特開2021-30381(P2021-30381A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-30381(P2021-30381A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】ベルト装着用工具吊具
(51)【国際特許分類】
   B25H 3/00 20060101AFI20210201BHJP
【FI】
   B25H3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-154183(P2019-154183)
(22)【出願日】2019年8月26日
(71)【出願人】
【識別番号】514004541
【氏名又は名称】株式会社リガー
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】中野 敬
(57)【要約】
【課題】高所で作業する作業者が、工具を保持する為に、作業ベルトに簡単且つ確実に装着することを目的としたベルト装着用工具吊具に関する。
【解決手段】前記中央枠片部の下部が、下向きに漸次幅狭となる逆三角形状の突片部に形成され、前記各ベルト挿通孔は、中央枠片部と隣接する左枠片部又は右枠片部の左右の縁部と略平行にした孔からなり、前記左右枠片部の下部がそれぞれ前記突片部先端側に延びる折曲り片部を一対に有しており、該各折曲り片部の先端縁部が突片部の近接する縁部と略平行に延びて傾斜すると共に前記ベルト挿通孔の横幅より狭く設定されて前記ベルト挿入溝を形成していることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用ベルトに装着されて工具吊部材を備えたベルト取付板が、左右に一対のベルト挿通孔を有し、該一対のベルト挿通孔の間に中央枠片部を有し、該中央枠片部の上部と連接し前記一対のベルト挿通孔の外側に沿って延びる左枠片部および右枠片部を有しており、前記各ベルト挿通孔の下端が中央枠片部と離間したベルト挿入溝とそれぞれ連通し、前記左枠片部および右枠片部の下側にベルト掛止部をそれぞれ設けたベルト装着用工具吊具において、
前記中央枠片部の下部が、下向きに漸次幅狭となる逆三角形状の突片部に形成され、
前記各ベルト挿通孔は、中央枠片部と隣接する左枠片部又は右枠片部の左右の縁部と略平行にした孔からなり、
前記左右枠片部の下部がそれぞれ前記突片部先端側に延びる折曲り片部を一対に有しており、
該各折曲り片部の先端縁部が突片部の近接する縁部と略平行に延びて傾斜すると共に前記ベルト挿通孔の横幅より狭く設定されて前記ベルト挿入溝を形成してなることを特徴とするベルト装着用工具吊具。
【請求項2】
各ベルト挿入溝の上端で折曲り片部と左枠片部および右枠片部の下部との間に円弧状の切欠からなるベルト掛止部を有してなることを特徴とする請求項1に記載のベルト装着用工具吊具。
【請求項3】
ベルト掛止部の先端が、中央枠片部の左右の縁部の略延長線上または該延長線に近い位置に配置されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のベルト装着用工具吊具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高所で作業する作業者が、工具を保持する為に、作業ベルトに簡単且つ確実に装着することを目的としたベルト装着用工具吊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来ハンマー、スパナ又は墨つぼその他工事現場で必要な工具類を身につける場合には、例えば、特開平9−267275に示すように、ベルト挿通部に工具を吊り下げるフック部をベルト挿通部に対して起伏自在に設けた工具吊り具であって、ベルト挿通部に筒部を設け、この筒部にフック部の一辺を挿通し、フック部の一辺と筒部とに夫々凹凸嵌合部を形成し、両者の凹凸嵌合によりフック部をベルト挿通部に対して起立状態若しくは倒立状態に保持固定し得るように構成した構造が知られている。
前記ベルト挿通部は長楕円形の孔であって左右一対に設けられているため、作業ベルトの一端を一方のベルト挿通部に通し、他方のベルト挿通部から抜くことで装着しているので、作業ベルトを一旦外してから装着する必要があった。
【0003】
そこで、実用新案登録第3117535では、ベルト掛止板の上部に、工具吊下枠の上部を回転自在に軸支すると共に、前記ベルト掛止板へ、ベルト挿通孔を縦に並列穿設し、前記ベルト挿通孔の下端部へ、ベルト挿入溝を設け、前記ベルト挿通孔の下側部へ、ベルト掛止部を夫々設けたことを特徴とするベルト用工具吊具が開示されている。
