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特開2021-30113バイオマスの水熱処理方法及び水熱処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-30113(P2021-30113A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】バイオマスの水熱処理方法及び水熱処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/08 20060101AFI20210201BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20210201BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20210201BHJP
   B01J 3/00 20060101ALI20210201BHJP
   B01J 3/04 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   C02F11/08
   B09B3/00 304Z
   B09B5/00 ZZAB
   B01J3/00 A
   B01J3/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-149858(P2019-149858)
(22)【出願日】2019年8月19日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓真
(72)【発明者】
【氏名】真保 陽一
【テーマコード(参考)】
4D004
4D059
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AC05
4D004BA03
4D004CA13
4D004CA14
4D004CA22
4D004CA42
4D004CB15
4D004CB16
4D004CB27
4D004CB31
4D004CB36
4D004CB46
4D004CC03
4D004DA02
4D004DA03
4D004DA06
4D004DA07
4D004DA09
4D059AA01
4D059AA03
4D059AA05
4D059AA30
4D059BC01
4D059BD01
4D059BD33
4D059BE37
4D059BF15
4D059BJ01
4D059BK09
4D059BK10
4D059CA10
4D059CA14
4D059CB04
4D059EA06
4D059EA08
4D059EA10
4D059EB09
(57)【要約】
【課題】バイオマスの水熱処理を良好に進行させることが可能なバイオマスの水熱処理方法を提供する。
【解決手段】バイオマスの水熱処理方法であって、反応器内の温度及び圧力を上昇させる昇温昇圧工程と、反応器内のバイオマスを水熱処理する水熱処理工程と、を備え、昇温昇圧工程の途中において、反応器内の温度又は圧力が規定温度又は規定圧力に到達した場合に、反応器内の蒸気を排出するための蒸気排出弁を開いて、反応器内の蒸気と酸素を排出して反応器内の酸素濃度を低下させる。
【選択図】 図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器内の温度及び圧力を上昇させる昇温昇圧工程と、
前記反応器内のバイオマスを水熱処理する水熱処理工程と、
を備え、
前記昇温昇圧工程の途中において、前記反応器内の温度又は圧力が規定温度又は規定圧力に到達した場合に、前記反応器内の蒸気を排出するための蒸気排出弁を開いて、前記反応器内の蒸気と酸素を排出して前記反応器内の酸素濃度を低下させる、バイオマスの水熱処理方法。
【請求項2】
前記規定温度は100℃以上である、請求項1に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項3】
前記規定温度は105℃〜110℃である、請求項2に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項4】
前記昇温昇圧工程において、前記蒸気排出弁を開いて前記反応器内の酸素濃度を低下させた後に、前記蒸気排出弁を閉じて前記反応器の温度及び圧力を上昇させて、前記水熱処理工程に移行する、請求項1乃至3の何れか1項に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項5】
前記反応器で水熱処理されて排出された処理物から前記処理物に含まれる液体の一部を分離する固液分離工程と、
前記固液記分離工程で処理物から分離した前記液体の一部と、前記反応器に投入される前のバイオマスとを混合する事前混合工程と、
を更に備える、請求項1乃至4の何れか1項に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項6】
前記水熱処理工程では、前記反応器に設けられた第1伝熱管内に蒸気を流すことにより、前記反応器内のバイオマスを間接加熱する、請求項1乃至5の何れか1項に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項7】
前記水熱処理工程では、前記反応器に設けられた第1伝熱管内に蒸気を流すことにより、前記反応器内のバイオマスを間接加熱し、
前記事前混合工程では、前記液体と前記バイオマスとを混合するための混合器に設けられた第2伝熱管内に、前記第1伝熱管から出た蒸気及び蒸気ドレンを流すことにより、前記液体と前記バイオマスとを加熱する、請求項5に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項8】
前記第1伝熱管内に流す蒸気は、ボイラで発生し、
前記ボイラで燃焼に使用される燃焼用酸化性ガスは、前記反応器から排出した蒸気を凝縮するコンデンサを経由して供給され、
前記燃焼用酸化性ガスは、前記反応器の処理物からの揮発成分及び不純物を含むガスである、請求項6又は7に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項9】
前記反応器で水熱処理されて前記反応器から排出された処理物を乾燥させて、前記処理物の含水率を20%〜40%まで減少させる、請求項1乃至8の何れか1項に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項10】
前記反応器で水熱処理されて前記反応器から排出された処理物を、ボイラから排出された燃焼排ガスを用いて乾燥させる、請求項1乃至9の何れか1項に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項11】
前記反応器で水熱処理されて前記反応器から排出された処理物を複数段のベルトコンベアで搬送しながら乾燥させ、
前記複数段のベルトコンベアのうち後段側に位置するベルトコンベアの搬送速度は前段側に位置するベルトコンベアの搬送速度よりも遅い、請求項1乃至10の何れか1項に記載のバイオマスの水熱処理方法。
【請求項12】
バイオマスの水熱処理を行うための反応器と、
前記反応器から蒸気を排出可能な蒸気ラインと、
前記蒸気ラインに設けられた蒸気排出弁と、
前記反応器内の温度又は圧力を検出するためのセンサと、
前記反応器内の温度及び圧力を上昇させる途中において、前記センサによって検出された前記反応器内の温度又は圧力が規定温度又は規定圧力に到達した場合に、前記蒸気排出弁を開いて、前記反応器の内部の蒸気と酸素を排出して、前記反応器内の酸素濃度を低減するように構成された制御装置と、
