特開2021-32221(P2021-32221A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-32221(P2021-32221A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】ガス化複合発電設備及びその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/00 20060101AFI20210201BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   F02C6/00 E
   F01K23/10 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-156888(P2019-156888)
(22)【出願日】2019年8月29日
(71)【出願人】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱パワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 祥三
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴
(72)【発明者】
【氏名】田村 憲
(72)【発明者】
【氏名】羽有 健太
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA03
3G081BA13
3G081BA16
3G081BC07
(57)【要約】
【課題】蒸気タービンへ供給する過熱蒸気温度を上昇させることができ、かつ起動を効率的に行うことができるガス化複合発電設備を提供する。
【解決手段】HRSG20で生成された蒸気をSGC35へ供給するHRSG過熱蒸気供給経路80と、SGC第2過熱器35dで過熱された蒸気を導く高圧過熱蒸気供給経路37と、高圧過熱蒸気供給経路37を介して導かれた過熱蒸気によって駆動される高圧蒸気タービン69aと、HRSG高圧過熱器20bで生成された過熱蒸気を、SGC第2過熱器35dをバイパスして高圧蒸気タービン69aへ供給するHRSG過熱蒸気バイパス経路81とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、
前記ガス化炉にてガス化された生成ガスを冷却する生成ガス冷却器と、
前記生成ガス冷却器によって冷却された生成ガスを燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、
前記ガスタービンから導かれた排ガスによって蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記生成ガス冷却器へ供給する第1蒸気供給経路と、
前記生成ガス冷却器で過熱された蒸気を導く過熱蒸気供給経路と、
前記過熱蒸気供給経路を介して導かれた蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンによって駆動される発電機と、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を、前記生成ガス冷却器をバイパスして前記蒸気タービンへ供給する第2蒸気供給経路と、
を備えているガス化複合発電設備。
【請求項2】
前記第1蒸気供給経路と前記第2蒸気供給経路とのいずれかに蒸気を流通させるかを選択する制御部を備え、
前記制御部は、当該ガス化複合発電設備の通常運転時には前記第1蒸気供給経路を選択し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時に前記第2蒸気供給経路を選択する請求項1に記載のガス化複合発電設備。
【請求項3】
前記過熱蒸気供給経路には、系外へ蒸気を排出する系外蒸気排出経路が設けられている請求項1又は2に記載のガス化複合発電設備。
【請求項4】
前記制御部は、当該ガス化複合発電設備の通常運転時には前記過熱蒸気供給経路を選択して蒸気を前記蒸気タービンに供給し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時には前記系外蒸気排出経路を選択する請求項3に記載のガス化複合発電設備。
【請求項5】
前記蒸気タービンは、高圧タービン及び再熱タービンを備え、
前記過熱蒸気供給経路は、前記高圧タービン及び/又は前記再熱タービンに接続されている請求項1から4のいずれかに記載のガス化複合発電設備。
【請求項6】
炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、
前記ガス化炉にてガス化された生成ガスを冷却する生成ガス冷却器と、
前記生成ガス冷却器によって冷却された生成ガスを燃焼する燃焼器と、
前記燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、
前記ガスタービンから導かれた排ガスによって蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記生成ガス冷却器へ供給する第1蒸気供給経路と、
前記生成ガス冷却器で過熱された蒸気を導く過熱蒸気供給経路と、
前記過熱蒸気供給経路を介して導かれた蒸気によって駆動される蒸気タービンと、
前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を、前記生成ガス冷却器をバイパスして前記蒸気タービンへ供給する第2蒸気供給経路と、
前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンによって駆動される発電機と、
を備えているガス化複合発電設備の運転方法であって、
当該ガス化複合発電設備の通常運転時には第1蒸気供給経路を選択し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時に前記第2蒸気供給経路を選択するガス化複合発電設備の運転方法。
【請求項7】
前記ガス化複合発電設備は、前記過熱蒸気供給経路に、系外へ蒸気を排出する系外蒸気排出経路を備え、
