特開2021-29314(P2021-29314A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021029314-スタンド 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-29314(P2021-29314A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】スタンド
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/154 20060101AFI20210201BHJP
【FI】
   A61B5/154
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-149528(P2019-149528)
(22)【出願日】2019年8月18日
(71)【出願人】
【識別番号】519277690
【氏名又は名称】PTラクーン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175064
【弁理士】
【氏名又は名称】相澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亮爾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊子
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038TA01
4C038TA03
4C038UA10
4C038UB08
4C038UF01
4C038UF03
(57)【要約】
【課題】採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なスタンドを提供する。
【解決手段】スタンド1は、円筒状の採血管2又は採血針プロテクタ3を支持するための支持体10を有し、前記支持体10は、前記採血管又は前記採血針プロテクタを挿入するための孔部11又は12を有し、前記孔部11又は12の最小内径は、前記採血管2又は前記採血針プロテクタ3の最大外径よりも小さく、かつ、前記採血管2又は前記採血針プロテクタ3の最小外径よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の採血管又は採血針プロテクタを支持するための支持体を有し、
前記支持体は、前記採血管又は前記採血針プロテクタを挿入するための孔部を有し、
前記孔部の最小内径は、前記採血管又は前記採血針プロテクタの最大外径よりも小さく、かつ、前記採血管又は前記採血針プロテクタの最小外径よりも大きい
スタンド。
【請求項2】
前記孔部は、徐々に内径が小さくなるようテーパー加工がなされており、
前記テーパー加工された部分の最大内径は、前記採血管又は前記採血針プロテクタの最小外径よりも大きい
請求項1記載のスタンド。
【請求項3】
前記支持体を作業台に固定するための固定部を有する
請求項1記載のスタンド。
【請求項4】
前記固定部はマグネットを含む
請求項3記載のスタンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なスタンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医師や看護師等(以降、単に実施者という)が採血を行う際の典型的な手順は次のようなものであった。なお利き手が右手の場合を想定しているが、左右は読み替え可能である。
ステップ1:実施者は、採血針付きのシリンジを右手で保持し、採血針に予めセットされているプロテクタを左手で取り除く。
ステップ2:実施者は、右手に保持したシリンジの採血針を患者の皮膚に穿刺し、シリンジ内に適量の血液を採取し終えたなら採血針を抜く。そして、穿刺した部位を左手で圧迫する。
ステップ3:実施者は、左手に保持した採血管に、右手に保持したシリンジの採血針を挿入して、シリンジから採血管に血液を移動させる。終了したら採血針を抜く。
ステップ4:実施者は、左手に保持したプロテクタを、右手に保持したシリンジの採血針に再びセットする。
【0003】
ここで、ステップ2からステップ3への移行時には、左手の数が足りなくなる。すなわち、穿刺部位の圧迫と、採血管の保持とを両立することができない。したがって、穿刺部位の圧迫を患者自身に交代してもらうか、実施者が左手で穿刺部位を圧迫したまま、予めスタンドにセットした採血管に右手のみで採血管を挿入するなどの工夫が必要であった。従来の採血管スタンドの一例を特許文献1に示す。
【0004】
