【解決手段】電圧調整装置(100)は、配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器(1)と、タップを切り換えて二次巻線の電圧を直列変圧器の一次巻線に印加する負荷時タップ切換変圧器(200)と、配電線における負荷時タップ切換変圧器の一次巻線の接続側の電圧を取得する取得部(S11)と、取得部が取得した電圧、タップ切換前後の負荷時タップ切換変圧器の巻数比及び直列変圧器の巻数比に基づいて、タップ切換前後に直列変圧器の二次巻線に誘起する電圧を算出する第1算出部(S17)と、第1算出部が算出した電圧及び取得部が取得した電圧に基づいて、タップ切換後の上記接続側の電圧を算出する第2算出部(S18)とを備え、第2算出部が算出した電圧と目標の電圧との比較結果に基づいて切換先のタップを選択する。
三相の交流電圧を配電する配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器と、前記配電線に一次巻線が並列に接続されており、二次巻線のタップを切り換えて該二次巻線の電圧を前記直列変圧器の一次巻線に印加する負荷時タップ切換変圧器とを備える電圧調整装置であって、
前記配電線における前記負荷時タップ切換変圧器の接続側の電圧を取得する取得部と、
該取得部が取得した電圧、タップ切換前後の前記負荷時タップ切換変圧器の巻数比及び前記直列変圧器の巻数比に基づいて、タップ切換前後に前記直列変圧器の二次巻線に誘起する電圧を算出する第1算出部と、
該第1算出部が算出した電圧及び前記取得部が取得した電圧に基づいて、タップ切換後の前記接続側の電圧を算出する第2算出部と
を備え、
該第2算出部が算出した電圧と目標の電圧との比較結果に基づいて切換先のタップを選択する電圧調整装置。
前記第1算出部及び前記第2算出部は、基準点を原点とする直交座標系における電圧ベクトルの座標値に基づいて電圧を算出する請求項1又は請求項2に記載の電圧調整装置。
三相の交流電圧を配電する配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器と、前記配電線に一次巻線が並列に接続されており、二次巻線のタップを切り換えて該二次巻線の電圧を前記直列変圧器の一次巻線に印加する負荷時タップ切換変圧器とを備える電圧調整装置であって、
前記配電線における前記負荷時タップ切換変圧器の接続側の電圧を取得する取得部と、
該取得部が取得した電圧、タップ切換後の前記負荷時タップ切換変圧器の巻数比及び前記直列変圧器の巻数比に基づいて、タップ切換後に前記直列変圧器の二次巻線に誘起する電圧を算出する第3算出部と、
該第3算出部が算出した電圧及び前記取得部が取得した電圧に基づいて、タップ切換後の前記配電線における前記接続側とは反対側の電圧を算出する第4算出部と
を備え、
該第4算出部が算出した電圧と目標の電圧との比較結果に基づいて切換先のタップを選択する電圧調整装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電圧調整装置100の構成例を示すブロック図である。サイリスタ式の電圧調整装置(TVR=Thyristor type step Voltage Regulator)100は、配電線1u,1v,1wの一次側にある電源から供給されるU相,V相,W相の交流電圧を調整して、配電線1u,1v,1wの二次側の負荷へu相,v相,w相の交流電圧を配電する。以下では、配電線1u,1v,1wの一次側を単に一次側とも言い、配電線1u,1v,1wの二次側を単に二次側とも言う。
【0022】
電圧調整装置100は、配電線1u,1v,1wそれぞれに二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1と、配電線1u,1v,1wに一次巻線211,221,231がΔ結線される調整変圧器2とを備える。電圧調整装置100は、更に、調整変圧器2の二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられた負荷時タップ切換器(以下、単にタップ切換器と言う)3を備える。タップ切換器3及び調整変圧器2が、負荷時タップ切換変圧器200を構成する。
【0023】
直列変圧器1は、二次巻線112,122,132それぞれに一次巻線111,121,131が対応している。一次巻線111,121,131はΔ結線されている。二次巻線112,122,132それぞれの上記負荷側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu1,v1,w1とする。また、二次巻線112,122,132それぞれの上記電源側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu2,v2,w2とする。
【0024】
調整変圧器2は、一次巻線211が配電線1u,1v間に、一次巻線221が配電線1v,1w間に、一次巻線231が配電線1w,1u間にそれぞれ接続されている。一次巻線211,221,231のそれぞれには、二次巻線212,222,232が対応している。
【0025】
二次巻線212,222,232のそれぞれは、一端及び他端から引き出されたタップt1及びt4と,一端及び他端の間から引き出された中間のタップt2及びt3とを有する。二次巻線212,222,232のそれぞれは、タップt1〜t4の何れか1つがタップ切換器3を介して直列変圧器1の一次側の端子u2,v2,w2と、端子v1,w1,u1とに接続され、他の何れか1つが中性点Nとしてアースに接続される。即ち、調整変圧器2の二次巻線212,222,232は、タップ切換器3を介してY結線される。
【0026】
調整変圧器2の一次巻線211,221,231に印加される電圧を計測するために、配電線1u,1v、1wの二次側には計測用変圧器PT1,PT2がV結線されている。即ち、配電線1u,1v、1wにおける調整変圧器2の接続側にて、配電線1u及び1v間に計測用変圧器PT1の一次巻線が接続されており、配電線1v及び1w間に計測用変圧器PT2の一次巻線が接続されている。例えば計測用変圧器PT1及びPT2の二次巻線をΔ結線の三相平衡回路と見なし、後述する制御部31が三相分の計測電圧(以下、計測結果と言う)を取得することにより、一次巻線211,221,231に印加される電圧を検出する。これらの電圧を、3つの計測用変圧器をΔ結線することによって検出してもよいし、抵抗分圧等の手段を用いて検出してもよい。
【0027】
タップ切換器3は、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1〜t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U,Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uと、二次巻線222のタップt1〜t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_V,Th1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vと、二次巻線232のタップt1〜t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_W,Th1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wとを有する。
【0028】
