(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-20030(P2021-20030A)
(43)【公開日】2021年2月18日
    (54)【発明の名称】手袋装着装置
(51)【国際特許分類】
   A61B  42/50        20160101AFI20210122BHJP        
   A41D  19/00        20060101ALI20210122BHJP        
【FI】
   A61B42/50
   A41D19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】書面
【全頁数】11
      (21)【出願番号】特願2019-148976(P2019-148976)
(22)【出願日】2019年7月26日
    
      
        
          (71)【出願人】
【識別番号】517395116
【氏名又は名称】飯尾  清
        
      
      
        (72)【発明者】
          【氏名】飯尾  清
              
            
        
      
    【テーマコード(参考)】
      3B033
    【Fターム(参考)】
      3B033AA15
      3B033AB09
    (57)【要約】
【課題】コンパクトな構成で手袋の装着性を向上させ、取扱を容易に改善した新規な手袋装着装置に関する。
【解決手段】  手袋装着装置100に手袋Hの手首輪部h1と係合する手袋保持部20を備え、正圧空気供給部からの正圧空気+Eを手首輪部内に供給するノズルNを備え、上記正圧空気供給部とノズルはフットスイッチ40のON操作でノズルから正圧空気を手袋内に噴出、フットスイッチのOFF操作でノズルが正圧空気を止める。
【選択図】
図1
    
  【特許請求の範囲】
        【請求項1】
              吸引室内の手袋装着位置に備える手袋内に正圧空気を供給して手袋を膨張させ該手袋内に手を挿入して自動装着する手袋装着装置において、
  上記手袋装着装置の筐体の前面に手袋の手首輪部と係合する一つ又は一対の手袋保持部を備え、上記筐体適所又は他の適所に備えた正圧空気供給部からの正圧空気を上記手首輪部内に供給するノズルを備え、上記正圧空気供給部及びノズルはフットスイッチのON操作でノズルが手首輪部内に前進挿入されるとともに該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出させ、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退するとともに該ノズルへの正圧空気を止める制御部を備えて成ることを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項2】
              上記正圧空気供給部は、フットスイッチのON操作で、ノズルが手首輪部内に前進挿入して該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出させるとともに、筐体内に吸引口を設けて筐体内の空気を負圧化することを特徴とする請求項1記載の手袋装着装置。
        
        【請求項3】
              上記手袋保持部は、上記手袋の手首輪部の外周凹部と係合する引掛輪と、上記手首輪部の外周凸部を保持する押輪からなることを特徴とする請求項1記載の手袋装着装置。
        
        【請求項4】
              上記ノズルは、回転駆動部材の旋回アームの先端に取付けられ、フットスイッチのON操作で該ノズルが手首輪部内に旋回挿入し、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から旋回後退することを特徴とする請求項1記載の手袋装着装置。
        
        【請求項5】
              上記ノズルは、進退駆動部材の進退棒の先端に取付けられ、フットスイッチのON操作で該ノズルが手首輪部内に前進挿入し、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退動することを特徴とする請求項1記載の手袋装着装置。
        
