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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-25534(P2021-25534A)
(43)【公開日】2021年2月22日
(54)【発明の名称】バルブ異常検出装置および方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 37/00 20060101AFI20210125BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20210125BHJP
【FI】
   F16K37/00 F
   G05B23/02 302R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-140894(P2019-140894)
(22)【出願日】2019年7月31日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山崎 史明
【テーマコード(参考)】
3C223
3H065
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223EB02
3C223FF33
3C223FF35
3C223HH01
3C223HH16
3H065BA02
3H065BA07
3H065BB11
3H065CA03
3H065CA06
(57)【要約】
【課題】バルブの異常を従来よりもリアルタイムに近い時間で検出する。
【解決手段】バルブ異常検出装置は、バルブの開度の値を取得する開度取得部1と、ポジショナからバルブの操作器に供給される操作器空気の圧力値を取得する圧力取得部2と、開度取得部1によって取得されたバルブ開度の値が略一定となる安定開度状態を検出する安定時検出部3と、安定開度状態における操作器空気の最大圧力値と最小圧力値との差を、バルブの摺動部の摩擦力を示す指標値として検出する摩擦力検出部4と、指標値が規定値を下回る低下の発生頻度が異常な頻度の場合に、バルブに異常が発生した可能性があると判定する異常判定部(低下値検出部5、低下時間差算出部6、低下時間差記憶部7、時間差判定部8)とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブの開度の値を取得するように構成された開度取得部と、
ポジショナから前記バルブの操作器に供給される操作器空気の圧力値を取得するように構成された圧力取得部と、
前記開度取得部によって取得されたバルブ開度の値が略一定となる安定開度状態を検出するように構成された安定時検出部と、
前記安定開度状態における前記操作器空気の最大圧力値と最小圧力値との差を、前記バルブの摺動部の摩擦力を示す指標値として検出するように構成された摩擦力検出部と、
前記指標値が規定値を下回る低下の発生頻度が異常な頻度の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定するように構成された異常判定部とを備えることを特徴とするバルブ異常検出装置。
【請求項2】
請求項1記載のバルブ異常検出装置において、
前記異常判定部は、
前記指標値が前記規定値を下回る顕著な低下を検出するように構成された低下値検出部と、
前記低下値検出部によって前記指標値の顕著な低下が検出されたときに、この顕著な低下の発生時点と前回の顕著な低下の発生時点との時間差を算出するように構成された低下時間差算出部と、
前記低下時間差算出部によって算出された時間差を記憶するように構成された低下時間差記憶部と、
規定の個数の前記時間差の平均値が閾値未満の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定するように構成された時間差判定部とから構成されることを特徴とするバルブ異常検出装置。
【請求項3】
請求項1記載のバルブ異常検出装置において、
前記異常判定部は、
前記指標値が前記規定値を下回る顕著な低下を検出するように構成された低下値検出部と、
前記指標値の顕著な低下の発生回数を数えるように構成された低下回数計数部と、
規定時間における前記指標値の顕著な低下の発生回数が閾値を超えた場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定するように構成された回数判定部とから構成されることを特徴とするバルブ異常検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバルブ異常検出装置において、
