特開2021-21342(P2021-21342A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マツダ株式会社の特許一覧
<>
  • 特開2021021342-エンジンの吸気装置 図000003
  • 特開2021021342-エンジンの吸気装置 図000004
  • 特開2021021342-エンジンの吸気装置 図000005
  • 特開2021021342-エンジンの吸気装置 図000006
  • 特開2021021342-エンジンの吸気装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-21342(P2021-21342A)
(43)【公開日】2021年2月18日
(54)【発明の名称】エンジンの吸気装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20210122BHJP
   F02M 35/16 20060101ALI20210122BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20210122BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20210122BHJP
【FI】
   F02M35/10 101M
   F02M35/10 101K
   F02M35/16 E
   F02M35/10 301K
   F02M35/10 301V
   F01P11/10 D
   B60K11/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-136578(P2019-136578)
(22)【出願日】2019年7月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷹村 優太
(72)【発明者】
【氏名】有木 基宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】川上 晃
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC16
3D038AC17
(57)【要約】
【課題】ラジエータ前方の冷たい空気を吸気通路によってエンジンに導入しつつ、雪、ダスト等の異物が吸気通路へ侵入することを抑制する。
【解決手段】車両1のエンジンルーム3は、走行風を導入するべく前方側が開口している。エンジンルーム3には、エンジン2が収容されている。エンジンの吸気装置は、エンジンルーム3に、エンジン2に空気を導入する吸気通路60と、エンジン2の前方に配置されたラジエータ15より前方に設けられており、ラジエータ15側へ走行風を導入する導風部としての導風ダクト30と、導風ダクト30の車両前後方向の後部に設けられており、走行風の導風量を調整する導風量調整装置としてのグリルシャッター50と、を備える。吸気通路60の上流端には、吸気通路60へ空気を導入する吸気取入口62が設けられる。吸気取入口62は、導風ダクト30内に臨む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行風を導入するべく前方側が開口したエンジンルームにエンジンが収容されている車両のエンジンの吸気装置であって、
前記エンジンルームには、
前記エンジンに空気を導入する吸気通路と、
前記エンジンの前方に配置されたラジエータより前方に設けられており、該ラジエータ側へ走行風を導入する導風部と、
前記導風部の車両前後方向の後部に設けられており、前記走行風の導風量を調整する導風量調整装置と、を備え、
前記吸気通路の上流端には、該吸気通路へ空気を導入する吸気取入口が設けられており、
前記吸気取入口は、前記導風部内に臨む、エンジンの吸気装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記導風部は、ダクト構造を有する、エンジンの吸気装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記導風部は、該導風部の上面、下面、及び左右の側面、それぞれを構成する壁部として、上壁部と、下壁部と、左右の側壁部と、を有する、エンジンの吸気装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記上壁部、前記下壁部、及び前記左右の側壁部は、前記導風量調整装置から、それぞれ前方に延びる、エンジンの吸気装置。
【請求項5】
請求項3又は4のいずれか1つにおいて、
前記吸気通路は、前記上壁部に接続する、エンジンの吸気装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記吸気通路は、前記上壁部を貫通して設けられており、
