【解決手段】本発明の一態様に係る二酸化炭素濃度制御装置は、空気中に含まれる二酸化炭素を吸収することで、空気の二酸化炭素濃度を制御する二酸化炭素濃度制御装置であって、二酸化炭素を吸収する二酸化炭素吸収材と、二酸化炭素を吸収した上記二酸化炭素吸収材を、再度二酸化炭素が吸収できるように電磁波を用いて再生するための電磁波利用手段と、を備えている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0015】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波利用手段が、
上記二酸化炭素吸収材を加熱するための電磁波を発生させる電磁波発生部と、
上記電磁波発生部から照射される電磁波を吸収して発熱し、発生した熱を上記二酸化炭素吸収材に伝えて上記二酸化炭素吸収材を加熱する電磁波吸収部と、を有していてもよい。
【0016】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波吸収部が上記二酸化炭素吸収材と一体化されていてもよい。
【0017】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波吸収部がカーボンナノチューブを含んでいてもよい。
【0018】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波利用手段が、
上記二酸化炭素吸収材と、電磁波が照射されることにより破損する電磁波非対応部とを着脱する着脱手段と、
取り外された上記二酸化炭素吸収材を使用者が直接触れることなく持ち運ぶための隔離携帯手段と、を有していてもよい。
【0019】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波利用手段が、電磁波を発生する電磁波発生装置から照射される電磁波を吸収して発熱し、発生した熱を分離された上記二酸化炭素吸収材に伝えて上記二酸化炭素吸収材を加熱する電磁波吸収部を有していてもよい。
【0020】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波吸収部が上記二酸化炭素吸収材と一体化されていてもよい。
【0021】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記電磁波吸収部がカーボンナノチューブを含んでいてもよい。
【0022】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記分離手段が、工具を用いることなく上記二酸化炭素吸収材と上記電磁波非対応部とを分離できる手段であってもよい。
【0023】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記隔離携帯手段が、上記二酸化炭素吸収材を内包した状態で携帯可能な携帯容器であってもよい。
【0024】
本発明の二酸化炭素濃度制御装置において、
上記携帯容器の外周部が電磁波を透過する断熱材で構成されていてもよい。
【0025】
本発明の二酸化炭素吸収材において、
上記電磁波吸収部がカーボンナノチューブを含んでいてもよい。
【0026】
〔実施形態1〕
以下、
図1及び
図2に基づき、本発明を具体化した第1実施の形態について説明する。
【0027】
<要部構成>
図1は、二酸化炭素濃度制御装置100の要部構成を示すブロック図である。なお、図中の矢印は、空気の流れを示している。二酸化炭素濃度制御装置100は、室内の一部又は全ての空気(以下、単に空気と称する)に含まれる二酸化炭素の濃度(二酸化炭素濃度)を制御するものである。二酸化炭素濃度制御装置100は、空気を取り込み、当該空気中の二酸化炭素を除去(吸収)する。そして、二酸化炭素を除去した後の空気を自装置外へと排出する。
【0028】
なお、二酸化炭素濃度制御装置100は、例えばファンのような空気を取り込む機構を備えていることが望ましい。二酸化炭素濃度制御装置100は、ファン等を備えることにより、後述する二酸化炭素吸収材162に、より速くかつ効率的に空気を送り込むことができる。また、二酸化炭素吸収材162が二酸化炭素を吸収した後の空気を、より速くかつ効率的に二酸化炭素濃度制御装置100の外へと排出することができる。つまり、空間内の空気をより効率的に循環させることができる。これにより、二酸化炭素濃度制御装置100は、空間の二酸化炭素濃度をより細やかに制御することが可能となる。
【0029】
本実施形態において室内とは二酸化炭素濃度制御装置100により、二酸化炭素濃度を制御される対象の空間であり、空気が存在し、所定の密閉が可能な生物が活動する空間である。一例としては、室内とは住宅の居住空間、学習塾における学習スペース、工場又はオフィスとの職場空間、ならびに車、鉄道、飛行機、船舶等の輸送機関内の空間を示す。なお、「所定の密閉が可能な空間」とは、自発的に密閉性を高めること(窓又はドアを閉める、換気扇の動作を抑制するファン等の部屋を与圧にさせる装置を動作させる等)ができる空間や高気密構造の住宅のように比較的密閉性が高い空間を示す。
【0030】
(二酸化炭素濃度制御装置100の詳細)
二酸化炭素濃度制御装置100は、筐体110、制御部120、二酸化炭素濃度検出部130、空気取り込み部140、流路150、吸気弁170、二酸化炭素吸収部160、排気弁180、電磁波発生部190、電磁波吸収部163からなる。
【0031】
筐体110は、制御部120、二酸化炭素濃度検出部130、空気取り込み部140、流路150、吸気弁170、二酸化炭素吸収部160、排気弁180、電磁波発生部190、電磁波吸収部163を、内包及び/又は装着することで二酸化炭素濃度制御装置100を形成するための部品であって、樹脂、金属、ガラス、又は上記材料が組み合わせされた物などからなる。
【0032】
二酸化炭素濃度検出部130は、二酸化炭素濃度制御装置100に取り込まれた空気(二酸化炭素吸収を行う前の空気)に含まれる二酸化炭素濃度を所定の時間間隔で検出し、状態決定部121へと送信するものである。検出方法は特に限定しないが、例えば半導体式、電気化学式、および赤外線吸収式等が挙げられる。
