特開2021-29315(P2021-29315A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-29315(P2021-29315A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】プロテクタ脱着装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20210201BHJP
   A61M 5/00 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   A61M5/32 502
   A61M5/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-149529(P2019-149529)
(22)【出願日】2019年8月18日
(71)【出願人】
【識別番号】519277690
【氏名又は名称】PTラクーン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175064
【弁理士】
【氏名又は名称】相澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】岡本 亮爾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊子
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF05
4C066LL27
4C066NN14
(57)【要約】
【課題】採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なプロテクタ脱着装置を提供する。
【解決手段】プロテクタ脱着装置100は、シリンジ200にセットされた採血針プロテクタ203を挿入することができる孔部103が設けられた本体101と、前記孔部103の近傍に設けられたツメ105と、を有し、前記ツメ105は、前記シリンジ200を前記孔部103から引き抜く際に前記採血針プロテクタ203と干渉する位置に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジにセットされた採血針プロテクタを挿入することができる孔部が設けられた本体と、
前記孔部の近傍に設けられたツメと、を有し、
前記ツメは、前記シリンジを前記孔部から引き抜く際に前記採血針プロテクタと干渉する位置に設けられている
プロテクタ脱着装置。
【請求項2】
前記孔部は略扇形の断面を有し、
前記シリンジは前記孔部に沿って振り子状に運動することが可能であり、
前記ツメは、前記シリンジを前記孔部の所定の位置に移動させて引き抜くときに、前記採血針プロテクタと干渉する位置に設けられている
請求項1記載のプロテクタ脱着装置。
【請求項3】
前記孔部は、前記本体を作業台に設置した状態における縦断面が略扇形となるように形成され、
前記ツメは、前記シリンジを前記孔部に沿って引き起こしたときに前記採血針プロテクタと干渉しうるようになる位置に設けられている
ている
請求項1記載のプロテクタ脱着装置。
【請求項4】
前記本体は、法線方向が実施者に略正対する面を有し、
前記面内に前記孔部が形成されている
請求項1記載のプロテクタ脱着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なプロテクタ脱着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医師や看護師等(以降、単に実施者という)が採血を行う際の典型的な手順は次のようなものであった。なお利き手が右手の場合を想定しているが、左右は読み替え可能である。
ステップ1:実施者は、採血針付きのシリンジを右手で保持し、採血針に予めセットされているプロテクタを左手で取り除く。
ステップ2:実施者は、右手に保持したシリンジの採血針を患者の皮膚に穿刺し、シリンジ内に適量の血液を採取し終えたなら採血針を抜く。そして、穿刺した部位を左手で圧迫する。
ステップ3:実施者は、左手に保持した採血管に、右手に保持したシリンジの採血針を挿入して、シリンジから採血管に血液を移動させる。終了したら採血針を抜く。
ステップ4:実施者は、左手に保持したプロテクタを、右手に保持したシリンジの採血針に再びセットする。
【0003】
ここで、ステップ2やステップ4においては、プロテクタを保持する左手を採血針で傷つけてしまう、いわゆる針刺し事故が発生しやすい。このような事故を防止するためのプロテクタとしては、例えば非特許文献1に記載の「安全機構付き採血針」が提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「採血製品総合カタログ」、[online]、日本ベクトン・ディッキンソン株式会社、2016年、第18頁、[2019年8月17日検索]、インターネット<URL:https://www.bdj.co.jp/pas/products/catalog/62-006-PAS-catalogue.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1記載のプロテクタは、片手で使用済みの採血針を保護することができるため針刺し事故を抑制できる。