【解決手段】ギヤードモータ22から駆動力により回転する原動シャフト11と、原動シャフト11の回転が伝達されるクリップ121を有する複数の従動シャフト12と、原動シャフト11及び従動シャフト12を保持するハウジング13と、複数の従動シャフト12が軸回りに回転する第1の回転状態、ならびに、複数の従動シャフト12がハウジング13及び原動シャフト11と一体となって原動シャフトの軸回りに回転する第2の回転状態、の2つの状態を切り替える切替機構と、を備え、切替機構は、原動シャフトとハウジングの係脱可能な係止によって第2の回転状態を実現させることと、第2の回転状態において、ハウジング13に駆動力に抗する外力が加えられたときに駆動力により係止を解除して第1の回転状態を実現させる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<<1.毛髪用ツイスト機械100の構成(
図1〜
図7)>>
以下に、本発明を実施するための実施形態について、
図1〜
図7を用いて説明する。
図1には、本実施形態の毛髪用ツイスト機械100の分解斜視図を示している。
図1に示すように、毛髪用ツイスト機械100は、本体部10と、駆動部20とを備えている。本体部10と駆動部20とは連結される。本体部10は毛髪を挟んで保持する2つのクリップ121を備える。毛髪用ツイスト機械100はクリップ121を回転させる。駆動部20は、クリップ121の回転の駆動力を発生させるギヤードモータ22を備えている。なお、
図1は、ハウジング13の一部を仮想線で示した。
【0019】
以下においては、
図1に示すように、毛髪用ツイスト機械100において、駆動部20からクリップの先端に向かう方向を便宜的に前方とし、その反対方向を便宜的に後方とする。前方、後方が記載されているすべての図において、これらの方向は同一の方向を示し、以下の説明において方向に関する記述はこれらの方向を基準とすることがある。なお、以下の説明において、毛髪用ツイスト機械100の付随的な構成については、その図示および詳細な説明を省略する。
【0020】
<1−1.本体部10の構成(
図1〜
図7)>
本体部10は、
図1に示すように、原動シャフト11と、従動シャフト12と、ハウジング13と、係止部材14とを備えている。原動シャフト11は、
図1に示すように、前後に延びる軸であり、後端部のスプライン軸部11aと、前端のギヤ部11bと、スプライン軸部11aおよびギヤ部11bの間の側面において半球形に凹んだ凹状部11c(
図5及び
図6参照)と、を備えている。原動シャフト11は、樹脂で形成されている。後述するが、
図1に示すように、原動シャフト11は、ハウジング13に対して軸回りに回転可能に保持されており、スプライン軸部11aがハウジング13の後側から突き出ている。
【0021】
スプライン軸部11aは、
図1に示すように、溝数8の角形スプラインを有する軸状に形成され、その前後方向で見た中央部に、この中央部の外周面を一周する溝11aaを備えている。スプライン軸部11aは駆動部20の筒軸部21に嵌められ、スプライン軸部11aを軸回りに回転させる駆動力が駆動部20から伝達される。後述するが、溝11aaは、スプライン軸部11aを筒軸部21に対して抜け止めするために設けられている。
【0022】
ギヤ部11bは、
図1に示すように、原動シャフト11の前端で、原動シャフト11の径方向外方に張り出させた歯車をなすように形成されている。後述するが、ギヤ部11bと、従動シャフト12のギヤ部12bとは、その歯を互いに噛み合わせている。また、
図3に示すように、ギヤ部11bは、その前側面に、この前側面における中央部から前方に突出した円柱状の突出部11baを備えている。
【0023】
従動シャフト12は、
図1に示すように、突出部12aと、ギヤ部12bと、溝部12c(
図3参照)と、クリップ121と、ピン122とを備えている。ギヤ部12bは、
図1に示すように、その外周面に歯が形成されている。この歯は、原動シャフト11のギヤ部11bの歯とかみ合い、もって、ギヤ部11bからギヤ部12bに駆動力が伝達されるときに、従動シャフト12を軸回りに回転させる。
【0024】
突出部12aは、
図1に示すように、ギヤ部12bの後面中央部から後ろに突出する。また、突出部12aは、後述するように、ハウジング13に保持される(
図3参照)。溝部12cは、
図3に示す様に、従動シャフト12の側面を一周する。溝部12cの溝に、ハウジング13の前面の第1の蓋部132(
図3参照)および第2の蓋部133(後述)が嵌められていることで、従動シャフト12が軸回りに回転可能に保持されている。また、従動シャフト12において溝部12cよりも前側の部分には、クリップ121がピン122によってピン留めされている。このクリップ121は、毛髪の束を留めることができるように構成されている。
【0025】
ハウジング13は、
図1〜
図3に示すように、ハウジング本体131と、第1の蓋部132と、第2の蓋部133とを備えている。
図1及び
図3に示す様に、ハウジング本体131は、側面131a及び底部131bを有し、一方側の底面(本実施形態では前側)が開口した有底円筒形状に形成されている。また、第1の蓋部132及び第2の蓋部133は、これらが組み合わされた状態で、ハウジング本体131の前側の開口の蓋をしている。従って、
図1に示すように、ハウジング13は、ハウジング本体131の側面131a及び底部131bをそれぞれ側面及び底部とした円柱形状となっている。
【0026】
ハウジング本体131は、
図1、
図3〜
図5に示すように、側面131aと、底部131bと、溝131cと、第1の筒状部131dと、2つの第2の筒状部131eと、第3の筒状部131fと、第4の筒状部131gと、2つの貫通孔131hと、2つの第5の筒状部131kと、を備えている。溝131cは、ハウジング本体131の前端の内周側に設けられており、第1の蓋部132及び第2の蓋部133を嵌め入れることができるようになっている。