前記吸気取入口は、前記上壁部に対して下側に位置する、エンジンの吸気装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記吸気取入口は、ベルマウス形状である、エンジンの吸気装置。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか1つにおいて、
前記吸気通路は、前記上壁部との接続部分から上方向に延びる、エンジンの吸気装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つにおいて、
前記導風量調整装置は、グリルシャッターである、エンジンの吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを収容するエンジンルームの前方側が開口した車両の前部構造が知られている。かかる構造によれば、エンジンルーム前方側の開口から導入される車両走行風によって、エンジンの前方に配置されたラジエータを流れるエンジン冷却水を冷却することができる。ここで、エンジンに空気を導入する吸気通路の吸気取入口が、ラジエータより前方に設けられる吸気装置が知られている。この吸気装置によれば、ラジエータ前方の冷たい通気を、エンジンに導入することができるので、エンジンの吸気温度を下げるのに有効である。
【0003】
例えば、特許文献1では、エンジンの吸気取入構造に関する発明を開示する。この吸気取入構造は、エンジンのエアクリーナに通じる吸気通路の吸気取入口をラジエータより前方に配設し、吸気取入口とエアクリーナとの間の吸気通路からバイパス通路を設ける。バイパス通路は、ラジエータファンシュラウド内に通じる。
【0004】
かかる構成によれば、ラジエータファンによって、バイパス通路内の空気がファン側に吸引される。吸気取入口の内部が負圧となり、ラジエータ前方の空気を積極的に吸引する。したがって、ラジエータ後方の空気よりも冷たいラジエータ前方の空気を、より多く吸引して利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−105267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の構造では、吸気通路の吸気取入口は、ラジエータより前方に設けられているため、ラジエータより後方に設けられる場合に比べて、エンジンルーム前方側の開口の近くに位置している。したがって、エンジンルーム前方側の開口からエンジンルーム内に侵入した、空気中に含まれる雪やダスト等の異物(以下、単に異物という場合がある)は、ラジエータ前方に設けられた吸気取入口から吸気通路へ侵入するおそれがある。
【0007】
その結果、吸気通路の途中に設けられたエアクリーナに異物が侵入し、エアクリーナの内部に異物が堆積したり、エアフィルタが目詰まりしたりするおそれがある。これらは、エアクリーナの寿命低下、エンジン吸気量の低減によるエンジン出力の低下の原因となる。
【0008】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、ラジエータ前方の冷たい空気を吸気通路によってエンジンに導入しつつ、雪、ダスト等の異物が吸気通路へ侵入することを抑制すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに開示するエンジンの吸気装置は、走行風を導入するべく前方側が開口したエンジンルームにエンジンが収容されている車両のエンジンの吸気装置であって、上記エンジンルームには、上記エンジンに空気を導入する吸気通路と、上記エンジンの前方に配置されたラジエータより前方に設けられており、上記ラジエータ側へ走行風を導入する導風部と、上記導風部の車両前後方向の後部に設けられており、上記走行風の導風量を調整する導風量調整装置と、を備え、上記吸気通路の上流端には、上記吸気通路へ空気を導入する吸気取入口が設けられており、上記吸気取入口は、上記導風部内に臨む。
【0010】
かかる構成によれば、吸気取入口がラジエータより前方に設けられた導風部内に臨むので、冷たい空気をエンジンに導入することができる。導風量調整装置によって、後方へ抜ける車両走行風の導風量を調整することで、導風部内の内圧を調整することができる。導風部内の内圧を大きくすることで、導風部内への空気の流入が抑制される。これにより、空気中に含まれる雪、ダスト等の異物は、導風部内へ侵入しにくくなる。したがって、導風部内に臨む吸気取入口から吸気通路に異物が侵入することを抑制することができる。
【0011】
これにより、吸気通路の途中に設けられたエアクリーナに異物が侵入することを抑制することができる。その結果、エアクリーナの内部に異物が堆積したり、エアフィルタが目詰まりしたりすることを抑制することができる。したがって、エアクリーナの寿命低下、エンジン吸気量の低減によるエンジン出力の低下を抑制することができる。