を備える、水熱処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオマスの水熱処理方法及び水熱処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国際的な二酸化炭素排出規制によりカーボンニュートラルなバイオマス燃料を利用した発電が注目を集めている。バイオマスはその利用が種々検討されており、低含水率のバイオマスは燃料として活用が進んでいるが、高含水率のバイオマス(例えば含水率40%程度以上のバイオマス)は燃焼しにくく、燃料としての活用が難しい。また、高含水率のバイオマスの多くは水分が生物由来の細胞内に拘束されており、乾燥に要するエネルギーが大きくなりやすい。
【0003】
特許文献1には、バイオマスを水熱処理することにより、細胞壁及び細胞膜を脆くするか破壊して、短時間で固形分又は液体分の生成物を製造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6190082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バイオマスを反応器内で水熱処理する際に、反応器内の酸素濃度が高いとバイオマスの酸化反応が進んでしまい、バイオマスの水熱処理が良好に進行しない可能性がある。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示は、バイオマスの水熱処理を良好に進行させることが可能なバイオマスの水熱処理方法及び水熱処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係るバイオマスの水熱処理方法は、
反応器内の温度及び圧力を上昇させる昇温昇圧工程と、
前記反応器内のバイオマスを水熱処理する水熱処理工程と、
を備え、
前記昇温昇圧工程の途中において、前記反応器内の温度又は圧力が第1温度又は第1圧力に到達した場合に、前記反応器内の蒸気を排出するための蒸気排出弁を開いて、前記反応器内の蒸気と酸素を排出して前記反応器内の酸素濃度を低下させる。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本開示に係る水熱処理システムは、
バイオマスの水熱処理を行うための反応器と、
前記反応器から蒸気を排出可能な蒸気ラインと、
前記蒸気ラインに設けられた蒸気排出弁と、
前記反応器内の温度又は圧力を検出するセンサと、
前記反応器内の温度及び圧力を上昇させる途中において、前記センサによって検出された前記反応器内の温度又は圧力が規定温度又は規定圧力に到達した場合に、前記蒸気排出弁を開いて、前記反応器の内部の蒸気と酸素を排出して、前記反応器内の酸素濃度を低減するように構成された制御装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バイオマスの水熱処理を良好に進行させることが可能なバイオマスの水熱処理方法及び水熱処理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る水熱処理システム2の概略構成を示す模式図である。
図2】造粒機24の構成の一例を示す模式図である。
図3図2に示した造粒機24による粒状物の形成方法の一例を示す模式図である。
図4】造粒機24の構成の他の一例を示す模式図である。
図5】乾燥機26の構成の一例を示す模式図である。
図6】反応器12を用いた水熱処理のフローチャートの一部を示す図である。
図7図6に示したフローの続きを示す図である。
図8】反応器12を用いた水熱処理のタイムチャートの一例を示す図である。
図9】他の実施形態に係る水熱処理システム2の概略構成を示す模式図である。
図10】固液分離機18で分離した固形分の乾燥方法を説明するための図である。
図11】固液分離機18で分離した固形分の乾燥方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0012】
<水熱処理システムの全体構成>
図1は、一実施形態に係る水熱処理システム2の概略構成を示す模式図である。
水熱処理システム2は、原料としてのバイオマスを水熱処理し、バイオマス燃料を製造する。なお、本明細書における「水熱処理」とは、バイオマスを所定の温度及び圧力に維持することで加水分解する処理を意味しており、バイオマスの脱水性及び乾燥性を向上させる方法である。
【0013】
水熱処理システム2は、原料受入ホッパー4、原料フィーダー6、ミキシングホッパー8(混合器)、原料投入フィーダー10、反応器12、処理物取出タンク14、処理物フィーダー16、固液分離機18、固形分フィーダー20、固液分離物取出容器22、造粒機24、乾燥機26、乾燥機用循環ファン28、コンデンサ30、凝縮水ポンプ32、分離液タンク34、分離液ポンプ36、フラッシュパイプ38、サイレンサー40、ドレン搬送ポンプ42及び制御装置90を備える。
【0014】
以下、水熱処理システム2の各構成及びバイオマス燃料の製造工程について説明する。本開示のバイオマス燃料の製造工程は、被処理物の準備工程、水熱処理工程、固液分離工程及び乾燥工程からなる4つの大工程を備える。また、大工程のうち水熱処理の工程は、原料投入工程、昇温昇圧工程、水熱処理工程(加水分解処理)工程、蒸気リリース工程及び処理物取出工程からなる5つの小工程を含む。
【0015】
<準備工程>
原料受入ホッパー4は、高含水率のバイオマスを受け入れて一時貯蔵する。高含水率のバイオマスは、例えば、含水率40%以上のバイオマスであってもよく、下水汚泥、余剰汚泥、ペーパースラッジまたは家畜ふん尿等であってもよく、高含水率バイオマス(湿潤燃料)であれば特に限定しない。なお、高含水率のバイオマスは、例えば含水率80%以上であってもよい。
【0016】
原料受入ホッパー4に貯蔵されたバイオマスは、原料受入ホッパー4とミキシングホッパー8とを接続するラインL1を介してミキシングホッパー8に供給される。ラインL1には、原料フィーダー6が設けられており、原料受入ホッパー4を出たバイオマスは、原料フィーダー6によってミキシングホッパー8に供給される。
【0017】
ミキシングホッパー8には、原料受入ホッパー4から供給されるバイオマスの他に、分離液タンク34からラインL10を介して後述の分離液(水熱処理した処理物を固液分離機18で分離した液体)が供給される。ミキシングホッパー8は、分離液タンク34から供給された分離液と、反応器12に投入される前のバイオマスとを常温常圧の条件下で混合する。空の反応器12にバイオマスと分離液とを混合した混合物を投入する場合の反応器12内の流動性を考慮し、ミキシングホッパー8内におけるバイオマスの量と分離液の量との比は、例えば2:1としてもよい。反応器12内でのバイオマスの流動性を保てる範囲で分離液の割合を小さくすることが望ましい。これにより、1バッチ当りのバイオマスの処理量を大きくすることができ、経済的である。
【0018】
ミキシングホッパー8に設けられた第2伝熱管53には、反応器12に設けられた後述の第1伝熱管52から出た蒸気及び蒸気ドレンがラインL12を介して供給される。そして、第2伝熱管53内を流れる蒸気及び蒸気ドレンとの間接式熱交換によりバイオマスと分離液との混合物が加熱される。ラインL12からミキシングホッパー8に供給された蒸気及び蒸気ドレンは、ミキシングホッパー8で全てが蒸気ドレンとなり、ミキシングホッパー8とフラッシュパイプ38とを接続するラインL13を介してフラッシュパイプ38に供給される。フラッシュパイプ38に供給された蒸気ドレンの一部はフラッシュパイプ38でフラッシュして蒸気となる。フラッシュパイプ38の上部にはサイレンサー40が設けられており、サイレンサー40を通過した蒸気が外部に放出される。フラッシュパイプ38の底部には溜まったドレンは、ドレン搬送ポンプ42によって水処理設備に搬送される。
