【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明は、相変化温度の異なる蓄熱層が、2層以上積層された積層体であり、蓄熱層どうしの間には、蓄熱材移行防止層が積層されていることを特徴とするものである。
このような積層体は、幅広い熱の蓄熱が可能となり、積層体の両面においてそれぞれ最適な温度域の蓄熱層を選定することができ、より優れた省エネルギー化が発揮できるとともに、蓄熱層どうしの間に蓄熱材移行防止層を積層することによって、優れた省エネルギー化を長期間持続することができる。
【0014】
例えば本発明の積層体を、壁、天井、床等の居住空間に適用する場合、居住空間側には相変化温度の最も低い蓄熱層、外側には相変化温度の最も高い蓄熱層となるように積層することが好ましい。また、3層以上の蓄熱層を積層する場合は、居住空間側から外側に向けて相変化温度が順に高くなるように積層することが好ましい。このように積層することにより、居住空間側(内部空間)の冷熱を居住空間側の蓄熱層に蓄えやすく、外部へ冷熱を拡散させにくくするとともに、居住空間側の蓄熱層以外の蓄熱層で外部の熱を蓄えて居住空間側(内部空間)への移動を抑えることができ、冷房効率に優れ、優れた省エネルギー化を実現することができる。
【0015】
具体的に、相変化温度の最も低い蓄熱層としては、相変化温度が15℃〜35℃付近であることが好ましい。また、相変化温度の最も高い蓄熱層としては、相変化温度が25℃〜40℃であることが好ましい。最も低い蓄熱層の相変化温度と最も高い蓄熱層の相変化温度の差が3℃以上、さらには5℃以上であることが好ましい。
このような場合、空調等による冷熱を居住空間側の蓄熱層に蓄え、蓄えた冷熱は外側に移動しにくく優れた省エネルギー化が実現できる。また、外気の温熱は外側の蓄熱層にて蓄熱・放熱を繰り返し、外気の温熱が居住空間へ移動することを抑制し優れた省エネルギー化が実現できる。
【0016】
また、本発明の積層体を車輌等の内装材として用いる場合は、相変化温度の最も低い蓄熱層としては、相変化温度が15℃〜35℃付近であることが好ましく、相変化温度の最も高い蓄熱層としては、相変化温度が25℃〜40℃であることが好ましい。
また、本発明の積層体を冷蔵庫として用いる場合は、相変化温度の最も低い蓄熱層としては、相変化温度が0℃〜15℃付近であることが好ましく、相変化温度の最も高い蓄熱層としては、相変化温度が10℃〜25℃であることが好ましい。
また、本発明の積層体を冷凍庫として用いる場合は、相変化温度の最も低い蓄熱層としては、相変化温度が−30℃〜−10℃付近であることが好ましく、相変化温度の最も高い蓄熱層としては、相変化温度が−20℃〜0℃であることが好ましい。
【0017】
蓄熱層の厚みは合計で1mm以上10mm以下(さらには2mm以上7mm以下)であることが好ましい。また各層の厚みは、異なっても、同じでもよく0.5mm以上5mm以下(さらには1mm以上3.5mm以下)であることが好ましい。このような厚みであれば、十分な蓄熱性能が得られるとともに、薄膜化が実現できる。
【0018】
本発明の蓄熱層は、蓄熱材を含むものであり、該蓄熱材を樹脂で固定化したもの等が挙げられる。
【0019】
蓄熱材としては、例えば、無機潜熱蓄熱材、有機潜熱蓄熱材が挙げられ、これらの蓄熱材のうち1種または2種以上を用いることができる。本発明では、特に脂肪族炭化水素、長鎖アルコール、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、脂肪酸トリグリセリド、ポリエーテル化合物等の有機潜熱蓄熱材を好適に用いることができる。有機潜熱蓄熱材は、用途に応じた相変化温度の設定が容易であり、例えば相変化温度(融点)の異なる2種以上の有機潜熱蓄熱材を混合することで、容易に相変化温度の設定が可能である。なお、本発明蓄熱層の相変化温度とは、用いる蓄熱材の相変化温度(融点)で決定されるものである。
【0020】
特に、本発明では、蓄熱材として、炭素数8以上36以下の脂肪族炭化水素、炭素数8以上36以下の長鎖アルコール、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸、炭素数8以上36以下の長鎖脂肪酸エステルを用いること好ましい。
脂肪族炭化水素としては、例えば、n−デカン(融点−30℃)、n−ウンデカン(融点−25℃)、n−ドデカン(融点−8℃)、n−トリデカン(融点−5℃)、ペンタデカン(融点6℃)、n−テトラデカン(融点8℃)、n−ヘキサデカン(融点17℃)、n−ヘプタデカン(融点22℃)、n−オクタデカン(融点28℃)、n−ノナデカン(融点32℃)、エイコサン(融点36℃)、ドコサン(融点44℃)、およびこれらの混合物で構成されるn−パラフィンやパラフィンワックス等が挙げられる。
長鎖アルコールとしては、例えば、カプリルアルコール(融点7℃)、ラウリルアルコール(融点24℃)、ミリスチルアルコール(融点38℃)、ステアリルアルコール(融点58℃)等が挙げられる。