        【請求項6】
              吸引室内の手袋装着位置に備える手袋内に正圧空気を供給して手袋を膨張させ該手袋内に手を挿入して自動装着する手袋装着装置において、
  上記手袋装着装置の筐体内の前面となる手袋装着位置に手袋装着部を備え、上記筐体内の手袋装着部には、多数枚の手袋を積層貯留するとともに最上部の手袋のみを手袋装着部に供給する手袋供給ユニットを着脱可能に備え、上記手袋供給ユニットの最上段の手袋の手首輪部を係止する一つ又は一対の手袋保持手段を備え、上記手袋保持手段には手袋保持片で手首輪部の長辺側を係止するとともに手首輪部内に正圧空気供給部からの正圧空気を吹込むノズル口を備え、上記正圧空気供給部はフットスイッチのON操作でノズル口から手首輪部内に正圧空気吹き込むとともに手袋保持手段の手袋保持片で長辺側手首輪部を係止して手袋を膨張して手の挿入を可能となし、また、上記正圧空気供給部はフットスイッチのOFF操作でノズル口への正圧空気を止めると、手袋の収縮力で手に装着されて手袋保持手段の保持片から手首輪部の係止が外され、手袋を手袋装着部から離脱することを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項7】
              上記請求項6記載の手袋装着装置において、上記手袋装着部に着脱可能に備える手袋供給ユニットは、手袋を一枚ずつ分離可能に収納箱内に積層されており、手に手袋が装着離脱される毎に、手袋全体が浮上するとともに最上段の手袋が手袋装着部に浮上供給して保持される状態となることを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項8】
              上記請求項6記載の手袋装着装置において、手袋供給ユニットは、手袋装着位置の手袋装着部に対して引出し式として着脱可能としたことを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項9】
              上記請求項7記載の手袋装着装置において、上記手袋供給ユニットは、手袋を一枚ずつ分離可能に収納箱内に積層され、常時収納箱内の底部の浮上部材により手袋を積層した底板を浮上させる構成としたことを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項10】
              上記請求項9記載の手袋装着装置において、上記浮上部材は、上記正圧空気供給部からの正圧空気又はバネで底板を浮上させることを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項11】
              上記請求項1と6記載の手袋装着装置において、ノズル口の空気吐出口は、手袋と接しない側が突出し手袋と接する側が凹んだ略楕円形状としたことを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項12】
              上記請求項6記載の手袋装着装置において、上記手袋保持片が手袋の手首輪部を係止する力は、バネ力又は正圧空気供給部からの正圧空気によることを特徴とする手袋装着装置。
        
        【請求項13】
            上記ノズルの空気吐出口は、手袋と接しない側が突出し手袋と接する側が凹んだ略楕円形状としたことを特徴とする請求項1と6記載の手袋装着装置。
        
        【請求項14】
              上記手袋保持部に供給保持される手袋は、該手袋の手首輪部の表面側がノズルの挿入を導く凹縁に形成されていることを特徴とする請求項1と6記載の手袋装着装置。
        
    【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、例えば、病院の手術用手袋や給食時の衛生手袋に係る手袋装着装置であり、特に、コンパクトな構成で手袋の装着性を向上させ、取扱を容易に改善した新規な手袋装着装置に関する。
 
【背景技術】
【0002】
  近年、例えば、病院の手術用手袋や給食時の衛生手袋に係る手袋装着装置が多数提案されている。即ち、その多くは、吸引室内の負圧空気又は手袋内への正圧空気により膨張させた手袋内に手を挿入して装着する手袋装着装置である。
【0003】
  公知例では、手術に際し医師等が着用する医療用ゴム手袋等を、他人の手を借りることなく容易かつ迅速に装着することができ、しかもピンホールなどの損傷を使用前にチェックすることのできるゴム手袋自動装着装置である
  具体的には、内部に吸引室12を有する装置本体10と、前記吸引室12内の空気を吸引する吸引手段20と、前記吸引室12と前記装置本体10の外部とを連通するとともに、被装着物であるゴム手袋1の表面を前記吸引室12側に、同じく裏面を外気に触れる状態で、かつ当該ゴム手袋1によって吸引室12と外気とを仕切るようにして当該ゴム手袋1の基端部を支持するゴム手袋支持手段30,31と、前記吸引室12内を外気に開放する手段24と、を備えたものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
  次の文献も、ゴム手袋の着脱時におけるゴム手袋手首部の煩雑な折り返し装着が不要なゴム手袋着脱装置である。減圧室を構成する筒状体と、この筒状体の一端側の内側に、手の挿入孔を形成すべくリング状に設けられていて、前記筒状体の中心方向に向かって伸縮可能なゴム膜を有するリング状の膨張体と、ゴム手袋の手首部が装着され、前記手の挿入孔に対してゴム手袋の指先側から進退可能な円筒状または円柱状の手袋装着体と、前記膨張体に圧縮空気を送り込んで膨張体を膨張させるための圧縮空気流入口と、前記膨張体のゴム膜に、周方向に設けられていて、ゴム手袋の手首部を吸着するための吸着口と、この吸着口に連通していて該吸着口から空気を吸引する吸引口と、前記減圧室の空気を吸引して減圧する減圧口と、を備えていることを特徴とするゴム手袋着脱装置である(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−285083号公報
【特許文献2】特開2015−42207号公報
 