前記バルブに異常が発生した可能性があることをオペレータに対して通知するように構成された異常発生通知部をさらに備えることを特徴とするバルブ異常検出装置。
【請求項5】
バルブの開度の値を取得する第1のステップと、
ポジショナから前記バルブの操作器に供給される操作器空気の圧力値を取得する第2のステップと、
前記第1のステップで取得したバルブ開度の値が略一定となる安定開度状態を検出する第3のステップと、
前記安定開度状態における前記操作器空気の最大圧力値と最小圧力値との差を、前記バルブの摺動部の摩擦力を示す指標値として検出する第4のステップと、
前記指標値が規定値を下回る低下の発生頻度が異常な頻度の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定する第5のステップとを含むことを特徴とするバルブ異常検出方法。
【請求項6】
請求項5記載のバルブ異常検出方法において、
前記第5のステップは、
前記指標値が前記規定値を下回る顕著な低下を検出する第6のステップと、
前記第6のステップで前記指標値の顕著な低下を検出したときに、この顕著な低下の発生時点と前回の顕著な低下の発生時点との時間差を算出して記憶する第7のステップと、
規定の個数の前記時間差の平均値が閾値未満の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定する第8のステップとを含むことを特徴とするバルブ異常検出方法。
【請求項7】
請求項5記載のバルブ異常検出方法において、
前記第5のステップは、
前記指標値が前記規定値を下回る顕著な低下を検出する第6のステップと、
前記指標値の顕著な低下の発生回数を数える第7のステップと、
規定時間における前記指標値の顕著な低下の発生回数が閾値を超えた場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定する第8のステップとを含むことを特徴とするバルブ異常検出方法。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載のバルブ異常検出方法において、
前記バルブに異常が発生した可能性があることをオペレータに対して通知する第9のステップをさらに含むことを特徴とするバルブ異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブの異常を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油化学プラントなどで使用されるバルブ(例えば図11のコントロールバルブ)は、特に安全性に留意する必要があり、ゆえに定期的なメンテナンスが行なわれる。図11に示すコントロールバルブは、流体の流れる通路を開閉するバルブ本体100と、入力電気信号を空気圧に変換するポジショナ101と、ポジショナ101から供給される空気圧に応じてバルブ本体100を操作する操作器102とから構成される。
【0003】
図11に示したようなバルブが設置されているプラントにおいてバルブのメンテナンス作業効率を改善するために、バルブの摺動部におけるスティックスリップの発生を検出する技術(特許文献1参照)、バルブのハンチング状態を判定する技術(特許文献2参照)、バルブへのスケールの付着を検出する技術(特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
特許文献1〜3に開示された技術は、いわゆるクラウド環境などのビッグデータを扱うIoT(Internet of Things)プラットフォームで実現されるような手法であり、例えば週単位レベルのデータ収集を前提とするケースもある。
【0005】
安全性や作業効率については、完全とか十分とか言える上限は無く、安全管理の更なる向上が求められている。特に、石油化学プラントなどでは、例えば図12に示すように複数のバルブ15−A,15−C,15−Mが使用される。特に安全管理は迅速性が重要であり、よりリアルタイムに近いバルブの不具合検知へとニーズも変化しており、改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3254624号公報
【特許文献2】特開2015−114942号公報
