【実施例】
【0045】
(実施例1)
[全血感度と可塑剤との相関]
混合された可塑剤を有する複数のセンサを以下のように調製した。
一連の可塑剤、ポリ塩化ビニル、マグネシウムイオノフォア及び親油性イオン交換塩を用いて、膜配合物を準備した。材料は、10%の固形分比で適切な有機溶媒に溶解した。溶液をセンサ基板上に堆積し、溶媒を蒸発させて膜を形成させた。配合物は、カルシウムに対して最高のマグネシウム選択性(一般に1:1より大きかった)を有する膜を生成するように最適化した。配合物は、単一の可塑剤を有しているか又は中間のlogP計算値を有する膜を生じる2つの可塑剤のブレンドを有していた。
【0046】
表1は、試験した可塑剤、選択性文献値、logP計算値及びそれらに対応するマグネシウム感度勾配(mV/dec)を示す。このデータを
図1にプロットした。
【表1】
【0047】
図1は、それぞれ単一の可塑剤及びブレンドした可塑剤で調製した複数のセンサについて、logP又はブレンドのlogPの部分合計に対するMg
2+についての全血勾配(mV/dec)を示すグラフである。
図1に表わされているように、驚くべきことに、これらの結果から、logP値が増加するにつれて、対照的に選択性はlogPと共に増加するけれども、マグネシウムに対する感度が対応して減少していることが示される。感度が低くなるほど、誤差が大きくなり測定がより精確ではなくなる。臨床及び分析診断の当
業者にとって、患者にとって最良の結果を生じるには、可能な限り最高の感度を有することが決定的に重要であることが理解できるであろう。膜中の可塑剤をブレンドすることにより、単一の可塑剤で構成した膜と同じ挙動を示す中間のlogP値が達成できる。
【0048】
(実施例2)
NPOE又はETH217をポリ塩化ビニル、マグネシウムイオノフォア及び親油性イオン交換塩を用いて、膜配合物を調製した。材料を固形分比10%で適切な有機溶媒に溶解した。溶液をセンサ基板上に堆積し溶媒を蒸発させて膜を形成させた。配合物は、カルシウムに対するマグネシウム選択性が得られる限り最良となるように、最適化され、全般的に少なくとも1:1より大きかった。
【0049】
センサをRAPIDPointシステム(シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティクス社から入手可能)に導入し、25日以上に亘って試験した。この間、センサは、マグネシウム含有試薬で較正し、営業日当たり約10の全血試料に曝露した。更に、マグネシウム含有品質制御溶液を、毎日少なくとも1回、25日に亘って、運転した。試験後、センサ基板から膜を除去し、残存する可塑剤の量を、ULPCで測定し、経時的に失われた可塑剤の量を計算した。表2は経時的に失われた可塑剤の量を表わし、NPOEを配合した膜がその含有量の50%以上を失ったことを示す。
【表2】
【0050】
可塑剤の損失は、センサの性能に負の影響を与える。これは、多くのやり方で、例えば、使用寿命に亘る品質制御溶液の精確さで、測定することができる。表3は、試験の少なくとも25日間に亘る0.7mMマグネシウム品質制御溶液の全変動係数(CV)の平均を示す。より多く抽出され得るNPOEを用いて配合されたセンサは、より高いCVを示し、従って、臨床的及び分析的に、より高いlogPを有する可塑剤を用いて配合されたセンサよりも劣ることが分かる。
【表3】
【0051】
本発明の種々の実施態様を示し記載してきたが、そのような実施態様が例示のためだけに提供されていることは明らかであろう。ここに開示した本発明から離れることなく、多数の変動、変化及び置換が、可能である。従って、本発明は添付の請求項の精神及び範囲によってのみ限定される。
【0052】
以下に、上に開示した本発明の概念の例示的実施態様の非制限的なリストである。
【0053】
1.ポリマー材料、マグネシウム選択性材料及び約5.8超、約12.8未満の測定logP値を有する可塑剤を含有してなるマグネシウムイオン選択性膜。
【0054】
2.前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル材料、酢酸ビニル及び
上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる、請求項1に記載の膜。
【0055】
3.前記可塑剤が2以上の可塑剤のブレンドである、例示的実施態様1〜2のいずれかに記載の膜。
【0056】
4.前記可塑剤のブレンドが、ETH8045及びニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)のブレンドである、例示的実施態様3に記載の膜。
【0057】
