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特開2021-21082複合ヒアルロン酸架橋物及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-21082(P2021-21082A)
(43)【公開日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】複合ヒアルロン酸架橋物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08B 37/08 20060101AFI20210122BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20210122BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20210122BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20210122BHJP
   A61L 27/20 20060101ALI20210122BHJP
   A61L 27/52 20060101ALI20210122BHJP
   A61L 27/54 20060101ALI20210122BHJP
   A61L 27/58 20060101ALI20210122BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20210122BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210122BHJP
【FI】
   C08B37/08 Z
   A61K31/728
   A61K35/74 Z
   A61K47/36
   A61L27/20
   A61L27/52
   A61L27/54
   A61L27/58
   A61P19/02
   A61P17/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-183313(P2020-183313)
(22)【出願日】2020年10月30日
(62)【分割の表示】特願2018-538690(P2018-538690)の分割
【原出願日】2016年6月1日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0011843
(32)【優先日】2016年1月29日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2016-0012519
(32)【優先日】2016年2月1日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 ソン チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヒュン イル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ヒョ スン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 バク ホ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C086
4C087
4C090
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076BB32
4C076CC09
4C076CC18
4C076EE37
4C076EE47
4C076FF63
4C076FF65
4C076FF67
4C076FF68
4C081AB11
4C081BA17
4C081BB07
4C081CD081
4C081DA12
4C081EA01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA04
4C086EA25
4C086MA67
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZA96
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC71
4C087CA10
4C087CA14
4C087MA67
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZA96
4C090AA05
4C090AA09
4C090BA67
4C090BC15
4C090BC24
4C090BD08
4C090BD10
4C090CA36
4C090DA01
4C090DA02
4C090DA03
4C090DA22
4C090DA23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒアルロン酸架橋物の製造方法、複合ヒアルロン酸架橋物、及び複合ヒアルロン酸架橋物を含む生体適合性素材の提供。
【解決手段】エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と架橋反応させる段階を含み、前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを5〜13%w/w含むアルカリ水溶液である、保存弾性率(G’)50〜200Pa及び損失弾性率(G’’)20〜100Paであるヒアルロン酸架橋物の製造方法。前記ヒアルロン酸は、分子量100,000〜6,000,000であるヒアルロン酸ナトリウムであることが好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と架橋反応させる段階を含む弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物の製造方法。
【請求項2】
アルカリ水溶液中で、請求項1に記載の方法によって製造されたヒアルロン酸架橋物を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤とさらに架橋反応させる段階を含む弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物の製造方法。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸は、微生物発酵によって生成されたヒアルロン酸である、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、またはこれらの混合物を含む、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ヒアルロン酸の塩は、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸コバルト、ヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ヒアルロン酸は、分子量約100,000〜6,000,000であるヒアルロン酸ナトリウムである、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤は、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4−butandiol diglycidyl ether:BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether :EGDGE)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(1,6−hexanediol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(polypropylene