【0027】
第1の筒状部131dは、
図1及び
図5に示すように、ハウジング本体131の中央部において、底部131bを前後に貫通して延びる円筒状に形成されている。
図5に示すように、第1の筒状部131dは、その前後方向の位置が原動シャフト11の凹状部11cと同じとなる位置に、ガイド孔131daを備えている。このガイド孔131daは、原動シャフト11の径方向に第1の筒状部131dを貫通する。第1の筒状部131dには、原動シャフト11が挿通されている。第1の筒状部131dの前端面は、
図5に示すように、原動シャフト11のギヤ部11bにおける後側の面を支持している。後述する様に、ガイド孔131daには、係止部材14の押当部143が移動可能に挿通されている。
【0028】
第2の筒状部131e、第3の筒状部131f、第4の筒状部131gは、
図3〜5に示すように、ハウジング本体131の底部から前方に延びる有底円筒状に形成されている。第2の筒状部131eは、
図3に示すように、従動シャフト12の後端にある突出部12aを収容し、ギヤ部12bにおける後側の面を支持している。これにより、従動シャフト12は、ギヤ部12bの後側で軸回りに回転可能に支持されている。第3の筒状部131fは、
図4に示すように、第1の蓋部132のタッピングネジ1321が挿通されるとともに、タッピングネジ1321を保持している。第4の筒状部131gは、第2の蓋部133をピン留めするタッピングネジ1331が挿通されるとともに、このタッピングネジ1331を保持している。
【0029】
貫通孔131hは、
図5に示すように、その前後方向の位置が原動シャフト11の凹状部11c及びガイド孔131daと同じで、かつハウジング本体131を径方向に貫通する孔である。後述する様に、貫通孔131hは、係止部材14の栓141が差し込まれ、もってこの栓141を保持している。
【0030】
第5の筒状部131kは、
図5に示すように、貫通孔131hから第1の筒状部131dにかけて、ハウジング本体131の径方向内側に延びる無底円筒状に形成されている。後述する様に、第5の筒状部131kには、係止部材14のコイルバネ142が差し込まれている。このコイルバネ142は、金属の素線を、第5の筒状部131kがなす無底円筒の内側面に対応するつるまき線をなすように巻いた構成とされて、第5の筒状部131kに差しこまれたときに、この第5の筒状部131kに対してすきまばめのはめあいをなす。
【0031】
第1の蓋部132は、
図3及び
図4に示すように、筒状部132aと、2つの半円形の切欠132b(
図2参照)と、筒状部132cと、タッピングネジ1321(
図2及び
図4参照)とを備えている。筒状部132aは、
図4に示すように、前側から視て第1の蓋部132の中央となる部分にて第2の蓋部133側に突出しており、前面が閉鎖された、後側に延びる有底筒状に形成されている。筒状部132aの後端部は、内側の空間に原動シャフト11の突出部11baを収容し、原動シャフト11の前面を前側から支持している。これにより、筒状部132aは、原動シャフト11を軸回りに回転可能に支持している。
【0032】
各切欠132bは、後述するが、
図3及び
図2に示すように、第2の蓋部133の切欠133bとともに、従動シャフト12の溝部12cを囲んで貫通孔をなす。筒状部132cは、
図4に示すように、第1の蓋部132から後ろ側に延びる円筒状に形成され、前後に開口している。タッピングネジ1321は、筒状部132cに挿通され、その後部がハウジング本体131の第3の筒状部131fに保持されている。この様に、タッピングネジ1321により第1の蓋部132が原動シャフト11に固定されている。
【0033】
第2の蓋部133は、
図4及び
図2に示すように、2つの半円形の切欠133bと、筒状部133aと、タッピングネジ1331とを備えている。2つの切欠133bは、
図2に示すように、それぞれが上記第1の蓋部132における2つの切欠132bに対向する位置に設けられており、切欠132bと同様に(
図3参照)、従動シャフト12の溝部12cを囲む。すなわち、
図2に示すように、第2の蓋部133の切欠133bと切欠132bとは、円形の貫通孔状をなして従動シャフト12の溝部12cの周囲を囲い(
図3参照)、もって従動シャフト12を溝部12cにて軸回りに回転可能に保持している(
図3参照)。
【0034】
筒状部133aは、
図4に示すように、筒状部132cと同様に、前後に開口し、第2の蓋部133から後ろ側に延びる円筒状に形成されている。タッピングネジ1331は、タッピングネジ1321と同様に、筒状部133aに挿通され、後側が上述したハウジング13の第4の筒状部131gに保持されている。この様に、タッピングネジ1331により第2の蓋部133が原動シャフト11に固定されている。
【0035】
係止部材14は、
図5及び
図1に示すように、栓141と、コイルバネ142と、押当部143とを備えている。栓141は、概ね原動シャフト11の径方向に延びる円柱状に形成されており、原動シャフト11の径方向内側に、縮径した円柱状の縮径部141aを有している。栓141の縮径部141a以外の部分は、貫通孔131hに対してしまりばめのはめあいではめられ、もってこの貫通孔131hに嵌って保持された状態となっている。縮径部141aは、コイルバネ142の鶴巻線における原動シャフト11の径方向外側の端部に差し込まれ、もって、コイルバネ142は、第5の筒状部131k内にすきまばめのはめあいをなす状態で収容されており、栓141から原動シャフト11に向かって延び、さらに、原動シャフト11の径方向内側の端部でボール状の押当部143を保持している。
【0036】
押当部143は、
