特開2021-32586(P2021-32586A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-32586(P2021-32586A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】静電容量型歪みセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20210201BHJP
【FI】
   G01B7/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-149707(P2019-149707)
(22)【出願日】2019年8月19日
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】馬場 一将
(72)【発明者】
【氏名】松野 幸也
(72)【発明者】
【氏名】新竹 純
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA26
2F063CA40
2F063DA05
2F063DD02
2F063EC04
2F063EC18
(57)【要約】
【課題】静電容量型歪みセンサにおいて、加えられた歪みに対する誘電エラストマー層および電極層の伸縮量を拡大して静電容量変化を大きくし、高感度を得る。
【解決手段】静電容量型歪みセンサ1は、誘電エラストマー層3と、誘電エラストマー層3の両面に配置された電極層4とを含む積層体であって、誘電エラストマー層3の静電容量を測定可能なセンサ本体2と、センサ本体2の少なくとも一方の最外層(保護層5)に接合されたオーセチック構造体8とからなる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電エラストマー層と、前記誘電エラストマー層の両面に配置された電極層とを含む積層体であるセンサ本体と、
前記センサ本体の少なくとも一方の最外層に接合されたオーセチック構造体とからなる静電容量型歪みセンサ。
【請求項2】
前記オーセチック構造体は、その全面が前記センサ本体に接合されている請求項1記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項3】
前記オーセチック構造体は、少なくともその四隅部において前記センサ本体に接合されている請求項1記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項4】
前記オーセチック構造体は、さらにその外周縁部の一部又は全部が前記センサ本体に接合されている請求項3記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項5】
前記オーセチック構造体の接合箇所は、前記センサ本体の伸長方向と略平行又は略直交する領域である請求項1又は3又は4記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項6】
前記オーセチック構造体は、エラストマー製である請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項7】
前記オーセチック構造体のエラストマーは、前記誘電エラストマー層のエラストマーよりも弾性率もしくは剛性が高い請求項6記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項8】
前記オーセチック構造体は、樹脂製である請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項9】
前記電極層は、前記オーセチック構造体の領域内にある請求項1〜8のいずれか一項に記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項10】
前記最外層は、前記電極層を保護するエラストマー製の保護層である請求項1〜9のいずれか一項に記載の静電容量型歪みセンサ。
【請求項11】
誘電エラストマー層と、前記誘電エラストマー層の両面に配置された電極層とを含む積層体であるセンサ本体を有し、
前記誘電エラストマー層、前記電極層及び前記センサ本体の最外層のうちのいずれか一層又は二層以上がオーセチック構造体である静電容量型歪みセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量型歪みセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、好ましくはセル配列構造として作製されたバンドと、バンド上に伸長方向に沿って延びるように配置された、歪に応じて電気抵抗を変化させる撚り線(センサー)とを含む電気抵抗型歪みセンサが開示されている。撚り線の材料としては、カーボンブラックを約50重量%含む熱塑性エラストマ等が挙げられている。セル配列構造としては、ハニカム形状のほか、オーセチック形状も挙げられている。オーセチックとは、ある方向に伸長すると、その伸長方向と直交する方向にも伸びる特性(負のポアソン比)を意味する。
【0003】
