(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-32062(P2021-32062A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】省力設営テント用横幕
(51)【国際特許分類】
E04H 15/54 20060101AFI20210201BHJP
【FI】
E04H15/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-160740(P2019-160740)
(22)【出願日】2019年8月15日
(71)【出願人】
【識別番号】519320055
【氏名又は名称】クイック・プロ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】野坂 三樹
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA01
2E141BB01
2E141CC03
2E141DD11
2E141DD24
2E141EE18
2E141EE26
2E141EE33
2E141HH01
(57)【要約】
【課題】集会用テントの設営における横幕の取付け作業を簡便化し、作業者・使用者の負担を大幅に軽減すると共に、風圧で中外に大きく膨れ出さない横幕を提供する。
【解決手段】横幕4Bに配設された帯状部内を貫通するライン8と、前記帯状部内ラインを張引し、前記横幕とフレーム群を接続し、張引するライン張引具9と、を有する。
前記帯状部内ラインは帯裏に配設された各孔から外出し、各端に着設されたハトメ6を潜らし、フック類を介して、前記ライン張引具と直線的に連結し、テント4隅に隣接するフレーム柱1またはフレーム梁2に接続され、各辺ごとに張引されて、フレーム群と簡便かつ強固に一体化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁、柱、屋根材より成るフレーム群を有する集会用テントに使用される横幕であって、前記横幕に備わる帯状部内を貫通するラインと、前記帯状部内ラインを前記フレーム群と接続し、前記帯状部内ラインを張引するライン張引具と、を有することを特徴とする横幕。
【請求項2】
前記帯状部内ラインは前記帯状部の両端近傍の帯裏に配設された各孔から各端を外出させ、前記各孔の更に端寄りに着設されたハトメに潜らして一端にはS環を、他端には前記ライン張引具を着設するか、若しくは使用状況により両端共に前記ライン張引具を着設し、夫々を前記梁又は前記柱に係止し、対面する前記梁同士、又は前記柱同士の2点間に渡る前記帯状部内ラインを張引する事により、前記横幕を前記フレーム群に強着させることを特徴とする請求項1記載の天幕及び横幕。
【請求項3】
前記ライン張引具は、本体と、蓋と、引締めフックと、接続フックを有し、前記本体と前記蓋の開閉によるテコの応用で前記帯状部内ラインを強力に張引し、前記横幕を前記フレーム群に強着させることを特徴とする請求項1又は2記載の横幕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集会用テントフレームへの取付け作業の省力化と共に、風圧による中外への膨れ出しを極力抑えることを可能とする横幕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の集会用テントにおいて、横幕をフレームに取付けるには、横幕の四辺に取付けられた紐でフレーム中の梁または柱に多数箇所を引き留める方法が一般的であった。
以下、
図1(e)(d)により説明する。
【0003】
図1(e)は横幕の平面図である。横幕4Aの四辺を4cm程折り曲げて長手方向に縫い付け、帯状部5Aにした処に約45cm間隔でハトメ6を配設し、それに紐7を結着してある。
図1(d)は集会用テント中多くを占める屋形テントの金属フレームの骨組みを示す斜視図であって、柱1、梁2、屋根材3、等で構成されている。
同図では右側面に横幕4Aを取付けた状態を表してあるが、外にL形の2方幕、コの字形の3方幕、周囲共囲う4方幕等の形態でも使われる。
【0004】
