特開2021-29558(P2021-29558A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-29558(P2021-29558A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20210201BHJP
【FI】
   A61J3/00 310E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-152436(P2019-152436)
(22)【出願日】2019年8月23日
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】坂口 勝義
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ03
4C047JJ13
4C047JJ25
4C047JJ31
4C047JJ34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中間容器に薬剤を供給し過ぎた場合でも、この中間容器の薬剤を効率よく使用することができる薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】薬剤供給装置1は、量り取り部18と、排出部32と、を備える。量り取り部は、調剤データに従って、第1位置P1にセットされた薬剤容器15の薬剤を、第2位置P2にセットされた中間容器91に量り取る。排出部は、量り取り部によって中間容器に量り取られた薬剤を排出する。中間容器が、第1位置P1にセット可能に構成される。量り取り部が、薬剤容器の薬剤を、調剤データに基づく目標量を超えて中間容器に供給した場合に、薬剤供給装置は、中間容器を第1位置P1にセットし、中間容器とは異なる他の容器である薬剤容器を第2位置P2にセットし、量り取り部により、中間容器の薬剤を、第2位置P2の薬剤容器に排出する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調剤データに従って、第1位置にセットされた薬剤容器の薬剤を、第2位置にセットされた中間容器に量り取る量り取り部と、
前記量り取り部によって前記中間容器に量り取られた薬剤を排出する排出部と、
を備える薬剤供給装置であって、
前記第1位置には、前記中間容器をセット可能であり、
前記量り取り部が、前記薬剤容器の薬剤を、前記調剤データに基づく目標量を超えて前記中間容器に供給した場合に、
当該中間容器を前記第1位置にセットし、
当該中間容器とは異なる他の容器を前記第2位置にセットし、
前記量り取り部により、当該中間容器の薬剤を、前記第2位置の前記他の容器に排出することを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤供給装置であって、
前記第2位置には、前記他の容器として前記薬剤容器をセット可能であり、
前記量り取り部により、前記中間容器の薬剤を、当該中間容器に薬剤を供給した前記薬剤容器に排出可能であることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の薬剤供給装置であって、
前記第1位置にセットされて、前記目標量を超過した分の薬剤が前記第2位置の前記他の容器に排出された後の前記中間容器を、前記第1位置から前記排出部に搬送する搬送部を備え、
前記搬送部が前記中間容器を前記排出部まで搬送した後、前記排出部が前記中間容器の薬剤を排出することを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の薬剤供給装置であって、
前記薬剤容器は、薬剤を排出するために開閉する第1開閉部材を備え、
前記中間容器は、薬剤を排出するために開閉する第2開閉部材を備え、
前記第1開閉部材と前記第2開閉部材は、共通のアクチュエータによって駆動されることを特徴とする薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬剤の分包等のために所定量の薬剤を供給できる装置が知られている。特許文献1は、この種の装置を開示する。
【0003】
