【解決手段】圧縮機1は、複数段のディスク、ディスクの下流側に接続された軸部、及び、複数段のディスクに固定された動翼段を有するロータと、圧縮機ケーシング、及び動翼段の間にそれぞれ配置される複数段の静翼段を有するステータと、最終段のディスクの軸線方向下流側で周方向に間隔をあけて配置された翼本体、及び翼本体を径方向内側で周方向に接続する内側シュラウドを有する出口案内翼と、最終段のディスクの軸線方向下流側にディスクと隙間を介して配置されたインナーケーシングと、を備え、インナーケーシングは内側シュラウドを収容する凹部を有するとともに凹部の下流側で圧縮機ケーシングの内周面とともにディフューザを形成する外周壁面と、抽気キャビティを形成する内周壁面と、を有し、凹部内における下流側の部分に抽気孔が形成されている。
前記インナーケーシングにおける前記出口案内翼よりも下流側の部分は、下流側に向かうに従って径方向内側に延びている請求項1から3のいずれか一項に記載の圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一実施形態>
(ガスタービンの構成)
以下、本開示の第一実施形態に係るガスタービン100、及び圧縮機1について、
図1から
図3を参照して説明する。なお、以下の説明において、「同一」との表現は、寸法や形状が実質的な同一をなすことを意味し、設計上の公差や、製造上の誤差は許容されるものとする。
図1に示すように、ガスタービン100は、圧縮機1と、燃焼器2と、タービン3と、ロータ4と、を備えている。圧縮機1は、外部から取り込んだ空気を圧縮して高圧空気を生成する。燃焼器2は、この高圧空気と燃料の混合気を燃焼させることで、高温高圧の燃焼ガスを生成する。タービン3は、この燃焼ガスによって駆動される。圧縮機1とタービン3とは、ロータ4によって同軸に接続されている。したがって、タービン3の回転駆動力は、ロータ4を介して圧縮機1に伝達される。これにより、圧縮機1が駆動される。
【0012】
(圧縮機の構成)
次いで、
図2又は
図3を参照して、圧縮機1の構成について説明する。圧縮機1は、上述のロータ4と、ステータ7と、出口案内翼8と、インナーケーシング9と、を有している。ロータ4は、軸線Axに延びる円柱状をなしている。ロータ4は、軸線Ax方向に積層された複数のディスク4Dと、軸部4Sと、インデューサ42と、を有している。
【0013】
ディスク4Dは、軸線Axを中心とする円盤状である。それぞれのディスク4Dには、動翼段5が設けられている。動翼段5は、ディスク4Dの外周面(ディスク外周面Ds)から径方向外側に向かって延びる複数の動翼を有している。これら複数の動翼は、軸線Axに対する周方向に配列されている。
【0014】
軸部4Sは、複数のディスク4Dのうち、軸線Ax方向(空気の流れ方向)における最も下流側に位置するディスク4Dの下流側の端面から、さらに下流側に向かって突出している。軸部4Sの径寸法は、ディスク4Dの径寸法よりも小さい。
【0015】
インデューサ42は、軸部4Sの外周面(軸部外周面41)上に設けられた吸気機構である。詳しくは図示しないが、インデューサ42は、軸部4S(ロータ4)の回転にともなって、軸部外周面41近傍の空気を吸い込む。吸込まれた空気は、例えばタービン3の高温部材の冷却等に利用される。
【0016】
ステータ7は、圧縮機ケーシング1Cと、静翼段6と、を有している。圧縮機ケーシング1Cは、軸線Axを中心とする筒状をなしている。圧縮機ケーシングCはロータ4を外周側から覆っている。圧縮機ケーシング1Cの内周面のうち、上記のディスク4Dと対向する部分(ケーシング内周面11)には、複数の静翼段6が設けられている。なお、
図2の例では、1つの静翼段6のみを図示している。静翼段6は、ケーシング内周面11から径方向内側に向かって延びる複数の静翼を有している。これら複数の静翼は、軸線Axに対する周方向に配列されている。また、静翼段6は、上述の動翼段5と軸線Axに沿って交互に配列されている。ケーシング内周面11とディスク外周面Dsとの間の空間(即ち、動翼段5及び静翼段6が設けられている空間)は、高圧の空気が流通する圧縮流路Fcとされている。
