全てをオンする。発電制御部は、複数のスイッチ部の中でオン固着が検出されたスイッチ部の位置に応じて発電機を制御する。
第1バッテリ、第2バッテリおよび発電機が並列接続されるとともに、前記第1バッテリと前記発電機との間に第1リレーが介挿され、前記第2バッテリと前記発電機との間に第2リレーが介挿され、
前記第1リレーおよび前記第2リレーがそれぞれ、並列接続された複数のスイッチ部を含むように構成された電源システムの制御装置であって、
前記複数のスイッチ部におけるオン固着を検出する検出部と、
前記検出部によってオン固着が検出された場合、前記複数のスイッチ部のうち、少なくともオン固着が検出された前記スイッチ部と並列接続された前記スイッチ部の全てをオンするスイッチ制御部と、
前記複数のスイッチ部の中でオン固着が検出された前記スイッチ部の位置に応じて前記発電機を制御する発電制御部と
を備えることを特徴とする電源システムの制御装置。
第1バッテリ、第2バッテリおよび発電機が並列接続されるとともに、前記第1バッテリと前記発電機との間に第1リレーが介挿され、前記第2バッテリと前記発電機との間に第2リレーが介挿され、
前記第1リレーおよび前記第2リレーがそれぞれ、並列接続された複数のスイッチ部を含むように構成された電源システムの制御装置であって、
前記複数のスイッチ部におけるオフ固着を検出する検出部と、
前記検出部によってオフ固着が検出された場合、前記第1リレーに含まれる前記複数のスイッチ部の全てをオンする一方、前記第2リレーに含まれる前記複数のスイッチ部の全てをオフするスイッチ制御部と、
前記検出部によって前記第1リレーに含まれる前記スイッチ部にオフ固着が検出された場合、前記発電機に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する発電制御部と
を備えることを特徴とする電源システムの制御装置。
第1バッテリ、第2バッテリおよび発電機が並列接続されるとともに、前記第1バッテリと前記発電機との間に第1リレーが介挿され、前記第2バッテリと前記発電機との間に第2リレーが介挿され、
前記第1リレーおよび前記第2リレーがそれぞれ、並列接続された複数のスイッチ部を含むように構成された電源システムの制御方法であって、
前記複数のスイッチ部におけるオン固着を検出する検出工程と、
前記検出工程によってオン固着が検出された場合、前記複数のスイッチ部のうち、少なくともオン固着が検出された前記スイッチ部と並列接続された前記スイッチ部の全てをオンするスイッチ制御工程と、
前記複数のスイッチ部の中でオン固着が検出された前記スイッチ部の位置に応じて前記発電機を制御する発電制御工程と
を含むことを特徴とする電源システムの制御方法。
第1バッテリ、第2バッテリおよび発電機が並列接続されるとともに、前記第1バッテリと前記発電機との間に第1リレーが介挿され、前記第2バッテリと前記発電機との間に第2リレーが介挿され、
前記第1リレーおよび前記第2リレーがそれぞれ、並列接続された複数のスイッチ部を含むように構成された電源システムの制御方法であって、
前記複数のスイッチ部におけるオフ固着を検出する検出工程と、
前記検出工程によってオフ固着が検出された場合、前記第1リレーに含まれる前記複数のスイッチ部の全てをオンする一方、前記第2リレーに含まれる前記複数のスイッチ部の全てをオフするスイッチ制御工程と、
前記検出工程によって前記第1リレーに含まれる前記スイッチ部にオフ固着が検出された場合、前記発電機に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する発電制御工程と
を含むことを特徴とする電源システムの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電源システムの制御装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
また、以下では、制御装置が、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、μHEV(Micro Hybrid Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の車両に搭載される電源システムを制御する場合を一例に挙げて説明する。なお、制御装置の制御対象は、車両に搭載される電源システムに限定されず、任意の機器に搭載される電源システムであってもよい。
【0011】
(制御装置を含む電源システムの全体構成)
まず、
図1を用いて、実施形態に係る制御装置を含む電源システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る制御装置を含む電源システムの構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、電源システム1は、電池パック10と、発電機11と、鉛バッテリ12と、補機13と、制御装置30とを含む。電池パック10は、LIB(Lithium-Ion rechargeable Battery(リチウムイオン二次電池))15と、第1リレー16と、第2リレー18と、監視装置20とを備える。
【0013】
このように、電源システム1は、鉛バッテリ12およびLIB15の2つの電池を備える2電源システムである。なお、電源システム1は、バッテリを二重化した2電源システムに限定されるものではなく、バッテリの数は3つ以上であってもよい。
【0014】
発電機11は、図示しないエンジンの回転を動力源として電力を生成する機器である。また、車両の減速時には回生ブレーキによる回生電力を生成する。なお、発電機11は、オルタネータやジェネレータとも呼ばれる。また、発電機11は、エンジンを始動する始動装置(スタータ)として機能してもよい。すなわち、発電機11は、ISG(Integrated Starter Generator)であってもよい。
【0015】
また、発電機11は、例えば制御装置30からの指示に応じて電力を生成してもよい。そして、例えば発電した電力を鉛バッテリ12やLIB15へ供給することで、鉛バッテリ12やLIB15を充電する。
【0016】
鉛バッテリ12は、電極に鉛を用いた二次電池である。なお、鉛バッテリ12は、例えば車両に搭載される補機13の主要な電源となる。なお、鉛バッテリ12は、第1バッテリの一例である。
【0017】
補機13は、車両に搭載される電気機器(負荷)である。例えば、補機13は、ナビゲーション装置やオーディオ機器、エアーコンディショナ等であるが、これらは例示であって限定されるものではない。補機13は、鉛バッテリ12またはLIB15から電力の供給を受けることができる。
【0018】