長鎖脂肪酸としては、例えば、オクタン酸(融点17℃)、デカン酸(融点32℃)、ドデカン酸(融点44℃)、テトラデカン酸(融点50℃)、ヘキサデカン酸(融点63℃)、オクタデカン酸(融点70℃)等の脂肪酸等が挙げられる。
長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸メチル(融点5℃)、ミリスチン酸メチル(融点19℃)、パルミチン酸メチル(融点30℃)、ステアリン酸メチル(融点38℃)、ステアリン酸ブチル(融点25℃)、アラキジン酸メチル(融点45℃)等が挙げられる。
また蓄熱材の選定においては、蓄熱材1種のみでもよいし、融点の異なる2種以上の蓄熱材を混合して選定することもできる。
【0021】
蓄熱材を樹脂で固定化した蓄熱層としては、蓄熱材と樹脂を混合し、樹脂を硬化することによって得ることができる。
樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、エチレン・酢酸ビニル・バーサチック酸ビニルエステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、合成ゴム等の溶剤可溶型、NAD型、水可溶型、水分散型、無溶剤型等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、ポリオールーイソシアネート、アミンーエポキシ等の架橋構造を形成する樹脂を用いることが好ましく、このような樹脂を使用すれば、架橋構造内に蓄熱材が担持・保持されて固定化した蓄熱層を得ることができる。
なお、カプセル化された蓄熱材を樹脂で固定した場合は、カプセル壁による蓄熱性の低下等がみられるため好ましくない。
【0022】
また蓄熱材と樹脂とともに、粘土鉱物、界面活性剤、熱伝導性物質、金属塩水和物、相溶化剤、反応促進剤、難燃剤、顔料、骨材、粘性調整剤、可塑剤、緩衝剤、分散剤、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、防藻剤、湿潤剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、凍結防止剤、滑剤、脱水剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、繊維類、香料、化学物質吸着剤、光触媒、吸放湿性粉粒体等の添加剤を混合することもできる。
【0023】
本発明では特に、金属塩水和物を含むことが好ましい。金属塩水和物を含むことによって、優れた蓄熱性を維持しつつ、優れた耐熱性を示すことができる。また、優れた熱伝導効率も付与することができる。
金属塩水和物としては、例えば、金属と酸との金属塩の水和物が挙げられる。
金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム等が挙げられ、特に、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムから選ばれる1種以上が好適である。
酸としては、例えば、珪酸、硼酸、燐酸、塩酸、硫化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、コハク酸、サリチル酸、クエン酸等が挙げられ、特に珪酸、硼酸、燐酸、硫酸、炭酸から選ばれる1種以上、さらには硼酸、燐酸から選ばれる1種以上が好適である。
また、金属塩水和物は、金属塩・n水和物で表され、nは2以上20以下、さらには3以上17以下、さらには3以上11以下の整数であることが好ましい。このような範囲であることにより、優れた耐熱性を示し、短い時間で効率よく蓄熱することができる。nが2未満の場合、耐熱性が不十分な場合があり、nが20より大きい場合、長期に亘って優れた耐熱性、蓄熱性を維持することが困難な場合がある。
具体的には、リン酸二水素ナトリウム(2水和物)、リン酸水素マグネシウム(3水和物)、リン酸二水素マグネシウム(4水和物)、二リン酸四ナトリウム(10水和物)、リン酸水素二ナトリウム(12水和物)、四ホウ酸ナトリウム・10水和物、四ホウ酸ナトリウム・5水和物、四ホウ酸カリウム・4水和物、四ホウ酸カリウム・8水和物、四ホウ酸ストロンチウム・4水和物、メタホウ酸マグネシウム・8水和物、八ホウ酸二ナトリウム・4水和物、メタケイ酸ナトリウム・5水和物、炭酸ナトリウムカリウム・6水和物、シュウ酸マンガン・2水和物、硫酸アルミニウム・16水和物、硫酸アルミニウム・18水和物、硫酸カリウムアルミニウム・12水和物、硫酸銅・5水和物、硫酸コバルト・7水和物、硫酸ナトリウム・10水和物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
なお、金属塩水和物の代わりに、金属およびそれらの合金、あるいはこれらの金属を含む金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物等の金属化合物を使用した場合、耐熱性の向上を図ることが難しい。