【0017】
圧縮機ケーシング1Cの内周面のうち、上記のケーシング内周面11よりも下流側の部分は、拡径面12とされている。拡径面12は、軸線Ax方向の下流側に向かうに従って、径方向外側に向かって延びている。
【0018】
ケーシング内周面11における最終段(最も下流側)の動翼段5よりも下流側には、複数の出口案内翼8が設けられている。出口案内翼8は、最終段の動翼段5を経て下流側に流れてきた高圧空気の流れを整流する(旋回成分を低減する)ために設けられている。出口案内翼8は、最終段のディスク4Dの下流側で、軸線Ax方向に複数配列されている。本実施形態では、一例として出口案内翼8が3列にわたって設けられている。それぞれの出口案内翼8は、ケーシング内周面11から径方向内側に突出するとともに周方向に間隔をあけて配置された複数の翼本体81と、これら翼本体81を周方向に接続する内側シュラウド82と、を有している。翼本体81の径方向内側の端部は、上述のディスク外周面Dsと径方向において同一の位置にある。内側シュラウド82は、翼本体81の径方向内側の端部に設けられている。内側シュラウド82は、軸線Axを中心とする円環状をなしている。内側シュラウド82の軸線Ax方向における寸法は、翼本体81の軸線Ax方向における寸法よりも大きい。
【0019】
最終段のディスク4Dの下流側には、軸線Ax方向に広がる隙間Gを介して、インナーケーシング9が設けられている。インナーケーシング9は、軸線Ax方向に延びる筒状をなしている。インナーケーシング9は、軸線Ax方向で相対的に上流側に位置するインナーケーシング上流部9Uと、下流側に位置するインナーケーシング下流部9Dと、を有している。
【0020】
インナーケーシング上流部9Uは、インナーケーシング9のうち、軸線Ax方向において上記の出口案内翼8と対応する部分である。インナーケーシング上流部9Uの外周面(第一外周面91A)は、ディスク4Dの外径寸法と同一の外径寸法を有している。第一外周面91Aは、軸線Ax方向の全域にわたって同一の外径寸法を有している。同様に、インナーケーシング上流部9Uの内周面(第一内周面92A)も軸線Ax方向の全域にわたって同一の内径寸法を有している。
【0021】
第一外周面91A上には、上述の内側シュラウド82を収容する複数の凹部Rが形成されている。各凹部Rは、第一外周面91Aから径方向内側に凹んでいる。各凹部Rは、軸線Axを中心とする円環状をなすとともに、軸線Axを含む断面視で矩形状をなしている。また、この凹部Rと内側シュラウド82との間にはわずかな隙間が形成されている。つまり、凹部Rの容積は、内側シュラウド82の体積よりもわずかに大きい。内側シュラウド82の外周面は、径方向において第一外周面91Aと同一の位置にある。
【0022】
インナーケーシング下流部9Dは、インナーケーシング上流部9Uの下流側に一体に設けられている。インナーケーシング下流部9Dの外周面(第二外周面91B)は、軸線Ax方向の下流側に向かうに従って、径方向内側に向かって延びている。第二外周面91Bは、上述した圧縮機ケーシング1Cの拡径面12に対向している。インナーケーシング下流部9Dの内周面(第二内周面92B)も、軸線Ax方向の下流側に向かうに従って、径方向内側に向かって延びている。
【0023】
上述した第一外周面91Aと、第二外周面91Bは、インナーケーシング9の外周壁面91を形成している。この外周壁面91と、圧縮機ケーシング1Cの内周面によって、ディフューザ空間D(ディフューザ)が形成される。ディフューザ空間Dは、上記の圧縮流路Fcを経て下流側に流れてきた高圧空気の流速を下げることで、静圧を回復させるために設けられている。
【0024】
また、第一内周面92Aと、第二内周面92Bは、インナーケーシング9の内周壁面92を形成している。この内周壁面92と、軸部4Sの外周面(軸部外周面41)との間には、抽気キャビティCsとしての空間が形成されている。この抽気キャビティCsは、インナーケーシング9と最終段のディスク4Dとの間に形成されている隙間Gを介してディフューザ空間Dと連通している。抽気キャビティCs内の空気は、上述のインデューサ42によって抽気される。つまり、抽気キャビティCs内では、隙間Gから当該インデューサ42に向かう空気の流れが形成されている。