しかし、従来型のプロテクタがセットされた採血針が広く流通していることを考えれば、従来型のプロテクタを前提として、針刺し事故を抑制するための手段を提供することが望まれる。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なプロテクタ脱着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるプロテクタ脱着装置は、シリンジにセットされた採血針プロテクタを挿入することができる孔部が設けられた本体と、前記孔部の近傍に設けられたツメと、を有し、前記ツメは、前記シリンジを前記孔部から引き抜く際に前記採血針プロテクタと干渉する位置に設けられている。
本発明にかかるプロテクタ脱着装置は、前記孔部は略扇形の断面を有し、前記シリンジは前記孔部に沿って振り子状に運動することが可能であり、前記ツメは、前記シリンジを前記孔部の所定の位置に移動させて引き抜くときに、前記採血針プロテクタと干渉する位置に設けられている。
本発明にかかるプロテクタ脱着装置は、前記孔部は、前記本体を作業台に設置した状態における縦断面が略扇形となるように形成され、前記ツメは、前記シリンジを前記孔部に沿って引き起こしたときに前記採血針プロテクタと干渉しうるようになる位置に設けられている。
本発明にかかるプロテクタ脱着装置は、前記本体は、法線方向が実施者に略正対する面を有し、前記面内に前記孔部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、採血作業における安全性及び作業性を向上させることが可能なプロテクタ脱着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の外観を示す斜視図である。
図2】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の使用状態を示す斜視図である。
図3】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の使用状態を示す斜視図である。
図4】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の使用状態を示す断面図である。
図5】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の使用状態を示す断面図である。
図6】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の使用状態を示す断面図である。
図7】本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の使用状態を示す平面図である。
図8】シリンジ200の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図8は、採血に用いるシリンジ200の外観を示す斜視図である。シリンジ200には採血針201が装着される。穿刺事故を防止するため、採血時以外においては採血針201に採血針プロテクタ203がセットされる。
【0011】
図1は、本発明にかかるプロテクタ脱着装置100の外観を示す斜視図である。プロテクタ脱着装置100は、本体101、シリンジ200を挿入するために本体101に設けられた孔部103、孔部103の近傍に設けられたツメ105、本体101を作業台に固定するための固定部107を有する。シリンジ200を一時的に保持するための補助孔部109を設けても良い。
【0012】
図3に示すように、孔部103は、開口部の略長方形であることが好ましい。また、図4に示すように、孔部103は、断面が略扇形に形成されていることが好ましい。シリンジ200を挿入した際、採血針プロテクタ203の先端が、扇形の要に相当する孔の底部に当たるようにする。この形状により、図5に示すように、孔部103に挿入した状態のシリンジ200を、採血針プロテクタ203の先端を中心として振り子のように動かすことが可能となる。
【0013】
また、図3及び図4に示すように、本体101にはプロテクタ脱着装置100を作業台に置いたときにその法線方向が実施者に向くような面102を形成し、ここに孔部103を穿孔することが好ましい。図3及び図4の例では、本体101の一部を斜めにカットして面102を設けている。図4を例として説明すれば、プロテクタ脱着装置100の右側に実施者が立ち、左下方向を見下げるようにしてプロテクタ脱着装置100と向き合うとき、実施者は面102に略正対することになる。こうすることで、実施者がシリンジ200を孔部103にスムーズに挿入することができる。面102の形状はフラットであってもよく、図4の例のようにラウンドしていても良い。
【0014】
図3に示すように、シリンジ200を孔部103に挿入して手を離すと、シリンジ200は重力により、採血針プロテクタ203の側面が孔部103の手前側の端部1031に接した状態で留まることになる。図5に示すように、この状態から、シリンジ200を、採血針プロテクタ203の先端を中心に振り子のように運動させて引き起こすと、孔部103の開口部近傍に設けられたツメ105が、採血針プロテクタ203に干渉する。図5の例では、採血針プロテクタ203の後端に設けられた凸部2031の上部にツメ105が左側から入り込む。図6に示すように、この状態からシリンジ200を上方に引き抜くと、ツメ105の干渉により採血針プロテクタ203だけが孔部103内に残留し、採血針201が露出する。