【0019】
ミキシングホッパー8で混合されたバイオマスと分離液との混合物は、ミキシングホッパー8と反応器12とを接続するラインL2を介して反応器12に供給される。ラインL2には、原料投入フィーダー10が設けられており、ミキシングホッパー8から出たバイオマスと分離液との混合物は、原料投入フィーダー10によって反応器12に供給される。ラインL2における原料投入フィーダー10と反応器12との間には止め弁としての弁11が設けられている。
【0020】
<水熱処理工程>
反応器12では、ミキシングホッパー8からラインL2を介して供給されたバイオマスと分離液との混合物の水熱処理を行う。反応器12内にはモータ45により駆動される撹拌翼46が設けられており、反応器12内のバイオマスと分離液との混合物が撹拌翼46により撹拌される。反応器12の周壁には第1伝熱管52が巻回されており、第1伝熱管52にはボイラ102からラインL14を介して熱源となる蒸気が供給される。第1伝熱管52を流れる蒸気によって、反応器12及び反応器12内のバイオマスと分離液との混合物が間接的に加熱される。間接的に加熱するため、直接的に蒸気を接触させる方法と比較して、水熱処理後の処理物の水分含有量を低減することができ、水熱処理後に処理物から水分を分離・除去に要するエネルギーを低減することができる。また、伝熱管52を介して間接的に高含水率バイオマスを加熱することで、伝熱管内を流通する蒸気へ高含水率バイオマスの不純物が混入しない。なお、ボイラ102は所定の熱源となる蒸気を供給できるものであれば良く、ボイラ102の燃料は特定するものではない。またボイラ102は例えば、ガスエンジンであっても良く、ガスエンジンの冷却ジャケットにより生成される蒸気を供給できるようにしても良い。またボイラ102は例えば、既設の火力発電プラントの大型ボイラであっても良い。
【0021】
ラインL14には、ボイラ102から反応器12に供給する蒸気の量を調節可能な蒸気供給弁50と、ラインL14を流れる蒸気の圧力、流量及び温度をそれぞれ検出可能な圧力センサ74、流量センサ76及び温度センサ78が設けられている。また、ラインL14には、蒸気供給弁50の上流側に止め弁としての弁55が設けられている。また、反応器12には、反応器12内の圧力、温度及び水位をそれぞれ検出可能な圧力センサ80、温度センサ82及び水位センサ84が設けられている。また、反応器12の上部には反応器12内の圧力が過度に上昇しないように安全弁47が設けられている。
【0022】
反応器12の上部には、反応器12内の蒸気をコンデンサ30に排出するためのラインL9が接続している。ラインL9には、反応器12内で発生する蒸気を排出するための蒸気排出弁48が設けられており、蒸気排出弁48の開度は制御装置90により制御される。ラインL9には、反応器12から排出された蒸気の積算流量(反応器12から排出された蒸気の総量)を検出するための積算式流量計54が設けられている。
【0023】
上記反応器12によれば、撹拌翼46をモータ45によって回転させて反応器12内のバイオマスと分離液との混合物を撹拌しながら、第1伝熱管52に供給されたボイラ102からの蒸気によって反応器12を間接的に加熱することにより、反応器12内のバイオマスと分離液との混合物の水熱処理が進行する。水熱処理方法の詳細は後述する。
【0024】
反応器12で水熱処理されて反応器12から排出された水熱処理した処理物(バイオマスと分離液との混合物が水熱処理されたもの、以降は単に処理物と記載する)は、反応器12の底部と処理物取出タンク14とを接続するラインL3を介して処理物取出タンク14に取り出される。ラインL3には処理物排出弁13が設けられており、処理物排出弁13を開くことにより反応器12の底部から処理物が処理物取出タンク14に取り出される。ラインL3における処理物排出弁13と処理物取出タンク14との間には、メンテナンス時に使用される弁15が設けられている。処理物取出タンク14の上部には、蒸気をコンデンサ30に排出するためのラインL15が設けられている。また、処理物取出タンク14の上部には、大気と連通する連通路L16が接続している。連通路L16に逆止弁88が設けられており、処理物取出タンク14の圧力が大気圧以下になった場合に逆止弁88から大気が処理物取出タンク14に流入する。なお、コンデンサ30には、弁73が設けられたラインL18を介して工業用水等の冷却水を供給可能となっていて、蒸気排出弁48からラインL9を介して供給される蒸気と、処理物取出タンク14から排出されてラインL15を介して供給される蒸気とを冷却して凝縮する際に必要な場合には供給可能になっている。また、蒸気排出弁48から排出される排出蒸気と処理物取出タンク14から排出される排出蒸気の総量は、コンデンサ30に供給された蒸気の全量を凝縮してコンデンサ30の凝縮水の量に基づいて計測してもよい。コンデンサ30に溜まった凝縮水は、凝縮水ポンプ32を介して水処理施設に送られる。ボイラプラント100の既設の水処理装置を利用できる場合は、新規に水処理装置を設けなくても良く効率的である。
【0025】
<固液分離工程>
反応器12から処理物取出タンク14に取り出された処理物は、スラリー状となっており、処理物取出タンク14と固液分離機18とを接続するラインL4を介して固液分離機18に供給される。ラインL4には、処理物フィーダー16が設けられており、処理物取出タンク14から出た処理物は、処理物フィーダー16によって処理物取出タンク14から固液分離機18に供給される。
【0026】
固液分離機18は、反応器12で水熱処理されて反応器12から取り出された処理物から、処理物に含まれる液体(水分)の一部を分離する。すなわち、固液分離機18は、反応器12から取り出された処理物を、処理物の固形分(以下、単に「固形分」という。)と、液体(以下、「分離液」という)とに分離する。
【0027】
固液分離機18は、例えば連続式の遠心分離機であってもよく、この場合、遠心分離機内での処理物の滞留時間を調整することで、含水率の調節が可能である。また、反応器12から取り出された処理物は水熱処理により水分が分離しやすくなっているため、固液分離機18は、振動ふるい等の構造が簡易な固液分離機であってもよい。
【0028】
固液分離機18は、処理物の表面に水が滴らない程度まで処理物の含水率を減少させる。固液分離機18は、処理物の含水率を例えば65〜75%、より好ましくは68〜72%(例えば70%)まで減少させる。
【0029】
一般的には、高含水率のバイオマスを燃料化する場合、乾燥機で乾燥することを見越して、固液分離機では可能な限り含水率を減少させるように50〜60%程度まで脱水を行う。
【0030】
これに対し、本開示では、固液分離機18は処理物の固液を分離する程度にとどめ、65〜75%の含水率を有する状態で後工程である乾燥を行う。すなわち、固液分離工程における分離液が発生する量をできるだけ少なくする一方で、できるだけ多くの水分を後工程の乾燥機26で蒸発させている。これは後述するように、ボイラ102の低温排ガスを乾燥機26に供給することで、水熱処理システム2として熱を有効に利用することが可能となるためである。
【0031】
含水率が70%程度の水熱処理物は柔らかく容易に成形可能であるため、固液分離機18で処理物の含水率を65〜75%にすることにより、処理物を後の乾燥工程に搬出する際に処理物が後述するように粒状やシート状などの様々な形状をとることができ、例えば処理物の表面積を大きくする形状とすれば、処理物を効率的に乾燥することができる。また、固液分離機18での処理物の含水率の減少を抑制することにより、固液分離機18に投入するエネルギーの量を低減しつつ、後工程である乾燥工程でボイラの排ガス等の排熱のエネルギーを有効活用して水分を多く含んだ処理物の固形分を乾燥させることができるため、水熱処理システム2全体のエネルギー利用効率を高めることができる。また、固液分離機18から取り出される分離液の量が少なくなるため、分離液タンク34を小型化することができ、設備コストを低減することができる。