タップ切換器3の構成は
図1に示すものに限定されず、例えば、直列変圧器1に印加する電圧の極性を切り換える極性切換用タップ選択スイッチを含む構成であってもよい。
【0029】
タップ切換器3は、更に、上記各切換スイッチの切り換えを制御する制御部31と、制御部31からの駆動信号に基づいて各切換スイッチをオンに駆動する駆動部32とを有する。制御部31には、計測用変圧器PT1,PT2の二次巻線、及び後述する計測用変圧器PT3,PT4の二次巻線が接続されている。制御部31と各計測用変圧器との接続、及び駆動部32と各切換スイッチとの接続は、図示を省略する。
【0030】
制御部31は、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAM(Random Access Memory )に記憶される。制御部31は、また、不図示のFPGA(Field Programmable Gate Array )及びタイマを有し、計測用変圧器PT1,PT2から計測結果を取得して本実施形態1に係る電圧の算出を行う。
【0031】
二次巻線212のタップt1は、保護用のヒューズ(不図示:以下同様)を介して切換スイッチThA_U及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_U及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_U及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uを介して直列変圧器1の一次側の端子u2及びv1に接続されている。接続線3uは、タップ切換器3から相電圧を出力するものであり、その位相をOu相と表す。
【0032】
二次巻線222のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_V及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_V及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_V及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vを介して直列変圧器1の一次側の端子v2及びw1に接続されている。接続線3vは、タップ切換器3から相電圧を出力するものであり、その位相をOv相と表す。
【0033】
二次巻線232のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_W及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_W及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_W及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wを介して直列変圧器1の一次側の端子w2及びu1に接続されている。接続線3wは、タップ切換器3から相電圧を出力するものであり、その位相をOw相と表す。
【0034】
接続線3u及び3v間には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、電磁接触器MC_UVとが並列に接続されている。接続線3v及び3w間には、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路と、電磁接触器MC_VWとが並列に接続されている。
【0035】
矯絡用スイッチThS_UVは、二次巻線212又は222のタップt1〜t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_UVを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_UVの接続及び切り離しを行うためのものである。矯絡用スイッチThS_VWは、二次巻線222又は232のタップt1〜t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_VWを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_VWの接続及び切り離しを行うためのものである。電磁接触器MC_UV及びMC_VWは、過電流が検出されて全ての切換スイッチがオフされる場合、又はタップ切換器3の運用が停止される場合に、直列変圧器1の一次側の端子u1,u2間、端子v1,v2間及び端子w1,w2間を矯絡して、開放状態にしないようにするためのものである。
【0036】
切り換えられたタップから出力される二次巻線212,222,232の電圧を計測するために、接続線3u,3v、3wには計測用変圧器PT3,PT4が接続されている。即ち、接続線3u,3v間に計測用変圧器PT3の一次巻線が接続されており、接続線3v,3w間に計測用変圧器PT4の一次巻線が接続されている。計測用変圧器PT3,PT4の二次巻線は、制御部31に接続されている。制御部31が計測用変圧器PT3,PT4の二次巻線から計測結果を取得することにより、タップ切換された二次巻線212,222,232によるOu相,Ov相,Ow相の線間電圧が検出される。
【0037】
次に、オンにする切換スイッチの組合せについて説明する。
図2は、Ou相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。他のOv相,Ow相についても、UをV,Wに読み替えた同様の図表が示される。以下では、主にOu相を例にして説明するが、Ov相及びOw相についても同様の説明が成り立つ。
【0038】
切換スイッチの組合せは13通りあり、これらの組合せをタップ1からタップ13まで(即ち第1タップから第13タップまで)のタップ位置で表す。例えば、タップ位置をタップ1にした場合、切換スイッチThD_U及びTh1_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt1が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、Ou相の相電圧の大きさが最大となる。
【0039】
タップ2からタップ6までについては、タップ間の巻数が5段階に減少するようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ6にした場合、切換スイッチThD_U及びTh3_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt3が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、Ou相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。
【0040】
タップ位置をタップ7にした場合、切換スイッチThD_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、同じタップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt4及びt4間の巻数が0となり、Ou相の相電圧が0となる。これが、いわゆる素通しタップである。
【0041】