しかしながら、オーセチック形状のセル配列構造の上に伸長方向に沿って延びるように配置した撚り線は、オーセチック形状の伸長方向には共に伸びるが、その直交方向の伸びには実質的に反応しない。すなわち、特許文献1の電気抵抗型の歪みセンサでは、オーセチック構造体の伸長方向と直交する方向にも伸びる特性を利用できていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2018−515788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、歪みセンサには、電気抵抗型と静電容量型の2種類がある。静電容量型歪みセンサは、誘電エラストマー層の両面に電極層が配置されてなり、加えられた歪みに対する静電容量変化を検出するものであって、高い直線性や再現性、低ヒステリシスなどの特徴がある。
【0006】
しかしながら、静電容量型歪みセンサは、歪みに対する検出値の変化(感度、もしくはゲージファクター)は理論上1であり、電気抵抗型と比べかなり低い値となっている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、オーセチック構造体の特性を利用し、加えられた歪みに対する誘電エラストマー層および電極層の伸縮量を拡大して静電容量変化を大きくし、ゲージファクターを高くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、静電容量型歪みセンサにオーセチック構造体を組み合わせることで、オーセチック構造体の伸長方向と直交する方向にも伸びる特性をうまく利用でき、高感度を得ることを見出し、本発明(下記(1)(2))に至った。
【0009】
(1)第1の本発明の静電容量型歪みセンサは、誘電エラストマー層と、誘電エラストマー層の両面に配置された電極層とを含む積層体であるセンサ本体と、
センサ本体の少なくとも一方の最外層に接合されたオーセチック構造体とからなる。
【0010】
<作用>
一般の静電容量型歪みセンサ本体は、図2に示すように、一方向(例えば長さ方向(L))に伸長すると、その直交方向(例えば幅方向(W))及び厚さ方向(T)に収縮しようとする。一方、オーセチック構造体は、図4に示すように、一方向(L)に伸長すると、その直交方向(W)にも伸びようとする。従って、センサ本体の最外層にオーセチック構造体が接合されていると、オーセチック構造体により、センサ本体は、直交方向(W)の収縮が抑制されるか、または、直交方向(W)に伸びる。この場合、静電容量変化率ε(伸長前後での静電容量の比)は次式で示される。
ε=εε (ε、ε:伸長前後での各方向の長さの比)
一方、オーセチック構造体がない場合、静電容量変化率εCNは次式で示される。
εCN=εLNεWN
ここで、ε>εWNであるから、εはεCNよりも大きい。
従って、オーセチック構造体により大きな静電容量変化率を得ることができる。
【0011】
ここで、センサ本体に対するオーセチック構造体の接合箇所について、次の態様を例示できる。
(ア)オーセチック構造体は、その全面がセンサ本体に接合されている。
(イ)オーセチック構造体は、少なくともその四隅部においてセンサ本体に接合されている。
(ウ)オーセチック構造体は、さらにその外周縁部の一部又は全部がセンサ本体に接合されている。
(エ)オーセチック構造体の接合箇所は、伸長方向と略平行又は略直交する領域である。
態様(ア)によれば、オーセチック構造体を強固に接合できる。
態様(イ)〜(エ)によれば、センサ本体に発生する局部的な内部応力が低減されることで、この内部応力による構造体の変形を低減することができる。
【0012】
オーセチック構造体の材料について、次の態様を例示できる。
(カ)オーセチック構造体は、エラストマー製である。
(キ)オーセチック構造体のエラストマーは、誘電エラストマー層のエラストマーよりも弾性率もしくは剛性が高い。
(ク)オーセチック構造体は、樹脂製である。樹脂は、誘電エラストマー層のエラストマーよりも弾性率もしくは剛性が高い。
態様(カ)(キ)によれば、静電容量型歪みセンサ全体が柔軟に形成できるので、曲面上での伸長も測定可能となる。
態様(ク)によれば、センサ本体の直交方向の収縮をより抑制できる。
【0013】
電極層は、オーセチック構造体領域内にある態様が好ましい。静電容量測定領域全体を、確実にオーセチック構造体で伸長できるからである。
【0014】
(2)第2の本発明の静電容量型歪みセンサは、誘電エラストマー層と、誘電エラストマー層の両面に配置された電極層とを含む積層体であるセンサ本体を有し、
前記誘電エラストマー層、前記電極層及び前記センサ本体の最外層のうちのいずれか一層又は二層以上がオーセチック構造体である。
【0015】
本発明によっても、一方向(L)に伸長すると、その直交方向(W)にも伸びようとするオーセチック構造体により、大きな静電容量変化率を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、静電容量型歪みセンサにおいて、オーセチック構造体の特性を利用し、加えられた歪みに対する誘電エラストマー層および電極層の伸縮量を拡大して静電容量変化を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は比較例の静電容量型歪みセンサを示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図2図2は比較例の静電容量型歪みセンサに歪み(伸長)を加えたときを示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図3図3は実施例1の静電容量型歪みセンサを示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図4図4は実施例1の静電容量型歪みセンサに歪み(伸長)を加えたときを示し、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図5図5は実施例2の静電容量型歪みセンサを示し、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は伸長時の斜視図である。
