【実施例】
【0075】
実施例1:アルツハイマー病の免疫ワクチンの製造
実験材料
各菌株の培養および保管
本発明で使用した大腸菌菌株らは、LB(Luria Bertani)培地(Difco Co.)で培養した。使用した菌株らは、培養後、グリセロールが30%になるように添加した後−80℃超低温冷凍庫で保管した。本発明に用いられた菌株とプラスミドは、表1にまとめた。
【0076】
【表1】
【0077】
実験方法および実験結果
1. タンパク質の発現と精製
a. 敗血症ビブリオ菌由来FlaB組み換えタンパク質の発現および精製
敗血症ビブリオ菌CMCP6の鞭毛構成因子FlaBの遺伝子配列(配列表の配列番号1)を用いて、flaB組み換えタンパク質を製造した。フラジェリン遺伝子flaBのN−末端またはC−末端融合用のDNA断片を得るために配列表の配列番号8および配列番号9に記載されたFlaB−NおよびFlaB−Cプライマー対を使用してN−末端融合用の、またはC−末端融合用のFlaB遺伝子が含まれている1.1kbpのDNA断片を増幅した。即ち、それぞれのプライマー対を用いたPCR反応は、95℃で5分間の初期変性させた後、95℃で30秒間変性、60℃で30秒間のアニーリング、および2℃で1分間伸長するサイクルを30回繰り返した後、最後に2℃で10分間反応させる条件で実施した。
【0078】
大腸菌株発現のための発現システムは、NEB社のIntein−CNシステムを用い、当該システムのpTYB12プラスミドをEcoRIとPstIで制限酵素処理した後、増幅されたflaB PCR産物をライゲーション処理した(pCMM11101)。ライゲーションしたプラスミドは、E.coli ER2566発現菌株に電気的形質転換を介して形質転換させ、pTYB12プラスミドの選択マーカーであるアンピシリン含有LB寒天板上で生存した菌株のみを選び出して、配列表の配列番号8および配列番号9のPCRプライマーを用いて、その遺伝子産物の含有可否を確認した(CMM11101)。
【0079】
CMM11101大腸菌株を5ブロモ−インドール3−クロロイソプロピル−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)0.5mMを加えて発現を誘導した。メーカー(New England Biolabs Inc.)の指針に従って、キチン質ビーズコラムと1,4−ジチオトレイトール(1,4−DTT)を用いて、インテイン融合タンパク質から配列表の配列番号2のFlaBタンパク質を得た。分離されたタンパク質内に含有されている内毒素(endotoxin)はAffinityPak
TMDetoxi Ggl
TM Endotoxin Removing gel(Pierece社)を用いて除去した。
【0080】
b. 組み換えタウ反復ドメイン(repeated domain)の発現および精製
抗原としてヒトτ(タウ)タンパク質の過剰リン酸化に対する高い関連性を有している反復ドメイン(repeated domain; RD)全体を大腸菌を用いて組み換えタンパク質を製造した。組み換えタンパク質の生産のために、その遺伝子(配列表の配列番号4)を大腸菌に対してコドン最適化および遺伝子合成を行った(配列表の配列番号5)。クローニングの容易性のために、遺伝子合成時N−末端およびC−末端にそれぞれEcoRIおよびXhoI制限酵素認識遺伝子配列を追加した。融合用のDNA断片を得るために記載されたtauRD−N(配列表の配列番号10)およびtauRD−C(配列表の配列番号11)プライマー対を使用してN−末端融合用またはC−末端融合用のtauRD遺伝子が含まれてある1.1kbpのDNA断片を増幅した。つまり、それぞれのプライマー対を用いたPCR反応は、95℃で5分間の初期変性させた後、95℃で30秒間変性、60℃で30秒間のアニーリング、および72℃で1分間伸長するサイクルを30回繰り返した後、最後に72℃で10分間反応させる条件で実施した。