電池パック10のLIB15は、充電または放電を行う二次電池であって、例えば鉛バッテリ12の補助電源となる。従って、LIB15は、補機13の補助的な電源となる。なお、LIB15は、第2バッテリの一例である。
【0019】
なお、鉛バッテリ12である第1バッテリやLIB15である第2バッテリは、その他の種類の二次電池であってもよい。また、主要な電源としてLIB15が用いられ、補助電源として鉛バッテリ12が用いられてもよい。
【0020】
上記した鉛バッテリ12、LIB15、発電機11および補機13は、並列接続される。例えば、発電機11と鉛バッテリ12とは、第1経路(電流経路)L1を介して接続される。LIB15は、第1経路L1に接続された第2経路(電流経路)L2、第1経路L1を介して発電機11に接続される。補機13は、第1経路L1に接続された第3経路(電流経路)L3、第1経路L1を介して鉛バッテリ12に接続される。また、補機13は、第3経路L3、第1経路L1および第2経路L2を介してLIB15にも接続される。
【0021】
第1リレー16および第2リレー18は、回路の短絡と開放を制御する開閉器(リレー)である。第1リレー16は、鉛バッテリ12と発電機11との間に介挿される。具体的には、第1リレー16は、発電機11と鉛バッテリ12とを接続する第1経路L1に接続される。詳しくは、第1リレー16は、第1経路L1において、第2経路L2が接続される位置と第3経路L3が接続される位置との間に介挿される。なお、第1リレー16の詳細な構成については、
図2を参照して後述する。
【0022】
第2リレー18は、LIB15と発電機11との間に介挿される。具体的には、第2リレー18は、発電機11とLIB15とを接続する第2経路L2に接続される。なお、第2リレー18の詳細な構成については、
図3を参照して後述する。また、第1リレー16および第2リレー18の開閉は、制御装置30によって制御されてもよいし、監視装置20によって制御されてもよい。
【0023】
監視装置20は、電池パック10の状態を監視する。なお、監視装置20は、マイクロコンピュータ(マイコン)や監視用のIC(Integrated Circuit)などによって実現される。
【0024】
例えば、監視装置20は、LIB15の状態を監視する。詳しくは、監視装置20は、LIB15に接続される電流センサや電圧センサ(不図示)の出力に基づいてLIB15の充放電電流や電池電圧を検出する。また、監視装置20は、LIB15の電流や電圧に基づいてLIB15のSOC(State Of Charge(充電状態))を算出する。そして、監視装置20は、検出されたLIB15の電流や電圧、算出されたSOCなどを示す信号を制御装置30へ出力する。
【0025】
また、監視装置20は、第1リレー16の状態を監視する。例えば、監視装置20は、第1リレー16に含まれるシャント抵抗173(
図2参照。後述)の両端に生じる電位差を検出し、検出した電位差に基づく電圧値から電流値を算出することにより、シャント抵抗173を流れる電流を測定する。そして、監視装置20は、第1リレー16の電圧や電流(正確にはシャント抵抗173の両端の電位差(電圧)や電流)を示す信号を制御装置30へ出力する。
【0026】
また、監視装置20は、第1リレー16の各端子電圧や電流に基づいて、第1リレー16を構成するスイッチ部17(
図2参照。後述)のオン/オフ状態を判定し、第1リレー16の各端子電圧や電流、判定結果を示す信号を制御装置30へ出力する。
【0027】
また、監視装置20は、第2リレー18の状態を監視する。例えば、監視装置20は、第2リレー18に含まれるシャント抵抗193(
図3参照。後述)の両端に生じる電位差を検出し、検出した電位差に基づく電圧値から電流値を算出することにより、シャント抵抗193を流れる電流を測定する。そして、監視装置20は、第2リレー18の電圧や電流(正確にはシャント抵抗193の両端の電位差(電圧)や電流)を示す信号を制御装置30へ出力する。
【0028】
また、監視装置20は、第2リレー18の各端子電圧や電流に基づいて、第2リレー18を構成するスイッチ部19(
図3参照。後述)のオン/オフ状態を判定し、第2リレー18の各端子電圧や電流、判定結果を示す信号を制御装置30へ出力する。なお、上記では、第1、第2リレー16,18のオン/オフ状態の判定が監視装置20により行われるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば制御装置30により行われてもよい。
【0029】
また、監視装置20は、制御装置30から入力される第1、第2リレー16,18のオン信号あるいはオフ信号(後述)に応じて、第1、第2リレー16,18のオン/オフ状態を制御することができる。なお、上記では、監視装置20が第1、第2リレー16,18のオン/オフ状態を制御するようにしたが、これに限られず、例えば電池パック10内にリレー制御装置(不図示)を設け、かかるリレー制御装置が第1、第2リレー16,18のオン/オフ状態を制御してもよい。
【0030】
制御装置30は、電源システム1全体を制御する。すなわち、制御装置30は、上位ECU(Electronic Control Unit)である。例えば、制御装置30には、監視装置20からLIB15や第1リレー16、第2リレー18の状態を示す信号が入力される。また、制御装置30は、鉛バッテリ12に接続される電流センサや電圧センサ(不図示)の出力に基づいて鉛バッテリ12の充放電電流や電池電圧を検出する。また、制御装置30は、鉛バッテリ12の電流や電圧に基づいて鉛バッテリ12のSOCを算出してもよい。
【0031】
そして、制御装置30は、車両状況等を随時取得し、車両状況やLIB15の状態、鉛バッテリ12の状態、第1、第2リレー16,18の状態などに基づいて、第1リレー16や第2リレー18を開閉動作させ、鉛バッテリ12およびLIB15の充電や放電を制御する。また、制御装置30は、車両状況等に応じ、発電機11の動作を制御する。なお、制御装置30は、車両状況等に応じて補機13などの動作を制御してもよい。
【0032】
なお、制御装置30は、第1リレー16や第2リレー18において固着が生じた場合に、第1リレー16を構成するスイッチ部17(
図2参照)や第2リレー18を構成するスイッチ部19(
図3参照)に電流が集中することを抑制するように構成されるが、これについては後述する。
【0033】
(第1リレーの構成)
次に、第1リレー16の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、第1リレー16の回路構成例を示す説明図である。
図2に示すように、第1リレー16は、複数のスイッチ部17が並列に接続されて構成される。
【0034】
なお、