【0033】
半導体式で二酸化炭素濃度を検出する場合、半導体としてSnO
2、ZnO等のn型半導体を用いることができる。なかでも、SnO
2にLa(ランタン)を添加した半導体は二酸化炭素の選択性に優れている。このため、本発明において半導体式で二酸化炭素濃度を検出する場合は、SnO
2にLaを添加した半導体を用いることがより望ましい。また、電気化学式で二酸化炭素濃度を検出する場合は、固体電解質の伝導イオンの種類として、ナトリウムイオン伝導体等を用いればよい。
【0034】
以上の検出方法において、半導体式は、コストが安いことに加え、環境条件により二酸化炭素の検出精度が左右されにくく、よって過酷な環境下でも二酸化炭素濃度が検出可能であるという利点がある。また、電気化学式および赤外線吸収式は、二酸化炭素の検出感度が高く二酸化炭素の選択性に優れているという利点がある。
【0035】
空気取り込み部140は、
図1にあるように二酸化炭素濃度制御装置100の外部より、空気を取り込み、取り込んだ二酸化炭素濃度が高い空気を流路150、吸気弁170を通して、二酸化炭素吸収部160のケース161に内包されている二酸化炭素吸収材162に送る。二酸化炭素吸収材162により、二酸化炭素が吸収された二酸化炭素濃度が低い空気は、排気弁180を通して排出される。
空気取り込み部140の空気の取り込み方法は特に限定しないが、例えばファンやブロア等、送風できる物であればよい。
【0036】
流路150は、
図1にあるように空気取り込み部140と吸気弁170を接続し、二酸化炭素濃度制御装置100の外部より、空気取り込み部140が取り込んだ空気を通過させて吸気弁170に導入するものである。流路150の形状や大きさや材質は特に限定しないが、塩化ビニールやアクリル樹脂からなるパイプ等であればよい。
【0037】
吸気弁170は、流路150と二酸化炭素吸収部160を接続するものである。吸気弁170が開放状態にある時は、流路150から導入される空気が二酸化炭素吸収部160に内封されている二酸化炭素吸収材162に接触しながら二酸化炭素吸収部160を通過できる。一方、吸気弁170が閉鎖状態にある時は二酸化炭素吸収部160の内部空間と流路150方向に対して閉鎖され、空気の流通ができなくなる。
吸気弁170の方式や形状、材質は特に限定されるものではなく、様々な方式の電磁弁等の自在に流路150と二酸化炭素吸収部160の内部空間との間を開放/閉鎖できる物であればよい。
【0038】
二酸化炭素吸収部160は、二酸化炭素吸収材162と、二酸化炭素吸収材162を内包するケース161と、電磁波吸収部163を有してなる。ケース161は、吸気弁170と排気弁180以外から外部の空気が侵入できない材質と構造になっている。ケース161は、吸気弁170と排気弁180が開放状態になったとしても内包する二酸化炭素吸収材162や電磁波吸収部163が外部に零れ落ちないように、フィルタやスリット等により開口の大きさが二酸化炭素吸収材162や電磁波吸収部163より小さくなっている。
【0039】
ケース161の材料は、電磁波発生部190で発生した電磁波が電磁波吸収部163に届くよう電磁波を透過できる材料であり、且つ電磁波吸収部163で発生した熱によるケース内の温度上昇に耐えうるものであればよい。ケース161の材料は、二酸化炭素吸収部160の外部温度を過度に上昇させないものが好ましい。ケース161の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、SiO
2(石英ガラス)やセラミック等であってもよい。
【0040】
二酸化炭素吸収材162は、空気中の二酸化炭素を吸収するものである。二酸化炭素吸収材162は、設置可能な量で対象となる空間の二酸化炭素濃度を制御可能な二酸化炭素の吸収速度を有し、二酸化炭素吸収後、加熱により再度二酸化炭素を吸収できる再生が可能なものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、Li
2ZrO
3、LiFeO
2、LiNiO
2、Li
2TiO
3、Li
2SiO
3、Li
4SiO
4等リチウム系複合酸化物や、ナトリウムフェライト等であればよい。特に、水溶性を示す4価のリチウムシリケートと炭酸カリウムからなる二酸化炭素吸収材は、通常の室内環境において二酸化炭素吸収速度が非常に早く、好適である。また、二酸化炭素吸収材162の形状は、二酸化炭素濃度制御を行う空気がスムーズに流通でき、ケース161内に内包できる形状であればよく、ペレット状や、フィルタ形状に形成されていればよい。
【0041】
電磁波吸収部163は、電磁波発生部190が発信する電磁波を吸収して熱に変換し、二酸化炭素吸収材162を加熱するものである。電磁波吸収部163は、当該吸収部によって加熱される二酸化炭素吸収材162の再生が可能となる温度(4価のリチウムシリケートの場合約300℃以上)に達することができる程度に電磁波、特にマイクロ波を吸収でき、加熱時の温度に耐えうるものであればよく、カーボンマイクロコイルやカーボンナノチューブ、またはこれらの材料が含有された特殊セラミック等であればよい。
【0042】
電磁波吸収部163の形状は特に限定されるものではなく、二酸化炭素吸収材162に伝熱できるよう、ケース161に二酸化炭素吸収材162と共に内包できる形状であればよい。電磁波吸収部163は、例えば、ペレット状の二酸化炭素吸収材162の中心に入るような棒状のものや、ケース161の内壁として設けられていてもよいし、二酸化炭素吸収材162の中に含有(埋設)されていてもよい。特に、電磁波吸収部163が二酸化炭素吸収材162自体の中(例えばペレットの一粒ずつの中に)に含有されていれば、電磁波を吸収したことで発生した熱を他の物質に伝熱することなく、二酸化炭素吸収材162に伝熱することができるため、再生のためのエネルギーが低減でき効率的である。
【0043】
更に、電磁波吸収部163としてカーボンナノチューブを二酸化炭素吸収材162に含有させると、二酸化炭素吸収材162が効率的に二酸化炭素を吸収するために必要な空隙を効率的に作り出せると共に、カーボンナノチューブ自体も二酸化炭素を吸着できるため、二酸化炭素濃度制御装置100の二酸化炭素吸収特性(吸収速度と最大吸収量)が向上するので好適である。