横幕4Aのフレーム群への取付けに際しては、横幕4Aの上辺はフレーム梁2に、側面はフレーム柱1に、また下辺は単管や地面に打った杭等に夫々紐7で結着される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような、集会用テントの設営における横幕4Aのフレーム等への取付け作業は、国内消費の多くを占める2間x3間(6坪)テントに2方幕を張る場合で、約40ケ所あり、内半数以上は高い手の位置で頭を反らして行う作業で、作業者にとって大きな負担となっている。特に多数のテントを使用するイベント用途の場合には、会場使用日時の制約上、突貫設営と成るのが常で、作業者への負荷共々使用者のコスト負担は大きく、省力化が大きな課題となっている。
【0006】
上述作業性の問題とは別に、風圧を受けた時、従来の方法では、結んだ紐の緩みと、横幕生地の伸びにより、横幕が大きく内外に膨れ出す。特に内側への膨れ込みと風雨の吹込みは、利用者の苦情を受けることもしばしばで、その解決が望まれている。
【0007】
上述の問題に鑑み、本発明においては、集会用テントの設営における横幕の取り付け作業を簡便化し作業者・使用者の負担を大幅に軽減すると共に、対風雨に強く、綺麗に張れる横幕を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、集会用テントに用いられる、請求項1記載の横幕は、前記横幕に備わる帯状部内を貫通するラインと、前記帯状部内ラインを前記フレーム群と接続し、前記帯状部内ラインを張引するライン張引具と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の横幕は、請求項1に記載の横幕であって、前記帯状部内ラインは前記帯状部端近傍の帯裏に配設された各孔から各端を外出させ、前記各孔の端寄りに着設されたハトメに潜らして、一端にはS環を、他端には前記ライン張引具を着設するか、若しくは使用状況により両端共に前記ライン張引具を着設し、夫々を前記梁又は前記柱に係止し、対面する前記梁同士、又は前記柱同士の2点間に渡る前記帯状部内ラインを張引する事により、前記横幕を前記フレーム群に強着させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の横幕は、請求項1又は2に記載の横幕であって、前記ライン張引具は、前記本体と、前記蓋と、前記引締めフックと、前記接続フックを有し、前記本体と前記蓋の開閉によるテコの応用で、前記帯状部内ラインを強力に張引し、前記横幕を前記フレーム群に強着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る横幕の使用により、従来のテント設営時に行っていた、高い手の位置で頭を反らして行う紐縛りの作業の殆どが不必要となり、集会用テントの省力設営が可能となる。これにより、作業者の労力軽減が可能となる。
【0012】
本発明に係る横幕の使用により、設営に要する人員と時間の大幅な短縮が可能となり、使用者及びイベント運営者のコスト負担が大幅に減少する。
【0013】
本発明に係る横幕の使用により、作業者の熟練度に関わらず、風圧による内側または外側への膨れ出しを僅少に収めることが可能となる。
【0014】
従来の横幕では最も接続箇所数の多い上辺とフレーム梁を縦方向に結着させるのに対し、本発明に係る横幕では帯状部内ラインの両端をフレームに接続させて、ライン張引具で水平方向に各辺間の帯状部内ラインを張引する手法を採ること、更に帯状部内ラインを上下方向の中央に増設することにより、天幕とフレーム群とがより強固に一体化され、風雨に強い集会用テントが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(a)本実施形態に係る横幕のフレーム群への取り付け状態の一例を表す模式図、(b)本実施形態の要となるライン張引具の構成と動きを表す模式図、(c)ライン張引具の部品図、(d)従来の横幕をフレーム群の一辺に装着した状態を示す斜視図、(e)従来の横幕の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を
図1に基づいて説明する。