図2ではスイッチ部17が3個である例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、第1リレー16は、2個のスイッチ部17が並列に接続されてもよいし、4個以上のスイッチ部17が並列に接続されてもよい。以下、3個のスイッチ部17を「第1スイッチ部17a」、「第2スイッチ部17b」、「第3スイッチ部17c」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「スイッチ部17」と記載する。
【0035】
スイッチ部17は、1対のトランジスタ171,172と、シャント抵抗173とを備える。なお、トランジスタ171,172としては、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
1対のトランジスタ171,172は、直列に接続される。例えば、トランジスタ171は、一端が発電機11に接続され、他端がトランジスタ172に接続される。トランジスタ172は、一端がトランジスタ171に接続され、他端が鉛バッテリ12に接続される。
【0037】
トランジスタ171,172は、スイッチング素子およびボディダイオードを有し、スイッチング素子とボディダイオードとが並列接続される。トランジスタ171,172のそれぞれが有するボディダイオードは、逆向きに設けられる。例えば、トランジスタ171のボディダイオードは、アノードがトランジスタ172に接続され、カソードが発電機11に接続される。また、トランジスタ172のボディダイオードは、アノードがトランジスタ171に接続され、カソードが鉛バッテリ12に接続される。これにより、例えばスイッチ部17は、オフされるとき(正確にはトランジスタ171,172のスイッチング素子がオフされるとき)、1対のトランジスタ171,172間に電流が流れないように構成される。
【0038】
シャント抵抗173は、トランジスタ171とトランジスタ172との間に直列に接続される。シャント抵抗173は、上記したように、監視装置20によって両端に生じる電位差が検出され、検出した電位差に基づく電圧値からシャント抵抗173を流れる電流が測定される。なお、シャント抵抗173は、プルダウン抵抗に接続されていてもよい。また、シャント抵抗173は、トランジスタ171の発電機11側、もしくはトランジスタ172の鉛バッテリ12側に接続されてもよい。なお、上記では、シャント抵抗173を用いて電流を検出するようにしたが、これに限られず、例えばホール式の電流センサなどその他の種類の電流センサを用いて電流を検出してもよい。
【0039】
(第2リレーの構成)
次に、第2リレー18の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、第2リレー18の回路構成例を示す説明図である。
図3に示すように、第2リレー18は、複数のスイッチ部19が並列に接続されて構成される。
【0040】
なお、
図3ではスイッチ部19が4個である例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、第2リレー18は、2個または3個のスイッチ部19が並列に接続されてもよいし、5個以上のスイッチ部19が並列に接続されてもよい。以下、4個のスイッチ部19を「第1スイッチ部19a」、「第2スイッチ部19b」、「第3スイッチ部19c」、「第4スイッチ部19d」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「スイッチ部19」と記載する。
【0041】
スイッチ部19は、1対のトランジスタ191,192と、シャント抵抗193とを備える。なお、トランジスタ191,192としては、例えばMOSFETを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
1対のトランジスタ191,192は、直列に接続される。例えば、トランジスタ191は、一端が発電機11に接続され、他端がトランジスタ192に接続される。トランジスタ192は、一端がトランジスタ191に接続され、他端がLIB15に接続される。
【0043】
トランジスタ191,192は、スイッチング素子およびボディダイオードを有し、スイッチング素子とボディダイオードとが並列接続される。トランジスタ191,192のそれぞれが有するボディダイオードは、逆向きに設けられる。例えば、トランジスタ191のボディダイオードは、アノードがトランジスタ192に接続され、カソードが発電機11に接続される。また、トランジスタ192のボディダイオードは、アノードがトランジスタ191に接続され、カソードがLIB15に接続される。これにより、例えばスイッチ部19は、オフされるとき(正確にはトランジスタ191,192のスイッチング素子がオフされるとき)、1対のトランジスタ191,192間に電流が流れないように構成される。
【0044】
シャント抵抗193は、トランジスタ191とトランジスタ192との間に直列に接続される。シャント抵抗193は、上記したように、監視装置20によって両端に生じる電位差が検出され、検出した電位差に基づく電圧値からシャント抵抗193を流れる電流が測定される。なお、シャント抵抗193は、プルダウン抵抗に接続されていてもよい。また、シャント抵抗193は、トランジスタ191の発電機11側、もしくはトランジスタ192のLIB15側に接続されてもよい。なお、上記では、シャント抵抗193を用いて電流を検出するようにしたが、これに限られず、例えばホール式の電流センサなどその他の種類の電流センサを用いて電流を検出してもよい。
【0045】
(固着について)
次に、第1リレー16や第2リレー18の固着について説明する。先ず、第1リレー16の固着について
図2を参照しつつ説明する。
【0046】
第1リレー16においては、固着が生じてしまうことがある。詳しくは、第1リレー16を構成する複数のスイッチ部17において、固着が生じてしまうことがある。かかる固着には、スイッチ部17がオン状態で固着するオン固着と、オフ状態で固着するオフ固着とがある。
【0047】
上記したオン固着やオフ固着がスイッチ部17に生じると、例えば複数のスイッチ部17のうち、一部のスイッチ部17に電流が集中して流れるおそれがある。具体的に説明すると、一例として、第1スイッチ部17aのトランジスタ171に「オン固着」が発生した場合、第1リレー16に対して制御装置30(
図1参照)もしくは監視装置20(
図1参照)からオフ信号が出力されても第1スイッチ部17aのトランジスタ171は、オフされない。このとき、第1スイッチ部17aのトランジスタ172は、オフされているが、ボディダイオードを有している。そのため、