図6図6はオーセチック構造体の接合箇所の変更例を示し、(a)は四隅部接合の平面図、(b)は外周縁部接合の平面図、(c)は伸長方向平行領域接合の平面図である。
図7図7はオーセチック構造体の別例を示す部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]誘電エラストマー層
誘電エラストマー層は、誘電エラストマーからなり、誘電エラストマー以外の成分を含んでいてもよい。
誘電エラストマーとしては、特に限定されないが、シリコーンエラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、天然ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ウレアゴム、フッ素ゴム、架橋ポリロタキサン等を例示できる。架橋ポリロタキサンとしては、ポリロタキサンと架橋剤とがウレタン結合等で結合されているものを例示できる。
【0019】
誘電エラストマー層の厚さ(膜厚)は、特に限定されないが、10〜1000μmを例示できる。誘電エラストマー層としては、成形された膜、基材上に塗工された膜、別の基材上に塗工され剥がされてできた膜等を例示できる。
【0020】
誘電エラストマー層は、1層でもよいし、2層以上でもよい。2層以上の場合、誘電エラストマー層と電極層とが交互に積層される(電極層/誘電エラストマー層/電極層/誘電エラストマー層/電極層・・・)。
【0021】
[2]電極層
電極層は、誘電エラストマー層の変形に追従して変形できるものであり、特に限定されないが、液体金属膜、導電性液体膜、導電性粒子からなる導電性膜、導電性粒子を含む導電性塗膜、導電性高分子からなる導電性膜、導電性粒子を含む導電性エラストマー層等を例示できる。また、厚さは1〜1000μmである。
【0022】
[3]最外層
最外層は、誘電エラストマー層の変形に追従して変形できるものであり、特定材料の層に限定されず、最も外側にある電極自体でもよいし、電極を保護するために電極に重ねられた厚さ10〜1000μmの保護層等でもよい。保護層の材料としては、上記[1]で例示した誘電エラストマーを例示できる。
【0023】
[4]オーセチック構造体
オーセチック構造体は、ある方向に伸長すると、その伸長方向と直交する方向にも伸びる特性を有する構造体であって、複数の面状要素が相対傾動可能に連結された構造体(図3図4図7(a)等)や、複数の線分状要素が相対傾動可能に連結された構造体(図5図7(b)等)を例示できる。面状要素に適宜の大きさの穴を形成することにより、オーセチック構造体に柔軟性を持たせることもできる。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を具体化した静電容量型歪みセンサの実施例について、比較例と比較しつつ説明する。なお、実施例の各部の構造、材料、形状及び寸法は例示であり、発明の要旨から逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0025】
[比較例]
図1及び図2に示す比較例の静電容量型歪みセンサは、誘電エラストマー層3と、誘電エラストマー層3の両面に配置された電極層4と、各電極層4の外側を覆う最外層である保護層5と含む積層体であるセンサ本体2と、各電極層4に接続されて外部へ延びるリード7と、からなる。
【0026】
誘電エラストマー層3は、誘電体としてのアクリル系エラストマー(スリーエムジャパン社の商品名「VHB4905」)からなる長さ60mm×幅16mm×厚さ0.5mmの膜である。
【0027】
各電極層4は、液体金属である共晶ガリウム−インジウムからなる長さ45mm×幅12mm×厚さ0.5mmの流動性膜である。両電極層4は、互いに長さ方向に5mmずれており、平面視で長さ40mm×幅12mmの誘電エラストマー層3の中央作用領域Aを挟んでいる。
【0028】
なお、電極層4の周囲には、誘電エラストマー層3との寸法差を埋めて段が付かないようにするための、エラストマー製の外埋め層6が設けられている。このエラストマーとして、誘電エラストマー層3と同じアクリル系エラストマー素材を使用した。
【0029】
各保護層5は、エラストマー製の60mm×16mm×0.5mm厚の膜である。このエラストマーとして、誘電エラストマー層3と同じアクリル系エラストマー素材を使用した。
【0030】
各リード7は、銅等の金属箔であり、その内端部は誘電エラストマー層3と電極層4との間に挟まれている。
【0031】
[実施例1]
図3及び図4に示す実施例1の静電容量型歪みセンサ1は、比較例と同一のセンサ本体2及びリード7と、センサ本体2の両方の最外層に接合されたオーセチック構造体8とからなる。よって、センサ本体2及びリード7については、上記説明を援用する。
【0032】
オーセチック構造体8は、エラストマー製の板状体に切り込みを入れて、互いに角部で連結された複数の四角形の面状要素9からなるものである。本実施例では、シリコーン系エラストマー(ダウコーニング社の商品名「Sylgard184」を混合比10:1で使用)製の長さ60mm×幅16mm×厚さ1mmの板状体の、中央作用領域Aに対応する幅40mmの領域に切り込みを入れて、4行×10列の40個の面状要素9を形成してなるオーセチック構造体8を作製した。その後、オーセチック構造体8の全面を、保護層5の全面に、シリコーン系接着フィルム(太陽金網社の商品名「ポリシル」)によって接着した。