タップ8からタップ12までについては、タップ間の巻数が5段階に増加するようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ8にした場合、切換スイッチThC_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt3が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、Ou相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。但し、タップ6の場合と比較して、Ou相の相電圧の位相が反転する。
【0042】
タップ位置をタップ13にした場合、切換スイッチThA_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt1が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、Ou相の相電圧の大きさが最大となる。但し、タップ1の場合と比較して、Ou相の相電圧の位相が反転する。
【0043】
前述のとおり、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数は、タップ位置に応じて決まる、換言すれば、タップ位置に応じて、調整変圧器2の巻数比(即ち変圧比)が決まる。ここで言う巻数比は、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数に対する一次巻線211の巻数の比である。
【0044】
本実施形態1にあっては、
図2に示すタップ位置と、オンにする切換スイッチとを対応付けたテーブルが、制御部31のROMに予め記憶されている。制御部は、タップ位置を上げ下げする毎にこのテーブルを参照して、オンにすべき切換スイッチを示す情報を読み出すことにより、タップ切換の処理が容易に行える。
【0045】
次に、例として電源側からのV相の交流電圧に加算又は減算される電圧について説明する。
図3は、配電線1u,1v,1wの電圧と直列変圧器1の一次巻線121に印加される電圧との関係を示す説明図である。
図3Aでは、配電線1u,1v,1wの電圧の位相と接続線3u,3v,3wの電圧の位相との関係を示している。
図3Bでは、接続線3u,3vの電圧に基づいて一次巻線121に印加する電圧が合成されることを示している。
【0046】
先ず、
図3Aにより、接続線3u,3v,3wそれぞれにおけるOu相,Ov相,Ow相の電圧について説明する。配電線1u,1v,1wにより電源から供給される一次側のU相,V相,W相の電圧ベクトルを太い実線の矢印で示す。負荷側である二次側のu相,v相,w相の電圧ベクトルの大きさは、直列変圧器1による昇圧又は降圧に応じて、U相,V相,W相の電圧ベクトルよりも大きくなるか又は小さくなる。ここでは、仮に大きさが小さくなるものとして図示する。調整変圧器2の一次巻線211,221,231それぞれには、破線の矢印で示すように、uv,vw,wu各相間の電圧V2uv,V2vw,V2wuが印加される。調整変圧器2の二次巻線212,222,232それぞれには、電圧V2uv,V2vw,V2wuと同相の電圧が誘起する。
【0047】
例えば二次巻線212は、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れかがオンすることによって、何れかのタップが接続線3uに接続され、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れかがオンすることによって、他の何れかのタップが中性点Nに接続される。調整変圧器2の二次巻線222,232についても、UをV,Wに読み替えることによって同様のことが言える。
【0048】
図2を用いて説明したように、タップ位置がタップ1からタップ6の何れかである場合と、タップ位置がタップ8からタップ13までの何れかである場合とでは、Ou相の相電圧の位相が互いに反転する。ここでは、タップ位置がタップ1からタップ6の何れかである場合について説明する。この場合、接続線3u,3v,3wそれぞれにおけるOu相,Ov相,Ow相の電圧は、
図3Aにて細い実線の矢印で示すように、電圧V2uv,V2vw,V2wuと同相の電圧となる。即ち、Ou相,Ov相,Ow相それぞれの電圧は、U相,V相,W相の電圧に対して位相が30度だけ進んでいる。一方、直列変圧器1の一次巻線121には、一点鎖線の矢印で示すように、Ou相及びOv相の相間の電圧であるVouvが印加される。以下では、二次巻線212,222,232のタップ位置が同一であるものとする。
【0049】
ここで
図1に戻って、例えば直列変圧器1の一次巻線121及び二次巻線122に着目する。上述のとおり、一次巻線121の端子v1,v2間には、端子v2からv1に対して電圧Vouvが印加される。この場合、電圧Vouvに対応して二次巻線122に誘起する電圧も、電圧Vouvと同相の電圧となる。従って、一次側のV相の交流電圧に対して電圧Vouvに比例する電圧が加算されて二次側に供給される。
【0050】
一方、
図3Aに一点鎖線の矢印で示す電圧Vouvは、太い実線の矢印で示すV相の電圧とは逆位相の電圧である。即ち、V相の交流電圧に対して、V相の電圧とは逆位相の電圧Vouvに比例する電圧が加算されるから、V相の交流電圧と同位相の電圧が減算されることとなる。換言すれば、一次側のV相の交流電圧が降圧されて、二次側にv相の交流電圧が供給される。
【0051】
次に、
図3Bにより、タップ位置に応じて一次巻線121に印加される電圧が変化することを説明する。Ou相及びOv相の電圧は、それぞれタップ1からタップ13までのタップ位置に応じて13段階に大きさが変化する。タップ位置がタップ1からタップ13である場合のOu相の電圧をVou1からVou13で表す。同様にタップ位置がタップ1からタップ13である場合のOv相の電圧をVov1からVov13で表す。電圧Vou1から電圧Vou6までの位相は、
図3Aに示すOu相と同相である。電圧Vou8から電圧Vou13までの位相は、
図3Aに示すOu相と逆相である。なお、
図3Bで説明する全ての電圧ベクトルの始点は、図の中央に示す基点BPにあるものとする。
【0052】
一次巻線121に印加される電圧Vouvの電圧ベクトルは、
図3AよりOu相の電圧ベクトルからOv相の電圧ベクトルを減算したものである。換言すれば、電圧Vouvの電圧ベクトルは、Ou相の電圧ベクトルに、Ov相の電圧ベクトルの逆ベクトルを加算したものである。
図3Bにてこれらの加算を視覚的に示すために、
図3Bにおける電圧Vov1から電圧Vov6の電圧ベクトル向きを
図3AのOv相の電圧とは逆にする。電圧Vov8から電圧Vov13の電圧ベクトル向きは、
図3AのOv相の電圧と同じにする。
【0053】
例えば、タップ位置がタップ3である場合、電圧Vou3と電圧Vov3の逆向きの電圧とをベクトル的に加算した電圧のベクトルは、細い実線の矢印で表される。一次巻線121の端子v2からv1に対して印加されるこの電圧のベクトルは、太い実線の矢印で表されるV相の電圧ベクトルに対して逆向きである。即ち、タップ位置がタップ3である場合に直列変圧器1の二次巻線122に誘起する電圧により、電源側からのV相の電圧が降圧される。
【0054】
タップ位置がタップ8からタップ13である場合は、一次巻線121の端子v2からv1に対して印加される電圧のベクトルがV相の電圧ベクトルに対して同じ向きとなることは