図2に矢印Aで示すように、電流は、トランジスタ171のスイッチング素子およびトランジスタ172のボディダイオードを通って流れる。このように、第1スイッチ部17aのトランジスタ171にオン固着が発生し、かつ、第1リレー16に対してオフ信号が出力される場合、複数のスイッチ部17のうち、オン固着が生じた第1スイッチ部17aに電流が集中して流れるおそれがある。
【0048】
なお、第1スイッチ部17aのトランジスタ171に発生した「オン固着」が、例えばショートなどに起因すると、当該トランジスタ171のオン抵抗が増加する場合がある。かかる場合、第1リレー16に対して制御装置30もしくは監視装置20からオン信号が出力されると、第1スイッチ部17aのトランジスタ171には、電流が流れにくくなるため、残りの第2スイッチ部17bおよび第3スイッチ部17cに電流が集中して流れるおそれがある。このように、第1スイッチ部17aのトランジスタ171にオン固着が発生し、かつ、第1リレー16に対してオン信号が出力される場合、複数のスイッチ部17のうち、正常な第2スイッチ部17bおよび第3スイッチ部17cに電流が集中して流れるおそれがある。
【0049】
次に、一例として、第1スイッチ部17aのトランジスタ171に「オフ固着」が発生した場合、第1リレー16に対して制御装置30もしくは監視装置20からオン信号が出力されても第1スイッチ部17aのトランジスタ171は、オンされない。そのため、第1リレー16において、第1スイッチ部17aには電流が流れず、残りの第2スイッチ部17bおよび第3スイッチ部17cに電流が流れる。このように、第1スイッチ部17aのトランジスタ171にオフ固着が発生した場合、複数のスイッチ部17のうち、オフ固着が生じた第1スイッチ部17aに電流が流れず、正常な第2スイッチ部17bおよび第3スイッチ部17cに電流が集中して流れるおそれがある。
【0050】
次に、第2リレー18の固着について
図3を参照しつつ説明する。一例として、第1スイッチ部19aのトランジスタ191に「オン固着」が発生した場合、第2リレー18に対して制御装置30もしくは監視装置20からオフ信号が出力されても第1スイッチ部19aのトランジスタ191は、オフされない。このとき、第1スイッチ部19aのトランジスタ192は、オフされているが、ボディダイオードを有している。そのため、
図3に矢印Bで示すように、電流は、トランジスタ191のスイッチング素子およびトランジスタ192のボディダイオードを通って流れる。このように、第1スイッチ部19aのトランジスタ191にオン固着が発生し、かつ、第2リレー18に対してオフ信号が出力される場合、複数のスイッチ部19のうち、オン固着が生じた第1スイッチ部19aに電流が集中して流れるおそれがある。
【0051】
また、第2リレー18にオン固着が生じていると、鉛バッテリ12を効率良く充電することができないことがある。詳しく説明すると、例えば制御装置30は、鉛バッテリ12の充電を積極的に行うような場合、第1リレー16をオンし、第2リレー18をオフすることで、発電機11と鉛バッテリ12とを電気的に接続する。ここで、第2リレー18にオン固着が生じていると、発電機11は、LIB15にも電気的に接続してしまう(
図3の矢印B参照)。LIB15の内部抵抗は、鉛バッテリ12の内部抵抗に比べて小さいため、発電機11からの電流は、LIB15側に流れてしまい、鉛バッテリ12を効率良く充電することができず、鉛バッテリ12が枯渇するおそれがある(言い換えると、バッテリ上がりが生じるおそれがある)。そこで、本実施形態に係る制御装置30にあっては、鉛バッテリ12の枯渇を防止することができるような構成としたが、これについては後述する。
【0052】
次に、一例として、第1スイッチ部19aのトランジスタ191に「オフ固着」が発生した場合、第2リレー18に対して制御装置30もしくは監視装置20からオン信号が出力されても第1スイッチ部19aのトランジスタ191は、オンされない。そのため、第2リレー18において、第1スイッチ部19aには電流が流れず、残りの第2スイッチ部19b、第3スイッチ部19cおよび第4スイッチ部19dに電流が流れる。このように、第1スイッチ部19aのトランジスタ191にオフ固着が発生した場合、複数のスイッチ部19のうち、オフ固着が生じた第1スイッチ部19aに電流が流れず、正常な第2〜第4スイッチ部19b〜19dに電流が集中して流れるおそれがある。
【0053】
(制御装置の構成)
従って、制御装置30は、上記のように第1リレー16や第2リレー18において固着が生じた場合に、第1リレー16のスイッチ部17や第2リレー18のスイッチ部19に電流が集中することを抑制するように構成される。
【0054】
以下、
図4を参照して、実施形態に係る制御装置30を含む電源システム1の構成について詳しく説明する。
図4は、実施形態に係る制御装置30を含む電源システム1の構成を示すブロック図である。なお、
図4では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0055】
換言すれば、
図4に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0056】
図4に示すように、電源システム1の制御装置30は、入力部31と、出力部32と、制御部40と、記憶部50とを備える。制御部40は、検出部41と、スイッチ制御部42と、発電制御部43とを備える。
【0057】
入力部31は、鉛バッテリ12に接続される電流センサや電圧センサから、鉛バッテリ12の電流や電圧を信号が入力され、かかる信号を制御部40へ出力する。また、入力部31は、監視装置20から、LIB15の電流や電圧、算出されたSOCなどを示す信号が入力され、かかる信号を制御部40へ出力する。
【0058】
また、入力部31は、監視装置20から、第1リレー16のシャント抵抗173の両端の電位差(電圧)や電流を示す信号が入力され、かかる信号を制御部40へ出力する。また、入力部31は、監視装置20から、第2リレー18のシャント抵抗193の両端の電位差(電圧)や電流を示す信号が入力され、かかる信号を制御部40へ出力する。また、入力部31は、監視装置20から、第1、第2リレー16,18の各端子電圧や電流、上記した判定結果である第1、第2リレー16,18のオン/オフ状態を示す信号が入力され、かかる信号を制御部40へ出力する。
【0059】
出力部32は、第1リレー16をオン(導通)あるいはオフ(遮断)するための信号を監視装置20へ出力する。第1リレー16をオンするためのオン信号は、第1リレー16のスイッチ部17の全てをオンする信号である。また、第1リレー16をオフするためのオフ信号は、第1リレー16のスイッチ部17の全てをオフする信号である。
【0060】
