【実施例】
【0025】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(A.紫外線透過比率評価用基板表面の接触角変化の確認)
(接触角の測定方法)
接触角の測定は、接触角測定装置(エキシマ社製SImage Entry 5)を用いて、3.1μLの蒸留水を試料である紫外線透過比率評価用基板表面に滴下した直後の接触角の測定を行い、さらに5分経過した後の接触角の測定を行った。これらの2回の接触角の測定により得られた測定値の差を、接触角の差とした。
(SPF及びUVA−PFの求め方)
SPF及びUVA−PFは、Solarlight社製SPF-290AS付属のSPF V3.0ソフトウェアを用いて求めた。膜厚の変換や塗布重量による補正は計算により求めた。
【0026】
(実施例1)
コロナ放電処理した石英板(10cm角、純水との接触角0゜)の周囲を3mmの幅のポリイミドテープを用いて枠取りした。次いで、テープの内側に塗工液(セルロース誘導体の1種であるヒドロキシエチルセルロースを含む水溶液)を、基材100cm
2当たり、ヒドロキシエチルセルロースの塗工量が7mgとなるように塗工した後、加熱下に乾燥し、紫外線透過比率評価用基板を作成した。
なお、コロナ放電処理のみをした石英板は、コロナ放電処理後経時的に表面の接触角が上昇する性質を有する。
(実施例2)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、ヒドロキシプロピルセルロースを、基材100cm
2当たり3mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(実施例3)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、ヒドロキシエチルセルロース5mgとラフィノース5mgの混合物を用いて、合計で、基材100cm
2当たり10mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(実施例4)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、寒天を基材100cm
2当たり10mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(実施例5)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、キサンタンガムを基材100cm
2当たり5mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(実施例6)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、ネイティブジェランガムを基材100cm
2当たり5mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(実施例7)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、重量比でキサンタンガムとグルコースを2:1の比率で含有する混合物を、基材100cm
2当たり5mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(実施例8)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、重量比でネイティブジェランガムとα−シクロデキストリンを5:1の比率で含有する混合物を、基材100cm
2当たり5mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
【0027】
(比較例1)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、グリセリンを基材100cm
2当たり10mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(比較例2)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、エリスリトールを用いた他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(比較例3)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いた他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
(比較例4)
実施例1のヒドロキシエチルセルロースの代わりに、キシリトールを基材100cm
2当たり10mgとなるように塗工した他は全て実施例1と同様にして紫外線透過比率評価用基板を作成した。
【0028】
実施例及び比較例の評価
本発明の紫外線透過比率評価用基板では、純水に対する5分間の接触角の変化が15度以上あるか否かを評価した。接触角の差が15度未満の場合は、化粧料を塗布した際に、化粧料の剤型によっては安定した測定ができない。結果を表1に示す。
各実施例によれば、接触角の差がいずれも15度以上であった。しかしながら、比較例1では3.8度、比較例2では0.8度、比較例3では、8.5度、比較例4では3.5度であった。
【0029】
【表1】
【0030】
表1の結果より、本発明の実施例はいずれも接触角が短時間に変化する特性を示したのに対して、比較例はいずれも接触角が変化しなかったか、又は僅かしか変化しなかった。よって、塩であったり、糖骨格を有しない化合物を使用した、結果的に接触角の差が小さかった比較例1〜4では、化粧料毎に最適な接触角を有する基板を探索するために、狭い範囲で表面張力(接触角)が変化する基板を多く使用しなければならない。実施例1〜8によれば、化粧料塗布後において基板表面の接触角が経時的に大きく変化するため、本発明の目的の一つである、SPF値の測定を、1回の基板への塗布測定で済ませることが可能な基板となる。
