(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-2971(P2021-2971A)
(43)【公開日】2021年1月7日
(54)【発明の名称】積層コア
(51)【国際特許分類】
H02K 1/16 20060101AFI20201204BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20201204BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20201204BHJP
【FI】
H02K1/16 A
H02K1/14 Z
H02K1/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-116520(P2019-116520)
(22)【出願日】2019年6月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130498
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 禎哉
(72)【発明者】
【氏名】諸星 時男
(72)【発明者】
【氏名】有賀 信雄
(72)【発明者】
【氏名】小▲崎▼ 守
(72)【発明者】
【氏名】粥川 正康
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA13
5H601AA26
5H601CC01
5H601CC14
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601EE19
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GC05
5H601GC12
5H601GC25
5H601KK08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電磁鋼板のうちスロットを形成する面(スロット内周面)における渦電流損失を低減可能な積層コアを提供する。
【解決手段】所定方向に等ピッチ又は略等ピッチに並列した複数のティース4A,4B及び並列方向4Xに隣り合うティース間に形成されるスロット5を有する電磁鋼板2A,2Bが積層された積層コア1であり、積層状態において電磁鋼板のうち少なくともスロット内周面5iA,5iB(スロットの側端面5sA,5sB、スロットの底面5uA,5uB)が積層方向に凹凸状に並ぶように構成した。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に等ピッチ又は略等ピッチに並列した複数のティース及び並列方向に隣り合う前記ティース間に形成されるスロットを有する電磁鋼板が積層された積層コアであり、
積層状態において前記電磁鋼板のうち少なくとも前記スロットを形成する面であるスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶことを特徴とする積層コア。
【請求項2】
積層方向に隣り合う前記電磁鋼板のうち少なくとも前記スロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶ請求項1に記載の積層コア。
【請求項3】
前記各電磁鋼板が全て同一形状の前記ティースを有するものであり、積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士を前記各電磁鋼板における前記ティースの並列方向に所定位相分だけずらした状態で積層している請求項1又は2に記載の積層コア。
【請求項4】
前記各電磁鋼板が形状の異なる2種類以上の前記ティースを有するものであり、積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士を相互に異なる形状の前記ティースが積層方向に並ぶ状態で積層している請求項1又は2に記載の積層コア。
【請求項5】
積層状態において前記電磁鋼板のうち前記ティースの先端面が積層方向に凹凸状に並ぶ請求項1乃至4の何れかに記載の積層コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等に適用可能な積層コアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばモータに適用される積層コアは、同じ形状の電磁鋼板を同じ位相で積層されてなるものが一般的である。ここで、電磁鋼板の加工面(プレス抜き等をした際に生成される面)は、絶縁被膜が剥がれバリ等が発生するため、積層方向に電磁鋼板を積層した積層コアでは、積層方向に隣り合う電時鋼板の加工面同士が接触し、電磁鋼板間が加工面を通じて電気的に短絡するおそれがある。
【0003】
このような積層コアは、短絡した状態で磁束が交番すると渦電流損失が発生する。特に、モータ励磁周波数が大きくなるにつれてその影響は大きくなり、数百乃至数千Hz以上の励磁周波数となる高速モータや多極モータでは問題となる。
【0004】
また、トルクリップル等を低減する目的で各電磁鋼板を一定の角度ずつ位相をずらして積層されたモータ(スキューされたモータ)においても、その角度によっては短絡を避けることはできない。また、モータの種類や仕様によってはスキュー自体が許容されない場合もある。
【0005】