【0012】
一実施形態では、上記導風部は、ダクト構造を有する。 かかる構成によれば、導風空間が壁部に囲まれるので、導風部内の密閉性を高めることができ、内圧を大きくすることができる。
【0013】
一実施形態では、上記導風部は、上記導風部の上面、下面、及び左右の側面、それぞれを構成する壁部として、上壁部と、下壁部と、左右の側壁部と、を有する。
【0014】
かかる構成によれば、導風部を断面矩形状の角ダクトとすることで、構造を簡単にすることができる。
【0015】
一実施形態では、上記上壁部、上記下壁部、及び上記左右の側壁部は、上記導風量調整装置から、それぞれ前方に延びる。
【0016】
かかる構成によれば、導風部と導風量調整装置との前後方向の隙間を小さくすることができる。したがって、当該隙間から空気が抜けにくくなるので、導風部内の密閉性をより高めることができ、内圧をより大きくすることができる。
【0017】
一実施形態では、上記吸気通路は、上記上壁部に接続する。
【0018】
導風部内に侵入した異物のうち比較的重いものは、重力によって、下方向へ落下することが多い。かかる構成によれば、異物の移動方向である重力方向(下方向)と反対側に位置する上壁部に吸気通路が接続されることで、仮に導風部内に異物が侵入した場合であっても、吸気取入口から吸気通路に異物が侵入することを抑制することができる。
【0019】
一実施形態では、上記吸気通路は、上記上壁部を貫通して設けられており、上記吸気取入口は、上記上壁部に対して下側に位置する。
【0020】
導風部内に侵入した異物のうち比較的軽いものは、重力によって下方向へ落下せず、導風部内を漂っていることがある。これらの比較的軽い異物は、壁部に衝突することで壁部に沿う方向に方向転換した後、壁部に沿って移動することが多い。すなわち、異物は、上壁部に衝突することで上壁部に沿う方向に方向転換した後、上壁部に沿って移動する。そこで、吸気通路を上壁部を貫通して下方に突き出して、吸気取入口を上壁部に対して下側に位置付ける。これにより、上壁部に沿って移動する異物は、吸気通路の管壁に衝突することで管壁に沿う方向に方向転換した後、管壁に沿って下方向に移動する。すなわち、異物は、吸気取入口からの侵入方向(上方向)とは反対方向(下方向)に移動するので、吸気取入口から吸気通路へ侵入しにくくなる。
【0021】
一実施形態では、上記吸気取入口は、ベルマウス形状である。
【0022】
かかる構成によれば、上述の如く、吸気通路の管壁に沿って下方向に移動する異物は、さらに吸気取入口のベルマウス部分の外壁に沿って、吸気取入口の径方向外方に移動する。すなわち、異物は、吸気取入口から離れる方向に移動するので、吸気取入口から吸気通路へさらに侵入しにくくなる。
【0023】
一実施形態では、上記吸気通路は、上記上壁部との接続部分から上方向に延びる。
【0024】
かかる構成によれば、異物は、仮に吸気取入口から吸気通路へ侵入した場合、重力によって吸気取入口まで逆流する。したがって、万が一、吸気取入口から吸気通路へ異物が侵入した場合であっても、吸気通路の途中に設けられたエアクリーナに異物が侵入する前に、異物を吸気通路から除去することができる。
【0025】
一実施形態では、上記導風量調整装置は、グリルシャッターである。
【0026】
かかる構成によれば、例えば通常走行時に、グリルシャッターを開くことで、車両走行風をラジエータ側に導入して、ラジエータを流れるエンジン冷却水を冷却することができる。一方、例えばエンジン暖機時に、グリルシャッターを閉じることで、ラジエータ側への車両走行風の導入を遮断して、ラジエータを流れるエンジン冷却水の冷却を抑えることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ラジエータ前方の冷たい空気を吸気通路によってエンジンに導入しつつ、雪、ダスト等の異物が吸気通路へ侵入することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の実施形態に係るエンジンの吸気装置を示す前面図である。
図2図2は、エンジンの吸気装置を示す側面断面図である。
図3図3は、エンジンの吸気系統を示す平面図である。
図4図4は、導風ダクト及びグリルシャッターを示す斜視図である。
図5図5は、図2における吸気通路の吸気取入口近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0030】