図3Bから明らかである。この場合は、一次側のV相の電圧が昇圧される。このように、タップ位置のタップ番号を1から6まで上げるに連れて、降圧される電圧の絶対値が順次小さくなり、タップ7(素通し)にて降圧される電圧が0となる。その後、更にタップ位置のタップ番号を上げるに連れて、一次側のV相の交流電圧が順次昇圧されて二次側に供給されるようになる。
【0055】
以上のとおり、タップ位置をタップ1からタップ13まで切り換えることにより、一次側のU相,V相,W相の交流電圧を段階的に昇降圧した電圧を、二次側のu相,v相,w相の交流電圧とすることができる。制御部31は、計測用変圧器PT1及びPT2により、u相,v相,w相の線間電圧を検出し、検出した電圧が不感帯を逸脱した場合に、タップ位置を上げ下げすることによって、u相,v相,w相の線間電圧が基準電圧に近づくように調整する。本実施形態1では、二次巻線212,222,232それぞれについてタップ位置が同じとなるように調整する。
【0056】
図4は、所定の電圧ベクトルを基準とする直交座標系を示す説明図である。
図5は、各種の電圧、位相角、座標位置及び定数の定義を説明する図表である。
図6は、中性点Nを始点とする各相の電圧ベクトルの終点を示す説明図である。先ず本実施形態1で用いる座標系について説明する。
【0057】
図4に示す直交座標系は、現在の二次側の線間電圧であるV2uvの電圧ベクトルに沿う方向をx軸とし、この電圧ベクトルの終点を原点とするxy座標系である。この定義より、二次側のu相の座標は(0,0)となる。次に、この座標系における座標位置を含む
図5中の記号が意味するところを説明する。以下では、「xy」が「uv」,「vw」,「wu」の何れかを表している。例えば「xy」が「uv」を表す場合、「x」は「u」を表し、「y」は「v」を表す。
【0058】
a)V2xy:現在の二次側のxy相間の線間電圧であり、制御部31が計測用変圧器PT1,PT2から取得した計測結果に基づいて検出する。
b)V2xy(n):タップn(即ち第nタップ)へ切換後の二次側のxy相間の線間電圧であり、制御部31が演算して求める。
c)Voxy(n):タップnへ切換後に、直列変圧器1によって二次側のy相の相電圧に重畳されているであろう電圧であり、制御部が演算して求める。
d)θxy:現在の二次側のxy相間の線間電圧であるV2xyのV2uvに対する位相角であり、制御部31が計測用変圧器PT1,PT2から取得した計測結果に基づいて検出する。この定義より、θuvは0度となる。
e)θoxy:直列変圧器1によって二次側のy相の相電圧に現在重畳されている電圧であるVoxyのV2uvに対する位相角であり、制御部31が計測用変圧器PT1,PT2から取得した計測結果に基づいて検出する。詳細については後述する。
f)2U,2V,2W:
図4に示す座標系における現在の二次側のu相,v相,w相の座標位置であり、制御部31が演算して求める。上述のとおり、2Uのx座標値及びy座標値は共に0である。
g)2U(n),2V(n),2W(n):タップnへ切換後の二次側のu相,v相,w相の座標位置であり、制御部31が演算して求める。
h)n:Ou相,Ov相,Ow相に共通するタップ位置を示す設定値である。例えば全タップ位置の数がJの場合は、nは1からJの値をとる。
i)N(n):二次側の線間電圧に対する直列変圧器1による重畳電圧の比を示す電圧変換比であり、予め設定されている。具体的には、次の式(1)に示すとおりである。
【0059】
N(n)=√3×(1/調整変圧器2の巻数比)×(タップnの場合の巻数/
タップJの場合の巻数)×極性×(1/直列変圧器1の巻数比)・・・(1)
但し、
√3:調整変圧器2でのΔY結線によって線間電圧が昇圧される比率
巻数:タップt1〜t4のうちの選択されたタップ間の巻数
極性:タップ位置がタップ1から素通しタップの1つ前のタップ位置までの場合は−1で
あり、素通しタップからタップJまでの場合は+1である定数
J :全タップ位置の数
調整変圧器2の巻数比:タップ位置がタップJ(最大の巻数)の場合の巻数比
【0060】
式(1)は、タップ位置がタップnである場合の調整変圧器2の巻数比が、タップt1〜t4のうちの選択されたタップ間の巻数に対する一次巻線211,221,231の巻数の比であることを示している。本実施形態1ではJが13であるから、式(1)によれば、N(1)〜N(6)が負の値をとり、N(7)が0となり、N(8)〜N(13)が正の値をとる。また、N(1)=−N(13),N(2)=−N(12),・・・N(6)=−N(8)となる。
【0061】
図6では、一次側及び二次側の各相の電圧ベクトルの終点を、その終点を中心とする円で囲んで示してある。ここで、電圧ベクトルが示される平面を、
図4で定義した座標系における座標面とみなす。この座標系の基準となるV2uvの電圧ベクトルを太い実線で示す。この電圧ベクトルを基準として、
図5の各座標位置及び各位相角が決まる。線間電圧であるV2uv,V2vw,V2wu、及びV2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)の大きさは、寸法補助線及び寸法線を用いて図示してある。
【0062】
一次側のU相,V相,W相それぞれの座標位置を1U,1V,1Wとする。二次側のu相,v相,w相それぞれの座標位置である2U,2V,2W、及び2U(n),2V(n),2W(n)については、
図5で定義したとおりである。V2uvに対するV2vw,V2wuそれぞれの位相角であるθvw,θwuについても、
図5で定義したとおりである。V2uvの位相角であるθuvは0度であるので図示していない。
【0063】
例えばU相及びu相について言えば、一次側のU相の相電圧に、直列変圧器1による重畳電圧であるVowu(n)が加算された電圧が、二次側のu相の相電圧となる。換言すれば、1Uの座標位置から2U(n)の座標位置に向かうベクトルが、Vowu(n)の電圧ベクトルである。また、1Uの座標位置から2Uの座標位置に向かうベクトルが、
図5中のVowuの電圧ベクトルである(不図示)。VowuのV2uvに対する位相角がθowuであることは
図5に定義したとおりであり、
図6から容易に理解される。V相及びv相並びにW相及びw相についても上記と同様に説明されるので、ここでは省略する。なお、
図6では、全ての角度を時計回りに定義しているので、それぞれの角度は負の値となる。
【0064】
θowuは、上述したように、制御部31が計測用変圧器PT1,PT2から取得した計測結果に基づいて検出する。具体的には、現在の二次側の線間電圧であるV2uv,V2wuそれぞれを調整変圧器2で変圧した電圧をOu相,Ow相の相電圧として検出し、Ou相,Ow相の線間電圧のV2uvに対する位相角をθowuとして検出する。Ou相,Ow相の線間電圧は、計測用変圧器PT3,PT4から取得した計測結果に基づいて検出してもよい。θovw,θouvについても、上記と同様に検出できる。
【0065】
以下では、二次側のu相,v相,w相の線間電圧を検出して切換先のタップを選択する方法について説明する。先ず、二次側のu相,v相,w相それぞれの座標位置である2U,2V,2Wは、
図4と
図6に示す各ベクトルの関係を参照して、以下の式(2)〜(4)のとおり座標値で表される。
【0066】
2U(0,0)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
2V(−V2uv,0)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
