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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-32863(P2021-32863A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】管理方法及び管理装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20210201BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20210201BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20210201BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20210201BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20210201BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20210201BHJP
   F24F 110/64 20180101ALN20210201BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20210201BHJP
【FI】
   G01N33/24 Z
   G05B19/418 Z
   G09B29/00 Z
   F24F11/30
   F24F11/64
   F24F11/89
   F24F110:64
   F24F110:65
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-157296(P2019-157296)
(22)【出願日】2019年8月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇
(72)【発明者】
【氏名】高柳 圭佑
【テーマコード(参考)】
2C032
3C100
3L260
【Fターム(参考)】
2C032HC22
3C100AA38
3C100AA57
3C100BB17
3C100BB29
3C100CC02
3L260AA05
3L260BA09
3L260CA17
3L260HA01
(57)【要約】
【課題】作業場を移動する作業者の作業環境を好適に管理可能な管理方法を実現する。
【解決手段】作業場を移動する作業者の作業環境を管理する管理方法は、環境測定を行う測定処理により得られた測定値、及び、測定処理が実行された位置を示す位置情報を、作業者に装着された移動端末から受信する受信処理と、測定値及び位置情報を参照して、作業場における測定値の空間分布を表すマップを生成する生成処理と、を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業場を移動する作業者の作業環境を管理する管理方法であって、
環境測定を行う測定処理により得られた測定値、及び、該測定処理が実行された位置を示す位置情報を、作業者に装着された移動端末から受信する受信処理と、
前記測定値及び前記位置情報を参照して、前記作業場における該測定値の空間分布を表すマップを生成する生成処理と、を含む、
ことを特徴とする管理方法。
【請求項2】
前記マップには、前記作業場に含まれる各単位作業場の管理区分が識別可能に表示されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記測定値は、粉じんセンサを用いて測定された粉じんの濃度であり、
前記生成処理は、各単位作業場における有害物質の環境測定により得られた前記測定値の平均値又は最大値を、前記有害物質に対応する予め定められた管理濃度と比較することによって、各単位作業場の管理区分を特定する管理区分特定処理を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の管理方法。
【請求項4】
前記有害物質は遊離ケイ酸である、
ことを特徴とする請求項3に記載の管理方法。
【請求項5】
前記移動端末は、前記作業場の予め定められた位置において前記測定処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の管理方法。
【請求項6】
前記移動端末は、前記測定処理の実行間隔を前記作業者の移動速度が速いほど短くする、
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の管理方法。
【請求項7】
前記生成処理では、前記作業場における最新の測定値の空間分布を表すマップを生成する、
ことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の管理方法。
【請求項8】
前記受信処理において、新たな測定処理により得られた測定値、及び、該新たな測定処理が実行された位置を示す位置情報を、前記移動端末から受信する度に、前記生成処理において、前記マップにおいて前記新たな測定処理が実行された位置に対応する測定値を、前記新たな測定処理により得られた測定値に置き換えたマップを生成する、
ことを特徴とする請求項7に記載の管理方法。
【請求項9】