【0025】
さらに、上述の複数の凹部Rのうち、最も下流側に位置する凹部Rdには抽気孔Hが形成されている。この抽気孔Hは、凹部Rdの底面(内周側の面)から径方向内側に延びることで、インナーケーシング9を径方向に貫通している。つまり、この抽気孔Hによって、ディフューザ空間Dと抽気キャビティCsとが連通されている。これにより、抽気キャビティCs内では、上述の隙間Gから当該インデューサ42に向かう空気の流れに加えて、抽気孔Hからインデューサ42に向かう他の空気の流れが形成されている。なお、
図3に拡大して示すように、抽気孔Hは、当該凹部Rdのうち、下流側に偏った部分に形成されている。言い換えると、抽気孔Hの下流側の端面は、凹部Rdの下流側の端面に接している。
【0026】
(作用効果)
次に、本実施形態に係るガスタービン100、及び圧縮機1の動作について説明する。ガスタービン100を運転するに当たっては、まず外部の駆動源(電動機等)によって、ロータ4を回転させる。ロータ4の回転にともなって、圧縮機1は外部の空気を取り込んで圧縮し、高圧空気を生成する。燃焼器2は、この高圧空気に燃料を混合させて混合気を生成するとともに、当該混合気を燃焼させることで高温高圧の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスはタービン3に供給され、当該タービン3を駆動させる(ロータ4に回転力を与える。)。ロータ4の回転力は圧縮機1に伝達される。このようなサイクルが連続的に生じることで、ガスタービン100が運転される。
【0027】
圧縮機1では、圧縮流路Fcを経て、高圧の空気がディフューザ空間Dに供給される。ここで、ディフューザ空間D内では空気の流れの静圧回復が生じることから、下流側になるほど圧力が高くなっている。このため、例えば上述の抽気孔Hが形成されていない場合、凹部Rと内側シュラウド82との間の隙間を通じて下流側から上流側に向かう漏れ流れが生じることがある。このような漏れ流れが主流に合流することで損失が発生してしまう。そこで、本実施形態に係る圧縮機1では、最も下流側の凹部Rdに、抽気キャビティCsとディフューザ空間Dとを連通する抽気孔Hが形成されている。これにより、最も下流側の凹部Rd内に流れ込んだ漏れ流れを、抽気孔Hを通じて抽気キャビティCsに導くことができる。その結果、当該凹部Rdよりも上流側に向かう漏れ流れを低減することができる。したがって、圧縮機1の内部で生じる損失を抑制することができる。
【0028】
さらに、上記構成によれば、出口案内翼8が複数設けられていることにより、ディフューザ空間Dに流れ込む流体の流れに含まれる旋回成分(ロータ4の回転方向に旋回する流れ成分)をより小さく抑えることができる。その結果、軸線Ax方向の流れ成分が大きくなり、圧縮機1の性能をさらに向上させることができる。
【0029】
また、上記構成によれば、抽気孔Hが設けられていることで、漏れ流れの低減と同時に、ディフューザ空間Dにおける境界層の発達も抑制することができる。したがって、上記のようにインナーケーシング9における出口案内翼8よりも下流側の部分である第二外周面91Bを下流側に向かうに従って縮径させることが可能となる。これにより、ディフューザ空間Dの流路断面積をさらに拡大させることができる。その結果、当該ディフューザ空間Dによる流体の静圧回復をさらに促進することができる。
【0030】
<第二実施形態>
続いて、本開示の第二実施形態について、
図4と
図5を参照して説明する。なお、上記第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施形態に係る圧縮機1Bでは、主にロータ4b、及びインナーケーシング9bの構成が第一実施形態とは異なっている。
【0031】
