(ただし、Reは少なくともYを含む)をgモル含み、0.05<a<0.15、1.0<b<2.5、0.5<c<5.0、1.0<d<4.0、0.01<e<1.0、0.01<f<3.0、5.0<g≦7.0を満足する誘電体磁器組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。ただし、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
[1]誘電体磁器組成物の組成
本実施形態に係る誘電体磁器組成物の組成について説明する。
【0011】
本実施形態において、誘電体磁器組成物は、下記(A)成分から(G)成分を含む。
(A)成分:(Ba
1−aCa
a)TiO
3
(B)成分:BaO
(C)成分:SiO
2
(D)成分:MgO
(E)成分:MnO
(F)成分:VO
5/2
(G)成分:ReO
3/2(ただし、Reは少なくともYを含む。)
【0012】
(A)成分100モルに対する(B)成分から(G)成分の配合量を、それぞれbモルからgモルとする。本実施形態において、aからgは、以下の条件を満足する。
0.05<a<0.15、
1.0<b<2.5、
0.5<c<5.0、
1.0<d<4.0、
0.01<e<1.0、
0.01<f<3.0、
5.0<g≦7.0
【0013】
(1)チタン酸バリウムカルシウム:(Ba
1−aCa
a)TiO
3
本実施形態の誘電体磁器組成物は、チタン酸バリウムカルシウムを主成分とするセラミックスである。「主成分」とは、誘電体磁器組成物を構成する成分のうち占めるモル数の割合が一番多いものを指す。このとき、製造上含まれてしまう不純成分が誘電体磁器組成物中に微量含まれていてもよい。不純成分として、例えば、ナトリウム、カルシウム、ニオブ、鉄、鉛、クロムなどの金属由来成分が挙げられる。このほか、炭化水素系の有機成分、表面吸着水などが不純成分として含まれていてもよい。
【0014】
チタン酸バリウムカルシウムは、(Ba
1−aCa
a)TiO
3で表される化合物である。従来から知られているチタン酸バリウム(a=0)は高い比誘電率を有している。しかし、チタン酸バリウムは、約130℃以上で強誘電性が消失するため誘電率が低下する。その結果、200℃保証に必要な電気容量の温度変化率(X9M)を確保できない。このため、チタン酸バリウムを積層チップの材料としてそのまま使用することはできない。チタン酸バリウムカルシウムは、チタン酸バリウムのBa原子の一部がCa原子で置換された化合物である。チタン酸バリウムカルシウムは、200℃でも良好な電気容量の温度変化率特性を有する。
【0015】
チタン酸バリウムカルシウムのCa含有比率を示す「a」は、0.05<a<0.15を満たす。この範囲を満たせば、X9M特性が良好になり、比誘電率が高くなる。上記「a」は、0.06以上0.10以下を満たすのが好ましい。上記「a」は、0.07〜0.10であると特に好ましい。Ca含有比率「a」およびBa含有比率「1−a」は、XRF測定やICP測定により求められる。より具体的には、「a」は、実施例に記載の方法(測定条件)により得た値が採用される。
【0016】
(2)バリウム成分:BaO
本実施形態の誘電体磁器組成物はBaOを含む。BaOは、主に焼結助剤として添加される。BaOの含有量「b」は、1.0<b<2.5を満たす。この範囲を満たせば、組成物の焼結性が良好になる。また、この範囲を満たせば、優れた比誘電率および絶縁性を有する組成物が得られる。bは、1.5であると特に好ましい。なお、BaOの含有量は、当該誘電体磁器組成物の製造の際に使用されるバリウム化合物の量から制御される。バリウム化合物として、例えば、BaOの少なくとも一部の代わりに、BaCO
3等が用いられてもよい。
【0017】
(3)ケイ素成分:SiO
2
本実施形態の誘電体磁器組成物はSiO
2を含む。SiO
2は、主に焼結助剤として添加される。SiO
2の含有量「c」は、0.5<c<5.0を満たす。cが0.5を超えると、1300℃以下の低温条件下で組成物の焼結が可能となる。このため、チタン酸バリウムカルシウムの優れた容量温度特性および絶縁抵抗は損なわれない。また、コンデンサ等のセラミック電子部品への適用性に優れる。
【0018】
cが5.0未満であれば、良好な焼結性、良好な比誘電率、および高温負荷寿命が両立できる。cは、1.5<c<5.0を満たすのが好ましい。cは、2.0であると特に好ましい。なお、SiO
2の含有量は、当該誘電体磁器組成物の製造の際に使用されるケイ素化合物の量から制御される。ケイ素化合物としては、例えば、SiO
2の少なくとも一部の代わりに、無機ガラス系化合物等が用いられてもよい。
【0019】
(4)マグネシウム成分:MgO