【0044】
排気弁180は、二酸化炭素吸収部160の内部空間を、二酸化炭素濃度制御装置100外の空間(室内)に対して開放又は閉鎖するものである。排気弁180が開放状態にある時は、二酸化炭素吸収部160から流入する空気は、二酸化炭素濃度制御装置100外に放出される。一方、排気弁180が閉鎖状態にある時は二酸化炭素吸収部160の内部空間が、二酸化炭素濃度制御装置100外の空間(室内)方向に対して閉鎖され、空気の流通ができなくなる。
排気弁180の方式や形状、材質は特に限定されるものではなく、様々な方式の電磁弁等の自在に二酸化炭素濃度制御装置100外の空間(室内)と二酸化炭素吸収部160の内部空間との間を開放/閉鎖できる物であればよい。
【0045】
電磁波発生部190は、電磁波吸収部163が吸収する電磁波を発信するものである。発信する電磁波の種類は特に限定されるものではなく、発信強度も二酸化炭素吸収材162が再生できる程度に強ければよい。しかしながら、マイクロ波を発信するものであれば、電子レンジ等の一般家庭に普及している部品が転用できるためコスト点で好適である。
【0046】
電磁波発生部190の形状は特に限定されるものではなく、その他の部材と共に筐体110に内包及び/又は装着できればよい。
【0047】
制御部120は、二酸化炭素濃度制御装置100を統括的に制御するものである。
制御部120は、状態決定部121と状態制御部122とを含む。なお、制御部120は、二酸化炭素濃度検出部130に所定の時間間隔で、二酸化炭素濃度の検出を指示してもよい。
【0048】
状態決定部121は、二酸化炭素濃度が設定値(閾値)以下か否かに応じて、空気取り込み部140と吸気弁170と排気弁180の状態(開放又は閉鎖)を決定するものであると共に、装置稼働時間や二酸化炭素濃度が設定値(閾値)以上となる持続時間等から、二酸化炭素吸収材162の状態(二酸化炭素吸収最大量に対する二酸化炭素吸収量)から、二酸化炭素吸収材162の再生要否を判断し、電磁波発生部190の状態(電磁波発信/停止)を決定するものである。状態決定部121は、具体的には、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)、またはCPU(Central Processing Unit)を用いたソフトウエア等で実現すればよい。
【0049】
なお、ここで言う「設定値」とは、空間内の空気において、適切と考えられる二酸化炭素濃度の上限値である。一般的に、二酸化炭素濃度は、屋外の大気中でおよそ400ppm程度である。しかしながら、例えば換気制限可能な空間で換気を制限した場合、人間等の生物が活動する、すなわち呼吸すると、空気中の二酸化炭素濃度は増加する。空気中の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると人は眠気に誘われ、集中力が低下することが知られている。また、空気中の二酸化炭素濃度が1000ppm以上に増加すると、当該増加に従って健康への被害も大きくなることも知られている。以上のことから、設定値は、例えば、眠気に誘われ集中力が低下すると言われるレベルであり、建築物衛生法等の基準値として規定されている1000ppmなどを目安に少し安全率を持った例えば800ppmなどに設定すればよい。また、設定値は、商品出荷時に予め設定する値であっても、二酸化炭素濃度制御装置100のユーザが自由に設定および変更が可能な値であっても良い。
【0050】
状態制御部122は、状態決定部121で決定した情報を受け取ることができ、状態決定部121での決定をもとに、空気取り込み部140、吸気弁170、排気弁180、電磁波発生部190をどのような状態にするか制御するものである。状態制御部122は、具体的には、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)、またはCPU(Central Processing Unit)を用いたソフトウエア等で実現すればよい。
【0051】
(二酸化炭素濃度制御処理の流れ)
なお、当然ながら、二酸化炭素濃度制御装置100に設けられている制御部120、二酸化炭素濃度検出部130、空気取り込み部140、吸気弁170、排気弁180は、電磁波の影響を受けるため、図示しない電磁波シールド等が設けられており、電磁波の影響を受けないようになっている。
【0052】
次に二酸化炭素濃度制御装置100における処理の一例を説明する。
図2は、二酸化炭素濃度制御装置100の行う制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
二酸化炭素濃度制御装置100が起動される(装置の電源又は二酸化炭素濃度制御機能がONにされる)と、二酸化炭素濃度検出部130は、近傍の空気(実質的に装置近傍の室内空間の空気)の二酸化炭素濃度を検出する(S1)。制御部120が、二酸化炭素濃度検出部130に二酸化炭素濃度を検出するように指示を出してもよい。
【0054】
検出された二酸化炭素濃度を示す情報は制御部120の状態決定部121へ送信される。状態決定部121は、二酸化炭素濃度検出部130が検出した二酸化炭素濃度が、設定値1(例えば、800ppm)以下か否かを判定する(S2)。
【0055】
二酸化炭素濃度検出部130が検出した二酸化炭素濃度が設定値以下の場合(S2でYES)、状態決定部121は、空気取り込み部140を停止状態に、吸気弁170、排気弁180をそれぞれ閉鎖(閉)状態に、電磁波発生部190を停止状態にする(初期段階の場合は、左記の状態を維持する)ための信号を状態制御部122に送り各部を上記状態になるように制御する(S3)。その後、再びS1〜S3の処理が行われ、S2でNOとなるまで繰り返される。
【0056】
そして、S2でNOになると(二酸化炭素濃度が所定値(例えば800ppm)を超えると)、状態決定部121は、空気取り込み部140を作動状態に、吸気弁170、排気弁180をそれぞれ開放(開)状態に、電磁波発生部190を停止状態で維持するための信号を状態制御部122に送り各部を上記状態になるように制御する(S4)。
