特開2021-30874(P2021-30874A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-30874(P2021-30874A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】カム装置及びステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/184 20060101AFI20210201BHJP
   F16B 2/18 20060101ALI20210201BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20210201BHJP
   G05G 5/04 20060101ALI20210201BHJP
   F16H 25/12 20060101ALN20210201BHJP
【FI】
   B62D1/184
   F16B2/18 A
   G05G1/04 Z
   G05G5/04 B
   F16H25/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-152848(P2019-152848)
(22)【出願日】2019年8月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 傑
(72)【発明者】
【氏名】糀矢 順裕
(72)【発明者】
【氏名】亀井 功志
(72)【発明者】
【氏名】大澤 勝
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏高
【テーマコード(参考)】
3D030
3J022
3J062
3J070
【Fターム(参考)】
3D030DD02
3D030DD18
3D030DD26
3D030DD65
3D030DD74
3D030DD76
3J022DA30
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022FA01
3J022FB12
3J022GB11
3J062AA07
3J062AB31
3J062AC07
3J062BA32
3J062BA35
3J062CC16
3J070AA03
3J070BA03
3J070BA11
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC12
3J070CD02
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】可動側カム面と固定側カム面との間で引っ掛かりが生じることを防止できる、カム装置を実現する。
【解決手段】カム装置を、可動側カムと固定側カム15aとから構成し、固定側カム15aを構成する固定側凸部47bには、可動側カムを構成する可動側凸部が乗り上げる側である、円周方向他方側部分の径方向内側部に、円周方向に張り出した張出部50bを設ける。固定側凸部47bのうちで、張出部50bよりも径方向外側に位置する部分の円周方向他方側の側面と先端面48bとをつなぐ固定側接続部54bの稜線S1を、放射方向Rに対して、径方向外側に向かうほど、円周方向一方側に向かう方向に傾斜させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持される可動側カムと、回転不能に支持される固定側カムと、を備え、
前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有しており、
前記固定側カムは、軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有しており、
前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能とした、カム装置であって、
前記固定側凸部と前記可動側凸部とのうちのいずれか一方の凸部は、前記アンロック状態から前記ロック状態に切り替える際に前記固定側凸部と前記可動側凸部とのうちのいずれか他方の凸部が乗り上げる側である円周方向第1側部分の径方向内側部に、円周方向に張り出した、張出部を有しており、
前記一方の凸部は、前記張出部よりも径方向外側に位置する部分の円周方向第1側の側面と先端面とをつなぐ接続部の稜線が、放射方向に対して、径方向外側に向かうほど円周方向第1側とは反対側に向かう方向に傾斜している、
カム装置。
【請求項2】
前記一方の凸部は、前記固定側凸部であり、前記他方の凸部は、前記可動側凸部である、請求項1に記載したカム装置。
【請求項3】
後端部にステアリングホイールを固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持するステアリングコラムと、
前記ステアリングコラムの軸方向一部に備えられたコラム側ブラケットと、
前記コラム側ブラケットを幅方向に貫通するコラム側通孔と、
前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟むように配置された1対の支持板部を有し、車体に支持される車体側ブラケットと、
前記1対の支持板部を幅方向に貫通する1対の車体側通孔と、
前記コラム側通孔及び前記1対の車体側通孔を幅方向に挿通した調節ロッドと、
前記調節ロッドに外嵌支持された可動側カム、及び、前記1対の支持板部のうちの片方の支持板部に対し回転不能に支持された固定側カムを有し、該固定側カムに対して前記可動側カムを相対回転させることにより、軸方向寸法を拡縮させるカム装置と、
前記可動側カムに固定され、該可動側カムを回転させる調節レバーと、を備え、