下記特許文献1には、電磁鋼板の加工面間の電気的短絡を防ぐため、加工面を積層前に個別に絶縁コーティングされたものを適用する構成が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、電磁鋼板として、ティースの先端部に板厚方向に突出する突設部を有するものを適用し、複数の磁性鋼板を約90度ずつ回転させて位置をずらし、ティースが重なるようにして必要枚数積層し、積層方向に隣接する電磁鋼板のティースの先端部間に段差を形成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−162912号公報
【特許文献2】特開2013−240183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献記載1の構成であれば、絶縁コーティングを実施するための新たな処理工程が必要になり、その分コストが掛かる。
【0009】
また、上記特許文献2記載の構成であれば、積層方向に隣接する電磁鋼板のティースの先端面(ロータとのギャップ面として機能するティースの先端面)に段差を設けることでモータの磁束による渦電流損失を抑制することが可能である。
【0010】
しかしながら、モータの高速化、小型化、多極化に伴い、ティース先端面以外の面、特にスロットを形成する面(スロット内周面)における渦電流損失も看過できない状況になる可能性が高い。特に、モータの高速化により、ステータとロータ間の磁気的なギャップ(エアギャップとも称される狭い隙間)を大きくする場合、モータ励磁により発生する磁束の一部がスロット内を通過し、スロット内周面での渦電流損失が増えることが想定される。
【0011】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、主たる目的は、スロットを形成する面(スロット内周面)における渦電流損失を低減可能な積層コアを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明に係る積層コアは、所定方向に等ピッチ又は略等ピッチに並列した複数のティース及び並列方向に隣り合うティース間に形成されるスロットを有する電磁鋼板が積層されたものであり、積層状態において電磁鋼板のうち少なくともスロットを形成する面であるスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶことを特徴としている。
【0013】
このような、本発明に係る積層コアであれば、電磁鋼板のスロット内周面が積層方向に凹凸状の段差を有する形態で積層されているため、スロット内周面における短絡が生じ難く、渦電流損失を低減することができる。また、本発明に係る積層コアによれば、スロット内周面における渦電流損失を低減するためにプレス加工後に絶縁コーティングを実施することが要求されないため、絶縁コーティングを実施する態様と比較して低コスト化を図ることができる。
【0014】
本発明に係る積層コアにおいて、スロット内周面における短絡の発生をより一層効果的に防止して渦電流損失の更なる低減化を図るには、積層方向に隣り合う電磁鋼板のうち少なくともスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶ構造を採用すればよい。
【0015】
本発明において、積層状態において電磁鋼板のうち少なくともスロットを形成する面であるスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶ積層コアを実現する好適な一例としては、各電磁鋼板が全て同一形状のティースを有するものであり、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士を各電磁鋼板におけるティースの並列方向に所定位相分ずらした状態で積層する態様を挙げることができる。ここで、「ティースの並列方向に所定位相分ずらした状態」とは、ティースの並列方向が周方向であれば、ティースの並列方向に所定角度ずらした状態を意味する。
【0016】
また、積層状態において電磁鋼板のうち少なくともスロットを形成する面であるスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶ積層コアを実現する好適な他の一例としては、各電磁鋼板が形状の異なる2種類以上のティースを有するものであり、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士を相互に異なる形状のティースが積層方向に並ぶ状態で積層する態様を挙げることができる。
【0017】
特に、本発明に係る積層コアが、積層状態において電磁鋼板のうちスロット内周面に加えてティースの先端面も積層方向に凹凸状に並ぶ構造であれば、ティースの先端面における短絡も生じ難く、渦電流損失の更なる低減化を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電磁鋼板のスロット内周面が積層方向に凹凸状の段差を有する形態で積層されているため、スロット内周面における短絡が生じ難い構造が得られ、渦電流損失を効果的に低減することができる積層コアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)に係る積層コアの平面図を模式的に示す図。
【
図5】本発明の他の実施形態(第2実施形態)に係る積層コアの平面図を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る積層コアは、例えば、回転機を構成するステータとして適用可能なものである。回転機は、ステータと、このステータとの間に磁気的なギャップを空けて配置されるロータとを備えたものであり、高速化、小型化、多極化に対応可能なモータとして好適に用いられるものである。
【0021】