【0057】
次に、空気取り込み部140の累計動作時間が図示しないタイマーによりカウントされる(S5)。
【0058】
カウントされた空気取り込み部140の累計動作時間を示す情報は、制御部120の状態決定部121へ送信される。状態決定部121は、カウントされた空気取り込み部140の累計動作時間が、設定値2(例えば8時間等)以下か否かを判定する(S6)。
【0059】
なお、設定値2は、二酸化炭素吸収材162の材料や量によって変わるが、二酸化炭素吸収材162の処理能力の上限値近くの二酸化炭素を吸収する処理するために必要な時間に基づいて、適宜設定される値である。
【0060】
カウントされた空気取り込み部140の累計動作時間が設定値2以下の場合(S6でYES)再びS1の処理が行われ、S6でNOとなるまで上記ステップが繰り返される。すなわち、二酸化炭素濃度制御装置100が設定値2を超えた場合のみ二酸化炭素を二酸化炭素吸収材162から放出し、設定値2を超えない場合は放出を行わないこと(二酸化炭素吸収材162を室内空間から閉鎖すること)で無用な二酸化炭素を放出せず効率的に二酸化炭素濃度を制御されるので、長期間二酸化炭素濃度を制御できる。
【0061】
S6でNOとなる(空気取り込み部140の累計動作時間が所定時間(例えば8時間)を超えると)と、状態決定部121は、空気取り込み部140を停止状態に、吸気弁170、排気弁180をそれぞれ開放(開)状態に、電磁波発生部190を作動状態にするための信号を状態制御部122に送り各部を上記状態になるように制御する(S7)。
【0062】
続いて、電磁波発生時間が図示しないタイマーによりカウントされる(S8)。
【0063】
カウントされた電磁波発生部190の累計電磁波発生時間を示す情報は、制御部120の状態決定部121へ送信される。状態決定部121は、カウントされた電磁波発生部190の累計電磁波発生時間が、設定値3(例えば30分等)以上か否かを判定する(S9)。
【0064】
なお、設定値3は、二酸化炭素吸収材162の材料や量、更には電磁波発生部190の出力によって変わるが、二酸化炭素吸収材162が十分に再生されるために必要な二酸化炭素吸収材162への電磁波が照射される時間に基づいて、適宜設定される値である。
【0065】
カウントされた電磁波発生部190の累計電磁波発生時間が設定値3未満の場合(S9でNO)、再びS8の処理が行われ、S9でNOとなるまで上記ステップが繰り返される。すなわち、累計電磁波発生時間が設定値3以上となる場合のみ、すなわち二酸化炭素吸収材162が再生されるまで、電磁波が二酸化炭素吸収材162に照射される。つまり、電磁波特有の効率的な加熱によって、時間的にもエネルギー的にも効率的に二酸化炭素吸収材162を再生できる。そのため、例えば電気炉や直火等で二酸化炭素吸収材162の再生を行うより、外部に熱が逃げないため、周囲の温度が上がりにくく、より安全に再生を行うことができる。
【0066】
S9でYESとなる(電磁波発生部190の累計動作時間が所定時間(例えば30分)以上となる)と、状態決定部121は、空気取り込み部140を停止状態に、吸気弁170、排気弁180をそれぞれ閉鎖(閉)状態に、電磁波発生部190を停止状態にするための信号を状態制御部122に送り、各部を上記状態になるように制御する(S10)。
【0067】
続いて、電磁波発生停止時間が図示しないタイマーによりカウントされる(S11)。
【0068】
カウントされた電磁波発生部190の累計電磁波発生停止時間を示す情報は、制御部120の状態決定部121へ送信される。状態決定部121は、カウントされた電磁波発生部190の累計電磁波発生停止時間が、設定値4(例えば1時間等)以上か否かを判定する(S12)。
【0069】
なお、設定値4は、二酸化炭素吸収材162の材料や量によって変わるが、二酸化炭素吸収材162が十分に冷却されるために必要な時間に基づいて、適宜設定される値である。
【0070】
カウントされた電磁波発生部190の累計電磁波発生停止時間が設定値4未満の場合(S12でNO)、再びS11の処理が行われ、S12でYESとなるまで上記ステップが繰り返される。すなわち、二酸化炭素濃度制御装置100は累計電磁波発生停止時間が設定値4以上となる場合まで、すなわち二酸化炭素吸収材162が十分に冷却されるまで、電磁波発生部190が停止状態になる。
【0071】
S12でYESとなる(電磁波発生部190の累計電磁波発生停止時間が所定時間(例えば1時間)以上となる)と、再度S1が行われ、初期の状態に戻る。
【0072】
なお、S7〜S12までの期間については、二酸化炭素濃度制御装置100が再生状態にあることを使用者に注意喚起する表示がなされることが好ましい。二酸化炭素濃度制御装置100が再生状態にある場合には、使用者はその間のみ室内を換気したり、二酸化炭素濃度制御装置100を設置している場所から離れたり、室外に二酸化炭素濃度制御装置100を出したりする等の措置を行うことで、再生時であっても二酸化炭素濃度が高い空気にさらされることを避けることができる。
【0073】
この様に二酸化炭素濃度制御装置100は、効率的に二酸化炭素濃度が制御でき、安全かつ効率的に二酸化炭素吸収材162を再生でき、再度二酸化炭素濃度を制御できることから、長期間に渡って、安全に室内の二酸化炭素濃度を制御でき、ひいては二酸化炭素による人体への悪影響を防止できる。
【0074】
なお、二酸化炭素濃度制御装置100には、制御部120、二酸化炭素濃度検出部130、空気取り込み部140、流路150、吸気弁170、二酸化炭素吸収部160、排気弁180、電磁波発生部190、電磁波吸収部163が設けられているが、二酸化炭素濃度検出部130、空気取り込み部140、流路150、吸気弁170、排気弁180は必ずしも必要でなく、電磁波発生部190と、電磁波発生部190を制御する制御部120と、二酸化炭素吸収部160と、二酸化炭素吸収部160に内包されている二酸化炭素吸収材162を加熱する電磁波吸収部163があれば、効率は落ちるものの、同様の効果を奏することができる。
【0075】