【0032】
固液分離機18で分離された分離液は、分離液タンク34に貯蔵される。分離液タンク34の上部には大気と連通する連通路L17が接続しており、連通路L17に弁92が設けられている。分離液タンク34に貯蔵された分離液は、分離液タンク34とミキシングホッパー8とを接続するラインL10を介してミキシングホッパー8に供給される。ラインL10には、分離液ポンプ36が設けられており、分離液タンク34を出た分離液は、分離液ポンプ36によってミキシングホッパー8に供給される。ラインL10には分離液ポンプ36の上流側にメンテナンス用の止め弁である弁72、及び下流側に分離液の供給流量を調整可能な弁70が設けられており、ラインL10には、弁72の上流側にラインL10を流通する分離液の流量が不足する場合に工業用水等の補給水を供給可能なラインL11が接続されている。また、ラインL11から工業用水等の補給水を供給することで、水熱処理システム2を洗浄することができる。
【0033】
<乾燥工程>
固液分離機18で分離された固形分は、固液分離機18と造粒機24とを接続するラインL5を介して造粒機24に供給される。ラインL5には、固形分フィーダー20が設けられており、固液分離機18で分離された固形分は固形分フィーダー20によって固液分離機18から造粒機24に供給される。造粒機24と乾燥機26の処理量が一時的に低下した場合など、固液分離機18で分離された固形分の一部は、必要に応じて固液分離物取出容器22に搬送されて一時的に保管されてもよい。
【0034】
造粒機24は、固液分離機18で分離された固形分を粒状に形成する。以下、造粒機24によって粒状に形成された固形分を「粒状物」という。造粒機24の構成は特に限定されないが、一実施形態では、造粒機24は、例えば図2及び図3に示すように外周面に複数の貫通孔56が形成された管58であってもよい。この場合、図2に示すように管58の内側に充填された固形分を押し込んで、図3に示すように管58の貫通孔56から該固形分を押し出すことにより、貫通孔56から押し出された該固形分を順次切断すれば粒状に形成される。
【0035】
また、他の実施形態では、造粒機24は、図4に示すローラユニット59であってもよい。図4に示すローラユニット59では、互いに近接する一対のローラ60,62間に固形物を堆積させて、ローラ60.62を互いに逆方向に回転させ、ローラ62の表面に付着した固形物をローラ62に近接するブレード64によって紙面垂直方向に切断しながら紙面下側へ剥離して落下させることにより、固形分が粒状に形成される。
【0036】
乾燥機26は、造粒機24によって形成された粒状物を乾燥させて、該粒状物の含水率を20%〜40%(例えば30%)まで減少させることによりバイオマス燃料を製造する。製造されたバイオマス燃料は、燃料保存容器25に保管され、図示しない搬送ラインから系外へ搬出される。
【0037】
乾燥機26の構成は特に限定されないが、乾燥機26は、例えば図5に示す多段ベルトコンベア66を用いた乾燥機であってもよい。本開示では、ボイラ102の燃焼排ガスである低温排ガスを用いて固形分の粒状物を乾燥させやすいように、粒状物を表面積が多くなるように配置して乾燥させることが好ましい。
【0038】
図5に示す例示的形態では、多段ベルトコンベア66は、例えば3段のベルトコンベア66A〜66Cを含む。ここで、多段ベルトコンベア66では、最上段である1段目のベルトコンベア66Aによる粒状物の搬送速度(ベルトコンベア66Aの表面の移動速度)よりも中間段である2段目のベルトコンベア66Bによる粒状物の搬送速度(ベルトコンベア66Bの表面の移動速度)の方が遅く、ベルトコンベア66Bによる粒状物の搬送速度よりも最下段である3段目のベルトコンベア66Cによる粒状物の搬送速度(ベルトコンベア66Cの表面の移動速度)の方が遅くなっている。すなわち、相対的に後段側(粒状物の搬送方向における下流側すなわち紙面下側)に位置するベルトコンベアが相対的に前段側(粒状物の搬送方向における上流側すなわち紙面上側)に位置するベルトコンベアより粒状物の搬送速度が遅くなっている。また、多段ベルトコンベア66内には乾燥用気流を流通させることで、粒状物の乾燥を促進できるようになっている。
【0039】
造粒機24によって形成された粒状物は、まず1段目のベルトコンベア66Aに順次供給され、ベルトコンベア66Aによって搬送される間に乾燥用気流に接触して粒状物の表面が乾燥する。ここで、後段側に位置するベルトコンベアが前段側に位置するベルトコンベアより粒状物の搬送速度が遅いため、2段目以降のベルトコンベア66B,66Cでは、前段のベルトコンベアから落下した粒状物が自然に複数段に積層する。このため、2段目以降のベルトコンベア66B,66Cでは、表面から乾燥が進んだ粒状物を複数段に積層させることで搬送時間を順次遅くして時間を掛けて粒状物の内部まで乾燥することができる。これにより、ベルトコンベア66Aと同様なものを3ライン続けて設けて同一な搬送速度で乾燥するよりも、同一処理時間内での粒状物を乾燥させる乾燥度を高めて、効率的にバイオマス燃料を製造することができる。
【0040】
なお、乾燥機26において、乾燥用気流として、既設のボイラプラント100におけるボイラ102の燃焼排ガスである低温排ガスを用いて上記固形分を乾燥させることにより、水熱処理システム2の有効な熱利用を行い、良好なエネルギー効率で固形分を乾燥させることができる。
【0041】
図1に示す例示的形態では、ボイラ102の燃焼排ガスである低温排ガスを乾燥機26に供給するラインL6と、ボイラ102の低温排ガスを乾燥機26からボイラ102に戻すラインL7とを含む循環流路が設けられている。ラインL6及びラインL7にはそれぞれ低温排ガス供給の止め弁としての弁116及び弁118が設けられている。ボイラ102の低温排ガスの一部は、ガス再循環通風機108(Gas Recirculating Fan:GRF)によってラインL6により乾燥機26に供給され、乾燥機用循環ファン28によって乾燥機26からラインL7によりボイラ102に戻される。なお、乾燥機用循環ファン28は省略してもよい。
【0042】
図示する例示的形態では、ボイラプラント100では、水熱反応によりバイオマスと分離液との混合物から蒸発分離された蒸気(水蒸気に処理物からの揮発成分(CH4、ベンゼン、HmSn化合物等)や不純物が含まれているガス)が、コンデンサ30から弁75が設けられたラインL8を介して押込通風機110(Forced Drafted Fan:FDF)の吸気の一部として供給され、押込通風機110によって空気予熱器104(Air preHeater)に供給され、空気予熱器104でボイラ102の排ガスとの熱交換により加熱されてからボイラ102の燃焼用酸化性ガスとしてボイラ102に供給されて、ボイラ102での燃焼に使用される。この際に、コンデンサ30から供給された分離蒸気に含まれる処理物からの揮発成分や不純物が一緒に燃焼処理される。空気予熱器104で加熱された燃焼用酸化性ガスは、混合器106でガス再循環通風機108から供給されるボイラ102の低温排ガスと混合される。なお、燃焼用酸化性ガスと低温排ガスとの混合は必ずしも必要ではなく省略されてもよい。ボイラ102の排ガスのうち空気予熱器104を通過した排ガスは、脱硫装置112で脱硫されるなど環境処理装置で必要な処理を経て煙突114から排出される。
【0043】
<水熱処理の詳細>
図6及び図7は、反応器12を用いた水熱処理のフローチャートの一例を示す図であり、図7は、図6に示すフローの続きを示している。図8は、反応器12を用いた水熱処理のタイムチャートの一例を示す図である。図6及び図7に示されるa〜pは、図6及び図7の各ステップが行われるタイミングを示しており、図8に示すタイミングa〜pに一致する。