特許文献1の装置(散薬分包機)は、散薬一時保管容器と、散薬量取部と、散薬包装装置と、散薬容器棚と、散薬容器移送装置と、を備える。散薬一時保管容器には、散薬収容容器から放出された散薬(薬剤)が一時保管される。散薬量取部は、散薬一時保管容器へ放出された散薬の重量を計測できる。散薬包装装置は、散薬一時保管容器から放出された散薬を包装する。散薬容器棚は、散薬収容容器と散薬一時保管容器との両方を載置可能である。散薬容器移送装置は、散薬容器棚、散薬量取部等の相互間で、散薬収容容器又は散薬一時保管容器を移送可能である。
【0004】
この散薬分包機は、散薬一時保管容器に散薬を供給し過ぎることで計量ミスが生じた場合、損害を最小限にするために、この散薬一時保管容器を取り除いて散薬容器棚に移送する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6406785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1は、計量ミスが生じた場合に、別の容器を用いて計量を最初からやり直す手間が掛かっていた。また、計量ミスが生じた容器については、薬剤を取り除く等の対応をしない限り使用できず、容器の使用効率が低下する原因となっていた。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、中間容器に薬剤を供給し過ぎた場合でも、この中間容器の薬剤を効率よく使用することができる薬剤供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の薬剤供給装置が提供される。即ち、この薬剤供給装置は、量り取り部と、排出部と、を備える。前記量り取り部は、調剤データに従って、第1位置にセットされた薬剤容器の薬剤を、第2位置にセットされた中間容器に量り取る。前記排出部は、前記量り取り部によって前記中間容器に量り取られた薬剤を排出する。前記第1位置には、前記中間容器をセット可能である。前記量り取り部が、前記薬剤容器の薬剤を、前記調剤データに基づく目標量を超えて前記中間容器に供給した場合に、当該中間容器を前記第1位置にセットし、当該中間容器とは異なる他の容器を前記第2位置にセットし、前記量り取り部により、当該中間容器の薬剤を、前記第2位置の前記他の容器に排出する。
【0009】
これにより、量り取り部によって中間容器に薬剤を供給し過ぎた場合に、量り取り部を用いて、中間容器の薬剤の量を減らすことができる。従って、薬剤の供給を円滑に行うことができる。
【0010】
前記の薬剤供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2位置には、前記他の容器として前記薬剤容器をセット可能である。前記量り取り部により、前記中間容器の薬剤を、当該中間容器に薬剤を供給した前記薬剤容器に排出可能である。
【0011】
これにより、超過分の薬剤を中間容器から元の薬剤容器に戻すことができるので、薬剤の無駄を減らすことができる。
【0012】
前記の薬剤供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、この薬剤供給装置は、搬送部を備える。前記搬送部は、前記第1位置にセットされて、前記目標量を超過した分の薬剤が前記第2位置の容器に排出された後の前記中間容器を、前記第1位置から前記排出部に搬送する。前記搬送部が前記中間容器を前記排出部まで搬送した後、前記排出部が前記中間容器の薬剤を排出する。
【0013】
これにより、超過分を是正することにより薬剤量を目標量に一致させ、正しい量の薬剤を中間容器から排出部によって排出することができる。また、中間容器の薬剤を他の薬剤分包装置で用いることができる。
【0014】
前記の薬剤供給装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記薬剤容器は、薬剤を排出するために開閉する第1開閉部材を備える。前記中間容器は、薬剤を排出するために開閉する第2開閉部材を備える。前記第1開閉部材と前記第2開閉部材は、共通のアクチュエータによって駆動される。
【0015】
これにより、薬剤容器から薬剤を排出するために第1開閉部材を開くアクチュエータによって、中間容器の第2開閉部材を開くことができる。この結果、駆動機構の簡素な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置の模式図。
図2】薬剤供給装置の電気的な構成を示すブロック図。