glycol diglycidyl ether)、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(polytetramethylene glycol diglycidyl ether)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(neopentyl glycol diglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerol polyglycidyl ether)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(tri−methylpropane polyglycidyl ether)、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エチレン (1,2−bis(2,3−epoxypropoxy)ethylene)、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル(pentaerythritol polyglycidyl ether)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを約5〜13%w/wで含むアルカリ水溶液である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを約5〜13%w/wで含む約0.7〜1.3%w/w水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物、並びに弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物を含む複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項11】
エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む方法によって製造された弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、
アルカリ水溶液中で、前記弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む方法によって製造された弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、を含む複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項12】
弾性約100〜150Pa及び粘度約20〜60Paである、請求項10または11に記載の複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項13】
前記弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物とが、約8:2〜9:1の重量比で組み合わせられている、請求項12に記載の複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項14】
前記複合ヒアルロン酸架橋物は、平均粒子サイズが約500〜750μmになるように粒子化されている、請求項12に記載の複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項15】
請求項10または11に記載の複合ヒアルロン酸架橋物を含む生体適合性素材。
【請求項16】
前記生体適合性素材は、関節炎治療用挿入物、シワ用フィラー、整形用フィラー及び薬物伝達体からなる群から選択される、請求項15に記載の生体適合性素材。
【請求項17】
請求項1に記載の製造方法によって製造された弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、請求項2に記載の製造方法によって製造された、弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物とを組み合わせる段階を含み、
製造しようとする複合ヒアルロン酸架橋物の粘弾性により、前記組み合わせ比率を調節する複合ヒアルロン酸架橋物を製造する方法。
【請求項18】
前記弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、前記弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物とが、約9:1〜8:2の重量比で組み合わせられている、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒアルロン酸架橋物の製造方法、及びその製造方法によって製造されたヒアルロン酸架橋物を含む、生体適用に適する粘弾性を有する複合ヒアルロン酸の架橋物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸は、N−アセチル−D−グルコサミンとD−グルクロン酸とからなる反復単位(repeating unit)が線形で連結されている生体高分子物質であり、動物の胎盤、眼球のガラス液、関節の滑液または鶏の肉冠などに多く存在すると知られている。また、ヒアルロン酸は、ストレプトコッカス属微生物(例:Streptococcus equi,Streptococcus zooepidemecus)またはスタフィロコッカス属微生物による発酵によっても生産されると知られている。
【0003】
現在、米国には、1回投与だけで6ヵ月間効果が持続するヒアルロン酸架橋物注射剤であるSynvisc−one(登録商標)が市販されている。Synvisc−one(登録商標)は、鶏肉冠のヒアルロン酸を、ホルマリン含有水溶液で抽出しながら得られたヒアルロン酸架橋物を含み、ヒアルロン酸に連結されたタンパク質がホルマリンによって弱く架橋され、低い粘弾性を有する(US4,713,448)。前記弱く架橋されたヒアルロン酸は、追加して架橋剤DVS(ジビニルスルホン)によってさらに架橋され、増大した粘弾性を有するヒアルロン酸架橋物と組み合わされ、人体の関節腔に適用するのに適する粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物(Synvisc−one(登録商標))を構成する。
【0004】
ところで、鶏肉冠のような動物由来ヒアルロン酸は、動物起源ウイルス、及び原料品質の均一性問題によって品質管理が容易ではないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低い粘弾性のヒアルロン酸架橋物の製造方法を提供する。
【0006】
本発明は、生体適用に適する粘弾性を有する複合ヒアルロン酸の架橋物を提供する。
【0007】
本発明は、前記複合ヒアルロン酸の架橋物を含む生体適合性素材を提供する。
【0008】
本発明は、生体適用に適する粘弾性を有する複合ヒアルロン酸の架橋物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む、弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様は、アルカリ水溶液中で、前記本発明の一態様による製造方法によって製造されたヒアルロン酸架橋物を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸架橋物の製造方法を提供する。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、
