【解決手段】油煙清浄装置1は、空気を取り込む吸込口、空気を排出する排出口16C、吸込口と排出口16Cとを連通する排気通路40、および排気通路40を流通する空気を浄化する空気浄化フィルタ80を設置可能なフィルタ設置部、を備える筐体10と、排気通路40に設けたファン31と、ファン31を回転させるファンモーター32と、排気通路40を流通する空気から油分を捕集する油捕集フィルタ50と、油捕集フィルタ50を回転させるフィルタモーター60と、ファンモーター32の回転数を制御する第一制御部と、フィルタモーター60の回転数を制御する第二制御部と、を有する。第一制御部は、フィルタ設置部に空気浄化フィルタ80が設置されているか否かにかかわらず、排気通路40を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように、ファンモーター32の回転数を制御する。
前記第一制御部は、前記フィルタ設置部に前記空気浄化フィルタが設置されている場合には前記空気浄化フィルタの種類にかかわらず、前記排気通路を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように、前記ファンモーターの回転数を制御する、請求項1に記載の油煙清浄装置。
前記第一制御部は、前記ファンモーターの回転数の制御を、あらかじめ測定された、前記ファンモーターの回転数と電流との関係の測定結果を用いて行う、請求項1または2に記載の油煙清浄装置。
前記第一制御部は、前記測定結果を、前記ファンモーターの回転数と電流との関係を示す、関数として、またはテーブルとして保有する、請求項3に記載の油煙清浄装置。
前記空気浄化フィルタは、脱煙フィルタ、脱臭フィルタ、除菌フィルタ、集塵フィルタ、または電気集塵フィルタのいずれかまたはこれらの任意の組み合わせである、請求項1から5のいずれかに記載の油煙清浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[油煙清浄装置の機械系の構成]
以下、
図1〜
図14を参照して、本発明の油煙清浄装置の機械系の構成の実施形態を説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る油煙清浄装置1を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る油煙清浄装置1を示す平面図である。
図3は、本実施形態に係る油煙清浄装置1を示す正面図である。
図4は、本実施形態に係る油煙清浄装置1を示す背面図である。
図5は、本実施形態に係る油煙清浄装置1を示す底面図である。
図6は、
図3の6−6線に沿う断面図である。
図7は、
図6のA部における拡大図である。
図8は、右側面パネル12を省略したときの油煙清浄装置1を示す斜視図である。
図9は、整流板20を開いたときの油煙清浄装置1を示す斜視図である。
図10は、整流板20および正面パネル11を省略したときの油煙清浄装置1を示す正面図である。
図11は、右側面パネル12を省略したときの油煙清浄装置1を示す斜視図である。
図12は、油回収部70の構成を説明するための分解図である。
図13は、油回収部70の変形例の構成を説明するための概略図である。
図14は、油回収部70の変形例を説明するための概略図である。
【0013】
以下の説明において、正面側から視て左右方向をX方向と称し、油煙清浄装置1の奥行方向をY方向と称し、鉛直方向をZ方向と称する(
図1参照)。
【0014】
本実施形態に係る油煙清浄装置1は、飲食店のフロアに配置される。ここで、飲食店のフロアとは、調理場を除くスペースであって、客席、階段、および出入り口等を意味する。
【0015】
本実施形態に係る油煙清浄装置1は、
図1〜
図14に示すように、筐体10を有し、筐体10は、空気を取り込む吸込口(隙間)20A、20D、20E、空気を排出する排出口16C、および吸込口20Aと排出口16Cとを連通する排気通路40(
図6参照)を備える。筐体10は、フィルタ設置部83を備え、フィルタ設置部83には排気通路40を流通する空気を浄化する空気浄化フィルタ80が設置される。筐体10の側面部および天面部には整流板20が設けられる。筐体10内の排気通路40には送風機30が配置される。送風機30は、ファン31と、ファン31を回転させるファンモーター32とを有する。筐体10は、油捕集フィルタ50を備え、油捕集フィルタ50は、送風機30よりも上流に配置され排気通路40を流通する空気から油分を捕集する。油捕集フィルタ50は、フィルタモーター60によって高速で回転される。油捕集フィルタ50によって捕集された油は油回収部70によって回収される。筐体10には、油煙清浄装置1の動作を制御する制御部100が設けられ、制御部100は、ファンモーター32の回転数を制御する第一制御部110と、フィルタモーター60の回転数を制御する第二制御部120とを有する。以下、各構成について説明する。