ロータの形状は、ステータの形状やモータの仕様等に応じて適宜設定されるものであり、詳細な説明は省略する。以下では、ロータを筒形のステータの内方(内周側)に配置したインナーロータタイプのモータに適用可能なステータ(積層コア)に関する第1実施形態及び第2実施形態を順に説明する。
【0022】
〈第1実施形態〉
第1実施形態に係る積層コア1は、例えば
図1に示す形状を有するものであり、電磁鋼板2を所定枚数積層したものである。各電磁鋼板2は、
図2に示すように、略円筒状のヨーク3と、ヨーク3の内周面から内方に向かって直線状に延伸する複数(図示例では12本)のティース4とを一体に有するものである。ティース4の先端面4tは、他の部分よりも周方向Xにおける寸法を大きく(幅広に)設定されている。各電磁鋼板2においてティース4が並ぶ方向(本実施形態であれば周方向Xと同一方向)を以下ではティース4の並列方向4Xとする。各電磁鋼板2は、ティース4の並列方向4Xに隣り合うティース4同士の間に、スロット5を有する。ティース4やスロット5の数や形状は適宜設計変更可能である。
【0023】
このような電磁鋼板2は、プレス金型による打ち抜き加工等によって所定形状に成形されたものである。したがって、ティース4の先端面4t、スロット5の底面5u及び側端面5sは切断加工面である。
【0024】
ここで、切断加工面にはバリやダレが発生し、電磁鋼板2を所定枚数積層した状態でこのようなバリやダレが重なると、層間接触が起こり、渦電流が増え、渦電流損失が増大し、モータの性能低下にもつながる。
【0025】
そこで、本実施形態に係る積層コア1は、
図1、
図3及び
図4(
図3は
図1のa領域拡大図であり、
図4は
図3のb−b線断面図である)に示すように、積層状態において電磁鋼板2のうち少なくともスロット5の底面5u及び側端面5sが積層方向Yに凹凸状に並ぶように構成している。ここで、スロット5の底面5u及び側端面5sは、何れもスロット5の内周を形成するスロット内周面5iである。
【0026】
本実施形態に係る積層コア1は、
図3に示すように、全て同一形状のティース4を並列方向4Xに所定ピッチで有する電磁鋼板2を積層する際に、積層方向Yに隣り合う電磁鋼板2同士をティース4の並列方向4Xに所定角度ずらし、積層方向Yにおける奇数個目の電磁鋼板2(2A)のスロット内周面5i(5iA)と偶数個目の電磁鋼板2(2B)のスロット内周面5i(5iB)が周方向Xに僅かにずれた積層状態となるように設定している。なお、
図4では積層コア1のうち積層最上面から3枚分の電磁鋼板2の積層状態のみを抽出して示し、4枚目以降の電磁鋼板2を省略している。
【0027】
本実施形態に係る積層コア1が備えるティース4は、積層方向Yにおいて所定の間隔で凹凸部分を有するものの、積層方向Yに略直線状をなすティース4(スキューの無いティース)である。本実施形態に係る積層コア1は、積層状態において積層方向Yに隣り合う電磁鋼板2(2A,2B)のティース4(4A,4B)の先端面4t(4tA,4tB)同士も周方向Xに僅かにずれている(
図1及び
図3参照)。
【0028】
このような本実施形態の積層コア1は、周方向Xに等ピッチで並ぶティース4間に形成されたスロット5に図示しない巻線(ステータ巻線)が設けられる。そして、ステータ巻線に電力を供給することによってステータに磁界が発生し、この磁界とロータに付帯させた永久磁石の磁束との相互作用によってロータが回転するように構成されている。
【0029】
そして、本実施形態に係る積層コア1によれば、ティース先端面4tに加えて、スロット5を形成する面であるスロット内周面5i(5s,5u)に積層方向Yに凹凸状の段差を有するため、積層方向Yに隣り合う電磁鋼板2のスロット内周面5i同士が面一に揃う構成と比較して、バリやダレに起因する短絡が生じ難く、スロット内周面5i(5s,5u)における渦電流損失を低減することができる。特に、モータ励磁によりスロット内を通過する磁束が発生した場合、スロット側端面5s(51s,52s)での渦電流損失を低減することができる。加えて、本実施形態に係る積層コア1によれば、スロット内周面5iにおける渦電流損失を低減するためにプレス加工後に絶縁コーティングを実施することが要求されないため、プレス加工後に絶縁コーティングを実施する態様と比較して低コスト化を図ることができる。更に、本実施形態に係る積層コア1は、形状が同じ電磁鋼板によりスロット内周面5i(5s,5u)に積層方向Yに凹凸状の段差を形成できるため、形状が異なる数種類の電磁鋼板を積層する場合に比べ、低コスト化を図ることができる。
【0030】
〈第2実施形態〉
第2実施形態に係る積層コア1は、
図5に示す形状を有するものであり、
図6に示す電磁鋼板2を所定枚数積層したものである。各電磁鋼板2は、略円筒状のヨーク3及びヨーク3の内周面から内方に向かって直線状に延伸する複数(図示例では12本)のティース4を一体に有するものである点、ティース4の先端面4tを他の部分よりも幅広に設定している点は第1実施形態の電磁鋼板2と同じであるが、ティース4の形状を複数種類設定している点で第1実施形態の電磁鋼板2と異なる。
【0031】
すなわち、第2実施形態における各電磁鋼板2は、
図6に示すように、ティース4の並列方向4Xに、相対的に大きいサイズに設定された第1ティース41と、相対的に小さいサイズに設定された第2ティース42とを交互に配置している。また、スロット5の形状は並列方向4Xに隣り合うティース4の形状に依存するため、並列方向4Xにおいて第1ティース41から第2ティース42に向かって第1ティース41と第2ティース42の間に形成されるスロット5(第1スロット51)と、並列方向4Xにおいて第2ティース42から第1ティース41に向かって第2ティース42と第1ティース41の間に形成されるスロット5(第2スロット52)の形状も異なる。