大腸菌株の発現のための発現システムは、NEB社のIMPACT−CNシステムを用い、当該システムのpTYB12プラスミドをEcoRIとPstIで制限酵素処理した後、増幅されたtauRD PCR産物をライゲーション処理した(pCMM11102)。ライゲーション処理したプラスミドは、E.coli ER2566発現菌株に電気的形質転換を介して形質転換させ、pTYB12プラスミドの選択マーカーであるアンピシリン含有LB寒天板上で生存した菌株のみを選び出して、配列表の配列番号10及び配列番号11のPCRプライマーを用いて、その遺伝子産物の含有可否を確認した(CMM11102)。
【0081】
CMM11102大腸菌株を5−ブロモインドール3−クロロイソプロピルβ−D−ガラクトピラノシド(IPTG)0.5mMを加えて発現を誘導した。メーカー(New England Biolabs Inc.)の指針に従って、キチン質ビーズコラムと1,4−ジチオトレイトール(1,4−DTT)を用いて、インテイン融合タンパク質から配列表の配列番号3のアミノ酸配列を有するTauRDタンパク質を得た。分離されたタンパク質内に含有されている内毒素(endotoxin)はAffinityPak
TMDetoxi Gel
TM Endotoxin Removing gel(Pierece社)を用いて除去した。
【0082】
精製した組み換え融合タンパク質の発現を確認するためにSDS−PAGEを用いた組み換え融合タンパク質の分子量を確認した結果、13KDaサイズの組み換え融合タンパク質が製造されることを確認した(
図2)。
【0083】
精製した組み換え融合タンパク質が、適切なタウタンパク質の断片であるかを確認するために抗−タウ抗体を用いてウエスタンブロットを実施した結果、抗−タウ抗体に特異的なバンドを確認した(
図2)。
【0084】
c. 組み換えFlaB−TauRD融合タンパク質製造用の遺伝子クローニング
pCMM11101のflaB遺伝子をEcoRIとPstI制限酵素を用いて処理し、pCMM11102も同じ制限酵素処理した後、アガロースゲル電気泳動を通じて、それぞれのflaB遺伝子切片とpCMM11102プラスミドを精製した。この二つの遺伝子をライゲーションしてpTYB12::flaB−tauRD遺伝子融合プラスミドを製造した(pCMM11103)。ライゲーションしたプラスミドは、E.coli ER2566発現菌株に電気的形質転換を介して形質転換させ、pTYB12プラスミドの選択マーカーであるアンピシリン含有LB寒天板上で生存した菌株のみを選び出して、配列表の配列番号8及び配列番号11のPCRプライマーを用いて、その遺伝子産物の含有可否を確認した(pCMM11104)。
【0085】
pCMM11103大腸菌株を5ブロモインドール3−クロロイソプロピルβ−D−ガラクトピラノシド(IPTG)0.5mMを加えて発現を誘導した。メーカー(New England Biolabs Inc.)の指針に従って、キチン質ビーズコラムと1,4−ジチオトレイトール(1,4−DTT)を用いて、インテイン融合タンパク質から配列表の配列番号6のFlaB−TauRD融合タンパク質を得た。分離されたタンパク質内に含有されている内毒素はAffinityPak
TMDetoxi Gel
TM Endotoxin Removing gel(Pierece社)を用いて除去した。
【0086】
精製したFlaB−TauRDの的確性を確認するために、SDS−PAGEおよびFlaB特異的マウス抗血清を用いてウエスタンブロットを行った。その結果、精製したFlaB−TauRD融合タンパク質は、57KDaサイズの諸サイズのバンドを見せ、ウェスタンブロット上でもFlaB特異的抗血清と結合することを確認した(
図3)。
【0087】