【特許文献3】特開2015−114943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、バルブの異常を従来よりもリアルタイムに近い時間で検出することができるバルブ異常検出装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバルブ異常検出装置は、バルブの開度の値を取得するように構成された開度取得部と、ポジショナから前記バルブの操作器に供給される操作器空気の圧力値を取得するように構成された圧力取得部と、前記開度取得部によって取得されたバルブ開度の値が略一定となる安定開度状態を検出するように構成された安定時検出部と、前記安定開度状態における前記操作器空気の最大圧力値と最小圧力値との差を、前記バルブの摺動部の摩擦力を示す指標値として検出するように構成された摩擦力検出部と、前記指標値が規定値を下回る低下の発生頻度が異常な頻度の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定するように構成された異常判定部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のバルブ異常検出装置の1構成例において、前記異常判定部は、前記指標値が前記規定値を下回る顕著な低下を検出するように構成された低下値検出部と、前記低下値検出部によって前記指標値の顕著な低下が検出されたときに、この顕著な低下の発生時点と前回の顕著な低下の発生時点との時間差を算出するように構成された低下時間差算出部と、前記低下時間差算出部によって算出された時間差を記憶するように構成された低下時間差記憶部と、規定の個数の前記時間差の平均値が閾値未満の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定するように構成された時間差判定部とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明のバルブ異常検出装置の1構成例において、前記異常判定部は、前記指標値が前記規定値を下回る顕著な低下を検出するように構成された低下値検出部と、前記指標値の顕著な低下の発生回数を数えるように構成された低下回数計数部と、規定時間における前記指標値の顕著な低下の発生回数が閾値を超えた場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定するように構成された回数判定部とから構成されることを特徴とするものである。
また、本発明のバルブ異常検出装置の1構成例は、前記バルブに異常が発生した可能性があることをオペレータに対して通知するように構成された異常発生通知部をさらに備えることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のバルブ異常検出方法は、バルブの開度の値を取得する第1のステップと、ポジショナから前記バルブの操作器に供給される操作器空気の圧力値を取得する第2のステップと、前記第1のステップで取得したバルブ開度の値が略一定となる安定開度状態を検出する第3のステップと、前記安定開度状態における前記操作器空気の最大圧力値と最小圧力値との差を、前記バルブの摺動部の摩擦力を示す指標値として検出する第4のステップと、前記指標値が規定値を下回る低下の発生頻度が異常な頻度の場合に、前記バルブに異常が発生した可能性があると判定する第5のステップとを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、開度取得部と圧力取得部と安定時検出部と摩擦力検出部と異常判定部とを設けることにより、バルブの異常を従来よりもリアルタイムに近い時間で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、バルブの摺動部の摩擦力の指標値について説明する図である。
図2図2は、本発明の第1の実施例に係るバルブ異常検出装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1の実施例に係るバルブ異常検出装置の動作を説明するフローチャートである。
図4図4は、安定開度状態について説明する図である。
図5図5は、安定開度状態において検出される操作器空気の最大圧力値と最小圧力値の例を示す図である。
図6図6は、安定開度状態において検出される操作器空気の最大圧力値と最小圧力値の別の例を示す図である。
図7図7は、操作器空気の最大圧力値および摩擦力の指標値の1例を示す図である。
図8図8は、本発明の第2の実施例に係るバルブ異常検出装置の構成を示すブロック図である。
図9図9は、本発明の第2の実施例に係るバルブ異常検出装置の動作を説明するフローチャートである。
図10図10は、本発明の第1、第2の実施例に係るバルブ異常検出装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
図11図11は、コントロールバルブの1例を示す図である。
図12図12は、プラントのタンクに使用される複数のバルブの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[発明の原理]