5.ETH8045のNPOEに対する比率が約50:50〜約66:34である、例示的実施態様4に記載の膜。
【0058】
6.前記可塑剤が約7〜約9の測定logP値を有する、例示的実施態様1〜5のいずれか1項に記載の膜。
【0059】
7.前記可塑剤が約8の測定logP値を有する、例示的実施態様6に記載の膜。
【0060】
8.前記マグネシウム選択性材料が1つのイオノフォア、複数のイオノフォア、1以上のイオン交換材料及びこれらの組合せからなる群から選ばれる1つを含有してなる、例示的実施態様1〜7のいずれか1項に記載の膜。
【0061】
9.前記マグネシウム選択性材料がイオン交換材料を含有してなる、例示的実施態様1〜8のいずれか1項に記載の膜。
【0062】
10.前記イオン選択性材料が親油性イオン交換塩を含有してなる、例示的実施態様9に記載の膜。
【0063】
11.前記イオン選択性材料がテトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含有してなる、例示的実施態様9に記載の膜。
【0064】
12.前記マグネシウム選択性材料がイオノフォアを含有してなる、例示的実施態様1〜8のいずれか1項に記載の膜。
【0065】
13.前記イオノフォアが、トリアミド化合物を含有してなる例示的実施態様12に記載の膜。
【0066】
14.更に、有機溶媒をも含有してなる、例示的実施態様1〜13のいずれか1項に記載の膜。
【0067】
15.例示的実施態様1〜14のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択性電極。
【0068】
16.例示的実施態様1〜14のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択性センサ。
【0069】
17.タンパク質含有試料中のマグネシウムの量を測定するための請求項15又は16のいずれかに記載のセンサ;及び前記タンパク質含有試料中の追加の目標被検体の量を測定するための少なくとも1つの追加のセンサを含有してなるセンサアレイ。
【0070】
18.前記少なくとも1つの追加のセンサが、pH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれるものの分析のために設計されている、例示的実施態様17に記載のアレイ。
【0071】
19.例示的実施態様16のセンサを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0072】
20.例示的実施態様17のアレイを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0073】
21.ポリマー材料;マグネシウム選択性材料;及びNPOEのlogP値より大きいがETH8045のそれより小さいlogP値を有する可塑剤を含有してなるマグネシウムイオン選択性膜。
【0074】
22.前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル材料、酢酸ビニル及び上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる、例示的実施態様21に記載の膜。
【0075】
23.前記可塑剤が2以上の可塑剤のブレンドを含有してなる、例示的実施態様21又は22のいずれか1項に記載の膜。
【0076】
24.前記可塑剤のブレンドがETH8045とニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)とのブレンドを含有してなる、例示的実施態様21に記載の膜。
【0077】
25.NPOEに対するETH8045の比が約50:50〜約66:34である例示的実施態様24の膜。
【0078】
26.前記可塑剤が約5.0〜約13.0のlogP計算値を有する、例示的実施態様21〜25のいずれか1項に記載の膜。
【0079】
27.前記可塑剤が約5.8超、約12.8未満のlogP計算値を有する、例示的実施態様21〜25のいずれか1項に記載の膜。
【0080】
28.前記可塑剤が約7〜約9のlogP計算値を有する、例示的実施態様27に記載の膜。
【0081】
29.前記測定logP値が薄層クロマトグラフィーによって測定される例示的実施態様27又は28のいずれか1項に記載のセンサ。
【0082】
30.前記マグネシウム選択性材料が1つ以上のイオノフォア、1以上のイオン交換材料及びこれらの組合せからなる群から選ばれる1つを含有してなる、例示的実施態様21〜29のいずれか1項に記載の膜。
【0083】
31.前記マグネシウム選択性材料がイオン交換材料を含有してなる例示的実施態様30に記載の膜。