図3】薬剤が目標量を超えて薬剤容器から中間容器に供給された場合に、容器の位置が変更された状態を示す説明図。
図4】薬剤の量り取りに関する処理を示すフローチャート。
図5図4の続きの処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤供給装置1の模式図である。図2は、薬剤供給装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す薬剤供給装置1は、1又は複数の薬剤についてそれぞれ量り取りを行い、外部に供給することができる。薬剤の量り取りとは、薬剤容器等に収容された薬剤を必要な分だけ取り出すことをいう。本実施形態では、量り取りは、薬剤容器から供給する薬剤を計量することにより行われる。本実施形態の薬剤供給装置1は、薬剤として散剤(粉状、細粒状、又は顆粒状の薬剤)を量り取る。また、薬剤供給装置1により量り取った薬剤を分包する分包装置を更に備え、薬剤分包装置を構成してもよい。この場合、薬剤分包装置が、散剤に加えて錠剤を分包可能な構成であってもよい。
【0019】
薬剤供給装置1が行う薬剤の量り取りは、オペレータにより入力された調剤データに含まれる薬剤情報に基づいて行われる。
【0020】
薬剤供給装置1は、図1に示すように、保管部11と、搬送部14と、薬剤容器15と、量り取り部18と、排出部32と、制御部50と、を備える。
【0021】
保管部11は、薬剤を収容する前の複数の中間容器91を保管することができる。中間容器91は、量り取りの対象である薬剤を収容して薬剤供給装置1の各部に搬送するために用意されている。また、中間容器91は、量り取られた薬剤の分包をしない場合、量り取られた薬剤を収容して他の薬剤分包装置へ運ぶために用いることもできる。
【0022】
搬送部14は、中間容器91を搬送することができる。具体的に説明すると、搬送部14は、中間容器91を保持するための容器保持部を備えている。容器保持部は、薬剤供給装置1に設けられたレールに沿って移動可能に構成されている。搬送部14は、中間容器91を容器保持部に保持した状態で、容器保持部をレールに沿って移動させることで、中間容器91を搬送する。
【0023】
搬送部14は、後述の薬剤容器15を搬送することもできる。詳細は後述する。
【0024】
本実施形態では、中間容器91及び薬剤容器15を共通の搬送部14によって搬送する構成となっている。従って、2種類の容器のそれぞれにおいて、搬送部14(容器保持部)に取り付けられる部分を同一の構成とすると、搬送部14の構成を簡素化できるために好ましい。
【0025】
搬送部14が容器を保持する構成は様々であり、例えば、容器をチャックで掴んだり、容器を吸引して保持したりしてもよい。また、例えば、伸縮可能又は回転可能なアームの先端に容器保持部を設け、アームを伸縮させたり回転させたりして容器保持部の位置を変更する構成としてもよい。この場合、レールを省略することができる。
【0026】
薬剤容器15は、量り取りの対象となる薬剤の供給源として実質的に機能する。それぞれの薬剤容器15の底部には、薬剤を容器外に排出して供給するための開口が形成されている。
【0027】
移動機構17は、複数の薬剤容器15を、量り取りが行われる位置まで移動させることができる。移動機構17は、例えば、薬剤容器15を着脱可能な保持体を備え、この保持体を介して薬剤容器15を移動させる構成とすることができる。
【0028】
量り取り部18は、薬剤を量り取ることができる。量り取り部18は、薬剤供給機構18aと、載置台18bと、検出部18cと、を備える。
【0029】
薬剤供給機構18aは、薬剤容器15から中間容器91に薬剤を供給することができる。薬剤供給機構18aは、移動機構17によって所定の位置に配置された薬剤容器15に作用し、収容されている薬剤を下方に供給する。
【0030】
具体的に説明すると、前述の薬剤容器15は、開口を開閉するための遮蔽部材(第1開閉部材)22を備える。遮蔽部材22は通常は閉じられているが、量り取り部18において量り取りを行う場合、薬剤供給機構18aが備える適宜のアクチュエータ(例えば、電動モータ)24が駆動することで、遮蔽部材22が開かれる。開口が開かれた状態で、薬剤容器15を例えば図略の振動モータによって振動させることで、薬剤容器15に収容されている薬剤を下方へ落下させることができる。