【0016】
<筐体10>
筐体10は、
図1〜
図5、
図8に示すように、正面側に設けられる正面パネル(化粧板に相当)11と、正面側から視て右側に設けられる右側面パネル12と、正面側から視て左側に設けられる左側面パネル13と、背面側に設けられる背面パネル14と、天面に設けられる載置部15と、下面に設けられる下面部16と、正面パネル11のY方向のプラス側に設けられるパネル傾斜部17と、正面パネル11、右側面パネル12、左側面パネル13、背面パネル14、および下面部16の内方に設けられる内面パネル18と、を有する。
【0017】
正面パネル11は、
図6に示すように、Z方向において、送風機30に対応する位置に設けられる。このように正面パネル11が配置されることによって、正面パネル11が防音板として機能して客席に伝わる送風機30のファンモーター32の音を低減することができる。
【0018】
正面パネル11は、
図1、
図3に示すように、右側面パネル12および左側面パネル13に対して、Z方向に低くなるように構成されている。正面パネル11の上方であって、右側面パネル12および左側面パネル13の間には、整流板20が配置されている。
【0019】
正面パネル11および右側面パネル12の間ならびに正面パネル11および左側面パネル13の間には、Z方向に沿ってスリット部11Aが形成される。
【0020】
スリット部11Aは、整流板20および右側面パネル12の間ならびに整流板20および左側面パネル13の間にZ方向に沿って形成される隙間20Aと、Z方向に連続するように構成される。この構成によれば、隙間20Aおよびスリット部11Aを連続的に清掃できるため、容易に清掃することができる。また、デザインの統一感により筐体10全体のデザイン性が向上する。
【0021】
ここで例えばスリット部11Aが形成されない場合、隙間20Aを介して落下した油が前面側にこぼれ出てきて見映えが悪い。これに対して、本実施形態に係る油煙清浄装置1によれば、スリット部11Aが形成されるため、隙間20Aを介して落下した油は、前面側にこぼれ出ることなく、スリット部11Aを介してZ方向の下方に落下する。このため、見栄えが悪くなることを防止することができる。
【0022】
また、整流板20の天面部および筐体10の間には、
図2に示すように、Y方向に沿って設けられる隙間20D、およびX方向に沿って設けられる隙間20Eが備えられている。隙間20Dは、Y方向に沿って、整流板20のY方向のマイナス側端面からプラス側端面に形成されており、この隙間20Dと連続して、載置部15の両サイドにはスリット部14Bが形成される。隙間20Eは、X方向に沿って設けられる隙間であり、整流板20の天面部のY方向のプラス側の端部と載置部15の間に形成される。
【0023】
隙間20A、20D、20Eは、空気を取り込む吸込口として機能する。ここで、隙間20A、20D、20Eの幅は例えば10mm〜20mmである。このように吸込口が隙間20A、20D、20Eによって形成されることによって、吸い込む際の流速を上げて、隙間20AからY方向のマイナス側に長い距離だけ離間した箇所からも油煙を吸い込むことができる。このためより好適に油煙を清浄することができる。また、吸込口として機能する隙間20A、20D、20Eは比較的幅が小さいため、油捕集フィルタ50を回転させるモーター60の音が外部に漏れることを抑制することができる。
【0024】
隙間20A、20D、20Eは、人の手指が奥まで入らない程度に設定されている。この構成によれば、人の手指が油捕集フィルタ50に接することがないため、安全性を担保することができる。
【0025】
また、吸込口として機能する隙間20Aは、Z方向において、整流板20の上端から整流板20の下端まで形成される。この構成によれば、隙間20Aは、Z方向に長く形成されるため、縦方向(油煙の落下方向)に沿って油煙を吸い込むことができる。したがって、油煙の吸込み効率を向上させることができる。
【0026】
油煙清浄装置1が客席に配置される場合、隙間20Aは、客席のテーブルの高さ(例えば70cm)よりも高い位置にあることが好ましい。この構成によれば、油煙がテーブルに接触するよりも前に、油煙を捕集することができる。
【0027】
右側面パネル12には、