前記カム装置が、請求項1〜2のうちのいずれか1項に記載したカム装置である、ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カム装置及びステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用のステアリング装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置や前後位置を調節可能とする、ステアリングホイールの位置調節装置が組み込まれている。
【0003】
図11及び図12は、特開2016−94950号公報(特許文献1)に記載された、ステアリングホイールの位置調節装置を備えたステアリング装置の1例を示している。後端部にステアリングホイールが固定されるステアリングシャフト1は、ステアリングコラム2の内側に回転自在に支持されている。ステアリングコラム2の軸方向中間部には、1対の被挟持板部3からなるコラム側ブラケット4が備えられている。コラム側ブラケット4は、車体に支持された車体側ブラケット5に備えられた1対の支持板部6により、幅方向両側から挟持されている。1対の被挟持板部3を幅方向に貫通したコラム側通孔7、及び、1対の支持板部6を幅方向に貫通した車体側通孔8には、調節ロッド9が幅方向に挿通されている。調節ロッド9の基端部には、アンカ部10が備えられており、調節ロッド9の先端部には、ナット13が螺合されている。ナット13と片方(図12の左側)の支持板部6との間には、カム装置11及び調節レバー12が備えられている。
【0004】
カム装置11は、可動側カム14と、固定側カム15とからなる。可動側カム14は、調節ロッド9に外嵌支持されており、軸方向一方側(図12の右側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である可動側カム面16を有している。固定側カム15は、片方の支持板部6に対して相対回転不能に支持されており、可動側カム面16に対向する軸方向他方側(図12の左側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である固定側カム面17を有している。調節レバー12は、その基部を可動側カム14に対して相対回転不能に固定している。カム装置11は、調節レバー12の操作に基づき、可動側カム14を固定側カム15に対して相対回転させることにより、可動側カム面16と固定側カム面17との回転位相を変化させて、軸方向寸法を拡縮させる。これにより、1対の支持板部6同士の間隔を拡縮させて、1対の被挟持板部3を挟持する力の大きさを調節する。
【0005】
カム装置11の軸方向寸法を縮小して、1対の支持板部6により1対の被挟持板部3を挟持する力を小さくしたアンロック状態では、調節ロッド9がコラム側通孔7及び車体側通孔8の内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの位置調節が可能になる。これに対し、カム装置11の軸方向寸法を拡大して、1対の支持板部6により1対の被挟持板部3を挟持する力を大きくしたロック状態では、ステアリングホイールを、調節後の位置に保持することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−94950号公報
【特許文献2】国際公開第2016/114327号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、調節レバーを操作してカム装置を拡縮させる際に、可動側カム面と固定側カム面との間で引っ掛かりが生じる場合がある。このような引っ掛かりは、調節レバーの操作性を低下させる原因になる。可動側カム面と固定側カム面との間で生じる引っ掛かりは、例えば、国際公開第2016/114327号(特許文献2)に記載された構造のように、固定側カム面又は可動側カム面を構成する凸部に、円周方向に張り出した部分や切り欠きなどを設けた場合に生じやすくなる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、可動側カム面と固定側カム面との間で引っ掛かりが生じることを抑制できる、カム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様にかかるカム装置は、可動側カムと、固定側カムとを備える。
前記可動側カムは、軸方向一方側の側面に、可動側基準面と該可動側基準面よりも軸方向一方側に突出した可動側凸部とを円周方向に交互に配置してなる、可動側カム面を有している。
前記固定側カムは、前記可動側カム面と軸方向に対向する軸方向他方側の側面に、前記可動側凸部と同数の固定側基準面と、該固定側基準面よりも軸方向他方側に突出した前記可動側基準面と同数の固定側凸部とを、円周方向に交互に配置してなる、固定側カム面を有している。
そして、前記可動側カムを前記固定側カムに対して相対回転させることにより、前記可動側凸部の先端面と前記固定側凸部の先端面とを突き合わせて軸方向寸法を拡大したロック状態と、前記可動側凸部と前記固定側凸部とを円周方向に交互に配置して軸方向寸法を縮小したアンロック状態とを、切り替え可能としている。
前記固定側凸部と前記可動側凸部とのうちのいずれか一方の凸部(例えば固定側凸部)は、前記アンロック状態から前記ロック状態に切り替える際に前記固定側凸部と前記可動側凸部とのうちのいずれか他方の凸部(例えば可動側凸部)が乗り上げる側である、円周方向第1側部分の径方向内側部に、円周方向に張り出した張出部を有している。
また、前記一方の凸部は、前記張出部よりも径方向外側に位置する部分の円周方向第1側の側面と先端面とをつなぐ接続部の稜線を、放射方向に対して、径方向外側に向かうほど、円周方向第1側とは反対側に向かう方向に傾斜させている。