【0031】
薬剤容器15は、アクチュエータ24の駆動力を入力する図略の入力部材を備える。この入力部材は、例えば棒状の部材とすることができる。遮蔽部材22は、入力部材と、例えばリンク機構等によって連結される。入力部材がアクチュエータ24によって駆動されると、これに連動して遮蔽部材22を開閉することができる。
【0032】
載置台18bは、移動機構17が備える上記の保持体の下方に配置されている。載置台18bには、中間容器91を載置することができる。搬送部14は、容器保持部に保持した中間容器91を搬送して、載置台18bに置いたり、載置台18bから取り去ったりすることができる。載置台18bには、薬剤容器15を載置することができる。搬送部14は、容器保持部に保持した薬剤容器15を搬送して、載置台18bに置いたり、載置台18bから取り去ったりすることができる。
【0033】
検出部18cは、載置台18bに中間容器91が載せられた状態で、容器の内部の薬剤を計量することができる。言い換えれば、載置台18bと検出部18cは電子天秤として構成されており、載置台18bは電子天秤における計量皿の部分に相当する。検出部18cは、例えば電磁式又はロードセル式の荷重センサとして構成することができる。
【0034】
前述の移動機構17により薬剤容器15が載置台18bの上方に移動した状態で、量り取り部18は、薬剤情報が示す薬剤について所定の目標量を量り取るように、制御部50により制御される。その後、制御部50は、載置台18bに載置された中間容器91に対して、薬剤容器15の薬剤の供給を行うとともに、供給される薬剤について検出部18cにより計量を行う。
【0035】
排出部32は、中間容器91に量り取られた薬剤を排出する。排出部32は、第1排出部32aと、第2排出部32bと、を備える。
【0036】
第1排出部32aは、薬剤供給装置1に更に備える図略の分包装置に、中間容器91に量り取られた薬剤を排出する。この分包装置は、量り取り部18によって量り取られ、第1排出部32aにより排出された薬剤を、所定量ずつ分けて包装することができる。分包装置の構成は公知であるので、説明を省略する。
【0037】
第2排出部32bは、量り取り部18によって量り取られた薬剤を収容した中間容器91を、薬剤供給装置1の外部に取出可能とする。
【0038】
制御部50は、調剤データに基づいて、薬剤供給装置1の各部(具体的には、量り取り部18及び排出部32等)を制御することができる。
【0039】
詳細に説明すると、制御部50は、公知のコンピュータとして構成されており、CPU等の演算装置と、フラッシュメモリ又はハードディスク等の記憶装置と、外部と通信するための入出力部と、を備える。記憶装置には、各種のプログラムや設定値が記憶されている。演算装置は、各種プログラム等を記憶装置から読み出し、薬剤供給装置1の各部に設けられたセンサの検出値及び記憶装置に記憶された各種の設定値等に基づいて、薬剤供給装置1の各部の動作を制御する。
【0040】
次に、図1を参照して、薬剤供給装置1に設定される様々な位置について説明する。
【0041】
第1位置P1は、量り取り部18において薬剤の量り取りが行われる場合に、対象の薬剤が収容される薬剤容器15がセットされる位置である。第1位置P1は、後述の第2位置P2の上方に位置している。
【0042】
第2位置P2は、量り取り部18において薬剤の量り取りが行われる場合に、中間容器91がセットされる位置である。
【0043】
保管位置P3は、保管部11において、薬剤を収容する前の中間容器91が待機可能な位置である。
【0044】
第1位置P1、第2位置P2及び保管位置P3は何れも、搬送部14による中間容器91の搬送元及び搬送先となり得る。また、搬送部14は、少なくとも第1位置P1と第2位置P2との間で、中間容器91だけでなく薬剤容器15を搬送することもできる。
【0045】
次に、中間容器91にいったん量り取られた薬剤の量を減らすための構成について説明する。
【0046】
通常、量り取り部18は、検出部18cの検出結果を監視しながら、目標量に一致する量の薬剤が薬剤容器15から中間容器91へ量り取られるように制御される。しかし、薬剤容器15から中間容器91に実際に薬剤を量り取る場合に、例えば薬剤が塊で供給されたり、装置に振動が加わる等して、薬剤が過剰に薬剤容器15から排出され、目標量を超過してしまうことがある。