発明者は、バルブの実装について、特殊な配線工事をせずとも、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信技術などにより、DCS(Distributed Control System)入力と実開度なども捉えられるように進化したことに着眼した。すなわち、特許文献1に開示された技術よりもリアルタイムに近い形で、偏差を観測することは可能であり、統計的なデータ分析という意味は抑制されることになるが、ダイナミクス(動特性あるいは時系列の挙動特性)を分析対象とすることは可能である。
【0014】
ところで、バルブの実装について、操作器出力空気の圧力センサを用いて、特定の条件下に入る時のバルブの摺動部の摩擦力の検知をオンラインで離散時間収集するケースがある。より具体的には、例えば一定開度で一定状態に維持する制御が行なわれている状態であっても、摩擦力については、その安定時における実開度のふらつきに含まれるヒステリシスで、摩擦力に換算することが可能である。
【0015】
スティックスリップのような特定の異常現象(速いふらつき現象)が発生すると、離散時間サイクルとの兼ね合いで、操作器空気圧力のふらつき検出の欠損が起こる確率が高くなり、換算される摩擦力数値に異常な低下が頻繁に発生するようになる。
発明者は、このような摩擦力数値の頻繁な低下を単に通信異常として扱うのではなく、バルブ自体の異常現象として扱えることを、鋭意研究により突き止めた。すなわち、安定時の操作器空気圧力のふらつきにより摩擦力を検知する中でバルブの異常現象を検知できることになり、従来よりもリアルタイムに近い形でバルブの異常を検知できる。
【0016】
[第1の実施例]
以下、本発明の第1の実施例について図面を参照して説明する。本発明では、通信により例えばDCSと接続された空気作動式のバルブを異常検知の対象とする。
【0017】
[摩擦力について]
バルブの摺動部の摩擦力の指標値としては、バルブ開度を大きくしていく際に必要になる操作器出力空気の圧力と、バルブ開度を小さくしていく際に必要になる操作器出力空気の圧力を、バルブ開度に応じて求めたときに、同一の開度において前者と後者で生じる圧力差などがある。
【0018】
図1は摩擦力の指標値について説明する図であり、横軸のPo1は操作器出力空気の圧力、縦軸はバルブのトラベル(弁体の移動量)である。図1のPomaxAはバルブが正常な状態での圧力Po1の最大値、PominAはバルブが正常な状態での圧力Po1の最小値、PomaxBはバルブの摩擦力が増大した状態での圧力Po1の最大値、PominBはバルブの摩擦力が増大した状態での圧力Po1の最小値である。図1によれば、摩擦力が大きい方がPomaxとPominの差が大きくなることが分かる。
【0019】
図2は本実施例のバルブ異常検出装置の構成を示すブロック図である。バルブ異常検出装置は、対象のバルブの開度の値を取得する開度取得部1と、対象のバルブの操作器空気の圧力値を取得する圧力取得部2と、開度取得部1によって取得されたバルブ開度の値が略一定となる安定開度状態を検出する安定時検出部3と、安定開度状態における操作器空気の最大圧力値と最小圧力値との差を、バルブの摺動部の摩擦力を示す指標値として検出する摩擦力検出部4と、指標値が規定値を下回る顕著な低下を検出する低下値検出部5と、低下値検出部5によって指標値の顕著な低下が検出されたときに、この顕著な低下の発生時点と前回の顕著な低下の発生時点との時間差(指標値の顕著な低下の発生時間間隔)を算出する低下時間差算出部6と、低下時間差算出部6によって算出された時間差を記憶する低下時間差記憶部7と、規定の個数の時間差の平均値が閾値未満の場合に、バルブに異常が発生した可能性があると判定する時間差判定部8と、バルブに異常が発生した可能性があることをオペレータに対して通知する異常発生通知部9とを備えている。
【0020】
低下値検出部5と低下時間差算出部6と低下時間差記憶部7と時間差判定部8とは、指標値が規定値を下回る低下の発生頻度が異常な頻度の場合に、バルブに異常が発生した可能性があると判定する異常判定部を構成している。
【0021】
図3は本実施例のバルブ異常検出装置の動作を説明するフローチャートである。開度取得部1は、対象のバルブ(不図示)からDCSに転送されるバルブ開度の値を取得する(図3ステップS100)。バルブ開度は、例えばHART通信などにより、DCSから取得することができる。
【0022】
バルブもしくはポジショナには、バルブ開度位置を検出してDCSにフィードバックする構成が備えられている。DCSは、バルブに対して開度指示値を送信する。ポジショナは、実際のバルブ開度が開度指示値と一致するように、必要な空気圧をバルブの操作器に供給する。操作器は、ポジショナから供給される空気圧によってバルブ本体を操作する。