出力部32は、第2リレー18をオン(導通)あるいはオフ(遮断)するための信号を監視装置20へ出力する。第2リレー18をオンするためのオン信号は、第2リレー18のスイッチ部19の全てをオンする信号である。また、第2リレー18をオフするためのオフ信号は、第2リレー18のスイッチ部19の全てをオフする信号である。なお、監視装置20は、上記したように、入力された第1、第2リレー16,18のオン信号あるいはオフ信号に応じて、第1、第2リレー16,18のオン/オフ状態を制御する。
【0061】
出力部32は、発電機11を制御する信号を発電機11へ出力する。かかる信号により、発電機11の動作が制御されるが、これについては後に詳説する。
【0062】
記憶部50は、例えば、データフラッシュや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスであり、各種のプログラムや情報などを記憶する。
【0063】
制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0064】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部40の検出部41、スイッチ制御部42および発電制御部43として機能する。
【0065】
また、制御部40の検出部41、スイッチ制御部42および発電制御部43の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0066】
検出部41は、第1リレー16の複数のスイッチ部17および第2リレー18の複数のスイッチ部19における固着を検出することができる。
【0067】
具体的には、検出部41は、第1リレー16の複数のスイッチ部17における「オン固着」を検出することができる。例えば、検出部41は、第1リレー16に対してオフ信号が出力されている状態で、第1リレー16のシャント抵抗173の両端に電位差(電圧)が生じていることを示す信号(例えば発電機11の電圧を示す信号)が入力された場合、当該シャント抵抗173を含むスイッチ部17ではオフ(遮断)されていないことから、かかるスイッチ部17のオン固着を検出することができる。
【0068】
なお、上記では、検出部41は、シャント抵抗173の両端の電位差に基づいてオン固着を検出するようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば検出部41は、第1リレー16に対してオフ信号が出力されている状態で、シャント抵抗173に電流が流れていることを示す信号が入力された場合に、当該シャント抵抗173を含むスイッチ部17のオン固着を検出するなど、その他の手法でオン固着を検出するようにしてもよい。
【0069】
検出部41は、第2リレー18の複数のスイッチ部19における「オン固着」を検出することができる。例えば、検出部41は、第2リレー18に対してオフ信号が出力されている状態で、第2リレー18のシャント抵抗193の両端に電位差(電圧)が生じていることを示す信号(例えば発電機11の電圧を示す信号)が入力された場合、当該シャント抵抗193を含むスイッチ部19ではオフ(遮断)されていないことから、かかるスイッチ部19のオン固着を検出することができる。
【0070】
なお、検出部41は、第2リレー18に対してオフ信号が出力されている状態で、シャント抵抗193に電流が流れていることを示す信号が入力された場合に、当該シャント抵抗193を含むスイッチ部19のオン固着を検出するなど、その他の手法でオン固着を検出するようにしてもよい。
【0071】
検出部41は、第1リレー16の複数のスイッチ部17における「オフ固着」を検出することができる。例えば、検出部41は、第1リレー16に対してオン信号が出力されている状態で、第1リレー16のシャント抵抗173の両端に電位差(電圧)が生じていることを示す信号が入力されない場合、すなわち電位差が0である場合、当該シャント抵抗173を含むスイッチ部17ではオン(導通)されていないことから、かかるスイッチ部17のオフ固着を検出することができる。
【0072】
なお、上記では、検出部41は、シャント抵抗173の両端の電位差に基づいてオフ固着を検出するようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば検出部41は、第1リレー16に対してオン信号が出力されている状態で、シャント抵抗173に電流が流れていることを示す信号が入力されない場合、すなわち電流値が0である場合に、当該シャント抵抗173を含むスイッチ部17のオフ固着を検出するなど、その他の手法でオフ固着を検出するようにしてもよい。
【0073】
検出部41は、第2リレー18の複数のスイッチ部19における「オフ固着」を検出することができる。例えば、検出部41は、第2リレー18に対してオン信号が出力されている状態で、第2リレー18のシャント抵抗193の両端に電位差が生じていることを示す信号が入力されない場合(すなわち電位差が0である場合)、当該シャント抵抗193を含むスイッチ部19ではオン(導通)されていないことから、かかるスイッチ部19のオフ固着を検出することができる。
【0074】
なお、検出部41は、第2リレー18に対してオン信号が出力されている状態で、シャント抵抗193に電流が流れていることを示す信号が入力されない場合に(すなわち電流値が0である場合に)、当該シャント抵抗193を含むスイッチ部19のオフ固着を検出するなど、その他の手法でオフ固着を検出するようにしてもよい。
【0075】
検出部41は、固着が検出された場合、固着が検出されたスイッチ部17およびスイッチ部19の位置、および、固着の種類、すなわち固着がオン固着かオフ固着かを示す固着検出信号をスイッチ制御部42と発電制御部43とに出力する。
【0076】
スイッチ制御部42は、固着検出信号に基づいて、第1リレー16のスイッチ部17や、第2リレー18のスイッチ部19を制御する。同様に、発電制御部43は、固着検出信号に基づいて発電機11を制御する。詳しくは、発電制御部43は、固着の種類や、複数のスイッチ部17,19の中でオン固着が検出されたスイッチ部17,19の位置に応じて発電機11を制御する。
【0077】
これにより、本実施形態にあっては、第1リレー16や第2リレー18に固着が生じた場合に、第1、第2リレー16,18を構成するスイッチ部17,19に電流が集中することを抑制することができる。以下、具体的に説明していく。
【0078】
(第1リレー16のスイッチ部17にオン固着が発生した場合)
先ず、第1リレー16のスイッチ部17にオン固着が発生した場合について説明する。スイッチ制御部42は、複数のスイッチ部17,19のうち、少なくともオン固着が検出されたスイッチ部17と並列接続されたスイッチ部17の全てをオンする。
【0079】