【0047】
本実施形態では、この場合を考慮して、中間容器91に収容されている薬剤を排出して減らすことができる。
【0048】
具体的に説明すると、それぞれの中間容器91の底部には、薬剤を容器外に排出するための開口が形成されている。また、中間容器91は、開口を開閉するための遮蔽部材(第2開閉部材)95と、アクチュエータ24の駆動力を入力するための入力部材と、を備える。中間容器91の開口、遮蔽部材95、及び入力部材は、薬剤容器15の開口、遮蔽部材22、及び入力部材の構成と実質的に同様であるため、説明を省略する。
【0049】
中間容器91は、通常は、薬剤容器15から薬剤の供給を受けるために第2位置P2にセットされる。ただし、中間容器91を、薬剤を排出するための第1位置P1にセットすることもできる。中間容器91が第1位置P1にセットされている状態で、上記のアクチュエータ24が駆動すると、遮蔽部材95が開かれる。開口が開かれた状態で、中間容器91を例えば図略の振動モータによって振動させることで、中間容器91に収容されている薬剤を下方へ落下させることができる。
【0050】
薬剤容器15は、通常は、中間容器91へ薬剤を供給するために第1位置P1にセットされる。ただし、薬剤容器15を、排出された薬剤を受けるための第2位置P2にセットすることもできる。薬剤容器15は底面だけでなく上面も開閉可能に構成されており、上面は通常は閉鎖されている。しかし、薬剤容器15が第2位置P2にセットされた場合は、図略のアクチュエータによって上面が開放された状態になる。
【0051】
以上の構成で、量り取り部18は、中間容器91を第1位置P1にセットし、薬剤容器15を第2位置P2にセットした状態で、中間容器91の内部の薬剤を薬剤容器15に排出することができる。また、この排出の過程で薬剤容器15の重量が検出部18cによって計測されることで、中間容器91から必要な量の薬剤を排出することができる。
【0052】
次に、薬剤の量り取りを行う場合の薬剤供給装置1の動作について説明する。
【0053】
制御部50は搬送部14を制御して、保管部11の保管位置P3で待機している中間容器91を、量り取り部18の第2位置P2まで搬送する(ステップS101)。これとほぼ同時に、制御部50は量り取り部18の薬剤供給機構18aを制御して、調剤データに含まれる薬剤情報が示す薬剤が収容された薬剤容器15を、第1位置P1まで移動させる(ステップS102)。
【0054】
制御部50は、中間容器91が第2位置P2にあり、薬剤容器15が第1位置P1にあることを確認する(ステップS103、ステップS104)。この確認は、図示しない公知のセンサによって行うことができる。その後、制御部50は薬剤供給機構18aを制御し、アクチュエータ24によって遮蔽部材22を開き、薬剤容器15から中間容器91への薬剤の供給を開始する(ステップS105)。この状態が図1に示されている。
【0055】
薬剤が供給されている間、制御部50は、量り取り部18により算出された計測量が、調剤データに基づく目標量に一致するか否かを判断する(ステップS106)。一致している場合は、制御部50は遮蔽部材22を閉じるようにアクチュエータ24を制御するとともに、搬送部14を制御して、中間容器91を第2位置P2から第1排出部32aまで搬送する(ステップS107)。中間容器91が第1排出部32aに到着すると、制御部50は、排出部32を制御して、中間容器91に量り取られた薬剤を第1排出部32aにより排出する(ステップS108)。制御部50は、移動機構17を制御して、薬剤容器15を第1位置P1から元の位置へ戻す(ステップS109)。第1排出部32aにおいて薬剤の排出が完了した中間容器91は、清掃等の適宜の作業が行われた後、保管位置P3へ戻される。また、ステップS107では、搬送部14を制御して、中間容器91を第2位置P2から第2排出部32bまで搬送するようにしてもよい。この場合、中間容器91が第2排出部32bに到着すると、制御部50は、中間容器91が薬剤供給装置1の外部に取り出されるのを待機する。他の薬剤分包装置に対して、量り取った薬剤の供給を終えた中間容器91は、清掃等の適宜の作業が行われた後、手作業により保管位置P3へ戻される。
【0056】
ステップS106の判断で、計測量が目標量と一致しない場合、制御部50は、計測量が目標量を上回っているか否かを判断する(ステップS110)。計測量が目標量を上回っていない場合、処理はステップS106に戻る。