また、金属塩水和物の粒子径は、特に限定されないが、本発明の効果発現の点で30μm以上600μm以下、さらには50μm以上250μm以下であることが好ましい。なお、粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けによって得られる値である。
本発明では、金属塩水和物を含む場合、樹脂としてポリオールーイソシアネートを含む樹脂を用いると、金属塩水和物が効率よく均一に分散するため好ましい。
また、金属塩水和物と蓄熱材の混合量は、蓄熱材100重量部に対し、金属塩水和物10重量部以上120重量部以下、好ましくは15重量部以上90重量部以下、さらに好ましくは20重量部以上60重量部以下であることが好ましい。
【0024】
また、各蓄熱層における蓄熱材の含有比率は、各蓄熱層全量に対して30重量%以上、さらには40重量%以上、さらには50重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
【0025】
本発明で用いる蓄熱材移行防止層は、蓄熱層から蓄熱層への蓄熱材の移行を防止し、各蓄熱層の性能を維持するものである。
蓄熱材は、融点の前後にて液体から固体、固体から液体へと状態変化を起こすため、蓄熱材の内部で移動しやすく、蓄熱層から蓄熱層へと移行しやすい。そのため、各蓄熱層における蓄熱性能の低下だけでなく、蓄熱層の変質を引き起こしやすい。
本発明では、蓄熱層どうしの間に、蓄熱材移行防止層を積層することによって、各蓄熱層における蓄熱性能の低下を防ぎ、さらに蓄熱層の変質を防ぐことができ、優れた省エネルギー化を長期間持続することができる。
蓄熱材移行防止層としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニリデン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等の樹脂フィルム、織布や不織布、ガラスクロス等が挙げられる。本発明では特に樹脂フィルムを用いることが好ましく、樹脂フィルム単独でもよいし、樹脂フィルムに金属が蒸着された金属蒸着樹脂フィルムや、樹脂フィルムにガラスクロスや金属箔が積層された積層樹脂フィルム、樹脂フィルムに金属粒子等が埋没された金属複合樹脂フィルムでもよい。
蓄熱材移行防止層の厚みは、0.01mm以上3mm以下(さらには0.02mm以上2mm以下)であることが好ましい。
【0026】
本発明の積層体は、2層以上の蓄熱層、蓄熱材移行防止層が積層されたものであり、積層方法は特に限定されない。
例えば、予めそれぞれの蓄熱層、蓄熱材移行防止層を製造しておき、蓄熱層の間に蓄熱材移行防止層を介し、接着剤等で積層し、積層体を得る方法、
または、蓄熱材移行防止層の片面に蓄熱層を形成する成分(蓄熱層前駆体)を積層することによって、蓄熱材移行防止層上で蓄熱層を形成したものをそれぞれ用意し、それらを積層し、積層体を得る方法、
または、蓄熱材移行防止層の両面に、相変化温度の異なる蓄熱層を形成する成分(蓄熱層前駆体)をそれぞれ積層し、蓄熱材移行防止層上で蓄熱層を形成し、積層体を得る方法、
等が挙げられる。
また、本発明では、積層体の両面に蓄熱材移行防止層を積層してもよい。
【0027】
このようにして得られた積層体は、住宅等の建築物の壁材、天井材、床材等の内・外装材、パーテーション、仕切り材、ドア・扉、車輌等の内装材、冷蔵・冷凍庫、自動販売機、浴槽・浴室、温室、クーラーボックス等に用いる材料として適用できる。
例えば、木質板、スレート板、コンクリート板、石膏ボード、ALC板、珪酸カルシウム板、サイディングボード、ガラス板、金属板、木毛セメント板等の平板、金属フィルム、グラスファイバー等のフィルム成形体、防火材料、難燃材料、断熱材料、防水材料、木綿、麻、羊毛、シルク等の天然繊維、ナイロン、テトロン、アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ビニロン、レーヨン、アラミド、アゾール等の有機繊維、ガラス等の無機繊維等と組み合わせて使用することができる。
【0028】
本発明の積層体について、実施するための形態の一つを
図1に示す。
図1に示す表面層1−1は、厚さ6mmの珪酸カルシウム板である。
図1に示す蓄熱層2−1は、蓄熱材(パルミチン酸メチル(融点30℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・5水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−1の厚みは2mmである。
図1に示す蓄熱層2−2は、蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・5水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−2の厚みは2mmである。
図2に示す蓄熱材移行防止層3−1は、厚さ0.07mmのアルミニウム蒸着樹脂フィルムである。
図1Aは積層前、
図1Bは積層後の形態を示す。
【実施例】
【0029】
以下に実験例を示し、本発明の特徴をより明確にするが、本発明はこの実験例に限定されない。