放射方向に対して傾斜した稜線を有する接続部を、前記固定側凸部に設ける場合には、前記接続部を、少なくとも1つの固定側凸部に設けることもできるし、全ての固定側凸部に設けることもできる。また、放射方向に対して傾斜した稜線を有する接続部を、前記可動側凸部に設ける場合には、前記接続部を、少なくとも1つの可動側凸部に設けることもできるし、全ての可動側凸部に設けることもできる。
【0010】
本発明の一態様にかかるステアリング装置は、ステアリングコラムと、コラム側ブラケットと、コラム側通孔と、車体側ブラケットと、1対の車体側通孔と、調節ロッドと、カム装置と、調節レバーとを備える。
前記ステアリングコラムは、後端部にステアリングホイールを固定したステアリングシャフトを、内側に回転自在に支持する。
前記コラム側ブラケットは、前記ステアリングコラムの軸方向一部に備えられている。
前記コラム側通孔は、前記コラム側ブラケットを幅方向に貫通するように備えられている。
前記車体側ブラケットは、前記コラム側ブラケットを幅方向両側から挟むように配置された1対の支持板部を有し、車体に支持される。
前記1対の車体側通孔は、前記1対の支持板部を幅方向に貫通するように備えられている。
前記調節ロッドは、前記コラム側通孔及び前記1対の車体側通孔を幅方向に挿通している。
前記カム装置は、前記調節ロッドに外嵌支持された可動側カム、及び、前記1対の支持板部のうちの片方の支持板部に対し回転不能に支持された固定側カムを有しており、該固定側カムに対して前記可動側カムを相対回転させることにより軸方向寸法を拡縮させる。
前記調節レバーは、前記可動側カムに固定され、該可動側カムを回転させる。
本発明の一態様にかかるステアリング装置では、前記カム装置が、本発明の一態様にかかるカム装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカム装置によれば、可動側カム面と固定側カム面との間で引っ掛かりが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態の第1例を示す、ステアリング装置の側面図である。
図2図2は、同じく図1のI−I線断面図である。
図3図3は、可動側カムを取り出して示す図であり、(A)は幅方向一方側から見た正面図を示しており、(B)は斜視図を示している。
図4図4は、固定側カムを取り出して示す図であり、(A)は幅方向他方側から見た正面図を示しており、(B)は斜視図を示している。
図5図5は、図4の(A)の部分拡大図である。
図6図6は、図5の部分拡大図である。
図7図7は、カム装置を取り出して示す図であり、(A)−(X)はアンロック状態のカム装置を径方向外側から見た側面図であり、(A)−(Y)はアンロック状態のカム装置を幅方向他方側から見た正面図であり、(B)−(X)はロック状態のカム装置を径方向外側から見た側面図であり、(B)−(Y)はロック状態のカム装置を幅方向他方側から見た正面図である。
図8図8は、カム装置を取り出して示す斜視図であり、(A)はアンロック状態を示しており、(B)はロック状態を示している。
図9図9は、固定側カムの比較例の構造を示す、図5に対応する図である。
図10図10は、カム装置のアンロック状態で、調節レバーが傾いた状態を示す模式図である。
図11図11は、従来構造のカム装置を備えたステアリング装置を示す側面図である。
図12図12は、図11のII−II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1図10を用いて説明する。
【0014】
〈ステアリング装置の全体構造〉
本例のステアリング装置には、運転者の体格や運転姿勢に応じて、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節するための位置調節機構(チルト機構及びテレスコピック機構)が組み込まれている。ステアリング装置は、ステアリングシャフト1aと、ステアリングコラム2aと、コラム側ブラケット4aと、車体側ブラケット5aと、カム装置11aと、調節レバー12aとを備えている。なお、上下方向、前後方向、及び、幅方向とは、特に断らない限り、車両の上下方向、前後方向、及び、幅方向をいう。
【0015】
ステアリングシャフト1aは、車体に支持されたステアリングコラム2aの内側に、回転自在に支持されている。ステアリングシャフト1aの後端部には、ステアリングホイールが固定される。ステアリングシャフト1aの前端部は、自在継手及び中間シャフトを介して、ステアリングギヤユニットのピニオン軸に接続される。このような構成により、ステアリングホイールの回転をピニオン軸に伝達し、該ピニオン軸の回転に伴って1対のタイロッドを押し引きすることで、操舵輪に舵角を付与する。
【0016】
ステアリングシャフト1aは、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたインナシャフト18と後方に配置されたアウタシャフト19とを、スプライン係合などにより、トルク伝達可能にかつ伸縮可能に組み合わせた構成を有している。インナシャフト18及びアウタシャフト19は、それぞれ鉄合金、アルミニウム合金などの金属製である。
【0017】
ステアリングコラム2aは、略円筒形状を有しており、車体に対して支持されている。ステアリングコラム2aは、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にするために、前方に配置されたインナコラム20の後端部に、後方に配置されたアウタコラム21の前端部を、軸方向に関する相対変位を可能に緩く嵌合し、全長を伸縮可能に構成している。インナコラム20及びアウタコラム21は、それぞれ鉄合金、アルミニウム合金などの金属製である。
【0018】
ステアリングコラム2aは、ステアリングホイールの上下位置の調節を可能にするために、ステアリングコラム2aの前端部に固定したギヤハウジング22を、幅方向に配置したチルト軸23を中心として車体に対し揺動可能に支持している。ギヤハウジング22の内部には、ウォーム減速機を収容しており、該ウォーム減速機は、ギヤハウジング22に固定した電動モータ24のトルクを増大して、ステアリングシャフト1aに伝達する。