上記構成では、ベルト挿通孔の下端部が開放されてベルト挿入溝となって、下端のベルト挿入溝から作業ベルトに工具吊具を挿入することができるので、作業ベルトを作業者の身体に巻いた状態で、そのまま装着することができ、便利である。
また、挿入した作業ベルトの下端がベルト挿入溝から抜け落ちないようにベルト挿通孔の下側部にベルト掛止部を設けているので、抜け止めを防止することができるようになっている。
しかしながら、上記構成では、一対のベルト挿通孔で挟まれたベルト掛止板の下端が扁平で作業ベルトを通しづらいという問題点があり、またベルト掛止部とベルト掛止板の間が垂直な溝となっており、装着された作業ベルトに下向きの力がかかった場合に大きな抵抗が働くことがなく、作業ベルトが抜け落ちやすいおそれがあった。
【0004】
【特許文献1】特開平9−267275号公報
【特許文献2】実用新案登録第3117535号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、左右一対のベルト挿通孔に連なるベルト挿入溝の溝幅がベルト挿通孔より幅が狭い場合であっても、中央枠片部の先端を逆三角形状の突片部にすることで、作業ベルトに通しやすくすると共に、ベルト掛止部の位置を中央枠片部の左右の縁部の略延長線に近い位置に配置することで、ベルト挿通孔に通した作業用ベルトがベルト挿入溝から抜け落ちることがないようにしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1の発明では、
作業用ベルトに装着されて工具吊部材を備えたベルト取付板が、左右に一対のベルト挿通孔を有し、該一対のベルト挿通孔の間に中央枠片部を有し、該中央枠片部の上部と連接し前記一対のベルト挿通孔の外側に沿って延びる左枠片部および右枠片部を有しており、前記各ベルト挿通孔の下端が中央枠片部と離間したベルト挿入溝とそれぞれ連通し、前記左枠片部および右枠片部の下側にベルト掛止部をそれぞれ設けたベルト装着用工具吊具において、
前記中央枠片部の下部が、下向きに漸次幅狭となる逆三角形状の突片部に形成され、
前記各ベルト挿通孔は、中央枠片部と隣接する左枠片部又は右枠片部の左右の縁部と略平行にした孔からなり、
前記左右枠片部の下部がそれぞれ前記突片部先端側に延びる折曲り片部を一対に有しており、
該各折曲り片部の先端縁部が突片部の近接する縁部と略平行に延びて傾斜すると共に前記ベルト挿通孔の横幅より狭く設定されて前記ベルト挿入溝を形成してなることを特徴とする。
【0007】
前記各ベルト挿入溝の上端で折曲り片部と左枠片部および右枠片部の下部との間に円弧状の切欠からなるベルト掛止部を有してなり、ベルト掛止部の先端が、中央枠片部の左右の縁部の略延長線上または該延長線に近い位置に配置されてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、上記構成からなっているので、左右一対のベルト挿通孔に連なるベルト挿入溝の溝幅がベルト挿通孔より幅が狭い場合であっても、中央枠片部の先端を逆三角形状の突片部にすることで、ベルト挿入溝も逆ハ字状の溝となり、作業ベルトに通しやすくすることができる。
また、ベルト掛止部の位置を中央枠片部の左右の縁部の略延長線に近い位置に配置することで、ベルト挿通孔に通した作業用ベルトがベルト挿入溝から抜け落ちることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)は工具吊部材を省略したベルト取付板の正面図、(b)は同側面図である。
図2】(a)はベルト装着用工具吊具の正面図、(b)は同側面図である。
図3】工具吊部材を逆向きに取り付けた状態の側面図である。
図4】(a)は別の工具吊部材を設けたベルト装着用工具吊具の正面図、(b)は同側面図である。
図5】(a)は異なる工具吊部材を設けたベルト装着用工具吊具の正面図、(b)は同側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、この発明のベルト装着用工具吊具20の好適実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に示すベルト装着用工具吊具20は、工具吊部材15を省略したベルト取付板1を示す。
このベルト取付板1は、図示例ではステンレスなどの矩形の金属板からなっており、作業者の作業用ベルトに装着されて使用に供せられる。
【0012】
ベルト取付板1は、左右に一対のベルト挿通孔10、11を有しており、該一対のベルト挿通孔10、11の間に中央枠片部2を有している。