【0057】
ステップS110の判断で、計測量が目標量を上回っている場合、制御部50は、遮蔽部材22を閉じるようにアクチュエータ24を制御するとともに、薬剤の超過量を計算により取得し、適宜の記憶部に記憶する(図5のステップS111)。超過量は、計測量から目標量を減算することによって得ることができる。制御部50は搬送部14を制御して、第1位置P1の薬剤容器15と、第2位置P2の中間容器91との位置を入れ替える(ステップS112、ステップS113)。具体的には、搬送部14は、第1位置P1の薬剤容器15を別の適宜の場所にいったん退避させる。その後、搬送部14は、中間容器91を第1位置P1へ搬送し、更に、退避させていた薬剤容器15を第2位置P2に搬送する。
【0058】
制御部50は、前述のステップS103、ステップS104と同様に、中間容器91が第1位置P1にあり、薬剤容器15が第2位置P2にあることを確認する(ステップS114、ステップS115)。その後、制御部50は薬剤供給機構18aを制御し、アクチュエータ24によって遮蔽部材95を開き、中間容器91から薬剤容器15への薬剤の排出を開始する(ステップS116)。この状態が図3に示されている。
【0059】
この薬剤の排出は、中間容器91に目標量を超過して量り取られた分の薬剤が、当該中間容器91から排出されるまで行われる。具体的には、第2位置P2にある薬剤容器15の重量が量り取り部18の検出部18cによって監視され、計測量の増加分が上記の超過量と一致した時点で、薬剤の排出が停止される。
【0060】
制御部50は、超過量だけの薬剤の排出が完了するまで待機する(ステップS117)。薬剤の排出が完了したと判定すると、制御部50は遮蔽部材95を閉じるようにアクチュエータ24を制御するとともに、搬送部14を制御して、中間容器91を第1位置P1から第1排出部32aまで搬送する(ステップS118)。中間容器91が第1排出部32aに到着すると、制御部50は、第1排出部32aを制御して、中間容器91に量り取られた薬剤を第1排出部32aにより排出する(ステップS119)。制御部50は、搬送部14及び移動機構17を制御して、薬剤容器15を第2位置P2から第1位置P1を経由して元の位置へ戻す(ステップS120)。第1排出部32aにおいて薬剤の排出が完了した中間容器91は、清掃等の適宜の作業が行われた後、保管位置P3へ戻される。また、ステップS118では、搬送部14を制御して、中間容器91を第1位置P1から第2排出部32bまで搬送するようにしてもよい。この場合、中間容器91が第2排出部32bに到着すると、制御部50は、中間容器91が薬剤供給装置1の外部に取り出されるのを待機する。他の薬剤分包装置に対して、量り取った薬剤の供給を終えた中間容器91は、清掃等の適宜の作業が行われた後、手作業により保管位置P3へ戻される。
【0061】
このように、本実施形態の構成では、目標量を上回る量の薬剤を何らかの理由で中間容器91に供給した場合でも、その超過分を元の薬剤容器15に戻して、その後の動作を継続することができる。従って、装置の稼動効率の低下を効果的に抑制でき、また、薬剤の無駄を防止することができる。
【0062】
更に、超過分を中間容器91から排出するために量り取り部18が用いられるので、構成が大幅に複雑になることなく、上記の効果を実現することができる。また、量り取り部18のアクチュエータ24は、薬剤容器15の遮蔽部材22を開く場合と全く同じ動作で、中間容器91の遮蔽部材95を開くことができる。従って、駆動のための機構を簡素化することができる。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態の薬剤供給装置1は、量り取り部18と、排出部32と、を備える。量り取り部18は、調剤データに従って、第1位置P1にセットされた薬剤容器15の薬剤を、第2位置P2にセットされた中間容器91に量り取る。排出部32は、量り取り部18によって中間容器91に量り取られた薬剤を排出する。第1位置P1には、中間容器91をセット可能である。量り取り部18が、薬剤容器15の薬剤を、調剤データに基づく目標量を超えて中間容器91に供給した場合に、中間容器91が第1位置P1にセットされ、中間容器91とは異なる容器である薬剤容器15が第2位置P2にセットされ、量り取り部18により、中間容器91の薬剤を、第2位置P2の容器に排出する。