本実施形態の誘電体磁器組成物はMgOを含む。MgOは、主に焼結体の信頼性の向上を目的として添加される。MgOの含有量「d」は、1.0<d<4.0を満たす。dが1.0を超えると、チタン酸バリウムカルシウム粉末の粒子間にMgOが介在する。これにより高温で高電圧が印加された際の電気絶縁性劣化を抑制する効果が得られる。また信頼性が向上する。一方、dが4.0未満であると、誘電体磁器組成物の焼結が1300℃以下で可能となる。なお、MgOの含有量は、当該誘電体磁器組成物の製造の際に使用されるマグネシウム化合物の量から制御される。マグネシウム化合物として、例えば、MgOの少なくとも一部の代わりに、MgCO
3等が用いられてもよい。
【0020】
(5)マンガン成分:MnO
本実施形態の誘電体磁器組成物はMnOを含む。MnOは、主に耐還元性助剤として添加される。MnOの含有量「e」は、0.01<e<1.0を満たす。eが0.01を超えれば、還元雰囲気下の焼成工程で生じる酸素欠損を効果的に抑制できる。その結果、誘電体磁器組成物から製造されるセラミック電子部品の信頼性が向上する。なお、酸素欠陥は、チタン酸バリウムカルシウムの結晶構造に形成される。一方、eが1.0未満であれば、比誘電率が良好になる。
【0021】
eは、0.05<e<0.7を満たすのが好ましい。eは、0.05<e<0.25を満たすのがより好ましい。これにより誘電体磁器組成物の比誘電率がさらに良好となる。eは、0.15モルであると特に好ましい。なお、MnOの含有量は、当該誘電体磁器組成物の製造の際に使用されるマンガン化合物の量から制御される。マンガン化合物として、例えば、MnOの少なくとも一部の代わりに、MnO
2、Mn
2O
3、Mn
3O
4等が用いられてもよい。
【0022】
(6)バナジウム成分:VO
5/2
本実施形態の誘電体磁器組成物はVO
5/2を含む。VO
5/2は、焼結助剤としての役割を果たす。また誘電体磁器組成物の信頼性向上のために、VO
5/2は添加される。VO
5/2の含有量「f」は、0.01<f<3.0を満たす。この範囲にすれば、容量温度特性および比誘電率が優れる。またこの範囲にすれば、コンデンサ等のセラミック電子部品への適用性も優れる。
【0023】
チタン酸バリウムカルシウムを焼結助剤なしでち密に焼結するには、1500℃以上の高温が必要となる。コンデンサ等のセラミック電子部品への適用するためには、金属電極との共焼結が必須である。このため、1300℃以下の低温での焼結を実現させる必要がある。「f」の範囲を上記の通り制御することで、焼結性が向上する。またこれに加え、セラミックスの絶縁劣化を抑制できる。このため、本実施形態の誘電体磁器組成物は、1300℃以下程度の焼成により製造できる。
【0024】
VO
5/2は、高温高電界下において、形成された酸素空孔と会合する。その結果、絶縁性劣化の原因である酸素空孔の移動が抑制され、高温高電界下においてもセラミックスの絶縁性を維持することができる。fが0.01以下であると、高電界下における酸素空孔移動に対する抑制効果が不十分である。このため、高温で長時間高電圧が印加された際に電気絶縁性の劣化を抑制できない。一方、fが3.0以上であると、誘電体磁器組成物の誘電率が低下する。また、誘電体磁器組成物の200℃における容量温度特性も低下する。このため、X9M特性を満足できない。
【0025】
fは、0.05<f<0.7を満たすのが好ましい。fは、0.4であると特に好ましい。fをより好ましい範囲にすることで、組成物の焼結性が良好になる。また、組成物の容量温度特性が良好になり、比誘電率を高くすることができる。なお、VO
5/2の含有量は、当該誘電体磁器組成物の製造の際に使用されるバナジウム化合物の量から制御される。バナジウム化合物として、例えば、VO
5/2の少なくとも一部の代わりに、NH
4VO
3、VOCl
3等が用いられてもよい。
【0026】
(7)希土類成分:YO、DyO、その他希土類元素
本実施形態の誘電体磁器組成物は希土類元素(Re)を含む。希土類元素Reは、主に、高温寿命負荷試験の平均故障時間を改善させる目的で添加される。希土類元素Reとしては、例えば、Y,Dy,Yb、Ho,Gd、Tbなどがある。誘電体磁器組成物に含まれる希土類元素は、1種類でもよいし2種類以上でもよい。ただし、Reは、少なくともYを含む。好ましくは、Reは、YとY以外の希土類元素から選択される1つ以上の元素を含む。Y以外の希土類元素から選択される1つ以上の元素は、Dyが特に好ましい。
【0027】
ReOの含有量「g」は、5.0<g≦7.0を満たす。gが5.0モルを超えていれば、平均故障時間が改善される。その結果、誘電体磁器組成物から製造されるセラミック電子部品の信頼性が向上する。一方、gが7.0モル以下であれば、高比誘電率と高信頼性を両立できる。さらに、gが上記範囲であれば比誘電率が良好となる。gは5.5モルであると好ましい。
【0028】