ロータ4bは、最も下流側のディスク4Dのさらに下流側に一体に形成されたロータ延長部4Eをさらに有している。ロータ延長部4Eは、軸線Axを中心とする円筒状をなすことで、上述の軸部4Sを外周側から隙間なく覆っている。ロータ延長部4Eの外周面は、ディスク外周面Dsの外径寸法と同一の径寸法を有する第一外周面91A´とされている。この第一外周面91A´には、出口案内翼8の内側シュラウド82を収容する複数の凹部Rbが形成されている。また、本実施形態では、内側シュラウド82の内周面に、凹部Rbと当該内側シュラウド82との間の流体の流れをシールするシール部Sが設けられている。具体的にはシール部Sは、内側シュラウド82の内周面から径方向内側に向かって突出する複数のシールフィンである。なお、シール部Sとして、シールフィンに代えて、ラビリンスシール等の他の構成を適用することも可能である。
【0032】
複数の凹部Rbのうち、最も下流側に位置する凹部Rd´は、上流側に位置する他の凹部Rbと形状が異なっている。具体的に、当該凹部Rd´の下流側の部分は、下流側に向かって開口している。言い換えれば、この凹部Rd´は、上流側の端面と底面のみによって画定されている。
【0033】
この凹部Rd´の下流側には、軸線Ax方向に間隔(連通部Hc)をあけて、インナーケーシング9bが設けられている。インナーケーシング9bは、下流側に向かうに従って、軸線Axに対する径方向内側に向かって延びる筒状をなしている。インナーケーシング9bの外周面(第二外周面91B)は、上記の第一外周面91A´とともに、外周壁面91を形成している。外周壁面91は、上述の第一実施形態と同様に、圧縮機ケーシング1Cの内周面とともにディフューザ空間Dを画定している。
【0034】
インナーケーシング9bの内周面は、内周壁面92とされている。内周壁面92と軸部外周面41との間には、抽気キャビティCs´が形成されている。さらに、インナーケーシング9bの上流側の端面(上流側端面9T)は、上記の連通部Hcを介して、凹部Rd´及びロータ延長部4Eの下流側の端面(延長部端面Et)と対向している。
【0035】
ここで、ディフューザ空間D内では流体の静圧回復が生じることから、下流側になるほど流体の圧力が高くなっている。このため、上記の凹部Rbを通じて下流側から上流側に向かう漏れ流れが生じることがある。このような漏れ流れが主流に合流することで損失が発生してしまう。しかしながら、上記構成では、凹部Rd´の下流側の部分が下流側に向かって開口している。さらに、この凹部Rd´とインナーケーシング9bとの間には、連通孔Hcとしての間隙が形成されている。これにより、凹部Rd´内に流れ込んだ漏れ流れを、連通部Hcを通じて抽気キャビティCs´に導くことができる。その結果、凹部Rd´よりも上流側に向かう漏れ流れを低減することができる。したがって、圧縮機1Bの性能をさらに向上させることができる。
【0036】
さらに、上記構成によれば、出口案内翼8が複数設けられていることにより、その下流側のディフューザ空間Dに流れ込む空気の流れから旋回成分(ロータ4の回転方向に旋回する流れ成分)をより小さく抑えることができる。その結果、軸線Ax方向に向かう流れ成分が大きくなり、圧縮機1Bの性能をさらに向上させることができる。
【0037】
また、上記構成によれば、連通部Hcが設けられていることで、漏れ流れの低減と同時に、ディフューザ空間Dでの境界層の発達も抑制することができる。したがって、上記のようにインナーケーシング9bを下流側に向かうに従って縮径させることで、ディフューザの流路断面積を拡大させることができる。その結果、当該ディフューザ空間Dによる流体の静圧回復をさらに促進することができる。
【0038】
加えて、上記構成によれば、凹部Rd´を通じて上流側に向かう漏れ流れを、シール部Sによってさらに低減することができる。
【0039】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
なお、上記第二実施形態で説明したシール部Sを、第一実施形態に適用することも可能である。また、出口案内翼8の数、及びこれに対応する凹部Rの数は、上記実施形態及び図面によって限定されるものではなく、設計や仕様に応じて適宜変更することが可能である。
【0040】
<付記>