2W(V2wu×cosθwu,V2wu×sinθwu)・・・・・・・・・(4)
【0067】
次に、直列変圧器1による重畳電圧であるVouv(n),Vovw(n),Vowu(n)は、
図5に示す定義より、以下の式(5)〜(7)のとおり表される。式(5)〜(7)は、後述するタップkについてnをkに置き換えた場合であっても成立する。
【0068】
Vouv(n)=N(n)×V2uv・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
Vovw(n)=N(n)×V2vw・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
Vowu(n)=N(n)×V2wu・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7)
【0069】
図4に示す座標系におけるVouv(n),Vovw(n),Vowu(n)の電圧ベクトルは、
図6に示す各ベクトルの関係を参照して成分表示すると、以下の式(8)〜(10)のとおり表される。各ベクトルには、「v」の接頭語を付加してベクトルであることを表している。
【0070】
vVouv(n)=(Vouv(n)×cosθouv,
Vouv(n)×sinθouv)・・・・・・・・・・(8)
vVovw(n)=(Vovw(n)×cosθovw,
Vovw(n)×sinθovw)・・・・・・・・・・(9)
vVowu(n)=(Vowu(n)×cosθowu,
Vowu(n)×sinθowu)・・・・・・・・・(10)
【0071】
ここで現在のタップ位置をタップkとすると、直列変圧器1による現在の重畳電圧であるVouv(k),Vovw(k),Vowu(k)の電圧ベクトルは、上記と同様に以下の式(11)〜(13)のとおり成分表示される。式(8)〜(13)を用いて電圧ベクトルの成分を算出するステップが第1算出部に相当する。
【0072】
vVouv(k)=(Vouv(k)×cosθouv,
Vouv(k)×sinθouv)・・・・・・・・・(11)
vVovw(k)=(Vovw(k)×cosθovw,
Vovw(k)×sinθovw)・・・・・・・・・(12)
vVowu(k)=(Vowu(k)×cosθowu,
Vowu(k)×sinθowu)・・・・・・・・・(13)
【0073】
上述したように、例えばU相及びu相について言えば、1Uの座標位置から2U(n)の座標位置に向かうベクトルが、Vowu(n)の電圧ベクトルである。また、1Uの座標位置から2Uの座標位置に向かうベクトルが、
図5の説明欄中のVowu(即ちVowu(k))の電圧ベクトルである。従って、2U(n)の座標位置の座標値は、式(2)で表される2Uの座標位置の座標値から、式(13)で表されるvVowu(k)の成分を減算し、更に式(10)で表されるvVowu(n)の成分を加算することによって算出される。V相及びv相並びにW相及びw相についても同様である。以上より、タップnへ切換後の座標位置である2U(n),2V(n),2W(n)は、以下の式(14)〜(16)のとおり座標値で表される。
【0074】
2U(n)(−Vowu(k)×cosθowu+Vowu(n)×cosθowu,
−Vowu(k)×sinθowu+Vowu(n)×sinθowu)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(14)
2V(n)(−V2uv
−Vouv(k)×cosθouv+Vouv(n)×cosθouv,
−Vouv(k)×sinθouv+Vouv(n)×sinθouv)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(15)
2W(n)(V2wu×cosθwu
−Vovw(k)×cosθovw+Vovw(n)×cosθovw,
−Vovw(k)×sinθovw+Vovw(n)×sinθovw)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(16)
【0075】
式(14)〜(16)の座標値に、式(5)〜(7)を代入して変形することにより、2U(n),2V(n),2W(n)は、以下の式(17)〜(19)のとおり座標値で表される。
【0076】
2U(n)((N(n)−N(k))×V2uv×cosθouv,
(N(n)−N(k))×V2uv×sinθouv)・・・・(17)
2V(n)(−V2uv+(N(n)−N(k))×V2vw×cosθovw,
(N(n)−N(k))×V2vw×sinθovw)・・・・(18)
2W(n)(V2wu×cosθwu
+(N(n)−N(k))×V2wu×cosθowu,
V2wu×sinθwu
+(N(n)−N(k))×V2wu×sinθowu)・・・(19)
【0077】
式(17)〜(19)を用いて2U(n)及び2V(n)間の距離,2V(n)及び2W(n)間の距離,2W(n)及び2U(n)間の距離をそれぞれ算出することにより、タップnへ切換後の二次側の線間電圧であるV2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)が求まる。この算出を適時、全てのnの値(n=1,2,・・・J)について行い、算出結果を制御部31のRAMに記憶しておく。その後、タップ昇降圧指令(タップ切換の指令)があった時に、タップ切換後の二次側の目標の線間電圧(例えば基準電圧)に最も近いV2uv(s),V2vw(s),V2wu(s)の組合せ(sは1からJの何れかの整数)を選択し、タップsを切換先のタップ指令値とする。
【0078】
以下では、上述した制御部31の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図7は、タップ切換後の二次側の線間電圧を算出する制御部31の処理手順を示すフローチャートである。
図8は、タップ指令値を決定する制御部31の処理手順を示すフローチャートである。
図7の処理は、例えば一定の周期で起動され、制御部31に含まれるFPGAにより実行されるが、CPUにより実行されてもよい。
図8の処理は、タップ昇降圧指令の発令時にCPUにより実行される。
図7の処理の起動中は、
図8の処理が起動されないものとする。
【0079】
図7の処理が起動された場合、FPGAは、計測用変圧器PT1,PT2から計測電圧を取得する(S11:取得部に相当)。次いで、FPGAは、取得した計測電圧に基づいて二次側の線間電圧であるV2uv,V2vw,V2wuを検出する(S12)と共に、V2wuのV2uvに対する位相角であるθwuを検出する(S13)。FPGAは、また、取得した計測電圧に基づいて、直列変圧器1による重畳電圧のV2uvに対する位相角であるθouv,θovw,θowuを検出する(S14)。
【0080】
その後、FPGAは、現在のタップ位置(タップk)を特定し(S15)、更に、カウンタとして用いるiを1に初期化する(S16)。
【0081】
次いで、FPGAは、上記の各検出結果を式(17)〜(19)に代入して、タップiへ切換後の二次側のu相,v相,w相の座標位置である2U(i),2V(i),2W(i)を算出する(S17:第1算出部を含む)。FPGAは、更に、算出した各座標位置の間の距離を算出することにより、タップiへ切換後の二次側の線間電圧であるV2uv(i),V2vw(i),V2wu(i)を算出し(S18:第2算出部に相当)、線間電圧の算出結果をRAMに記憶する(S19)。
【0082】