図1(a)は本実施形態に係る横幕をフレーム群の1面に取り付けた状態を表す模式図であって、横幕の四辺は前述の従来品同様4cm程折り付けて袋状・帯状に縫い付けてある外に、上下方向の中央にも別生地を縫い付けて上下辺同様帯状にして有り、上中下の帯状部5B内夫々に高張力且つ伸びの少ないライン8を貫通させ、両端近傍裏側に開けた小穴からライン8の両端を取出し、その更に両端寄りに着設したハトメ6を潜らせて夫々の末端にはライン8が帯状部内に戻らぬ様にリングまたはカラビナ様の物を取付けて置き、それに本図で左端側にはライン張引具9に備わる引締めフック9Cを係止し、右端側ではS環10を上辺分は本図の手前方向に向かう梁2の隅に係止し、中間分と下辺分は柱1に係止して置く。続いて左端側に於いても夫々対面する同位置にライン張引具9に備わる接続フックを係止し、後述ライン張引具9の開閉操作で、帯状部内ライン8を張引するのである。
ただ、本模式図は横幕を梁2が水平方向に展開する四辺中の一辺に取付けた場合であって、例えばL字形に取付ける2方幕の場合に於いては、帯状部内ライン8は中間の隅柱を境にして直角方向2方に張引を要する為、両末端共にライン張引具を取付けて双方で張引する。
【0017】
次に、前記ライン張引具9の機構及び作用を
図1(b)及び(c)に基づいて説明する。
図1(c)の上から本体9Aの平面図と側面図、本体9Bの側面図と平面図で、本体と蓋は右端の開閉ピン9Lを軸に開閉する。
図で蓋左方には上面を斜めにそいだキープレート9Fにノックピン9H、更にロックピン9Gが埋め込まれたパーツが有り、コイルバネ9Iで常に図の下方へ押し付けられている。一方本体9Aの当該位置には、先端をU字形に曲げた2つの爪9Jが有り、蓋を閉めれば、ノックピンの左右位置でキープレートと本体内側の隙間に爪が刺さり、キープレートは一旦後退するが、爪がキープレート下部の窓9Kに嵌った瞬間にキープレートは戻り、一体パーツ上のノックピン・ロックピンが本体の外側に突出し、本体の当該位置穴に刺さりロックされる。次に開く場合はノックピンを押し込めば開閉ピンに備わるキックバネ9Mの作用で開く機構上、片手ワンタッチで開閉と同時に張引も完結する機能を備える。
なお、本体側面の3つ穴9Nは、引締めフック9cの着接位置替えの目的で、テコの原理により先端側へ移すとリーチストロークは短くなるが、蓋閉め即ち引締め時の握力は少なくて済み、後方へ移すと夫々逆になる。
なお、本体に溶接されたナット9Eに着設された接続フック9Dは、フレーム梁2又は柱1に係止する為だが、ネジでの長さ調節はメーカーによるフレーム長の差異をカバーする目的であって、使用都度の調整は原則不要である。
【0018】
本集会用テント用横幕の特徴は、第一にライン張引具の上述操作のみで横幕とフレーム群との接続を可能とする作業の簡便化にあり、第二に横幕とフレーム群との強固な一体化にある。これらの特徴は、ラインを水平方向に張って横幕内の帯状部を固める着想と、テコ原理で固定2点間をワンタッチで強力に引締める機構によって実現した。
【0019】
ところで、従来なぜ、垂直方向にかくも短い間隔で多数箇所横幕をフレーム群に紐等で結着していたかの理由と、本考案最大の特徴である帯状部内ラインをフレーム上の長距離2点間で水平方向に張力を掛けた上、引留める方法との理論上の相違点について以下に説明する。
従来方法では、結着スパンが長いと一に、風圧で幕端とフレーム間に隙間を生じ風雨が入る。二に、横幕全体が内外に膨れ出す。第三に個々の結着箇所に応力が集中し縫製部剥離または、生地内剥離を生ずる。
対して、本考案の方法では、応力は帯状部全長に分散し、また、伸びの極めて少ないラインに強力なテンションを掛けるので、風圧による横幕体フレームとの離開は僅少である。
【0020】
上記得失以外に、本考案品には運用上の利点がある。従来方法では、多数の紐が着設されており、使用時間の長短や天候の良否に関わらず全部締めておかないと見苦しいので、無駄が多い。一方本考案に関わる天幕・横幕の場合では、例えば帯状部に少数箇所予備的ハトメや接続具を付設させ状況に応じて効果的に運用することが可能となる。
【符号の説明】
【0021】
1 フレーム柱
2 フレーム梁
3 フレーム屋根材
4A 横幕(従来品)
4B 横幕(発明品)
5A 横幕周囲の帯状部(従来品)
5B 横幕に設けた帯状部(発明品)
6 ハトメ
7 紐
8 帯状部内ライン
9 ライン張引具
9A 本体 9B 蓋
9C 引締めフック 9D 接続フック
9E ナット 9F キープレート
9G ロックピン 9H ノックピン
9I コイルバネ 9J 爪
9K キープレートの窓 9L 軸
9M キックバネ 9N ストローク調整孔