ReがYとY以外の希土類元素を含む場合、「g」は下記の通りに定義される。
g=g
1+g
2
(g
1:Yのモル数、g
2:Y以外の希土類元素から選択される1つ以上の元素のモル数)
【0029】
本実施形態において、好ましくは、g
1≧4及びg
2≧1である。
【0030】
(8)その他の副成分
本実施形態の誘電体磁器組成物は、上記以外の成分を副成分として含んでもよい。かような副成分として、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、ジルコニアやバリウム系化合物等が挙げられる。より具体的な化合物としては、例えば酸化アルミニウム(Al
2O
3)、炭酸カルシウム(CaCO
3)やチタン酸カルシウム(CaTiO
3)やその化合物、ジルコニアやバリウム系酸化物(ZrO,BaZrO
3)等の他の焼結助剤や耐還元性助剤といった成分が挙げられる。
【0031】
本実施形態の誘電体磁器組成物は、Cr成分、例えば、CrO
3/2等を添加させないか、添加するとしても微量にすることが好ましい。CrO
3/2の含有量は、(Ba
1−aCa
a)TiO
3100モルに対して0.01モル未満が好ましい。Crの含有量0.01モル以上になると、積層キャパシタとして必要な電気絶縁性を確保できないことがある。
【0032】
[2]誘電体磁器組成物の形態および特性
本実施形態の誘電体磁器組成物の形態は特に限定されない。誘電体磁器組成物は、球状物、板状物、ペレット等の形態をとることができる。また、これら形態を組み合わせた複合形態をとることもできる。
【0033】
本実施形態の誘電体磁器組成物は、容量温度特性に優れている。具体的には、−55℃以上200℃以下の範囲において低い容量温度変化率を示す。容量温度変化率(ΔC)は次式で定義される。
【0035】
−55℃以上150℃以下における容量温度変化率(ΔC)は、±22%以内が好ましい。さらに好ましくは±15%以内(X8R)である。
【0036】
−55℃以上200℃以下における容量温度変化率(ΔC)は、−50%以上+15%以下(X9M)が好ましい。なお上記式において、各温度における静電容量は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0037】
上記aからgの要件を満たす誘電体磁器組成物は、少なくともX9Mの要件を満たす。これにより、高温条件下(例えば、200℃)でのΔCの急激な減少の課題が解消できる。好ましくは、X9M及びX8Rの要件を満足する。両方の要件を満足すれば、より広範な温度範囲でΔCの急激な減少の課題が解消できる。
【0038】
本実施形態の誘電体磁器組成物は、好ましくは、高い比誘電率を示す。比誘電率は、2000以上であると好ましく、2300以上であるとより好ましい。一方、その上限は特に制限されないが、実質的には、5000以下である。なお、比誘電率は、実施例に記載の方法により測定できる。
【0039】
[3]誘電体磁器組成物の製造方法
本実施形態の誘電体磁器組成物は、例えば、下記(1)から(3)の工程で製造される。ただし、本実施形態の誘電体磁器組成物の製造方法は、これに限定されるものではない。
(1)少なくともチタン酸バリウムカルシウムと、BaOと、SiO
2と、MgOと、MnOと、VO
5/2と、ReO
3/2と、を混合する工程。
(2)(1)の工程で得た混合物を成形し、成形体を得る工程。
(3)(2)の工程で得た成形体を1300℃以下の温度で焼成する工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0040】
(1)混合工程
チタン酸バリウムカルシウム(主成分)は、BaO等の副成分と混合される。そして、成形体(グリーンシート)作製用の混合物(スラリー)が調製される。
【0041】
チタン酸バリウムカルシウムは、市販のものが使用されてよい。また固相法により、チタン酸バリウムカルシウムが製造されてもよい。固相法に代えて、シュウ酸塩法、水熱合成法、アルコキシド法、ゾルゲル法等が用いられてもよい。
【0042】
チタン酸バリウムカルシウムの平均粒子径は、特に制限されない。好ましくは、平均粒子径は、50nm以上500nm以下である。より好ましくは、平均粒子径は、300nm以下である。なお、各粒子の平均粒子径は、実施例の方法により測定される値が採用される。
【0043】
誘電体磁器組成物の製造に用いられる副成分は、特に限定されない。上記各成分に係る説明にて例示した化合物が適宜使用される。また入手容易性、取り扱いの容易性および不純物の混入の抑制という観点から、使用する化合物が選択される。好ましくは、ケイ素酸化物(SiO
2等)、バリウム酸化物(BaO等)、炭酸バリウム(BaCO
3)、マンガン酸化物(MnO
2、Mn
2O
3、Mn
3O