前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、
前記弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、を含む複合ヒアルロン酸架橋物を提供する。
【0012】
本発明のさらに他の態様は、
エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む方法によって製造された、弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、
アルカリ水溶液中で、前記弾性約50〜200Pa及び粘度約20〜100Paのヒアルロン酸架橋物を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む方法によって製造された、弾性約400〜800Pa及び粘度約40〜100Paのヒアルロン酸架橋物を含む複合ヒアルロン酸架橋物と、を提供する。
【0013】
本発明のさらに他の態様は、
前記本発明による任意の複合ヒアルロン酸架橋物を含む生体適合性素材を提供する。
【0014】
本発明のさらに他の態様は、
前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物、並びに前記弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸架橋物を組み合わせる段階を含み、
製造しようとする複合ヒアルロン酸架橋物の粘弾性により、前記組み合わせ比率を調節するものである、複合ヒアルロン酸架橋物を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一又は複数の実施形態によるヒアルロン酸架橋物の製造方法によれば、アルカリ水溶液中で、エポキシ系架橋剤を利用したヒアルロン酸の架橋物を製造するとき、エタノールをアルカリ水溶液中に含有させることにより、粘弾性が低いヒアルロン酸の架橋物を製造することができ、反応条件により、ヒアルロン酸架橋物の粘弾性調節が可能になった。また、低い粘弾性のヒアルロン酸架橋物を、追加してさらに架橋させて製造された高い粘弾性のヒアルロン酸架橋物と組み合わせることにより、所望の粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を製造することができるようになった。従って、本発明の一態様によれば、生体に適用するのに適する粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を製造することができ、特に、人体関節液と類似した粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を得ることができ、骨関節炎の治療に効果的に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による複合ヒアルロン酸架橋物の製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態によって製造された、高分子量(約2.5MDa)ヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合比率を9:1で製造した複合ヒアルロン酸架橋物に対して、粒度を測定した結果を示した粒度分布グラフである。
図3】本発明の一実施形態によって製造された、高分子量ヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合比率を9:1で製造した複合ヒアルロン酸架橋物に対するMTT(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)分析の結果として得られた細胞生存率を、陽性対照群(テフロン(登録商標))及び陰性対照群(ラテックス)に係わる結果と共に示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0018】
本発明で使用される全ての技術用語は、特に定義されない限り、本発明の関連分野において、通常の当業者が一般的に理解するような意味で使用される。また、本明細書には、望ましい方法や試料が記載されるが、それと類似しているか、あるいは同等なものも、本発明の範疇に含まれる。また、明細書に記載された数値の記載は、特に定義されない限り、「約」の意味を含むものと解釈される。本明細書に、参考文献として記載される全ての刊行物の内容全部は、本明細書に参照により援用される。
【0019】
本発明者らは、微生物由来の精製されたヒアルロン酸原料を利用し、弱く架橋されたヒアルロン酸架橋物を製造するために、ホルマリン使用を試みたが、微生物由来の精製されたヒアルロン酸は、低いタンパク質含量により、ホルマリンによる架橋物を得ることができなかった。それにより、タンパク質含量が低い微生物由来の精製されたヒアルロン酸を弱く架橋させることができる方法について研究した結果、アルカリ水溶液中で、多官能性エポキシ系架橋剤を利用する従来のヒアルロン酸の架橋反応において、アルカリ水溶液中にエタノールを付加して架橋反応を行う場合、ヒアルロン酸が弱く架橋され、新たな範囲の低い粘弾性を有するヒアルロン酸架橋物を製造することができることを発見した。また、前記弱く架橋されて低い粘弾性を有するヒアルロン酸架橋物に対して、多官能性エポキシ系架橋剤を利用して二次架橋反応を行う場合、さらに架橋され、増大した粘弾性を有するヒアルロン酸架橋物を得ることができるということを確認した。
【0020】
本発明の一態様は、弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物を提供する。
【0021】
前記ヒアルロン酸架橋物は、特定架橋方法によって製造されたヒアルロン酸架橋物に限定されるものではない。
【0022】
一実施形態において、前記ヒアルロン酸架橋物は、エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と架橋反応させる段階を含む方法によって製造され、下記においてさらに詳細に説明する。
【0023】
前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物は、ヒアルロン酸が使用される任意の生体適合性素材として使用され、例えば、関節炎治療用挿入物、シワ用フィラー、整形用フィラー及び薬物伝達体からなる群から選択されてもよい。必要な場合、前記ヒアルロン酸架橋物は、さらに架橋反応を行って得られるさらに高い粘弾性を有するヒアルロン酸架橋物と組み合わされ、さらに適する生体適合性素材としても使用される。
【0024】
本発明は、他の態様において、エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と架橋反応させる段階を含む、弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物の製造方法を提供する。
【0025】
本発明は、さらに他の態様において、アルカリ水溶液中で、前記製造方法によって製造されたヒアルロン酸架橋物を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤とさらに架橋反応させる段階を含む、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸架橋物の製造方法を提供する。
【0026】
本明細書では、前記製造方法によって製造された、弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物を「一次架橋物」、その一次架橋物に対してさらに架橋反応を行って製造された、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸架橋物を「二次架橋物」と命名する。前記一次架橋物は、ヒアルロン酸ゲルの形態を有し、前記二次架橋物は、ヒアルロン酸粒子の形態を有することができる。