作業場を移動する作業者の作業環境を管理する管理装置であって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、
請求項1〜8の何れか1項に記載の管理方法に含まれる各処理を実行する、
ことを特徴とする管理装置。
【請求項10】
前記コントローラは、プロセッサと、メモリと、を含み、
前記プロセッサは、前記メモリに格納されたプログラムに従って、前記管理方法に含まれる各処理を実行する、
ことを特徴とする請求項9に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業場を移動する作業者の作業環境を管理する管理方法及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境測定は、通常、ハンディ機器及び固定センサ等の各種センサを用いて行われる。ここで、単に、各種センサを用いて環境測定を行った場合、当該環境測定が行われた位置における測定値を得ることができるが、広域の環境の状況を直感的に分かり易く把握することができない。このような理由により、環境測定により得られた測定値に関する空間分布を表すマップを生成する技術が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、室内を移動するロボットがセンサを用いて環境測定を行い、サーバが、環境測定により得られた測定値をロボットから受信し、当該測定値に関する空間分布を表すマップを生成する技術が開示されている。
【0004】
特許文献3には、マップを生成するシステムを搭載した車両が市内、国道及び県道等を移動しながら環境測定を行い、環境測定により得られた測定値に関する空間分布を表すマップを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−16931号公報(2005年1月20日公開)
【特許文献2】特開2008−254167号公報(2008年10月23日公開)
【特許文献3】特開2013−32926号公報(2013年2月14日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
工場等の製造環境においても、作業場を移動する作業者の作業環境を管理するために、作業場における測定値の空間分布を可視化する技術が求められている。しかしながら、特許文献1〜3に記載の技術を用いようとした場合、ロボットや車両の導入が必要となるため、コストがかかるという問題がある。また、工場の専用通路以外にロボットや車両を走行させることは、自動制御するための技術的ハードルが高く、作業者の作業の妨げになる可能性も高まるため現実的ではない。そのため、これらの特許文献1〜3のような従来技術では、作業場を移動する作業者の作業環境を好適に管理することができない。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためのなされたものであり、作業場を移動する作業者の作業環境を好適に管理可能な管理方法及びその関連技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る管理方法は、作業場を移動する作業者の作業環境を管理する管理方法であって、環境測定を行う測定処理により得られた測定値、及び、該測定処理が実行された位置を示す位置情報を、作業者に装着された移動端末から受信する受信処理と、前記測定値及び前記位置情報を参照して、前記作業場における前記測定値の空間分布を表すマップを生成する生成処理と、を含む。
【0009】
上記の構成によれば、作業場を移動する作業者に装着された移動端末が環境測定を行い、当該移動端末から受信した測定値及び位置情報を参照して、作業場における測定値の空間分布を表すマップを生成する。そのため、特許文献1及び2に記載の技術のように、ロボットを用いて環境測定を行う構成、及び、特許文献3に記載の技術のように、車両を用いて環境測定を行う構成と比べて、作業場を移動する作業者の作業環境を好適に管理することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記マップには、前記作業場に含まれる各単位作業場の管理区分が識別可能に表示されている、ことが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、作業場に含まれる各単位作業場の管理区分がマップに識別可能に表示される。これにより、各単位作業場の管理区分を確認することにより、作業場を移動する作業者の作業環境をより好適に管理することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記測定値は、粉じんセンサを用いて測定された粉じんの濃度であり、前記生成処理は、各単位作業場における有害物質の環境測定により得られた前記測定値の平均値又は最大値を、前記有害物質に対応する予め定められた管理濃度と比較することによって、各単位作業場の管理区分を特定する管理区分特定処理を含む、ことが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、粉じんセンサを用いて測定された粉じんの濃度の平均値又は最大値を、管理濃度と比較することによって、専門家による環境測定及びデータ解析なしに、各単位作業場の管理区分を好適に特定することができる。