【0023】
圧力取得部2は、ポジショナから対象のバルブの操作器に供給される操作器空気の圧力値Po1を、操作器に設けられた圧力センサから取得する(図3ステップS101)。
安定時検出部3は、開度取得部1によって取得されたバルブ開度の値が略一定の安定開度状態を検出する(図3ステップS102)。なお、DCSから取得したバルブ開度が通信ノイズなどにより微小量変化する程度の場合も安定開度状態と判定することが望ましい。そこで、安定時検出部3は、バルブ開度の取得周期毎の変化量が最小規定値以内である状態が規定の継続時間以上継続している場合に、安定開度状態と判定する。例えば図4の例では、バルブ開度Aが略一定の3つの時間帯t1,t2,t3でそれぞれ安定開度状態となる。
【0024】
摩擦力検出部4は、安定開度状態において繰り返し現れる操作器空気の最大圧力値Pomaxと最小圧力値Pominとの差(Pomax−Pomin)を、対象のバルブの摺動部の摩擦力を示す指標値FIとして検出する(図3ステップS103)。
【0025】
図5は、安定開度状態において、操作器空気の圧力値Po1のふらつきにより繰り返し現れる最大圧力値Pomaxと最小圧力値Pominとを説明する図である。図5の例では、バルブ開度が43.5%から45%の範囲内で安定している状態で圧力値Po1を周期的に取得しているときに、圧力値Po1が矢印の示す方向に変化することにより、Pomin→Pomax→Pomin→・・・・というように、最大圧力値Pomaxと最小圧力値Pominとが交互に現れることを示している。
【0026】
摩擦力検出部4は、最大圧力値Pomaxまたは最小圧力値Pominのいずれかを検出する度に、最新の最大圧力値Pomaxと最新の最小圧力値Pominとに基づいて、指標値FI=Pomax−Pominを算出する。
【0027】
低下値検出部5は、摩擦力の指標値FIが規定値を下回る顕著な低下を検出する(図3ステップS104)。上記の図5は、安定開度状態における操作器空気の圧力値Po1のふらつきが圧力値Po1の取得周期に対して遅い場合を示しており、最大圧力値Pomaxと最小圧力値Pominとが確実に検出できる場合を示している。
【0028】
一方、バルブのスティックスリップのような異常現象が発生すると、図6に示すように圧力値Po1のふらつきが圧力取得部2による圧力値Po1の取得周期に対して速くなる。圧力値Po1のふらつきが速くなると、最大圧力値Pomaxの検出に欠損が生じて、最大圧力値Pomaxが検出すべき真値よりも低くなったり、最小圧力値Pominの検出に欠損が生じて、最小圧力値Pominが検出すべき真値よりも高くなったりする。これにより、摩擦力の指標値FIに顕著な低下が発生する。低下値検出部5は、このような顕著な低下を検出する。
【0029】
低下時間差算出部6は、低下値検出部5によって摩擦力の指標値FIの顕著な低下が検出されたときに、この顕著な低下の発生時点と前回の顕著な低下の発生時点との時間差TDを算出する(図3ステップS105)。低下時間差算出部6によって算出された時間差TDは、低下時間差記憶部7に記憶される(図3ステップS106)。
【0030】
時間差判定部8は、低下時間差記憶部7に記憶された時間差TDに基づいて、対象のバルブが正常かどうかを判定する。具体的には、時間差判定部8は、低下時間差記憶部7に記憶された最新の時間差TDから(n−1)個前の時間差TDまでの計n個(nは2以上の整数で、例えばn=5)の時間差TDの平均値が、予め規定された頻繁判定時間閾値以上の場合(図3ステップS107においてYES)、対象のバルブは正常と判定し(図3ステップS108)、時間差TDの平均値が頻繁判定時間閾値未満の場合(ステップS107においてNO)、対象のバルブに異常が発生した可能性があると判定する(図3ステップS109)。
【0031】
異常発生通知部9は、対象のバルブに異常が発生した可能性があると判定された場合、異常が発生した可能性があることをオペレータに対して通知する(図3ステップS110)。通知方法としては、例えば異常が発生した可能性があることを知らせるメッセージを表示したり、LEDなどを点灯させたり、異常が発生した可能性があることを知らせる情報を上位機器に送信したりする等の方法がある。
【0032】
バルブ異常検出装置は、例えばオペレータによって動作終了が指示されるまで(図3ステップS111においてYES)、ステップS100〜S110の処理を一定時間(例えば50msec)毎に実施する。
こうして、本実施例では、スティックスリップのようなバルブの不具合を従来よりもリアルタイムに近い時間で検知することが可能となる。
【0033】