上記の各実施例にて使用した化合物からみて、本発明において、水に対して不溶性でない限り、糖骨格を有する点において共通し、しかも塩ではない化合物であれば、単糖から多糖にわたる各種の糖を使用できることを理解できる。
【0031】
(実施例9にて使用した化粧料(化粧料1〜8))
(化粧料1)
精製水、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、BG、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エタノール、エチルヘキシルトリアゾン、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジメチコン、アジピン酸ジイソプロピル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、エチルヘキシルグリセリン、カプリル酸グリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、水酸化K
【0032】
(化粧料2)
水、エタノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメチコン、セバシン酸ジイソプロピル、エチルヘキシルトリアゾン、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、酸化チタン、グリセリン、オキシベンゾン-3、カプリリルメチコン、(アクリレーツ/メタクリル酸メトキシPEG-90)クロスポリマー、PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル、キサンタンガム、ラウリルベタイン、チャエキス、サクラ葉エキス、カニナバラ果実エキス、アセチルヒアルロン酸Na、ヒメンチラ根エキス、アロエベラ葉エキス、水溶性コラーゲン、PPG-17、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリン、パルミチン酸デキストリン、含水シリカ、トリエトキシカプリリルシラン、カルボマー、寒天、水酸化K、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、シリカ、ジステアリルジモニウムクロリド、BG、ステアリン酸、BHT、フェノキシエタノール、安息香酸Na、香料
【0033】
(化粧料3)
水、シクロメチコン、タルク、BG、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメチコン、イソステアリン酸、PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル、酢酸トコフェロール、ヒアルロン酸Na、水溶性コラーゲン、ジステアリン酸Al、ジメチコンコポリオール、水酸化Al、ステアリン酸Ca、ジステアルジモニウムヘクトライト、グリセリン、EDTA-3Na、トリエトキシカプリリルシラン、BHT、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラデセン、トコフェロール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、(+/-)酸化チタン、マイカ、酸化鉄、チタン酸コバルト
【0034】
(化粧料4)
プラセンタエキス、グリチルリチン酸2K、水、濃グリセリン、BG、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ジプロピレングリコール、エタノール、プラセンタエキス(1)、L-システイン、ブリエラスチン、コラーゲン、トリペプチドFヒアルロン酸ナトリウム(2)、ユズセラミド、ステアロイルオキシフェプタコサノイルフィトスフィンゴシン、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、ヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン、アーティチョークエキス、サクラ葉抽出液、プルーン酵素分解物、キイチゴエキス、酵母エキス(3)、シロキクラゲ多糖体、黒砂糖、トリメチルグリシン、2-エチルヘキサン酸セチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル-2-オクチルドデシル)、フィトステロール、天然ビタミンE、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマー、水酸化カリウム、クエン酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、水素添加大豆リン脂質、メチルパラベン、フェノキシエタノール
【0035】
(化粧料5)
水、シクロペンタシロキサン、メタクリル酸メチルクロスポリマー、酸化チタン、エタノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、PEG-10ジメチコン、グリセリン、DPG、エチルヘキサン酸セチル、ジステアリルジモニウムヘクトライト、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、アロエベラ葉エキス、イザヨイバラエキス、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、イソステアリン酸、EDTA-3Na、水酸化Al、ステアリン酸、アルミナ、トリエトキシカプリリルシラン、シリカ、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン、BG、BHT、テトラデセン、トコフェロール、ローズマリー葉エキス、フェノキシエタノール、メチルパラベン、酸化鉄、硫酸Ba
