【解決手段】消臭部材は、基材と、和紙と、接着層とを有する。基材は、消臭層を有する。消臭層は、粒子状又は粉末状の炭の層である。基材は、消臭層によって表面が被覆される。和紙は、消臭層を被覆する。接着層は、消臭層の表面と和紙の裏面とを接着する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炭は、消臭機能を有する。発明者は、粒子状又は粉末状の炭の消臭層を表面に有する消臭部材を所定の製品の表面に設けることで、この製品に消臭機能を付与することができると考えた。但し、発明者は、消臭層が製品の表面に露出する場合、この消臭層に直接接触した物が炭の粒子又は粉末で汚染されることがあると考えた。そこで、発明者は、前述の汚染を抑制できる消臭部材について検討した。その際、発明者は、製品の意匠性を高めることができる点を考慮した。
【0005】
本発明は、表面に接触した物の汚染を抑制しつつ消臭機能を発揮可能な消臭部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、粒子状又は粉末状の炭の消臭層を有し、前記消臭層によって表面が被覆された基材と、前記消臭層を被覆する和紙と、前記消臭層の表面と前記和紙の裏面とを接着する接着層と、を有する消臭部材である。
【0007】
この消臭部材によれば、消臭部材を製品の表面に設けた状態で、和紙の表面が製品の表面となる。消臭層は、和紙によって被覆される。従って、消臭層は、製品の表面に露出しない。製品の表面に触れた場合、粒子状又は粉末状の炭が接触物に付着することを防止することができる。次の臭気は和紙を通過するため、消臭層にこの臭気を吸着させることができる。前述の臭気は、消臭部材の表面が露出する空間内の臭気である。和紙の有する風合いにより、製品に意匠性を与えることができる。
【0008】
前記接着層は、通気性を有する、ようにしてもよい。この構成によれば、和紙を通過した臭気は更に接着層を通過するため、消臭層にこの臭気を吸着させることができる。
【0009】
本発明の他の側面は、粒子状又は粉末状の炭の消臭層によって裏面が被覆された和紙製の消臭部材である。
【0010】
この消臭部材によれば、消臭部材を製品の表面に設けた状態で、和紙の表面が製品の表面となる。消臭層は、和紙によって被覆される。従って、消臭層は、製品の表面に露出しない。製品の表面に触れた場合、粒子状又は粉末状の炭が接触物に付着することを防止することができる。次の臭気は和紙を通過するため、消臭層にこの臭気を吸着させることができる。前述の臭気は、消臭部材の表面が露出する空間内の臭気である。例えば、消臭部材を次の状態で既存の製品に設けることで、既存の製品に消臭機能を付与することができる。前述の状態は、消臭層の裏面によって形成される消臭部材の裏面を既存の製品の表面の側とした状態である。和紙の有する風合いにより、製品に意匠性を与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面に接触した物の汚染を抑制しつつ消臭機能を発揮可能な消臭部材を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を有するようにしてもよい。
【0014】
<消臭部材>
消臭部材10について、
図1を参照して説明する。消臭部材10は、収納具、テーブル又はペット用具の材料とすることができる。収納具は、収納ケース、下駄箱又はクローゼットを含む。ペット用具は、ペット用の小屋を含む。また、消臭部材10は、家具の材料とすることができる。更に、消臭部材10は、建築材料とすることができる。建築材料は、内壁材又は天井材を含む。この他、消臭部材10は、消臭剤と同様の機能を有する消臭製品又は脱臭剤と同様の機能を有する脱臭製品とすることができる。消臭部材10を応用可能な製品は、前述の製品に限定されない。消臭部材10は、消臭又は脱臭の対策が求められる各種製品に応用することができる。
【0015】
消臭部材10は、基材20と、和紙40と、接着層50とを有する。実施形態では、消臭部材10の厚さ方向を「厚さ方向」という。消臭部材10は、基材20、和紙40及び接着層50が、厚さ方向の一方側から他方側に向けて和紙40、接着層50及び基材20の順で積層された積層体である。従って、厚さ方向は、消臭部材10で和紙40、接着層50及び基材20が積層される方向(積層方向)ともいえる。消臭部材10では、和紙40が設けられる厚さ方向の一方側が「表側」となり、表側とは反対となる厚さ方向の他方側が「裏側」となる。消臭部材10、基材20、和紙40及び接着層50、並びに後述する基材本体25及び消臭層30では、厚さ方向の表側の面が「表面」となり、厚さ方向の裏側の面が「裏面」となる。