これにより、有害物質を含む作業場を移動する作業者の作業環境をより好適に管理することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記有害物質は遊離ケイ酸である、ことが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、粉じん濃度の平均値又は最大値を、遊離ケイ酸に対応する予め定められた管理濃度と比較することによって、各単位作業場の管理区分をより好適に特定することができる。これにより、遊離ケイ酸等の有害物質を含む作業場を移動する作業者の作業環境をさらに好適に管理することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記移動端末は、前記作業場の予め定められた位置において前記測定処理を実行する、ことが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、作業者に装着された移動端末は、作業場の予め定められた位置において、必ず環境測定を行う測定処理を実行する。これにより、測定処理の実行位置(測定ポイント)の偏りが緩和するため、移動端末から測定値及び位置情報を受信した管理装置は、作業場における測定値の空間分布を表すマップを好適に生成することができる。その結果、作業場を移動する作業者の作業環境をより好適に管理することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記移動端末は、前記測定処理の実行間隔を前記作業者の移動速度が速いほど短くする、ことが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、移動端末は、作業者の移動速度(加速度)が速い場合には、測定処理の実行間隔を短くする。また、移動端末は、作業者の移動速度(加速度)が遅い場合(例えば、作業者がほとんど移動しない場合)には、測定処理の実行間隔を長くする。これにより、測定処理の実行位置の偏りが緩和するため、移動端末から測定値及び位置情報を受信した管理装置は、作業場における測定値の空間分布を表すマップを好適に生成することができる。その結果、作業場を移動する作業者の作業環境をより好適に管理することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記生成処理では、前記作業場における最新の測定値の空間分布を表すマップを生成する、ことが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、作業場における最新の測定値の空間分布を表すマップを生成するため、作業場を移動する作業者の作業環境をより好適に管理することができる。
【0022】
本発明の一態様に係る管理方法において、前記受信処理において、新たな測定処理により得られた測定値、及び、該新たな測定処理が実行された位置を示す位置情報を、前記移動端末から受信する度に、前記生成処理において、前記マップにおいて前記新たな測定処理が実行された位置に対応する測定値を、前記新たな測定処理により得られた測定値に置き換えたマップを生成する、ことが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、作業場における最新の測定値の空間分布を表すマップをより好適に生成することができる。これにより、作業場を移動する作業者の作業環境をさらに好適に管理することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る管理装置は、作業場を移動する作業者の作業環境を管理する管理装置であって、コントローラを備え、前記コントローラは、前記管理方法に含まれる各処理を実行する。
【0025】
上記の構成によれば、上述した管理方法と同様の効果を奏する。
【0026】
本発明の一態様に係る管理装置において、前記コントローラは、プロセッサと、メモリと、を含み、前記プロセッサは、前記メモリに格納されたプログラムに従って、前記管理方法に含まれる各処理を実行してもよい。
【0027】
上記の構成によれば、上述した管理方法と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様によれば、作業場を移動する作業者の作業環境を好適に管理可能な管理方法及びその関連技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態1に係る管理方法を説明するための模式図である。
図2】本発明の実施形態1における移動端末の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態1における移動端末による管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態1における管理装置の構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態1における管理装置による管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態1において生成される、作業場における測定値の空間分布を表すマップの表示画面の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態1において生成される、マップの選択領域における濃度の経時変化を表すグラフの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態1において生成される、マップの選択領域における安全快適性を表すアメニティメータの一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態1において生成される、作業場における測定値の空間分布を表すマップの表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<実施形態1>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0031】