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
  上記特許文献1の手袋装着装置は、負圧空気により手袋を膨張させるものであるから、減圧室を構成する筒状体は、その体積が大きくなり、手袋を膨張させるのに多くの時間を要するから、短い時間での手袋の装着が出来ない。
  また、上記特許文献2のゴム手袋着脱装置は、負圧空気により手袋を膨張させるものである欠点を有する他、ゴム手袋の手首部と減圧室との関係構成が煩雑となる他、正常に機能するための微調節が必須となるから、常に安定した作用が得られないと言う大きな問題がある。
【0007】
  本発明は、上記手袋装着装置及びゴム手袋着脱装置における問題点に鑑みてなされた。その目的は、特に、コンパクトな筐体において、フットスイッチのON操作でノズルが手袋の手首輪部内に挿入されるとともに該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出して膨張させ、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退するとともに該ノズルへの正圧空気絶って手袋装着を完了させて取扱い易く、病院の手術前の手袋装着や料理店や給食施設での衛生用手袋の装着も簡便であり、安価な手袋装着装置を提供すること。
  更に、筐体の前面を上向きにすれば手袋が垂れ下がる形態となり手に対する装着が簡便であること。
  更に、ノズルが手袋の手首輪部内への挿入ミスを皆無とすること。新しい手袋が自動供給される等々。
 
【課題を解決するための手段】
【0008】
  上記目的を達成すべく、本発明の第1実施態様の手袋装着装置は、吸引室内の手袋装着位置に備える手袋内に正圧空気を供給して手袋を膨張させ該手袋内に手を挿入して自動装着する手袋装着装置において、
  上記手袋装着装置の筐体の前面に手袋の手首輪部と係合する一つ又は一対の手袋保持部を備え、上記筐体適所又は他の適所に備えた正圧空気供給部からの正圧空気を上記手首輪部内に供給するノズルを備え、上記正圧空気供給部及びノズルはフットスイッチのON操作でノズルが手首輪部内に前進挿入されるとともに該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出させ、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退するとともに該ノズルへの正圧空気を止める制御部を備えて成ることを特徴とする。
【0009】
  上記正圧空気供給部は、フットスイッチのON操作で、ノズルが手首輪部内に前進挿入して該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出させるとともに、筐体内に吸引口を設けて筐体内の空気を負圧化することを特徴とする。
【0010】
  上記手袋保持部は、上記手袋の手首輪部の外周凹部と係合する引掛輪と、上記手首輪部の外周凸部を保持する押輪からなることを特徴とする。
【0011】
  上記ノズルは、回転駆動部材の旋回アームの先端に取付けられ、フットスイッチのON操作で該ノズルが手首輪部内に旋回挿入し、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から旋回後退することを特徴とする。
【0012】
  上記ノズルは、進退駆動部材の進退棒の先端に取付けられ、フットスイッチのON操作で該ノズルが手首輪部内に前進挿入し、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退動することを特徴とする。
【0013】
  本発明の第2実施態様の手袋装着装置は、吸引室内の手袋装着位置に備える手袋内に正圧空気を供給して手袋を膨張させ該手袋内に手を挿入して自動装着する手袋装着装置において、
  上記手袋装着装置の筐体内の前面となる手袋装着位置に手袋装着部を備え、上記筐体内の手袋装着部には、多数枚の手袋を積層貯留するとともに最上部の手袋のみを手袋装着部に供給する手袋供給ユニットを着脱可能に備え、上記手袋供給ユニットの最上段の手袋の手首輪部を係止する一つ又は一対の手袋保持手段を備え、上記手袋保持手段には手袋保持片で手首輪部の長辺側を係止するとともに手首輪部内に正圧空気供給部からの正圧空気を吹込むノズル口を備え、上記正圧空気供給部はフットスイッチのON操作でノズル口から手首輪部内に正圧空気吹き込むとともに手袋保持手段の手袋保持片で長辺側手首輪部を係止して手袋を膨張して手の挿入を可能となし、また、上記正圧空気供給部はフットスイッチのOFF操作でノズル口への正圧空気を止めると、手袋の収縮力で手に装着されて手袋保持手段の保持片から手首輪部の係止が外され、手袋を手袋装着部から離脱することを特徴とする。
【0014】
  上記手袋装着部に着脱可能に備える手袋供給ユニットは、手袋を一枚ずつ分離可能に収納箱内に積層されており、手に手袋が装着離脱される毎に、手袋全体が浮上するとともに最上段の手袋が手袋装着部に浮上供給して保持される状態となることを特徴とする。
【0015】
  上記手袋装着装置において、手袋供給ユニットは、手袋装着位置の手袋装着部に対して引出し式として着脱可能としたことを特徴とする。
【0016】
  上記手袋装着装置において、上記手袋供給ユニットは、手袋を一枚ずつ分離可能に収納箱内に積層され、常時収納箱内の底部の浮上部材により手袋を積層した底板を浮上させる構成としたことを特徴とする。
【0017】
  上記手袋装着装置において、上記浮上部材は、上記正圧空気供給部からの正圧空気又はバネで底板を浮上させることを特徴とする。
【0018】
  上記手袋装着装置において、ノズル口の空気吐出口は、手袋と接しない側が突出し手袋と接する側が凹んだ略楕円形状としたことを特徴とする。
【0019】
  上記手袋装着装置において、上記手袋保持片が手袋の手首輪部を係止する力は、バネ力又は正圧空気供給部からの正圧空気によることを特徴とする。
【0020】
  上記ノズルの空気吐出口は、手袋と接しない側が突出し手袋と接する側が凹んだ略楕円形状としたことを特徴とする。
【0021】
  上記手袋保持部に供給保持される手袋は、該手袋の手首輪部の表面側がノズルの挿入を導く凹縁に形成されていることを特徴とする。
 