図4は、FlaBと一部のTauタンパク質を発現させたTau−Agを免疫して得た抗血清がTau pathologic conformerのPHFと反応する「構造認識抗体」の生成を誘導することを示す実験結果を示す。免疫に使用したTau−AgをSDS−PAGE方法で分離した後、ナイロン膜にトランスファーしポンソーS染色した結果、単量体タンパク質を確認した。同じ方法で準備した膜をFlaBとTau−Agを免疫して得た抗血清で免疫ブロットした場合には、単量体バンドは殆ど認識できず、ポンソーS 染色では全く観察されなかった極少量の多量体構造体を強力に認識した。これを反証するために、多量体構造を維持させた状態で、native PAGEした後、免疫ブロットした結果、標準血清は全く感知できない多量体構造体を免疫血清は強く反応することを確認した。これは、本発明で誘導された抗血清は、アルツハイマー病を誘発するタウ凝集体に対して、はるかに高い結合力を示すものである。
【0088】
d. 組み換えFlaB−TauRDタンパク質の特性確認
(1)組み換えFlaB−TauRDタンパク質のTLR5刺激能の確認
精製した組み換えタウ−RDペプチド自体がフラジェリンの作用点であるTLR5に対して刺激能を保持しているかどうかを確認するために、ウェル平板培養基に293−T細胞を1×10
5細胞ずつ分注して一夜培養した後、EFFECTENE(Effectene、QIAGEN)を用いて、NF−κ−Lucプラスミド(漢陽大学校医学部微生物学教室のKim Jeongmok教授から取得)、TLR−5遺伝子がクローニングされたp3xFlag−hTLR−5プラスミド(米国Wake Forest University School of Medicine、Department of Microbiology and ImmunologyのSteven B. Mizelから取得)およびβ−ガラクトシダーゼ(β−galactosidase)発現対照群ラスミド(Clontech)を同時に細胞内に導入させた。24時間追加培養した後、新しい培地に交換し、IMPACTシステムで分離したFlaBおよびタウ−RDペプチドを一定時間処理した後、ルシフェラーゼ(luciferase)活性を発光分析器(Luminometer、Berthold社)を用いて測定してNF−κBの転写精度を確認し、その結果を
図5に示した。
図5の結果から抗原として用いた遺伝子組み換えタウ−RDペプチドはTLR5刺激能を見せなかったが、FlaB−TauRD融合タンパク質は、FlaB対比の有意なTLR5刺激能を示した。
【0089】
(2)組み換えFlaB−TauRD混合ワクチン投与によるタウ抗原特異的抗体形成能の比較
本発明によるフラジェリンタウ−RDペプチド混合ワクチンを6週齢の雌Balb/cマウス(オリエントバイオ、韓国)の鼻腔内へ1週間間隔で3回、5回および6回免疫した後、血清を得てタウ−RDペプチド特異的な抗体の形成を比較した(
図6)。比較のために、組み換えフラジェリンタウ−RDタンパク質を96ウェル平板ELISAプレートにコーティングした後、免疫で得られた抗血清を2倍連続−希釈して処理して間接ELISA法を通じて確認した。
【0090】
その結果、フラジェリンタウ−RDペプチド混合ワクチンは、タウ−RDペプチド単独免疫群に比べて高い血清内のIgG形成を示した。それぞれ異なる容量の抗原処理時、3回免疫時には、統計的に有意ではない容量−反応関係を示したが、5回免疫後の場合には、抗原6μg処理群と10μg処理群の間で統計的に有意な抗原特異的抗体形成能を確認することができた。10μg処理群と14μg処理群の間で抗原特異的抗体形成能の差は確認することができなかった(
図7a)。
【0091】
3回、5回および6回の免疫後の抗原特異的抗体形成能を比較した結果では、3回投与群と5回投与群の間で統計的に有意な抗原特異的な抗体形成能の違いを確認することができたが、5回投与群と6回投与群の間では、統計的に有意な差を確認することができなかった(
図7b)。
【0092】
(3)組み換えFlaB−TauRDタンパク質の凝集体形成
