特開2021-29439(P2021-29439A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2021-29439飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-29439(P2021-29439A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セット
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/27 20060101AFI20210201BHJP
   A23F 3/00 20060101ALN20210201BHJP
【FI】
   A47J43/27
   A23F3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-150765(P2019-150765)
(22)【出願日】2019年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】397028968
【氏名又は名称】株式会社吉村
(74)【代理人】
【識別番号】100216286
【弁理士】
【氏名又は名称】篠崎 史典
(72)【発明者】
【氏名】橋本 久美子
【テーマコード(参考)】
4B027
4B053
【Fターム(参考)】
4B027FB06
4B027FB13
4B027FP85
4B053AA03
4B053CA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シェイクの回数が少なくても、粉末飲料の溶け残り又は未分散の残渣発生を低減できる飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットを提供すること。
【解決手段】本発明に係るシェイカー10は、開口部11、底面部13および側面部12から構成される筒状体であり、開口部11と底面部13とが同一の形状および大きさであってもよいし、開口部と底面部とが異なる形状や大きさであってもよい。また、本発明に係るシェイカー10の形状は、円柱形状又は角柱形状であってもよいし、テーパー形状を有する柱形状であってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部および開口部を有する、筒形状の飲料調製用シェイカーであって、
当該底面部に凸部が設けられていることを特徴とする飲料調製用シェイカー。
【請求項2】
前記凸部が、2個設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の飲料調製用シェイカー。
【請求項3】
前記凸部が、当該凸部の最高部から離れるに従って凸部の高さが漸次低くなっている傾斜部を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の飲料調製用シェイカー。
【請求項4】
前記請求項1〜3の何れか一項に記載の飲料調製用シェイカーと、粉末飲料とを備えた、飲料調製セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットに関する。特に、飲料を調製するに当たり、シェイクの回数が少なくても、「ダマ」の発生を低減できる又はその発生を無くすことができ、延いては、迅速かつ容易に飲料を調製できる飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種類以上の液体材料又は粉末材料を攪拌して飲料を調製する方法が知られている。このような飲料を調製するには、通常、シェイカーと呼ばれる攪拌器具が使用される。
【0003】
このようなシェイカーは、たとえば、特許文献1〜2にて開示されている。特許文献1には、シェイクする際に(シェイカーを振る際に)、握り部が取り付け可能なシェイカーが開示されている。また、特許文献2には、液体材料(水など)と粉末飲料とを攪拌するために使用されるシェイカーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭62−165934号公報
【特許文献2】特許第5949990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が従来のシェイカーについて試験・検討したところ、液体材料同士を容易に攪拌・混合することができるものの、液体材料と粉末材料(粉末飲料)とを十分に攪拌することができなかったことが見出された。
【0006】
具体的には、シェイカー内に液体材料と粉末飲料(たとえば、茶葉粉末)とを入れ、シェイク(振盪)させても、シェイク回数(振盪数)が少ないと、粉末飲料の溶け残り又は未分散の残渣(いわゆる「ダマ」)が生じてしまう。そのため、調製された飲料中に、ダマが少ない状態ないしはダマが無い状態にするには、シェイクの回数を多くしなければならず、飲料を迅速かつ容易に調製できないという課題があった。
【0007】
そこで、本発明者は、シェイカーの内部構造について鋭意検討した結果、シェイカーの底面部に凸部を設けるという、従来にはない新規の構成を採用することで、上記の課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明は、粉末飲料と水又は湯などの液体材料とを攪拌して、飲料を調製するに当たり、シェイクの回数が少なくても、「ダマ」の発生を低減できる又はその発生を無くすことができ、延いては、迅速かつ容易に飲料を調製できるシェイカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットは、以下の通りである。
[1]底面部および開口部を有する、筒形状の飲料調製用シェイカーであって、当該底面部に凸部が設けられていることを特徴とする飲料調製用シェイカー。
[2] 前記凸部が、2個設けられていることを特徴とする、[1]の飲料調製用シェイカー
[3]前記凸部が、当該凸部の最高部から離れるに従って凸部の高さが漸次低くなっている傾斜部を有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の飲料調製用シェイカー。
[4] [1]〜[3]の何れかに記載の飲料調製用シェイカーと、粉末飲料とを備えた、飲料調製セット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットによれば、飲料を調製するに当たり、シェイクの回数が少なくても、「ダマ」の発生を低減できる又はその発生を無くすことができ、延いては、迅速かつ容易に飲料を調製・提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(A)〜(C)は、本発明に係る飲料調製用シェイカーの一態様を説明するための図である。
図2図2(A)および(B)は、それぞれ実施例1および実施例2で使用したシェイカーの底面部を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明にかかる飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットについて、適宜図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
