特開2021-23904(P2021-23904A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-23904(P2021-23904A)
(43)【公開日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】焼き締めボルトの冷却用ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/20 20060101AFI20210125BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20210125BHJP
【FI】
   B05B1/20
   B23P19/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-146129(P2019-146129)
(22)【出願日】2019年8月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000208695
【氏名又は名称】第一高周波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100187506
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 優子
(72)【発明者】
【氏名】中野 倫之
(72)【発明者】
【氏名】花田 慎伍
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033AA05
4F033BA02
4F033DA05
4F033EA06
4F033GA11
4F033LA04
4F033LA12
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】焼き締めボルトに施された軸孔内におけるエアーの流れを一定にすることで、焼き締めボルトの冷却効率を向上させた焼き締めボルトの冷却用ノズルを提供すること。
【解決手段】軸芯に沿って軸孔3aが形成された焼き締めボルト3を、冷却用空気によって冷却する焼き締めボルトの冷却用ノズルであって、冷却用ノズル21は、焼き締めボルトの軸孔内に挿入され、直線状に形成されて先端部が閉塞された筒体部22と、筒体部の側面に穿設され、当該筒体部の基端部側から筒体部内に導入された冷却用空気を、焼き締めボルトの軸孔内に吹き出す複数の吹出し孔23とが備えられる。複数の吹出し孔の各軸線の全てが、筒体部の長手方向の軸線に対して、筒体部の先端部側に向かって鋭角に、もしくは基端部側に向かって鋭角となるように、それぞれ形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯に沿って軸孔が形成された焼き締めボルトを、冷却用空気によって冷却する焼き締めボルトの冷却用ノズルであって、
前記冷却用ノズルは、前記焼き締めボルトの軸孔内に挿入され、直線状に形成されて先端部が閉塞された筒体部と、前記筒体部の側面に穿設され、当該筒体部の基端部側から筒体部内に導入された冷却用空気を、前記焼き締めボルトの軸孔内に吹き出す複数の吹出し孔とが備えられ、
前記複数の吹出し孔の各軸線の全てが、前記筒体部の長手方向の軸線に対して、筒体部の前記先端部側に向かって鋭角に、もしくは前記基端部側に向かって鋭角となるように、それぞれ形成されていることを特徴とする焼き締めボルトの冷却用ノズル。
【請求項2】
前記筒体部の長手方向の軸線に対する前記各吹出し孔の軸線の交差する角度が、30度ないし60度の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の焼き締めボルトの冷却用ノズル。
【請求項3】
軸芯に沿って軸孔が形成された焼き締めボルトを、冷却用空気によって冷却する焼き締めボルトの冷却用ノズルであって、
前記冷却用ノズルは、前記焼き締めボルトの軸孔内に挿入され、直線状に形成されて先端部が閉塞された筒体部と、前記筒体部の側面に穿設され、当該筒体部の基端部側から筒体部内に導入された冷却用空気を、前記焼き締めボルトの軸孔内に吹き出す複数の吹出し孔とが備えられ、
前記各吹出し孔は、前記筒体部の長手方向に沿って間欠的に集合体を作って穿設されていることを特徴とする焼き締めボルトの冷却用ノズル。
【請求項4】