また、実証試験として水溶性を示す4価のリチウムシリケートと炭酸カリウムからなる二酸化炭素吸収材に二酸化炭素を吸収させた後、電磁波吸収部に接触させた状態でマイクロ波を照射したところ、吸収材から二酸化炭素が排出され、従来の電気炉等で再生する場合に比較して、効率的かつ安全に再生できることが確認されている。
【0076】
〔実施形態2〕
以下、
図3〜
図6に基づき、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0077】
<要部構成>
図3は、本発明の第2の実施の形態である二酸化炭素濃度制御装置200の要部構成を示すブロック図であり、
図4の(A)は、二酸化炭素吸収材162再生の準備工程を示す図であり、
図4の(B)は、再生実施工程を示す図である。なお、図中の矢印は、空気の流れを、カーブ矢印は、構成部の着脱を示している。二酸化炭素濃度制御装置200は、室内の一部又は全ての空気(以下、単に空気と称する)に含まれる二酸化炭素の濃度(二酸化炭素濃度)を制御するものである。二酸化炭素濃度制御装置200は、空気を取り込み、当該空気中の二酸化炭素を除去(吸収)する。そして、二酸化炭素を除去した後の空気を自装置外へと排出する。
【0078】
なお、二酸化炭素濃度制御装置200は、例えばファンのような空気を取り込む機構を備えていることが望ましい。二酸化炭素濃度制御装置200は、ファン等を備えることにより、後述する二酸化炭素吸収材262に、より速くかつ効率的に空気を送り込むことができる。また、二酸化炭素吸収材262が二酸化炭素を吸収した後の空気を、より速くかつ効率的に二酸化炭素濃度制御装置200の外へと排出することができる。つまり、空間内の空気をより効率的に循環させることができる。これにより、二酸化炭素濃度制御装置200は、空間の二酸化炭素濃度をより細やかに制御することが可能となる。
【0079】
本実施形態において室内とは二酸化炭素濃度制御装置200により、二酸化炭素濃度を制御される対象の空間であり、空気が存在し、所定の密閉が可能な生物が活動する空間である。一例としては、室内とは住宅の居住空間、学習塾における学習スペース、工場又はオフィスとの職場空間、ならびに車、鉄道、飛行機、船舶等の輸送機関内の空間を示す。なお、「所定の密閉が可能な空間」とは、自発的に密閉性を高めること(窓又はドアを閉める、換気扇の動作を抑制するファン等の部屋を与圧にさせる装置を動作させる等)ができる空間や高気密構造の住宅のように比較的密閉性が高い空間を示す。
【0080】
(二酸化炭素濃度制御装置200の詳細)
二酸化炭素濃度制御装置200は、筐体210、制御部220、二酸化炭素濃度検出部230、空気取り込み部240、流路250、吸気弁270、二酸化炭素吸収部260、排気弁280からなる。制御部220、二酸化炭素濃度検出部230、空気取り込み部240、吸気弁270、排気弁280は、電磁波が照射されることにより破損する電磁波非対応部の一例である。
【0081】
筐体110は、制御部220、二酸化炭素濃度検出部230、空気取り込み部240、流路250、吸気弁270、二酸化炭素吸収部260、排気弁280を、内包及び/又は装着することで二酸化炭素濃度制御装置200を形成するための部品であって、樹脂、金属、ガラス、又は上記材料が組み合わせされた物などからなる。
【0082】
二酸化炭素濃度検出部230は、二酸化炭素濃度制御装置200に取り込まれた空気(二酸化炭素吸収を行う前の空気)に含まれる二酸化炭素濃度を所定の時間間隔で検出し、状態決定部221へと送信するものである。検出方法は特に限定しないが、例えば半導体式、電気化学式、および赤外線吸収式等が挙げられる。
【0083】
半導体式で二酸化炭素濃度を検出する場合、半導体としてSnO
2、ZnO等のn型半導体を用いることができる。なかでも、SnO
2にLa(ランタン)を添加した半導体は二酸化炭素の選択性に優れている。このため、本発明において半導体式で二酸化炭素濃度を検出する場合は、SnO
2にLaを添加した半導体を用いることがより望ましい。また、電気化学式で二酸化炭素濃度を検出する場合は、固体電解質の伝導イオンの種類として、ナトリウムイオン伝導体等を用いればよい。
【0084】
以上の検出方法において、半導体式は、コストが安いことに加え、環境条件により二酸化炭素の検出精度が左右されにくく、よって過酷な環境下でも二酸化炭素濃度が検出可能であるという利点がある。また、電気化学式および赤外線吸収式は、二酸化炭素の検出感度が高く二酸化炭素の選択性に優れているという利点がある。
【0085】
空気取り込み部240は、
図3にあるように二酸化炭素濃度制御装置200の外部より、空気を取り込み、取り込んだ二酸化炭素濃度が高い空気を流路250、吸気弁270を通して、二酸化炭素吸収部260のケース(隔離形態手段の一例)261に内包されている二酸化炭素吸収材262に送る。二酸化炭素吸収材262により、二酸化炭素が吸収された二酸化炭素濃度が低い空気は、排気弁280を通して排出される。
空気取り込み部240の空気の取り込み方法は特に限定しないが、例えばファンやブロア等、送風できる物であればよい。
【0086】
流路250は、
図3にあるように空気取り込み部240と吸気弁270を接続し、二酸化炭素濃度制御装置200の外部より、空気取り込み部240が取り込んだ空気を通過させて吸気弁270に導入するものである。流路250の形状や大きさや材質は特に限定しないが、塩化ビニールやアクリル樹脂からなるパイプ等であればよい。
【0087】
吸気弁270は、流路250と二酸化炭素吸収部260を着脱自在に接続するものである。吸気弁270が開放状態にある時は、流路250から導入される空気が二酸化炭素吸収部260に内封されている二酸化炭素吸収材262に接触しながら二酸化炭素吸収部260を通過できる。一方、吸気弁270が閉鎖状態にある時は二酸化炭素吸収部260の内部空間と流路250方向に対して閉鎖され、空気の流通ができなくなる。
また、二酸化炭素吸収材262を再生する場合には、二酸化炭素吸収部260を二酸化炭素濃度制御装置200の外部に持ち出せるように、吸気弁270と二酸化炭素吸収部260とを容易に分離するための着脱手段を有している。