【0044】
以下で図6図8を用いて説明する水熱処理のフローは、制御装置90が各構成を制御することにより行う。制御装置90は、電気回路から構成されてもよいし、コンピュータから構成されてもよい。制御装置90は、コンピュータから構成される場合、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとを備え、プロセッサが、記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより、その機能を実現する。
【0045】
(原料投入工程)
まず、図6及び図8に示すように、S11(タイミングa)で、反応器12内を撹拌する撹拌翼46を起動する。次に、S12(タイミングb)で、蒸気排出弁48を開け、原料投入フィーダー10を起動する。これにより、ミキシングホッパー8から反応器12内にバイオマスと分離液との混合物を投入する。このとき、水熱処理システム2の起動時などで、ミキシングホッパー8内のバイオマス及び分離液を事前に原料投入フィーダー10及び分離液ポンプ36を起動し、準備しておく。原料投入フィーダー10の容量を考慮し、好ましくは5〜15分間、より好ましくは8〜12分間(例えば10分間)かけて、反応器12内にバイオマスと分離液との混合物を投入してもよい。撹拌翼46は、S11で起動してからS26までの全ての工程に亘って常時運転し、反応器12内のバイオマスと分離液との混合物を撹拌する。
【0046】
(昇温昇圧工程)
反応器12へのバイオマスと分離液の混合物の投入を完了した後に、S13(タイミングc)で、蒸気排出弁48を閉じ、蒸気供給弁50を開いて、ボイラ102の蒸気を反応器12に設けられた第1伝熱管52内に供給して反応器12の昇温を開始することにより、反応器12内のバイオマスの昇温を開始する。ボイラ102の蒸気温度は、例えば300℃〜320℃である。昇温中は、蒸気排出弁48を閉じて反応器12の昇温昇圧が行なわれる。なお、反応器12が昇温されて所定以上となると、バイオマスと分離液との混合物から蒸気が発生して反応器12内が昇圧される。
【0047】
S14で、温度センサ82によって検出された反応器12内の温度が予め定められた規定温度T1に到達したか否かを判断する。ここで、規定温度T1は、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは105℃〜110℃である。図8に示す例では規定温度T1は約105℃である。S14で、反応器12内の温度が規定温度T1に到達していない場合には、引き続きボイラ102の蒸気を第1伝熱管52に供給して反応器12の昇温昇圧を続行する。S14で、反応器12内の温度が規定温度T1に到達した場合(タイミングd)には、S15(タイミングe)で蒸気排出弁48を開いて、反応器12内の気体(大気)を蒸気排出弁48から予め定められた規定時間t1の間放出して、反応器12内の酸素を蒸気とともに排出する。この規定時間t1は、事前に反応器12内の流動シミュレーション等を行って適切に設定した時間であり、例えば5〜10分間である。反応器12内の酸素濃度が高いと反応器12内で水熱処理が良好に進行しない可能性があるため、S15で蒸気排出弁48を開いて反応器12内の酸素を蒸気(バイオマスと分離液との混合物から発生した蒸気)で置換することにより、反応器12内の酸素濃度を低下させることができる。
【0048】
S16では、規定時間t1が経過したか否かを判断し、規定時間t1が経過した場合(タイミングf)には、S17(タイミングg)で蒸気排出弁48を閉じて、反応器12の昇温昇圧を再開し、その後、反応器12内の温度を予め定められた規定温度T2に到達するまで上昇させる。ここで、規定温度T2は、規定温度T1よりも高い温度であり、好ましくは150℃〜230℃である。図8に示す例では規定温度T2は約200℃である。
【0049】
S18では、温度センサ82及び圧力センサ80によって検出した反応器12内の温度及び圧力が規定温度T2及び規定圧力P2に到達したか否かを判断する。規定圧力P2は、予め定められた圧力であり、バイオマスが余剰汚泥の場合には好ましくは0.5〜3MPaである。図8に示す例では規定圧力P2は約1.5MPaである。S18で反応器12内の温度及び圧力が規定温度T2及び規定圧力P2に到達していない場合には、引き続き反応器12の昇温昇圧を続行する。S18で反応器12内の温度及び圧力が規定温度T2及び規定圧力P2に到達した場合(タイミングh)には、図7のS19以降の水熱処理工程に移行する。なお、昇温昇圧工程における昇温時間は、例えば30〜40分間であり、蒸気排出弁48を介して大気を放出する時間は例えば5〜10分間である。すなわち、昇温昇圧工程の所要時間は、例えばこれらを合計した35〜50分間である。
【0050】
(水熱処理工程)
S19(期間i)では、引き続きボイラ102の蒸気を第1伝熱管52に供給して反応器12内のバイオマスを蒸気で間接加熱する。なお、蒸気供給弁50は、S13(タイミングc)からS24まで開いている。S20(期間j)では、反応器12内の圧力が規定圧力P2で一定となるように、蒸気排出弁48の開度を制御して反応器12内の蒸気の一部を蒸気排出弁48から排出する。このため、水熱処理工程では、反応器12内の温度は分離蒸気の飽和温度により規定される温度T2に維持され、反応器12内の圧力は規定圧力P2に維持される。水熱処理の所要時間は、好ましくは20〜40分間であり、例えば30分間である。水熱処理の所要時間は、別途試験を行いその結果より適正な時間を設定しても良い。水熱処理中においても撹拌翼46はバイオマスを撹拌しており、これにより反応器12内のバイオマスを均一に水熱処理することができる。S21(タイミングk)では、水熱処理の所要時間が経過し、水熱処理を完了する。
【0051】
(蒸気リリース工程)
S22(期間l)で、蒸気排出弁48の開度を制御して反応器12内の圧力を低下させる。S22では、急な圧力低下で分離液の突沸や処理物の吹き出しが発生しないよう、好ましくは15分〜30分間、例えば20分間程度で反応器12内の圧力が大気圧近傍になるように蒸気排出弁48から蒸気をリリースする。なお、S22では、反応器12内の圧力を大気圧より若干高い圧力まで低下させて蒸気リリースを終了することにより、反応器12から処理物を取り出す際に反応器12の残圧によって処理物を押し出して取り出しやすくすることができる。反応器12内の圧力を大気圧近傍まで低下させると、反応器12内の温度は飽和温度の低下に従い、最終的には105℃付近まで低下する。ボイラ102から供給される典型的な蒸気温度を300℃〜320℃とすると、反応器12内の温度とボイラ102から供給される蒸気温度とは200℃程度の差が生じ、この差が大きいほど第1伝熱管52から処理物への熱伝達効率が高くなる。したがって、S22では、分離液の突沸や蒸気リリースによる処理物の吹き出しが発生しない程度に、反応器12内の圧力を可能な限りはやく減圧するのが望ましい。
【0052】
S22では、反応器12内の圧力を大気圧近傍の規定圧力P3まで下げた後、蒸気排出弁48から排出される排出蒸気の総量がマスバランス上の規定量に達するまで蒸気リリースを継続する。S23では、圧力センサ80によって検出した反応器12内の圧力が規定圧力P3に到達し、且つ蒸気排出弁48から排出される排出蒸気の総量が規定量に到達したか否かを判断する。S23で、反応器内の圧力が規定圧力P3に到達していない場合、及び、蒸気排出弁48から排出される排出蒸気の総量が規定量に到達していない場合には、引き続き反応器12内の蒸気を蒸気排出弁48からリリースして反応器12内の圧力を低下させる。S23で、反応器12内の圧力が規定圧力P3に到達し、且つ蒸気排出弁48から排出される排出蒸気の総量が規定量に到達した場合(タイミングm)には、S24(タイミングn)で、蒸気排出弁48を閉じるとともに蒸気供給弁50を閉じて、ボイラ102から第1伝熱管52への蒸気の供給を停止する。