【発明の効果】
【0022】
  本発明の第1実施態様の手袋装着装置によると、特に、手袋装着装置の筐体の前面に手袋の手首輪部と係合する一つ又は一対の手袋保持部を備え、上記筐体適所又は他の適所に備えた正圧空気供給部からの正圧空気を上記手首輪部内に供給するノズルを備え、上記正圧空気供給部及びノズルはフットスイッチのON操作でノズルが手首輪部内に前進挿入されるとともに該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出させ、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退するとともに該ノズルへの正圧空気を止める制御部を備えて成るから、コンパクトに構成されて扱い易く、製造コストも安い。
  更に、筐体の前面を上向きにすれば手袋が垂れ下がる形態となり手に対する装着が簡便になる。また、フットスイッチの操作だけで、手袋の装着が簡便に行えるから、病院の手術前の手袋装着や料理店や給食施設での衛生用手袋の装着も簡便に行える効果がある。
【0023】
  更に、正圧空気供給部は、フットスイッチのON操作で、ノズルが手首輪部内に前進挿入して該ノズルから正圧空気を手袋内に噴出させるとともに、筐体内に吸引口を設けて筐体内の空気を負圧化するから、効率良く手袋を膨らませられる。
【0024】
  上記手袋保持部は、上記手袋の手首輪部の外周凹部と係合する引掛輪と、上記手首輪部の外周凸部を保持する押輪からなるから、確実に手袋の手首輪部を把持できる。
【0025】
  上記ノズルは、回転駆動部材の旋回アーム又は進退駆動部材の進退棒の先端に取付けられていて、フットスイッチのON操作で該ノズルが手首輪部内に旋回挿入又は前進挿入して簡単確実に接合実行できる。また、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から簡便にして確実に後退離脱できる。更に、上記ノズルの空気吐出口は、手袋と接しない側が突出し手袋と接する側を凹んだ略楕円形状とし、手袋の手首輪部の表面側がノズルの挿入を導く凹縁に形成したから、ノズルが手首輪部内への挿入ミスが皆無となる。
【0026】
  本発明の第2実施態様の手袋装着装置によると、第1実施態様の手袋装着装置と同様の効果が得られる他、手袋装着装置において、手袋供給ユニットは、手袋装着位置の手袋装着部に対して引出し式として着脱可能としたから、手袋装着装置への手袋供給ユニットの補給が簡便に行えるばかりか、手袋供給ユニットが単独の商品市場に流通できる。
 