【0019】
上述のように、チルト軸23を中心としたステアリングコラム2aの揺動変位に基づいて、ステアリングホイールの上下位置の調節を可能にするとともに、ステアリングシャフト1a及びステアリングコラム2aのそれぞれを伸縮構造とすることで、ステアリングホイールの前後位置の調節を可能にする。そして、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するために、ステアリングコラム2aの軸方向中間部に、コラム側ブラケット4aを備えるとともに、車体に対して車体側ブラケット5aを支持している。
【0020】
コラム側ブラケット4aは、アウタコラム21の前端部の上部に、該アウタコラム21と一体に備えられており、幅方向に離隔して配置された1対の被挟持板部3aから構成されている。1対の被挟持板部3aは、略平板状に構成されており、それぞれの被挟持板部3aは、幅方向に貫通したコラム側通孔7aを備えている。コラム側通孔7aは、アウタコラム21の軸方向(前後方向)に伸長する長孔である。コラム側通孔7aには、合成樹脂製のスペーサ25が装着されている。アウタコラム21は、1対の被挟持板部3aの基端部(下端部)同士の間に、軸方向に延びたスリット26を備えている。これにより、アウタコラム21の前端部の内径を、弾性的に拡縮可能としている。なお、テレスコピック機構を備えない場合には、コラム側通孔は単なる円孔とする。
【0021】
車体側ブラケット5aは、鋼やアルミニウム系合金などの十分な剛性を有する金属板製で、天板部27と、1対の支持板部6aとを備えている。天板部27は、平板状に構成されており、通常時には車体に支持されているが、二次衝突の発生時には前方に離脱し、アウタコラム21の前方への変位を許容する。このために、天板部27は、後端縁に開口した1対の係止切り欠きを備え、かつ、該1対の係止切り欠きのそれぞれに対して、車体に固定した係止カプセル28を離脱可能に係止している。
【0022】
1対の支持板部6aは、幅方向に離隔して互いに略平行に配置されており、それぞれの上端部を、天板部27の下面に対して溶接などにより固定している。1対の支持板部6aは、コラム側ブラケット4aを幅方向両側から挟むように、1対の被挟持板部3aの幅方向外側に配置されている。1対の支持板部6aのそれぞれは、幅方向に貫通した車体側通孔8aを備えている。車体側通孔8aは、チルト軸23を中心として円弧状に湾曲した上下方向に伸長する長孔である。なお、チルト機構を備えない場合には、車体側通孔は単なる円孔とする。
【0023】
1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを締め付ける力を調節可能とするために、コラム側通孔7a及び車体側通孔8aを幅方向に挿通するように、調節ロッド9aを配置している。調節ロッド9aは、1対の支持板部6a同士の間隔よりも長い全長を有しており、先端部(幅方向一方側の端部、図2の右側の端部)に、雄ねじ部29を有しており、基端部(幅方向他方側の端部、図2の左側の端部)に、頭部のごときアンカ部10aを有している。雄ねじ部29には、ナット13aを螺合している。
【0024】
調節ロッド9aのうちで、ナット13aと幅方向一方側(図2の右側)の支持板部6aとの間に位置する部分には、スラストニードル軸受30を外嵌しており、アンカ部10aと幅方向他方側(図2の左側)の支持板部6aとの間に位置する部分には、カム装置11a及び調節レバー12aを外嵌している。そして、調節レバー12aの揺動操作に基づき、カム装置11aの軸方向寸法を拡縮させることで、1対の支持板部6aが1対の被挟持板部3aを締め付ける力を調節可能としている。以下、カム装置11aの構造について、詳しく説明する。
【0025】
《カム装置》
カム装置11aは、可動側カム14aと、固定側カム15aとからなる。可動側カム14aは、調節ロッド9aの基端寄り部分に外嵌支持されており、調節レバー12aの揺動操作に基づき、調節ロッド9aの中心軸回りを回転する。固定側カム15aは、可動側カム14aと同軸に配置されており、幅方向他方側の支持板部6aに対し回転不能に支持されている。可動側カム14aに備えられた可動側カム面16aと、固定側カム15aに備えられた固定側カム面17aとの間には、図示しないグリースが充填されている。調節レバー12aを揺動操作すると、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの回転位相が変化するため、カム装置11aの軸方向寸法が拡大したロック状態と、カム装置11aの軸方向寸法が縮小したアンロック状態との切り替えが可能になる。以下、カム装置11aをロック状態に切り替える際の可動側カム14aの回転方向(ロック方向)を、円周方向一方向きとし、各図に矢印αで示し、カム装置11aをアンロック状態に切り替える際の可動側カム14aの回転方向(アンロック方向)を、円周方向他方向きとし、各図に矢印βで示す。
【0026】
〔可動側カム〕
可動側カム14aは、焼結金属製で、図3に示すように、中央部に、調節ロッド9aを挿通するための中心孔31を有している。可動側カム14aは、略円輪板状の可動側カム本体32と、略矩形板状の可動側係合部33とからなる。可動側カム本体32は、軸方向一方側(幅方向一方側、図2の右側、図3の(A)の表側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である、可動側カム面16aを有している。可動側係合部33は、調節レバー12aの基部59を嵌合する部分であり、可動側カム本体32の軸方向他方側の側面に備えられている。本例では、可動側係合部33は、軸方向他方側から見て、略矩形の端面形状を有する。ただし、可動側係合部33の端面形状は、略矩形に限らず、後述する調節レバー12aの取付孔60と非円形嵌合可能な形状であれば、特に限定されない。