【0053】
なお、S23の判断に際し、蒸気排出弁48から排出される排出蒸気の総量は、ラインL9に設けられた積算式流量計54によって計測してもよいし、コンデンサ30に供給された蒸気の全量を凝縮してコンデンサ30の凝縮水の量に基づいて計測してもよい。反応器12内の圧力が大気圧近傍の規定圧力P3まで低下した後の蒸気リリースの継続時間は、好ましくは10〜20分間(例えば15分間)である。蒸気リリース工程全体における蒸気リリースの継続時間は、好ましくは25〜50分間(例えば35分間)である。
【0054】
(処理物取出工程)
蒸気リリースの完了後、S25(タイミングo)で、処理物排出弁13を開いて反応器12内の処理物を処理物取出タンク14に取り出す。反応器12内の処理物は、反応器12内の残圧を駆動力として反応器12の下部に設けた処理物排出弁13を通過してラインL3から取り出すことができる。また、この時次のバッチに備えて、分離液ポンプ36及び原料フィーダー6を起動し、バイオマスと分離液をミキシングホッパー8に供給してもよい。このとき、水熱処理システム2の起動時などで、分離液タンク34からミキシングホッパー8へ供給する分離液が不足する場合には、工業用水等の補給水をL11から注入する。
【0055】
S26(タイミングp)で、処理物排出弁13を閉じて、撹拌翼46を停止することで、水熱処理のための一連の処理を完了する。
【0056】
<上記水熱処理方法の作用効果>
一般に、高含水率のバイオマス(特に汚泥系のバイオマス)では、水熱処理を行わずにバイオマス燃料を製造(燃料化)した場合、水分が多いと腐敗し、腐敗臭を発生させる可能性がある。そのため、水熱処理を行わない場合には、含水率10%以下程度までバイオマスを乾燥させて燃料化し、その後も高湿環境に晒されないようにする必要がある。
【0057】
これに対し、本開示の水熱処理方法では、反応器12で水熱処理されて反応器12から排出された処理物(バイオマス)を乾燥させて、処理物の含水率を20〜40%まで減少させている。すなわち、一般的な水準よりも高い含水率である半乾燥状態のバイオマス燃料を製造している。本開示における水熱処理工程には殺菌効果があり、比較的高い含水率である含水率20〜40%のバイオマス燃料を製造してもバイオマス燃料が腐敗しにくく、腐敗臭の発生を抑制することができる。このため、含水率を一般的な水準である10%まで低下させる場合と比較して、含水率を低下させるために必要なエネルギー量を10%程度低減することができる。
【0058】
また、本開示の水熱処理方法は、反応器12で水熱処理されて排出された処理物から該処理物に含まれる液体の一部(分離液)を分離する固液分離工程と、固液分離工程で処理物から分離した分離液と、反応器に投入される前のバイオマスとを混合する事前混合工程と、を備えている。
【0059】
ここで、分離液は水熱処理によって発生したイソ吉草酸、酢酸、吉草酸及びプロピオン酸等の有機酸が溶け込んでいる。これらの有機酸が発する焙煎臭がバイオマス中の腐敗臭を包み込む効果(マスキング効果)によって、不快な臭気の低減が期待できる。
【0060】
また、一般に中性域では腐敗の進行が速い。これに対し、分離液は弱酸性であるため、反応器12へ投入しきれずにミキシングホッパー8内に残留したバイオマスの腐敗を遅らせる効果も期待できる。
【0061】
また、水熱処理工程で反応器12に設けられた第1伝熱管52内に蒸気を流すことにより、反応器12内のバイオマスを加熱し、事前混合工程では、第1伝熱管52を通過した蒸気及び該蒸気が凝縮した蒸気ドレンを用いて、反応器12への投入前のバイオマスと分離液とを加熱している。このように、反応器12を加熱するために用いた蒸気及び蒸気ドレンの熱利用の方法として、反応器12への投入前のバイオマスを間接式熱交換により予熱している。ここでバイオマスという固体では、蒸気との間接熱交換の効率は良くないが、バイオマスと分離液を反応器12への投入前に事前混合することにより、原料であるバイオマスをスラリー状とすることで、蒸気との間接熱交換の効率を向上することができる。
【0062】
また、昇温昇圧工程において、反応器12内の温度が規定温度T1に到達した場合に、反応器12内の蒸気を排出するための蒸気排出弁48を開いて反応器12内の酸素を蒸気とともに排出して、反応器12内の酸素濃度を低下させている。このように、昇温昇圧工程において、昇温の途中のバイオマスの酸化反応が進みだす前の温度で酸素濃度を低下させることにより、その後の水熱処理時の原料であるバイオマスの酸化反応を抑制することができ、水熱処理工程における水熱処理を良好に進行することができる。また、反応器12内の酸素を含む空気を反応器12内で水熱処理により発生した蒸気で置換することができるため、反応器12内の酸素濃度を低下させるために外部から不活性ガスや還元ガスを反応器に導入する場合と比較して、不活性ガスや還元ガスを供給するための供給設備が不要であり、設備の簡素化及び低コスト化を実現することができる。また、反応器内の酸素濃度を低下させるために非凝縮性のガスを反応器に導入する場合と比較して、非凝縮性ガスの分圧を考慮する必要がないため反応器に要求される耐圧性を低下させることができ、反応器の構成を簡素化して設備コストを低減することができる。
【0063】
また、上記規定温度T1は100℃以上であることが好ましい。これにより、反応器12内の空気(酸素)を反応器12内で水熱処理を始める際の昇温により発生した蒸気で効果的に置換することができるため、その後の水熱処理時のバイオマスの酸化反応を効果的に抑制することができる。
【0064】
また、上記規定温度T1は、105℃〜110℃であることが好ましい。これにより、反応器12内でなるべく酸化反応が進まない低温域で反応器12から蒸気を排出することができ、また、反応器12内の飽和蒸気圧力が排気系統(ラインL9)の圧力損失を上回ることにより、反応器12内の酸素を蒸気によってスムーズに置換することができる。
【0065】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0066】
例えば、図6図8を用いて説明した水熱処理方法の全部または一部は、上述のように制御装置90が各構成を制御することにより行ってもよいし、他の実施形態では、水熱処理システム2の運転員が各構成を手動で操作することにより行ってもよい。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、昇温昇圧工程において、温度センサ82によって検出した反応器12内の温度が規定温度T1に到達した場合に、反応器12内の蒸気を排出するための蒸気排出弁48を開いて反応器12内の酸素濃度を低下させたが、他の実施形態では、圧力センサ80によって検出した反応器12内の圧力が予め定められた規定圧力P1(例えば0.12MPa〜0.14MPa)に到達した場合に、反応器12内の蒸気を排出するための蒸気排出弁48を開いて反応器12内の酸素濃度を低下させてもよい。すなわち、昇温昇圧工程において、温度センサ82又は圧力センサ80によって検出した反応器12内の温度又は圧力が規定温度T1又は規定圧力P1に到達した場合(温度センサ82によって検出した反応器12内の温度が規定温度T1に到達した場合、又は圧力センサ80によって検出した反応器12内の圧力が規定圧力P1に到達した場合)に、反応器12内の蒸気を排出するための蒸気排出弁48を開いて反応器12内の酸素濃度を低下させればよい。このように、昇温昇圧の途中で酸素濃度を低下させることにより、その後の水熱処理時のバイオマスの酸化反応を抑制することができ、水熱処理工程における水熱処理を良好に進行することができる。