その後、FPGAは、カウンタであるiを1だけインクリメントし(S20)、iがJ+1(Jは全タップ位置の数)であるか否かを判定する(S21)。iがJ+1ではない場合(S21:NO)、FPGAは、ステップS17に処理を移す。一方、iがJ+1である場合(S21:YES)、FPGAは
図7の処理を終了する。
【0083】
図8の処理が起動された場合、CPUは、カウンタとして用いるjを1に初期化した(S31)後に、RAMに記憶されたV2uv(j),V2vw(j),V2wu(j)を読み出し(S32)、これらの統計値を算出する(S33)。統計値は、例えば平均値又は中央値である。CPUは、算出した統計値と目標の線間電圧との差分(j)を算出し(S34)、算出した差分(j)をRAMに記憶する(S35)。
【0084】
次いで、CPUは、カウンタであるjを1だけインクリメントし(S36)、jがJ+1であるか否かを判定する(S37)。jがJ+1ではない場合(S37:NO)、CPUは、ステップS32に処理を移す。一方、jがJ+1である場合(S37:YES)、CPUは、RAMに記憶した差分のうち、最も小さい差分(s)を選択し(S38)、これと同じ番号を有するタップsを指令値と決定して(S39)
図8の処理を終了する。
【0085】
以上のように本実施形態1によれば、配電線1u,1v,1wそれぞれに二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1の一次巻線111,121,131に対し、配電線1u,1v,1wの線間に一次巻線211,221,231が並列に接続される負荷時タップ切換変圧器200の二次巻線212,222,232それぞれのタップt1〜t4から調整電圧が印加される。制御部31は、配電線1u,1v,1wにおける二次側の電圧(V2uv,V2vw,V2wu及びこれらから検出される位相角であるθwu,θouv,θovw,θowu)、タップ切換前後の負荷時タップ切換変圧器200の変圧比、及び直列変圧器1の変圧比に基づいて算出したタップ切換前後の直列変圧器1の二次巻線112,122,132の電圧(式(8)〜(13)によるもの)と、上記二次側の電圧(2U,2V,2Wの座標位置に対応する電圧)とに基づいて、タップ切換後の上記二次側の電圧(式(17)〜(19)によるもの)を算出する。そして、算出した二次側の電圧と目標の線間電圧とを比較した差分(ステップS34によるもの)に基づいて、現時点の切換に適したタップを選択する。これにより、タップの切換先を的確に選択することができる。
【0086】
また、実施形態1によれば、隣り合って連続するタップ位置(タップ1〜タップJ)へ各別にタップ切換した場合の上記接続側の電圧(式(17)〜(19)によるもの)をそれぞれ算出し、上記接続側にて目標の線間電圧に最も近い電圧が得られるタップ位置を選択する(ステップS37による)。従って、現時点での切換に最適なタップを選択することができる。
【0087】
更に、実施形態1によれば、算出に係る各電圧の電圧ベクトルを、基準点(ベクトルV2uvの終点)を原点とする直交座標系における座標値(式(2)〜(4)及び(14)〜(19)によるもの)で表す。従って、電圧ベクトルの演算を、三角関数を用いた座標値のスカラー演算に置き換えることができる。
【0088】
(実施形態2)
実施形態1は、配電線1u,1v,1wの一次側の電源から供給されるU相,V相,W相の交流電圧を調整して、二次側の負荷へu相,v相,w相の交流電圧を配電する形態であった。これに対し実施形態2は、二次側の電源から供給されるu相,v相,w相の交流電圧を調整して、一次側の負荷へU相,V相,W相の交流電圧を配電する形態である。実施形態2に係る電圧調整装置100の構成は、実施形態1の
図1に示すものと同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。配電線1u,1v,1wの電圧と直列変圧器1の一次巻線121に印加される電圧との関係も実施形態1の
図3に示すものと同様である。
【0089】
図9は、実施形態2に係る各種の電圧、位相角、座標位置及び定数の定義を説明する図表である。
図10は、実施形態2に係る各相の電圧ベクトルの終点を示す説明図である。実施形態2で用いる座標系は、実施形態1の
図4に示すものと同様である。
【0090】
図9で説明する記号のうち、No.4〜6及びNo.19〜21の内容が、実施形態1の
図5で説明する記号と異なっている。具体的には以下のとおりである。「xy」が「uv」,「vw」,「wu」の何れかを表しているのは、実施形態1の場合と同様である。
【0091】
j)V1xy(n):タップn(即ち第nタップ)へ切換後の一次側のxy相間の線間電圧であり、制御部31が演算して求める。
k)1U(n),1V(n),1W(n):タップnへ切換後の一次側のu相,v相,w相の座標位置であり、制御部31が演算して求める。
【0092】
図10では、一次側及び二次側の各相の電圧ベクトルの終点を、その終点を中心とする円で囲んで示してあり、一部を除いて実施形態1の
図6に示すものと同様である。
図6では2U(n),2V(n),2W(n)であった座標位置が、
図10では1U(n),1V(n),1W(n)に置き換わっている、
図6ではV2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)であった線間電圧の大きさが、
図10ではV1uv(n),V1vw(n),V1wu(n)に置き換わっている。更に、Vouv(n)が、
図6では1V及び2V(n)間の距離を示していたが、
図10では2V及び1V(n)間の距離を示すように置き換わっている。Vovw(n)及びVowu(n)それぞれが示す距離についても同様に置き換わっている。
【0093】
実施形態1で導出した式(1)〜(13)は、本実施形態2でも成り立つ。特に、式(8)〜(10)を用いて電圧ベクトルの成分を算出するステップが第3算出部に相当する。例えばU相及びu相について言えば、1U(n)の座標位置から2Uの座標位置に向かうベクトルが、Vowu(n)の電圧ベクトルである。また、1Uの座標位置から2Uの座標位置に向かうベクトルが、
図9の説明欄中のVowu(即ち、現在のタップ位置がタップkである場合のVowu(k))の電圧ベクトルである。
【0094】
従って、1Uの座標位置の座標値は、2Uの座標位置の座標値からVowu(k)の成分を減算することによって算出され、1U(n)の座標位置の座標値は、2Uの座標位置の座標値からVowu(n)の成分を減算することによって算出される。V相及びv相並びにW相及びw相についても同様である。以上より、タップnへ切換後の座標位置である1U(n),1V(n),1W(n)は、以下の式(20)〜(22)のとおり座標値で表される。現在の1U,1V,1Wの座標位置は、式(20)〜(22)でnをkに置き換えることによって算出できる。
【0095】
1U(n)(−N(n)×V2uv×cosθouv,
−N(n)×V2uv×sinθouv)・・・・・・・・・・(20)
1V(n)(−V2uv−N(n)×V2vw×cosθovw,
−N(n)×V2vw×sinθovw)・・・・・・・・・・(21)
1W(n)(V2wu×cosθwu−N(n)×V2wu×cosθowu,
V2wu×sinθwu−N(n)×V2wu×sinθowu)・・(22)
【0096】