図7(A)は操作器空気の最大圧力値Pomaxの1例を示す図、図7(B)は図7(A)に示した最大圧力値Pomaxと最小圧力値Pomin(不図示)とから算出した摩擦力の指標値FIの1例を示す図である。前半の260sec付近までは摩擦力の指標値FIの顕著な低下が無い正常な状態であり、260sec以降の後半では指標値FIの顕著な低下の頻度が多い異常な状態となっている。
【0034】
なお、低下時間差記憶部7の記憶容量を抑えるため、低下時間差記憶部7が記憶できる時間差TDの個数をn個とし、低下時間差算出部6によって最新の時間差TDが算出されたときに、低下時間差記憶部7に記憶されている最古の時間差TDを最新の時間差TDによって上書きするようにしてもよい。
【0035】
[第2の実施例]
第1の実施例では、摩擦力の指標値FIの顕著な低下の頻度を判定する方法として、n個の時間差TDの平均値を用いているが、規定された時間内での指標値FIの顕著な低下の発生回数に基づいて判定するようにしてもよい。
【0036】
図8は本実施例のバルブ異常検出装置の構成を示すブロック図である。本実施例のバルブ異常検出装置は、開度取得部1と、圧力取得部2と、安定時検出部3と、摩擦力検出部4と、低下値検出部5と、規定時間における指標値の顕著な低下の発生回数が閾値を超えた場合に、バルブに異常が発生した可能性があると判定する回数判定部8aと、異常発生通知部9と、指標値の顕著な低下の発生回数を数える低下回数計数部10とを備えている。低下値検出部5と回数判定部8aと低下回数計数部10とは、異常判定部を構成している。
【0037】
図9は本実施例のバルブ異常検出装置の動作を説明するフローチャートである。開度取得部1と圧力取得部2と安定時検出部3と摩擦力検出部4と低下値検出部5の動作(図9ステップS100〜S104)は、第1の実施例で説明したとおりである。
低下回数計数部10は、低下値検出部5によって摩擦力の指標値FIの顕著な低下が検出されたときに、顕著な低下の発生回数Nを1増やす(図9ステップS112)。発生回数Nの初期値は0である。
【0038】
回数判定部8aは、摩擦力の指標値FIの顕著な低下の発生回数に基づいて、対象のバルブが正常かどうかを判定する。具体的には、回数判定部8aは、前回の判定時点からの経過時間が規定時間(例えば5分)に達したかどうかを判定し(図9ステップS113においてYES)、規定時間に達したときに、指標値FIの顕著な低下の発生回数Nが頻繁判定回数閾値以下の場合(図9ステップS114においてYES)、対象のバルブは正常と判定し(図9ステップS115)、発生回数Nが頻繁判定回数閾値を超えている場合(ステップS115においてNO)、対象のバルブに異常が発生した可能性があると判定する(図9ステップS116)。
【0039】
異常発生通知部9の動作(図9ステップS110)は、第1の実施例で説明したとおりである。
判定終了後、回数判定部8aは、低下回数計数部10の計数値を0に初期化する(図9ステップS117)。
【0040】
バルブ異常検出装置は、例えばオペレータによって動作終了が指示されるまで(図9ステップS118においてYES)、ステップS100〜S104,S110,S112〜S117の処理を一定時間(例えば50msec)毎に実施する。
こうして、本実施例では、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0041】
第1、第2の実施例で説明したバルブ異常検出装置は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及びインターフェースを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を図10に示す。
【0042】
コンピュータは、CPU200と、記憶装置201と、インターフェース装置(以下、I/Fと略する)202とを備えている。I/F202には、圧力センサやDCS等が接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明のバルブ異常検出方法を実現させるためのプログラムは記憶装置201に格納される。CPU200は、記憶装置201に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、バルブの異常を検出する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…開度取得部、2…圧力取得部、3…安定時検出部、4…摩擦力検出部、5…低下値検出部、6…低下時間差算出部、7…低下時間差記憶部、8…時間差判定部、8a…回数判定部、9…異常発生通知部、10…低下回数計数部。
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