 
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】  本発明の第1の実施の形態を示し、手袋装着装置の横置き状態の全体断面図である。
 
【
図2】  本発明の第1の実施の形態を示し、手袋装着装置の正面図である。
 
【
図3】  本発明の第1の実施の形態を示し、手袋装着装置の縦置き状態の全体構成図である。
 
【
図4】  本発明の第1の実施の形態を示し、手袋とノズルの関係構成図である。
 
【
図6】  本発明の第2実施の形態を示し、手袋装着装置の横置き状態の全体断面図である。
 
【
図7】  本発明の第2実施の形態を示し、手袋装着装置の正面図である。
 
【
図8】  本発明の第2実施の形態を示し、手袋供給ユニットの作用断面図である。
 
【
図9】  本発明の第3実施の形態を示し、手袋供給ユニットの作用断面図である。
 
 
【発明を実施するための形態】
【0028】
  以下、
図1〜
図9を参照して本発明の手袋装着装置の第1及び第2実施形態を説明する。
図1と
図3は手袋装着装置の全体構成図、
図2は手袋装着装置の正面図である。
 
【0029】
  本発明の第1実施の形態の手袋装着装置100は、
図1〜
図3に示すように、吸引室11内の負圧空気−E又は手袋H内への正圧空気+Eにより膨張させた手袋内に手(図示なし)を挿入して装着するものである。
上記手袋装着装置100の筐体11の前面12に手袋Hの手首輪部h1において、
図4に示すように丸ゴム輪h2と係合する一つ又は一対の手袋保持部20を備え、上記筐体適所又は他の適所に備えた正圧空気供給部30からの正圧空気+Eを上記手首輪部h1内に供給するノズルNを備えている。上記正圧空気供給部30及びノズルNはフットスイッチ40のON操作でノズルが手首輪部h1内に前進挿入するとともに該ノズルから正圧空気が手袋H内に噴出され、フットスイッチ40のOFF操作でノズルが手首輪部内から後退するとともに該ノズルへの正圧空気+Eを止める制御部50を備えている。
 
【0030】
  上記正圧空気供給部30は、更に、フットスイッチ40のON操作で、ノズルNが手首輪部h1内に前進挿入して該ノズルから+E正圧空気を手袋H内に噴出させる他、筐体11内に吸引口を設けて筐体内の空気を負圧化する機能を持っている。上記ノズルNの進退構成の第1実施例は、ノズルNが回転駆動部材60の旋回アーム(管材)Aの先端A1に取付けられおり、フットスイッチ40のON操作で該ノズルNが手首輪部h1内に旋回挿入し、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から旋回後退する構成となっている。
 
【0031】
  上記ノズルNの進退構成の第2実施例は、進退駆動部材70の進退棒(管材)Bの先端B1に取付けられていて、フットスイッチのON操作で該ノズルが手首輪部h1内に前進挿入し、フットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部h1内から後退動する構成となっている。
図4に示すように、上記ノズルNの空気吐出口n1は、手袋Hと接しない側n2が突出し、手袋と接する側n3が凹んだ略楕円形状に形成されている。この構成によりノズルNの空気吐出口n1が手袋Hの手首輪部h1内に円滑に挿入できる。即ち、僅かに開口した手首輪部h1から内部に空気吐出口n1が滑り込み易くなる。
 
【0032】
  上記手袋保持部20は、手袋Hの手首輪部h1の丸ゴム輪h2と係合する為のもので、筐体11の前面12に一対を成している。その構成は、
図5(a)に示すように、手袋の手首輪部h1の外周凹部h2と係合する引掛輪21とからなる。尚、ゴム手袋であるから、丸ゴム輪h2をゴム拡張させて引掛輪21と係合させられる。
 