【0016】
基材20は、基材本体25と、消臭層30とを有する。基材本体25としては、木材、木質材料又は石膏ボードが例示される。但し、基材本体25の材質は、消臭部材10の用途に応じて適宜決定される。消臭層30は、基材本体25の表面に形成され、基材本体25の表面を被覆する(
図1上段参照)。即ち、基材20の表面は、消臭層30によって被覆される。この場合、基材20の表面は、消臭層30の表面によって形成される。
【0017】
消臭層30は、粒子状又は粉末状の炭の層である。消臭層30では、炭として、活性炭を採用する。従って、粒子状又は粉末状の炭は、粒子状又は粉末状の活性炭ともいえる。また、消臭層30では、炭は、木炭又は竹炭を含む。従って、炭は、粒子状又は粉末状の木炭又は粒子状又は粉末状の竹炭ともいえる。
【0018】
和紙40は、消臭層30を被覆する。和紙40としては、越前和紙(「越前和紙」は登録商標)を採用するとよい。但し、和紙40は、越前和紙とは異なる和紙を採用してもよい。和紙40として採用する和紙は、諸条件を考慮して適宜決定される。和紙40によって、消臭部材10に調湿機能を付与することができる。和紙40の表面は、消臭部材10の表面を形成する(
図1下段参照)。
【0019】
和紙40の表面及び裏面に関し、通常、つるつるした面が「表」とされ、ざらざらした面が「裏」とされる(例えば、越前和紙協同組合のホームページ,URL:https://www.washi.jp/qa/index.html#qa2 参照)。但し、実施形態では、和紙40の表面及び裏面は、上述した通りである。従って、消臭部材10で和紙40が次の第一状態であるとする。第一状態は、和紙40のつるつるした面が厚さ方向の表側となり、和紙40のざらざらした面が厚さ方向の裏側となる状態である。この場合、和紙40のつるつるした面が和紙40の表面となり、和紙40のざらざらした面が和紙40の裏面となる。これに対して、消臭部材10で和紙40が次の第二状態であるとする。第二状態は、和紙40のざらざらした面が厚さ方向の表側となり、和紙40のつるつるした面が厚さ方向の裏側となる状態である。この場合、和紙40のざらざらした面が和紙40の表面となり、和紙40のつるつるした面が和紙40の裏面となる。
【0020】
接着層50は、厚さ方向において和紙40と基材20との間に設けられる(
図1上段参照)。接着層50は、消臭層30の表面と和紙40の裏面とを接着する(
図1下段参照)。接着層50は、接着剤が硬化して形成される。消臭部材10の製造時、接着剤は、消臭層30の表面及び和紙40の裏面の一方の面全体又は両方の面全体に塗布される。従って、接着層50は、裏面全体で消臭層30の表面全体と接し、表面全体で和紙40の裏面全体と接する。これに伴い、接着層50は、消臭層30の表面全体と和紙40の裏面全体とを接着する。和紙40は、接着層50を介して消臭層30を被覆する。
【0021】
消臭部材10では、接着層50となる接着剤として、次の接着剤が採用される。前述の接着剤は、硬化した状態で通気性を有する接着剤である。従って、接着層50は、通気性を有する。接着層50に通気性を付与する接着剤としては、ウォールボンド工業株式会社製の「ウォールボンド100」(「ウォールボンド」は登録商標)が例示される。「ウォールボンド100」は、デンプン系接着剤である。但し、接着層50となる接着剤は、硬化した状態で通気性を有する接着剤であればよく、「ウォールボンド100」とは異なる接着剤であってもよい。前述の接着剤は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0022】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0023】
(1)消臭部材10は、基材20と、和紙40と、接着層50とを有する(
図1参照)。基材20は、消臭層30を有する。消臭層30は、粒子状又は粉末状の炭の層である。基材20は、消臭層30によって表面が被覆される。和紙40は、消臭層30を被覆する。接着層50は、消臭層30の表面と和紙40の裏面とを接着する。
【0024】
そのため、消臭部材10を製品の表面に設けた状態で、和紙40の表面が製品の表面となる。消臭層30は、和紙40によって被覆される。従って、消臭層30は、製品の表面に露出しない。製品の表面に触れた場合、粒子状又は粉末状の炭が接触物に付着することを防止することができる。次の臭気は和紙40を通過するため、消臭層30にこの臭気を吸着させることができる。前述の臭気は、消臭部材10の表面が露出する空間内の臭気である。和紙40の有する風合いにより、製品に意匠性を与えることができる。
【0025】