【0036】
(化粧料6)
水、シクロペンタシロキサン、エタノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、水添ポリイソブテン、酸化亜鉛、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、オクトクリレン、DPG、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリシリコーン-15、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ヒアルロン酸Na、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、塩化Na、BHT、EDTA-2Na、メチルパラベン、プロピルパラベン
【0037】
(化粧料7)
水、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、DPG、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ジメチコン、グリセリン、ポリメチルシルセスキオキサン、エタノール、イソステアリン酸、ヒアルロン酸Na、水溶性コラーゲン、セラミドNP、モモ葉エキス、カワラヨモギ花エキス、キダチアロエ葉エキス、カンゾウ根エキス、酢酸トコフェロール、水酸化K、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トコフェロール、キサンタンガム、BG、フェノキシエタノール、メチルパラベン
【0038】
(化粧料8)
ジメチコン、水、酸化亜鉛、エタノール、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、タルク、ミリスチン酸イソプロピル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、シクロペンタシロキサン、イソドデカン、オクトクリレン、酸化チタン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、グリセリン、セバシン酸ジイソプロピル、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、シリカ、パルミチン酸デキストリン、キシリトール、トリメチルシロキシケイ酸、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールムメトキシフェニルトリアジン、PEG/PPG-14/7ジメチルエーテル、塩化Na、チャエキス、サクラ葉エキス、カニナバラ果実エキス、アセチルヒアルロン酸Na、トリメンチラ根エキス、アロエベラ葉エキス、水溶性コラーゲン、PPG-17、トリエトキシカプリリルシラン、イソステアリン酸、ジステアリルジモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムヘクトライト、水酸化Al、ステアリン酸、EDTA-3Na、BHT、トコフェロール、イソプロパノール、BG、ピロ亜硫酸Na、フェノキシエタノール、香料
【0039】
(実施例9)
(B.基材表面の接触角に対するSPF値の測定値変化及びピーク値の確認)
糖骨格を有するが塩ではない化合物を含有する層を有しない、コロナ放電処理してなる石英板の接触角を、コロナ放電処理後の経過時間を調整することにより変化させて、それぞれ異なる接触角を備えた複数の石英板を用意した。これらの石英板に対して化粧料1を下記条件で塗工した時の接触角とSPF値の関係を
図1に示す。横軸が純水に対する接触角、縦軸がSPF値である。
図1によれば、SPF値は基板の接触角に依存して変化することがわかる。
(測定方法)
測定前に基板周囲のマスキングテープを剥がしてから試験を実施した。間隙が10μmのステンレス製4方アプリケーターを用いて、5mm/sの速度にて移動させて、基板上に平滑な液状化粧料層を形成した。塗膜形成直後に、ロータリー型ウェット膜厚計を用いて膜厚を計測し、次いでSPFアナライザー(SPF−290AS、Solar Light Company社製)を用いて塗膜の吸光度測定を実施した。全て室温にて行った。
【0040】
図1の縦軸はSPF値、横軸は接触角である。
図1から化粧料1の場合、純水に対する接触角が30〜40゜付近、特に30°付近にSPF値のピークを有することがわかる。また、接触角が30〜40゜付近にない基板に試料を塗工した後の化粧料塗膜の表面は、均一ではなく、細かい相分離状態または基板表面の一部から弾かれたことによると思われる不均一な形態を示した。塗膜表面が不均一な形態になると、塗膜が薄くなった部位や穴の部位から紫外線がより多く透過するため、SPF値は低くなる傾向があり、均一な塗膜は測定値が高くなる傾向がある。
【0041】
(C.本発明の紫外線透過比率評価用基板を使用したSPF値の測定)
実施例1で作成した基板に対して、上記の化粧料1を上記のステンレス製4方アプリケーターを用いて、上記Bと同様にして塗膜を作成し、同様にSPF値の変化値を測定した。その結果、表2に示すように、同サンスクリーンのSPF測定値は30.5(3回平均値)であり、ほぼ
図1のピーク値と一致していた。
このB及びCにおける測定方法及び測定値によれば、本発明の紫外線透過比率評価用基板によると、化粧料を均一に塗布可能な接触角を有するSPF測定用の基板を探索するために必要な基板を1種のみとすることができるという効果が得られる。