図1に示すように、把持可能に構成された凹状の把持部12Aが設けられている。また、左側面パネル13にも同様に、把持可能に構成された凹状の把持部(不図示)が設けられている。
【0028】
背面パネル14には、
図4に示すように、電源プラグ14Aが設けられる。背面パネル14および右側面パネル12の間ならびに背面パネル14および左側面パネル13の間には、
図4に示すように、スリット部14Bが形成されている。
【0029】
載置部15には、電装品(不図示)が載置される。また、載置部15は、
図6〜
図8に示すように、整流板20の低い側の一端20Bよりも高い位置にある。このように構成された油煙清浄装置1によれば、載置部15において液体(例えば飲み物)をこぼした場合、
図6の矢印に沿って液体は落下するが、電装品は内面パネル18内に収容されているため、電装品に水がかかることを好適に防止することができる。また、整流板20の天面において液体をこぼした場合も同様に、電装品に水がかかることを好適に防止することができる。
【0030】
載置部15は、
図9に示すように、開閉自在に構成されており、スイッチパネル15Aを覆うスイッチカバーとして機能する。スイッチパネル15Aは、油煙清浄装置1の動作を制御するためのパネルであって、例えば、運転スイッチ、風量スイッチ、タイマースイッチ、照明スイッチなどが設けられている。スイッチパネル15Aの下側かつフィルタモーター60の後ろ側には、制御部100が設けられている。
【0031】
下面部16は、
図5に示すように、下面本体16Aと、通気カバー16Bと、を有する。通気カバー16Bは、下面本体16Aに対して固定されている。通気カバー16Bは、例えばパンチングメタルによって構成されている。通気カバー16Bは、
図5に示すように、空気を排出する排出口16Cを無数に有する。排出口16Cは、床面に向けて空気を排出するように形成されている。この構成によれば、排出口16Cを介して、床面に向けて空気を排出するので、煙が拡散することを抑制でき、客に排出された空気があたって、不快感を与えることを抑制することができる。また、排出口16Cが筐体10の下面部16に設けられているため、客の足元に排出された空気があたることを抑制でき、客に不快感を与えることを抑制することができる。
【0032】
パネル傾斜部17は、
図8、
図11に示すように、Y方向のプラス側に沿って、Z方向の上側となるように傾斜して設けられる。このようにパネル傾斜部17が設けられることによって、隙間20Aから入る空気(特に隙間20Aの下方領域から入ってくる空気)を油捕集フィルタ50の方向へ誘導することができる(
図8、
図11矢印参照)。
【0033】
内面パネル18は、
図8に示すように、中空のL字状に構成される。内面パネル18の内方には、送風機30や空気浄化フィルタ80等が設けられる。
【0034】
筐体10の下部には脚部90が固定されている。脚部90は、4本から構成されている。このように筐体10の下部に脚部90が設けられることによって、床面と筐体10の下面部16との間のスペースを確保することができ、下面部16から空気を排気する際に好適に排気することができる。また、床面を清掃する際に筐体10と接触しにくくなるため、清掃が容易となる。
【0035】
<整流板20>
整流板20は、正面パネル11の上方であって、右側面パネル12および左側面パネル13の間に設けられる。整流板20は、
図9に示すように、側面から視て、略L字状に構成されている。整流板20は、
図9に示すように、内面パネル18に対して回動自在に取り付けられる。整流板20は、閉じられた状態で、整流板20および右側面パネル12の間ならびに整流板20および左側面パネル13の間に吸込口としての隙間20Aを形成する。また、整流板20は、整流板20が載置部15に当接するまで回動可能となっている。また、整流板20および正面パネル11の間には隙間20Cが形成される。隙間20Cは、整流板20を回動した際に、正面パネル11と干渉しないためのクリアランスとして機能する。
【0036】
整流板20は、
図1に示すように、整流板20および右側面パネル12の間ならびに整流板20および左側面パネル13の間に吸込口としての隙間20Aに指を入れて回動することによって、開閉自在に構成される。
【0037】
整流板20は閉じられることによって、正面パネル11の上方に設けられる近接センサーS(
図9参照)に接触する。このとき、ファンモーター32およびフィルタモーター60の運転が許可される。一方、整流板20が開いたとき、整流板20は、近接センサーSから離間する。このとき、ファンモーター32およびフィルタモーター60の運転が停止させられる。