具体的に、上記した
図2の例では、第1スイッチ部17a(トランジスタ171)にオン固着が発生した場合、オン固着が生じた第1スイッチ部17aに電流が集中して流れるおそれがある。そこで、スイッチ制御部42は、第1リレー16に対してオン信号を出力部32を介して出力し、オン固着が生じた第1スイッチ部17aと並列接続された第2スイッチ部17bおよび第3スイッチ部17cの全てをオンする。正確には、スイッチ制御部42は、オン固着が生じた第1スイッチ部17aを含め、全てのスイッチ部17の全てをオンする。
【0080】
これにより、第1リレー16を流れる電流は、第2スイッチ部17bおよび第3スイッチ部17cに分散して流れるため、オン固着が生じた第1スイッチ部17aに電流が集中して流れることを抑制することができる。さらに、第1スイッチ部17aにおいては、電流が集中して流れることが抑制されるため、例えば発熱しにくくなり、結果として発熱に起因する故障の発生などを抑制することもできる。
【0081】
なお、スイッチ制御部42は、スイッチ部17にオン固着が発生した場合、オン固着が発生していない場合と同様に、車両状況やLIB15の状態などに基づいて第2リレー18を制御することができるが、これに限定されるものではない。
【0082】
また、上記したように、第1スイッチ部17aのトランジスタ171に発生したオン固着により、当該トランジスタ171のオン抵抗が増加する場合がある。この場合、第1リレー16に対してオン信号が出力されると、第1スイッチ部17aには電流が流れにくく、第2、第3スイッチ部17b,17cに電流が集中して流れるおそれがある。
【0083】
そこで、発電制御部43は、第1リレー16に含まれるスイッチ部17にオン固着が検出された場合、言い換えると、オン固着が検出された位置が第1リレー16のスイッチ部17である場合、発電機11に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する。
【0084】
例えば、発電制御部43は、発電機11から鉛バッテリ12に電力を供給して充電するとき、あるいは、発電機11から補機13へ電力を供給するとき、オン固着が発生していない第2、第3スイッチ部17b,17cで許容される電流が第2、第3スイッチ部17b,17cに流れるように、発電機11の発電量を抑制する。
【0085】
別言すれば、発電制御部43は、複数のスイッチ部17から、オン固着が発生したスイッチ部17を除いた残余のスイッチ部17に流れる電流が、当該残余のスイッチ部17で許容される電流の範囲内になるように、発電機11の発電量を抑制する。
【0086】
これにより、オン固着が発生していない正常なスイッチ部17(ここでは第2、第3スイッチ部17b,17c)に過度な電流が集中して流れることを抑制することができる。さらに、正常なスイッチ部17(第2、第3スイッチ部17b,17c)においては、過度な電流が集中して流れることが抑制されるため、例えば発熱しにくくなり、結果として発熱に起因する故障の発生などを抑制することもできる。
【0087】
(第2リレー18のスイッチ部19にオン固着が発生した場合)
次に、第2リレー18のスイッチ部19にオン固着が発生した場合について説明する。スイッチ制御部42は、複数のスイッチ部17,19のうち、少なくともオン固着が検出されたスイッチ部19と並列接続されたスイッチ部19の全てをオンする。
【0088】
具体的に、上記した
図3の例では、第1スイッチ部19a(トランジスタ191)にオン固着が発生した場合、オン固着が生じた第1スイッチ部19aに電流が集中して流れるおそれがある。そこで、スイッチ制御部42は、第2リレー18に対してオン信号を出力部32を介して出力し、オン固着が生じた第1スイッチ部19aと並列接続された第2〜第4スイッチ部19b〜19dの全てをオンする。正確には、スイッチ制御部42は、オン固着が生じた第1スイッチ部19aを含め、全てのスイッチ部19の全てをオンする。
【0089】
これにより、第2リレー18を流れる電流は、第2〜第4スイッチ部19b〜19dに分散して流れるため、オン固着が生じた第1スイッチ部19aに電流が集中して流れることを抑制することができる。さらに、第1スイッチ部19aにおいては、電流が集中して流れることが抑制されるため、例えば発熱しにくくなり、結果として発熱に起因する故障の発生などを抑制することもできる。
【0090】
また、上記したように、第2リレー18にオン固着が生じていると、鉛バッテリ12を効率良く充電することができない。すなわち、例えば第1リレー16がオンされ、第2リレー18がオフされたとしても、発電機11とLIB15とは、オン固着した第2リレー18により電気的に接続されてしまう。LIB15の内部抵抗は、鉛バッテリ12の内部抵抗に比べて小さいため、発電機11からの電流がLIB15側に流れてしまい、鉛バッテリ12を効率良く充電することができず、鉛バッテリ12が枯渇する(バッテリ上がりが生じる)おそれがある。
【0091】
そこで、発電制御部43は、第2リレー18に含まれるスイッチ部19にオン固着が検出された場合、言い換えると、オン固着が検出された位置が第2リレー18のスイッチ部19である場合、発電機11に対して、LIB15の電圧が鉛バッテリ12の電圧より高くなるような発電制御を実行する。
【0092】
一例として、発電制御部43は、LIB15のSOCが比較的高い値を維持するように、発電機11を制御する。なお、上記した比較的高い値とは、例えばスイッチ部19にオン固着が生じていないときに目標となる目標SOC(通常時の目標SOC)より高い値を指すが、これに限られず、任意の値に設定されてもよい。
【0093】
すなわち、LIB15にあっては、SOCが高くなるにつれて電圧も高くなる。そのため、発電制御部43は、SOCを比較的高い値で維持することで、LIB15の電圧を高い値で維持することが可能になる。そして、LIB15の電圧が鉛バッテリ12より高い電圧に維持されると、発電機11からの電流は、電圧の低い鉛バッテリ12へ流れやすくなり、結果として鉛バッテリ12の枯渇(バッテリ上がり)を防止することができる。
【0094】
また、第1スイッチ部19aのトランジスタ191に発生したオン固着が、例えばショートなどに起因すると、当該トランジスタ191のオン抵抗が増加する場合がある。この場合、第2リレー18に対してオン信号が出力されると、第1スイッチ部19aには電流が流れにくく、第2〜第4スイッチ部19b〜19dに電流が集中して流れるおそれがある。
【0095】
そこで、発電制御部43は、例えばLIB15の充電を行う際に、第2リレー18に含まれるスイッチ部19にオン固着が検出された場合、言い換えると、オン固着が検出された位置が第2リレー18のスイッチ部19である場合、発電機11に対して発電量を抑制するような発電制御を実行してもよい。