また、ステップ4においては、プロテクタを保持する左手を使用済みの採血針で傷つけてしまう、いわゆる針刺し事故が発生しやすい。このような事故を防止するためのプロテクタとしては、例えば非特許文献1に記載の「安全機構付き採血針」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−055946号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「採血製品総合カタログ」、[online]、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、2016年、第18頁、[2019年8月17日検索]、インターネット<URL:https://www.bdj.co.jp/pas/products/catalog/62-006-PAS-catalogue.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1記載のスタンドは、採血管を立てたときに遊びが生じる。よって、スタンドに立てた採血管に片手だけで採血針を挿入することは容易ではない。また、採血管から採血針を抜くときは、どうしても採血管を一方の手で保持する必要がある。
【0008】
非特許文献1記載のプロテクタは、片手で使用済みの採血針を保護することができるため針刺し事故を抑制できる。しかし、従来型のプロテクタがセットされた採血針が広く流通していることを考えれば、従来型のプロテクタを前提として、針刺し事故を抑制するための手段を提供することが望まれる。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なスタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるスタンドは、円筒状の採血管又は採血針プロテクタを支持するための支持体を有し、前記支持体は、前記採血管又は前記採血針プロテクタを挿入するための孔部を有し、前記孔部の最小内径は、前記採血管又は前記採血針プロテクタの最大外径よりも小さく、かつ、前記採血管又は前記採血針プロテクタの最小外径よりも大きい。
本発明にかかるスタンドは、前記孔部は、徐々に内径が小さくなるようテーパー加工がなされており、前記テーパー加工された部分の最大内径は、前記採血管又は前記採血針プロテクタの最小外径よりも大きい。
本発明にかかるスタンドは、前記支持体を作業台に固定するための固定部を有する。
本発明にかかるスタンドは、前記固定部はマグネットを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なスタンドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかるスタンド1の外観を示す斜視図である。
図2】本発明にかかるスタンド1の使用状態を示す斜視図である。
図3】本発明にかかるスタンド1の使用状態を示す断面図である。
図4】本発明にかかるスタンド1の使用状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明にかかるスタンド1の外観を示す斜視図である。スタンド1は、円筒状の採血管又は採血針プロテクタを支持するための支持体10を有する。
【0014】
支持体10には、採血管を挿入するための孔部11が穿孔されている。孔部11の断面は、円筒状の採血管を遊びなくホールドするためには略円形とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0015】
また、支持体10には、採血針プロテクタを挿入するための孔部12が穿孔されている。孔部12の断面も、円筒状の採血針プロテクタを遊びなくホールドするためには略円形とすることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0016】
本実施の形態では、支持体10は孔部11及び孔部12を両方備えるが、本発明はこれに限定されずいずれか一方のみを備えるものであっても良い。支持体10は、例えば樹脂やシリコン等の幾らか可塑性又は弾性のある材料を用いて製作することで、採血管又は採血針プロテクタに対するダメージを和らげ、かつ採血管又は採血針プロテクタの保持力を高めることが可能である。
【0017】
また、スタンド1は、スタンド1を作業台に固定するための固定部20を有することが好ましい。本実施の形態では、固定部20は、スタンド1を金属製の作業台に固定できるよう、マグネット21を備えている。本発明では、スタンド1の作業台への固定方法は限定しない。例えば固定部20は、スタンド1をボルトやネジで作業台に固定するためのネジ穴を有していても良く、作業台の天板を挟み込むためのクリップを備えていても良く、作業台に接着剤等で固定するための接着面を有していても良い。本実施の形態では、支持体10と固定部20とは2本の金属製ロッド30で繋がれており、支持体10に多少の外力が加わっても作業台に対しては動くことがないようになっている。なお、支持体10と固定部20との繋ぎ方はこれに限定されるものではない。支持体10と固定部20とを一体に形成しても構わない。