4等)等が用いられる。なお、使用される副成分(副成分の原料)は、市販品でもよいし合成品でもよい。
【0044】
副成分として添加されるバナジウム化合物は、特に制限されない。例えば、V
2O
5、NH
4VO
3、VOCl
3、NaVO
3、KVO
3、Na
3VO
4、VCl
4、VOSO
4、VOCl
2、VO
2、VCl
3、V
2O
3、V
6O
13等が挙げられる。入手容易性や他の成分のコンタミネーションの抑制から、好ましくは、添加されるバナジウム化合物は、バナジウム酸化物である。バナジウム酸化物は、好ましくは、V
2O
5、VO
2、及びV
2O
3である。なお、これらバナジウム化合物は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いられてよい。
【0045】
使用するバナジウム化合物の平均粒子径は、特に制限されない。好ましくは、平均粒子径は、いずれも1000nm以下である。より好ましくは、平均粒子径は、50nm以上500nm以下である。なお、各粒子の平均粒子径は、実施例の方法により測定される値が採用される。
【0046】
BaO等の副成分の原料の添加量は、上述の各成分の含有量から算出できる。また、添加量は、各成分の好ましい含有量であってもよい。このため、ここでは詳細な説明は割愛される。
【0047】
(1)の工程は、一例として以下の方法により実行されてよい。本実施形態の誘電体磁器組成物の成分が溶媒中で湿式混合されることで、スラリーが作製する。なお、このスラリーに、バインダー、可塑剤、分散剤等の添加剤が混合されてもよい。また、潤滑剤、帯電防止剤等の他の添加剤が上記スラリーに添加されてよい。
【0048】
湿式混合に用いられる溶媒は、特に制限されない。例えば、水、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族系溶媒、又は、これらの2以上の組み合わせを用いることができる。アルコール系溶媒として、エタノール、メタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール等が挙げられる。グリコール系溶媒として、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。ケトン系溶媒として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル系溶媒として、酢酸ブチル、酢酸エチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。エーテル系溶媒として、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。芳香族系溶媒として、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの中でもアルコール溶媒、及び芳香族溶媒が好ましい。これら溶媒は、スラリーに含まれる各種添加剤の溶解性や分散性が良好である。アルコール溶媒は、好ましくは、メタノールやエタノール等の低沸点溶媒である。また、芳香族溶媒は、好ましくは、トルエン等の低沸点溶媒である。上記溶媒は、単独でもまたは2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用して使用されてよい。2種以上の溶媒を混合するときは、好ましくは、上記アルコール溶媒と芳香族溶媒とが混合される。
【0049】
溶媒の使用量は、好ましくは、主成分および副成分(副成分の原料)の全質量(合計質量)の0.5倍以上10倍以下である。溶媒の使用量は、より好ましくは、0.7倍以上5倍以下である。上記範囲であれば主成分、副成分(副成分の原料)、および添加剤等が十分に混合される。さらに、後に溶媒を除去する操作が簡便に実行される。
【0050】
スラリーに含まれ得るバインダーは、特に制限されない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂等が挙げられる。なお、上記バインダーは、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0051】
バインダーの使用量は、特に制限されない。好ましくは、バインダーは、主成分および副成分の全質量(合計質量)に対して、0.01質量%以上20質量%以下である。より好ましくは、バインダーは、0.5質量%以上15質量%以下である。この範囲とすることにより、成形体の密度が向上される。
【0052】