【0027】
本明細書において、前記ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸自体、ヒアルロン酸の塩、またはこれらの混合物をいずれも含む意味に解釈される。前記ヒアルロン酸の塩は、生体に適用するのに適する任意の塩形態でもあり、例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸コバルト、ヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。一実施形態において、前記ヒアルロン酸の塩は、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0028】
前記ヒアルロン酸は、分子量100,000〜6,000,000であるヒアルロン酸でもある。前記分子量によって、生成されるヒアルロン酸架橋物の粘弾性が異なる。
【0029】
一実施形態において、前記ヒアルロン酸は、分子量100,000〜6,000,000であるヒアルロン酸ナトリウムである。
【0030】
前記ヒアルロン酸は、当該技術分野で公知の任意のヒアルロン酸を含み、任意の原料から得たヒアルロン酸を利用することができる。前記ヒアルロン酸は、動物(例:動物胎盤、鶏の肉冠)でもあり、発酵時、ヒアルロン酸を生産することができる任意の微生物(例:スタフィロコッカス属(Staphylococcus)微生物、ストレプトコッカス属(Streptococcus)微生物)由来のヒアルロン酸でもある。
【0031】
一実施形態において、前記ヒアルロン酸は、微生物由来のヒアルロン酸であり、例えば、スタフィロコッカス属微生物由来のヒアルロン酸である。微生物由来のヒアルロン酸は、動物起源ヒアルロン酸のウイルス問題、あるいは原料品質の均一性問題から自由であり、医薬品としての製造時、品質管理の側面で優秀であるという長所がある。
【0032】
前記2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤は、当該技術分野で公知の2個以上のエポキシ作用基を有する任意のエポキシ系架橋剤であり、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4−butandiol diglycidyl ether: BDDE )、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether :EGDGE)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(1,6−hexanediol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(polypropylene glycol diglycidyl ether)、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(polytetramethylene glycol diglycidyl ether)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(neopentyl glycol diglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerol polyglycidyl ether)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(tri−methylpropane polyglycidyl ether)、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エチレン(1,2−bis(2,3−epoxypropoxy)ethylene)、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル(pentaerythritol polyglycidyl ether)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0033】
一実施形態において、前記2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤は、ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0034】
一実施形態において、前記エポキシ系架橋剤は、前記ヒアルロン酸またはヒアルロン酸架橋物対比で、約10μl/g〜100μl/gの範囲で反応させることができ、さらに具体的には、約20μl/g〜100μl/gの範囲で反応させることができる。前記エポキシ系架橋剤が、前記範囲より少ない量で反応する場合、一次架橋物の場合、ゲル形成がなされず、二次架橋物の場合、粒子状の架橋物が形成されない恐れがあり、前記範囲より過量で反応する場合、一次架橋物の目安にする低い粘弾性のゲルではない粒子状の架橋物が形成される恐れがある。
【0035】
前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを約5〜13%w/wで含むアルカリ水溶液でもある。前記エタノール濃度の変化により、ヒアルロン酸架橋物の粘度を調節することができ、前記エタノール濃度範囲において、ヒアルロン酸ナトリウムがエタノールに抽出されずに、安定して混合して架橋反応が可能である。
【0036】
前記アルカリ水溶液は、pH9〜13のアルカリ水溶液でもあり、ヒアルロン酸架橋物の製造に使用されるものであり、公知の任意のアルカリ水溶液でもある。例えば、前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液またはアンモニア水である。一実施形態において、前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム水溶液である。
【0037】
一実施形態において、前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを約5〜13%w/wで含む約0.7〜1.3%w/w水酸化ナトリウム水溶液である。
【0038】
実験結果から、アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させるとき、アルカリ水溶液中に、エタノール以外のアルコール(例:メタノール、イソプロパノール)が含有される場合には、ヒアルロン酸ゲルが形成されないと分かり、エタノールが含有される場合には、ヒアルロン酸ゲルが形成されると分かり、反応時間により、粘弾性が異なるということが確認された。従って、有機溶媒中においても、特に、エタノールを含有するとき、ヒアルロン酸ヒドロゲルが形成されることが確認された。また、所望の粘弾性を有するヒアルロン酸ゲルを形成するために、反応時間を適切に変更することができることが確認された。
【0039】
前記架橋反応は、エタノール存在下で、室温より若干高い温度範囲で行うことにより、迅速な架橋反応を進めることができ、迅速な架橋反応の進行により、弱い架橋結合が誘導される。前記室温より若干高い反応温度範囲は、約40〜60℃であってもよい。
【0040】
前記一次架橋物は、ヒドロゲル状のヒアルロン酸架橋物であり、前記一次架橋物を再架橋した二次架橋物は、粒子状の架橋物である。
【0041】
実験結果、前記一次架橋物及び二次架橋物を組み合わせ、所望の粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を得ることができることが分かった。