図5に示すように、第1の筒状部131dのガイド孔131daに挿通され、コイルバネ142は押当部143を原動シャフト11に弾性的に押し当てている。以上の様に、係止部材14は、原動シャフト11の径方向外側の端部では栓141によってハウジング13に保持され、原動シャフト11の径方向内側の端部では押当部143を原動シャフト11に弾性的に押し当てている。
【0037】
ここで、原動シャフト11は、ハウジング13に軸回りに回転することが可能な状態に保持されているが、
図6に示すように、押当部143が原動シャフト11の凹状部11cに嵌っているときは、押当部143が原動シャフト11の凹状部11cに嵌ることで、係止部材14が原動シャフト11に保持される。これにより、係止部材14は原動シャフト11及びハウジング13の両方に保持され、係止部材14は原動シャフト11とハウジング13とを係止している。そして、後述するが、原動シャフト11が軸回りに回転するときは、原動シャフト11とハウジング13とが一体となって原動シャフト11の軸回りに回転する。
【0038】
さらに、軸回りに回転する原動シャフト11に対して、ハウジング13が支持されたとき(例えば使用者がハウジング13を指で挟んで支持するとき)、係止部材14の押当部143が、原動シャフト11の凹状部11cから外れ、
図5に示すように、係止が解除された状態となる。以上の様に、ハウジング13の貫通孔131hに栓141が保持された係止部材14は、押当部143が原動シャフト11の凹状部11cに嵌ることで、原動シャフト11とハウジング13とを係脱可能に係止している。ここで、凹状部11cの窪みの深さが深いほど、さらに、コイルバネ142が押当部143を原動シャフト11に強く押し当てるほど、係止部材14の押当部143が、原動シャフト11の凹状部11cから外れにくく(すなわち、係止部材14による原動シャフト11とハウジング13との係止の解除がしにくく)なる。このため、係止部材14による原動シャフト11とハウジング13との係止の解除のしやすさの度合いは、凹状部11cの窪みの深さと、コイルバネ142が押当部143を原動シャフト11に押し当てる力とを調整することで、設定できる。
【0039】
駆動部20は、
図1に模式的に示すように、筒軸部21と、ギヤードモータ22と、駆動伝達機構23と、スイッチ24と、ケース25とを備えている。筒軸部21及び駆動伝達機構23は、
図1には簡略化して示し、
図7により詳細な構造を模式的に示した。ギヤードモータ22は、ギヤアッセンブリが組み込まれたことで回転数が調整されたモータであり、スイッチ24(
図1参照)や電池等の電源(図示省略)に接続されている。ギヤードモータ22が発生させる駆動力は、駆動伝達機構23により筒軸部21に伝達され、さらに、筒軸部21に嵌められた本体部10のスプライン軸部11aに伝達される。スイッチ24により、ギヤードモータ22のモータシャフト22a(
図7)の回転方向を切り替えることができ、これにより、原動シャフト11および従動シャフト12(クリップ121)の回転方向を切り替えることができる。ケース25は、筒軸部21、ギヤードモータ22、駆動伝達機構23、スイッチ24等が組付けられている。
【0040】
筒軸部21は、
図7に示すように、スプライン孔21aと、突出部21bと、後端部21cと、を備えている。筒軸部21は、前後に開口する筒状に形成されており、筒軸部21はケース25に回転可能に保持されている。スプライン孔21aは、内側に原動シャフト11のスプライン軸部11aが嵌り、筒軸部21の回転をスプライン軸部11aに伝達する。
【0041】
スプライン孔21aは、筒軸部21における前方に開口し、スプライン孔21aの周方向に一周する溝部21aaと、溝部21aaからスプライン孔21aの径方向内側に延びる貫通孔部21abと、貫通孔部21abの内部に設けられたボール21a1と、溝部21aa内に配設されているとともにボール21a1に当接するコイルバネ21a2とを備えている。貫通孔部21abは、スプライン孔21a側の端部21abaが、このスプライン孔21a側に向かうにつれ内径が小さくなっている。そして、端部21abaは、スプライン孔21a側の端の内径が、ボール21a1の直径よりも小さい。これにより、ボール21a1が、貫通孔部21abの内部からスプライン孔21a側に抜け出ることが抑制されている。
【0042】
また、コイルバネ21a2は、スプライン孔21aの径方向内側が、ボール21a1に接しており、コイルバネ21a2がスプライン孔21aの径方向に伸び縮みすることで、ボール21a1をスプライン孔21aの径方向内側に付勢している。
図7に示すように、スプライン孔21aに本体部10のスプライン軸部11aが嵌められたときに、ボール21a1は、スプライン軸部11aの溝11aaと係合し、スプライン軸部11aを筒軸部21に対して抜け止めしている。
【0043】
突出部21bは、スプライン孔21aの前側で径方向外側に輪状に突出している。後端部21cは、筒軸部21の後側で内側に突出している。筒軸部21の後端部21cは、
図7に示す様に、駆動伝達機構23の伝達軸23aと接触している。
【0044】
ギヤードモータ22は、モータシャフト22aを有し、ギヤアッセンブリ(不図示)が組み込まれている。ギヤードモータ22は、駆動力を発生させてモータシャフト22aを持続的に回転させることができる。ギヤードモータ22は、組み込まれているギヤアッセンブリにより回転数が調整されている。モータシャフト22aには、後述の伝達軸23aが固定されている。
【0045】
駆動伝達機構23は、
図7に示す様に、伝達軸23aと、ワッシャー23bと、皿ばね23cと、ナット23dとを備えている。伝達軸23aは、管状に形成されており、前端にフランジ部23aaを備え、後側の外周面に雄螺子部23abを備える。伝達軸23aは、筒軸部21の後端の後端部21cに差し込まれており、後端部21cと接触している。また、伝達軸23aは、前から順に、ワッシャー23bと、皿ばね23cと、ナット23dとが嵌められている。ナット23dは、伝達軸23aの雄螺子部23abに係合しており前後に移動させることができる。