【0027】
可動側カム面16aは、平坦面状の可動側基準面34a、34bと、該可動側基準面34a、34bよりも軸方向一方側に突出した可動側凸部35a、35bとを、円周方向に交互に配置してなる。本例では、可動側基準面34a、34b及び可動側凸部35a、35bを、それぞれ4つずつ備えているが、可動側基準面及び可動側凸部の数については、複数であれば4つに限定されない。
【0028】
可動側基準面34a、34bのそれぞれは、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面であり、軸方向視で扇形状を有している。本例では、4つの可動側基準面34a、34bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する可動側基準面34aの円周方向幅が、残り2つの可動側基準面34bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)可動側基準面34aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)可動側基準面34bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。可動側基準面34aの外径と可動側基準面34bの外径とは、互いに同じである。
【0029】
可動側凸部35a、35bのそれぞれは、可動側カム14aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する先端面36a、36bを有しており、略台形状の断面形状を有している。
【0030】
本例では、4つの可動側凸部35a、35bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する可動側凸部35aの円周方向幅が、残り2つの可動側凸部35bの円周方向幅よりも広くなっている。すなわち、円周方向幅の広い(中心角の大きい)可動側凸部35aと、円周方向幅の狭い(中心角の小さい)可動側凸部35bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。可動側凸部35a、35bと可動側基準面34a、34bとは、円周方向一方向きに、可動側凸部35a→可動側基準面34a→可動側凸部35b→可動側基準面34b→可動側凸部35a→・・・の順で配置されている。
【0031】
円周方向幅の狭い可動側凸部35bは、円周方向一方側部分の径方向外側の端部に、軸方向視で略矩形状の切り欠き37を有している。別な言い方をすれば、可動側凸部35bは、円周方向一方側部分の径方向内側部から中間部にわたる範囲に、径方向外側の端部よりも円周方向一方側に張り出した張出部38を備えている。
【0032】
可動側凸部35bの張出部38における外径は、可動側基準面34a、34bの外径よりも少しだけ大きく、可動側凸部35aの外径とほぼ同じである。これに対し、可動側凸部35bの張出部38以外の部分の外径は、可動側基準面34a、34bの外径よりも十分に大きい。このため、可動側カム面16aの外径は、円周方向にわたり一定ではなく、円周方向に関する位相が、可動側凸部35a、35bと一致した部分で大きくなる。可動側凸部35a、35bのうちで、可動側基準面34a、34bよりも径方向外側に位置する部分は、可動側カム面16aを構成しない薄板状の連結部39によって、円周方向に連結されている。
【0033】
可動側凸部35aのそれぞれは、円周方向一方側の側面に、可動側基準面34aから滑らかに傾斜した(立ち上がった)可動側案内斜面40aを有している。これに対し、可動側凸部35bのそれぞれは、張出部38の円周方向一方側の側面に、可動側基準面34bから滑らかに傾斜した(立ち上がった)可動側案内斜面40bを有している。可動側凸部35a、35bの円周方向他方側の側面は、可動側案内斜面40a、40bよりも傾斜角度が大きくなっている。可動側凸部35a、35bの円周方向他方側の側面の傾斜は、可動側カム14aを成形型から取り出すのに必要な抜き勾配に相当するものである。
【0034】
可動側カム14aは、円周方向幅の広い可動側凸部35aの径方向外側に、可動側ストッパ部41を有している。可動側ストッパ部41は、可動側凸部35aと一体的に設けられている。可動側ストッパ部41は、可動側凸部35aの先端面36aよりも軸方向一方側に突出しており、可動側凸部35aの円周方向他方側半部の径方向外側に配置されている。このため、可動側ストッパ部41の円周方向一方側の側面は、可動側案内斜面40aよりも円周方向他方側に位置している。これに対し、可動側ストッパ部41の円周方向他方側の側面は、可動側凸部35aの円周方向他方側の側面と、円周方向位置が一致している。
【0035】
〔固定側カム〕
固定側カム15aは、焼結金属製で、図4に示すように、中央部に、調節ロッド9aを挿通するための中心孔43を有している。固定側カム15aは、略円輪板状の固定側カム本体44と、略矩形板状の固定側係合部45とからなる。固定側カム本体44は、可動側カム面16aに対向する軸方向他方側(幅方向他方側、図2の左側、図4の(A)の表側)の側面に、円周方向に関する凹凸面である、固定側カム面17aを有している。固定側係合部45は、幅方向他方側の支持板部6aに備えられた車体側通孔8aに対し、相対回転不能に、かつ、該車体側通孔8aに沿った変位のみを可能に係合する部分であり、固定側カム本体44の軸方向一方側の側面に備えられている。
【0036】