当該ガス化複合発電設備の通常運転時には前記過熱蒸気供給経路を選択して蒸気を前記蒸気タービンに供給し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時には前記系外蒸気排出経路を選択する請求項6に記載のガス化複合発電設備の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化複合発電設備及びその運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭等の炭素含有固体燃料をガス化炉内に供給し、炭素含有固体燃料を部分燃焼させてガス化することで、可燃性ガスを生成するガス化複合発電設備が知られている。
【0003】
下記特許文献1には、ガス化炉を備えたガス化複合発電システム(ガス化複合発電設備)が開示されている。ガス化複合発電システムは、ガス化炉にてガス化された生成ガスを冷却するシンガスクーラ(生成ガス冷却器)と、シンガスクーラによって冷却された生成ガスを燃焼する燃焼器と、燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、ガスタービンから導かれた排ガスによって蒸気を生成する排熱回収ボイラと、排熱回収ボイラで生成された蒸気によって駆動される蒸気タービンとを備えている。
【0004】
シンガスクーラは、ガス化炉出口の約1100℃の生成ガスを300℃〜450℃まで冷却し、その顕熱を蒸気として有効利用するために用いられる。シンガスクーラに対して排熱回収ボイラのエコノマイザから給水を送り、これを約430℃の過熱蒸気としてシンガスクーラから排熱回収ボイラに戻し、排熱回収ボイラの高圧過熱器で540℃程度まで最終過熱し、蒸気タービンに導入している。このような構成では、ガスタービンの排ガス温度よりも蒸気タービンに供給する過熱蒸気の温度を上げることはできないので、蒸気タービンの効率及び出力を上げることができない。
【0005】
一方、特許文献2には、排熱回収ボイラからの蒸気をシンガスクーラへ供給し、シンガスクーラで最終過熱して蒸気タービンへ過熱蒸気を供給することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−148576号公報
【特許文献2】特開平7−4260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガス化炉でガス化された生成ガスは、ガスタービンの排ガス温度よりも高温となるので、生成ガスを冷却するシンガスクーラで蒸気温度を例えば600℃程度まで過熱することが可能である。
【0008】
しかし、プラントの起動時に、ガス化炉よりも先にガスタービン及び蒸気タービンを補助燃料を用いて先行起動する場合、シンガスクーラは冷態となっている。したがって、上記特許文献2参照のようにシンガスクーラで最終過熱して蒸気タービンに過熱蒸気を導く構成は、冷態とされたシンガスクーラで蒸気が冷却されてしまうため、プラントの起動に対しては好ましくないものとなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、蒸気タービンへ供給する過熱蒸気温度を上昇させることができ、かつ起動を効率的に行うことができるガス化複合発電設備及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様に係るガス化複合発電設備は、炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、前記ガス化炉にてガス化された生成ガスを冷却する生成ガス冷却器と、前記生成ガス冷却器によって冷却された生成ガスを燃焼する燃焼器と、前記燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、前記ガスタービンから導かれた排ガスによって蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記生成ガス冷却器へ供給する第1蒸気供給経路と、前記生成ガス冷却器で過熱された蒸気を導く過熱蒸気供給経路と、前記過熱蒸気供給経路を介して導かれた蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンによって駆動される発電機と、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を、前記生成ガス冷却器をバイパスして前記蒸気タービンへ供給する第2蒸気供給経路とを備えている。
【0011】
排熱回収ボイラで生成された蒸気を生成ガス冷却器で過熱した後に、過熱蒸気供給経路を介して蒸気タービンへ導くこととした。これにより、蒸気タービンへ供給される蒸気の温度を高くすることができ、蒸気タービン効率及びガス化複合発電設備のプラント効率を改善することができる。
排熱回収ボイラで生成された蒸気を、生成ガス冷却器をバイパスして蒸気タービンへ供給する第2蒸気供給経路を設けることとした。これにより、ガス化複合発電設備の起動時や停止時等のように生成ガス冷却器へ蒸気を導く必要がないときに、排熱回収ボイラからの蒸気を蒸気タービンへ直接供給することができる。
【0012】
さらに、本開示の一態様に係るガス化複合発電設備では、前記第1蒸気供給経路と前記第2蒸気供給経路とのいずれかに蒸気を流通させるかを選択する制御部を備え、前記制御部は、当該ガス化複合発電設備の通常運転時には前記第1蒸気供給経路を選択し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時に前記第2蒸気供給経路を選択する。
【0013】
ガス化複合発電設備の通常運転時には、第1蒸気供給経路を選択して生成ガス冷却器にて最終的に過熱した後に蒸気タービンへ高温の過熱蒸気を導くようにする。
ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時には、第2蒸気供給経路を選択して生成ガス冷却器を介さずに排熱回収ボイラから蒸気を蒸気タービンへ導くこととした。これにより、起動時に冷態とされた生成ガス冷却器で蒸気が冷却されることを回避できる。また、停止時には生成ガス冷却器で過熱された蒸気を導かずに第2蒸気供給経路を介して蒸気を蒸気タービンへ導くことができるので、速やかに蒸気タービンへ導かれる蒸気温度を低下させることができる。