式(20)〜(22)を用いて1U(n)及び1V(n)間の距離,1V(n)及び1W(n)間の距離,1W(n)及び1U(n)間の距離をそれぞれ算出することにより、タップnへ切換後の一次側の線間電圧であるV1uv(n),V1vw(n),V1wu(n)が求まる。この算出を適時n=1,2,・・・J(Jは全タップ位置の数)について行い、算出結果を制御部31のRAMに記憶しておく。その後、タップ昇降圧指令(タップ切換の指令)があった時に、タップ切換後の一次側の目標の線間電圧(例えば基準電圧)に最も近いV1uv(s),V1vw(s),V1wu(s)の組合せ(sは1からJの何れかの整数)を選択し、タップsを切換先のタップ指令値とする。
【0097】
上述した制御部31の動作を示すフローチャートは、一部を除いて実施形態1の
図7及び
図8に示すものと同様である。具体的に、
図7では、ステップS17の内容を「各検出結果を式(20)〜(22)に代入して1U(i),1V(i),1W(i)算出」(第3算出部を含む)と置き換える。また、ステップS18の内容を「V1uv(i),V1vw(i),V1wu(i)算出」(第4算出部に相当)と置き換える。
図8では、ステップS32の内容を「V1uv(i),V1vw(i),V1wu(i)算出」と置き換える。その他のステップについては、図示及び説明を省略する。
【0098】
以上のように本実施形態2によれば、制御部31は、配電線1u,1v,1wにおける二次側の電圧(V2uv,V2vw,V2wu及びこれらから検出される位相角であるθwu,θouv,θovw,θowu)、タップ切換後の負荷時タップ切換変圧器200の変圧比、及び直列変圧器1の変圧比に基づいて算出したタップ切換後の直列変圧器1の二次巻線112,122,132の電圧(式(8)〜(10)によるもの)と、上記二次側の電圧(2U,2V,2Wの座標位置に対応する電圧)とに基づいて、タップ切換後の一次側の電圧(式(20)〜(22)によるもの)を算出する。そして、算出した一次側の電圧と目標の線間電圧とを比較した差分(ステップS34によるもの)に基づいて、現時点の切換に適したタップを選択する。これにより、タップの切換先を的確に選択することができる。
【0099】
(実施形態3)
実施形態1が、電圧ベクトルの演算を、三角関数を用いた座標値のスカラー演算に置き換える形態であるのに対し、実施形態3は、電圧ベクトルの演算を、時間関数の瞬時値に基づく演算に置き換える形態である。実施形態3に係る電圧調整装置100の構成は、実施形態1の
図1に示すものと同様であるため、実施形態1に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0100】
実施形態1でθowuの算出方法を説明したが、その考え方を延長すれば、現在の二次側の線間電圧であるV2uv,V2wuに基づいて、タップnへ切換後の直列変圧器1による重畳電圧であるVouv(n)をベクトル演算で求めることができる。具体的に、実施形態1の
図3Aを参照して、Ou相,Ov相それぞれの電圧ベクトルは、V2uv,V2vwの電圧ベクトルと同じ向きとみなすことができ、Vouv(n)の電圧ベクトルは、Ou相の電圧ベクトルからOv相の電圧ベクトルを減算したベクトルと同じ向きであると言える。
【0101】
また、Vouv(n)の電圧ベクトルの大きさに直列変圧器1の変圧比を乗じたものが、Ou相の電圧ベクトルからOv相の電圧ベクトルを減算したベクトルの大きさとみなせる。更に、Ou相,Ov相それぞれの電圧ベクトルの大きさに調整変圧器2の変圧比を乗じたものが、V2uv,V2vwの電圧ベクトルの大きさとみなせる。V2vw,V2wuの電圧ベクトルとVovw(n)の電圧ベクトルの関係、及びV2wu,V2uvとVowu(n)の電圧ベクトルの関係についても同様である。ここで、実施形態1の式(1)で定義したN(n)に類似する設定値としてM(n)を、以下の式(23)により定義する。
【0102】
M(n)=(1/調整変圧器2の巻数比)×(タップnの場合の巻数/
タップJの場合の巻数)×極性×(1/直列変圧器1の巻数比)・・(23)
但し、
巻数:タップt1〜t4のうちの選択されたタップ間の巻数
極性:タップ位置がタップ1から素通しタップの1つ前のタップ位置までの場合は−1で
あり、素通しタップからタップJまでの場合は+1である定数
J :全タップ位置の数
調整変圧器2の巻数比:タップ位置がタップJ(最大の巻数)の場合の巻数比
【0103】
即ち、M(n)は、N(n)を√3で除したものである。上述した各電圧ベクトル間の関係とM(n)を用いて、Vouv(n),Vovw(n),Vowu(n)の電圧ベクトルは、以下の式(24)〜(26)のとおり表される。ここでも、各電圧ベクトルに「v」の接頭語を付加してベクトルであることを表している(以下同様)。式(24)〜(26)は、後述するタップkについてnをkに置き換えた場合であっても成立する。
【0104】
vVouv(n)=M(n)×(vV2uv−vV2vw)・・・・・・・・(24)
vVovw(n)=M(n)×(vV2vw−vV2wu)・・・・・・・・(25)
vVowu(n)=M(n)×(vV2wu−vV2uv)・・・・・・・・(26)
【0105】
次に、実施形態1の
図6に示す各座標位置と、大きさが示された各電圧ベクトルとを参照すれば、V2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)の電圧ベクトルをベクトルの加減算によって求めることができる。例えば、V2uv(n)の電圧ベクトルは、2V(n)から2U(n)に向かうベクトルであるが、このベクトルは、2Vから2Uに向かうV2uvの電圧ベクトルに、いくつかの電圧ベクトルを加算したものである。
【0106】
V2uvの電圧ベクトルに加算されるベクトルのうち、、2V(n)から1Vに向かうベクトルは−Vouv(n)の電圧ベクトルであり、1Vから2Vに向かうベクトルはVouv(k)の電圧ベクトル(kは現在のタップ位置を表す数値)である。また、2Uから1Uに向かうベクトルは−Vowu(k)の電圧ベクトルであり、1Uから2U(n)に向かうベクトルはVowu(n)の電圧ベクトルである。V2vw(n),V2wu(n)についても同様のことが言える。従って、V2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)の電圧ベクトルは、以下の式(27)〜(29)のとおり表される。
【0107】
vV2uv(n)=vV2uv+vVouv(k)−vVouv(n)
+vVowu(n)−vVowu(k)・・・・・・・・(27)
vV2vw(n)=vV2vw+vVovw(k)−vVovw(n)
+vVouv(n)−vVouv(k)・・・・・・・・(28)
vV2wu(n)=vV2wu+vVowu(k)−vVowu(n)
+vVovw(n)−vVovw(k)・・・・・・・・(29)
【0108】
式(24)〜(26)を式(27)〜(29)の右辺に代入すれば、式(27)〜(29)の右辺は、M(n)及びM(k)と、V2uv,V2vw,V2wuの電圧ベクトルとによって表される。これらの電圧ベクトルは、交流電圧の時間関数で表されるものであり、その瞬時値を計測用変圧器PT1,PT2から取得することができる。
【0109】