固定側カム面17aは、平坦面状の固定側基準面46と、該固定側基準面46よりも軸方向他方側に突出した固定側凸部47a、47bとを、円周方向に交互に配置してなる。本例では、固定側基準面46及び固定側凸部47a、47bを、それぞれ4つずつ備えているが、固定側基準面及び固定側凸部の数については、可動側基準面及び可動側凸部とそれぞれ同数であれば、4つに限定されない。
【0037】
固定側基準面46は、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する平坦面であり、軸方向視で略扇形状を有している。本例では、円周方向幅(中心角)の等しい4つの固定側基準面46を、円周方向に等間隔に配置している。
【0038】
固定側凸部47a、47bのそれぞれは、固定側カム15aの中心軸に直交する仮想平面上に存在する先端面48a、48bを有しており、略台形状の断面形状を有している。
【0039】
4つの固定側凸部47a、47bのうち、直径方向反対側2箇所に存在する固定側凸部47aの外径が、残り2つの固定側凸部47bの外径よりも小さくなっている。すなわち、外径の小さい固定側凸部47aと、外径の大きい固定側凸部47bとは、円周方向に離隔して交互に配置されている。
【0040】
固定側凸部47a、47bのそれぞれは、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に、可動側凸部35a、35bが乗り上がる、円周方向他方側部分の径方向外側の端部に、軸方向視で略矩形状の切り欠き49a、49bを有している。別な言い方をすれば、固定側凸部47a、47bは、円周方向他方側部分の径方向内側部から中間部にわたる範囲に、径方向外側の端部よりも円周方向他方側に張り出した、張出部50a、50bを備えている。本例では、固定側凸部47a、47bが、一方の凸部に相当し、可動側凸部35a、35bが他方の凸部に相当する。また、円周方向他方側が、円周方向第1側に相当する。
【0041】
固定側凸部47a、47bのうち、張出部50a、50bにおける外径は、固定側基準面46の外径とほぼ同じであり、張出部50a、50b以外の部分の外径は、固定側基準面46の外径よりも十分に大きい。このため、固定側カム面17aの外径は、円周方向にわたり一定ではなく、円周方向に関する位相が、固定側凸部47a、47bのうちで張出部50a、50b以外の部分と一致した部分で大きくなる。
【0042】
固定側凸部47a、47bのそれぞれは、張出部50a、50bの円周方向他方側の側面に、固定側基準面46から滑らかに傾斜した(立ち上がった)、可動側凸部35a、35bが乗り上がる固定側案内斜面51a、51bを有している。固定側凸部47a、47bの円周方向一方側の側面は、固定側案内斜面51a、51bよりも傾斜角度が大きくなっている。固定側凸部47a、47bの円周方向一方側の側面の傾斜は、固定側カム15aを成形型から取り出すのに必要な抜き勾配に相当するものである。
【0043】
固定側カム15aは、外径の小さい固定側凸部47aの径方向外側に、第1固定側ストッパ部52を有している。第1固定側ストッパ部52は、固定側凸部47aと一体的に設けられており、固定側凸部47aの先端面48aよりも軸方向他方側に突出している。第1固定側ストッパ部52は、部分円筒状に構成されており、固定側凸部47aに対して、円周方向に関する位相がずれて配置されている。具体的には、第1固定側ストッパ部52の円周方向他方側半部は、固定側凸部47aの円周方向一方側半部の径方向外側に配置されているのに対し、第1固定側ストッパ部52の円周方向一方側半部は、固定側凸部47aよりも円周方向一方側に張り出して配置されている。このため、第1固定側ストッパ部52の円周方向他方側の側面は、固定側案内斜面51aよりも円周方向一方側に位置している。
【0044】
固定側カム15aは、外径の大きい固定側凸部47bの径方向外側に、第2固定側ストッパ部53を有している。第2固定側ストッパ部53は、固定側凸部47bと一体的に設けられており、固定側凸部47bの先端面48bよりも軸方向他方側に突出している。第2固定側ストッパ部53は、部分円筒状に構成されており、固定側凸部47bに対して、円周方向に関する位相がずれて配置されている。具体的には、第2固定側ストッパ部53の円周方向他方側半部は、固定側凸部47bの円周方向一方側半部の径方向外側に配置されているのに対し、第2固定側ストッパ部53の円周方向一方側半部は、固定側凸部47bよりも円周方向一方側に張り出して配置されている。このため、第2固定側ストッパ部53の円周方向一方側の側面は、固定側凸部47bの円周方向一方側の側面よりも円周方向一方側に位置している。
【0045】
円周方向に隣り合う第1固定側ストッパ部52と第2固定側ストッパ部53とは、固定側カム面17aを構成しない薄板状の連結部42aによって、円周方向に連結されている。また、円周方向に隣り合う第1固定側ストッパ部52と固定側凸部47bの径方向外側部とは、固定側カム面17aを構成しない薄板状の連結部42bによって、円周方向に連結されている。
【0046】
固定側凸部47a、47bのそれぞれは、張出部50a、50bよりも径方向外側に位置する部分の円周方向他方側の側面と、先端面48a、48bとをつなぐ、固定側接続部(角部、面取り部)54a、54bの稜線S1を、固定側カム15aの中心軸を通る放射方向Rに対して傾斜させている。具体的には、固定側接続部54a、54bのそれぞれの稜線S1を、放射方向Rに対して、径方向外側に向かうほど円周方向一方側に向かう方向に傾斜させている。放射方向Rに対する稜線S1の傾斜角度θは、例えば2度以上かつ15度以下が好ましく、より好ましくは8度程度である。
【0047】
本例では、固定側接続部54a、54bに対して、軸方向に凹んだ逃げ凹部55a、55bを形成することで、固定側接続部54a、54bの稜線S1を放射方向Rに対して傾斜させている。張出部50a、50bのそれぞれは、径方向外側の端縁部に沿うように凹溝61a、61bを有している。逃げ凹部55a、55bは、凹溝61a、61bの円周方向他方側の端部から径方向外側に向けて折れ曲がるように設けられている。このため、固定側接続部54a、54bのそれぞれの稜線S1は、凹溝61a、61bと固定側案内斜面51a、51bとを区切る(画定する)それぞれの境界線に連続している。