【0015】
脱離した採血針プロテクタ203は、孔部103内に落ち込んで先端が底部に接すると、重力により、側面が孔部103の手前側の端部1031に接した状態で静止する。この状態の採血針プロテクタ203に採血針201を挿入して押し込むと、図4に示すように、再びシリンジ200に採血針プロテクタ203がセットされる。この状態でシリンジ200を引き抜くと(図4の例では右上方に引き抜く)、採血針プロテクタ203がセットされたシリンジ200が得られる。
【0016】
図7に示すように、ツメ105には切り欠き1051を設けることができる。切り欠き1051は、シリンジ200を引き起こしたときに採血針プロテクタ203が切り欠き1051内に入り込んで留まることができるような位置に形成される。図7の例では、切り欠き1051は略半円形であり、採血針プロテクタ203が移動してくる方向である右側に開いている。図7上図はシリンジ200を斜めに寝かせた状態、図7下図はシリンジ200を引き起こした状態における、シリンジ200とツメ105との関係を示す図である。切り欠き1051の径は、採血針プロテクタ203の凸部2031の径よりも小さい。したがって、シリンジ200を引き起こした状態(図7下図)でシリンジ200を引き抜くと、採血針プロテクタ203の凸部2031が切り欠き1051に干渉し、シリンジ200から採血針プロテクタ203を脱離させる。一方、シリンジ200を斜めに寝かせた状態(図7上図)では、このような干渉は起こらない。
【0017】
補助孔部109は、図2に示すように、採血針プロテクタ203がセットされた状態のシリンジ200を一時的に立てておくために用いられる。例えば、採血前や、採血後に採血針プロテクタ203を再セットした後に、シリンジ200を補助孔部109に立てておくことができる。
【0018】
固定部107は、プロテクタ脱着装置100を作業台に固定するための機構である。本実施の形態では、金属製の作業台に固定するためのマグネットを固定部107として備えている。本発明では、プロテクタ脱着装置100の作業台への固定方法は限定しない。例えば固定部107は、プロテクタ脱着装置100をボルトやネジで作業台に固定するためのネジ穴を有していても良く、作業台の天板を挟み込むためのクリップを備えていても良く、作業台に接着剤等で固定するための接着面を有していても良い。
【0019】
続いて、プロテクタ脱着装置100を使用した採血手順の一例について説明する。
ステップ1:実施者は、右手に保持したシリンジ200を、作業台に設置されたプロテクタ脱着装置100にセットする。すなわち、採血針プロテクタ203が付いたままの状態のシリンジ200を、本体101に設けられた孔部103に挿入する。この段階におけるシリンジ200の位置を図4に示す。図4は、作業台に設置されたプロテクタ脱着装置100の縦断面図である。
【0020】
実施者は、シリンジ200を孔部103に沿って振り子のように動かし、ツメ105が採血針プロテクタ203の凸部2031に干渉するまで引き起こす(図5)。この状態でシリンジ200を上方に引き抜くと、採血針プロテクタ203が孔部103内に残留し、採血針201が露出する(図6)。
【0021】
ステップ2:実施者は、右手に保持したシリンジ200の採血針201を患者の皮膚に穿刺し、適量の血液を採取し終えたなら採血針を抜く。そして、穿刺した部位を左手で圧迫する。
【0022】
ステップ3:実施者は、左手に保持した採血管に、右手に保持したシリンジ200の採血針201を挿入して、シリンジ200から採血管に血液を移動させる。
【0023】
ステップ4:実施者は、孔部103内に残留している採血針プロテクタ203に、右手に保持したシリンジ200の採血針201をセットする。すなわち、採血針201を採血針プロテクタ203に挿入して押し込む。この際、採血針プロテクタ203は重力により孔部103の手前側の端部1031に寄った状態で留まっているため、ツメ105が邪魔にならずに容易にセットできる。その後、実施者は、採血針プロテクタ203がセットされたシリンジ200をそのまま右上方に引き抜く(図4)。この向きで引き抜くことで、ツメ105の干渉を受けずに採血針プロテクタ203がセットされたままシリンジ200を引き抜くことができる。
【0024】
本実施の形態によれば、採血針プロテクタの付け外し作業を片手のみで行うことができる。これにより、従来両手で作業を行っていたことに起因する針刺し事故を抑制することができるので、安全性が向上する。また、他方の手で他の作業を行うことができるので、作業効率が向上する。
【符号の説明】
【0025】
100 プロテクタ脱着装置
101 本体
102 面
103 孔部
1031 端部
105 ツメ
1051 切り欠き
107 固定部
109 補助孔部
200 シリンジ
201 採血針
203 採血針プロテクタ
2031 凸部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8