該中央枠片部2の上部2aと連接して左右に延びて直角に折れ曲がり、前記一対のベルト挿通孔10、11の外側に沿って延びる左枠片部4および右枠片部5が設けられている。
【0013】
前記各ベルト挿通孔10、11の下端は、中央枠片部2と分離し離間したベルト挿入溝12、13とそれぞれ連通している。
そして、前記左枠片部4および右枠片部5の下側にベルト掛止部8、9をそれぞれ設けた基本構造からなっている。
【0014】
上記構成において、前記中央枠片部2の下部が、下向きに漸次幅狭となる逆三角形状の突片部3が形成されている。
一方、前記中央枠片部2の左右の縁部2b、2cに沿って設けられた左右のベルト挿通溝12、13は、中央枠片部2と隣接する左右枠片部4,5は、それらの中央枠片部2寄りの縁部4a、5aを略平行にして孔の横幅を同じくした孔からなっている。
【0015】
前記左右枠片部4,5の下部には、それぞれ前記突片部3の先端側に向かって略直角に延びる折曲り片部6、7を一対に有している。
そして、各折曲り片部6、7の先端縁部が前記突片部3に近接する縁部6a、7aと略平行に延びて傾斜している。
【0016】
そして、前記突片部3の左右の縁部3a、3bと、前記折曲り片部6,7の縁部6a、7aとの溝部分が逆ハ字状に形成されて前記一対のベルト挿入溝12,13となっている。
そして、ベルト挿入溝12,13は、前記ベルト挿通孔10、11の孔の横幅より狭く、図示例では半分以下の溝幅に設定されている。
【0017】
上記構成からなっているので、突片部3は、くさびのような機能をして、作業用ベルトBを溝幅の狭いベルト挿入溝12、13に押し込み、ベルト挿通孔10、11に導くことができる。
【0018】
また、ベルト掛止部8,9がベルト挿通孔10、11のほぼ真下に配置され、中央枠片部2から離間する方向にベルト挿通孔10、11の孔の横幅より長い径の円弧状の切欠からなっているので、ベルト挿通孔10、11に通された作業用ベルトBはベルト掛止部8,9に引っかかり、ベルト挿入溝12,13に抜け出ることがなく、作業用ベルトBからのベルト取付板1の抜け落ちを防ぐことができる。
【0019】
次に、工具吊部材15は、ベルト取付板1に枢着または固着されるもので、工具を着脱可能に吊り下げることができる部材であれば、公知の構造の部材を用いることができる。
この工具吊部材15は、前記ベルト取付板1に作業用ベルトBを着脱する際に支障とならない形状および配置であればよく、例えば実用新案登録第3117535号の工具吊下枠のようなフレーム状の工具掛止枠をベルト取付板1に枢着するようなものでもよい。
【0020】
図2に実施例1の工具吊部材15を示すと、ベルト取付板1の上部に、一本の線体で連続成形して、左右の枠を平行に垂下させ、左右の枠の下方先端が略直角に外方に曲がり、水平で略円弧状に曲成して端部が分離した工具吊下枠16を上部支持枠16aの中央で取付片17を介してベルト取付板1にピンPで枢着した構成からなっている。
この工具吊部材15は、ベルト取付板1の上部を上にして用いてもよいし、ベルト取付板1の上部を下にして、ピンPを枢動して逆向きに用いてもよい(図3参照)。
【実施例2】
【0021】
図4に示す工具吊部材15は、一本の線体で連続成形して、左右の枠を平行に垂下させ、そのまま垂直に円弧状に曲成され、先端が水平に延びて接近する工具吊下枠16を上部支持枠16aの中央で取付片17を介してベルト取付板1にピンPで枢着した構成からなっている。
その他の構造は図2の工具吊部材15と同様である。
また、中央枠片部2の構造は図1と同様である。
図2および図4の工具吊部材15は、左右の枠の先端が分離しているが、端部を一体に連続曲成した構造(図示せず)であってもよい。
【実施例3】
【0022】
図5に示す工具吊部材15は、ベルト取付板1に基端を固着した左右一対のカラビナまたは大型のナスカン16が固定されている。
従って、カラビナまたは大型のナスカンに工具を掛止めることができる。
また、中央枠片部2の構造は図1と同様である。
この発明で、上記工具吊部材15は工具を着脱可能に取り下げることができればよく、その形状は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0023】
1 ベルト取付板
2 中央枠片部
3 突片部
4,5 左右枠片部
6,7 折曲り片部
8、9 ベルト掛止部
10、11 左右のベルト挿通孔
12,13 左右のベルト挿入溝
15 工具吊部材
20 ベルト装着用工具吊具
B 作業用ベルト
F 折れ線
図1
図2
図3
図4
図5