【0042】
本発明は、さらに他の態様において、
弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paの低粘弾性のヒアルロン酸架橋物と、
弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paの高粘弾性のヒアルロン酸架橋物と、を含む複合ヒアルロン酸架橋物を提供する。
【0043】
前記低粘弾性のヒアルロン酸架橋物、及び前記高粘弾性のヒアルロン酸架橋物は、特定架橋方法によって製造されたヒアルロン酸架橋物に限定されるものではなく、一実施形態において、前記低粘弾性のヒアルロン酸架橋物、及び高粘弾性のヒアルロン酸架橋物は、それぞれ前記本発明の一態様によるヒアルロン酸架橋物の製造方法によって製造されたヒアルロン酸一次架橋物及びヒアルロン酸二次架橋物である。
【0044】
前記複合ヒアルロン酸架橋物は、所望の粘弾性により、前記低粘弾性のヒアルロン酸架橋物、及び高粘弾性のヒアルロン酸架橋物の比率を調節することができる。
【0045】
本発明は、さらに他の態様において、
前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸一次架橋物、並びに前記弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸二次架橋物を含む複合ヒアルロン酸架橋物を提供する。
【0046】
前記複合ヒアルロン酸架橋物は、所望の粘弾性により、前記一次架橋物及び二次架橋物の比率を調節することができる。
【0047】
本発明は、さらに他の態様において、前記任意の複合ヒアルロン酸架橋物を含む生体適合性素材を提供する。
【0048】
前記生体適合性素材は、ヒアルロン酸が使用される任意の生体適合性素材でもあり、例えば、関節炎治療用挿入物、シワ用フィラー、整形用フィラー及び薬物伝達体からなる群から選択されてもよい。このような生体適合性素材は、その具体的な用途により、望ましい粘弾性範囲が異なり、そのような所望の粘弾性により、複合ヒアルロン酸架橋物を構成する前記低粘弾性のヒアルロン酸架橋物、及び高粘弾性のヒアルロン酸架橋物の組み合わせ比率、またはヒアルロン酸一次架橋物及びヒアルロン酸二次架橋物の組み合わせ比率を調節することができる。
【0049】
一実施形態において、前記複合ヒアルロン酸架橋物は、弾性約100〜150Pa及び粘度約20〜60Paである複合ヒアルロン酸架橋物でもあり、人体関節補充液として使用するのに適切な粘弾性範囲を有する。弾性約100〜150Pa及び粘度約20〜60Paは、人体関節液と類似した粘弾性範囲であることが公知である(Balazs, E. A., “The physical properties of synovial fluid and the special role of hyaluronic acid,” Disorders of the Knee 2 (1974): 61-74)。そのような粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を得るための前記低粘弾性のヒアルロン酸架橋物、及び高粘弾性のヒアルロン酸架橋物の組み合わせ比率、または前記一次架橋物及び前記二次架橋物の組み合わせ比率は、ヒアルロン酸分子量によっても異なる。
【0050】
実験において、高分子量(約2.5MDa)ヒアルロン酸及び低分子量(約0.9MDa)ヒアルロン酸に対して、それぞれ架橋反応を行い、一次架橋物を得た後、再架橋反応を行って二次架橋物を得て、一次架橋物及び二次架橋物を多様な比率で組み合わせ、複合ヒアルロン酸架橋物を製造した後、それぞれの粘弾性を測定した。その結果、出発物質として、高分子量ヒアルロン酸を使用したか、あるいは低分子量ヒアルロン酸を使用したかにより、一次架橋物の粘弾性が異なった。また、分子量に係わらず、ヒアルロン酸の一次架橋物に比べ、二次架橋物の粘弾性が顕著に増大し、一次架橋物及び二次架橋物の組み合わせ比により、複合ヒアルロン酸架橋物の粘弾性が異なることが確認された(実験例2参照)。
【0051】
また、出発物質として使用されたヒアルロン酸原料の分子量により、所望の粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を得るための一次架橋物及び二次架橋物の組み合わせ比率が異なることが分かった。高分子量(約2.5MDa)ヒアルロン酸原料を出発物質として使用する場合は、一次架橋物及び二次架橋物を、約9:1の重量比で組み合わせる場合、低分子量(約0.9MDa)ヒアルロン酸原料を出発物質として使用する場合は、一次架橋物及び二次架橋物を、約8:2の重量比で組み合わせる場合、関節炎治療用挿入物として使用するのに適切な粘弾性範囲(弾性100〜150Pa及び粘度20〜60Pa)を有する複合ヒアルロン酸架橋物を得ることができる(実験例2参照)。
【0052】
一実施形態において、前記複合ヒアルロン酸架橋物は、前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paであるヒアルロン酸一次架橋物と、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paであるヒアルロン酸二次架橋物とを、8:2〜9:1の重量比率で含む。
【0053】
一実施形態において、前記複合ヒアルロン酸架橋物は、平均粒子サイズが約500〜750μmに粒子化されたものである。前記粒子化は、前記一次架橋物及び二次架橋物を組み合わせた後、一般的な粉砕過程によって行われる。
【0054】
一実施形態による複合ヒアルロン酸架橋物の製造方法を、図1にフローチャートとして表示し、それによる製造方法について説明すると、次の通りである。
【0055】
段階(a)は、ヒドロゲル状のヒアルロン酸一次架橋物の製造段階である。例えば、段階(a)で使用されるヒアルロン酸ナトリウム(「HA」と略称)は、Hanmi薬品において、ストレプトコッカス属微生物発酵によって製造されたものを使用することができる。(a1)段階は、ヒアルロン酸ナトリウム含有緩衝液を、エタノール含有水酸化ナトリウム水溶液と混合する段階である。この段階において、エタノールと水酸化ナトリウムとの混合比によって生成されるヒアルロン酸ヒドロゲルの粘弾性が調節される。約0.7〜1.3%w/wの水酸化ナトリウム水溶液に対して、エタノール約5〜13%w/w存在下で反応を行う場合、ヒアルロン酸ナトリウムが、エタノールに抽出されずに、安定して混合されて架橋反応が可能である。(a2)段階においては、架橋剤を混合する工程として、ヒアルロン酸ナトリウムg当たり10μl〜100μlを添加して進めることができる。該架橋剤が、前記範囲に及ばない場合、所望粘弾性のヒアルロン酸架橋物が生成されない。(a3)段階は、エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸ナトリウムが架橋剤と反応する架橋反応工程である。この段階において、常温より高い反応温度、及び反応物中のエタノールの存在により、迅速な架橋反応が進められ、それにより、弱い架橋結合が誘導される。前記反応は、約40〜60℃のオーブンで、約4〜6時間進められる。得られたヒドロゲル状のヒアルロン酸架橋物に対して、(a4)段階において、緩衝液で透析を進めた後、(a5)段階において、蒸溜水で中性化反応を行うことができる。(a6)段階においては、約95%エタノールで、ヒアルロン酸ヒドロゲルの沈澱を誘導し、ヒアルロン酸架橋物を粉末状で得ることができる。
【0056】