【0068】
また、図1に示した実施形態では、反応器12に設けられた第1伝熱管52内にボイラ102からの蒸気を流すことにより、反応器12内のバイオマスを加熱し、第1伝熱管52から出た蒸気及び蒸気ドレンを用いてミキシングホッパー8内のバイオマスと分離液とを加熱する構成を例示した。
【0069】
しかしながら、他の実施形態では、例えば図9に示すように、第1伝熱管52を通過した蒸気は、ミキシングホッパー8へ供給せずに、フラッシュパイプ38に供給してもよい。
【0070】
また、上述した幾つかの実施形態では、固液分離機18で分離された固形分を造粒機24によって粒状に形成し、粒状物を乾燥機26で乾燥させる方法を例示した。
【0071】
しかしながら、他の実施形態では、例えば図10及び図11に示すように、固液分離機18で分離された固形分をローラ68でシート状に引き伸ばしてシート状物を形成し、シート状物を乾燥させながら搬送して、シート状物のうち乾燥が進んだ進行方向端部からロール状に巻き込みながら乾燥を進めてもよい。
【0072】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0073】
(1)本開示に係るバイオマスの水熱処理方法は、
反応器(例えば上記実施形態における反応器12)内の温度及び圧力を上昇させる昇温昇圧工程と、
前記反応器内のバイオマスを水熱処理する水熱処理工程と、
を備え、
前記昇温昇圧工程の途中において、前記反応器内の温度又は圧力が規定温度(例えば上記実施形態における規定温度T1)又は規定圧力(例えば上記実施形態における規定圧力P1)に到達した場合に、前記反応器内の蒸気を排出するための蒸気排出弁(例えば上記実施形態における蒸気排出弁48)を開いて、前記反応器内の蒸気と酸素を排出して前記反応器内の酸素濃度を低下させる。
【0074】
上記(1)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、昇温昇圧工程において、昇温昇圧の途中のバイオマスの酸化反応が始まる前に酸素濃度を低下させることにより、その後の水熱処理時のバイオマスの酸化反応を抑制することができる。これにより、水熱処理工程における水熱処理を良好に進行することができる。
【0075】
また、反応器内の酸素を含む空気を反応器内で水熱処理により発生した蒸気で置換することができるため、反応器内の酸素濃度を低下させるために不活性ガスや還元ガスを反応器に導入する場合と比較して、不活性ガスや還元ガスを供給するための供給設備が不要であり、設備の簡素化及び低コスト化を実現することができる。また、反応器内の酸素濃度を低下させるために非凝縮性のガスを反応器に導入する場合と比較して、反応器に要求される耐圧性を低下させることができ、反応器の構成を簡素化して設備コストを低減することができる。
【0076】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記規定温度は100℃以上である。
【0077】
上記(2)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、反応器内の酸素を含む空気を水熱処理により発生した蒸気で効果的に置換することができるため、その後の水熱処理時のバイオマスの酸化反応を効果的に抑制することができる。これにより、水熱処理工程における水熱処理を良好に進行することができる。
【0078】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記規定温度は105℃〜110℃である。
【0079】
上記(3)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、反応器内でなるべく酸化反応が進まない低温域で反応器から蒸気とともに酸素を排出して水熱処理時のバイオマスの酸化反応を抑制することができ、反応器内の飽和蒸気圧力が排気系統の圧力損失を上回ることにより、反応器内の酸素を蒸気によってスムーズに置換することができる。これにより、その後の水熱処理工程における水熱処理を良好に進行することができる。
【0080】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかに記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記昇温昇圧工程において、前記蒸気排出弁を開いて前記反応器内の酸素濃度を低下させた後に、前記蒸気排出弁を閉じて前記反応器の温度及び圧力を上昇させて、前記水熱工程に移行する。
【0081】
上記(4)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、反応器内の酸素濃度を低下させてバイオマスの酸化反応を抑制させた後に、反応器内の温度及び圧力を水熱処理に適した温度及び圧力に上昇させて水熱処理条件とし、水熱処理工程における水熱処理を良好に進行することができる。
【0082】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかに記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記反応器で水熱処理されて排出された処理物から前記処理物に含まれる液体の一部を分離する固液分離工程と、
前記固液記分離工程で処理物から分離した前記液体と、前記反応器に投入される前のバイオマスとを混合する事前混合工程と、
を更に備える。
【0083】
固液記分離工程で処理物から分離した液体には、水熱処理によって発生したイソ吉草酸、酢酸、吉草酸及びプロピオン酸等の有機酸が溶け込んでいる。このため、上記(5)に記載のように、固液記分離工程で処理物から分離した液体と、反応器に投入される前のバイオマスとを混合することにより、上記有機酸が発する焙煎臭がバイオマス中の腐敗臭を包み込む効果(マスキング効果)によって、不快な臭気の低減が期待できる。
【0084】
また、一般に中性域では腐敗の進行が速い。これに対し、固液記分離工程で処理物から分離した液体は弱酸性であるため、反応器へ投入する前のバイオマスの腐敗を遅らせる効果も期待できる。
【0085】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記水熱処理工程では、前記反応器に設けられた第1伝熱管内(例えば上記実施形態における第1伝熱管52)に蒸気を流すことにより、前記反応器内のバイオマスを間接加熱する。
【0086】
上記(6)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、反応器内に蒸気を流入させて反応器内のバイオマスを蒸気で直接的に加熱する場合と比較して、反応器に設けられた第1伝熱管を介して反応器内のバイオマスを間接的に加熱することにより、反応器内の水分量の増大を抑制することができる。これにより、水熱処理後の処理物の乾燥に要するエネルギーを低減することができる。
【0087】
(7)幾つかの実施形態では、上記(5)に記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記水熱処理工程では、前記反応器に設けられた第1伝熱管(例えば上記実施形態における第1伝熱管52)内に蒸気を流すことにより、前記反応器内のバイオマスを間接加熱し、
前記事前混合工程では、前記液体と前記バイオマスとを混合するための混合器(例えば上記実施形態におけるミキシングホッパー8)に設けられた第2伝熱管(例えば上記実施形態における伝熱管53)内に、前記第1伝熱管から出た蒸気ドレンを流すことにより、前記液体と前記バイオマスとを加熱する。
【0088】