【0033】
[比較例と実施例1のゲージファクター測定]
まず、図2に示すように、比較例の静電容量型歪みセンサ2について、中央作用領域Aを含まないように、長さ方向両端部の長さ10mmの部分をチャック20で挟み、長さ方向に0〜50%の伸長歪みを往復して与えた(図2は35%伸長状態)。センサ本体2は、長さ方向(L)に伸長すると、その直交方向である幅方向(W)及び厚さ方向(T)に収縮した。リード7に静電容量測定器を接続して測定した、伸長歪みに対する静電容量の変化(ゲージファクター)は0.87であった。
【0034】
次に、図4に示すように、実施例1の静電容量型歪みセンサ1について、中央作用領域Aを含まないように、長さ方向両端部の長さ10mmの部分をチャック20で挟み、長さ方向に0〜50%の伸長歪みを往復して与えた(図4は35%伸長状態)。オーセチック構造体8は、長さ方向(L)に伸長すると、幅方向(W)にも伸長した。センサ本体2は、長さ方向(L)に伸長すると、幅方向(W)への収縮がオーセチック構造体8により抑制され、もっぱら厚さ方向(T)に収縮した。リード7に静電容量測定器を接続して測定した、伸長歪みに対する静電容量の変化(ゲージファクター)は1.61であった。すなわち、比較例に対して、センサの感度が約2倍高いことを示した。また、高い再現性および低いヒステリシスを維持することも確認した。
【0035】
[実施例2]
図5に示す実施例2の静電容量型歪みセンサ1は、オーセチック構造体を変更した点においてのみ、実施例1と相違するものである。よって、センサ本体2及びリード7については、上記説明を援用する。
【0036】
本実施例におけるオーセチック構造体8bは、軟質ポリプロピレン樹脂製で、ジグザグにかつ相対傾動可能に連結された複数の幅方向の線分状要素10と、該線分状要素10どうしの連結点に相対傾動可能に連結された複数の長さ方向の線分状要素11とで、網状に構成されたものである。本実施例では、外力が加わらない自然状態において、長さ40mm×幅16mmの領域に収まるオーセチック構造体8bを作製した。その後、オーセチック構造体8bの全面を、保護層5のうち中央作用領域Aに対応する中央領域に、ウレタン系弾性接着剤によって接着した。
【0037】
本実施例の静電容量型歪みセンサ1に、図5(a)から(b)への変化で示すように、長さ方向に伸長歪みを与えると、センサ本体2は、長さ方向(L)に伸長し、幅方向(W)への収縮がオーセチック構造体8bにより抑制され、もっぱら厚さ方向(T)に収縮する。よって、実施例1と同様にゲージファクターが高くなる。
【0038】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば次のように、発明の要旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
【0039】
(1)オーセチック構造体は、その全面ではなく一部をセンサ本体の最外層に接合するように変更することができる。センサ本体に発生する局部的な内部応力が低減されることで、この内部応力による構造体の変形を低減することができる。実施例2のオーセチック構造体8bを例にとって、図示し説明する。
図6(a)は、オーセチック構造体8bの四隅部(楕円太線で示す領域)を保護層5に接合した例である。
図6(b)は、オーセチック構造体8の外周縁部の全部(2本の矩形太線の間の領域)を保護層5に接合した例である。外周縁部の一部とすることもできる。
図6(c)は、オーセチック構造体8の接合箇所が、伸長方向と略平行する領域(楕円太線で示す領域)である。伸長方向と略直交する領域とすることもできる。
【0040】
(2)実施例及び変更例では、センサ本体の最外層にオーセチック構造体を接合したが、誘電エラストマー層、電極層及びセンサ本体の最外層のうちのいずれか一層又は二層以上をオーセチック構造体として形成してもよい。二層以上としては、誘電エラストマー層及びその両面の電極層がオーセチック構造体である態様、両側の最外層がオーセチック構造体である態様等を例示できる。電極層は、例えば導電性エラストマーにてオーセチック構造体とすることができる。
【0041】
(3)オーセチック構造体として、上に挙げたもののほか、図7に示す2つの別例を例示する。
図7(a)のオーセチック構造体8cは、面状要素型の別例であり、互いに角部で連結された複数の三角形の面状要素からなるものである。
図7(b)のオーセチック構造体8dは、線分状要素型の別例であり、4つの線分状要素が矢じり形状に連結された1単位が、互いに連結されたものである。
【0042】
(4)面状要素型のオーセチック構造体(図3図7(a)等)の場合、面状要素に穴を打ち抜き形成することにより、オーセチック構造体の柔軟性を高くして、センサ本体の変形抑制力を調整することもできる。
【符号の説明】
【0043】
1 静電容量型歪みセンサ
2 センサ本体
3 誘電エラストマー層
4 電極層
5 保護層
6 外埋め層
7 リード
8 オーセチック構造体
8b オーセチック構造体
8c オーセチック構造体
8d オーセチック構造体
9 面状要素
10 幅方向の線分状要素
11 長さ方向の線分状要素
A 中央作用領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7