段階(b)は、段階(a)で得られたヒアルロン酸一次架橋物を再架橋し、粒子状のヒアルロン酸二次架橋物の製造段階である。(b1)は、段階(a6)で得たヒアルロン酸ナトリウム架橋物を、約0.7〜1.3%w/wの水酸化ナトリウム水溶液に加えて混合する段階である。(b2)段階は、架橋剤を付加して混合する段階である。この段階においては、該架橋剤を、(a)段階で得た一次HA架橋物1gあたり約10〜100μlの量で付加して進めることができる。(b3)段階は、ヒアルロン酸ナトリウムが架橋剤と反応する架橋反応工程である。前記反応は、40〜60℃のオーブンで、約8〜10時間進められる。(a3)段階より長時間架橋反応を進めることにより、粒子状のヒアルロン酸架橋物の形成を誘導することができる。得られた粒子状のヒアルロン酸架橋物に対して、(b4)段階において、緩衝液で透析を進めた後、(b5)段階において、蒸溜水で中性化反応を行うことができる。(b6)段階においては、約95%エタノールでヒアルロン酸粒子の沈澱を誘導し、ヒアルロン酸架橋物を粉末状で得ることができる。
【0057】
段階(c)は、段階(a)及び段階(b)で得られたヒドロゲル状のヒアルロン酸ナトリウム一次架橋物、及び粒子状のヒアルロン酸ナトリウム二次架橋物を多様な比率で混合した後、粉砕/充填/滅菌した後、最終物を製造する段階である。(c1)段階は、ヒドロゲル状のヒアルロン酸ナトリウム一次架橋物、及び粒子状のヒアルロン酸ナトリウム二次架橋物を約9:1〜約8:2で混合して緩衝液に溶解し、複合ヒアルロン酸架橋物を製造することができる。(c2)段階においては、得られた複合ヒアルロン酸架橋物を粉砕する過程を遂行し、500〜750μmに粒子化することができる。その後、注射器に充填する段階(c3)、及び注射器に充填された複合ヒアルロン酸架橋物を滅菌する段階(c4)を遂行することにより、所望の粘弾性を有する最終的な複合ヒアルロン酸架橋物を完成することができる。
【0058】
一実施形態において、前記生体適合性素材は、前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸架橋物とを組み合わせた、平均粒子サイズが約500〜750μmに粒子化された弾性100〜150Pa及び粘度20〜60Paである関節補充液である。
【0059】
一実施形態において、前記生体適合性素材は、前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸一次架橋物と、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸二次架橋物とを組み合わせた、平均粒子サイズが約500〜750μmに粒子化された弾性100〜150Pa及び粘度20〜60Paである関節補充液である。
【0060】
前記関節補充液は、人体の実際関節液と類似した粘弾性を有するので、効果的な関節補充液として使用され、ヒドロゲル状の一次架橋物、及び粒子状の二次架橋物のいずれも含み、関節に対する潤滑作用及び裕隔作用をいずれも遂行することができ、従って、人体関節液と非常に類似した機能を遂行することができる。また、ヒドロゲル状の一次架橋物、及び粒子状の二次架橋物のいずれも含み、生体内で容易に分解されず、構造的に安定し、1回投与でも、約6ヵ月以上関節補充液としての効果が持続可能であるという長所がある。
【0061】
本発明は、他の態様において、
前記弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸一次架橋物と、前記弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸二次架橋物と、を組み合わせる段階を含み、製造しようとする複合ヒアルロン酸架橋物の粘弾性により、前記組み合わせ比率を調節するものである、複合ヒアルロン酸架橋物を製造する方法を提供する。
【0062】
前記方法によれば、弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paのヒアルロン酸一次架橋物と、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸二次架橋物との組み合わせ比率を調節することにより、必要とする粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を得ることができる。一実施形態によれば、弾性50〜200Pa及び粘度20〜100Paヒアルロン酸一次架橋物と、弾性400〜800Pa及び粘度40〜100Paのヒアルロン酸二次架橋物とを、9:1〜8:2の重量比で組み合わせることにより、人体関節液と類似した粘弾性範囲である弾性100〜150Pa及び粘度20〜60Paの複合ヒアルロン酸架橋物を得ることができる。所望の粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を製造するための、前記ヒアルロン酸一次架橋物及びヒアルロン酸二次架橋物の組み合わせ比率は異なり、同一粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を製造するときにも、ヒアルロン酸原料の分子量、及び一次架橋物と二次架橋物との製造条件(反応温度、反応時間など)により、前記組み合わせ比率が異なる。
【実施例】
【0063】
以下、下記実施例により、本発明についてさらに詳細に説明するが、下記実施例は、本発明について説明するためのものであるのみ、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
【0064】
製造例1:有機溶媒未含有アルカリ水溶液中のヒアルロン酸ナトリウム(HA)架橋物製造
10gヒアルロン酸ナトリウムを、1%w/w NaOH水溶液に混合した。混合後、BDDEをヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で混合した後、40℃で、3時間、12時間、または24時間反応させた。
【0065】
製造例2:エタノール含有アルカリ水溶液中のHA架橋物製造(1)
10gヒアルロン酸ナトリウムを、10%w/wエタノール混合した1%w/w NaOH水溶液に混合した。混合後、BDDEをヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で混合した後、40℃で、約3時間、5時間、12時間、または24時間反応させた。
【0066】
製造例3:エタノール含有アルカリ水溶液中のHA架橋物製造(2)
10gヒアルロン酸ナトリウムを、10%w/wエタノール混合した1%w/w NaOH水溶液に混合した。混合後、EGDGEをヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で混合した後、40℃で、約24時間反応させた。
【0067】
製造例4:エタノール含有アルカリ水溶液中のHA架橋物製造(3)
10gヒアルロン酸ナトリウムを、10%w/wエタノール混合した1%w/w NaOH水溶液に混合した。混合後、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルをヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で混合した後、40℃で、約24時間反応させた。
【0068】
製造例5:メタノール含有アルカリ水溶液中のHA架橋物製造
10gヒアルロン酸ナトリウムを、10%w/wメタノール混合した1%w/w NaOH水溶液に混合した。混合後、BDDEをヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で混合した後、40℃で、約3時間、12時間、または24時間反応させた。
【0069】
製造例6:イソプロパノール含有アルカリ水溶液中のHA架橋物製造
10gヒアルロン酸ナトリウムを、10%w/wイソプロパノール混合した1%w/w NaOH水溶液に混合した。混合後、BDDEをヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で混合した後、40℃で、約3時間、12時間、または24時間反応させた。