〔管理方法〕
まず、本実施形態に係る管理システム1による、作業場A1を移動する作業者M1の作業環境を管理する管理方法の概要について、図1を参照して説明する。図1に示すように、管理システム1は、移動端末2と、管理装置3とによって構成されている。
【0032】
(環境測定)
図1は、本実施形態に係る管理方法を説明するための模式図である。図1の例では、4人の作業者M1は、それぞれ、工場等の限られた範囲の作業場A1を4等分した3×3マスの各単位作業場A2を移動する(ただし、原料庫O1及び設備O2が配置された領域を除く)。4人の作業者M1には、それぞれ、衣服等に移動端末2が装着されている。4人の作業者M1に装着された各移動端末2は、作業者M1が移動することに伴い、各単位作業場A2を移動する。各移動端末2は、粉じんセンサ21a、加速度センサ21b、光センサ21c、音センサ21d、温湿度センサ21e等の各種センサを用いて、単位作業場A2毎に環境測定を行う測定処理を実行する。当該センサは、作業場A1の環境に暴露されるように各移動端末2の本体に取り付けられており、各移動端末2に有線接続又は無線接続されている。なお、環境測定を行うセンサは、上述の例に限定されず、作業者M1は、気圧センサ(不図示)及びガスセンサ(不図示)等、作業環境の測定に必要な任意の種類のセンサを使用することができる。
【0033】
ここで、単位作業場とは、作業者に装着された移動端末が、測定処理を実行する単位となる作業場のことを指す。また、単位作業場は、遊離ケイ酸等の有害物質が関与する作業が行われる領域のうち、作業中の作業者の行動範囲と、有害物質の濃度の分布状況を考慮して、作業者の管理が必要と考えられる領域であれば、上述の例に限定されず、任意の領域であってもよい。また、上述の例では、4人の作業者M1が、各単位作業場A2を移動し、4人の作業者M1に装着された各移動端末2が環境測定を行っている。ただし、本実施形態では、少なくとも1人の作業者が作業場を移動して当該作業者の移動端末が当該作業場の環境測定を行えばよい。
【0034】
図1の例では、作業場A1では、各単位作業場A2を、それぞれ、9等分した際の各マスの中心点が、測定値の空間分布(ここでは、有害物質の空間分布)を表すマップを生成するために必要な測定ポイントA3として規定されている。また、4人の作業者M1が、測定ポイントA3を通過する際に、4人の作業者M1に装着された移動端末2は、それぞれ、測定ポイント(予め定められた位置)A3において、粉じんセンサ21a等のセンサを用いて、環境測定を行う測定処理を実行する。
【0035】
これにより、測定処理の実行位置の偏りを緩和させることができる。その結果、管理装置3は、作業場A1における測定値の空間分布を表すマップを好適に生成することができる。管理装置3は、生成された当該マップを出力装置(表示装置)37に出力する。その結果、図1に示すように、管理室Rにいる管理者M2は、例えば、出力装置37に表示されたマップを確認することによって、単位作業場A2を移動する作業者M1を好適に管理することができる。マップについては、後で詳細に説明する。
【0036】
なお、上述の例では、測定処理の実行位置の偏りを緩和するために、移動端末2は、測定ポイントA3において環境測定を行っているが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、測定処理の実行位置の代わりに、測定処理の実行間隔を調整してもよい。この場合、移動端末2は、測定処理の実行間隔を作業者M1の移動速度(加速度)が速いほど短くする。具体的には、移動端末2は、測定処理の実行間隔を作業者M1の移動速度(加速度)が速い場合には短くする。また、移動端末2は、測定処理の実行間隔を作業者M1の移動速度(加速度)が遅い場合(例えば、作業者M1がほとんど移動しない場合)には長くする。これによっても、測定処理の実行位置の偏りを緩和することができる。
【0037】
ここで、上述の粉じんセンサ21aが測定処理を実行する際に、各移動端末2は、各粉じんセンサ21aに送風する。より具体的には、各移動端末2は、粉じんセンサ21aによる環境測定(例えば、有害物質の環境測定)のタイミング以外の通常時には、各粉じんセンサ21aに送風せず、粉じんセンサ21aによる環境測定のタイミング(例えば、粉じんセンサ21aによって環境測定をする直前)のみ、ファン(不図示)等によって各粉じんセンサ21aに送風する。
【0038】
ここで、粉じんセンサがモバイルサイズである場合、粉じんセンサは、バッテリの問題から、通常、熱ドラフトによって粉じんを吸引する粉じん吸引法により、ヒューム等の粉じんの濃度を測定する。しかしながら、粉じん吸引法は、作業者の移動速度と比較して、粉じんセンサに粉じんが吸引される速度(粉じんの移動速度)が遅い。そのため、粉じんセンサを用いた環境測定を行う測定処理により得られた粉じんの濃度(測定値)と、当該測定処理が実行された位置とが対応(整合)しない可能性がある。また、作業者が移動しながら粉じんセンサを用いて測定処理を実行する場合、当該粉じんセンサは十分な大気(空気)の量が得られない可能性もある。また、粉じんセンサにファン等の吸引装置を設け、測定に必要な量の粉じん(浮遊粉じん)を含む大気(空気)を吸引した場合、バッテリの消費量が増加してしまうという問題が発生する。