【0048】
固定側カム15aは、固定側凸部47a、47bのそれぞれの先端面48a、48bの径方向内側半部に、軸方向に凹んだ先端凹部56を備えている。先端凹部56のそれぞれは、軸方向から見た形状が略L字形であり、径方向内側部に配置され、周方向に延びた周方向凹部57と、該周方向凹部57の周方向一方側部分から径方向外側に向けて延びた径方向凹部58とからなる。周方向凹部57は、固定側案内斜面51a、51bの周方向一方側の端部から先端面48a、48bの周方向一方側の端部にわたる範囲に備えられており、径方向凹部58は、先端面48a、48bの径方向内側部から径方向中間部にわたる範囲に備えられている。先端凹部56は、径方向外側を除く、径方向内側及び周方向両側にそれぞれ開口している。
【0049】
カム装置11aは、図7の(A)及び図8の(A)に示すように、ステアリングホイールの位置調節が可能になるアンロック状態で、可動側カム14aの可動側凸部35a、35bと、固定側カム15aの固定側凸部47a、47bとが円周方向に交互に配置される。これにより、可動側凸部35a、35bのそれぞれの先端面36a、36bが、固定側基準面46に当接し、固定側凸部47a、47bのそれぞれの先端面48a、48bが、可動側基準面34a、34bに当接する。この結果、カム装置11aの軸方向寸法が縮小する。
【0050】
上述したカム装置11aのアンロック状態から、調節レバー12aの揺動操作により、可動側カム14aを固定側カム15aに対して円周方向一方向きに相対回転させると、可動側凸部35a、35bに備えられた可動側案内斜面40a、40bが、固定側凸部47a、47bに備えられた固定側案内斜面51a、51bに案内されて摺接し、該固定側案内斜面51a、51bに乗り上がる。これにより、カム装置11aの軸方向寸法が拡大していく。その後、図7の(B)及び図8の(B)に示すように、可動側凸部35a、35bに備えられた先端面36a、36bと、固定側凸部47a、47bに備えられた先端面48a、48bとが突き当たることで、カム装置11aの軸方向寸法が最大になり、ステアリングホイールが調節後の位置に保持されるロック状態となる。
【0051】
また、可動側凸部35a、35bの先端面36a、36bと、固定側凸部47a、47bの先端面48a、48bとが突き当たった後、図7の(B)及び図8の(B)に示すように、可動側ストッパ部41の円周方向一方側の側面と第1固定側ストッパ部52の円周方向他方側の側面とが当接することで、可動側カム14aが固定側カム15aに対して円周方向一方向きにそれ以上相対回転することが防止される。これに対し、アンロック状態では、図7の(A)及び図8の(A)に示すように、可動側ストッパ部41の円周方向他方側の側面と第2固定側ストッパ部53の円周方向一方側の側面とが当接することで、可動側カム14aが固定側カム15aに対して円周方向他方向きにそれ以上相対回転することが防止される。
【0052】
調節レバー12aは、可動側カム14aを回転させて、カム装置11aの軸方向寸法を変更するためのものである。調節レバー12aは、金属板製で、略クランク形に屈曲した形状を有しており、図示しない把持部が備えられた先端側に向かうほど、後方側(運転席側)かつ下側に延びている。調節レバー12aの前端部(上端部)に備えられた基部59には、幅方向に貫通した、略矩形状の取付孔60が備えられている。調節レバー12aは、取付孔60を可動側カム14aに備えられた可動側係合部33に非円形嵌合させることで、可動側カム14aに対し相対回転不能に固定されている。このような構成により、調節レバー12aを揺動操作することで、可動側カム14aを固定側カム15aに対して相対回転させることが可能になる。なお、本例の構造では、調節レバー12aを揺動操作した際に、可動側カム14aだけでなく調節ロッド9aも同期して回転するが、可動側カムだけを回転させる(調節ロッドを回転させない)構成を採用することもできる。
【0053】
スラストニードル軸受30は、1対の軌道輪と、複数本のニードルとを備えている。スラストニードル軸受30には、カム装置11aをアンロック状態に切り替えた際に、内部隙間が存在するように各部の寸法を設定している。このため、スラストニードル軸受30は、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える段階(可動側案内斜面40a、40bと固定側案内斜面51a、51bとが摺接する段階)で、内部隙間が徐々に減少するとともに、各ニードルが転動し始め、ロック状態になるまで各ニードルの転動が継続する。したがって、スラストニードル軸受30を設けることで、カム装置11aをアンロック状態からロック状態に切り替える際に生じる摩擦力を低減することができ、調節レバー12aの揺動操作を滑らかにすることができる。
【0054】
本例のステアリング装置において、ステアリングホイールの上下位置及び前後位置を調節するには、調節レバー12aを下方(図1の時計回り)に揺動させて、可動側カム14aを円周方向他方向きに回転させる。そして、可動側凸部35a、35bと固定側凸部47a、47bとを円周方向に関して交互に配置することで、カム装置11aの軸方向寸法を縮小し、カム装置11aをアンロック状態にする。これにより、1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを幅方向両側から挟持する力を小さくする(解除する)。この結果、調節ロッド9aが車体側通孔8aの内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの上下位置の調節が可能になるとともに、調節ロッド9aがコラム側通孔7aの内側で変位できる範囲で、ステアリングホイールの前後位置の調節が可能になる。