図1に示す車両1の前部において、エンジン2は、エンジンルーム3に収容されている。エンジンルーム3は、左右の側壁がホイールエプロン4で形成され、後壁が車室と区画するダッシュパネル5で形成されている。左右のホイールエプロン4各々の上縁には、車両前後方向に延びるエプロンレインフォースメント6が設けられている。左右のエプロンレインフォースメント6は、車両左右方向に延びるクロスレインフォースメント7によって、前端部同士が互いに連結されている。なお、クロスレインフォースメント7は、エンジン2よりも前方に位置している。図2に示すように、エンジンルーム3の上面は、ボンネット8によって覆われている。エンジンルーム3の下面は、アンダーカバー9によって覆われている。なお、図1,2において、10は、エンジン2を覆うエンジンカバーである。
【0031】
エンジンルーム3の前部構造について説明する。図1に示すように、クロスレインフォースメント7よりも前方には、各々車両左右方向に延びる上下のバンパーレインフォースメント11,12が設けられている。上側バンパーレインフォースメント11の上方には、車両左右方向に延びるフレームメンバー13が設けられている。フレームメンバー13は、その両端が各々後方に曲折してクロスレインフォースメント7に固定されている。バンパーレインフォースメント11,12には、バンパーフェイス(図示せず)が支持されている。
【0032】
図1,2に示すように、エンジンルーム3は、車両走行風を導入するべく前方側が開口している(以下、開口3aという場合がある)。エンジンルーム3の前方側の開口3aは、上記バンパーフェイスで覆われている。バンパーフェイスには、フロントグリル(図示せず)が設けられている。なお、以下、「エンジンルーム3の外部」とは、エンジンルーム3の前方側の開口3aより前方をいう。「エンジンルーム3の内部」とは、開口3aより後方をいう。
【0033】
図2に示すように、エンジンルーム3内におけるエンジン2の前方には、ラジエータ15が配置されている。ラジエータ15は、前後方向において、クロスレインフォースメント7付近に位置している。ラジエータ15には、エンジン冷却水が流れている。
【0034】
エンジンルーム3内におけるラジエータ15よりも前方には、導風部30が設けられている。本実施形態において、導風部30は、ダクト構造を有する(以下、導風ダクト30という場合がある)。導風ダクト30は、図2に示すように、前後方向において、上下のバンパーレインフォースメント11,12とクロスレインフォースメント7との間に、位置している。導風ダクト30は、ラジエータ15側(エンジン2側)へ車両走行風を導入する。すなわち、車両走行風は、先ず、エンジンルーム3の前方側の開口3aから、エンジンルーム3の内部へ導入される。そして、車両走行風は、導風ダクト30を通過して、ラジエータ15側(エンジン2側)へ導入される。これにより、ラジエータ15を車両走行風が通過するので、ラジエータ15を流れるエンジン冷却水が冷却される。ラジエータ15を通過した車両走行風は、ラジエータ15を流れるエンジン冷却水との熱交換によって、温度が上昇する。すなわち、エンジンルーム3内において、ラジエータ15より後方の空気は、前方の空気に比べて、温度が高い。したがって、エンジン2に導入される空気の温度(吸気温度)を低くするためには、ラジエータ15より前方の空気を、吸気として取入れることが望ましい。導風ダクト30の構造の詳細については、後述する。
【0035】
図2に示すように、エンジンルーム3内における導風ダクト30の車両前後方向の後部には、導風量調整装置としてのグリルシャッター50が設けられている。グリルシャッター50は、フィンを開閉することで、車両走行風の導風量を調整する。
【0036】
図3に示すように、本実施形態のエンジン2は、気筒列方向(クランクシャフト長手方向)が車両前後方向に延びる縦置きエンジンである。エンジン2は、車両左右方向の一方の側に吸気マニホールドが設けられ、反対側に排気マニホールドが設けられている。以下、エンジン2の吸気マニホールドが設けられた側を吸気側(車両左側)とし、排気マニホールドが設けられた側を排気側(車両右側)とする。
【0037】
エンジンルーム3内には、図3に示すように、吸気系統として、エンジン2に空気を導入する吸気通路60が設けられている。吸気通路60の上流端部には、吸気ダクト61が設けられている。吸気ダクト61(吸気通路60)は、導風ダクト30に接続している(図2参照)。吸気ダクト61(吸気通路60)と導風ダクト30との接続構成の詳細については、後述する。なお、「上流」及び「下流」は、吸気通路60を流れる空気のフロー方向を基準とする。
【0038】
吸気ダクト61よりも下流側には、エアクリーナ63が接続されている。エアクリーナ63は、エンジン2の吸気側に配置されている。エアクリーナ63は、吸気通路60に導入された空気中に含まれる塵や埃等のダストを取り除くことで、エンジン2にダストが侵入することを防いでいる。なお、吸気通路60に侵入した雪も、エアクリーナ63で取り除かれる。エアクリーナ63は、エアフィルタとそれを格納するケーシングと、を有する。エアフィルタは、通過する空気中の雪、ダスト等の異物を捕らえて除去する。エアフィルタによって捕えられた異物は、ケーシングの内部に堆積するか、エアフィルタ中に残存する。