【0014】
さらに、本開示の一態様に係るガス化複合発電設備では、前記過熱蒸気供給経路には、系外へ蒸気を排出する系外蒸気排出経路が設けられている。
【0015】
過熱蒸気供給経路に系外へ蒸気を導く系外蒸気排出経路を設けることとした。これにより、ガス化複合発電設備の起動時や停止時等のように生成ガス冷却器からの蒸気を蒸気タービンへ導く必要がないときに、生成ガス冷却器からの蒸気を系外へ排出することができる。
なお、系外排出先は、大気でもよいし、水を回収する場合には復水器に回収してもよい。
【0016】
さらに、本開示の一態様に係るガス化複合発電設備では、前記制御部は、当該ガス化複合発電設備の通常運転時には前記過熱蒸気供給経路を選択して蒸気を前記蒸気タービンに供給し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時には前記系外蒸気排出経路を選択する。
【0017】
起動時及び/又は停止時に系外へ蒸気を排出することで、蒸気タービンへ生成ガス冷却器からの蒸気を導かないようにした。これにより、ガス化複合発電設備の起動時には、冷態とされた生成ガス冷却器から導かれる比較的温度が低い蒸気を蒸気タービンに導くことを回避できる。蒸気タービンに導入するための適切な温度に到達したら、生成ガス冷却器からの蒸気を蒸気タービンへ導く。また、停止時には、生成ガス冷却器で冷却された蒸気を蒸気タービンへ供給することを回避できるので、速やかな蒸気タービンの停止動作を実現することができる。
【0018】
さらに、本開示の一態様に係るガス化複合発電設備では、前記蒸気タービンは、高圧タービン及び再熱タービンを備え、前記過熱蒸気供給経路は、前記高圧タービン及び/又は前記再熱タービンに接続されている。
【0019】
生成ガス冷却器にて最終的に過熱された蒸気を高圧タービン及び/又は再熱タービンに供給することとした。これにより、蒸気タービン効率及びガス化複合発電設備のプラント効率を改善することができる。
【0020】
また、本開示の一態様に係るガス化複合発電設備の運転方法は、炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、前記ガス化炉にてガス化された生成ガスを冷却する生成ガス冷却器と、前記生成ガス冷却器によって冷却された生成ガスを燃焼する燃焼器と、前記燃焼器から供給される燃焼ガスによって駆動されるガスタービンと、前記ガスタービンから導かれた排ガスによって蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を前記生成ガス冷却器へ供給する第1蒸気供給経路と、前記生成ガス冷却器で過熱された蒸気を導く過熱蒸気供給経路と、前記過熱蒸気供給経路を介して導かれた蒸気によって駆動される蒸気タービンと、前記排熱回収ボイラで生成された蒸気を、前記生成ガス冷却器をバイパスして前記蒸気タービンへ供給する第2蒸気供給経路と、前記ガスタービン及び/又は前記蒸気タービンによって駆動される発電機と、を備えているガス化複合発電設備の運転方法であって、当該ガス化複合発電設備の通常運転時には第1蒸気供給経路を選択し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時に前記第2蒸気供給経路を選択する。
【0021】
さらに、本開示の一態様に係るガス化複合発電設備の運転方法では、前記ガス化複合発電設備は、前記過熱蒸気供給経路に、系外へ蒸気を排出する系外蒸気排出経路を備え、当該ガス化複合発電設備の通常運転時には前記過熱蒸気供給経路を選択して蒸気を前記蒸気タービンに供給し、当該ガス化複合発電設備の起動時及び/又は停止時には前記系外蒸気排出経路を選択する。
【発明の効果】
【0022】
生成ガス冷却器で最終過熱することとしたので蒸気タービンへ供給する過熱蒸気温度を上昇させることができる。そして、生成ガス冷却器をバイパスして排熱回収ボイラから過熱蒸気を蒸気タービンへ供給することとしたので、起動を効率的に行うことができる。
過熱蒸気/再熱蒸気バイパス系統により、蒸気タービンの温度や温度変化率を適正な範囲で運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備を示した概略構成図である。
図2図1の蒸気系統を示し、通常運転時の弁状態を示した概略構成図である。
図3図1の蒸気系統を示し、起動時の弁状態を示した概略構成図である。
図4図3に対応し、高圧過熱蒸気系統に対してのみSGCによる再加熱を適用した変形例を示した概略構成図である。
図5図3に対応し、再熱蒸気系統に対してのみSGCによる再加熱を適用した変形例を示した概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本開示に係る一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
[石炭ガス化複合発電設備の全体構成]
図1には、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備の概略構成が示されている。
【0026】
石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle,ガス化複合発電設備)1は、ガス化炉設備3を備えている。ガス化炉設備3は、空気を酸化剤として用いており、石炭等の炭素含有固体燃料から可燃性ガス(生成ガス)を生成する空気燃焼方式を採用している。石炭ガス化複合発電設備1は、ガス化炉設備3で生成した生成ガスを、ガス精製設備5で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン装置7に供給して発電を行っている。すなわち、石炭ガス化複合発電設備1は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備となっている。なお、本実施形態では空気吹きとして説明するが、酸素吹きとしても良い。ガス化炉設備3に供給する炭素含有固体燃料としては、例えば石炭が用いられる。
【0027】