スラリーに含まれ得る可塑剤は、特に制限されない。例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(DEHP)、フタル酸ジ(2−エチルブチル)などのフタル酸系可塑剤、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)(DOA)などのアジピン酸系可塑剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのグリコール系可塑剤、トリエチレングリコールジブチレート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ(2−エチルヘキサノエート)などのグリコールエステル系可塑剤などが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)等のフタル酸系可塑剤である。フタル酸系可塑剤を用いると上記スラリーから製造されるグリーンシートの柔軟性が良好になる。なお、上記可塑剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0053】
可塑剤の使用量は、特に限定されない。好ましくは、可塑剤は、添加するバインダーの全質量に対して、5質量%以上50質量%以下である。より好ましくは、可塑剤は、10質量%以上50質量%以下である。特に好ましくは、可塑剤は、15質量%以上30質量%以下である。上記範囲とすることにより、可塑剤として十分な効果が得られる。
【0054】
スラリーに含まれ得る分散剤は、特に制限されない。例えば、リン酸エステル系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤等が挙げられる。これらの中でも、リン酸エステル系分散剤が好ましい。なお、上記分散剤は、単独でもまたは2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
【0055】
分散剤の使用量は、特に制限されない。好ましくは、分散剤は、主成分よび副成分の全質量(合計質量)に対して、0.1質量%以上5質量%以下である。より好ましくは、分散剤は、0.3質量%以上3質量%以下である。さらに好ましくは、分散剤は、0.5質量%以上1.5質量%以下である。上記範囲とすることにより、分散剤として十分な効果が得られる。
【0056】
湿式混合の方法としては、湿式ボールミル、攪拌ミル、またはビーズミルを用いることができる。湿式ボールミルは、直径0.1mm以上10mm以下の多数のジルコニアボールでもよい。湿式混合の混合時間は、例えば8時間以上48時間以下であってよい。好ましくは、混合時間は、10時間以上24時間以下である。
【0057】
(2)成形体を得る工程
(2)の工程は、従来公知の方法を用いることができ、特に限定されない。(2)の工程は、以下の方法により実行されてよい。まず、所定の大きさ及び形状となるように、(1)の工程で得たスラリーがシート成形される。例えば、ドクターブレード法又はダイコーター法等により、上記スラリーがシート状に成形される。その後、得られたシートは、積層され、ヒートプレス成形される。必要に応じて、成形体はチップ形状等の所望の形状に裁断されてよい。(2)の工程により、いわゆるグリーンシートが成形される。
【0058】
グリーンシートの厚さ(乾燥後の厚さ)は、特に制限されない。好ましくは、グリーンシートの厚さは30μm以下である。より好ましくは、グリーンシートの厚さは20μm以下である。一方、グリーンシートの厚さ(乾燥後の厚さ)の下限は特に限定されない。グリーンシートの厚さは実質的には0.5μm以上である。
【0059】
上記グリーンシートは、所望の厚さになるまで積層され、その後加熱圧着されてもよい。また、加熱圧着時の条件は特に制限されない。好ましくは、加熱圧着時の温度は50℃以上150℃以下である。好ましくは、加熱圧着時の圧力は10MPa以上200MPa以下である。好ましくは、加圧時間は1分以上30分以下である。加熱圧着の方法としては、温間等方圧加圧法(WIP)等が挙げられる。
【0060】
その後、グリーンシートを積層したものが裁断される。これにより、所望のチップ形状であるグリーンチップが作製されてもよい。
【0061】
得られたグリーンシート(またはグリーンチップ)中に含まれるバインダー成分等は、好ましくは、熱分解により除去される(脱脂処理)。脱脂処理の条件は、使用したバインダーの種類に依存するが、特に制限されない。好ましくは、脱脂条件は、180℃以上450℃以下で行われる。また脱脂処理時間は、特に制限されない。好ましくは、脱脂処理時間は0.5時間以上24時間以下である。脱脂処理は、空気中、または窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行なわれる。工程管理の簡便さの点から、好ましくは、脱脂処理は、空気中で行なわれる。
【0062】
(3)焼成工程