【0039】
エアクリーナ63の下流側には、吸気管64がエンジン2の傍ら(吸気側)を車両後方に延びている。吸気管64は、エンジン2の後側(トランスミッション28の上側)に回り込んで、エンジン2の排気側に配置されたターボ過給機65に接続されている。ターボ過給機65の下流側には、ターボ過給機65のコンプレッサー側と、吸気マニホールドとを接続する過給管66が設けられている。過給管66は、エンジン2の上側を通って吸気側に延びている。ターボ過給機65のコンプレッサーによって密度が高くなった空気は、過給管66を通って吸気マニホールドに送られる。ターボ過給機65のタービン側からは、排気ガスが排出される。排気ガスは、排気ガス浄化装置67を通って排気管68により車両後方に送られる。なお、排気ガス浄化装置67は、エンジン2の排気側に配置されている。
【0040】
次に、本発明の実施形態に係るエンジンの吸気装置について、詳細に説明する。エンジンの吸気装置は、導風ダクト(導風部)30と、グリルシャッター(導風量調整装置)50と、吸気通路60と、を備える。なお、図4は、導風ダクト30及びグリルシャッター50を示す斜視図である。
【0041】
図4に示すように、導風ダクト(導風部)30は、当該導風ダクト30の上面、下面、及び左右の側面、それぞれを構成する壁部として、上壁部33と、下壁部34と、左右の側壁部35と、を有する。また、導風ダクト30は、当該導風ダクト30の後面のうち上端部を構成する壁部として、後壁部37aを有する(図2参照)。導風ダクト30の前面は、壁部で構成されておらず開口(前面開口36)している。導風ダクト30の後面のうち上端部(後壁部37a)以外の部分は、壁部で構成されておらず開口(後面開口37b)している。なお、導風ダクト30(導風部のダクト構造)は、断面矩形状である。すなわち、導風ダクト30は、角ダクトである。
【0042】
なお、「ダクト構造」は、断面矩形状に限定されず、例えば断面円形状、断面台形状、又は断面三角形状、等でもよい。すなわち、導風ダクト30は、丸ダクト(円形ダクト)、台形ダクト、又は三角ダクト、等でもよい。なお、上記実施形態のように、断面矩形状の方が、構造が簡単である。
【0043】
下壁部34は、その前端部の下側に位置する下側バンパーレインフォースメント12に、固定具によって固定されている(図2参照)。側壁部35には、上下方向中間部に、後方に凹む凹部43が設けられている。側壁部35は、凹部43に嵌合する上側バンパーレインフォースメント11に、固定具によって固定されている(図2参照)。上壁部33は、フレームメンバー13に固定されている(図1参照)。上壁部33からは、斜め下方に向けて、斜めバー45が延びている。斜めバー45の先端部には、取付部材46が取付けられている(図2参照)。取付部材46は、固定具によって、上側バンパーレインフォースメント11に固定されている(図2参照)。すなわち、上壁部33は、斜めバー45及び取付部材46を介して、上側バンパーレインフォースメント11に固定されている。また、上壁部33には、吸気通路60の吸気ダクト61を挿通するための貫通孔47が開設されている。
【0044】
図4に示すように、グリルシャッター50は、導風ダクト30の車両前後方向の後部を覆っている。具体的には、グリルシャッター50は、導風ダクト30の車両前後方向の後部に固定されており、導風ダクト30の後面開口37bを完全に覆っている。
【0045】
また、グリルシャッター50が導風ダクト30の車両前後方向の後部に固定されているので、導風ダクト30の上壁部33、下壁部34、及び左右の側壁部35は、グリルシャッター(導風量調整装置)50から、それぞれ前方に延びているといえる。
【0046】
グリルシャッター50は、矩形枠状の外枠部51と、外枠部51内に設けられた十字状の内枠部52と、を有する。外枠部51と内枠部52との間に形成された窓部53には、複数のフィン54が設けられている。フィン54は、左右方向に延びる回動軸55に対して回動可能である。フィン54は、アクチュエータ56(図2参照)の作動によって、回動軸55に対して、回動する。すなわち、フィン54は、窓部53(後面開口37b)を開放する開姿勢と、窓部53(後面開口37b)を閉塞する閉姿勢との間で、姿勢を変更することができる。これにより、グリルシャッター50を開閉することができる。なお、図4は、グリルシャッター50が開いた状態を示している。
【0047】
グリルシャッター50は、導風量調整装置として、後方へ抜ける車両走行風の導風量を調整する。すなわち、グリルシャッター50が閉じた状態のとき、車両走行風は、グリルシャッター50を通過せず、後方へ抜けない。一方、グリルシャッター50が開いた状態のとき、車両走行風は、グリルシャッター50を通過して、後方へ抜ける。