【0038】
整流板20の天面部は、
図6〜
図8に示すように、閉じた状態において、XY平面(水平面)に対して交差するように配置されている。この構成によれば、客が整流板20上にコップなどを置くことを抑制することができる。
【0039】
<送風機30>
送風機30は、
図6、
図8、
図10、
図11に示すように、筐体10内に配置される。送風機30は、ファン31と、ファンモーター32と、ケーシング33と、を有する。ファン31の風量は空気浄化フィルタ80がフィルタ設置部83に設置されているか否かにかかわらずに、一定の範囲の風量に制御される。また、ファン31の風量は空気浄化フィルタ80がフィルタ設置部83に設置されている場合には、空気浄化フィルタ80の種類(脱煙フィルタ、脱臭フィルタ、除菌フィルタ、集塵フィルタ、または電気集塵フィルタのいずれかまたはこれらの任意の組み合わせ)にかかわらず、一定の範囲の風量に制御される。ファン31の風量はファンモーター32の回転数を制御する第一制御部110によって制御される。
【0040】
送風機30は、調理場において生じた油煙を含む排空気を、隙間20A、20D、20Eを介して吸引し油捕集フィルタ50を介して取り込むとともに、筐体10の下面部16の排出口16Cから排出する(
図6の白抜き矢印参照)。
【0041】
ファンモーター32の重心Gは、
図6に示すように、筐体10のZ方向の高さの中央部分P1よりも下に位置する。この構成によれば、重量物であるファンモーター32が筐体10のZ方向の高さの中央部分P1よりも下に位置するため、油煙清浄装置1の重心が安定して倒れにくくなる。
【0042】
送風機30は、
図6に示すように、送風機30の取込口30Aが、筐体10の背面側(Y方向のプラス側)に向くように配置される。この構成によれば、送風機30の取込口30Aが筐体10の背面パネル14によって塞がれる。したがって、送風機30の取込口30Aから客席にファンモーター32の音が伝わりにくくなるため、客席エリアの快適性を向上させることができる。
【0043】
送風機30は、
図8に示すように、Z方向で隙間20Aよりも下方に設けられる。また、上述したように、Z方向で送風機30に対応する位置に、正面パネル11が設けられる。
【0044】
<排気通路40>
排気通路40は、送風機30により生じる空気流が通過する。排気通路40は、
図6に示すように、油捕集フィルタ50からZ方向の下方に設けられる第1排気通路41と、送風機30の外方から下面部16の排出口16Cの間に設けられる第2排気通路42と、を有する。
【0045】
<油捕集フィルタ50>
油捕集フィルタ50は、
図6に示すように、送風機30の上方に設けられる。油捕集フィルタ50は、フィルタモーター60の軸に着脱可能に取り付けられる。油捕集フィルタ50は、孔を備える円盤が高速回転することにより、調理場において生じた油煙を含む排空気から油を捕集する。油捕集フィルタ50に設けられる孔の直径は、例えば0.75〜5mmである。孔の形状は円形状に限定されず、三角形、正方形、正多角形などの形状であってもよい。
【0046】
油捕集フィルタ50は、
図12、
図13に示すように、孔を有する通気領域部51と、通気領域部51の外周に設けられる周縁部52と、を有する。
【0047】
通気領域部51は、
図6〜
図12に示すように、XY平面に対して直交するように配置される。換言すれば、通気領域部51は、Z方向に沿って配置される。
【0048】
ここで、例えば、通気領域部51がXY平面となるように、油捕集フィルタ50を配置すると、液滴の落下方向と通気領域部51の孔の貫通方向が一致するため、液滴の重力はすべて液滴が孔を通過する方向に働く。よって、液滴が孔を通過しやすくなるため、コップの飲み物をこぼした際に、フィルタモーター60に液滴がかかってしまう虞がある。
【0049】
これに対して本実施形態に係る油煙清浄装置1によれば、通気領域部51がZ方向に沿って配置されるため、液滴の落下方向と通気領域部51の孔の貫通方向が直交するため、コップの飲み物をこぼしたとしても、フィルタモーター60に液滴がかかることを好適に抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態では、通気領域部51は、XY平面に対して直交するように配置されたが、通気領域部51は、XY平面に対して交差するように配置されてもよい。さらに、通気領域部51がXY平面に沿って配置される構成も、本発明に含まれるものとする。
【0051】
周縁部52は、