【0084】
32.前記イオン交換材料が親油性イオン交換塩を含有してなる、例示的実施態様31に記載の膜。
【0085】
33.前記イオン交換材料がテトラキス(4−クロロフェニル)ホウ酸カリウムを含有してなる、例示的実施態様31に記載の膜。
【0086】
34.前記マグネシウム選択性材料がイオノフォアを含有してなる、例示的実施態様30に記載の膜。
【0087】
35.前記イオノフォアがトリアミド化合物を含有してなる、例示的実施態様34に記載の膜。
【0088】
36.更に有機溶媒をも含有してなる、例示的実施態様21〜35のいずれか1項に記載の膜。
【0089】
37.例示的実施態様21〜36のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択電極。
【0090】
38.例示的実施態様21〜36のいずれか1項に記載の膜を含有してなるマグネシウムイオン選択センサ。
【0091】
39.タンパク質含有試料中のマグネシウムの量を測定するための例示的実施態様38に記載のセンサ;及び前記タンパク質含有試料中の追加の目標被検体の量を測定するための少なくとも1つの追加のセンサを含有してなるセンサアレイ。
【0092】
40.前記少なくとも1つの追加のセンサが、pH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれるものの分析のために設計されている、例示的実施態様39に記載のセンサ。
【0093】
41.例示的実施態様38に記載のセンサを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0094】
42.例示的実施態様39に記載のアレイを含有してなるポイントオブケア分析器。
【0095】
43.ポリマー材料;マグネシウム選択性材料;及び5.8超、12.8未満の測定logP値を有する可塑剤を含有してなるマグネシウムイオン選択性膜を含有するセンサを準備し、前記センサにタンパク質含有試料を導入し、そして、前記接触後の試料中のマグネシウムの存在を決定することからなる、タンパク質系試料をマグネシウムについて分析する方法。
【0096】
44.前記タンパク質含有試料が全血を含有してなる例示的実施態様43に記載の方法。
【0097】
45.前記ポリマー材料がポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニル材料、酢酸ビニル及び上記の任意のものの共重合体からなる群から選ばれるものを含有してなる例示的実施態様43〜44のいずれか1項に記載の方法。
【0098】
46.前記可塑剤が2以上の可塑剤のブレンドを含有してなる例示的実施態様43〜45のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
47.可塑剤の前記ブレンドがETH8045とニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)とのブレンドを含有してなる例示的実施態様46に記載の方法。
【0100】
48.ETH8045:NPOEの比が約50:50〜66:34である例示的実施態
様47に記載の方法。
【0101】
49.前記可塑剤が約7〜約9の測定logP値を有する例示的実施態様43〜48のいずれか1項に記載の方法。
【0102】
50.更に、前記試料中の追加の被検体又はpH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれる特性の存在を検知するための1以上の追加のセンサを準備し、前記試料中の前記追加の被検体又は特性の存在を検知する例示的実施態様43〜49のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
50.タンパク質含有試料を例示的実施態様1〜14及び21〜36のいずれか1項に記載の膜を含有してなるセンサに接触させ、接触後の前記試料中のマグネシウムの存在を決定することからなるタンパク質系試料をマグネシウムについて分析する方法。
【0104】
51.前記タンパク質に基づく試料が全血を含有してなる例示的実施態様50に記載の方法。
【0105】
52.更に、前記試料中の追加の被検体又はpH、二酸化炭素分圧、酸素分圧、ナトリウム、カリウム、カルシウム、塩化物、ヘマトクリット、ヘモグロビン、グルコース、乳酸エステル、ビリルビン及びCOオキシメーター分画からなる群から選ばれる特性の存在を検知するための1以上の追加のセンサを準備し、前記試料中の前記追加の被検体又は特性の存在を検知する例示的実施態様50〜51のいずれ1項に記載の方法。