【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の考えに基づいて、本発明は、Zn、Feスピネルを担持するカーボンナノチューブ
及びその触媒オゾン調製方法を考案した。カーボンナノチューブ、Zn(NO
3)
2・6
H
2O、Fe(NO
3)
3・9H
2Oおよびクエン酸などを原料として、浸漬焼成方法に
よって触媒を調製する。DBPをモデル有機物とし、オゾンの存在下でその触媒性能を調
べ、具体的には以下のとおりである。
【0010】
一、3次元CNTs―Fe/Zn複合材料の調製
カーボンナノチューブ(Carbon Nanotubes、CNTs)は典型的な1次
元ナノ材料であり、軽量で、空間構造が完璧であるとともに、独自の機械的、電気的、化
学的特性を備える。3次元カーボンナノチューブ材料は、長さ、幅、高さの3次元のマク
ロ寸法を有するカーボンナノチューブ組成体その界面原子の割合が比較的高く、従来のマ
クロ材料とは異なる性能を示し、優れた電気的、光学的および磁気特性を有する。
【0011】
1、カーボンナノチューブの前処理
(1)市販のカーボンナノチューブを5時間ボールミルした後、平均長さ1μmのCNT
sを得て、ボールミルした後のカーボンナノチューブのアモルファス中断チューブ構造が
増加し、比表面積の活性部位が大幅に増加する。
【0012】
(2)カーボンナノチューブのカルボキシル基の機能修飾:濃硝酸と濃硫酸の体積比3:
1の混酸を酸酸化システムとして使用し、ステップS11で調製されたCNTsを前記混
酸システムに分散させ、混酸によってCNTsの閉じた終端キャップを開き、その反応活
性を向上させる。
【0013】
続いて、上述混合溶液を135℃で14時間攪拌し、室温まで冷却し、pH=6.2にな
るまで洗浄し、凍結乾燥してCNTs―P(Carbon Nanotube―Prep
are)を得て、前記CNTs―P側壁に形成された―OH、―COOHおよびC=Oな
どの活性官能基により、CNTsの反応活性を向上させる。
【0014】
図1に示すように、CNTsの形態に対する酸化処理時間の影響がSEMで観察された。
未処理のCNTsチューブの長さが長く、チューブの表面が滑らかで互いに絡み合ってお
り、凝集がより深刻であり、カーボンナノチューブの分散に悪影響を与えることが分かる
。混酸で酸化されたCNTsには顕著なショートカット現象があり、カーボンナノチュー
ブの表面が粗くなり、チューブの長さが短くなり、互いの絡み合いが減少し、相互絡み合
い現象が大幅に改善され、同時にCNTs中の高い欠点密度および竹型構造によって酸化
中に破片が形成される可能性が低くなる。
【0015】
2、3次元CNTs―P材料の調製
CNTsベースの3次元構造材料は、軽量で多孔質で比表面積が大きいという利点がある
。材料の吸着、濾過および分離に使用され得る。有機および无机吸着に関しては、従来の
粘土や活性炭と比較して、3次元カーボンナノチューブ材料は、より高い平衡速度、より
高い吸着容量および調整可能な表面状態などの利点を有する。
【0016】
(1)等量のCNTs―P水溶液とアルギン酸ナトリウム溶液を取り、均一に混合し金型
に入れ、異なる温度勾配で固体状態まで冷却し、氷のテンプレート法を使用して柔軟な3
次元CNTs材料を調製し、凍結温度制御によりスポンジ内部構造を調整制御する。比較
的高温で凍結すると、水が大きい氷の結晶を生成し、凍結乾燥して大孔径構造を取得し、
皮下的低温で凍結すると、水が小さい氷の結晶を生成し、凍結乾燥して小孔径構造を取得
する。3次元CNTs材料の機械的変形を制御することにより、その吸着速度を制御し、
触媒材料分野での用途が改善される。
【0017】
(2)ステップS21で得られた固体状態の生成物を凍結乾燥した後3次元CNTs―P
を取得する
氷テンプレート法は、多層構造を取得するための有効な方法である。その強力な機械的特
性、生体適合性および幅広い供給源により、アルギン酸ナトリウムは3次元構造材料を強
化するために使用される。CNTs―Pおよびアルギン酸ナトリウムを組成単元として3
次元材料を構築する。
【0018】
まず、等量のアルギン酸ナトリウム溶液およびCNTs―P溶液をとり、完全に均一に混
合し、対象の金型に流し込み、予め凍結した鋼板上にしばらく置いてから、冷蔵庫で様々
な温度で冷凍する。
【0019】