筒体部の前記基端部側において集合体を作る吹出し孔の数が最も少なく、筒体部の前記先端部側において集合体を作る吹出し孔の数が最も多くなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の焼き締めボルトの冷却用ノズル。
【請求項5】
前記筒体部の基端部には、筒体部の長手方向に直交する方向に突出する鍔部が配置され、前記鍔部により、焼き締めボルトに形成された軸孔への前記筒体部の挿入位置が設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の焼き締めボルトの冷却用ノズル。
【請求項6】
前記鍔部は、筒体部の長手方向に沿って摺動可能に配置されると共に、長手方向の任意の位置において前記筒体部に固定する固定手段が施されていることを特徴とする請求項5に記載の焼き締めボルトの冷却用ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、焼き締めボルトの軸芯に沿って形成された軸孔内に挿入され、焼き締めボルトを冷却するための焼き締めボルトの冷却用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、蒸気タービンにおけるタービン車室は、車室上半部と車室下半部とに分割されている。このようなタービン車室では、車室上半部と車室下半部の各々にフランジが形成され、タービン車室内の蒸気が外部に漏洩することを防止するために、上下のフランジが多数のボルトおよびナットにより締め付けられている。
このようなタービン車室では、車室上半部のフランジと車室下半部のフランジとの締結に、焼き締め手法が採用される。
【0003】
図4は焼き締め手法に用いられる焼き締めボルトおよび締め付けナットの一例を断面図によって示している。すなわち、タービン車室を構成する車室上半部のフランジ1と、車室下半部のフランジ2には、ボルト挿通用の貫通孔1a,2aが形成されており、この貫通孔1a,2aにボルト3が挿通される。
【0004】
前記ボルト3は、両端部に雄ねじが形成され、また軸芯に沿って直線状の軸孔3aが形成されている。このボルト3の両端部の雄ねじには、座金4,5をそれぞれ介して、上下の締め付けナット6,7が螺着され、これにより、上下のフランジ1,2は締結される。 なお、上下の締め付けナット6,7には、それぞれ開口6a,7aが形成されており、これらの開口6a,7aは、前記したボルト3の軸孔3aと直線上で一致するようにそれぞれ穿設されている。
【0005】
前記焼き締め手法は、ボルトを加熱して伸長させた状態で、ボルトに螺合させた締め付けナットを所定の回転位置までねじ込み、その後、ボルトを冷却することにより前記ボルトは軸方向に収縮し、締め付けナットがフランジに押し付けられることで、フランジ同志が強固に締結されるものである。
【0006】
したがって、前記ボルト3に形成された軸孔3a内には、長尺状に形成された例えば高周波加熱ヒータが挿入され、誘導加熱による発熱を利用してボルト3は加熱される。
そして、ボルト3が所定温度まで加熱された状態で、ボルト3に対して締め付けナット6,7を締め付け、その後自然冷却によりボルト3が冷える(40℃以下)のを待って、上下フランジ1,2間の隙間計測などが行なわれる。
【0007】
しかし、自然放冷によってボルトの冷却を待つには、半日以上の時間を要することになるため、これが全体工程を圧迫することになる。
そこで、締め付けナットの締め付け後に、加熱された焼き締めボルトをエアーにより冷却する手段が提案されており、その一例が特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1の図4に示されたエアーによる冷却装置によると、エアー送出用の可撓性パイプ(エアーホース)の先端に、多数のエアー吹き出し孔を備えた筒状部が接続されている。すなわちこの筒状部を、焼き締めボルトの軸芯に沿って形成された軸孔内に挿入して、エアー吹き出し孔からエアーを吹き出すことで、加熱されたボルトを冷却することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−117739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に示されたエアーによる冷却装置については、焼き締めボルトを利用する業界において多用されているものの、筒状部の全体にわたって満遍なくエアー吹き出し孔を備えた構成であるために、焼き締めボルトに施された軸孔内におけるエアーの流れが定まらず、このためにボルトの冷却効率が悪く、工夫の余地がある。