【0033】
  また、上記手袋保持部20に供給保持される手袋Hは、
図5(b)に示すように、該手袋の手首輪部h1の丸ゴム輪h2がノズルNの挿入を導く凹縁Cに形成され、ノズルNの挿入を円滑にしている。更に、上記手袋は、一枚ずつ分離可能に手袋供給ユニットのカセットケース(収納箱)K内に積層されている。そして、カセットケースKは、上記手袋保持部20にセットされた状態で、表面の手袋が手袋保持部に浮上されて供給保持され、手に装着される毎に、次の手袋が手袋保持部に浮上供給保持される構成となっている。
 
【0034】
  本発明の手袋装着装置100は、上記のように、構成されており、以下のように手袋の装着作用が行われる。先ず、
図3〜
図5に示すように、手袋装着装置100における基本的な作用から説明する。
  手袋装着装置100は
図3の如く、筐体11の前面12を上向きとした縦置きとする。この前面12には、一対の手袋保持部20を備えており、カセットケースK内に積層されている最上段の手袋Hの手首輪部h1の丸ゴム輪h2を手に持ち、垂れ下がる手袋の先端から手袋保持部20の穴20Aから手袋Hを挿入する。これで、手袋の手首輪部h1の丸ゴム輪の外周凹部h3が手袋保持部20の引掛輪21にゴムの縮み力で係合して固着する。
 
【0035】
  続いて、フットスイッチのON操作で制御部50が正圧空気供給部30を起動するとともに、回転駆動部材60の旋回アームA又は進退駆動部材70の進退棒Bの先端に取付けられたノズルNが手首輪部h1内に旋回挿入されるとともに該ノズルから正圧空気+Eを手袋内に噴出させる。これで、手袋は膨張して手の挿入を容易になるから手を挿入する。次に、フットスイッチのOFF操作で該ノズルへの正圧空気を止めると、ノズルが手首輪部h1内から後退し、手袋が手への装着作用を終了する。
  尚、上記空気供給部30において、フットスイッチのON操作で、ノズルNが手首輪部内に前進挿入して該ノズルから正圧空気+Eを手袋内に噴出させるとともに、筐体内に吸引口11Aを設けて筐体内の空気を負圧化−Eとすれば、更に効率良く手袋を膨らませられる。
 
【0036】
  以上のように、手袋装着装置100の前面を上向きにすれば手袋が垂れ下がる形態となり手に対する装着が簡便になる。また、フットスイッチの操作だけで、手袋の装着が簡便に行えるから、病院の手術前の手袋装着や料理店や給食施設での衛生用手袋の装着も簡便に行える効果がある。上記手袋保持部は、上記手袋の手首輪部の外周凹部と係合する引掛輪と、上記手首輪部の外周凸部を保持する押輪からなるから、確実に手袋の手首輪部を把持できる。勿論、手袋装着装置100は、
図1のように横置き形態での使用も可能である。
 
【0037】
  更に、上記ノズルNは、回転駆動部材60の旋回アームA又は進退駆動部材70の進退棒Bの先端に取付けられ、フットスイッチのON操作で該ノズルNが手首輪部h1内に旋回挿入又は前進挿入し、簡単確実に接合実行できる。また、フットスイッチ40のOFF操作でノズルが手首輪部内から確実に後退離脱できる。更に、上記ノズルの空気吐出口n1は、手袋と接しない側n2が突出し手袋と接する側n3を凹んだ略楕円形状とし、手袋の手首輪部の表面側がノズルの挿入を導く凹形状Cに形成したから、ノズルが手首輪部内への挿入ミスが皆無となる。
 
【0038】
  次に、
図5(b)により、手袋が一枚ずつ分離可能にカセットケースK内に積層された形態の作用を説明する。上記カセットケースKは、上記手袋保持部20にセットされた状態で、表面の手袋が手袋保持部20に浮上されて供給保持され、手作業により、手に装着される毎に、次の手袋が手袋保持部20に浮上供給保持される作用となる。その詳細構成は省略するが、公知手段として知られている手袋を1枚・1枚寸動送りする構造が適用される。
 