石炭ガス化複合発電設備1は、給炭設備9と、ガス化炉設備3と、チャー回収設備11と、ガス精製設備5と、ガスタービン装置7と、蒸気タービン装置18と、発電機19と、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)20とを備えている。以下では、排熱回収ボイラを「HRSG」と省略する。
【0028】
給炭設備9は、原炭として炭素含有固体燃料である石炭が給炭バンカから供給され、石炭を石炭ミルで粉砕することで、細かい粒子状に粉砕した微粉炭を製造する。石炭ミルで製造された微粉炭は、各微粉炭ホッパ14から給炭ライン15を経て、空気分離設備42から供給される搬送用イナートガスとしての窒素ガスによって加圧されて、ガス化炉設備3へ向けて供給される。イナートガスとは、酸素含有率が約5体積%以下の不活性ガスであり、窒素ガスや二酸化炭素ガスやアルゴンガスなどが代表例であるが、必ずしも約5%以下に制限されるものではない。
【0029】
ガス化炉設備3は、給炭設備9で製造された微粉炭が供給されると共に、チャー回収設備11で回収されたチャー(石炭の未反応分と灰分)が戻されて再利用可能に供給されている。
【0030】
ガス化炉設備3には、ガスタービン装置7(圧縮機61)からの圧縮空気供給ライン41が接続されており、ガスタービン装置7で圧縮された圧縮空気の一部が昇圧機68で所定圧力に昇圧されてガス化炉16に供給可能となっている。空気分離設備42は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン43によって空気分離設備42とガス化炉設備3とが接続されている。そして、この第1窒素供給ライン43には、給炭設備9からの給炭ライン15が接続されている。また、第1窒素供給ライン43から分岐する第2窒素供給ライン45もガス化炉設備3に接続されており、この第2窒素供給ライン45には、チャー回収設備11からのチャー戻しライン46が接続されている。更に、空気分離設備42は、酸素供給ライン47によって、圧縮空気供給ライン41と接続されている。そして、空気分離設備42によって分離された窒素は、第1窒素供給ライン43及び第2窒素供給ライン45を流通することで、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用される。また、空気分離設備42によって分離された酸素は、酸素供給ライン47及び圧縮空気供給ライン41を流通することで、ガス化炉設備3において酸化剤として利用される。
【0031】
ガス化炉設備3は、例えば、2段噴流床形式のガス化炉16を備えている。ガス化炉設備3は、内部に供給された石炭(微粉炭)およびチャーを酸化剤(空気、酸素)により部分燃焼させることでガス化させ生成ガスとする。ガス化炉16内は加圧状態とされ、例えば、3〜4MPa(ゲージ圧)とされている。
バーナ30,31は、上下二段に設けられている。下方のバーナ30に相当する位置には、コンバスタ部32が設けられており、微粉炭の一部を燃焼させることでガス化のための熱を供給する。上方のバーナ31に相当する位置には、リダクタ部33が設けられ、微粉炭をガス化する。
リダクタ部33の下流側には、シンガスクーラ(生成ガス冷却器)35が設けられており、生成ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収設備11に供給する。以下では、シンガスクーラをSGCと省略する。SGC35にて、約1100℃の生成ガスが300℃〜450℃まで冷却される。これにより、SGC35では蒸気が生成され、生成後の蒸気がHRSG20や蒸気タービン装置18へと導かれる。
【0032】
ガス化炉設備3には、チャー回収設備11に向けて生成ガスを供給する生成ガスライン49が接続されており、チャーを含む生成ガスが排出可能となっている。
【0033】
チャー回収設備11は、集塵設備51と供給ホッパ52とを備えている。この場合、集塵設備51は、1つまたは複数のサイクロンやポーラスフィルタにより構成され、ガス化炉設備3で生成された生成ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された生成ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製設備5に送られる。供給ホッパ52は、集塵設備51で生成ガスから分離されたチャーを貯留するものである。集塵設備51と供給ホッパ52との間には、チャービン54が配置されている。チャービン54に対して、複数の供給ホッパ52が接続されている。供給ホッパ52からのチャー戻しライン46が第2窒素供給ライン45に接続されている。
【0034】
ガス精製設備5は、チャー回収設備11によりチャーが分離された生成ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。
ガス精製設備5は、生成ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン装置7に供給する。チャーが分離された生成ガス中にはまだ硫黄分(HSなど)が含まれているため、ガス精製設備5では、アミン吸収液などによって硫黄分を除去回収して、有効利用する。
【0035】
具体的には、COS変換器21、スクラバ22、冷却洗浄塔23を経た後に、HS吸収塔24に導かれてHSが吸収される。HS吸収塔24でHSを吸収した吸収液は、吸収液再生塔25で再生されるとともに、HS吸収塔24へ返送される。HS吸収塔24で吸収液から分離されたHSガスは、オフガス燃焼炉26にて焼却処理された後に、排煙脱硫装置27へと導かれる。
【0036】
ガスタービン装置7は、圧縮機61、燃焼器62、ガスタービン63を備えており、圧縮機61とガスタービン63とは、回転軸64により連結されている。燃焼器62には、圧縮機61からの圧縮空気供給ライン65が接続されると共に、ガス精製設備5から燃料ガス供給ライン66が接続されている。
【0037】
燃焼器62とガスタービン63との間には、燃焼ガス供給ライン67が接続されている。ガスタービン装置7は、圧縮機61からガス化炉設備3に延びる圧縮空気供給ライン41が設けられており、中途部に昇圧機68が設けられている。従って、燃焼器62では、圧縮機61から供給された圧縮空気の一部とガス精製設備5から供給された燃料ガスの少なくとも一部とを混合して燃焼させることで燃焼ガスを発生させ、発生させた燃焼ガスをガスタービン63へ向けて供給する。そして、ガスタービン63は、供給された燃焼ガスにより回転軸64を回転駆動させることで発電機19を回転駆動させる。