消臭層30では、炭の粒子又は粉末を微細化することで、消臭機能を向上させることができる。消臭部材10を次の状態で既存の製品に設けることで、既存の製品に消臭機能を付与することができる。前述の状態は、基材20(基材本体25)の裏面によって形成される消臭部材10の裏面を既存の製品の表面の側とした状態である。基材本体25を可撓性を有する材質製とすることで、消臭部材10を既存の製品の表面に沿わせることができる。消臭部材10を既存の製品に設け易くすることができる。例えば、基材本体25は、可撓性を有するシート材としてもよい。
【0026】
(2)接着層50は、通気性を有する。そのため、和紙40を通過した臭気は更に接着層50を通過するため、消臭層30にこの臭気を吸着させることができる。
【0027】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は、適宜省略する。
【0028】
(1)消臭部材10では、製造時、接着剤は、消臭層30の表面及び和紙40の裏面の一方の面全体又は両方の面全体に塗布される。従って、接着層50は、裏面全体で消臭層30の表面全体と接し、表面全体で和紙40の裏面全体と接する。これに伴い、接着層50は、消臭層30の表面全体と和紙40の裏面全体とを接着する(
図1下段参照)。
【0029】
消臭部材では、接着層によって接着される領域は、消臭層30の表面全体と和紙40の裏面全体でなくてもよい。換言すれば、接着層は、消臭層30の表面の第一部分と和紙40の裏面の第二部分とを接着するようにしてもよい。第一部分は、消臭層30の表面の一部であり、第二部分は、和紙40の裏面の一部である。第一部分は、厚さ方向に第二部分と対向する。この場合、消臭部材では、消臭層30の表面及び和紙40の裏面に対して複数の接着層を設けるようにしてもよい。複数の接着層は、消臭層30の表面の複数の第一部分と和紙40の裏面の第一部分と同数の第二部分とを接着する。複数の接着層は、消臭層30の表面及び和紙40の裏面に対して規則的に配置されてもよく又は不規則に配置されてもよい。例えば、複数の接着層は、厚さ方向に直交する方向に所定の間隔で配置されてもよい。
【0030】
この構成によれば、消臭層30の表面で第二部分以外の部分は、接着層によって被覆されない。従って、接着層が通気性を有するか否かに関わらず、消臭層30の第二部分以外の部分に和紙40を通過した臭気を吸着させることができる。
【0031】
(2)消臭部材は、
図1の消臭部材10とは異なり、
図2の消臭部材10としてもよい。
図2では、
図1の消臭部材10との対応を明らかにするため、各部に対する符号は、上記と同様としている。
図2の消臭部材10は、消臭層30を有する和紙40によって形成される。
図2の消臭部材10では、消臭層30は、和紙40の裏面に形成され、和紙40の裏面を被覆する(
図2下段参照)。即ち、
図2の消臭部材10は、消臭層30によって裏面が被覆された和紙製である。
図2の消臭部材10では、和紙40の表面は、消臭部材10の表面を形成し(
図2上段参照)、消臭層30の裏面は、消臭部材10の裏面を形成する(
図2下段参照)。
【0032】
図2の消臭部材10によれば、消臭部材10を製品の表面に設けた状態で、和紙40の表面が製品の表面となる。消臭層30は、和紙40によって被覆される。従って、消臭層30は、製品の表面に露出しない。製品の表面に触れた場合、粒子状又は粉末状の炭が接触物に付着することを防止することができる。次の臭気は和紙40を通過するため、消臭層30にこの臭気を吸着させることができる。前述の臭気は、
図2の消臭部材10の表面が露出する空間内の臭気である。例えば、
図2の消臭部材10を次の状態で既存の製品に設けることで、既存の製品に消臭機能を付与することができる。前述の状態は、
図2の消臭部材10の裏面を既存の製品の表面の側とした状態である。和紙40の有する風合いにより、製品に意匠性を与えることができる。
【0033】
図1,2の消臭部材10は、共通する次の技術的特徴を有する。即ち、
図1,2の消臭部材10は、和紙40と、消臭層30とを有する。そして、
図1,2の消臭部材10では、消臭層30は、粒子状又は粉末状の炭によって形成される。更に、
図1,2の消臭部材10では、消臭層30は、和紙40の裏側に設けられる。
【0034】
(3)
図1の消臭部材10では、消臭層30によって基材20の表面全体が被覆され、
図2の消臭部材10では、消臭層30によって和紙40の裏面全体が被覆される。消臭層によって被覆される領域は、基材の表面の一部であってもよく、又は和紙40の裏面の一部であってもよい。和紙40は、消臭層が消臭部材の表面に露出することのないよう、厚さ方向の表側から消臭層の全体を被覆する。