【0039】
  続いて、
図6〜
図9により、本発明の2実施の形態となる手袋装着装置200を説明する。この手袋装着装置200は、手袋Hを手袋供給部21の手袋供給ユニットHUから1枚ずつ分離可能に自動供給できるようにしたものである。
  即ち、上記手袋装着装置200の筐体11の前面に手袋Hの手首輪部h1と係合する一対の手袋供給部21,22を備え、上記筐体適所又は他の適所に備えた正圧空気供給部30からの正圧空気+Eを上記手首輪部内に供給する各々一対のノズルNを左右に備える駆動ニットDを備える。上記駆動ニットDは、正圧空気供給部30及びノズルNに対してはフットスイッチのON操作でノズルが2点鎖線から実線の様に手首輪部内に旋回挿入させて手首輪部h1を把持するとともに該ノズルから正圧空気+Eを手袋内に噴出し、手袋を
図7の2点鎖線のように膨張させる。即ち、ノズルNの先端が手袋保持片となり、手首輪部h1を係止する力となる。この力は、正圧空気供給部からの正圧空気+E、又は自己のバネ力による。そして、上記駆動ニットDはフットスイッチのOFF操作でノズルが手首輪部内から後退させるとともに該ノズルへの正圧空気を止める制御部50を備えて成る。
 
【0040】
  上記手袋供給部21,22には、各々の手袋供給ユニットHUを受け入れる引出式の受口枠80,90を備える。該手袋供給ユニットHU内には、手袋Hを一枚ずつ分離可能に積層され、最上段の表面手袋Hが手袋供給部21,22に供給保持されるとともに手に装着離脱される毎に、次の手袋が最上段に浮上供給して保持されている。
  更に、上記手袋供給部21,22は、手袋を一枚ずつ分離可能に手袋供給ユニットHU内に積層され、常時底部の浮上部材により、浮上されている。その構成は、
図8においては、バネSにより底板23を浮上させる構成とし、
図9においては、上記空気供給部30からの正圧空気+Eは、引出式の受口枠80,90の通孔hから手袋供給ユニットHUの底板23に明けた通孔hを介して浮上させる構成としている。
  尚、上記各ノズルNの空気吐出口は、手袋装着装置100と同様に、手袋Hと接しない側が突出し手袋と接する側が凹んだ略楕円形状としている。
 
【0041】
  本発明の第2実施態様の手袋装着装置200によると、第1実施態様の手袋装着装置100と同様の作用と効果が得られる他、手袋供給ユニットHUは、手袋装着位置となる手袋供給部21,22に対して引出し式として実線及び破線で図示するように着脱可能としたから、手袋装着装置200への手袋供給ユニットHUの補給と交換が簡便に行えるばかりか、手袋供給ユニットが単独の商品としても市場に流通できる。
 
 
【産業上の利用可能性】
【0042】
  本発明の手袋装着装置100,200は、その対象物を病院の手術用手袋や給食時の衛生手袋に係る手袋に限定して説明したが、この機能は病院の手術用手袋や歯科医の処置用手袋や給食時の衛生手袋に限定されず、回転寿司の職人や大量生産されるお弁当製造工場の従業員にも適用可能である。更に、手袋装着装置100,200の細部の構成は、発明要旨を変更しない範囲内での設計変更が可能である。
 
【符号の説明】
【0043】
1          吸引室
10        手
11A      吸引口
12        筐体
A          旋回アーム
A1        先端
D          駆動ニット
K          カセットケース
H          手袋
h1        手首輪部
h2        丸ゴム輪
−E        負圧空気
+E        正圧空気
H          手袋
h          通孔
HU        手袋供給ユニット
N          ノズル
n1        空気吐出口
n2        手袋と接しない側
n3        手袋と接する側
20        手袋保持部
21,22  手袋供給部
23        底板
30        正圧空気供給部
40        フットスイッチ
50        制御部
60        回転駆動部材
70        進退駆動部材
80,90  引出式の受口枠
B          進退棒
B1        先端
C          凹形状
S          バネ
100      手袋装着装置
200      手袋装着装置