【0096】
例えば、発電制御部43は、発電機11からLIB15に電力を供給して充電するとき、オン固着が発生していない第2〜第4スイッチ部19b〜19dで許容される電流が第2〜第4スイッチ部19b〜19dに流れるように、発電機11の発電量を抑制する。
【0097】
別言すれば、発電制御部43は、複数のスイッチ部19から、オン固着が発生したスイッチ部19を除いた残余のスイッチ部19に流れる電流が、当該残余のスイッチ部19で許容される電流の範囲内になるように、発電機11の発電量を抑制する。
【0098】
このように、発電制御部43は、発電機11の発電量を抑制しつつ、LIB15のSOCが比較的高い値になるまで充電し、SOCが比較的高い状態を維持するようにしてもよい。
【0099】
これにより、オン固着が発生していない正常なスイッチ部19(ここでは第2〜第4スイッチ部19b〜19d)に過度な電流が集中して流れることを抑制することができるとともに、鉛バッテリ12の枯渇を防止することができる。さらに、正常なスイッチ部19(第2〜第4スイッチ部19b〜19d)においては、過度な電流が集中して流れることが抑制されるため、例えば発熱しにくくなり、結果として発熱に起因する故障の発生などを抑制することもできる。
【0100】
(第1リレー16のスイッチ部17にオフ固着が発生した場合)
次に、第1リレー16のスイッチ部17にオフ固着が発生した場合について説明する。スイッチ制御部42は、スイッチ部17にオフ固着が検出された場合、第1リレー16に含まれる複数のスイッチ部17の全てをオンする一方、第2リレー18に含まれる複数のスイッチ部19の全てをオフする。
【0101】
発電制御部43は、第1リレー16に含まれるスイッチ部17にオフ固着が検出された場合、発電機11に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する。これにより、第1リレー16のスイッチ部17に過度な電流が集中して流れることを抑制することができる。
【0102】
具体的には、上記したように、第1スイッチ部17aにオフ固着が発生すると、スイッチ制御部42から第1リレー16にオン信号が出力されても第1スイッチ部17aは、オンされない。そのため、残りの第2、第3スイッチ部17b,17cに電流が集中して流れるおそれがある。
【0103】
そこで、発電制御部43は、第1リレー16のスイッチ部17にオフ固着が検出された場合、言い換えると、オフ固着が検出された位置が第1リレー16のスイッチ部17である場合、発電機11の発電量を抑制する。
【0104】
例えば、発電制御部43は、発電機11から鉛バッテリ12に電力を供給して充電するとき、あるいは、発電機11から補機13へ電力を供給するとき、オフ固着が発生していない第2、第3スイッチ部17b,17cで許容される電流が第2、第3スイッチ部17b,17cに流れるように、発電機11の発電量を抑制する。
【0105】
言い換えると、発電制御部43は、複数のスイッチ部17から、オフ固着が発生したスイッチ部17を除いた残余のスイッチ部17に流れる電流が、当該残余のスイッチ部17で許容される電流の範囲内になるように、発電機11の発電量を抑制する。
【0106】
これにより、オフ固着が発生していない正常なスイッチ部17(ここでは第2、第3スイッチ部17b,17c)に過度な電流が集中して流れることを抑制することができる。さらに、正常なスイッチ部17(第2、第3スイッチ部17b,17c)においては、過度な電流が集中して流れることが抑制されるため、例えば発熱しにくくなり、結果として発熱に起因する故障の発生などを抑制することもできる。
【0107】
また、上記したように、スイッチ制御部42が第2リレー18のスイッチ部19の全てをオフすることで、LIB15と鉛バッテリ12との電気的な接続を遮断することができる。これにより、例えばLIB15と鉛バッテリ12との間で意図しない充放電が行われて、発電量を抑制する制御に影響を与えてしまうことを防止することができる。
【0108】
(第2リレー18のスイッチ部19にオフ固着が発生した場合)
次に、第2リレー18のスイッチ部19にオフ固着が発生した場合について説明する。スイッチ制御部42は、スイッチ部19にオフ固着が検出された場合、第1リレー16に含まれる複数のスイッチ部17の全てをオンする一方、第2リレー18に含まれる複数のスイッチ部19の全てをオフする。これにより、第2リレー18のスイッチ部19に電流が集中して流れることを抑制することができる。
【0109】
具体的には、上記したように、第1スイッチ部19aにオフ固着が発生すると、スイッチ制御部42から第2リレー18にオン信号が出力されても第1スイッチ部19aは、オンされないため、残りの第2〜第4スイッチ部19b〜19dに電流が集中して流れるおそれがある。
【0110】
そこで、スイッチ制御部42は、オフ固着が発生した第2リレー18のスイッチ部19を全てオフするようにしたので、第2リレー18のスイッチ部19に電流が集中して流れることを抑制することができる。さらに、スイッチ部19においては、電流が集中して流れることが抑制されるため、例えば発熱しにくくなり、結果として発熱に起因する故障の発生などを抑制することもできる。
【0111】
なお、第2リレー18がオフされた場合でも、第1リレー16はオンされているため、鉛バッテリ12は、主要な電源として機能することができる。
【0112】
(制御装置30の処理手順)
次に、
図5および
図6を用いて実施形態に係る制御装置30が実行する処理手順について説明する。
図5および
図6はともに、制御装置30が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、理解の便宜のため、
図5はオン固着時の処理手順を示し、
図6はオフ固着時の処理手順を示している。
【0113】
先ず
図5について説明すると、制御装置30の制御部40は、複数のスイッチ部17,19におけるオン固着が検出されたか否かを判定する(ステップS100)。制御部40は、オン固着が検出されていないと判定された場合(ステップS100,No)、処理を終了する。
【0114】
一方、制御部40は、オン固着が検出されたと判定された場合(ステップS100,Yes)、検出されたオン固着が第1リレー16のスイッチ部17であるか否かを判定する(ステップS101)。制御部40は、オン固着が第1リレー16のスイッチ部17であると判定された場合(ステップS101,Yes)、第1リレー16のスイッチ部17の全てをオンする(ステップS102)。これにより、発電機11と鉛バッテリ12とが電気的に接続される。続いて、制御部40は、発電機11に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する(ステップS103)。なお、