【0032】
そして、本実施形態に係る積層コア1は、
図5、
図7乃至
図10(
図7は
図5のc領域拡大図であり、
図8は
図5のd領域拡大図であり、
図9は
図7のe−e線断面図であり、
図10は
図7のf−f線断面図である)に示すように、積層方向Yに隣り合う電磁鋼板2同士の関係において、相互に異なる形状のティース4(第1ティース41と第2ティース42)が積層方向Yに重なって並ぶ状態で積層されたものである。具体的には、積層方向Yにおける奇数個目の電磁鋼板2(2A)に対して偶数個目の電磁鋼板2(2B)をティース1本分(あるいは所定角度分)だけ周方向Xにずらして積層している。したがって、本実施形態に係る積層コア1では、積層状態において電磁鋼板2のうちスロット内周面であるスロット5の底面5u(51u,52u)及び側端面5s(51s,52s)、さらにはティース先端面4t(41t,42t)が、積層方向Yに凹凸状に並ぶことになる。
【0033】
本実施形態の積層コア1が備えるティース4は、積層方向Yにおいて所定の間隔で凹凸部分を有するものの、積層方向Yに略直線状をなすティース4(スキューの無いティース)である。
【0034】
このような積層コア1は、周方向Xに略等ピッチで並ぶティース4間に形成されたスロット5に図示しない巻線(ステータ巻線)が配置される。そして、ステータ巻線に電力を供給することによってステータに磁界が発生し、この磁界とロータに付帯させた永久磁石の磁束との相互作用によってロータが回転するように構成されている。
【0035】
そして、本実施形態に係る積層コア1によれば、ティース先端面4t(41t,42t)に加えて、スロット5を形成する面であるスロット内周面5i(51s,51u,52s,52u)に積層方向Yに凹凸状の段差を有するため、積層方向Yに隣り合う電磁鋼板2のスロット内周面5i同士が面一に揃う構成と比較して、スロット内周面5i(51s,51u,52s,52u)における渦電流損失を低減することができる。特に、第1実施形態と同様に、モータ励磁によりスロット内を通過する磁束が発生した場合、スロット側端面5s(51s,52s)での渦電流損失を低減することができる。加えて、本実施形態に係る積層コア1によれば、スロット内周面5i(51s,51u,52s,52u)における渦電流損失を低減するためにプレス加工後に絶縁コーティングを実施することが要求されないため、絶縁コーティングを実施する態様と比較して低コスト化を図ることができる。更に、第1実施形態と同様に、形状が同じ電磁鋼板によりスロット内周面5i(51s,51u,52s,52u)に積層方向Yに凹凸状の段差を形成できるため、形状が異なる数種類の電磁鋼板を積層する場合に比べ、低コスト化を図ることができる。
【0036】
なお、第1実施形態及び第2実施形態において、積層コア1は、各電磁鋼板2の外周面(ヨーク3の外周面)に形成した図示しない位置決め用切欠(凹部)を利用することで、上述の積層状態を精度高く実現したものであってもよいし、位置決め用の切欠を有しない電磁鋼板2を転積装置等により上述の積層状態を実現したものであってもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではない。例えば、上述の実施形態では、ティースの数や形状、ピッチは適宜変更することができ、例えば完全に同一ピッチのティースを有する電磁鋼板、または略同一ピッチのティースを有する電磁鋼板の何れであっても構わない。
【0038】
電磁鋼板の外縁形状が円形(ヨークが円筒状)ではなく、多角形(ヨークが角筒状)であってもよい。
【0039】
また、本発明は、例えば、ティースの形状が全て同一の第1電磁鋼板と、ティースの形状が全て同一であって且つティースの形状が第1電磁鋼板のティースの形状とは異なる形状である第2電磁鋼板という2種類の電磁鋼板を備え、ティースが積層方向に略重なる向きで第1電磁鋼板と第2電磁鋼板を交互に積層するなど、形状が異なる数種類の電磁鋼板を積層した積層した積層コアも包含する。このような積層コアであっても、積層状態において電磁鋼板のうち少なくともスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶことになり、スロット内周面における渦電流損失を低減することができる。
【0040】
また、本発明は、ロータがステータの径方向外方で回転するアウターロータタイプのモータに適用可能な積層コアも包含する。
【0041】
さらに、本発明の積層コアは、リニアモータに適用可能なものであってもよい。この場合、各電磁鋼板のティースの並列方向は、モータの進行方向(移動方向)と同一である。
【0042】
本発明の積層コアは、積層状態において電磁鋼板のうち少なくともスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶ形態であればよく、スロット内周面のうちスロット側端面のみが積層方向に凹凸状に並ぶ形態や、スロット内周面のうちスロット底面のみが積層方向に凹凸状に並ぶ形態であっても構わない。つまり、本発明は、スロット内周面の全体ではなく、スロット内周面の一部のみが積層方向に凹凸状に並ぶ形態を有する積層コアを包含するものである。
【0043】
また、本発明に係る積層コアは、積層状態において隣接する複数枚(例えば2乃至3枚)の電磁鋼板を1組とし、組単位で少なくともスロット内周面が積層方向に凹凸状に並ぶ構造であってもよい。
【0044】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…積層コア
2…電磁鋼板
4…ティース
4t…ティース先端面
4X…並列方向
5…スロット
5i…スロット内周面