【0038】
蒸気タービン装置18は、ガスタービン装置7の回転軸64に連結される蒸気タービン69を備えている。蒸気タービン69の下流には、復水器72が接続されている。発電機19は、回転軸64の基端部に連結されている。HRSG20は、ガスタービン63からの排ガスライン70が接続されており、復水器72から導かれた給水とガスタービン63の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。蒸気タービン装置18では、HRSG20から供給された蒸気により蒸気タービン69が回転駆動され、回転軸64を回転させることで発電機19を回転駆動させる。
【0039】
HRSG20の出口には、煙突75が接続されており、燃焼ガスが大気へと放出される。なお、HRSG20の出口に、ガス浄化設備を設けても良い。
【0040】
図2には、蒸気タービン装置18へ蒸気を供給する蒸気系統の詳細が示されている。
蒸気タービン装置18は、蒸気タービン69として、高圧蒸気タービン69aと再熱蒸気タービン69bを備えている。
【0041】
ガス化炉16に設けられたSGC35には、ガス化された生成ガスの流れ方向である下方から上方へ向かって順に、熱交換器として、SGC蒸発器35aと、SGC再熱器35bと、SGC第1過熱器35cと、SGC第2過熱器35dと、SGCエコノマイザ35eとが設けられている。SGC35は、SGC蒸気ドラム36を備えている。
【0042】
SGC蒸気ドラム36には、SGCエコノマイザ35eから加熱後の水が供給される。SGC蒸気ドラム36の下部に貯留された水は、SGC蒸発器35aとの間で循環する。SGC蒸気ドラム36の上部に存在する蒸気は、SGC第1過熱器35cの蒸気入口側に供給される。
【0043】
SGC第1過熱器35cを通過した蒸気は、SGC第1過熱蒸気出口配管44を介してSGC第2過熱器35dへ送られる。SGC第1過熱蒸気出口配管は、後述するHRSG過熱蒸気供給経路80に接続する。なお、SGC第1過熱蒸気出口配管44をSGC第2過熱器35dへ直接接続しても良い。
SGC第2過熱器35dを通過した蒸気は、高圧過熱蒸気供給経路(過熱蒸気供給経路)37を通り、高圧蒸気タービン69aの入口へと導かれる。
【0044】
高圧過熱蒸気供給経路37には、高圧過熱蒸気用開閉弁37aが設けられている。高圧過熱蒸気用開閉弁37aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。高圧過熱蒸気用開閉弁37aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には開とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には閉とされる。
【0045】
高圧過熱蒸気供給経路37には、高圧過熱蒸気用開閉弁37aの上流側から分岐するように、高圧過熱蒸気ブロー経路(系外蒸気排出経路)38が設けられている。高圧過熱蒸気ブロー経路38によって、過熱蒸気が系外(すなわち石炭ガス化複合発電設備1の外部)へと排出される。高圧過熱蒸気ブロー経路38には、高圧過熱蒸気ブロー用開閉弁38aが設けられている。高圧過熱蒸気ブロー用開閉弁38aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。高圧過熱蒸気ブロー用開閉弁38aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には閉とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には開とされる。
【0046】
SGC再熱器35bの蒸気出口と再熱蒸気タービン69bとの間には、再熱蒸気供給経路(過熱蒸気供給経路)39が設けられている。再熱蒸気供給経路39には、再熱蒸気用開閉弁39aが設けられている。再熱蒸気用開閉弁39aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。再熱蒸気用開閉弁39aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には開とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には閉とされる。
【0047】
再熱蒸気供給経路39には、再熱蒸気用開閉弁39aの上流側から分岐するように、再熱蒸気ブロー経路(系外蒸気排出経路)40が設けられている。再熱蒸気ブロー経路40によって、再熱蒸気が系外(すなわち石炭ガス化複合発電設備1の外部)へと排出される。再熱蒸気ブロー経路40には、再熱蒸気ブロー用開閉弁40aが設けられている。再熱蒸気ブロー用開閉弁40aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。再熱蒸気ブロー用開閉弁40aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には閉とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には開とされる。
【0048】
HRSG20は、ガスタービン63から導かれた排ガスの流れ方向である下方から上方へ向かって順に、熱交換器として、HRSG再熱器20aと、HRSG高圧過熱器20bと、HRSG高圧蒸発器20cと、HRSG高圧二次エコノマイザ20dと、HRSG高圧一次エコノマイザ20eと、HRSG中圧エコノマイザ20fとを備えている。
【0049】
HRSG高圧蒸発器20cとHRSG高圧二次エコノマイザ20dとの間には、脱硝触媒48が設けられている。
【0050】
HRSG中圧エコノマイザ20fには、中圧給水ポンプ55によって給水が供給される。HRSG中圧エコノマイザ20fで加熱された給水は、高圧給水ポンプ56を介してHRSG高圧一次エコノマイザ20eへと供給される。
【0051】
HRSG高圧一次エコノマイザ20eからHRSG高圧二次エコノマイザ20dへ供給される水の一部が、シンガスクーラ給水経路57を介してSGCエコノマイザ35eへと供給される。