【0055】
これに対し、ステアリングホイールを調節後の位置に保持するには、ステアリングホイールを所望の位置に移動させた後、調節レバー12aを上方(図1の反時計回り)に揺動させて、可動側カム14aを円周方向一方向きに回転させる。そして、可動側凸部35a、35bの先端面36a、36bと固定側凸部47a、47aの先端面48a、48bとを互いに突き合わせることで、カム装置11aの軸方向寸法を拡大し、カム装置11aをロック状態にする。これにより、1対の支持板部6aにより1対の被挟持板部3aを幅方向両側から挟持する力を大きくする。この結果、1対の支持板部6aと1対の被挟持板部3aとの間の当接圧が上昇するとともに、アウタコラム21の前端部内周面とインナコラム20の後端部外周面との当接圧が上昇して、ステアリングホイールを調節後の位置に保持することが可能になる。
【0056】
特に本例のステアリング装置によれば、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの間で引っ掛かりが生じることを抑制できる。
すなわち、図9に示した比較例の構造のように、固定側凸部47xの固定側接続部54xの稜線Sxを、放射方向Rに配置した場合には、固定側接続部54xは、可動側凸部35a、35bのうちで、可動側案内斜面40a、40bと先端面36a、36bとをつなぐ可動側接続部(角部、面取り部)62a、62bの径方向外側部に、引っ掛かりやすくなる。この理由は、可動側接続部62a、62bのそれぞれの稜線S2も、放射方向に配置されているため、可動側案内斜面40a、40bが固定側案内斜面51xに乗り上げ、カム装置11aに軸力が出た状態で、放射方向に配置された2つの稜線Sx、S2が互いに一致(円周方向に関する位相及び軸方向高さが一致)すると、2つの稜線Sx、S2同士が引っ掛かりやすくなる(エッジ同士が引っ掛かる)ためである。
【0057】
これに対し、本例の固定側凸部47a、47bは、固定側接続部54a、54bのそれぞれの稜線S1を、放射方向Rに対して径方向外側に向かうほど円周方向一方側に向かう方向に傾斜させている。このため、可動側案内斜面40a、40bが固定側案内斜面51a、51bに乗り上げ、カム装置11aの軸力が出た状態で、固定側接続部54a、54bの稜線S1と可動側接続部62a、62bの稜線S2とは、互いに一致することなく交差する。したがって、固定側接続部54a、54b(の稜線S1)と可動側接続部62a、62b(の稜線S2)とが、引っ掛かることを防止できる。この結果、可動側カム面16aと固定側カム面17aとの間に引っ掛かりが生じることを抑制でき、調節レバー12aの操作性が低下することを防止できる。
【0058】
また、ステアリングホイールの位置調節を行うべく、カム装置11aの軸方向寸法を縮小したアンロック状態においては、可動側カム14aと固定側カム15aとの間に作用する軸力が喪失するため、図10に示すように、調節レバー12aは、自重により幅方向に傾きやすくなる。このように、調節レバー12aが幅方向に傾いた状態で、調節レバー12aを操作すると、固定側接続部54a、54bと可動側接続部62a、62bの径方向外側部との間で引っ掛かりが発生しやすくなるが、本例では、固定側接続部54a、54bのそれぞれの稜線S1を、放射方向Rに対して傾斜させているため、引っ掛かりの発生を有効に防止できる。
【0059】
上述した実施の形態では、放射方向に対して傾斜した稜線を有する接続部を、固定側凸部に設けた場合について説明したが、本発明を実施する場合には、放射方向に対して傾斜した稜線を有する接続部を、可動側凸部に設けることもできる。
【0060】
実施の形態では、ステアリングホイールの位置調節装置として、チルト機構とテレスコピック機構との両方を備えた構造について説明したが、本発明を実施する場合には、チルト機構のみ、又は、テレスコピック機構のみを備えた構造を対象にすることができる。
【符号の説明】
【0061】
1、1a ステアリングシャフト
2、2a ステアリングコラム
3、3a 被挟持板部
4、4a コラム側ブラケット
5、5a 車体側ブラケット
6、6a 支持板部
7、7a コラム側通孔
8、8a 車体側通孔
9、9a 調節ロッド
10、10a アンカ部
11、11a カム装置
12、12a 調節レバー
13、13a ナット
14、14a 可動側カム
15、15a 固定側カム
16、16a 可動側カム面
17、17a 固定側カム面
18 インナシャフト
19 アウタシャフト
20 インナコラム
21 アウタコラム
22 ギヤハウジング
23 チルト軸
24 電動モータ
25 スペーサ
26 スリット
27 天板部
28 係止カプセル
29 雄ねじ部
30 スラストニードル軸受
31 中心孔
32 可動側カム本体
33 可動側係合部
34a、34b 可動側基準面
35a、35b 可動側凸部
36a、36b 先端面
37 切り欠き
38 張出部
39 連結部
40a、40b 可動側案内斜面
41 可動側ストッパ部
42a、42b 連結部
43 中心孔
44 固定側カム本体
45 固定側係合部
46 固定側基準面
47a、47b、47x 固定側凸部
48a、48b 先端面
49a、49b 切り欠き
50a、50b 張出部
51a、51b、51x 固定側案内斜面
52 第1固定側ストッパ部
53 第2固定側ストッパ部
54a、54b、54x 固定側接続部
55a、55b 逃げ凹部
56 先端凹部
57 周方向凹部
58 径方向凹部
59 基部
60 取付孔
61a、61b 凹溝
62a、62b 可動側接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12