【0070】
実験例1:製造例1〜6で製造されたHA架橋物のゲル形成確認及び粘弾性測定
前記製造例で得られたHA架橋物のゲル形成を肉眼で確認し、粘弾性を測定した。該粘弾性は、回転型レオメータであるKinexus Pro Rheometer(Malvern, Worchestershire、英国)で測定した。動的粘弾性測定のために、直径が20mmであるコーン(Cone)を利用し、コーンとプレート(Plate)との測定距離(GAP)は、0.5mmであり、温度は25℃であり、分析終了まで一定に維持した。コントロールプログラム(control program)で周波振動(frequency oscillation)を利用し、周波数の範囲を0.1〜5Hzに設定し、保存弾性率(storage modulus、G’)、損失弾性率(loss modulus、G’’)を測定した。保存弾性率は、試料に保存されたエネルギー(弾性挙動)を意味し、損失弾性率は、損失されたエネルギー(粘性挙動)を意味する。
【0071】
その結果を下記表1及び表2に示した。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
前記表1及び表2の結果によれば、アルカリ水溶液中に、有機溶媒を含まない製造例1、及びエタノールを含む製造例2〜4は、ゲルが形成されることが確認された。24時間経過後には、ヒアルロン酸が褐変し、架橋反応をそれ以上進めることができなかった。
【0075】
アルカリ水溶液中に有機溶媒を含まない製造例1に比べ、エタノールを含む製造例2のヒアルロン酸架橋物が、粘弾性が顕著に低いということが分かった。従って、アルカリ水溶液中にエタノールを含有させることにより、架橋反応が低下し、粘弾性が低く調整されたヒアルロン酸架橋物が生成されることが確認された。
【0076】
製造例5及び6としては、エタノール以外の低級アルコールをアルカリ水溶液中に含有させて反応させたが、エタノールを除いた他の有機溶媒内では、長時間反応させても、ヒドロゲル状のヒアルロン酸架橋物が生成されないことが確認された。
【0077】
実施例1:ヒドロゲル状のヒアルロン酸一次架橋物の製造
高分子ヒアルロン酸ナトリウム(分子量2.5Mda)及び低分子ヒアルロン酸ナトリウム(分子量0.9Mda)それぞれに対して、別途に、実施例1〜3の製造工程を遂行した。前記高分子ヒアルロン酸ナトリウム(分子量2.5Mda)及び低分子ヒアルロン酸ナトリウム(分子量0.9Mda)は、いずれもストレプトコッカス(Streptococcus zooepidemicus)の発酵によって生成されたものであり、Hanmi薬品(株)から入手した。
【0078】
10%w/wの比率でエタノールを含む1%w/w水酸化ナトリウム水溶液に混合した後、前記混合溶媒中にヒアルロン酸ナトリウムを加え、完全に溶解させた後、BDDEを、ヒアルロン酸ナトリウム1gあたり50μlの比率で加えて混合した。前記混合の完了後、反応温度約40℃、反応時間約5時間で架橋反応を行った。反応が完了したヒドロゲル状のヒアルロン酸一次架橋物を、PBS溶液(phosphate buffered saline)に透析させた。透析後に得られたヒドロゲルを、BDDEを除去するために、蒸溜水で洗浄することによって中性化されたヒドロゲルを、95%エタノール水溶液で抽出し、粉末状のヒアルロン酸一次架橋物を得た。
【0079】
実施例2:粒子状のヒアルロン酸二次架橋物の製造
前記実施例1で得られたヒアルロン酸一次架橋物に、二次架橋反応を行った。前記実施例1で得られた粉末状のヒアルロン酸一次架橋物を、1%w/w水酸化ナトリウム水溶液中に、1:5の重量比で混合して完全に溶解させた。得られた反応混合物に、BDDEを一次架橋物1gあたり50μlの比率で加えて混合した。前記混合の完了後、反応温度40℃で約8時間、架橋反応を行った。該反応が完了した後、生成された粒子状の二次架橋物に対して、PBS溶液で約12〜24時間透析を行った。透析後、得られた粒子のBDDEを除去するために、蒸溜水で洗浄することによって中性化された粒子状のヒアルロン酸を、95%エタノール水溶液で抽出し、粉末状のヒアルロン酸二次架橋物を得た。
【0080】
実施例3:複合ヒアルロン酸架橋物の製造
前記実施例1で得られたヒアルロン酸一次架橋物と、実施例2で得られたヒアルロン酸二次架橋物とを、PBS溶液に9:1または8:2の重量比で混合し、最終濃度は、2%w/wで混合溶液を製造した後、その混合溶液を、500μm meshで物理的力を加えて通過させて粉砕した。粉砕された混合物を注射器(syringe)に充填した後、約121℃で約20分間滅菌した。
【0081】
実験例2:複合ヒアルロン酸架橋物の粘弾性測定
前記実施例1及び2で製造されたヒアルロン酸一次架橋物及びヒアルロン酸二次架橋物に対して、PBS中において、10:0、9:1、8:2及び0:10の重量比で、最終濃度が2%w/wになるように混合溶液を製造した後、その混合溶液を、500μm meshで物理的力を加えて通過させて粉砕した。その後、混合溶液に対して、回転型レオメータであるKinexus Pro Rheometer(Malvern, Worchestershire、英国UK)を利用して粘弾性を測定した。
【0082】
その結果を下記表3に示した。
【0083】
【表3】
【0084】
前記表3の結果によれば、一次架橋物及び二次架橋物の混合比により、複合ヒアルロン酸架橋物は、互いに異なる粘弾性値を示した。
【0085】
高分子ヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合重量比率を9:1にした複合ヒアルロン酸架橋物が、弾性114.40Pa、粘性45.19Paを示し、低分子ヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合重量比率を8:2にした複合ヒアルロン酸架橋物が、弾性106.1Pa、粘性45.71Paを示し、人体の関節液と類似した粘弾性を有することが確認された。
【0086】
また、原料ヒアルロン酸の分子量により、同一条件で生成された架橋物の粘弾性が異なるということが分かり、原料ヒアルロン酸の分子量が高いほど、同一架橋条件において、粘弾性がさらに高く示された。従って、原料ヒアルロン酸の分子量により、所望の粘弾性を有する複合ヒアルロン酸架橋物を製造するためのヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合比率が異なるということが分かる。
【0087】
実験例3:複合ヒアルロン酸架橋物の粒度分析
前記実験例2において、人体関節液と類似した粘弾性を有することが確認された、高分子量ヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合重量比率を9:1で製造した複合ヒアルロン酸架橋物に対して、粒度分析機(Microtrac,Montgomeryville,PA)を利用して粒度を測定した。
【0088】
その結果を、図2に粒度分布グラフで示した。
【0089】
図2の結果によれば、平均粒子サイズは、約606μm(D10:235.8μm、D50:553.5μm、D90:1009μm)であることが確認された。
【0090】
実験例4:細胞毒性評価
前記実験例2において、人体関節液と類似した粘弾性を有することが確認された、高分子量ヒアルロン酸の一次架橋物及び二次架橋物の混合重量比率を9:1で製造した複合ヒアルロン酸架橋物の毒性を評価するために、MTT(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム)分析を行った。
【0091】