【0048】
ここで、グリルシャッター50を閉じて、後方へ抜ける車両走行風の導風量を少なくすると、導風ダクト30内に空気が滞留して、導風ダクト30内の内圧が上昇する。一方、グリルシャッター50を開いて、後方へ抜ける車両走行風の導風量を多くすると、導風ダクト30内に空気がほとんど滞留せず、導風ダクト内の内圧が上昇しない。
【0049】
すなわち、グリルシャッター50は、車両走行風の導風量を調整することで、導風ダクト30内の内圧を調整することができる。
【0050】
吸気通路60の上流端部に設けられた吸気ダクト61は、導風ダクト30の上壁部33に接続している。具体的には、上壁部33の貫通孔47を、吸気ダクト61が上下方向に挿通している。すなわち、吸気ダクト61(吸気通路60)は、上壁部33を貫通して設けられている。吸気通路60における吸気ダクト61の上流端には、吸気ダクト61(吸気通路60)へ空気を導入する吸気取入口62が開口している。吸気取入口62は、上壁部33に対して下側に位置しており、導風ダクト30内に臨んでいる。なお、吸気取入口62は、開口部が末広がりに拡径するベルマウス形状である。
【0051】
吸気ダクト61(吸気通路60)は、図2に示すように、上壁部33との接続部分から上方向に延びた後、後方に曲接している(上方向に延びた部分を上下延在部69という)。
【0052】
以上の通り、かかる構成によれば、吸気取入口62がラジエータ15より前方に設けられた導風ダクト(導風部)30内に臨むので、冷たい空気をエンジン2に導入することができる。グリルシャッター(導風量調整装置)50によって、後方へ抜ける車両走行風の導風量を調整することで、導風ダクト30内の内圧を調整することができる。導風ダクト30内の内圧を大きくすることで、導風ダクト30内への空気の流入が抑制される。これにより、空気中に含まれる雪、ダスト等の異物は、導風ダクト30内へ侵入しにくくなる。したがって、導風ダクト30内に臨む吸気取入口62から吸気ダクト61(吸気通路60)に異物が侵入することを抑制することができる。
【0053】
これにより、吸気通路60の途中(吸気ダクト61より下流側)に設けられたエアクリーナ63に異物が侵入することを抑制することができる。その結果、エアクリーナ63の内部に異物が堆積したり、エアフィルタが目詰まりしたりすることを抑制することができる。したがって、エアクリーナ63の寿命低下、エンジン吸気量の低減によるエンジン出力の低下を抑制することができる。
【0054】
導風部30をダクト構造とすることで、導風空間が壁部に囲まれるので、導風ダクト(導風部)30内の密閉性を高めることができ、内圧を大きくすることができる。
【0055】
さらに、導風ダクト(導風部)30を断面矩形状の角ダクトとすることで、構造を簡単にすることができる。
【0056】
導風ダクト(導風部)30とグリルシャッター(導風量調整装置)50との前後方向の隙間を小さくすることができる。したがって、当該隙間から空気が抜けにくくなるので、導風ダクト30内の密閉性をより高めることができ、内圧をより大きくすることができる。
【0057】
導風ダクト(導風部)30内に侵入した異物のうち比較的重いものW1(以下、異物W1という場合がある)は、図5に示すように、重力によって、下方向へ落下することが多い。かかる構成によれば、異物W1の移動方向である重力方向(下方向)と反対側に位置する上壁部33に吸気ダクト61(吸気通路60)が接続されることで、仮に導風ダクト30内に異物W1が侵入した場合であっても、吸気取入口62から吸気ダクト61(吸気通路60)に異物W1が侵入することを抑制することができる。
【0058】
導風ダクト30(導風部)内に侵入した異物のうち比較的軽いものW2(以下、異物W2という場合がある)は、重力によって下方向へ落下せず、導風ダクト30内を漂っていることがある。これらの比較的軽い異物W2は、壁部に衝突することで壁部に沿う方向に方向転換した後、壁部に沿って移動することが多い。すなわち、本実施形態において、異物W2は、例えば図5に示すように、後壁部37aに衝突することで後壁部37aに沿う方向に方向転換した後、後壁部37aに沿って上方向に移動する。なお、異物W2がグリルシャッター50に衝突したときも同様である。次に、上壁部33に衝突することで上壁部33に沿う方向に方向転換した後、上壁部33に沿って前方向に移動する。そこで、吸気ダクト61(吸気通路60)を上壁部33を貫通して下方に突き出して、吸気取入口62を上壁部33に対して下側に位置付ける。これにより、上壁部33に沿って移動する異物W2は、吸気ダクト61(吸気通路60)の管壁61aに衝突することで管壁61aに沿う方向に方向転換した後、管壁61aに沿って下方向に移動する。すなわち、異物W2は、吸気取入口62からの侵入方向(上方向)とは反対方向(下方向)に移動するので、吸気取入口62から吸気ダクト61(吸気通路60)へ侵入しにくくなる。