次に、凍結過程中に、氷の結晶の成長速度および核形成速度により氷の結晶の成長形態を
制御し、温度勾配がある値を超えると、水が急速に冷却して核を形成し、多数の小さな氷
の結晶を生成し、等方性の氷テンプレートを形成し、氷の昇華後に残る3次元構造が等方
性になる傾向があり、氷の結晶の成長速度が水冷却核形成速度よりもはるかに高い場合、
氷の結晶が温度勾配に合わせて成長し、氷の結晶サイズが大きくない異方性の氷テンプレ
ートを生成する。
【0020】
この過程では、カーボンナノチューブおよびアルギン酸ナトリウムが組成単元として生成
された氷の結晶で押圧され、比較的均一な配向の膜状組成体に積み重ね、これらの膜状組
成体が互い接触し接続された3次元層間ネットワーク構造を形成し、氷の昇華後に残る3
次元構造が異方性になる傾向がある。本発明では、凍結温度が―50℃であり、真空度<
20Pa、干燥時間が48hであり、つまり氷の結晶の成長速度が水冷却核形成速度より
もはるかに高く、形成した氷テンプレートが異方性になる傾向がある。本発明は、氷テン
プレート法を使用して、異なる形状およびサイズを有する3次元CNTs骨格を調製し、
低い密度(16.5mg/cm
3)を有する。
【0021】
3、3次元CNTs―Fe/Zn複合材料の調製
(1)モル比1:2:2でZn(NO
3)
2・6H
2O、Fe(NO
3)
3・9H
2Oお
よびクエン酸を改質剤として取り、Fe
3+、Zn
2+によりCNT表面で大量の活性部位
を提供する。クエン酸を錯合剤として、金属イオンのCNTs―P表面への担持を強化し
、触媒の安定性を高め、一方、クエン酸を燃焼剤として調製された酸化物前駆体の粒子径
が小さく、分散度が良好である。
【0022】
(2)前記改質剤と前記3次元CNTs―Pを1:(5−6)の比例で無水エタノール中
に溶解し、30分超音波処理し、水浴で水分がほとんどなくなるまで蒸発すると尿素を加
え攪拌し混合する。
【0023】
CNTs―Pに担持された改質剤の量が最終生成物CNTs―Fe/Znの触媒性能に直
接影響し、担持量が不十分であると、CNTs―Fe/Znが目的の触媒性能を実現せず
、担持量が多く過ぎると、カーボンナノチューブの壁上の活性部位が覆われ、金属イオン
がしっかり担持されず、簡単に脱落するおそれがある。
ただし、尿素をポロゲンとして使用すると、焼成中の不必要な比表面積の減少を減らすこ
とができる。
【0024】
(3)ステップ(2)で調製された混合物を管状炉に入れ、窒素ガス雰囲気で焼成し、焼
成物を室温まで冷却し、凍結乾燥した後3次元CNTs―Fe/Zn複合材料を得て、具
体的なプロセスパラメータとして、管状炉の焼成中の昇温速度が5℃/分であり、焼成温
度範囲が500―800℃であり、焼成時間が4時間である。
【0025】
カーボンナノチューブが分離しにくい問題、および亜鉛鉄スピネルが析出しやすい問題を
解決するために、本発明は、浸漬焼成法を使用し、ポロゲンを添加し、両者の効果的な結
合を実現し、磁気分離方式により触媒を再利用可能になり、同時にカーボンナノチューブ
上の表面水酸基が金属イオンとの良好な錯合を形成し、金属析出を大幅に削減する。
【0026】
ただし、窒素ガス流量を50mL/分とする必要があり、焼成中に、窒素ガス流量が低す
ぎると、焼成中に生成された排気をできるだけ早く取り除き、窒素ガス流量が高すぎると
、焼成物が乱れ最終収量に悪影響を与える。
【0027】
二、高pHに適合したカーボンナノチューブオゾン触媒の用途
まず、一定濃度の有機廃水を1L容量の反応容器に入れ、濃度50mg/Lの3次元CN
Ts―Fe/Znを加えて、酸素ボンベ内の酸素がオゾン発生器を通過して一定濃度のオ
ゾンを生成し、オゾンと酸素の混合ガス流れを、触媒オゾン酸化実験のために曝気ヘッド
を介して反応容器の底部に送り、最後に、反応容器の頂端から2%のKI溶液に排気して
吸収処理を行う。
【0028】
さらに、前記有機廃水中の処理対象は、シュウ酸、シプロフロキサシン、インジゴ、メチ
ルオレンジ、フェノール、フタル酸ジメチルおよびスルファメトキサゾールを含む。ただ
し、フタル酸ジブチル(DBP)は環境ホルモンおよび内分泌かく乱物質の一種であり、
中国で規制されている汚染物質のリストに含まれ、一般に印刷および染色の廃水に含まれ
、DHPがわずかに溶解し除去し難いため、触媒性能検出用のシミュレートされた有機物
質として使用され、本発明では濃度2mg/LのDHPを選択した。