図13に示すように、通気領域部51に対して屈曲して構成されている。具体的には、周縁部52は、通気領域部51に対して、Y方向のマイナス側に向けて屈曲して構成される。このように周縁部52が屈曲して構成されることによって、通気領域部51において捕集した油は、遠心力によって、Y方向のマイナス側に設けられるオイルガード71側に向けて飛ぶ。
【0052】
<フィルタモーター60>
フィルタモーター60は、油捕集フィルタ50を高速回転させる。フィルタモーター60が、油捕集フィルタ50を高速回転させる速度は、例えば230rpm(Rotation Per Minute)以上であることが好ましい。フィルタモーター60には、
図13に示すように、油捕集フィルタ50がワンタッチ式の着脱機構60Aによって着脱可能に取り付けられる。フィルタモーター60は、制御部100が備える第二制御部120によってその回転数が制御される。
【0053】
<油回収部70>
油回収部70は、油捕集フィルタ50によって捕集された油を回収する。油回収部70は、
図12、
図13に示すように、オイルガード71と、オイルパネル72と、オイルトレー73と、を有する。
【0054】
オイルガード71は、
図12に示すように、油捕集フィルタ50のY方向のマイナス側に配置される。オイルガード71は、
図12に示すように、オイルパネル72のY方向のマイナス側に配置される。
【0055】
オイルガード71は、オイルパネル72と一体となって、油捕集フィルタ50によって捕集された油を受ける油受け75を形成し、油受け75によって受けた油は、オイルトレー73に移動される。
【0056】
オイルガード71には、上部に取手71Aが取り付けられており、取手71Aを把持してY方向のマイナス側であってZ方向のプラス側にひくことによって取り外し可能に構成されている。
【0057】
以上のように構成された油回収部70によれば、油捕集フィルタ50によって捕集された油は、遠心力でオイルガード71に飛ばされて、オイルガード71およびオイルパネル72によって構成される油受け75に回収される。油受け75に回収された油は、オイルトレー73に回収される。
【0058】
なお、油回収部170は、
図13に示すように、オイルガードおよびオイルパネルが一体的に構成されてもよい。このように構成された油回収部170によれば、油捕集フィルタ50によって捕集された油は、遠心力で油回収部170の上流側壁部171に飛ばされて、油回収部170に回収される。
【0059】
変形例に係る油回収部170において、油回収部170の下流側壁部172の高さは、
図13に示すように、周縁部52よりも低くなるように設けられている。
【0060】
例えば、油捕集フィルタ50が
図14に示すように、水平に設置されている場合、油捕集フィルタ50によって回収した油を回収するために、油回収部170の下流側壁部17を油捕集フィルタ50の下流(Z方向の下方)に設ける必要がある。このとき、油回収部170を取り外すには、先に油捕集フィルタ50を外す必要があり、手間である。さらに、油回収部170からの油だれによって、あるいは、油捕集フィルタ50に付着したままの油がZ方向の下方にたれることによって、筐体10の内部が汚れてしまう虞がある。
【0061】
これに対して、上述した油回収部170によれば、油回収部170の下流側壁部172の高さは、周縁部52よりも低くなるように設けられているため、油捕集フィルタ50を取り外すことなく、油回収部170を取り外すことができる。よって簡易に油回収部170を清掃することができる。さらに、油回収部170が油だれを防ぐように構成されるため、油回収部170からの油だれによって、筐体10の内部が汚れることを好適に抑制することができる。
【0062】
なお、
図13は、油捕集フィルタ50が垂直に設置されている場合を示したが、油捕集フィルタ50の角度は、油捕集フィルタ50から滴下する油が油回収部170から外れない範囲で適宜設定可能である。また、油回収部170の下流側壁部172の高さや位置は、周縁部52よりも低ければ、油捕集フィルタ52の設置角度に応じてから滴下する油を回収できれば任意の位置に適宜設けることができる。
【0063】
<空気浄化フィルタ80>
空気浄化フィルタ80は、送風機30の下流(Z方向の下方)のフィルタ設置部83に設けられる。空気浄化フィルタ80は、送風機30から送られ排気通路40を流通する空気を浄化する。本実施形態では、空気浄化フィルタ80として、
図6に示すように、脱煙フィルタ81と、脱臭フィルタ82と、を例示しているが、その他、除菌フィルタ、集塵フィルタ、または電気集塵フィルタのいずれかまたはこれらの任意の組み合わせであってもよい。なお、空気浄化フィルタ80を設けない選択もできる。空気浄化フィルタ80を設けなければ、メンテナンスや費用の発生を抑えることができる。