【0046】
図7に示すように、筒軸部21の後端部21cは、伝達軸23aのフランジ部23aaとワッシャー23bに挟まれている。ワッシャー23bとナット23dとの間に設けられた皿ばね23cは、前後方向(
図7では左右方向)に弾発力を発揮するように配設されている。これにより、ワッシャー23bは、伝達軸23aの雄螺子部23abに係合するナット23dおよび皿ばね23cによって、前側(
図7では右側)に付勢されている。そして、ナット23dが、前方に移動するほど、皿ばね23cは前方に締め付けられ、筒軸部21の後端部21cは、伝達軸23aのフランジ部23aaとワッシャー23bによってより強く締め付けられる。その結果、フランジ部23aaと後端部21cとの静止摩擦力が大きくなる。この逆に、ナット23dが、後方に移動するほど、筒軸部21の後端部21cは、伝達軸23aのフランジ部23aaとワッシャー23bによってより弱く締め付けられる。その結果、フランジ部23aaと後端部21cとの静止摩擦力が小さくなる。この様に、フランジ部23aaと後端部21cとの静止摩擦力の大きさを、ナット23dの締め付け度合いで調節できる。
【0047】
伝達軸23aは、
図7に示す様に、内面に後側からギヤードモータ22のモータシャフト22aが固定され、モータシャフト22aが回転すると、伝達軸23aも回転する。そして、伝達軸23aの回転は、伝達軸23aのフランジ部23aaと筒軸部21の後端部21cとの静止摩擦力により、筒軸部21に伝わる。この様にフランジ部23aaと後端部21cとの静止摩擦力を介して、ギヤードモータ22の駆動力が伝達軸23aから筒軸部21に伝わる。
【0048】
ここで、何らかの原因により、原動シャフト11の軸回りの回転が強く抑止される場合には、原動シャフト11が嵌っている筒軸部21には、ギヤードモータ22の駆動力に抗する第1抵抗力が、原動シャフト11から加えられる。これにより、第1抵抗力が加わる筒軸部21の後端部21cと、ギヤードモータ22の駆動力が伝達される伝達軸23aのフランジ部23aaとの間で滑りが発生し、ギヤードモータ22の駆動力が伝達軸23aから筒軸部21へ伝わることが抑止される。その結果、ギヤードモータ22のモータシャフト22aから原動シャフト11への駆動力の伝達が抑止される。ここで、筒軸部21の後端部21cと伝達軸23aのフランジ部23aaとの間で滑りが発生するためには、第1抵抗力の大きさが、筒軸部21の後端部21cと伝達軸23aのフランジ部23aaとの間の静止摩擦力より大きくなる必要がある。そして、上述した様に、フランジ部23aaと後端部21cとの静止摩擦力をより大きくするためには、ナット23dの締め付け度合いをより大きくすればよい。従って、筒軸部21の後端部21cと伝達軸23aのフランジ部23aaとの間で滑りが発生して、モータシャフト22aから原動シャフト11への駆動力の伝達が抑止される状態に切り替わるために必要な、最小限の第1抵抗力の大きさは、ナット23dの締め付けの度合いを大きくするほど、大きくなる。
【0049】
図1に示す様に、スイッチ24は、第1のポジションR、第2のポジションS、第3のポジションLの3つの位置に切り替え可能になっている。スイッチ24を第2のポジションSの位置にした場合、ギヤードモータ22の回転は停止する。そして、スイッチ24の位置を第1のポジションRあるいは第3のポジションLにすると、ギヤードモータ22が回転し、ギヤードモータ22の駆動力が駆動伝達機構23を介して筒軸部21に伝達され、筒軸部21が回転する。ここで、筒軸部21のスプライン孔21a(
図2参照)に原動シャフト11のスプライン軸部11aが嵌合している場合は、筒軸部21は、原動シャフト11と共に回転する。そして、スイッチ24の位置が第1のポジションRの場合は原動シャフト11が右回転し、スイッチ24の位置が第3のポジションLの場合は原動シャフト11が左回転するように設定されている。右回転とは、原動シャフト11の回転軸を後側からみて、原動シャフト11が右まわりに回転することであり、左回転とはその逆方向に原動シャフト11が回転することである。
【0050】
<2.毛髪用ツイスト機械100の動作と使用方法について(
図1〜
図7)>
上記構成の説明を換言すれば、毛髪用ツイスト機械100は、
図1及び
図7に示すように、ギヤードモータ22と、第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)と、原動シャフト11と、ハウジング13と、従動シャフト12と、第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)と、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)と、を備えている。
【0051】
ギヤードモータ22は、
図7に示すように、モータシャフト22aを有し、駆動力を発生させてモータシャフト22aを持続的に回転させる。第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)は、
図7に示すように、モータシャフト22aに接続され、駆動力をモータシャフト22aから原動シャフト11のスプライン軸部11aに伝達する。これにより、原動シャフト11は、第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)に接続され、第1の伝達機構から駆動力が伝達されて軸回りに回転する。
【0052】
ハウジング13は、
図3に示すように、原動シャフト11を軸回りに回転可能に保持する。より詳しくは、ハウジング13は、第1の蓋部132の筒状部132aで原動シャフト11の突出部11baを上側から支持するとともに、第1の筒状部131dで原動シャフト11のギヤ部11bを後側から支持することで、原動シャフト11を軸回りに回転可能に保持している。