本発明にかかる飲料調製用シェイカーは、図1(A)〜(C)の付番10に示されるように、筒形状の飲料調製用シェイカーである。また、図1(B)〜(C)に示されるように、当該シェイカーは、底面部13、開口部11および凸部14を必須構成要件として有するが、必要に応じてその他の部材を有していてもよい。
【0014】
ここで、開口部とは、粉末飲料および水又は湯等の液体材料をシェイカー内部に供するための供給口であり、必要に応じて、当該開口部を封する蓋部が着脱自在に設けられていてもよい。また、開口部からシェイカー内部に供される「粉末飲料」とは、粉末状の茶葉(粉末茶葉)やジュースの凍結乾燥物など、水や湯に溶解又は分散させることで、飲料を調製するためのものである。
一方、底面部とは、開口部に対向するように設けられたシェイカーの底の部分である。
【0015】
また、図1(A)〜(C)に示されるように、本発明に係るシェイカーは、上記開口部11、底面部13および側面部12から構成される筒状体であり、開口部と底面部とが同一の形状および大きさであってもよいし、開口部と底面部とが異なる形状や大きさであってもよい。また、シェイカーの形状は、円柱形状又は角柱形状であってもよいし、テーパー形状を有する柱形状であってもよい。
【0016】
また、本発明に係る飲料調製用シェイカーおよびそれを構成する部材の材質は特に限定されるものではなく、たとえば、プラスチック、陶器、ガラスなどが挙げられ、目的等に応じて適宜選択される。
【0017】
図1(C)は、図1(A)のXX´断面図である。図1(C)が示すように、本発明に係るシェイカーには、底面部13に凸部14が設けられている。
また、凸部の数は、特に限定されず、通常1〜6個程度である。図1(B)に示されるように、前記凸部が、2個設けられていることが好ましい。凸部の数を2つにすると、振盪回数(シェイク(振る)回数)が少なくても、溶け残り(いわゆる「ダマ」)の発生が少なく又はその発生が無く、飲料を調製することができるという本発明に係る効果を一層向上させることができる。
【0018】
また、凸部の高さおよび凸部の最高部の高さについては任意に調節することができる。
ここで、「凸部の高さ」とは、図1(C)の付番hで示されるように、底面部から凸部表面までの距離(高さ)をいうものである。また、「凸部の最高部の高さ」とは、図1(C)の付番Hで示されるように、凸部の高さ(底面部から凸部表面までの高さ)のうち最も高い部分(最高部)までの距離(高さ)をいう。
【0019】
また、図1(C)に示されるように、前記凸部14が、当該凸部の最高部から離れるに従って凸部の高さhが漸次低くなっている傾斜部14aを有することが好ましい。すなわち、この態様においては、凸部の最高部の高さHを最大の高さとしているが、当該最高部から漸次凸部の高さが小さくなっており、斜面部分を形成している。
かかる傾斜部を設けることで、振盪回数(シェイク(振る)回数)が少なくても、溶け残り(いわゆる「ダマ」)の発生が少なく又はその発生が無く、飲料を調製することができるという本発明に係る効果を一層向上させることができるためである。
【0020】
また、本発明に係る飲料調製セットは、上記飲料調製用シェイカーと、粉末飲料とを備えていることを特徴とする。
【0021】
ここで、粉末飲料は、通常、フィルムなどで包装されていても良いし、容器などに収容されているものであってもよい。また、必要に応じて、容器に収容された水又は湯などの液体材料を当該セットに含めてもよい。
【0022】
本発明に係る飲料調製セットによれば、たとえば、粉末茶葉を販売している店舗等において、顧客に粉末茶葉から調整された茶を試供品として提供する際に、「ダマ」(溶け残り)の発生を低減させて或はその発生がなく、迅速に茶を調整することができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例を用いて、本発明に係る飲料調製用シェイカーについて説明するが、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
【0024】
図2で示されるような、底面部に、凸部2つを有するポリプロピレン製シェイカー(シェイカー1)(図2(B))および底面部に、斜面部を有する凸部4つを有するポリプロピレン製シェイカー(シェイカー2)(図2(A))を作成した。
なお、シェイカー1〜2には、開口部と着脱自在な蓋部が含まれる。
【0025】
[実施例1]
シェイカー1に、水30ml、茶葉粉末(株式会社大井川茶園、商品名「宇治抹茶」)2.0gの順に入れた。次いで、蓋部を開口部に装着して、10回、20回および30回シェイク(振盪)した。
【0026】
それぞれの振盪回数ごとに、蓋部を取り外し、調製された茶を別の容器に移した後、目視にて試験用シェイカー内部を観察した。「ダマ」の有無を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。観察結果を下記表1に示す。
[評価基準]
◎:底面部、凸部又は側面部に、粉末茶葉のダマ(溶け残り、残渣)が全く残っていなかった。
〇:底面部、凸部又は側面部に、粉末茶葉のダマ(溶け残り、残渣)が若干残っていた。
×:底面部、凸部又は側面部に、粉末茶葉のダマ(溶け残り、残渣)が著しく残っていた。
【0027】
[実施例2]
シェイカー1をシェイカー2に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、「ダマ」の有無を目視で観察して評価した。観察結果を下記表1に示す。
【0028】
[比較例1]
シェイカー3として、底面部に凸部を有しない(底面部が平坦な)ポリプロピレン製シェイカーを作成したシェイカー1をシェイカー3に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、「ダマ」の有無を目視で観察して評価した。観察結果を下記表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示されるように、比較例1では20回振盪しても若干のダマが底面部などに残っていた。一方で、実施例1〜2では、それぞれ10回および20回の振盪でダマの発生を防ぐことができた。この結果は、凸部を底面部に有することで、「ダマ」の発生を有意に低減できる又はその発生を無くすことができることを示す。
【0031】
また、実施例1と実施例2との結果を対比すると、底面部に凸部を2つ有するシェイカーでは、底面部に凸部を4つ有するシェイカーに比べて、有意に「ダマ」の発生を効率よく低減又は無くすことができることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、飲料を調製するに当たり、シェイクの回数が少なくても、「ダマ」の発生を低減できる又はその発生を無くすことができ、延いては、迅速かつ容易に飲料を調製できる飲料調製用シェイカーおよびそれを含む飲料調製セットを提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
10:本発明に係る飲料調製用シェイカー
11:開口部
12:側面部
13:底面部
14:凸部
14a:斜面部
H:凸部の最高部の高さ
h:凸部の高さ(底面部から凸部表面までの距離)

図1
図2