(3)の工程は、一例として、以下の方法により実行される。脱バインダー処理後の成形体に対して、本焼成を行う。本焼成の温度は、1300℃以下であってよい。本焼成の温度の下限は、特に制限されない。好ましくは、当該下限は1000℃以上である。より好ましくは、当該下限は1150℃以上である。本焼成の温度の範囲は、より好ましくは1200℃以上1300℃以下である。特に好ましくは、当該温度の範囲は1230℃以上1260℃以下である。焼成トップキープ時間は、特に制限されないが、1時間以上5時間以下としてもよい。好ましくは、焼成トップキープ時間は1時間以上3時間以下である。昇温条件は、50℃/h以上500℃/h以下としてもよい。好ましくは、昇温条件は100℃/h以上300℃/h以下である。焼成雰囲気は、特に制限されない。不活性ガス雰囲気下、又は、還元雰囲気下であってよい。還元雰囲気は、不活性ガスに水素及び/又は水蒸気等が混合されたものであってよい。
【0063】
[4]誘電体磁器組成物の適用対象
本実施形態の誘電体磁器組成物は、様々な電子部品に用いることができる。特に誘電体磁器組成物は高温下(例えば150℃以上)で信頼性が要求される電子部品に好適に用いられる。電子部品の一例として、誘電体磁器組成物を誘電体として含むキャパシタが挙げられる。別例として、誘電体磁器組成物を誘電体として含む多層積層セラミックキャパシタ(MLCC)が挙げられる。
【0064】
これらの電子部品は、例えば電気自動車のエンジンルーム内で使用される。また当該電子部品は、高い性能と信頼性を実現する。誘電体磁器組成物を含むMLCCは、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0065】
まず、上記[2](2)工程で得たグリーンシートに内部電極用導電性ペーストを印刷する。印刷の方法は、例えば、スクリーン印刷であってよい。また、内部電極用導電性ペーストは、Cu、Ni、Pt、Pd、Ag等が用いられる。内部電極用導電性ペーストが印刷されたグリーンシートを複数積層して積層体が形成される。
【0066】
続いて、内部電極用導電性ペーストが印刷されていないグリーンシートで、上記積層体が挟まれる。この後当該積層体は圧着される。その後、これを必要に応じて裁断してグリーンチップを形成する。その後、グリーンチップの脱バインダー処理及び本焼成により、コンデンサチップ体が得られる。焼成条件は、上記[2](3)工程と同様であってよい。なお、還元雰囲気下の焼成時に、得られたコンデンサチップ体が更にアニール処理されてよい。これにより、誘電体層の再酸化が可能となる。
【0067】
次に、コンデンサチップ体の端面から露出した内部電極の各端面は、外部電極と接続される。例えば、端面に外部電極用導電性ペーストを塗布することで外部電極が形成されてよい。外部電極用導電性ペーストとして、内部電極用導電性ペースト材料で挙げたものを用いてよい。又は同ペーストとして、Cu、Ag、Ag−10Pd、AgコートCu等の合金、及び/又は、グラファイト等のカーボン材料を用いてもよい。さらに必要に応じて、コンデンサチップ体にメッキ処理で被覆層を形成してもよい。
【0068】
電子部品の一例として、積層セラミックコンデンサが挙げられる。しかし、本実施形態に係る電子部品は、これに限定されるものではない。例えば、高周波モジュール、サーミスタ用電子部品、またはこれらの複合部品等、種々の他の部品が挙げられる。
【0069】
[5]実施例
表を用いて本願発明の実施例及び比較例を説明する。ただし本発明の技術範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
[原料]
実施例、比較例及び参考例において、以下のものが原料として用いられた。
(Ba
(1−a)Ca
a)TiO
3:チタン酸バリウムカルシウム(固相法により合成したもの、平均粒径300nm)
BaCO
3:BW−KH30(堺化学工業株式会社)
SiO
2:AELOSIL OX50(日本アエロジル株式会社)
MgO:500A(宇部マテリアルズ株式会社)
Mn
3O
4:Nano Tek(シーアイ化成株式会社)
VO
5/2:酸化バナジウム(太陽日酸株式会社、平均粒子径250nm)
Y
2O
3:酸化イットリウム(信越化学工業株式会社、平均粒径200nm)
Dy
2O
3:酸化ディスプロシウム(信越化学工業株式会社、平均粒径200nm)
Yb
2O
3:酸化イッテリビウム(信越化学工業株式会社)
Ho
2O
3:酸化ホロニウム(信越化学工業株式会社)
Gd
2O
3:酸化ガドリニウム(信越化学工業株式会社)
Tb
2O
3:酸化テルビウム(信越化学工業株式会社)
【0070】
チタン酸バリウムカルシウムは、下記原料を用いて製造された。
TiO
2:スーパータイタニア(登録商標):(F−2、昭和電工株式会社)
CaCO
3:炭酸カルシウム(宇部工業)
BaCO
3:BW−KH30(堺化学工業株式会社製)
チタン酸バリウムカルシウムは、チタン酸バリウム(BaTiO