【0053】
2つ(複数)の従動シャフト12は、
図1に示すように、毛髪を挟んで保持するクリップ121を有し、
図3に示すように、ハウジング13に回転可能に保持されるとともに、間隔をあけて配置されている。ここで、従動シャフト12は、溝部12cで第1の蓋部132の切欠132b及び第2の蓋部133の切欠(不図示)によって支持されるとともに、突出部12aで第2の筒状部131eによって支持されることで、従動シャフト12はハウジング13に回転可能に保持されている。また、第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)は、原動シャフト11のギヤ部11b及び従動シャフト12のギヤ部12bで構成され、原動シャフト11の回転を2つ(複数)の従動シャフト12に伝達する。
【0054】
以上の様に、ギヤードモータ22が発生させた駆動力により、モータシャフト22aが回転する(
図7参照)。また、
図7に示すように、モータシャフト22aの回転は、第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)により原動シャフト11に伝達される。これにより原動シャフト11は軸回りに回転する。
図1に示すように、原動シャフト11の回転は、第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)により2つ(複数)の従動シャフト12に伝達され、従動シャフト12は軸回りに回転することができる。そして、
図1及び
図2に示すように、従動シャフト12が回転することで、従動シャフト12の有するクリップ121が回転する。
【0055】
上述したが、
図6に示すように、押当部143が原動シャフト11の凹状部11cに嵌っているときは、係止部材14により原動シャフト11とハウジング13とが係止される。また、軸回りに回転する原動シャフト11に対して、ハウジング13が支持されたとき(例えば使用者がハウジング13の側面131aを指で挟んで支持するとき)、係止部材14の押当部143が、原動シャフト11の凹状部11cから外れ、
図5に示すように、係止が解除された状態となる。
【0056】
図5及び
図1に示すように、軸回りに回転する原動シャフト11に対して、ハウジング13が支持されたとき(例えば、使用者がハウジング13の側面131aを指で挟んで支持するとき)、
図6に示すように、原動シャフト11とハウジング13との係止が解除される。そして、原動シャフト11が軸回りに回転しても、ハウジング13は支持されているため回転しない。そこで、ハウジング13を基準にすれば、
図2に示すように、原動シャフト11は軸回りに回転しており(
図2中D1)、原動シャフト11の回転は、第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)により2つ(複数)の従動シャフト12に伝達され、その結果、従動シャフト12それぞれは軸回りに回転する(
図2中D2)。この様に、2つ(複数)の従動シャフト12それぞれが軸回りに回転する状態(
図2中D2)を第1の回転状態とする。
【0057】
毛髪用ツイスト機械100は、2つ(複数)のクリップ121それぞれに毛髪の束を挟むことができる。第1の回転状態では、従動シャフト12が有するクリップ121を、この従動シャフト12の軸回りに回転させる(
図2中D2)ことで、毛髪の束を挟んだ2つ(複数)のクリップ121をそれぞれ個別に回転させ(
図2中D2)、もって2つ(複数)の毛髪の束をそれぞれ個別にツイストさせることができる。
【0058】
一方、
図6に示すように、原動シャフト11とハウジング13とが係止されている場合、原動シャフト11が軸回りに回転する(
図2中D1)に伴い、原動シャフト11とハウジング13とが一体となって、原動シャフト11の軸回りに回転する(
図2中D3)。また、2つ(複数)の従動シャフト12は、
図1及び
図2に示すように、ハウジング13に保持されているため、ハウジング13が原動シャフト11の軸回りに回転するとともに、2つ(複数)の従動シャフト12も原動シャフト11の軸回りに回転する(
図2中D3)。
【0059】
ここで、ハウジング13を基準にすれば、原動シャフト11はハウジング13に係止されているため静止しており(
図6参照)、
図2に示すように、原動シャフト11と第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)で接続されている2つ(複数)の従動シャフト12も静止している。従って、ハウジング13を基準にすれば、従動シャフト12およびクリップ121は、
図2中D2のように従動シャフト12の軸回りに回転しない。この様に、2つ(複数)の従動シャフト12と、ハウジング13と、原動シャフト11とが一体となって原動シャフト11の軸回りに回転し、この状態を第2の回転状態とする。
【0060】
第2の回転状態では、2つ(複数)の従動シャフト12を原動シャフト11の軸回りに回転させて、これらの従動シャフト12それぞれが有するクリップ121を原動シャフト11の軸回りに回転させることができる。従って、第2の回転状態では、2つ(複数)のクリップ121それぞれがツイストされた毛髪の束を挟んだ状態にして、2つ(複数)のクリップ121を、原動シャフト11を中心に回転させることで、2つ(複数)のツイストされた毛髪の束同士をツイストさせて、毛髪を編むことができる。
【0061】