従って、現在のタップ位置(タップk)を特定すれば、式(27)〜(29)の左辺の電圧ベクトルが表す電圧の瞬時値が得られる。この瞬時値について、交流電圧の1周期にわたって二乗平均平方根をとることにより、V2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)の実効値が求まる。この算出を適時、全てのnの値(n=1,2,・・・J)について行い、算出結果を制御部31のRAMに記憶しておく。その後、タップ昇降圧指令(タップ切換の指令)があった時に、タップ切換後の二次側の目標の線間電圧(例えば基準電圧)に最も近いV2uv(s),V2vw(s),V2wu(s)の組合せ(sは1からJの何れかの整数)を選択し、タップsを切換先のタップ指令値とする。
【0110】
以下では、上述した制御部31の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。
図11は、実施形態3に係る電圧調整装置100でタップ切換後の二次側の線間電圧を算出する制御部31の処理手順を示すフローチャートである。
図11の処理は、例えば一定の周期で起動され、制御部31に含まれるFPGAにより実行されるが、CPUにより実行されてもよい。タップ昇降圧指令の発令時にCPUにより実行されて指令値を決定するための処理手順は、実施形態1の
図8に示すものと同様である。
【0111】
図11の処理が起動された場合、FPGAは、1周期を計時するタイマが起動中であるか否かを判定し(S41)、起動中でない場合(S41:NO)、交流電圧の1周期を計時するタイマを起動する(S42)。タイマが起動中である場合(S41:YES)、又はステップS42の処理を終えた場合、FPGAは、計測用変圧器PT1,PT2から計測電圧を取得する(S43:取得部に相当)。
【0112】
次いで、FPGAは、取得した計測電圧に基づいて二次側の線間電圧であるV2uv,V2vw,V2wuの瞬時値を検出する(S44)。FPGAは、現在のタップ位置(タップk)を特定し(S45)、更に、カウンタとして用いるiを1に初期化する(S46)。
【0113】
次いで、FPGAは、上記の各検出結果を式(24)〜(29)に代入して、タップiへ切換後の二次側の線間電圧であるV2uv(i),V2vw(i),V2wu(i)の瞬時値を算出する(S47)と共に、算出結果をRAMに記憶する(S48)。この場合、例えばRAMの所定領域に確保したリングバッファに記憶すればよい。
【0114】
その後、FPGAは、カウンタであるiを1だけインクリメントし(S49)、iがJ+1(Jは全タップ位置の数)であるか否かを判定する(S50)。iがJ+1ではない場合(S50:NO)、FPGAは、ステップS47に処理を移す。一方、iがJ+1である場合(S50:YES)、FPGAは、1周期のタイマがタイムアップしたか否かを判定する(S51)。
【0115】
タイマがタイムアップしていない場合(S51:NO)、FPGAは
図11の処理を終了する。一方、タイマがタイムアップした場合(S51:YES)、FPGAは、カウンタとして用いるiを1に初期化する(S52)。
【0116】
その後、FPGAは、時系列的にRAMに記憶したV2uv(i),V2vw(i),V2wu(i)それぞれの瞬時値(i=1,2,・・J)につき、1周期にわたって二乗平均平方根をとってV2uv(i),V2vw(i),V2wu(i)の実効値を算出し(S53)、算出結果をRAMに記憶する(S54)。
【0117】
次いで、FPGAは、カウンタであるiを1だけインクリメントし(S55)、iがJ+1であるか否かを判定する(S56)。iがJ+1ではない場合(S56:NO)、FPGAは、ステップS53に処理を移す。一方、iがJ+1である場合(S56:YES)、FPGAは、
図11の処理を終了する。なお、FPGAがステップS52〜S56の処理を実行中は、CPUが実行する
図8の処理が起動されないものとする。
【0118】
以上のように本実施形態3によれば、電圧ベクトルの演算を、交流電圧の時間関数の演算とみなして瞬時値を算出し、算出した瞬時値の二乗平均平方根をとって電圧の実効値を算出する。従って、三角関数の演算が不要となり、電圧の算出を高精度に行うことができる。
【0119】
なお、実施形態1から3にあっては、三相の交流電圧が必ずしも平衡ではないことを前提としたが、一次側及び二次側の電圧を対称三相交流で近似する場合は、二次側又は一次側の電圧の算出を簡略化することができる。例えば、実施形態1にて、
図5のNo.10〜15に示す角度の計測値を、以下の常数に置き換えることができる。
【0120】
θuv=0度、θvw=−120度、θwu=−240度
θouv=−150度、θovw=−270度、θowu=−30度
(又は、θouv=30度、θovw=−90度、θowu=−210度)
但し、角度の組合せが()内の値となるか否かは、直列変圧器1によって重畳されている電圧の向きに依存する。具体的には、現在のタップ位置に応じて選択すればよい。
【0121】
上記の角度を用いて、実施形態1の式(17)〜(19)は、以下の式(30)〜(32)のとおり表される。この場合、
図7に示すフローチャートでステップS13,S14の検出が不要となる。なお、上記()内の角度の組み合わせの場合は、以下の式とは異なる式となる。
【0122】
2U(n)((N(n)−N(k))×V2uv×(−0.866)
(N(n)−N(k))×V2uv×(−0.5)・・・・・・(30)
2V(n)(−V2uv,(N(n)−N(k))×V2vw)・・・・・・(31)
2W(n)(V2wu×(−0.5)
+(N(n)−N(k))×V2wu×(0.866),
V2wu×(0.866)
+(N(n)−N(k))×V2wu×(0.5))・・・・・(32)
【0123】
式(30)〜(32)を用いれば、タップnへ切換後の二次側の線間電圧であるV2uv(n),V2vw(n),V2wu(n)の算出が容易となる。
【0124】
また、実施形態1から3にあっては、電圧調整装置100は、調整変圧器2の二次巻線212,222,232がタップ切換器3を介してY結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がΔ結線されているが、これに限定されるものではない。例えば、調整変圧器2の二次巻線212,222,232がタップ切換器3を介してΔ結線され、直列変圧器1の一次巻線111,121,131がY結線されていてもよい。この場合であっても、直列変圧器1による重畳電圧であるVouv(n),Vovw(n),Vowu(n)それぞれのV2uvに対する位相角であるθouv,θovw,θowuは、実施形態1から3の場合と同様であるので、フローチャートを含む
図5〜11をそのまま適用することができる。また、式(23)を除く式(2)〜(32)も適用できる。
【0125】
但し、式(1)及び(23)で定義されるN(n)及びM(n)については、実施形態1から3の場合と比較して1/3の大きさになることに留意する。具体的には、実施形態1から3の場合、二次側の線間電圧がOu相,Ov相,Ow相の相電圧に対応し、これらの相電圧の大きさを√3倍にした線間電圧が直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される。これに対し、調整変圧器2の二次巻線212,222,232がΔ結線されている場合、二次側の線間電圧がOu相,Ov相,Ow相の線間電圧に対応し、これらの線間電圧の大きさを1/√3倍にした相電圧が直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される。この場合の印加電圧は、実施形態1から3の場合の1/3倍となる。
【0126】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。