3)のペロブスカイト構造のAサイトを占めるBa原子1モルに対して、Ca原子がaモル置換されている。チタン酸バリウムカルシウムは、原料の秤量、原料の混合、及び混合物の熱処理(仮焼)により得られた。このとき、原料は、炭酸バリウムが(1−a)モル、CaCO
3がaモル、および酸化チタンが1モルであった。また、原料は、湿式ボールミルを用いて水溶媒中にて混合された。更に、混合、乾燥、および粗粉砕された原料は、1000℃で3時間熱処理(仮焼)された。
【0071】
[実施例1から31、比較例1から11]
下記表1から表7のいずれかの組成比となるように、電子天秤により、使用する原料が計量された。なお、下記表1から表7中の、SiO
2、BaO、MnOおよびVO
5/2の量(モル)は、それぞれ、チタン酸バリウムカルシウム100モルに対するモル量である。また、SiO
2、BaCO
3、Mn
3O
4およびV
2O
5の添加量は、それぞれ、下記表1中のSiO
2、BaO、MnOおよびVO
5/2の比率となるようにして計量された。
【0079】
所定の組成に調合した原料粉末中に、溶媒および分散剤が添加された。溶媒は、エタノール/トルエン(60/40質量比)の混合溶媒が用いられた。また固形分が40質量%となるように溶媒の量が調整された。分散剤は、リン酸エステル系分散剤(BYK−103、ビックケミー・ジャパン製)が用いられた。分散剤は、チタン酸バリウムカルシウム、SiO
2、BaCO
3、Mn
3O
4およびV
2O
5の全質量(合計質量)に対して、1質量%となるように添加された。
【0080】
次に、3mmφのZrO
2ボールを用いて回転ボールミルによる湿式混合が25℃で14時間行なわれた。その後、バインダー溶液がさらに添加された。バインダーは、PVB(積水化学工業株式会社製、BH−3)が用いられた。溶液に含まれる溶媒はエタノール/トルエン(60/40質量比)の混合溶媒が用いられた。また溶液を調製するときは、PVB固形分が15質量%になるように溶媒の量が調整された。バインダー溶液は、PVB/各原料の合計=10/90質量比となるように添加された。
【0081】
次に、フタル酸ジオクチル(DOP)が添加された。DOPの添加量は、バインダー(PVB)に対して30質量%である。次に、回転ボールミルを用いて25℃で4時間混合を行うことで、セラミックススラリーが得られた。
【0082】
次に、得られたスラリーからグリーンシートが作製された。具体的には、PETフィルム上にスラリーを滴下し、ダイコーターを用いてシート状に成形して、グリーンシートを得た。得られたグリーンシートの厚さは、約4μm以上6μm以下であった。次に、グリーンシート上にNiを含有する導電性ペーストがスクリーン印刷された。これにより、グリーンシート上にNi導電性ペースト膜が形成された。
【0083】
その後、形成されたグリーンシートが複数枚積層された。具体的には、Ni導電ペースト領域が対向電極を形成するように互い違いにグリーンシートが積層された。この後、グリーンシートがヒートプレスされ、所定の寸法に切断されることで、コンデンサ本体のグリーンチップを得た。なお、ヒートプレスの条件は、加圧温度:80℃、加圧圧力:50MPa、及び加圧時間:3分である。
【0084】
この後、作製したチップは、熱処理された。具体的には、昇温速度12℃/h及び、350℃にて3時間保持する条件下でチップは、熱処理された。なお、チップの加熱は、N
2ガス(2L/min)の還元雰囲気中で行った。また、この熱処理により、チップに含まれるバインダーが燃焼された。
【0085】
次に、上記グリーンチップ(脱脂済チップ)は焼成された。焼成条件は、温度1200℃以上1300℃以下、N
2およびH
2混合ガス雰囲気下であった。なお、焼成の際に、酸素分圧が10
−8atom以上10
−9atom以下程度の還元雰囲気下に調整された。また焼成のトップ温度キープ時間は1時間とした。上記方法によりコンデンサ本体が得られた。
【0086】
次に、ガラスフリットを含むCuペーストがコンデンサ本体の両端面に塗布された。次に、N
2雰囲気中800℃でCuペーストが焼き付けられた。これにより内部電極と電気的に接続された外部電極を有する試験用積層セラミックコンデンサが作製された。
【0087】
上記積層セラミックコンデンサの外形寸法は長さ4.0mmである。また当該コンデンサの幅は2.0mmであり、厚さは0.5mmである。また、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは約3.8μmである。さらに、誘電体セラミック層は19層、および1層あたりの有効電極面積は2.55mm
2である。
【0088】
[評価]
上記実施例、比較例及び参考例で得られた誘電体磁器組成物を、下記の通り評価した。
【0089】
(1)XRD測定