【0064】
空気浄化フィルタ80として、どの種類のフィルタを用いるのか、どの種類のフィルタを組み合わせて用いるのか、さらには空気浄化フィルタ80を用いないのか、などは、設置環境や使用者の要望によって選択できる。このため、設置環境に適した空気浄化機能を容易に構成できる。
【0065】
脱煙フィルタ81は、準HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどを用いることで、煙を除去する。
【0066】
脱臭フィルタ82は、脱煙フィルタ81の下流(Z方向の下方)に設けられる。脱臭フィルタ82は、活性炭などを内蔵し、空気が通り抜けるとき、空気中に含まれている臭いを吸着することで、空気から臭いを分離除去する。なお、脱煙フィルタ81および脱臭フィルタ82は、消臭剤がコーティングされており、付着した臭気成分を消臭する。
【0067】
脱煙フィルタ81および脱臭フィルタ82は、
図8に示すように、カバー状のフィルタ設置部83の内部に配置される。
【0068】
空気浄化フィルタ80の交換の際は、フィルタ設置部83の交換穴から脱煙フィルタ81または脱臭フィルタ82を取り外して交換する。
【0069】
空気浄化フィルタ80は、吸音機構としても機能する。すなわち、空気浄化フィルタ80は、ファンモーター32の音を吸音することができる。
【0070】
例えば、空気浄化フィルタ80が設けられない構成である場合、ファンモーター32の音が下面部16の排出口16Cから漏れて客に不快感を与える虞がある。
【0071】
これに対して、本実施形態に係る油煙清浄装置1によれば、送風機30および排出口16Cの間に空気浄化フィルタ80が設けられているため、ファンモーター32の音が空気浄化フィルタ80において吸音されて、排出口16Cから漏れ出るファンモーター32の音を低減することができる。よって、客の快適性を向上させることができる。
【0072】
空気浄化フィルタ80は、減速機構としても機能する。すなわち、送風機30によって生じる空気流を減速する。
【0073】
例えば、空気浄化フィルタ80が設けられない構成である場合、送風機30によって生じる空気流が高速で床面に衝突することによって、床面のほこりを舞い上げて客に不快感を与える虞がある。
【0074】
これに対して、本実施形態に係る油煙清浄装置1によれば、送風機30および排出口16Cの間に空気浄化フィルタ80が設けられているため、送風機30によって生じる空気流が減速されて、床面のほこりを舞い上げることを好適に抑制することができる。
[油煙清浄装置の制御系の構成]
次に、
図15〜
図18を参照して、本発明の油煙清浄装置の制御系の構成の実施形態について説明する。
【0075】
図15は、本実施形態に係る油煙清浄装置の制御系のブロック図である。
図16は、
図15の制御系に含まれる第一制御部のブロック図である。
図17は、油捕集フィルタによる油の捕集率とファンの風量との関係を示すグラフである。
図18は、
図16に示した第一制御部が備える電力制御用データの一例を示す図である。
【0076】
図15に示すように、油煙清浄装置1の制御系は、ファン31、ファンモーター32、油集塵フィルタ50、フィルタモーター60、第一制御部110、および第二制御部120から構成される。
【0077】
ファン31は、
図6に示した排気通路40に設けられている。ファンモーター32は、ファン31を回転させる。油捕集フィルタ50は、排気通路40を流通する空気から油分を捕集する。フィルタモーター60は、油捕集フィルタ50を回転させる。第一制御部110は、ファンモーター32の回転数を制御する。第二制御部120は、フィルタモーター60の回転数を制御する。
【0078】
第一制御部110は、フィルタ設置部83に空気浄化フィルタ80が設置されているか否かにかかわらず、排気通路40を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように、ファンモーター32の回転数を制御する。また、第一制御部110は、フィルタ設置部83に空気浄化フィルタ80が設置されている場合には空気浄化フィルタ80の種類にかかわらず、排気通路40を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように、ファンモーター32の回転数を制御する。
【0079】