その効果に加えて、化粧料のSPF値を測定するために使用する基板も1種で足りること、ひいては、化粧料に依存して必要な表面張力(接触角)の範囲を満たす基板を探索するための基板を一つにし、かつ工程を、化粧料を基板に塗布する動作をわずか1回にしても、正確にSPF値を測定できる効果も得られる。
【0042】
(D.別のサンスクリーン剤のSPF値の測定)
上記Cでの測定方法に対して、サンスクリーン剤を上記化粧料2〜8に変更した以外は同様にしてSPF値を測定した。
別のサンスクリーンのSPF測定値の3回平均値は以下表2の通りであった。
SPF値が異なる化粧料であっても、1種類の紫外線透過比率評価用基板を用いてSPF値を測定することができる。また化粧料の塗膜の状態は均一であり、相分離や基板表面の一部から弾かれた状態を生じていなかった。
化粧料のタイプが互いに異なっており、これらの化粧料を本来均一に塗布できる基材の水に対する接触角の値も互いに異なっている。このように均一に塗布できる基材に求める接触角の値が異なっていても、相分離や基板表面の一部から塗膜が弾かれないということは、本発明の紫外線透過比率評価用基板に対してはいずれの化粧料も均一に塗布できたことを意味している。そしてSPF値を正確に測定できたことを示している。また本発明による紫外線透過比率評価用基板を使用すると、塗布後の均一な化粧料塗膜は安定して存在した。
【0043】
【表2】
【0044】
本発明の紫外線透過比率評価用基板によれば、上記表2に示すように、多種の化粧料を、それぞれ1枚の紫外線透過比率評価用基板により測定できる。
そのうちの化粧料3と化粧料8について、糖骨格を有するが塩ではない化合物を含有する層を設けないで、コロナ放電処理及びその後の時間が経過するにつれて変化する、純水に対する接触角の調整により、水に対する接触角を変化させた複数の測定用基板を用いてSPF値とUVA−PF値を測定した。
各基板が有する接触角の値と、SPF値の測定値関係を、それぞれ
図2、
図3に示す。図の横軸は接触角を、図の縦軸は紫外線防御指数を示す。いずれも、上に凸の波形を示しており、SPFの値がピークのときの値は本発明の紫外線透過比率評価用基板を用いた上記表2に記載の測定値と良い一致を示していた。
図2及び3に示す結果は、従来のように、純水に対する接触角が特定の値である基板を用いると、正確なSPF値の変化値を測定するための適切な接触角を求めるため、それぞれ3種以上の基板の使用が必須であることを示す。
これに対して、本発明の紫外線透過比率評価用基板は、1種の基板を1枚使用するのみで、化粧料のSPF値を測定できる。
【0045】
化粧料4について、広い範囲の接触角の範囲で計測を行った場合の例を
図4に示す。軸の説明は上記と同じである。接触角が5〜55゜の範囲では、SPFのピーク値は表2に示す本発明の基板を用いた測定値と一致していた。
しかし、接触角が0゜の超親水性においてはより高い値(4.4)を示した。さらに撥水性が高く接触角が70°程度のときにも高い値(2.4)を示した。
このように、接触角が5〜60°の範囲内であるため均一な塗膜を形成できる化粧料は本発明の紫外線透過比率評価用基板を使用してSPF値を測定できる。そして、上記化粧料1〜8に示す組成の化粧料ではなく、別の組成を有する化粧料でも、接触角が5〜60°であるために、均一な塗膜を形成できる化粧料であれば、本発明の紫外線透過比率評価用基板により正確に測定できる。
さらに、純水に対する接触角がどの程度の基板に対して均一塗膜を形成できるかが不明な化粧料に対しては、本発明の紫外線透過比率評価用基板により測定したのち、必要に応じて、超親水性基板や、純水に対する接触角が高いPMMA基板を併用して、どの接触角の領域にSPFの最大値があるかを評価できる。
【0046】
(実施例10)
(E.ウェット膜厚計の有効性評価)
実施例1の基板を用い、紫外線透過比率評価用基板の有効性検証で用いたモデルサンスクリーン剤と塗工方法を用い、塗工直後にロータリー型ウェット膜厚計を用いて膜厚の計測を1μmの精度で実施した。得られた吸光度曲線を単位膜厚(5μm)に換算し、Solarlight社製SPF-290AS付属のSPF V3.0ソフトウェアを用いて、換算後のSPF値とUVA-PF値を求めた。測定は3回実施した。
【0047】
(比較例5)
実施例10で用いたロータリー型ウエット膜厚計の代わりに、キーエンス社製レーザー変位計(LT-9010M+LT-9500)を用いて膜厚を0.1μmの精度で計測した他は実施例9と同様にして3回の測定を行った。レーザー変位計は、測定の基準点を事前にマジックインキを用いて設定しておき、その基準点近傍の塗工前後の計測値から、膜厚を換算して用いた。
【0048】
表3に実施例10及び比較例5の測定結果を示す。実施例10及び比較例5それぞれについて、3回の測定値を順に記載した。実施例10により得られた化粧料塗膜は、2日後であっても均一であった。
【0049】
【表3】
【0050】
表3の結果より、実施例の3回の測定値はほぼ同程度の値で安定して、おおむね設計値に近い値であった。また塗膜は安定して均一塗膜であった。これに対して、比較例では、過大な測定値となっており、かつ3回の測定値のバラツキが大きいものであった。これは、ウェット膜厚計の場合は、サンスクリーン剤がまだ乾燥していない塗工直後の測定が迅速にできているのに対して、測定に時間のかかる光学計測では、測定値はみかけ精密にでるものの、測定中に塗膜が乾燥してしまい、膜厚が薄くなったことで、計算上測定値が大きくなったものと考えられる。この結果より、より実際に近い測定結果が得られるウェット膜厚計を用いる方法は、サンスクリーン剤の薄膜を計測する際の補正方法として正確であり、大変優れていることがわかる。