また、上述した様に、毛髪用ツイスト機械100は、凹状部11cと、係止部材14と、貫通孔131hとを備え、原動シャフト11とハウジング13との係脱によって、第1の回転状態及び第2の回転状態とを切り替えることができる。ここで、凹状部11cと、係止部材14と、貫通孔131hとを併せて切替機構とする。より詳しくは、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)は、ハウジング13及び原動シャフト11のうち、原動シャフト11(一方)の表面に設けられた凹状部11cと、ハウジング13及び原動シャフト11のうち、ハウジング13(凹状部11cが設けられていない他方に)一端部が保持され、ハウジング13及び原動シャフト11の間に位置するとともに、弾性を有するコイルバネ142(弾性部)と、コイルバネ142(弾性部)における凹状部11cの側の端部に保持され、コイルバネ142(弾性部)の弾性により凹状部11cに押し当てられて凹状部11cに嵌る押当部143(突出部)と、ハウジング13の貫通孔131hと、を備える。
【0062】
また、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)は、2つ(複数)の従動シャフト12が軸回りに回転する第1の回転状態、ならびに、2つ(複数)の従動シャフト12がハウジング13及び原動シャフト11と一体となって原動シャフト11の軸回りに回転する第2の回転状態、の2つの状態を切り替える。また、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)は、原動シャフト11とハウジング13の係脱可能な係止が可能であり、係止によって第2の回転状態を実現させることと、第2の回転状態において、ハウジング13に駆動力に抗する外力が加えられたときに、駆動力により係止を解除して第1の回転状態を実現させることと、が可能である。
【0063】
そして、ハウジング13は、外部から保持可能な側面131aを備え、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)は、係止の解除を、第2の回転状態においてハウジング13の側面が外部から支持された場合に行う。以上は、第1の回転状態及び第2の回転状態の切り替えについて説明した。
【0064】
上述したが、第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)は、モータシャフト22aに接続された軸をなす伝達軸23a(第1軸部)と、原動シャフト11に接続され、伝達軸23a(第1軸部)に接するとともに、軸をなす筒軸部21(第2軸部)と、を備えている。そして、第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)は、伝達軸23a(第1軸部)と筒軸部21(第2軸部)と間の静止摩擦力により、伝達軸23a(第1軸部)と筒軸部21(第2軸部)との間で駆動力が伝達される。
【0065】
モータシャフト22aに接続された伝達軸23a(第1軸部)と、原動シャフト11に接続された筒軸部21(第2軸部)との間では、ギヤードモータ22の駆動力が、伝達軸23a(第1軸部)と筒軸部21(第2軸部)と間の静止摩擦力により伝達される。筒軸部21(第2軸部)に接続された原動シャフト11が強く保持された場合は、筒軸部21(第2軸部)に対して伝達軸23a(第1軸部)が空回りすることで、ギヤードモータ22の駆動力が伝達軸23a(第1軸部)と筒軸部21(第2軸部)との間を伝達することが抑止される。
【0066】
筒軸部21(第2軸部)が接続されている原動シャフト11は、毛髪を挟んで保持するクリップ121を有する従動シャフト12と、ハウジング13及び第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)を介して接続されている。このため、毛髪の束が過度にツイストされそうになるとき等、クリップ121が何らかの理由で比較的強く保持されたときには、原動シャフト11が比較的強く保持される。そして、
図7を用いて上述した様に、伝達軸23a(第1軸部)が空回りすることで、ギヤードモータ22の駆動力が伝達軸23a(第1軸部)から筒軸部21(第2軸部)に伝達することが抑止され、ひいては、クリップ121にギヤードモータ22の駆動力が伝わることが抑制される。これにより、以下に詳細を説明する様に、クリップ121に挟まれた毛髪の束が過度にツイストされることが抑止される。
【0067】
第1の回転状態では、ハウジング13は回転せず、ギヤードモータ22の駆動力は原動シャフト11から従動シャフト12に伝達される。これにより、
図1及び
図2に示すように、クリップ121に挟まれた毛髪の束は、従動シャフト12の軸回り(
図2中D2)に回転するが、毛髪の束は頭皮にくっついているため、毛髪の束からクリップ121に対して、従動シャフト12の軸回りの回転に抗する抵抗力が第1抵抗力としてはたらく。この第1抵抗力は、
図3および
図7に示すように、第2の伝達機構(ギヤ部11b、ギヤ部12b)により従動シャフト12から原動シャフト11に伝達され、さらに、原動シャフト11から、この原動シャフト11が嵌っている筒軸部21に伝達される。そして、第1抵抗力は、筒軸部21に伝達されるギヤードモータ22の駆動力に抗する力として作用する。
【0068】
上述した様に、原動シャフト11に接続された筒軸部21と、モータシャフト22aに接続された伝達軸23aとの間では、伝達軸23aと筒軸部21と間の静止摩擦力によりギヤードモータ22の駆動力が伝達される。このため、クリップ121に挟まれた毛髪の束が、過度にツイストされそうになるとき等、クリップ121に挟まれた毛髪の束からの抵抗力(第1抵抗力)が大きくなると、第1抵抗力がかかる筒軸部21と、ギヤードモータ22の駆動力が伝達される伝達軸23aとの間で空回りする。また、上述した様に、筒軸部21の後端部21cと伝達軸23aのフランジ部23aaとの間で滑りが発生して、モータシャフト22aから原動シャフト11への駆動力の伝達が抑止される状態に切り替わるために必要な、最小限の第1抵抗力の大きさは、ナット23dの締め付けの度合いを大きくするほど、大きくなる。