MTT評価は、前記複合ヒアルロン酸架橋物から、72時間放出されて出る溶出物に対する毒性評価を進めた。陽性対照群として、テフロン(登録商標)、陰性対照群として、ラテックスから放出されて出る溶出物に対する毒性評価を共に行った。MTT分析の結果として得られた細胞生存率結果を、図3にグラフで示した。
【0092】
図3の結果によれば、細胞生存率が、テフロン(登録商標)は、100%であり、ラテックスは、37%を示した。それに反し、複合ヒアルロン酸架橋物は、細胞生存率が89.93%と示され、細胞毒性の下限線である80%以上を示した。従って、本発明の一実施形態による複合ヒアルロン酸架橋物は、細胞毒性がなく、生体適合性が高いことが確認された。
【0093】
以上、本発明について、その望ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野において当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されるということを理解することができるであろう。従って、前述の開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020年11月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と架橋反応させる段階を含み、前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを5〜13%w/w含むアルカリ水溶液である、
保存弾性率(G’)50〜200Pa及び損失弾性率(G’’)20〜100Paであるヒアルロン酸架橋物の製造方法。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸は、微生物発酵によって生成されたヒアルロン酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の塩、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記ヒアルロン酸の塩は、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸亜鉛、ヒアルロン酸コバルト、ヒアルロン酸テトラブチルアンモニウム塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ヒアルロン酸は、分子量100,000〜6,000,000であるヒアルロン酸ナトリウムである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤は、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(1,4−butandiol diglycidyl ether:BDDE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether :EGDGE)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(1,6−hexanediol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(polypropylene glycol diglycidyl ether)、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル(polytetramethylene glycol diglycidyl ether)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(neopentyl glycol diglycidyl ether)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(polyglycerol polyglycidyl ether)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(diglycerol polyglycidyl ether)、グリセロールポリグリシジルエーテル(glycerol polyglycidyl ether)、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル(tri−methylpropane polyglycidyl ether)、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エチレン (1,2−bis(2,3−epoxypropoxy)ethylene)、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル(pentaerythritol polyglycidyl ether)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(sorbitol polyglycidyl ether)、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記エタノール含有アルカリ水溶液は、エタノールを〜13%w/w含む0.7〜1.3%w/w水酸化ナトリウム水溶液である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
保存弾性率(G’)50〜200Pa及び損失弾性率(G’’)20〜100Paのヒアルロン酸架橋物、並びに保存弾性率(G’)400〜800Pa及び損失弾性率(G’’)40〜100Paのヒアルロン酸架橋物を含む複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項9】
エタノール含有アルカリ水溶液中で、ヒアルロン酸を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む方法によって製造された保存弾性率(G’)50〜200Pa及び損失弾性率(G’’)20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、
アルカリ水溶液中で、前記保存弾性率(G’)50〜200Pa及び損失弾性率(G’’)20〜100Paのヒアルロン酸架橋物を、2個以上のエポキシ作用基を有するエポキシ系架橋剤と反応させる段階を含む方法によって製造された保存弾性率(G’)400〜800Pa及び損失弾性率(G’’)40〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、を含む複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項10】
保存弾性率(G’)100〜150Pa及び損失弾性率(G’’)20〜60Paである、請求項またはに記載の複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項11】
前記保存弾性率(G’)50〜200Pa及び損失弾性率(G’’)20〜100Paのヒアルロン酸架橋物と、保存弾性率(G’)400〜800Pa及び損失弾性率(G’’)40〜100Paのヒアルロン酸架橋物とが、:2〜9:1の重量比で組み合わせられている、請求項10に記載の複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項12】
前記複合ヒアルロン酸架橋物は、平均粒子サイズが500〜750μmになるように粒子化されている、請求項10に記載の複合ヒアルロン酸架橋物。
【請求項13】
請求項またはに記載の複合ヒアルロン酸架橋物を含む生体適合性素材。
【請求項14】
前記生体適合性素材は、関節炎治療用挿入物、シワ用フィラー、整形用フィラー及び薬物伝達体からなる群から選択される、請求項13に記載の生体適合性素材。
【外国語明細書】
2021021082000001.pdf