【0052】
HRSG高圧二次エコノマイザ20dで加熱された給水は、HRSG蒸気ドラム58へと送られる。HRSG蒸気ドラム58の下部に貯留された水は、HRSG高圧蒸発器20cとの間で循環する。HRSG蒸気ドラム58の上部に存在する蒸気は、HRSG高圧過熱器20bの蒸気入口側に供給される。
【0053】
HRSG高圧過熱器20bの蒸気出口側とSGC第2過熱器35dの蒸気入口との間には、HRSG過熱蒸気供給経路(第1蒸気供給経路)80が設けられている。HRSG過熱蒸気供給経路80には、HRSG過熱蒸気用開閉弁80aが設けられている。HRSG過熱蒸気用開閉弁80aは、図示しない制御部によってその開度が制御される。HRSG過熱蒸気用開閉弁80aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には開とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には閉とされる。HRSG過熱蒸気用開閉弁80aは、開閉時には、急激に開閉されるものではなく、所定の開閉速度で開閉動作が制御される。これにより、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時に蒸気経路が徐々に切り換えられる。したがって、本実施形態では、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時の際に用いられる蒸気系統の弁については、所定の開閉速度で開閉動作が制御される。
【0054】
HRSG過熱蒸気用開閉弁80aの上流側とHRSG高圧過熱器20bの下流側との間には、HRSG過熱蒸気バイパス経路(第2蒸気供給経路)81が設けられている。HRSG過熱蒸気バイパス経路81によって、HRSG高圧過熱器20bから供給された過熱蒸気が、SGC35をバイパスして高圧蒸気タービン69aへと供給される。
【0055】
HRSG過熱蒸気バイパス経路81には、HRSG過熱蒸気バイパス弁81aが設けられている。HRSG過熱蒸気バイパス弁81aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。HRSG過熱蒸気バイパス弁81aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には閉とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には開とされる。
【0056】
HRSG再熱器20aには、高圧蒸気タービン69aから排気された蒸気が導かれる。HRSG再熱器20aにて再熱された再熱蒸気は、HRSG再熱蒸気供給経路(第1蒸気供給経路)82を介して、SGC再熱器35bの蒸気入口側へと供給される。HRSG再熱蒸気供給経路82には、HRSG再熱蒸気用開閉弁82aが設けられている。HRSG再熱蒸気用開閉弁82aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。HRSG再熱蒸気用開閉弁82aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には開とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には閉とされる。
【0057】
HRSG再熱蒸気用開閉弁82aの上流側とHRSG再熱器20aの下流側との間には、HRSG再熱蒸気バイパス経路(第2蒸気供給経路)83が設けられている。HRSG再熱蒸気バイパス経路83によって、HRSG再熱器20aから供給された再熱蒸気が、SGC35をバイパスして再熱蒸気タービン69bへと供給される。
【0058】
HRSG再熱蒸気バイパス経路83には、HRSG再熱蒸気バイパス弁83aが設けられている。HRSG再熱蒸気バイパス弁83aは、図示しない制御部によってその開閉動作が制御される。HRSG再熱蒸気バイパス弁83aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には閉とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時及び停止時には開とされる。
【0059】
HRSG再熱蒸気供給経路82には、HRSG再熱蒸気用開閉弁82aの下流側に、補助蒸気供給経路85が設けられている。補助蒸気供給経路85には、図示しない制御部の指令によって開度制御される補助蒸気開閉弁85aが設けられている。補助蒸気供給経路85は、ガス化炉16の起動・停止時に蒸気を供給し、燃焼中または停止後の残熱による空焚きを防止するものである。補助蒸気の供給源としては、例えば、シンガスクーラ35で生成された蒸気(例えばSGC第1過熱蒸気出口配管44から導かれる蒸気)や、HRSG過熱蒸気供給経路80から導かれる蒸気、HRSG再熱蒸気供給経路82から導かれる蒸気が用いられる。したがって、補助蒸気開閉弁85aは、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時には閉とされ、石炭ガス化複合発電設備1の起動時には開とされる。
【0060】
図示しない制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータが読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータが読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。
【0061】
[石炭ガス化複合発電設備の動作]
次に、本実施形態の石炭ガス化複合発電設備1の動作について説明する。
<通常運転時>
先ず、石炭ガス化複合発電設備1の通常運転時、すなわち起動後の運転について説明する。
給炭設備9に原炭(石炭)が供給されると、石炭は、給炭設備9において細かい粒子状に粉砕されることで微粉炭となる。給炭設備9で製造された微粉炭は、空気分離設備42から供給される窒素により第1窒素供給ライン43を流通してガス化炉設備3に供給される。また、後述するチャー回収設備11で回収されたチャーが、空気分離設備42から供給される窒素により第2窒素供給ライン45を流通してガス化炉設備3に供給される。更に、後述するガスタービン装置7から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離設備42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通してガス化炉設備3に供給される。