【0039】
これに対し、本実施形態では、上述のように、各移動端末2は、粉じんセンサ21aによる環境測定のタイミングのみ、各粉じんセンサ21aに送風する。そのため、バッテリの消費量を抑制し、且つ、粉じんセンサ21a表面への汚れの堆積量を減少させることができる。
【0040】
各移動端末2は、それぞれ、上述のように、測定ポイントA3を含む各単位作業場A2の各位置における環境測定を繰り返し、各単位作業場A2における環境測定を行う測定処理を実行する。各移動端末2は、粉じんセンサ21a等のセンサを用いて測定処理を実行する。
【0041】
(位置の特定)
また、図1の例では、各移動端末2は、作業場A1の入り口に取り付けられているビーコンの発信機(無線標識)Bに対応する位置であって、当該ビーコンにより特定された初期位置A4、及び、加速度センサ21bにより検出された加速度を参照して、測定処理が実行された位置を特定する。具体的には、各移動端末2は、ビーコンにより特定された初期位置A4をビーコンの発信機Bから取得する。続いて、各移動端末2は、加速度センサ21bにより検出された加速度を積分して速度を算出し、当該速度をさらに積分して初期位置A4からの距離を検出する。各移動端末2は、当該距離から、例えば、初期位置A4を原点とした場合の座標を算出することによって、位置を特定する。このように、ビーコンの発信機B等の無線標識と加速度センサ21bとを併用することにより、無線標識のみを用いて位置を特定したり、加速度センサのみを用いて位置を特定したりする場合に比べて、高精度に測定処理が実行された位置を特定することができる。また、多数の無線標識を用いなくても位置を特定することができるため、コストを低減することができる。
【0042】
(測定値及び位置情報の送信及び受信)
各移動端末2は、環境測定を行う測定処理にて得られた測定値と、当該測定処理が実行された位置を特定する位置特定処理にて特定された位置を示す位置情報とを関連付けて、管理装置3に送信する。管理装置3は、当該測定値及び当該位置情報を、各移動端末2から受信する。
【0043】
(作業場A1における測定値の空間分布を表すマップの生成)
管理装置3は、移動端末2から受信した測定値及び位置情報を参照して、作業場A1における測定値の空間分布を表すマップを生成する。
【0044】
上述の構成によれば、管理装置3は、単位作業場A2をそれぞれ移動する作業者M1に装着された移動端末2が環境測定を行い、当該移動端末2から受信した測定値及び位置情報を参照して、単位作業場A2における測定値の空間分布を表すマップを生成する。そのため、特許文献1及び2に記載の技術のように、ロボットを用いて環境測定を行う構成、及び、特許文献3に記載の技術のように、車両を用いて環境測定を行う構成と比べて、作業場を移動する作業者の作業環境を好適に管理することができる。その結果、管理者M2は、例えば、出力装置(表示装置)37に表示されたマップを確認することによって、単位作業場A2を移動する作業者M1を好適に管理することができる。また、管理者M2は、出力装置37に表示されたマップを確認することにより、各単位作業場A2を含む広域の作業場A1の状態を直感的に把握できる。これにより、作業場A1の「見える化」が進むため、作業場A1を作業者M1にとって安心して移動できる場所にすることができる。また、管理者M2は、各作業者M1が移動する各単位作業場A2における環境状態の悪化を早期に発見し、例えば、測定値の分析等によって、設備等を制御やメンテナスすることにより、当該環境状態が悪化することを未然に防止することができる。また、上述の管理方法は、単に移動端末2を装着した作業者M1が移動し、管理者M2が管理装置3に生成されたマップを確認すればよい。そのため、低コストで単位作業場A2を移動する作業者M1の作業環境を管理することができる。
【0045】
管理装置3は、新たな環境測定により得られた測定値、及び、新たな測定処理が実行された位置を示す位置情報を、各移動端末2から受信する度に、マップにおいて新たな測定処理が実行された位置に対応する測定値を、新たな測定処理が実行された測定値に置き換えたマップを生成する。これにより、作業場A1における最新の測定値の空間分布を表すマップを好適に生成することができる。その結果、管理者M2は、作業場A1を移動する作業者M1の作業環境をさらに好適に管理することができる。
【0046】
(管理区分の特定)
管理装置3は、作業場A1における測定値の空間分布を表すマップを生成した後、各単位作業場A2の管理区分を特定してもよい。具体的には、管理装置3は、各単位作業場A2における有害物質の環境測定により得られた測定値の平均値又は最大値を、有害物質(例えば、遊離ケイ酸)に対する予め定められた管理濃度と比較することによって、各単位作業場A2の管理区分を特定する。予め定められた管理濃度E(mg/m)は、各移動端末2に予め入力された粉じん中の遊離ケイ酸含有率Q(%)を用いて、以下の式(1)のように求められる。なお、管理装置3は、例えば、予め定められた時間の間に得られた複数の測定値を参照することによって測定値の平均値及び最大値を算出することができる。管理区分については、後で詳細に説明する。
【0047】
E=3.0/(1.19Q+1)・・・(1)