吸気弁270の方式や形状、材質、及び二酸化炭素吸収部260の着脱手段は、特に限定されるものではなく、様々な方式の電磁弁等の自在に流路250と二酸化炭素吸収部260の内部空間との間を開放/閉鎖でき、二酸化炭素吸収部260を着脱自在にできる物であればよい。
なお、上記着脱手段は、ワンタッチで取り外せる種々のカプラ方式のものが、着脱に工具が不要になるため、使用者にとって利便性が高い。さらに、着脱手段としては、ビスやクリップ、使用者が把持部を回転させることで螺合と螺脱が可能なネジ方式のもの等を例示できる。
【0088】
二酸化炭素吸収部260は、二酸化炭素吸収材262と、二酸化炭素吸収材262を内包するケース261を有してなる。ケース261は、吸気弁270と排気弁280以外から外部の空気が侵入できない材質と構造になっている。ケース261は、吸気弁270と排気弁280が開放状態になったとしても内包する二酸化炭素吸収材262が外部に零れ落ちないように、フィルタやスリット等により開口の大きさが二酸化炭素吸収材262より小さくなっている。
【0089】
ケース261の材料は、電磁波による再生時の温度上昇に耐えうるものであり、
図4(B)に示す電磁波吸収容器400からの熱をよく伝えるものであれば、材料は特に限定されるものではない。ケース261の材料は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等であってもよい。
【0090】
二酸化炭素吸収材262は、空気中の二酸化炭素を吸収するものである。二酸化炭素吸収材262は、設置可能な量で対象となる空間の二酸化炭素濃度を制御可能な二酸化炭素の吸収速度を有し、二酸化炭素吸収後、加熱により再度二酸化炭素を吸収できる再生が可能なものであればよく、その種類は特に限定されない。例えば、Li
2ZrO
3、LiFeO
2、LiNiO
2、Li
2TiO
3、Li
2SiO
3、Li
4SiO
4等リチウム系複合酸化物や、ナトリウムフェライト等であればよい。特に、水溶性を示す4価のリチウムシリケートと炭酸カリウムからなる二酸化炭素吸収材は、通常の室内環境において二酸化炭素吸収速度が非常に早く、好適である。また、二酸化炭素吸収材262の形状は、二酸化炭素濃度制御を行う空気がスムーズに流通でき、ケース261内に内包できる形状であればよく、ペレット状や、フィルタ形状に形成されていればよい。
【0091】
なお、二酸化炭素吸収材262自体が一体成型フィルタのように単独で形状が保て、且つ使用者が二酸化炭素吸収材262自体に触れることなく、持ち運べる持ち手や、吸気弁170等と接続できる接続部が設けられている場合は、ケース261は無くともよい。このような持ち手や接続部は、隔離携帯手段の他の例である。
【0092】
排気弁280は、二酸化炭素吸収部260と着脱自在に接続され、二酸化炭素吸収部260の内部空間を、二酸化炭素濃度制御装置200外の空間(室内)に対して開放又は閉鎖するものである。排気弁280が開放状態にある時は、二酸化炭素吸収部160から流入する空気は、二酸化炭素濃度制御装置200外に放出される。一方、排気弁280が閉鎖状態にある時は二酸化炭素吸収部260の内部空間が、二酸化炭素濃度制御装置200外の空間(室内)方向に対して閉鎖され、空気の流通ができなくなる。
排気弁280の方式や形状、材質は特に限定されるものではなく、様々な方式の電磁弁等のであればよく、二酸化炭素濃度制御装置200外の空間(室内空間)と二酸化炭素吸収部260の内部空間との間を開放/閉鎖できる物であればよい。
【0093】
制御部220は、二酸化炭素濃度制御装置200を統括的に制御するものである。
制御部220は、図示しない状態決定部221と状態制御部222とを含む。なお、制御部220は、二酸化炭素濃度検出部230に所定の時間間隔で、二酸化炭素濃度の検出を指示してもよい。
【0094】
状態決定部221は、二酸化炭素濃度が設定値(閾値)以下か否かに応じて、空気取り込み部240と吸気弁270と排気弁280の状態(開放又は閉鎖)を決定するものであると共に、装置稼働時間や二酸化炭素濃度が設定値(閾値)以上となる持続時間等から、二酸化炭素吸収材262の状態(二酸化炭素吸収最大量に対する二酸化炭素吸収量)や、二酸化炭素吸収材262の再生要否を判断し、ユーザに図示しない音や光を発して注意喚起を促すものである。状態決定部221は、具体的には、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)、またはCPU(Central Processing Unit)を用いたソフトウエア等で実現すればよい。
【0095】
なお、ここで言う「設定値」とは、空間内の空気において、適切と考えられる二酸化炭素濃度の上限値である。一般的に、二酸化炭素濃度は、屋外の大気中でおよそ400ppm程度である。しかしながら、例えば換気制限可能な空間で換気を制限した場合、人間等の生物が活動する、すなわち呼吸すると、空気中の二酸化炭素濃度は増加する。空気中の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えると人は眠気に誘われ、集中力が低下することが知られている。また、空気中の二酸化炭素濃度が1000ppm以上に増加すると、当該増加に従って健康への被害も大きくなることも知られている。以上のことから、設定値は、例えば、眠気に誘われ集中力が低下すると言われるレベルであり、建築物衛生法等の基準値として規定されている1000ppmなどを目安に少し安全率を持った例えば800ppmなどに設定すればよい。また、設定値は、商品出荷時に予め設定する値であっても、二酸化炭素濃度制御装置200のユーザが自由に設定および変更が可能な値であっても良い。
【0096】
状態制御部222は、状態決定部221で決定した情報を受け取ることができ、状態決定部221での決定をもとに、空気取り込み部240、吸気弁270、排気弁280をどのような状態にするか制御するものである。状態制御部222は、具体的には、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)、またはCPU(Central Processing Unit)を用いたソフトウエア等で実現すればよい。