図5では、ステップS102、ステップS103の順で処理を実行する例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば制御部40は、ステップS103、ステップS102の順で処理を実行してもよいし、ステップS102、ステップS103の処理を同時に実行してもよい。
【0115】
制御部40は、オン固着が第1リレー16のスイッチ部17ではないと判定された場合(ステップS101,No)、すなわち、オン固着が第2リレー18のスイッチ部19である場合、第2リレー18のスイッチ部19の全てをオンする(ステップS104)。これにより、発電機11とLIB15とが電気的に接続される。続いて、制御部40は、第1リレー16のスイッチ部17の全てをオンする(ステップS105)。これにより、発電機11と鉛バッテリ12とが電気的に接続される。
【0116】
続いて、制御部40は、発電機11に対して、LIB15の電圧が鉛バッテリ12の電圧より高くなるような発電制御を実行する(ステップS106)。また、制御部40は、発電機11に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する(ステップS107)。
【0117】
なお、
図5に示すステップS104〜ステップS107の順番は、あくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、制御部40は、ステップS104〜ステップS107の処理を任意の順番で実行してもよいし、ステップS104〜ステップS107の処理の一部または全部を同時に実行してもよい。
【0118】
次に、
図6について説明すると、制御部40は、複数のスイッチ部17,19におけるオフ固着が検出されたか否かを判定する(ステップS200)。制御部40は、オフ固着が検出されていないと判定された場合(ステップS200,No)、処理を終了する。
【0119】
他方、制御部40は、オフ固着が検出されたと判定された場合(ステップS200,Yes)、検出されたオフ固着が第1リレー16のスイッチ部17であるか否かを判定する(ステップS201)。制御部40は、オフ固着が第1リレー16のスイッチ部17であると判定された場合(ステップS201,Yes)、第1リレー16のスイッチ部17の全てをオンする(ステップS202)。これにより、発電機11と鉛バッテリ12とが電気的に接続される。
【0120】
続いて、制御部40は、第2リレー18のスイッチ部19の全てをオフする(ステップS203)。これにより、発電機11とLIB15との電気的な接続が遮断される。続いて、制御部40は、発電機11に対して発電量を抑制するような発電制御を実行する(ステップS204)。
【0121】
なお、
図6では、ステップS202およびステップS203の処理の後に、ステップS204の処理を実行する例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば制御部40は、ステップS204の処理の後に、ステップS202およびステップS203の処理を実行してもよいし、ステップS202およびステップS203の処理と、ステップS204の処理とを同時に実行してもよい。
【0122】
制御部40は、オフ固着が第1リレー16のスイッチ部17ではないと判定された場合(ステップS201,No)、すなわち、オフ固着が第2リレー18のスイッチ部19である場合、第1リレー16のスイッチ部17の全てをオンにし(ステップS205)、第2リレー18のスイッチ部19の全てをオフする(ステップS206)。これにより、発電機11と鉛バッテリ12とが電気的に接続される一方、発電機11とLIB15との電気的な接続が遮断される。
【0123】
なお、上記した
図5,6では、オン固着あるいはオフ固着が検出された後に、固着が第1リレー16であるか、第2リレー18であるかの判定が行われるようにしたが、これは理解の便宜のためであって、限定されるものではない。すなわち、例えば制御部40は、第1リレー16のスイッチ部17のオン固着およびオフ固着、第2リレー18のスイッチ部19のオン固着およびオフ固着を個別に検出し、検出された固着の状態に応じてスイッチ部17や発電機11の制御を実行してもよい。
【0124】
上述してきたように、実施形態において、電源システム1は、鉛バッテリ12(第1バッテリの一例)、LIB15(第2バッテリの一例)および発電機11が並列接続される。鉛バッテリ12と発電機11との間に第1リレー16が介挿される。LIB15と発電機11との間に第2リレー18が介挿される。第1リレー16および第2リレー18がそれぞれ、並列接続された複数のスイッチ部17,19を含む。このように構成された電源システム1の制御装置30であって、検出部41と、スイッチ制御部42と、発電制御部43とを備える。検出部41は、複数のスイッチ部17,19におけるオン固着を検出する。スイッチ制御部42は、検出部41によってオン固着が検出された場合、複数のスイッチ部17,19のうち、少なくともオン固着が検出されたスイッチ部17,19と並列接続されたスイッチ部17,19の全てをオンする。発電制御部43は、複数のスイッチ部17,19の中でオン固着が検出されたスイッチ部17,19の位置に応じて発電機11を制御する。これにより、第1リレー16や第2リレー18に固着が生じた場合に、第1、第2リレー16,18を構成するスイッチ部17,19に電流が集中することを抑制することができる。
【0125】
また、第1バッテリは、鉛バッテリ12であり、第2バッテリは、LIB15である。これにより、例えば、鉛バッテリ12に接続される第1リレー16や、LIB15に接続される第2リレー18に固着が生じた場合に、第1、第2リレー16,18のスイッチ部17,19に電流が集中することを抑制することが可能になる。
【0126】
なお、上記した実施形態では、制御装置30が複数のスイッチ部17,19におけるオン固着やオフ固着を検出し、検出された固着の状態に応じてスイッチ部17,19を制御するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば固着の検出機能(検出部41)や、検出された固着の状態に応じたスイッチ部17,19の制御機能(スイッチ制御部42)を、電池パック10側の装置(例えば監視装置20)が有してもよい。言い換えると、電池パック10側の装置(監視装置20)が、制御装置30の機能の一部または全部を有すように構成してもよい。
【0127】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。