【0011】
そこで、この発明は、焼き締めボルトに施された軸孔内におけるエアーの流れを一定にすることで、焼き締めボルトの冷却効率を向上させた焼き締めボルトの冷却用ノズルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る焼き締めボルトの冷却用ノズルは、軸芯に沿って軸孔が形成された焼き締めボルトを、冷却用空気によって冷却する焼き締めボルトの冷却用ノズルであって、前記冷却用ノズルは、前記焼き締めボルトの軸孔内に挿入され、直線状に形成されて先端部が閉塞された筒体部と、前記筒体部の側面に穿設され、当該筒体部の基端部側から筒体部内に導入された冷却用空気を、前記焼き締めボルトの軸孔内に吹き出す複数の吹出し孔とが備えられ、前記複数の吹出し孔の各軸線の全てが、前記筒体部の長手方向の軸線に対して、筒体部の前記先端部側に向かって鋭角に、もしくは前記基端部側に向かって鋭角となるように、それぞれ形成されていることを特徴とする。
【0013】
この場合、前記筒体部の長手方向の軸線に対する前記各吹出し孔の軸線の交差する角度が、30度ないし60度の範囲に設定されていることが望ましい。
【0014】
また、前記した課題を解決するためになされたこの発明に係る焼き締めボルトの冷却用ノズルは、軸芯に沿って軸孔が形成された焼き締めボルトを、冷却用空気によって冷却する焼き締めボルトの冷却用ノズルであって、前記冷却用ノズルは、前記焼き締めボルトの軸孔内に挿入され、直線状に形成されて先端部が閉塞された筒体部と、前記筒体部の側面に穿設され、当該筒体部の基端部側から筒体部内に導入された冷却用空気を、前記焼き締めボルトの軸孔内に吹き出す複数の吹出し孔とが備えられ、前記各吹出し孔は、前記筒体部の長手方向に沿って間欠的に集合体を作って穿設されていることを特徴とする。
【0015】
この場合、筒体部の前記基端部側において集合体を作る吹出し孔の数が最も少なく、筒体部の前記先端部側において集合体を作る吹出し孔の数が最も多くなるように構成されていることが望ましい。
【0016】
そして、前記筒体部の基端部には、好ましくは筒体部の長手方向に直交する方向に突出する鍔部が配置され、前記鍔部により、焼き締めボルトに形成された軸孔への前記筒体部の挿入位置が設定されるように構成される。
加えて、前記鍔部は、筒体部の長手方向に沿って摺動可能に配置されると共に、長手方向の任意の位置において前記筒体部に固定する固定手段が施されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
前記したこの発明に係る焼き締めボルトの冷却用ノズルによると、冷却用ノズルの筒体部の側面には、焼き締めボルトの軸内に冷却用空気を吹き出す複数の吹出し孔が形成され、吹出し孔の各軸線の全てが、筒体部の長手方向の軸線に対して、筒体部の先端部側に向かって鋭角に、もしくは筒体部の基端部側に向かって鋭角となるように、それぞれ形成される。
したがって、複数の吹出し孔から吹出される冷却用空気によって、焼き締めボルトの軸孔内に一方向に空気の流れを作ることができ、この一方向への空気の流れが焼き締めボルトの冷却効率を向上させることに寄与することができる。
【0018】
また、前記各吹出し孔は、筒体部の長手方向に沿って間欠的に集合体を作って穿設されるので、各集合体ごとの吹出し孔の数を適切に選定することにより、各集合体ごとの冷却用空気の吹出し量を偏りなく設定することができる。
これにより、焼き締めボルトの長手方向の全体にわたって、より均等に冷却効果を与えることができ、焼き締めボルトの冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明に係る冷却用ノズルを付帯設備と共に示した正面図である。
図2】冷却用ノズルの単品構成を示し、(A)冷却用ノズル全体の断面図、(B)はa部の拡大断面図、(C)はb部の拡大断面図、(D)はc部の拡大断面図、(E)はd−d線より矢印方向に見た断面図である。
図3】冷却用ノズルに取り付けられる鍔部の分解図である。
図4】焼き締めボルトをタービン車室のフランジに装着した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係る焼き締めボルトの冷却用ノズルについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