上記(7)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、反応器を加熱するために用いた蒸気及び蒸気ドレンの熱利用の方法として、反応器への投入前のバイオマスを第2伝熱管を用いた間接式熱交換により予熱に利用しており、反応器における水熱処理を良好に進行させることができる。また、バイオマスという固体と蒸気または蒸気ドレンとの間接熱交換の効率は良くないが、固液記分離工程で処理物から分離した液体である分離液とバイオマスとを反応器への投入前に事前混合することにより、原料であるバイオマスをスラリー状とすることで、熱交換の効率を向上することができる。
【0089】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)又は(7)に記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記第1伝熱管内に流す蒸気は、ボイラ(例えば上記実施形態におけるボイラ012)で発生し、
前記ボイラで燃焼に使用される燃焼用酸化性ガスは、前記反応器から排出した蒸気を凝縮するコンデンサ(例えば上記実施形態におけるコンデンサ30)を経由して供給され、
前記燃焼用酸化性ガスは、前記反応器の処理物からの揮発成分及び不純物を含むガスである。
【0090】
上記(8)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、コンデンサから供給された分離蒸気に含まれる処理物からの揮発成分や不純物をボイラで燃焼処理することができる。
【0091】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかに記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記反応器で水熱処理されて前記反応器から排出された処理物を乾燥させて、前記処理物の含水率を20%〜40%まで減少させる。
【0092】
上記(9)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、一般的な水準よりも高い含水率である半乾燥状態のバイオマス燃料を製造することができる。水熱処理には殺菌効果があり、比較的高い含水率である含水率20〜40%のバイオマス燃料を製造してもバイオマス燃料が腐敗しにくく、腐敗臭の発生を抑制することができる。このため、含水率を一般的な水準である10%まで低下させる場合と比較して、含水率を低下させるために必要なエネルギー量を低減することができる。
【0093】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかに記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記反応器で水熱処理されて前記反応器から排出された処理物を、ボイラ(例えば上記実施形態におけるボイラ102)から排出された燃焼排ガスを用いて乾燥させる。
【0094】
上記(10)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、ボイラから排出された比較的低温の燃焼排ガスの熱エネルギーを有効活用して、反応器から排出された処理物を乾燥させることができる。
【0095】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れかに記載のバイオマスの水熱処理方法において、
前記反応器で水熱処理されて前記反応器から排出された処理物を複数段のベルトコンベア(例えば上記実施形態におけるベルトコンベア66A〜66C)で搬送しながら乾燥させ、
前記複数段のベルトコンベアのうち後段側に位置するベルトコンベアの搬送速度は前段側に位置するベルトコンベアの搬送速度よりも遅い。
【0096】
上記(11)に記載のバイオマスの水熱処理方法によれば、後段側に位置するベルトコンベアの搬送速度が前段側に位置するベルトコンベアの搬送速度より遅いため、2段目以降のベルトコンベアでは、前段のベルトコンベアから落下した粒状物が自然に複数段に積層する。このため、2段目以降のベルトコンベアでは、表面から乾燥が進んだ粒状物を複数段に積層させることで搬送時間を順次遅くして時間を掛けて粒状物の内部まで乾燥することができる。これにより、同じベルトコンベアを3ライン続けて設けて同一な搬送速度で乾燥するよりも、同一処理時間内での粒状物を乾燥させる乾燥度を高めて、効率的にバイオマス燃料を製造することができる。
【0097】
(12)本開示に係る水熱処理システム(例えば上記実施形態における水熱処理システム2)は、
バイオマスの水熱処理を行うための反応器(例えば上記実施形態における反応器12)と、
前記反応器から蒸気を排出可能な蒸気ライン(例えば上記実施形態におけるラインLL9)と、
前記蒸気ラインに設けられた蒸気排出弁(例えば上記実施形態における蒸気排出弁48)と、
前記反応器内の温度又は圧力を検出するためのセンサ(例えば上記実施形態における温度センサ82又は圧力センサ80)と、
前記反応器内の温度及び圧力を上昇させる途中において、前記センサによって検出された前記反応器内の温度又は圧力が規定温度(例えば上記実施形態における規定温度T1)又は規定圧力(例えば上記実施形態における規定圧力P1)に到達した場合に、前記蒸気排出弁を開いて、前記反応器の内部の蒸気と酸素を排出して、前記反応器内の酸素濃度を低減するように構成された制御装置(例えば上記実施形態における制御装置90)と、
を備える。
【0098】
上記(12)に記載の水熱処理システムによれば、反応器内の温度及び圧力を上昇させる途中で酸素濃度を低下させることにより、バイオマスの水熱処理時のバイオマスの酸化反応を抑制することができる。これにより、バイオマスの水熱処理を良好に進行することができる。
【0099】
また、反応器内の酸素を含む空気を反応器内で水熱処理により発生した蒸気で置換することができるため、反応器内の酸素濃度を低下させるために不活性ガスや還元ガスを反応器に導入する場合と比較して、不活性ガスや還元ガスを供給するための供給設備が不要であり、設備の簡素化及び低コスト化を実現することができる。また、反応器内の酸素濃度を低下させるために非凝縮性のガスを反応器に導入する場合と比較して、反応器に要求される耐圧性を低下させることができ、反応器の構成を簡素化して設備コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0100】
2 水熱処理システム
4 原料受入ホッパー
6 原料フィーダー
8 ミキシングホッパー
10 原料投入フィーダー
11,15,70,72,73,75,92,116,118 弁
12 反応器
13 処理物排出弁
14 処理物取出タンク
16 処理物フィーダー
18 固液分離機
20 固形分フィーダー
22 固液分離物取出容器
24 造粒機
25 燃料保存容器
26 乾燥機
28 乾燥機用循環ファン
30 コンデンサ
32 凝縮水ポンプ
34 分離液タンク
36 分離液ポンプ
38 フラッシュパイプ
40 サイレンサー
42 ドレン搬送ポンプ
45 モータ
46 撹拌翼
47 安全弁
48 蒸気排出弁
50 蒸気供給弁
52 第1伝熱管
54 積算式流量計
56 貫通孔
58 管
59 ローラユニット
60,62,68 ローラ
64 ブレード
66 多段ベルトコンベア
66A,66B,66C ベルトコンベア
74,80 圧力センサ
76 流量センサ
78,82 温度センサ
84 水位センサ
88 逆止弁
90 制御装置
100 ボイラプラント
102 ボイラ
104 空気予熱器
106 混合器
108 再循環通風機
110 押込通風機
112 脱硫装置
114 煙突
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11