各実施形態に記載の圧縮機1、及びガスタービン100は、例えば以下のように把握される。
【0041】
(1)第1の態様に係る圧縮機1は、軸線Ax方向に積層された複数段のディスク4D、該ディスク4Dの軸線Ax方向下流側に接続された軸部4S、及び、複数段の前記ディスク4Dに固定された複数段の動翼段5を有するロータ4と、前記ロータ4を外周側から囲う圧縮機ケーシング1C、及び、前記圧縮機ケーシング1Cに固定されて前記動翼段5の間にそれぞれ配置される複数段の静翼段6を有するステータ7と、最終段の前記ディスク4Dの前記軸線Ax方向下流側で前記圧縮機ケーシング1Cから突出するように周方向に間隔をあけて配置された翼本体81、及び、これら翼本体81を径方向内側で周方向に接続する内側シュラウド82を有する出口案内翼8と、最終段の前記ディスク4Dの軸線Ax方向下流側に該ディスク4Dと隙間Gを介して配置されて、前記軸線Ax方向に筒状に延びるインナーケーシング9と、を備え、該インナーケーシング9は、前記出口案内翼8の内側シュラウド82を収容する凹部Rを有するとともに該凹部Rの前記軸線Ax方向下流側で前記圧縮機ケーシング1Cの内周面とともにディフューザDを形成する外周壁面91と、前記軸部4Sの外周面との間に、前記隙間Gを介して流体が導入される抽気キャビティCsを形成する内周壁面92と、を有し、前記凹部R内における前記軸線Ax方向下流側の部分に、前記インナーケーシング9を径方向に貫通する抽気孔Hが形成されている。
【0042】
ここで、ディフューザD内では流体の静圧回復が生じることから、下流側になるほど流体の圧力が高くなっている。このため、上記の凹部Rを通じて下流側から上流側に向かう漏れ流れが生じることがある。このような漏れ流れが主流に合流することで損失が発生してしまう。しかしながら、上記構成では、凹部Rの下流側の部分に抽気孔Hが形成されている。これにより、凹部R内に流れ込んだ漏れ流れを、抽気孔Hを通じて抽気キャビティCsに導くことができる。その結果、凹部Rよりも上流側に向かう漏れ流れを低減することができる。
【0043】
(2)第2の態様に係る圧縮機1では、前記出口案内翼8は、前記軸線Ax方向に間隔をあけて複数配列され、前記凹部Rは、それぞれの前記出口案内翼8ごとに設けられている。
【0044】
上記構成によれば、出口案内翼8が複数設けられていることにより、その下流側のディフューザDに流れ込む流体の流れに含まれる旋回成分(ロータの回転方向に旋回する流れ成分)をより小さく抑えることができる。その結果、軸線Ax方向に向かう流れ成分が大きくなり、圧縮機1の性能をさらに向上させることができる。
【0045】
(3)第3の態様に係る圧縮機1では、前記複数の凹部Rのうち、最も下流側の前記凹部Rdに前記抽気孔Hが形成されている。
【0046】
上記構成によれば、最も下流側の凹部Rdに抽気孔Hが形成されていることから、当該最も下流側の凹部Rdよりも上流側に漏れ流れが到達する可能性を低減することができる。
【0047】
(4)第4の態様に係る圧縮機1では、前記インナーケーシング9における前記出口案内翼8よりも下流側の部分は、下流側に向かうに従って径方向内側に延びている。
【0048】
上記構成によれば、抽気孔Hが設けられていることで、漏れ流れの低減と同時に、ディフューザDでの境界層の発達も抑制することができる。したがって、上記のようにインナーケーシング9における出口案内翼8よりも下流側の部分を下流側に向かうに従って縮径させることが可能となる。これにより、ディフューザDの流路断面積を拡大させることができる。その結果、当該ディフューザDによる流体の静圧回復をさらに促進することができる。
【0049】