【0018】
図2は、スタンド1の使用状態を示す斜視図である。図2に示すように、採血管2を支持体10の孔部11に挿入することで、採血管2を所定の姿勢(典型的には立てた状態)に保つことができる。また、採血針プロテクタ3を孔部12に挿入することで、採血針プロテクタ3を所定の姿勢に保つことができる。
【0019】
図3は、図2に示した使用状態におけるスタンド1の断面図である。図3に示すように、通常、採血管2は先細の円筒状であり、先端部が最も細く、キャップのある後端部が最も太い。孔部11の最小内径(最も狭い部分の内径)は、採血管2の最大外径(最も太い部分の外径)よりも小さい。また、孔部11の最小内径(最も狭い部分の内径)は、採血管2の最小外径(最も細い部分の外径)よりも大きい。したがって、採血管2の先端を孔部11に挿入すると、ある程度までは内部に貫入していく。しかし、採血管2全体が孔部11を突き抜けてしまうことはなく、その前に採血管2が孔部11の最小内径部分に接触して止まる。
【0020】
本実施の形態では、孔部11の内部は、採血管2が最初に挿入される側の端部(以下、入口側という)から他方の端部(以下、出口側という)にかけて徐々に内径が細くなるよう、角度αのテーパー加工がなされている。これにより、採血管2を挿入しやすくなるだけでなく、採血管2と孔部11内部との接触面積を増やせるため強い保持力が得られる。また、採血管2にかかる圧力を分散できるため採血管2に対するダメージが和らぐ。
【0021】
採血針プロテクタ3も、採血管2と同様に先細の円筒状である。そして孔部12の最小内径は、採血針プロテクタ3の最大外径よりも小さく、孔部12の最小内径は、採血針プロテクタ3の最小外径よりも大きい。したがって、採血針プロテクタ3も孔部12を突き抜けてしまうことはなく、採血針プロテクタ3が孔部12の最小内径部分に接触して止まる。
【0022】
孔部12の内部も、孔部11と同様に入口側から出口側にかけて徐々に内径が細くなるようなテーパー加工を施すことで、採血針プロテクタ3を挿入しやすくし、採血針プロテクタ3の保持力を高め、採血針プロテクタ3に対するダメージを和らげることができる。
【0023】
続いて、スタンド1を使用した採血手順の一例について説明する。
ステップ1:実施者は、採血管2をスタンド1にセットする。すなわち、支持体10の孔部11に先端を挿入し、止まるまで押し込んで固定する。また、採血針プロテクタ3が付いたままの状態でシリンジ4をスタンド1にセットする。すなわち、支持体10の孔部12に採血針プロテクタ3の先端を挿入し、止まるまで押し込んで固定する。その後、実施者はシリンジ4を上方に引き抜く。すると、採血針プロテクタ3は摩擦力により支持体10に保持されているため(そしてスタンド1が固定部20により作業台に固定されているため)、シリンジ4から採血針プロテクタ3が外れて採血針が露出する。
【0024】
ステップ2:実施者は、右手に保持したシリンジの採血針を患者の皮膚に穿刺し、シリンジ内に適量の血液を採取し終えたなら採血針を抜く。そして、穿刺した部位を左手で圧迫する。
【0025】
ステップ3:実施者は、スタンド1にセットされた状態の採血管2に、右手に保持したシリンジ4の採血針を挿入して、シリンジ4から採血管に血液を移動させる。ここで採血管2は摩擦力によりスタンド1にしっかりと固定されているため、実施者は片手で容易に採血針を挿入できる。その後、実施者は採血管2から採血針を上方に引き抜く。採血管2は摩擦力により支持体10に保持されているため(そしてスタンド1が固定部20により作業台に固定されているため)、実施者は左手で採血管2を押さえておく必要がなく、右手だけで作業を完結できる。
【0026】
ステップ4:実施者は、支持体10に保持されている採血針プロテクタ3に、右手に保持したシリンジ4の採血針をセットする。最後に、実施者は採血管2及び採血針プロテクタ3を手で持って、スタンド1の支持体10から引き抜く。スタンド1は固定部20により作業台に固定されているため、片手の力で容易に引き抜くことができるが、軸方向に捻りを加えることでより容易に引き抜くことが可能である。
【0027】
本実施の形態によれば、採血針プロテクタの付け外しや、シリンジから採血管への血液の移動といった作業を片手のみで行うことができる。これにより、従来両手で作業を行っていたことに起因する針刺し事故を抑制することができるので、安全性が向上する。また、他方の手で他の作業を行うことができるので、作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0028】
1 スタンド
2 採血管
3 採血針プロテクタ
4 シリンジ
10 支持体
11 孔部
12 孔部
20 固定部
21 マグネット
30 ロッド

図1
図2
図3
図4