【0062】
ガス化炉設備3では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、生成ガスを生成する。そして、この生成ガスは、ガス化炉設備3から生成ガスライン49を通って排出され、チャー回収設備11に送られる。
【0063】
このチャー回収設備11にて、生成ガスは、まず、集塵設備51に供給されることで、生成ガスに含有する微粒のチャーが分離される。そして、チャーが分離された生成ガスは、ガス排出ライン53を通してガス精製設備5に送られる。一方、生成ガスから分離した微粒のチャーは、供給ホッパ52に堆積され、チャー戻しライン46を通ってガス化炉設備3に戻されてリサイクルされる。
【0064】
チャー回収設備11によりチャーが分離された生成ガスは、ガス精製設備5にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。
【0065】
圧縮機61は、圧縮空気を生成して燃焼器62に供給する。この燃焼器62は、圧縮機61から供給される圧縮空気と燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスによりガスタービン63を回転駆動することで、回転軸64を介して圧縮機61及び発電機19を回転駆動する。このようにして、ガスタービン装置7は発電を行うことができる。
【0066】
HRSG20は、ガスタービン63から排出された排ガスと、復水器72から供給された給水とで熱交換を行うことにより蒸気を生成する。
【0067】
図2には通常運転時の蒸気系統が示されている。同図の各弁において黒塗り表示が閉を示し、白抜き表示が開を示す。
通常運転時には、制御部の指令によって、高圧過熱蒸気用開閉弁37a及びHRSG過熱蒸気用開閉弁80aが開とされるとともに、高圧過熱蒸気ブロー用開閉弁38a及びHRSG過熱蒸気バイパス弁81aが閉とされる。また、制御部の指令によって、再熱蒸気用開閉弁39a及びHRSG再熱蒸気用開閉弁82aが開とされるとともに、再熱蒸気ブロー用開閉弁40a及びHRSG再熱蒸気バイパス弁83aが閉とされる。また、補助蒸気開閉弁85aは閉とされる。
【0068】
HRSG高圧過熱器20bで生成された過熱蒸気は、HRSG過熱蒸気供給経路80を介してSGC第2過熱器35dの蒸気入口側へと供給される。SGC第2過熱器35dの上流側では、SGC第1過熱器35cから導かれた過熱蒸気と、HRSG高圧過熱器20bから導かれた過熱蒸気とが合流する。
【0069】
SGC第2過熱器35dでは、HRSG高圧過熱器20bで過熱された過熱蒸気をさらに過熱して例えば600℃程度まで昇温させる。このように過熱された過熱蒸気は、高圧過熱蒸気供給経路37を介して高圧蒸気タービン69aへと供給される。
【0070】
HRSG再熱器20aで生成された再熱蒸気は、HRSG再熱蒸気供給経路82を介してSGC再熱器35bの蒸気入口側へと供給される。SGC再熱器35bでは、HRSG再熱器20aで再熱された再熱蒸気をさらに過熱して昇温させる。このように過熱された再熱蒸気は、再熱蒸気供給経路39を介して再熱蒸気タービン69bへと供給される。
【0071】
蒸気タービン装置18では、供給された蒸気により回転駆動されることで、回転軸64を介して発電機19を回転駆動し、発電を行う。
なお、ガスタービン装置7と蒸気タービン装置18は同一軸として1つの発電機19を回転駆動しなくてもよく、別の軸として複数の発電機を回転駆動しても良い。
【0072】
<起動時の動作>
石炭ガス化複合発電設備1の起動時における蒸気系統の動作について以下に説明する。
図3には、起動時の状態が示されている。同図の各弁において黒塗り表示が閉を示し、白抜き表示が開を示す。
起動時には、先ず、ガス化炉16よりも先に、補助燃料を用いてガスタービン63と蒸気タービン69を起動する。したがって、起動時にはSGC35は冷態とされている。
【0073】
起動時には、制御部の指令によって、高圧過熱蒸気用開閉弁37a及びHRSG過熱蒸気用開閉弁80aが閉とされるとともに、高圧過熱蒸気ブロー用開閉弁38a及びHRSG過熱蒸気バイパス弁81aが開とされる。これにより、HRSG高圧過熱器20bから導かれた過熱蒸気がHRSG過熱蒸気バイパス経路81を通り高圧蒸気タービン69aへと導かれる。したがって、HRSG高圧過熱器20bから導かれた過熱蒸気が冷態とされたSGC35へ導かれて冷却されることがない。また、SGC第2過熱器35dから導かれた蒸気は高圧過熱蒸気ブロー経路38を通り系外へ排出される。
【0074】
制御部の指令によって、再熱蒸気用開閉弁39a及びHRSG再熱蒸気用開閉弁82aが閉とされるとともに、再熱蒸気ブロー用開閉弁40a及びHRSG再熱蒸気バイパス弁83aが開とされる。これにより、HRSG再熱器20aから導かれた再熱蒸気がHRSG再熱蒸気バイパス経路83を通り再熱蒸気タービン69bへと導かれる。したがって、HRSG再熱器20aから導かれた再熱蒸気が冷態とされたSGC35へ導かれて冷却されることがない。また、SGC再熱器35bから導かれた蒸気は再熱蒸気ブロー経路40を通り系外へ排出される。
【0075】
補助蒸気開閉弁85aは開とされ、起動用の補助蒸気がSGC再熱器35bへと導かれる。
【0076】
<停止時の動作>
石炭ガス化複合発電設備1の停止時における蒸気系統の動作について以下に説明する。
停止時における各弁の動作は、図3に示した起動時と基本的に同様である。同図の各弁において黒塗り表示が閉を示し、白抜き表示が開を示す。
【0077】
停止時には、制御部の指令によって、高圧過熱蒸気用開閉弁37a及びHRSG過熱蒸気用開閉弁80aが閉とされるとともに、高圧過熱蒸気ブロー用開閉弁38a及びHRSG過熱蒸気バイパス弁81aが開とされる。これにより、HRSG高圧過熱器20bから導かれた過熱蒸気がHRSG過熱蒸気バイパス経路81を通り高圧蒸気タービン69aへと導かれる。したがって、HRSG高圧過熱器20bから導かれた過熱蒸気がSGC35へ導かれて再加熱されることがない。また、SGC第2過熱器35dから導かれた蒸気は高圧過熱蒸気ブロー経路38を通り系外へ排出される。