上述のように、粉じん濃度の平均値又は最大値を、遊離ケイ酸に対応する予め定められた管理濃度と比較することによって、専門家による有害物質の環境測定及びデータ解析なしに、各単位作業場A2の管理区分を好適に特定できる。これにより、管理者M2は、遊離ケイ酸等の有害物質を含む各単位作業場A2を移動する作業者M1の作業環境をさらに好適に管理することができる。
【0048】
管理装置3は、管理区分を特定した後、作業場A1における測定値の空間分布を表すマップに重畳することによって、作業場A1に含まれる各単位作業場A2の管理区分が識別可能に表示されたマップを生成する。
【0049】
(作業場A1における測定値の空間分布を表すマップの表示)
管理装置3は、生成された、作業場A1における測定値の空間分布を表すマップを出力装置(表示装置)37に出力して表示する。管理装置3は、管理区分を特定していない場合には、管理区分が重畳されていないマップを出力装置37に表示し、管理区分を特定した場合、管理区分が重畳されたマップを出力装置37に表示する。
【0050】
〔移動端末2の構成〕
次に、本実施形態における移動端末2の構成について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る移動端末2の構成を示すブロック図である。
【0051】
移動端末2は、図2に示すように、粉じんセンサ21aと、加速度センサ21bと、光センサ21cと、音センサ21dと、温湿度センサ21eと、コントローラ22と、主メモリ23と、補助メモリ24と、通信インタフェース25a及び25bと、入出力インタフェース26と、を備えたコンピュータである。粉じんセンサ21a、加速度センサ21b、光センサ21c、音センサ21d、温湿度センサ21e、コントローラ22、主メモリ23、補助メモリ24、通信インタフェース25a及び25b、並びに、入出力インタフェース26は、バス29を介して互いに接続されている。コントローラ22としては、例えば、単一又は複数のマイクロプロセッサ、単一又は複数のデジタルシグナルプロセッサ、単一又は複数のマイクロコントローラ、又はこれらの組み合わせが用いられる。主メモリ23としては、例えば、単一又は複数の半導体RAM(random access memory)が用いられる。補助メモリ24としては、例えば、単一又は複数のHDD(Hard Disk Drive)、単一又は複数のSSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせが用いられる。また、補助メモリ24の一部又は全部は、通信インタフェース25bを介して接続されたネットワーク上のストレージであってもよい。通信インタフェース25aは、無線のLANLを介して、ビーコンの発信機Bに接続される。通信インタフェース25bは、インターネット等のWANWaを介して、管理装置3に接続される。入出力インタフェース26としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、赤外線及びBluetooth(登録商標)等の近距離通信インタフェース、又はこれらの組み合わせが用いられる。
【0052】
入出力インタフェース26には、例えば、入力装置27及び出力装置28が接続される。入力装置27としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、マイク、又はこれらの組み合わせ等が用いられる。出力装置28としては、例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、又はこれらの組み合わせが用いられる。なお、移動端末2は、ノート型コンピュータのように、入力装置27として機能するキーボート及びタッチパッド、並びに、出力装置28として機能するディスプレイを内蔵していてもよい。また、移動端末2は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータのように、入力装置27及び出力装置28として機能するタッチパネルを内蔵していてもよい。
【0053】
補助メモリ24には、後述するステップS101〜S107の各処理をコントローラ22に実行させるためのプログラムP1が格納されている。コントローラ22は、補助メモリ24に格納されたプログラムP1を主メモリ23上に展開し、主メモリ23上に展開されたプログラムP1に含まれる各命令を実行することによって、後述するステップS101〜S107の各処理に含まれる各ステップを実行する。また、補助メモリ24には、後述するステップS101〜S107の各処理を実行するためにコントローラ22が参照する各種データが格納されている。
【0054】
なお、上述の例では、粉じんセンサ21a、加速度センサ21b、光センサ21c、音センサ21d及び温湿度センサ21eは、バス29によってコントローラ22に有線接続されている。ただし、本実施形態ではこれに限定されず、粉じんセンサ21a、加速度センサ21b、光センサ21c、音センサ21d及び温湿度センサ21eは、コントローラ22に無線接続されていてもよい。
【0055】