【0064】
これにより、量り取り部18によって中間容器91に薬剤を供給し過ぎた場合(目標量を超えて中間容器91に供給した場合)に、量り取り部18を用いて、中間容器91の薬剤の量を減らすことができる。その結果、このような場合に、中間容器91の薬剤量を適宜調整して、この中間容器91の薬剤を効率よく使用することができる。
【0065】
また、本実施形態の薬剤供給装置1において、第2位置P2には、薬剤容器15をセット可能である。量り取り部18により、中間容器91の薬剤を、中間容器91に薬剤を供給した薬剤容器15に排出可能である。
【0066】
これにより、超過分の薬剤を中間容器91から元の薬剤容器15に戻すことができるので、薬剤の無駄を減らすことができる。
【0067】
また、本実施形態の薬剤供給装置1は、搬送部14を備える。搬送部14は、第1位置P1にセットされて、目標量を超過した分の薬剤が第2位置P2の薬剤容器15に排出された後の中間容器91を、第1位置P1から排出部32に搬送する。搬送部14が中間容器91を排出部32まで搬送したとき、排出部32が中間容器91の薬剤を排出する。
【0068】
これにより、収容される薬剤量を事後的に是正した後に、中間容器91の薬剤を排出部32によって排出することができる。また、中間容器91の薬剤を他の薬剤分包装置で用いることができる。
【0069】
また、本実施形態の薬剤供給装置1において、薬剤容器15は、薬剤を排出するために開閉する遮蔽部材22を備える。中間容器91は、薬剤を排出するために開閉する遮蔽部材95を備える。2つの容器の遮蔽部材22,95は、共通のアクチュエータ24によって駆動される。
【0070】
これにより、薬剤容器15から薬剤を排出するために遮蔽部材22を開く駆動機構によって、中間容器91の遮蔽部材95を開くことができる。この結果、量り取り部18の簡素な構成を実現することができる。
【0071】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0072】
目標量に対する超過分が中間容器91から排出される排出先の容器は、元の薬剤容器15に限定されず、それ以外の容器とすることができる。排出先の容器としては、例えば、他の中間容器91、又は、薬剤供給装置1の外部に備えられた他の容器とすることが考えられる。薬剤供給装置1の外部の容器が使用される場合、この容器はオペレータ等により第2位置P2に運ばれてセットされる。
【0073】
図4及び図5に示すフローチャートは一例であり、一部の処理の順序を変更したり、他の処理を追加したりすることができる。
【0074】
図5のステップS117で、中間容器91から必要量を上回る量を排出してしまうことも考えられる。この場合、中間容器91と薬剤容器15の位置をもう一度入れ替えて、排出超過量分だけの薬剤を中間容器91に再び量り取ればよい。図5のステップS117で中間容器91の薬剤の全量を薬剤容器15へ排出し、中間容器91と薬剤容器15の位置をもう一度入れ替えて、薬剤容器15から中間容器91への薬剤の量り取りを最初から行ってもよい。
【0075】
薬剤容器15の遮蔽部材22を開閉するためにアクチュエータ24の駆動力を入力する部分の構成と、中間容器91の遮蔽部材95を開閉するためにアクチュエータ24の駆動力を入力する部分の構成と、が同一でなくてもよい。
【0076】
薬剤容器15の開口は、底部に代えて、例えば側部に形成されてもよい。中間容器91も同様である。
【0077】
薬剤容器15及び中間容器91における入力部材は、棒状の部材に代えて、例えば駆動入力歯車とすることができる。アクチュエータ24は、電動モータに代えて、例えばソレノイドとすることができる。
【0078】
第1排出部32a及び第2排出部32bのうち何れか一方を省略してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 薬剤供給装置
14 搬送部
15 薬剤容器
18 量り取り部
22 遮蔽部材(第1開閉部材)
24 アクチュエータ
32 排出部
91 中間容器
95 遮蔽部材(第2開閉部材)
P1 第1位置
P2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5