(5)第5の態様に係る圧縮機1Bでは、軸線Ax方向に積層された複数段のディスク4D、該ディスク4Dの軸線Ax方向下流側に接続された軸部4S、及び、複数段の前記ディスク4Dに固定された複数段の動翼段5を有するロータ4と、前記ロータ4を外周側から囲う圧縮機ケーシング1C、及び、前記圧縮機ケーシング1Cに固定されて前記動翼段5の間にそれぞれ配置される複数段の静翼段6を有するステータ7と、最終段の前記ディスク4Dの前記軸線Ax方向下流側で前記圧縮機ケーシング1Cから突出するように周方向に間隔をあけて配置された翼本体81、及び、これら翼本体81を径方向内側で周方向に接続する内側シュラウド82を有する出口案内翼8と、最終段の前記ディスク4Dの下流側に設けられ、前記出口案内翼8の内側シュラウド82を収容する凹部Rbを有するロータ延長部4Eと、前記ロータ延長部4Eの軸線Ax方向下流側に該ロータ延長部4Eと隙間を介して配置されて、前記軸線Ax方向に筒状に延びるインナーケーシング9bと、を備え、該インナーケーシング9bは、前記凹部Rbの前記軸線Ax方向下流側で前記圧縮機ケーシング1Cの内周面とともにディフューザDを形成する外周壁面91と、前記軸部4Sの外周面との間に抽気キャビティCs´を形成する内周壁面92と、を有し、前記凹部Rb内における前記軸線Ax方向下流側の部分は、下流側に向かって開口するとともに、該凹部Rbと前記インナーケーシング9bとの間に前記抽気キャビティCs´に連通する連通部Hcが形成されている。
【0050】
ここで、ディフューザD内では流体の静圧回復が生じることから、下流側になるほど流体の圧力が高くなっている。このため、上記の凹部Rbを通じて下流側から上流側に向かう漏れ流れが生じることがある。このような漏れ流れが主流に合流することで損失が発生してしまう。しかしながら、上記構成では、凹部Rbの下流側の部分が下流側に向かって開口している。さらに、この凹部Rbとインナーケーシング9bとの間には、連通孔Hcとしての間隙が形成されている。これにより、凹部Rb内に流れ込んだ漏れ流れを、連通部Hcを通じて抽気キャビティCs´に導くことができる。その結果、凹部Rbよりも上流側に向かう漏れ流れを低減することができる。
【0051】
(6)第6の態様に係る圧縮機1Bでは、前記出口案内翼8は、前記軸線Ax方向に間隔をあけて複数配列され、前記凹部Rbは、それぞれの前記出口案内翼8ごとに設けられている。
【0052】
上記構成によれば、出口案内翼8が複数設けられていることにより、その下流側のディフューザDに流れ込む流体の流れに含まれる旋回成分(ロータの回転方向に旋回する流れ成分)をより小さく抑えることができる。その結果、軸線Ax方向に向かう流れ成分が大きくなり、圧縮機1Bの性能をさらに向上させることができる。
【0053】
(7)第7の態様に係る圧縮機1Bでは、前記複数の凹部Rbのうち、前記軸線Ax方向で最も下流側の前記凹部Rd´が前記連通部Hcと連通している。
【0054】
上記構成によれば、最も下流側の凹部Rd´が連通部Hcと連通していることから、当該最も下流側の凹部Rd´よりも上流側に漏れ流れが到達する可能性を低減することができる。
【0055】
(8)第8の態様に係る圧縮機1Bでは、前記インナーケーシング9bは、該下流側に向かうに従って径方向内側に延びている。
【0056】
上記構成によれば、連通部Hcが設けられていることで、漏れ流れの低減と同時に、ディフューザDでの境界層の発達も抑制することができる。したがって、上記のようにインナーケーシング9bを下流側に向かうに従って縮径させることが可能となる。これにより、ディフューザDの流路断面積を拡大させることができる。その結果、当該ディフューザDによる流体の静圧回復をさらに促進することができる。
【0057】
(9)第9の態様に係る圧縮機1Bでは、前記内側シュラウド82の内周面に設けられ、該内周面と前記凹部Rbとの間の流体の流れをシールするシール部Sをさらに備える。
【0058】
上記構成によれば、凹部Rbを通じて上流側に向かう漏れ流れを、シール部Sによってさらに低減することができる。
【0059】
(10)第10の態様に係るガスタービン100は、上記いずれか一の態様に係る圧縮機1,1Bと、該圧縮機1,1Bによって生成された高圧流体と燃料の混合気を燃焼させることで燃焼ガスを生成する燃焼器2と、前記燃焼ガスによって駆動されるタービン3と、を備える。
【0060】
上記構成によれば、圧縮機1,1Bの漏れ流れが低減されることで、当該圧縮機1,1Bの損失が低減される。その結果、ガスタービン100としての効率をさらに向上させることができる。