第一制御部110が空気浄化フィルタ80の有無、または空気浄化フィルタ80の種類にかかわらず、排気通路40を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように制御すると、空気清浄フィルタ80の設置状況に影響を受けず、油捕集フィルタ50での捕集効率が低下しない。また、設置環境に最適な種類のフィルタの選定や、使用者が求めている空気清浄機能の選択の自由度が増す。
【0080】
第一制御部110は、ファンモーター32の回転数を制御することによって行う風量制御を、あらかじめ測定された、ファンモーター32の回転数と電流との関係の測定結果を用いて行う。また、第一制御部110は、測定結果を、ファンモーター32の回転数と電流との関係を示す、関数(実際には近似線の関数)として、またはテーブルとして保有する。測定結果を、関数として、またはテーブルとして保有しておくと、空気清浄フィルタ80の設置状況に応じて排気通路40を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように制御できる。
【0081】
第二制御部120は、フィルタモーター60を定回転制御する。第二制御部120は、油捕集フィルタ50が目標としている油の捕集率となる回転数で、油捕集フィルタ50を回転させる。フィルタモーター60の回転数は、空気清浄フィルタ80の設置状況にかかわらず一定である。
【0082】
図16に示すように、第一制御部110は、PWM電力制御部112と電力制御用データ記憶部114とを有する。PWM電力制御部112は、ファンモーター32に供給する電力をデューティー比の変化によって調整し、ファン31の風量を変化させる。電力制御用データ記憶部114は、PWM電力制御部112がファン31の風量を、空気清浄フィルタ80の設置状況にかかわらず、一定の範囲に収めるために、あらかじめ測定した、ファンモーター32の回転数と電流との関係の測定結果が、関数として、またはテーブルとして記憶される。
【0083】
次に、第一制御部110が、排気通路40を流れる空気の風量が一定の範囲に収まるように、ファンモーター32の回転数を制御する理由を説明する。
【0084】
油捕集フィルタ50が一定の速度で回転し、空気浄化フィルタ80が設置されていないことを前提として、ファン31の風量を変化させると、油捕集フィルタ50の捕集率(%)とファン31の風量との関係は
図17に示すグラフのようになる。
【0085】
このグラフを見ると、油捕集フィルタ50の捕集率(%)はファン31の風量が増加するにしたがって減少することがわかる。このため、ファン31の定格風量から油捕集フィルタ50の基準捕集率を求め、次に、油捕集フィルタ50の捕集率(%)が基準捕集率の±5%の範囲に収まる風量制御範囲を求める。第一制御部110は、このようにして求めた風量制御範囲となるように、ファン31の風量を制御する。
【0086】
このようにして求めたファン31の風量は、空気浄化フィルタ80が設置された場合に変化する。一般的には、空気浄化フィルタ80の空気抵抗の影響で低下する。空気浄化フィルタ80の空気抵抗は空気浄化フィルタ80の種類によっても異なる。このため、油捕集フィルタ50の捕集率(%)が基準捕集率の±5%の範囲に収まる風量制御範囲となるように、電力制御用データ記憶部114には、空気浄化フィルタフィルタ80によって想定される抵抗範囲内において風量が一定の範囲に収まるように、ファンモーター32の回転数とファンモーター32に流す電機子電流値(具体的にはPWMの周波数とデューティー比)を記憶させておく。
【0087】
第一制御部110は、空気浄化フィルタ80の有無や、設置されている空気清浄フィルタ80の種類(脱煙フィルタ、脱臭フィルタ、除菌フィルタ、集塵フィルタ、または電気集塵フィルタのいずれかまたはこれらの任意の組み合わせ)にかかわらず、電力制御用データ記憶部114に記憶されている電力制御用データを用いてファン31の風量を、油捕集フィルタ50の捕集率(%)が基準捕集率の±5%の範囲に収まる風量制御範囲となるように制御する。具体的には、設置されている空気浄化フィルタ80の空気抵抗が大きい場合には、その空気抵抗値よりも小さい場合に比較して、圧力が上がり、ファンモーター32の回転数が上がり、ファンモーター32の電機子電流が減少する。第一制御部110は、減少した電機子電流値を基にファンモーター32の出力を変更して油捕集フィルタ50の捕集率(%)が基準捕集率の±5%の範囲に収まる風量制御範囲となるように制御する。
【0088】
次に、電力制御用データ記憶部114に記憶させる電力制御用データについて説明する。電力制御用データは、