【0069】
第1の回転状態で、原動シャフト11の凹状部11cが回転する(
図5及び
図1参照)につれ、凹状部11cと係止部材14による原動シャフト11とハウジング13との係止は、解除された状態(
図5参照)と、係止した状態(
図6参照)とに交互に変化する。係止した状態(
図6参照)から係止が解除されるときに、原動シャフト11に伝達されるギヤードモータ22の駆動力の大きさは以下の条件を満たす必要がある。すなわち、原動シャフト11とハウジング13との係止が解除されるときにおいて、原動シャフト11を回転させて係止を解除するために必要な力の大きさと、原動シャフト11が従動シャフト12を回転させてクリップ121に挟まれた毛髪の束を十分ツイストできる程度の力の大きさとの和よりも、原動シャフト11に伝達されるギヤードモータ22の駆動力の大きさが大きい。そこで、この原動シャフト11に伝達されるギヤードモータ22の駆動力の大きさと、上記の最小限の第1抵抗力の大きさとが同じとなるよう、ナット23dを締め付ける度合いが設定されている。このように設定すれば、第1の回転状態で、原動シャフト11とハウジング13との係止の係脱と、係止のクリップ121に挟まれた毛髪の束を十分ツイストすることを両立できる。
【0070】
第2の回転状態では、上述した様に、2つの従動シャフト12がハウジング13及び原動シャフト11と一体となって原動シャフト11の軸回り(
図2中D1)に回転する(
図1及び
図2参照)。そして、従動シャフト12のクリップ121に挟まれた毛髪の束が、原動シャフト11の軸回りに回転されてツイストされるにつれ、クリップ121に挟まれた毛髪の束は、毛髪の束は頭皮にくっついているため、毛髪の束からクリップ121に対して、原動シャフト11の軸回り(
図2中D1)の回転に抗する抵抗力(第2抵抗力)がはたらく。
【0071】
第2抵抗力は、
図1及び
図2に示すように、クリップ121から、クリップ121がピン止めされている従動シャフト12へ伝達され、さらに、従動シャフト12を保持しているハウジング13(
図3参照)に伝達される。従って、ハウジング13には、原動シャフト11の軸回り(
図2中D1)の回転に抗する第2抵抗力が伝達され、原動シャフト11には原動シャフト11を軸回りに回転させるギヤードモータ22の駆動力が伝達されている。第2の回転状態では、原動シャフト11とハウジング13とが係止した状態(
図6参照)となっており、第2抵抗力が十分大きければ、係止が解除されて(
図5参照)、第1の回転状態に切り替わる。従って、第2の回転状態で、毛髪の束が、原動シャフト11の軸回りに回転されてツイストされるにつれ、第2抵抗力が大きくなっていくと、原動シャフト11とハウジング13との係止が解除されて(
図5参照)、第1の回転状態に切り替わる。そして、上述した様に、第1の回転状態において、クリップ121に挟まれた毛髪の束が過度にツイストされることが抑止される。
【0072】
ここで、原動シャフト11とハウジング13との係止が解除されるために必要な第2抵抗力の大きさが極度に小さい場合は、第2の回転状態でクリップ121に挟まれた毛髪の束のツイストが始まる前に、原動シャフト11とハウジング13との係止が解除されて、第1の回転状態に切り替わってしまい、毛髪の束を第2の回転状態でツイストすることが困難となる。そこで、第2の回転状態でクリップ121に挟まれた毛髪の束を十分ツイストできる程度に、係止部材14による原動シャフト11とハウジング13との係止の解除のしやすさの度合が、凹状部11cの窪みの深さと、コイルバネ142が押当部143を原動シャフト11に押し当てる力とにより調整されている。
【0073】
<3.毛髪用ツイスト機械100の効果について>
以上のように構成される本実施形態の毛髪用ツイスト機械100は、以下のような作用効果を奏する。毛髪用ツイスト機械100は、複数のクリップそれぞれに毛髪の束を挟むことができる。第1の回転状態では、従動シャフト12が有するクリップ121を、この従動シャフト12の軸回りに回転させる(
図2中D2)ことで、毛髪の束を挟んだ2つ(複数)のクリップ121をそれぞれ個別に回転(
図2中D2)させ、もって2つ(複数)の毛髪の束をそれぞれ個別にツイストさせることができる。
【0074】
一方、第2の回転状態では、2つ(複数)の従動シャフト12を原動シャフト11の軸回り(
図2中D3)に回転させて、これらの従動シャフト12それぞれが有するクリップ121を原動シャフト11の軸回り(
図2中D3)に回転させることができる。従って、第2の回転状態では、2つ(複数)のクリップ121それぞれがツイストされた毛髪の束を挟んだ状態にして、2つ(複数)のクリップ121を、原動シャフト11中心に回転(
図2中D3)させることで、2つ(複数)のツイストされた毛髪の束同士をツイストさせて、毛髪を編むことができる。
【0075】
使用者は、まず、第1の回転状態にして、2つ(複数)の毛髪の束をそれぞれ個別にツイストさせ、次に、第1の回転状態から第2の回転状態に切り替えて、第2の回転状態にて、2つ(複数)のツイストされた毛髪の束同士をツイストさせて、毛髪を編むことができる。ここで、第1の回転状態におけるツイストの向き(
図2中D2参照)と、第2の回転状態におけるツイストの向き(
図2中D3参照)とは互いに逆向きとなる。2つの毛髪の束は、第1の回転状態によるツイストとは逆の方向に、第2の回転状態によりからみあわされることで、各毛髪の束において、そのツイストが戻ろうとする力が、毛髪の束同士のからみあいを強化する縄の構成をなす。従って、2つの毛髪の束をクリップから外しても、2つの毛髪の束は、編まれた状態(ツイストされた2つの毛髪の束同士がツイストされている状態)が保たれる。このように、2つの毛束をクリップから外しても、毛髪が編まれた状態が保たれるように、第2の回転状態において、2つ(複数)のクリップ121を、