本発明で誘導された抗血清が脳の特異的抗原が自ら凝集体を形成して精製5日後に、
図8のようにPHFの形態の凝集体を形成することを、電子顕微鏡を介して確認した。
【0093】
(4)組み換えFlaB−TauRDタンパク質の凝集体誘導
タンパク質のβシート(sheet)の構造に特異的に結合するチオフラビンS(thioflavin S; Green)でタウタンパク質凝集体(精製したタウ−RDペプチドにヘパリン(heparin)を処理して凝集を誘導)を染色し、本発明品の免疫で得られた抗血清を抗−マウスIgGラビットIgGをAlexa fluor 633(Molecular probe)で染色した後、共焦点レーザー顕微鏡を用いてタウタンパク質と抗血清の結合可否および程度を比較した。
【0094】
実験の結果、本発明で誘導された抗血清は、凝集誘導2日目に比べて5日目(より多く凝集された)タウタンパク質に結合する様相を見せた(
図9)。
【0095】
(5)組み換えFlaB−TauRDタンパク質の凝集阻害効果
本発明で誘導された抗タウ血清のタウ凝集阻害効果を確認するために、本発明で誘導された抗血清を、組み換えタウ−RDペプチドに前処理して除去した後、ヘパリンを用いてタウペプチドの凝集を誘導し凝集体の形成程度を透過電子顕微鏡を介して確認した。
【0096】
生理食塩水を免疫して獲得した対照血清を前処理した場合には、タウタンパク質の凝集が観察されるが、本発明で誘導された抗血清を前処理した場合には、タウタンパク質の凝集が低下する現象を観察した(
図10)。
【0097】
(6)組み換えFlaB−TauRDタンパク質の貪食活性
本発明で誘導された抗血清が脳の特異的抗原提示細胞である小膠細胞細胞株(BV2細胞株、全南大学校医学部のMoon Changjong教授研究室の分譲)のタウ凝集体のオプソニンの食作用(opsonic phagocytosis)の促進可否を確認する実験を行った。組み換えタウ−RDペプチドをヘパリンを用いて、3日間凝集を誘導した後、FNR 488(Green、BioActs、韓国)を用いて染色した。10秒間超音波破砕を通じてタウ凝集体を分けた後、培養したBV2細胞株に、本発明による抗タウ血清と一緒に処理した。対照群としてはPBS免疫を通じて取得した対照血清を用いた。培養30分後、培地を除去し、BV2細胞の核はDAPI(Blue)で染色し、BV2細胞の細胞膜は、麦芽凝集素(Wheat germ agglutinin; WGAは、Red)を用いて染色した後、共焦点顕微鏡を用いて破砕タウ凝集体の貪食可否および程度を比較した。
【0098】
その結果、本発明で誘導された抗血清で処理した破砕タウ凝集体は、BV2細胞によって貪食されたが、対照血清処理群では、このような現象が発見されなかった。これは、本発明で誘導された抗血清が脳の特異的な抗原提示細胞に高いオプソニンの貪食能を提供することを意味する(
図11)。
【0099】
実施例2:ノロウイルス免疫ワクチンの製造
a. ノロウイルスPドメイン抗原配列及びコドン最適化
ノロウイルスワクチン製造のための抗原用のDNAは、全南大学校のCho Kyeongo教授から取得したノロウイルスPドメインがクローニングされたpGEX−4T−1::VAxxxを用いた。挿入遺伝子配列は、配列表の配列番号12と同一である。
【0100】
b. 組み換えPd抗原製造用の遺伝子クローニング
抗原用のPd遺伝子のN−末端またはC−末端融合用のDNA断片を得るために、配列表の配列番号16及び配列番号17に記載されたPd−NおよびPd−Cプライマー対を使用して配列表の配列番号12のPdを含むプラスミドを鋳型としてPd遺伝子が含まれている1.1kbpのDNA断片を増幅した。即ち、それぞれのプライマー対を用いたPCR反応は、95℃で5分間初期変性させた後、95℃で30秒間変性、60℃で30秒間のアニーリング、および72℃で1分間伸長するサイクルを30回繰り返した後、最後に72℃で10分間反応させる条件で実施した。