【0097】
(二酸化炭素濃度制御処理の流れ)
次に二酸化炭素濃度制御装置200における処理の一例を説明する。
図5は、二酸化炭素濃度制御装置200の行う制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0098】
二酸化炭素濃度制御装置200が起動される(装置の電源又は二酸化炭素濃度制御機能がONにされる)と、二酸化炭素濃度検出部230は、近傍の空気(実質的に装置近傍の室内空間の空気)の二酸化炭素濃度を検出する(S1)。制御部220が、二酸化炭素濃度検出部230に二酸化炭素濃度を検出するように指示を出してもよい。
【0099】
検出された二酸化炭素濃度を示す情報は制御部220の状態決定部221へ送信される。状態決定部221は、二酸化炭素濃度検出部230が検出した二酸化炭素濃度が、設定値1(例えば、800ppm)以下か否かを判定する(S2)。
【0100】
二酸化炭素濃度検出部230が検出した二酸化炭素濃度が設定値以下の場合(S2でYES)、状態決定部221は、空気取り込み部240を停止状態に、吸気弁270、排気弁280をそれぞれ閉鎖(閉)状態に、図示しない警告部を停止状態にする(初期段階の場合は、左記の状態を維持する)ための信号を状態制御部222に送り各部を上記状態になるように制御する(S3)。その後、再びS1〜S3の処理が行われ、S2でNOとなるまで繰り返される。
【0101】
そして、S2でNOになると(二酸化炭素濃度が所定値(例えば800ppm)を超えると)、状態決定部221は、空気取り込み部240を作動状態に、吸気弁170、排気弁280をそれぞれ開放(開)状態に、警告部を停止状態で維持するための信号を状態制御部222に送り各部を上記状態になるように制御する(S4)。
【0102】
次に、空気取り込み部240の累計動作時間が図示しないタイマーによりカウントされる(S5)。
【0103】
カウントされた空気取り込み部240の累計動作時間を示す情報は、制御部220の状態決定部221へ送信される。状態決定部221は、カウントされた空気取り込み部240の累計動作時間が、設定値2(例えば8時間等)以下か否かを判定する(S6)。
【0104】
なお、設定値2は、二酸化炭素吸収材262の材料や量によって変わるが、二酸化炭素吸収材262の処理能力の上限値近くの二酸化炭素を吸収する処理するために必要な時間に基づいて、適宜設定される値である。
【0105】
カウントされた空気取り込み部240の累計動作時間が設定値2以下の場合(S6でYES)再びS1の処理が行われ、S6でNOとなるまで上記ステップが繰り返される。すなわち、二酸化炭素濃度制御装置200が設定値2を超えた場合のみ二酸化炭素を二酸化炭素吸収材262から放出し、設定値2を超えない場合は放出を行わないこと(二酸化炭素吸収材262を室内空間から閉鎖すること)で無用な二酸化炭素を放出せず効率的に二酸化炭素濃度を制御されるので、長期間二酸化炭素濃度を制御できる。
【0106】
S6でNOとなる(空気取り込み部240の累計動作時間が所定時間(例えば8時間)を超えると)と、状態決定部221は、空気取り込み部240を停止状態に、吸気弁270、排気弁280をそれぞれ開放(開)状態に、警告部を作動状態にするための信号を状態制御部222に送り各部を上記状態になるように制御する(S7)。
【0107】
ユーザは、警告部の作動(警告音や警告灯の点灯等)により、二酸化炭素吸収材262の再生が必要なことを認識し、装置を停止させる(若しくは、制御部220の決定により自動的に停止する)。
【0108】
(再生工程)
次に二酸化炭素濃度制御装置200における処理の一例を説明する。
図6は、二酸化炭素濃度制御装置200においてユーザが行う二酸化炭素吸収材再生処理を示すフローチャートである。
【0109】
二酸化炭素濃度制御装置200停止後、ユーザは、二酸化炭素吸収部260を、吸気弁270と排気弁280から、図示しない脱着機構を利用して取り外し、
図3に示すように二酸化炭素吸収部260を、二酸化炭素濃度制御装置200から分離する(
図6のS8)。
【0110】
次に、
図4に示すように、ユーザは取り外した二酸化炭素吸収部260を、電磁波吸収容器400に挿入(
図6のS9)した上で、例えば家庭用電子レンジのような電磁波発生装置300に投入し(
図6のS10)、所定の出力と所定の時間を設定したのちに、電磁波発生装置300を起動させる(
図6のS11)。
なお、電磁波発生装置300は、筐体310と電磁波発生部320と制御部330からなり、筐体310内にセットされた対象物に、ユーザにより設定される電磁波の発信出力と発信時間に応じて、制御部330が電磁波発生部320を制御した上で照射する装置であり、家庭に広く普及している電子レンジがその一例である。
【0111】
電磁波発生装置300での処理が完了した後、ユーザは二酸化炭素吸収材262が冷めるまで、所定の時間待機する(
図6のS12)。
なお、各所定の出力や時間は、二酸化炭素吸収材262の材料や量、更には電磁波発生部320の出力によって変わるが、二酸化炭素吸収材262が十分に再生されるために必要な二酸化炭素吸収材262への電磁波出力と照射時間と到達温度等に基づいて、適宜設定される値である。
【0112】
最後に、ユーザが
図3に示すように二酸化炭素吸収部260を、吸気弁270と排気弁280に、脱着機構を利用して取付け、
図3に示すように二酸化炭素吸収部260を、二酸化炭素濃度制御装置200に装着する(
図6のS13)。
【0113】
上記のように、二酸化炭素吸収材262再生は、他の熱エネルギーが逃げやすい電気炉やガスを利用する場合に比較して、安全かつ効率的に実施することができ、二酸化炭素濃度制御装置200を繰り返し長期間使用することができる。
【0114】
この様に二酸化炭素濃度制御装置200は、効率的に二酸化炭素濃度が制御でき、安全かつ効率的に二酸化炭素吸収材262を再生でき、再度二酸化炭素濃度を制御できることから、長期間に渡って、安全に室内の二酸化炭素濃度を制御でき、ひいては二酸化炭素による人体への悪影響を防止できる。