各誘電体磁器組成物の結晶構造の同定は、XRD測定で行なわれた。測定の際に、X線回折装置が使用された。使用されたX線回折装置は、PANalytical社製である。なお、測定の際の条件は、線源:Cu−Kα、電圧:45kV、及び電流:40mAである。測定の結果、焼成した各誘電体磁器組成物が、主成分チタン酸バリウムカルシウムの結晶構造である正方晶、空間群(P4mm)を有することが確認された。
【0090】
(2)比誘電率
比誘電率の測定は、LCRメーターが用いられた。用いたLCRメーターは、Agilent社製 4284Aである。なお測定の際の測定条件は、AC電界強度: 0.35V/μm、周波数:1kHzである。得られた値は、表8から表14にそれぞれ示される通りである。
【0091】
(3)容量温度特性
容量温度特性は、−55℃から200℃までの温度範囲における、誘電体磁器組成物の静電容量の測定値である。静電容量の測定の際に、デジタルLCRメーターが用いられた。用いたデジタルLCRメーターは、日本ヒューレット・パッカード株式会社製、4284Aである。また測定条件は、周波数:1kHz、入力信号レベル:1Vrmsである。
【0092】
上記静電容量の測定から、下記式に従い、25℃における静電容量に対する各温度での静電容量の変化率(単位:%)が算出された。そして、当該変化率から、各温度における容量温度変化率(ΔC)が評価された。なお、容量温度特性の評価は、下記に示す通りにした。
(3a)X8R特性(IEA規格)
○:−55℃から150℃での容量温度変化率ΔCが、±15%以内である。
×:ΔCが、±15%の範囲から外れている。
(3b)X9M特性(IEA規格)
○:−55℃から200℃での容量温度変化率ΔCが、−50%以上+15%以内である。
×:ΔCが、「−50%以上+15%以内」から外れている。
【数2】
【0093】
(4)絶縁抵抗率
絶縁抵抗の測定には、高絶縁抵抗計が用いられた。用いた絶縁抵抗計は、Agilent社製 4339Bである。なお絶縁抵抗は、室温中で、DC電界強度: 10V/μmの条件のもとで測定された。得られた値は、表8から表14にそれぞれ示される通りである。
【0094】
(5)高温負荷信頼性試験
高温負荷信頼性試験のために、上記で作製した積層チップが100個準備された。次に、200℃の温度下にて電界強度20V/μmになるように、当該積層チップに電圧が印加された。このようにして、高温負荷信頼性試験による信頼性評価が実施された。なお、各チップの絶縁抵抗の経時劣化の測定から、故障か否かの判定がされた。具体的には、下記(5a)又は(5b)となった時点で故障と判定される。
(5a)チップに10mA以上のリーク電流が流れる時点
(5b)試料の絶縁抵抗値が1.0E+05Ω以下になった時点
【0095】
故障するまでの時間は、ワイブル解析により統計処理された。これにより平均故障時間(MTTF:Mean Time To Failure)が算出された。
【0096】
表8から表14に示されているものは、請求項に記載されている組成範囲の根拠となる実施例、及び比較例である。還元雰囲気(酸素分圧10
−8atom以上10
−9atom以下)下で試料を焼結することで、焼結性は評価された。なお、1200℃以上1300℃以下の温度範囲での試料の加熱により、焼結性は評価された。表中の「焼結不足」とは、焼結密度不足による焼結不良により電気特性が評価できないものをいう。
【0098】
表8より、0.05<a<0.15を満たすことにより、X9MとMTTFとの両立が図れることがわかる。
図1は、実施例2にて製造された誘電体磁器組成物のTCC曲線を示す図である。実施例2の誘電体磁器組成物は、130℃まで電気容量が安定している。またこの誘電体磁気組成物は、130℃を超えると電気容量が減少する。しかし、電気容量の減少の度合いが小さく、X8R要件もX9M要件も満足している。比較例2は、電気容量の温度特性(X9MおよびX8R)を満たす。しかし、比較例2は、ε<1700で誘電率が低い。このため、積層キャパシタを多層化しても、電気容量確保が困難である。
【0104】
表9から13より、bからfの範囲を適宜制御すれば、下記の効果を奏する。即ち、1300℃以下の比較的低温の範囲で焼成を行うことができる。また、X9MとMTTFとの両立も図れる。
【0106】
表14より、YOを有し、かつ5.0<g≦7.0を満たせば、下記の効果を奏する。即ち、X9MとMTTFとの両立が図れる。
【0107】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明した。ただし、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0108】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。