【0059】
上述の如く、吸気ダクト61(吸気通路60)の管壁61aに沿って下方向に移動する異物W2は、さらに吸気取入口62のベルマウス部分の外壁62aに沿って、吸気取入口62の径方向外方に移動する。すなわち、異物W2は、吸気取入口62から離れる方向に移動するので、吸気取入口62から吸気ダクト61(吸気通路60)へさらに侵入しにくくなる。
【0060】
異物は、仮に吸気取入口62から吸気ダクト61(吸気通路60)へ侵入した場合、上下延在部69において、重力によって吸気取入口62まで逆流する。したがって、万が一、吸気取入口62から吸気ダクト61(吸気通路60)へ異物が侵入した場合であっても、吸気通路60の途中(吸気ダクト61より下流側)に設けられたエアクリーナ63に異物が侵入する前に、異物を吸気ダクト61(吸気通路60)から除去することができる。
【0061】
例えば通常走行時に、グリルシャッター50を開くことで、車両走行風をラジエータ15側に導入して、ラジエータ15を流れるエンジン冷却水を冷却することができる。一方、例えばエンジン暖機時に、グリルシャッター50を閉じることで、ラジエータ15側への車両走行風の導入を遮断して、ラジエータ15を流れるエンジン冷却水の冷却を抑えることができる。
【0062】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0063】
グリルシャッター(導風量調整装置)50は、導風ダクト(導風部)30の後面開口37bを完全に覆う必要はない。導風ダクト30の後面に、グリルシャッター(導風量調整装置)50で覆われない部分が多少あってもよい。
【0064】
上記実施形態のように、導風ダクト(導風部)30の上壁部33、下壁部34、及び左右の側壁部35は、グリルシャッター(導風量調整装置)50から、それぞれ前方に延びていなくてもよい。すなわち、グリルシャッター50は、導風ダクト30の車両前後方向の後部に固定されている必要はない。グリルシャッター50は、導風ダクト30の車両前後方向の後部に設けられているのであれば、導風ダクト30との間に前後方向の多少の隙間があってよい。なお、当該隙間は、極力小さい方が、導風ダクト30内の内圧を高めるためには望ましい。
【0065】
吸気ダクト61(吸気通路60)は、上壁部33だけでなく、他の壁部、例えば下壁部34、側壁部35又は後壁部37aに接続されてもよい。また、吸気ダクト61(吸気通路60)は、グリルシャッター(導風量調整装置)50に接続されてもよい。すなわち、吸気取入口62が導風ダクト(導風部)30内に臨むのであれば、いかなる接続構成であってもよい。
【0066】
上記実施形態における、吸気ダクト61(吸気通路60)を上壁部33を貫通して設けることによる効果は、吸気ダクト61(吸気通路60)を上壁部33以外の壁部(下壁部34、側壁部35、後壁部37a)に接続した場合、又はグリルシャッター(導風量調整装置)50に接続した場合にも得られる。吸気取入口62をベルマウス形状にすることによる効果も、同様である。
【0067】
導風量調整装置50は、グリルシャッターに限定されない。導風ダクト(導風部)30の車両前後方向の後部に設けられ、車両走行風の導風量を調整することで、導風ダクト30内の内圧を調整することができるのであれば、いかなる構成であってもよい。例えば、導風ダクト30の車両前後方向の後部に設けられた導風ファンでもよい。
【0068】
導風部30は、ダクト構造を有さなくてもよい。例えば、下壁部34の代わりに、アンダーカバー9で、導風部30の下側部分を構成してもよい。同様に、上壁部33の代わりに、ボンネット8で、導風部30の上側部分を構成してもよい。この場合、導風部30をダクト構造(導風ダクト)に形成するための上壁部33や下壁部34等が不要である。すなわち、上壁部33や下壁部34を形成するために専用の部材を設ける必要がない。したがって、部品点数を削減することができる。
【0069】
以上の通り、本発明によれば、ラジエータ15前方の冷たい空気を吸気通路60を通じてエンジン2に導入することで吸気温度を低減しつつ、雪、ダスト等の異物が吸気取入口62から吸気通路60に侵入することを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、エンジンの吸気装置に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0071】
W1,2 異物
2 エンジン
3 エンジンルーム
3a 開口
15 ラジエータ
30 導風ダクト(導風部)
33 上壁部
34 下壁部
35 側壁部
50 グリルシャッター(導風量調整装置)
60 吸気通路
62 吸気取入口
63 エアクリーナ
図1
図2
図3
図4
図5