【0030】
(実験例1)
図2に示すように、内寸が高さ280mm×幅280mm×奥行280mmとなるように発泡ポリスチレンフォーム(厚み30mm)を用いて枠組を組み立て、
図1に示す積層体を表面層が下側になるように設置し、試験体ボックスを作製した。なお、積層体上面と発泡ポリスチレンフォームの間には10mmの空間を設けた。さらに、表面層表面の温度、試験体ボックス中心の温度を測定するため熱電対を設置した。
実験では、該試験体ボックス上面220mmの位置から赤外線ランプを照射し、表面層表面の温度、試験体ボックス中心の温度(空間温度)を測定した。
なお、本発明積層体の代わりに表面層のみをブランクとして測定した。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.8℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.3℃低かった。
【0031】
(実験例2)
図2において、蓄熱層2−1の代わりに次に示す蓄熱層2−3、蓄熱層2−2の代わりに次に示す蓄熱層2−4を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて5.0℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.6℃低かった。
蓄熱層2−3:蓄熱材(パルミチン酸メチル(融点30℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−3の厚みは2mmである。
蓄熱層2−4:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))55重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物15重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、形成したもの(蓄熱材の含有比率:55重量%)である。蓄熱層2−4の厚みは2mmである。
【0032】
(実験例3)
図2において、蓄熱層2−1の代わりに次に示す蓄熱層2−5、蓄熱層2−2の代わりに次に示す蓄熱層2−6を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて5.2℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.7℃低かった。
蓄熱層2−5:蓄熱層2−1と同様の成分で、厚みを3mmとしたもの。
蓄熱層2−6:蓄熱層2−2と同様の成分で、厚みを3mmとしたもの。
【0033】
(実験例4)
図2において、蓄熱層2−1の代わりに次に示す蓄熱層2−7、蓄熱層2−2の代わりに次に示す蓄熱層2−8を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.9℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.4℃低かった。
蓄熱層2−7:蓄熱層2−1と同様の成分で、厚みを3mmとしたもの。
蓄熱層2−8:蓄熱層2−2と同様の成分で、厚みを1mmとしたもの。
【0034】
(実験例5)
図2において、蓄熱層2−1の代わりに次に示す蓄熱層2−9、蓄熱層2−2の代わりに次に示す蓄熱層2−10を用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて5.3℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.7℃低かった。
蓄熱層2−9:蓄熱材(パルミチン酸メチル(融点30℃))60重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物10重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、形成したもの(蓄熱材の含有比率:60重量%)である。蓄熱層2−9の厚みは2mmである。
蓄熱層2−10:蓄熱材(ステアリン酸メチル(融点38℃))60重量部、ポリエーテルポリオール20重量部、触媒(ジブチル錫ラウレート)0.5重量部、四ホウ酸ナトリウム・10水和物10重量部、添加剤(粘土鉱物、界面活性剤)5.5重量部を混合攪拌し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート4重量部を加えて攪拌し、形成したもの(蓄熱材の含有比率:60重量%)である。蓄熱層2−10の厚みは2mmである。
【0035】
(実験例6)
図2において、蓄熱材移行防止層3−1の代わりに、厚さ0.08mmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた以外は、実験例1と同様の試験を行った。
結果は、1時間後の表面層表面温度はブランクと比べて4.9℃低かった。また、1時間後の空間温度はブランクと比べて1.2℃低かった。