【0078】
制御部の指令によって、再熱蒸気用開閉弁39a及びHRSG再熱蒸気用開閉弁82aが閉とされるとともに、再熱蒸気ブロー用開閉弁40a及びHRSG再熱蒸気バイパス弁83aが開とされる。これにより、HRSG再熱器20aから導かれた再熱蒸気がHRSG再熱蒸気バイパス経路83を通り再熱蒸気タービン69bへと導かれる。したがって、HRSG再熱器20aから導かれた再熱蒸気がSGC35へ導かれて再加熱されることがない。また、SGC再熱器35bから導かれた蒸気は再熱蒸気ブロー経路40を通り系外へ排出される。
【0079】
補助蒸気開閉弁85aは、補助蒸気の供給の必要はないので閉とされる。
【0080】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
HRSG高圧過熱器20bで生成された過熱蒸気をSGC第2過熱器35dでさらに過熱した後に、高圧過熱蒸気供給経路37を介して高圧蒸気タービン69aへ導くこととした。これにより、高圧蒸気タービン69aへ供給される過熱蒸気の温度を高くすることができ、蒸気タービン69の効率及び石炭ガス化複合発電設備1のプラント効率を改善することができる。
【0081】
HRSG高圧過熱器20bで生成された過熱蒸気を、SGC第2過熱器35dをバイパスして高圧蒸気タービン69aへ供給するHRSG過熱蒸気バイパス経路81を設けることとしたので、HRSG高圧過熱器20bからの蒸気を高圧蒸気タービン69aへ直接供給することができる。これにより、起動時に冷態とされたSGC35で蒸気が冷却されることを回避できる。また、停止時にはSGC35で再加熱された蒸気を導かずにHRSG過熱蒸気バイパス経路81を介して蒸気を高圧蒸気タービン69aへ導くことができるので、速やかに高圧蒸気タービン69aへ導かれる蒸気温度を低下させることができる。
【0082】
高圧過熱蒸気供給経路37に系外へ蒸気を導く高圧過熱蒸気ブロー経路38を設けることとしたので、SGC35からの蒸気を系外へ排出することができる。これにより、石炭ガス化複合発電設備1の起動時には、冷態とされたSGC35から導かれる比較的温度が低い蒸気を高圧蒸気タービン69aに導くことを回避できる。また、停止時には、SGC35で加熱された蒸気を高圧蒸気タービン69aへ供給することを回避できるので、速やかな蒸気タービンの停止動作を実現することができる。
【0083】
HRSG再熱器20aで生成された再熱蒸気をSGC再熱器35bでさらに再熱した後に、再熱蒸気供給経路39を介して再熱蒸気タービン69bへ導くこととした。これにより、再熱蒸気タービン69bへ供給される再熱蒸気の温度を高くすることができ、蒸気タービン69の効率及び石炭ガス化複合発電設備1のプラント効率を改善することができる。
【0084】
HRSG再熱器20aで生成された再熱蒸気を、SGC再熱器35bをバイパスして再熱蒸気タービン69bへ供給するHRSG再熱蒸気バイパス経路83を設けることとしたので、HRSG再熱器20aからの再熱蒸気を再熱蒸気タービン69bへ直接供給することができる。これにより、起動時に冷態とされたSGC35で蒸気が冷却されることを回避できる。また、停止時にはSGC35で再加熱された蒸気を導かずにHRSG再熱蒸気バイパス経路83を介して蒸気を再熱蒸気タービン69bへ導くことができるので、速やかに再熱蒸気タービン69bへ導かれる蒸気温度を低下させることができる。
【0085】
再熱蒸気供給経路39に系外へ蒸気を導く再熱蒸気ブロー経路40を設けることとしたので、SGC再熱器35bからの蒸気を系外へ排出することができる。これにより、石炭ガス化複合発電設備1の起動時には、冷態とされたSGC35から導かれる比較的温度が低い蒸気を再熱蒸気タービン69bに導くことを回避できる。また、停止時には、SGC35で加熱された蒸気を再熱蒸気タービン69bへ供給することを回避できるので、速やかな蒸気タービンの停止動作を実現することができる。
【0086】
なお、上述した実施形態では、高圧蒸気タービン69aへ導かれる高圧過熱蒸気系統および再熱蒸気タービン69bへ導かれる再熱蒸気系統のそれぞれに対して、SGC35で再加熱する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0087】
例えば、図4に示すように、高圧蒸気タービン69aへ導かれる高圧過熱蒸気系統のみに対して、SGC35で再加熱する構成としも良いし、図5に示すように再熱蒸気タービン69bへ導かれる再熱蒸気系統のみに対して、SGC35で再加熱する構成としても良い。図4及び図5では、起動時における弁状態が示されている。
【0088】
図4では、再熱蒸気タービン69bに対してHRSG再熱器20aから再熱蒸気が直接導かれるようになっており、図5では、高圧蒸気タービン69aに対してHRSG高圧過熱器20bからHRSG過熱蒸気供給経路80を介して高圧過熱蒸気が直接導かれる。図5では、高圧蒸気タービン69aに供給される過熱蒸気温度は540℃程度とされる。また、図5では、SGC第2過熱器35dからの過熱蒸気はSGC過熱蒸気供給経路37’を介してHRSG蒸気ドラム58及びHRSG高圧過熱器20bの蒸気入口側へ供給される。
【符号の説明】
【0089】
1 石炭ガス化複合発電設備(ガス化複合発電設備)
3 ガス化炉設備
7 ガスタービン装置
16 ガス化炉
18 蒸気タービン装置
20 排熱回収ボイラ(HRSG)
35 シンガスクーラ(生成ガス冷却器:SGC)
37 高圧過熱蒸気供給経路(過熱蒸気供給経路)
38 高圧過熱蒸気ブロー経路(系外蒸気排出経路)
39 再熱蒸気供給経路(過熱蒸気供給経路)
40 再熱蒸気ブロー経路(系外蒸気排出経路)
62 燃焼器
63 ガスタービン
69 蒸気タービン
69a 高圧蒸気タービン
69b 再熱蒸気タービン
80 HRSG過熱蒸気供給経路(第1蒸気供給経路)
81 HRSG過熱蒸気バイパス経路(第2蒸気供給経路)
82 HRSG再熱蒸気供給経路(第1蒸気供給経路)
83 HRSG再熱蒸気バイパス経路(第2蒸気供給経路)
図1
図2
図3
図4
図5