図1は、冷却用ノズルをエアークーラー等を含む付帯設備と共に示しており、エアーヘッダーから供給される高圧エアーが、エアープラグ11およびエアーホース12を介して取り込まれ、エアーホース12を介した高圧エアーは、ボールバルブ13を介してエアーフィルタ14に供給される。
そして、エアーフィルタ14を経た高圧エアーは、エアープラグ15およびハイカプラソケット16を介して、エアークーラー17に導入される。
【0021】
エアークーラー17は、高圧(圧縮)エアーを受けて、冷風と温風とを生成する渦流発生型冷却機により構成されている。この渦流発生型冷却機は、高圧エアーによる渦流によって冷却された冷風を発生するものであり、東浜工業株式会社製のエアークーラー(商品名)等が知られている。
図1に示すエアークーラー17の円筒状本体の上端部からは温風が放出され、冷風はハイカプラプラグ18およびソケットカプラー19を介して、冷却用ノズル21に供給される。
【0022】
冷却用ノズル21は、図2(A)に断面図で示したように、直線状に形成されて先端部が閉塞された筒体部22により構成され、この筒体部22の側面には複数の冷却用空気の吹出し孔23が穿設されている。
そして、筒体部22が図4に示した焼き締めボルト3の軸孔3a内に収容され、前記したエアークーラー17により生成された冷風が、冷却用空気の吹出し孔23から軸孔3a内に吹き出されることで、焼き締めボルト3を効果的に冷却することができる。
【0023】
なお、前記筒体部22の基端部には、図2(B)に拡大して示すように短軸の接続ソケット24が溶接により取り付けられており、この接続ソケット24が、図2に示したソケットカプラー19に取り付けられて、筒体部22は前記したエアークーラー17と一体となるように構成されている。
また、前記筒体部22の先端部には、図2(D)に示したように栓体25が溶接により取り付けられ、これにより前記したとおり筒体部22の先端部は閉塞されている。
【0024】
そして、この実施の形態における筒体部22の側面に形成された吹出し孔23の各軸線は、図2(C)に示すように筒体部22の長手方向の軸線に対して、筒体部22の先端部側に向かって鋭角となるように、それぞれ形成(穿設)されている。
図2(C)に示す吹出し孔23の軸線は、筒体部22の長手方向の軸線に対して、θ=45度となるように構成されている。
【0025】
このように、各吹出し孔23の軸線の角度を設定することにより、図4に示す焼き締めボルト3の軸孔3a内に冷却用ノズル21を収容した場合、冷却用ノズル21の吹出し孔23から吹き出される冷風は、焼き締めボルトの軸孔3a内において、一方向に空気の流れを作ることができる。この一方向への空気の流れが円滑になされることにより、焼き締めボルト3の冷却効率を向上させることに寄与することができる。
【0026】
なお、筒体部22の長手方向の軸線に対する各吹出し孔23の軸線の交差する角度θは、30度ないし60度の範囲に設定されていることが望ましい。
これは、θ=60度を超える場合には、吹出し孔23から焼き締めボルトの軸孔3a内への空気の当たり角度が大きくなり、焼き締めボルトの軸孔3a内における一方向への円滑な空気の流れを作ることが困難になる。
【0027】
また、θ=30度未満に設定しようとする場合には、筒体部22の肉厚が所定以上必要となる。しかし筒体部22の外径は細く、筒体部22の内径はある程度確保する必要があることから、筒体部22の肉厚の確保が困難であり、このような制約により角度θ=30度以上とすることが望まれる。
一例として、図に示す筒体部22は、軸方向の長さ寸法が700mm、外径寸法が12mm、内径寸法が8mmになされ、各吹出し孔23の直径はそれぞれ4mmに設定されている。なお筒体部22の前記寸法は、焼き締めボルト3の軸方向の長さや軸孔3aの内径に応じて、適宜選定されることになる。
【0028】
一方、筒体部22に形成された前記吹出し孔23は、図2(E)に示すように筒体部22の周に沿って等間隔に、すなわち120度の間隔をおいて3つの吹出し孔23がそれぞれ形成されている。
しかも前記吹出し孔23は、図2(A)に示すように筒体部22の長手方向に沿って、間欠的に集合体を作って穿設されている。
すなわち、筒体部22における接続ソケット24が取り付けられた基端部側において集合体を作る吹出し孔の数が最も少なく、筒体部22の先端部側において集合体を作る吹出し孔の数が最も多くなるように構成されている。