図18に示すように、ファン31の回転数とファンモーター32の電機子電流値との関係を示すデータである。このデータは、
図18に示すような関数(グラフの直線を示す関数)、またはグラフの直線上の黒丸で示された離散的なデータを示すテーブルである。
【0089】
この電力制御用データは、油捕集フィルタ50の捕集率(%)が基準捕集率の±5%の範囲に収まる風量制御範囲となるファンモーター32の電機子電流値とファンモーター32の回転数との関係を測定によって求めたものである。この測定によって求められた実測値が電力制御用データとして電力制御用データ記憶部114に記憶される。
【0090】
第一制御部110は、
図18に示すような関数や離散的なデータを基に、ファンモーター32の電機子電流値と回転数とが、この関数に当てはまる回転数になるように調整をして徐々に関数に近づくように制御する。
【0091】
なお、電力制御用データ記憶部114に記憶させる電力制御用データは、排気通路40の機械的な構成や大きさによって機種ごとに異なる。機種ごとに最適な油捕集率が得られるからである。
【0092】
以上のように、本発明の油煙清浄装置1によれば、油捕集フィルタ50を設けているので、調理によって発生する排空気から油を好適に捕集できる。油捕集フィルタ50は目詰まりしにくいため、長期にわたって油煙を好適に捕集することができる。また、空気浄化フィルタ80を設置可能なフィルタ設置部83を設けているので、設置環境に合わせた空気浄化フィルタを設置することによって、設置環境に適合した空気の清浄が可能となる。さらに、ファン31の風量を油捕集フィルタ50の捕集効率を低下させないように制御しているので、設置環境に適合した空気の清浄を長期間にわたって行うことができる。
【0093】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々改変することができる。
【0094】
例えば、上述した実施形態では、油煙清浄装置1は、油回収部70を有していたが、油回収部70が設けられていなくてもよい。
【0095】
また、上述した実施形態では、空気を取り込む吸込口は、整流板20と筐体10との間の隙間20A、20D、20Eによって形成されていたが、吸込口は他の構成によって形成されてもよい。
【0096】
また、上述した実施形態では、整流板20は水平面に対して交差するように配置されたが、整流板20は水平面に沿って設けられてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態では、吸込口は、整流板20の上端から整流板20の下端まで形成されたが、整流板20の上端から整流板20の下端まで形成されておらず、整流板20の途中の部位に設けられてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態では、隙間20A、20D、20Eは、人の手指が奥まで入らない程度に設定されていたが、人の手指が奥まで入る幅であってもよい。
【0099】
また、上述した実施形態では、筐体10は、スリット部11Aを有していたが、筐体はスリット部が設けられていなくてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態では、油煙清浄装置1は、空気浄化フィルタ80を有していたが、空気浄化フィルタ80を有していなくてもよい。
【0101】
また、上述した実施形態では、オイルトレー73は、オイルガード71に隣り合うように配置されていた。しかしながら、オイルトレー73が配置される箇所は限定されず、筐体10内の空きスペースに設けることができる。このとき、オイルトレー73は、油煙によって汚れていないため、油の回収時に汚れることを防止できる。また、筐体10の空きスペースに設けることができるため、効率的なスペース活用が可能となる。
【0102】
また、脚部90の下方に、排出口16Cが設けられる下面部16より大きいトレーを有していてもよい。この構成によれば、排出口16Cから排出される排空気が直接床面に当たることを防止できるため、床面が結露することを防止することができる。
【0103】
制御部100は、第一制御部110と第二制御部120とに分けたが、1つの制御部としてもよい。
【0104】
制御部100は、スイッチパネル15Aの下側かつフィルタモーター60後ろ側に設けたが、これ以外の場所に設けてもよい。たとえば、メンテナンス性を考慮して、筐体1内の適切な場所に設けてもよいし、筐体1とは別に外部に設けてもよい。
【0105】
また、制御部100のファンモーター32による風量制御とフィルタモーター60の回転数の制御方法は上記の実施形態に限定されない。