【0101】
大腸菌株発現のための発現システムは、NEB社のIMPACT−CNシステムを利用し、当該システムのpTYB12プラスミドをEcoRIとPstIで制限酵素処理した後、増幅されたPd PCR産物をライゲーション処理した(pCMM11105)。ライゲーションしたプラスミドは、E.coli ER2566発現菌株に電気的形質転換を介して形質転換させ、pTYB12プラスミドの選択マーカーであるアンピシリン含有LB寒天板上で生存した菌株のみを選び出して、配列表の配列番号16及び配列番号17のPCRプライマーを用いて、その遺伝子産物の含有可否を確認した(pCMM11105)。
【0102】
pCMM11105大腸菌株を5−ブロモインドール−3−クロロイソプロピル−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)0.5mMを加えて発現を誘導した。メーカー(New England Biolabs Inc.)の指針に従って、キチン質ビーズコラムと1,4−ジチオトレイトール(1,4−DTT)を用いて、インテイン融合タンパク質から配列表の配列番号15のFlaB−Pd融合タンパク質を得た。分離されたタンパク質内に含有されている内毒素はAffinityPak
TMDetoxi Gel
TM Endotoxin Removing gel(Pierece社)を用いて除去した。
【0103】
精製した組み換えPdタンパク質の的確性を確認するために、SDS−PAGEを実施した(
図12)。その結果、精製した組み換えPdタンパク質は44KDaサイズの諸サイズのバンドを示した。
【0104】
c. 組み換えFlaB−Pd融合タンパク質製造用の遺伝子クローニング
pCMM11101のflaB遺伝子をEcoRIとPstI制限酵素を用いて処理し、pCMM11105も同じ制限酵素処理した後、アガロースゲル電気泳動を通じて、それぞれのflaB遺伝子切片とpCMM11104プラスミドを精製した。この二つの遺伝子をライゲーションしてpTYB12::flaB−Pd遺伝子融合プラスミドを製造した(pCMM11106)。ライゲーションしたプラスミドは、E.coli ER2566発現菌株に電気的形質転換を介して形質転換させ、pTYB12プラスミドの選択マーカーであるアンピシリン含有LB寒天板上で生存した菌株のみを選び出して、配列表の配列番号8及び配列番号17のPCRプライマーを用いて、その遺伝子産物の含有可否を確認した(pCMM1106)。
【0105】
pCMM11105大腸菌株を5−ブロモインドール−3−クロロイソプロピル−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)0.5mMを加えて発現を誘導した。メーカー(New England Biolabs Inc.)の指針に従って、キチン質ビーズコラムと1,4−ジチオトレイトール(1,4−DTT)を用いて、インテイン融合タンパク質から配列表の配列番号15のFlaB−Pd融合タンパク質を得た。分離されたタンパク質内に含有されている内毒素はAffinityPak
TMDetoxi Gel
TM Endotoxin Removing gel(Pierece社)を用いて除去した。
【0106】
精製したFlaB−Pdの的確性を確認するためにSDS−PAGEおよびFlaBまたはPd特異的マウス抗血清を用いてウエスタンブロットを行った。その結果、精製したFlaB−Pd融合タンパク質は、44KDaサイズの諸サイズのバンドを見せ、ウェスタンブロット上でもFlaBおよびPd特異的抗血清と結合することを確認した(
図13)。
【0107】
d. 組み換えFlaB−Pdタンパク質の特性確認
(1)組み換えflaB−Pdタンパク質のTLR5刺激能