【0029】
この例においては、筒体部22の基端部側に第1集合体23aが形成されて、軸方向に2列で計6個の吹出し孔23が形成され、筒体部22の中央部に第2集合体23bが形成されて、軸方向に3列で計9個の吹出し孔23が形成されている。さらに筒体部22の先端部側に第3集合体23cが形成されて、軸方向に3列で計9個の吹出し孔23が形成されている。
【0030】
前記したエアークーラー17からのエアーは、筒体部22の基端部側に導入されるため、基端部側におけるエアーの圧力は高く、筒体部22の先端部側のエアーの圧力は低くなる。そこで、基端部側の吹出し孔23の数を少なく、先端部側の吹出し孔23の数を多く設定することで、エアーの吹き出し量を、筒体部22の長手方向に沿って均一化させることができる。
これにより、焼き締めボルトの長手方向の全体にわたって、より均等に冷却効果を与えることができ、焼き締めボルトの冷却効率を向上させることに寄与できる。
【0031】
図1に示すように冷却用ノズル21の筒体部22には、その基端部に鍔部27が取り付けられおり、この鍔部27は筒体部22の長手方向に直交する方向に突出している。
前記冷却用ノズル21の先端部を下向きにして、冷却用ノズル21を焼き締めボルト3の軸孔3aに差し込んだ際に、この鍔部は27は焼き締めボルト3に螺着した上側の締め付けナット6に当接することで、軸孔3aへの筒体部22の挿入位置が適切に設定できるようにされる。すなわち、鍔部27はストッパーとして機能するものとなる。
【0032】
図3に鍔部27の分解図が示されており、この鍔部27は互いに接合される第1鍔部27Aと第2鍔部27Bにより構成され、第1と第2鍔部27A,27Bの互いに接合される面の中央部には、筒体部22が挿入される凹み部27aがそれぞれ形成されている。
そして、第1鍔部27Aには、前記凹み部27aを挟んだ両側に、締め付けねじ(皿ねじ)28のねじ部が螺合するねじ孔27bが形成されており、第2鍔部27Bには、凹み部27aを挟んだ両側に、締結ねじ28の通し孔27cが形成されている。
【0033】
したがって、締め付けねじ28のねじ部を、通し孔27cを介して第1鍔部27Aのねじ孔27bに締め付けることで、筒体部22に対して鍔部27の位置が固定される。
すなわち第1と第2鍔部27A,27B、および二本の締結ねじ28によって、筒体部22の長手方向の任意の位置において、鍔部27を筒体部22に対して固定可能な固定手段が形成されている。
これにより、焼き締めボルト3の寸法に応じて、冷却用ノズル21の設置位置を調整することが可能となる。
【0034】
以上説明した実施の形態においては、焼き締めボルト3の軸孔3aが軸方向に貫通しており、したがって図示例においては、冷却用ノズル21に形成される吹出し孔23の軸線は、全て筒体部22の先端部側に向かって鋭角(45度)となるように形成されている。
しかし、軸孔3aが軸方向に貫通している場合には、冷却用ノズル21に形成される吹出し孔23の軸線は、全て筒体部22の基端部側に向かって鋭角に形成されたものも採用することができる。
【0035】
一方、前記焼き締めボルト3については、その軸孔3aが先端部において閉塞されている植え込みボルトが用いられる場合がある。この場合には、冷却用ノズル21に形成される吹出し孔23の軸線は、全て筒体部22の基端部側に向かって鋭角に形成されたものが採用される。したがって、軸孔3a内の空気の流れは、冷却用ノズル21の基端部側に向かって流れることになり、これにより、植え込みボルトを効果的に冷却することが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1,2 フランジ
1a,2a 貫通孔
3 焼き締めボルト
3a 軸孔
4,5 座金
6,7 締め付けナット
6a,7a 開口
11 エアープラグ
12 エアーホース
13 ボールバルブ
14 エアーフィルタ
15 エアープラグ
16 ハイカプラソケット
17 エアークーラー
18 ハイカプラプラグ
19 ソケットカプラー
21 冷却用ノズル
22 筒体部
23 吹出し孔
23a 第1集合体
23b 第2集合体
23c 第3集合体
24 接続ソケット
25 栓体
27 鍔部(ストッパー)
27A 第1鍔部
27B 第2鍔部
27a 凹み部
27b ねじ孔
27c 通し孔
28 締結ねじ(皿ねじ)
図1
図2
図3
図4