図2中においてD3に示す方向に回転させている。
【0076】
毛髪用ツイスト機械100は、第1の回転状態と第2の回転状態との回転状態の切り替えを、駆動力に抗する外力をハウジング13に加えるか否かだけで行うことができ、従って切り替えのためにスイッチ等を操作する必要がない。また、毛髪用ツイスト機械100は、第1の回転状態および第2の回転状態の両方の回転状態において、ギヤアッセンブリ(不図示)が組み込まれたギヤードモータ22の駆動力を用いて毛髪を持続的にツイストさせることが可能であり、毛髪をツイストさせる駆動力を人力で供給する必要がない。これらにより、毛髪用ツイスト機械100は、作業性を比較的向上させ得る。また、毛髪用ツイスト機械100は、上記の2つの回転状態を切り替えるために、スイッチ等の専用の機構を必要としないため、部品点数を比較的少なくし得る。従って、毛髪用ツイスト機械100は、作業性を比較的向上させ得るとともに、部品点数を減らし得る。
【0077】
また、毛髪用ツイスト機械100は、ハウジング13の側面131aを外部から支持するだけで、係止の解除を行うことが出来、それゆえにスイッチ等を操作することなしに第2の回転状態から第1の回転状態に切り替えることができる。従って、毛髪用ツイスト機械100は、作業性を比較的向上させ得る。
【0078】
また、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)の構成を、凹状部11cと、コイルバネ142(弾性部)と、押当部143(突出部)と、コイルバネ142(弾性部)を保持するための構成(栓141及びハウジング13の貫通孔131h)と、を設けるだけの簡素な構成にすることができ、より確実に毛髪用ツイスト機械100の部品点数を減らし得る。
【0079】
また、クリップ121が何らかの理由で比較的強く保持されたときクリップ121にギヤードモータ22の駆動力が過度に伝わることが抑制されるため、毛髪の束が過度にツイストされることが抑止でき、より一層作業性を向上させ得る。
【0080】
<4.変形例(
図8)>
続いて、上述した実施形態の毛髪用ツイスト機械100の変形例である毛髪用ツイスト機械200について、
図8を用いて説明する。
図8には、
図1と同様の、本変形例の毛髪用ツイスト機械200の分解斜視図を示している。毛髪用ツイスト機械200は、
図8に示すように、上記の実施形態の毛髪用ツイスト機械100から、ハウジング本体131をハウジング本体1131に取り換えた実施例である。以下の毛髪用ツイスト機械200の説明において、上記の実施形態の毛髪用ツイスト機械100と共通する構成については、毛髪用ツイスト機械200に同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0081】
ハウジング本体1131は、上記の上述した実施形態の毛髪用ツイスト機械100のハウジング本体131(
図1、
図3〜
図5参照)と同様に、側面1131aと、溝(図示省略、
図2の溝131cに相当)と、2つの第2の筒状部(図示省略、
図3の第2の筒状部131eに相当)と、第3の筒状部(図示省略、
図4の第3の筒状部131fに相当)と、第4の筒状部(図示省略、
図4の第3の筒状部131gに相当)と、2つの貫通孔(図示省略、
図5及び
図6の貫通孔131hに相当)と、を備えている。そして、
図8に示すように、底部1131bは、底部1131bから後側に円柱状に突出した突出部1131baを備えていることが上述した実施形態の毛髪用ツイスト機械100の底部131bと異なった構成となっている。
【0082】
上述した実施形態の毛髪用ツイスト機械100では、切替機構(凹状部11c、貫通孔131h、係止部材14)は、係止の解除を、第2の回転状態においてハウジング13の側面131aが外部から支持された場合に行う。ここで、係止の解除のために外部から支持される箇所は、ハウジング13の側面131aでなくともよい。本変形例の毛髪用ツイスト機械200では、
図8に示すように、底部1131bから後側に突出した突出部1131baを備えている。これにより、本変形例の毛髪用ツイスト機械200は、第2の回転状態において、ハウジング本体1131と一体となって回転する突出部1131baを使用者が指でひっかけて支持することで、ハウジング13に駆動力に抗する外力を加えて、駆動力により係止を解除できる。従って、係止の解除のために、外部からハウジング13に外力を加えるために使用者が支持する箇所は、本変形例ではハウジング113の底部1131bの突出部1131baでよく、上述した実施形態の様にハウジング13の側面131aでなくてもよい。
【0083】
また、
図8に示す様に、ハウジング本体1131の側面1131aに原動シャフト11の径方向外側に突出した突起1131aaを設けてもよい。使用者は、この突起1131aaを指でひっかけることでハウジング本体1131を容易に支持することでき、このように支持することで、ハウジング113に駆動力に抗する外力を加えて、駆動力により係止を解除できる。従って、毛髪用ツイスト機械200は、作業性がより一層向上し得る。
【0084】
<5.その他の実施形態>
上述した実施形態では、毛髪用ツイスト機械100は、ギヤードモータ22の駆動力が、第1の伝達機構(スプライン軸部11a、筒軸部21、駆動伝達機構23)の駆動伝達機構23を介して原動シャフト11に伝達される構成となっている。第1の伝達機構の構成は、これに限らず、モータシャフトと原動シャフトとを直接連結した構成(不図示)にしてもよい。
【0085】
本発明の毛髪用ツイスト機械は、上記した各実施形態にて説明した構造、構成、外観、形状等に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。