FlaB−Pd融合タンパク質の生体効果を類推するために、24ウェル平板培養基に293−T細胞を1X105細胞ずつ分注して一夜培養した後、Effectene(QIAGEN)を用いて、NF−κB−Lucプラスミド(漢陽大学校医学部微生物学教室のKim Jeongmok教授から取得)とTLR−5遺伝子がクローニングされたp3xFlag−hTLR−5プラスミド(米国Wake Forest University School of Medicine, Department of Microbiology and ImmunologyのSteven B. Mizelから取得)β−ガラクトシダーゼ(β−galactosidase)発現対照群プラスミド(Clontech)を同時に細胞内に導入させた。24時間追加培養した後、新しい培地に交換し、上記で製造しIMPACTシステムで分離したFlaB−Pd融合タンパク質を一定時間処理した後、ルシフェラーゼ(luciferase)活性を発光分析器(Luminometer、Berthold社)を用いて測定してNF−κB転写精度を確認し、その結果を
図14に示した。
【0108】
(2)組み換えFlaB−Pdタンパク質の構造認識
製造したPdおよびFlaB−Pdタンパク質のワクチン効能を検証するためにオリエント社から購入した6週齢の雌Balb/cマウスを用いた。
【0109】
図15のスケジュールでPBS(陰性対照群)、Pd(1μg)、FlaB(1.2μg)+Pd(1.2μg)混合投与、FlaB−Pd(2.2μg)融合タンパク質をそれぞれマウスの鼻腔を介して3回投与した。そして、最後投与の7日後、マウスの全血を獲得した後、血清を分離した。
【0110】
図16は、ノロウイルスPd抗原の場合に、FlaBと混合投与するだけでは、構造認識抗体が生成されなかったが、組み換えFlaB−Pdタンパク質を抗原として免疫した場合にのみ、単量体は認識できず、抗原構造が維持された細胞溶解物を用いたドットブロット(dot blot)で抗原と反応する構造認識抗体を生成させた。これは抗原によって、タンパク質工学を通じて特殊な抗原構造を備える必要があることを意味する。
【0111】
(3)電子顕微鏡観察
組み換えノロウイルスPドメインタンパク質とFlaB−Pドメイン融合タンパク質をそれぞれ精製した後、試料らを酢酸ウラニル(uranyl acetate)で染色した後、炭素グリッド(carbon grid)に2μl落とし乾燥した後、JEOL JEM−2100F透過電子顕微鏡を用いて30kVの加速電圧で観察した。その結果、ノロウイルスPドメインの組み換えタンパクでVLP(virus like particle)構造の形成が観察された。FlaB−Pドメイン融合タンパク質の場合、VLPの形態が観察されるが、これらをサブウニット(subunit)にして、互いに凝集された構造を観察することができた(
図17)。
【0112】
(4)IgGおよびIgAの力価を観察
図15の免疫スケジュールを用いて、6週齢の雌BalB/cマウスに、組み換えPドメイン抗原単独、FlaBとPドメインの混合、FlaB−Pドメイン融合タンパク質ワクチンをマウス鼻腔を介して投与した。3回の免疫後、マウスの全血(
図18:血清IgG、
図19の血清IgA)および糞便(
図20糞便内の分泌性IgAの力価測定)を回収した後、血清を分離した後、組み換えPドメインタンパク質を抗原とする抗原特異的抗体力価をELISAを用いて確認した(2次IgG抗体; Goat Anti−Mouse IgG、Human ads−HRP Cat. No.1030−05、SouthernBiotech、Birmingham、AL 35260、USA:2次IgA抗体; Goat Anti−Mouse IgA−HRP Cat. No.1040−05, SouthernBiotech, Birmingham, AL 35260, USA利用)(
図18〜20)。その結果、Pドメイン単独投与群に比べてFlaB−Pドメインの混合投与およびFlaB−Pドメインの融合ワクチン投与群の両方で有意な抗原特異的抗体力価の上昇を確認することができた。