【0115】
また、実施の形態2の変形例である実施形態3としては、
図7に示すように、取り外し可能な二酸化炭素吸収部560に電磁波吸収部563をあらかじめ内包し、直接電磁波発生装置300にセット、再生処理できるようした形態があり、その場合、電磁波吸収部563を電磁波吸収容器400にセットする手間と電磁波吸収容器400を収納する場所が省けるという効果が生じる。
【0116】
なお、電磁波吸収部563は、電磁波発生部320が発信する電磁波を吸収、熱に変換し、二酸化炭素吸収材562を加熱するものである。電磁波吸収部563は、当該吸収部によって加熱される二酸化炭素吸収材562の再生が可能となる温度(例:4価のリチウムシリケートの場合約300℃以上)に達することができる程度に電磁波、特にマイクロ波を吸収でき、加熱時の温度に耐えうるものであればよく、カーボンマイクロコイルやカーボンナノチューブ、またはこれらの材料が含有された特殊セラミック等であればよい。
【0117】
また形状においても特に限定されるものではなく、二酸化炭素吸収材562に伝熱できるよう、ケース(隔離形態手段の一例)561に二酸化炭素吸収材562と共に内包できる形状であればよく、例えば、ペレット状の二酸化炭素吸収材562の中心に入るような棒状のものや、ケース561の内壁として設けられていてもよいし、二酸化炭素吸収材562自体の中に含有されていてもよい。特に、二酸化炭素吸収材自体の中(例えばペレットの一粒ずつの中に)に含有されていれば、電磁波を吸収したことで発生した熱を他の物質に伝熱することなく、二酸化炭素吸収材に伝熱することができるため、再生のためのエネルギーが低減でき効率的である。
【0118】
更に、上記にあるように電磁波吸収部563としてカーボンナノチューブを二酸化炭素吸収材562に含有させると、二酸化炭素吸収材562が効率的に二酸化炭素を吸収するために必要な空隙を効率的に作り出せると共に、カーボンナノチューブ自体も二酸化炭素を吸着できるため、二酸化炭素濃度制御装置500の二酸化炭素吸収特性(吸収速度と最大吸収量)が向上するので好適である。
【0119】
また、上記のような変形例である実施形態4の場合、
図8に示すように、二酸化炭素吸収部の筐体661、または筐体661の外壁がZrO
2やガラス素材等からなる断熱材であることが望ましい。その場合、再生して高温になった二酸化炭素吸収材662を内包する二酸化炭素吸収部660を、より安全に二酸化炭素濃度制御装置600に装着することができる。
【0120】
なお、上記した各実施形態において、二酸化炭素濃度制御装置には、制御部、二酸化炭素濃度検出部、空気取り込み部、流路、吸気弁、二酸化炭素吸収部、排気弁が設けられているが、二酸化炭素濃度検出部、空気取り込み部、流路は必ずしも必要でなく、制御部と、吸気弁、二酸化炭素吸収部、排気弁があれば、効率は落ちるものの、同様の効果を奏することができる。
【0121】
次に実施形態5の二酸化炭素濃度制御装置700について
図9及び
図10を用いて説明する。二酸化炭素濃度制御装置700は、筐体710、空気取り込み部740、流路750、二酸化炭素吸収部760を備えている。この二酸化炭素濃度制御装置700は、図示しない制御部、二酸化炭素濃度検出部、吸気弁、排気弁を更に備えている。
【0122】
二酸化炭素濃度制御装置700は、例えば、卓上型の装置とされ略円柱状の外形を有している。筐体710は、二酸化炭素吸収部760の上部と下部にビス(着脱手段の一例)790を介してそれぞれ装着されている。空気取り込み部740はファンで構成され、二酸化炭素吸収部760の上部に装着された筐体710内に設置されている。二酸化炭素濃度制御装置700は、空気取り込み部740が駆動すると、上部に開口する吸気口771から空気を取り込み、下部に開口する排気口781から空気を排出する構成とされる。この空気取り込み部740は、電磁波が照射されることにより破損する電磁波非対応部の一例である。
【0123】
二酸化炭素吸収部760は、二酸化炭素吸収材762と、二酸化炭素吸収材762を内包するケース(隔離形態手段の一例)761を有してなる。ケース761は、吸気弁と連通する開口と、排気弁と連通する開口にそれぞれフィルタ765が設けられている。ケース761は、排気弁と連通する開口が細孔を有するシート材766で覆われいる。二酸化炭素吸収部760に筐体710,710が装着された状態では、ケース761は、吸気弁と連通する開口と、排気弁と連通する開口の周囲がOリング767により気密にシールされる。
【0124】
二酸化炭素吸収材762を再生する場合、ユーザはビス790を外して、二酸化炭素吸収材762と空気取り込み部740とを分離する。この状態で、ユーザは、ケース761の外周部を把持することにより、取り外された二酸化炭素吸収材762に直接触れることなく、二酸化炭素吸収材762を持ち運ぶことができる。そして、取り外された二酸化炭素吸収材762は、例えば実施形態2の二酸化炭素吸収材262と同様の方法により再生することができる。二酸化炭素吸収材762の再生が完了した後、ユーザは、二酸化炭素吸収材762と空気取り込み部740とをビス790を介して止めればよい。
【0125】
なお、本実施形態2〜5では、二酸化炭素を吸収した二酸化炭素吸収材を、再度二酸化炭素が吸収できるように電磁波を用いての再生を可能とする電磁波利用手段として、二酸化炭素吸収部が二酸化炭素濃度制御装置から自在に着脱できる手段が設けられている。
【0126】
そのため、制御部や吸気弁や空気取り込み部等の電磁波の影響を受け破損しやすい部位に特段の処置(電磁波シールド等)を設けることなく、安価に製品自体を構成できるという効果が得られる。
【0127】
また、上記実施形態1〜5では、二酸化炭素吸収材を電磁波を用いて加熱して、二酸化炭素吸収材を再生する態様を例示したが、二酸化炭素吸収材を再生する態様はこれに限られない。例えば、電磁波を照射することにより振動を生じさせ、二酸化炭素吸収材から二酸化炭素を分離して、二酸化炭素吸収材を再生してもよい。
【0128】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。