また、上述の例では、内部記憶媒体である補助メモリ24に格納されているプログラムP1に従ってコントローラ22が後述するステップS101〜S107の各処理を実行する形態について説明したが、これに限定されない。すなわち、外部記録媒体に格納されているプログラムP1に従ってコントローラ22が後述するステップS101〜S107の各処理を実行する形態を採用してもよい。この場合、外部記録媒体としては、コンピュータが読み取り可能な「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブル論理回路等を用いることができる。あるいは、通信インタフェース25bを介して接続されるネットワーク上から取得したプログラムP1に従ってコントローラ22が後述するステップS101〜S107の各処理を実施する形態を採用してもよい。この場合、ネットワークとしては、例えば、インターネット、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、又はこれらの少なくとも一部の組み合わせ等を用いることができる。
【0056】
〔移動端末2による管理処理の流れ〕
以上のように構成される移動端末2による管理処理の流れについて、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における移動端末2による管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS101において、移動端末2のコントローラ22は、各種センサのうち、少なくとも粉じんセンサ21aが作業場A1の環境に暴露されているか否かを判定する。換言すれば、移動端末2のコントローラ22は、粉じんセンサ21aが作業場A1の大気(外気)と触れ合う位置に設置されているか否かを判定する。移動端末2のコントローラ22は、粉じんセンサ21aが作業場A1の環境に暴露されていると判定した場合、ステップS103に進む。移動端末2のコントローラ22は、粉じんセンサ21aが作業場A1の環境に暴露されていないと判定した場合、ステップS102に進む。
【0058】
ステップS102において、移動端末2のコントローラ22は、粉じんセンサ21aが作業場A1の環境に暴露されていないと判定した場合、作業者M1に通知する(通知処理)。一例として、粉じんセンサ21aの近傍に光センサ(照度センサ)21cが設けられており、粉じんセンサが、作業者M1のヘルメット又は作業着の胸部分若しくは肩部分等、作業者M1の顔に近い位置に固定具によって取り付けられていない場合、光センサ21cは、アラームを発する。粉じんセンサ21a等の測定処理を実行するセンサが正常な状態で作業者M1に装着されていない場合、環境測定により得られた測定値に誤差が生じるが、上述のように作業者M1に通知することによって、誤差が生じるのを防ぐことができる。
【0059】
ステップS103において、移動端末2のコントローラ22は、光センサ21c、音センサ21d及び温湿度センサ21e等の各種センサを用いて環境測定を行う。
【0060】
ステップS104において、移動端末2のコントローラ22は、測定処理を実行する前(例えば、直前)に、ファン(不図示)等によって、粉じんセンサ21aに送風する(送風処理)。
【0061】
ステップS105において、移動端末2のコントローラ22は、作業者M1に装着された粉じんセンサ21a等のセンサを用いて、環境測定を行う(測定処理)。一例として、移動端末2は、作業場A1の測定ポイントA3等の予め定められた位置において遊離ケイ酸等の有害物質の環境測定を行い、測定処理を実行する。また、一例として、移動端末2は、測定処理の実行間隔を作業者M1の移動速度が速いほど短くする。
【0062】
ステップS106において、移動端末2のコントローラ22は、環境測定が行う測定処理が実行された位置を示す位置を特定する(位置特定処理)。一例として、移動端末2は、作業場A1の入り口に取り付けられているビーコン(無線標識)の発信機Bに対応する位置であって、ビーコンにより特定された初期位置A4を、通信インタフェース25aを介してビーコンの発信機Bから取得する。また、移動端末2は、当該初期位置A4、及び、加速度センサ21bにより検出された加速度を参照し、位置を特定する。
【0063】
ステップS107において、移動端末2のコントローラ22は、測定処理にて得られた測定値と位置特定処理にて特定された位置を示す位置情報とを関連付けて通信インタフェース25bを介して管理装置3に送信する(送信処理)。ステップS107の後、移動端末2のコントローラ22は、ステップS101から上述の処理を繰り返す。
【0064】
なお、上述の例では、ステップS101において、移動端末2のコントローラ22は、各種センサのうち、少なくとも粉じんセンサ21aが作業場A1の環境に暴露されているか否かを判定する。また、ステップS102において、移動端末2のコントローラ22は、粉じんセンサ21aが作業場A1の環境に暴露されていないと判定した場合、作業者に通知している。ただし、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、移動端末2のコントローラ22は、粉じんセンサ21a等のセンサが作業場A1に暴露されているように移動端末2の本体に取り付けられていないか、又は、移動端末2に有線接続若しくは無線接続されていない場合に、作業者M1に通知してもよい。
【0065】
また、上述の例では、ステップS105において、移動端末2のコントローラ22は、作業者M1に装着された粉じんセンサ21a等のセンサを用いて、有害物質等の環境測定を行っているが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、移動端末2のコントローラ22は、有害物質の環境測定を行うことなく、例えば、作業者M1に装着された温湿度センサ21eを用いて、温度の環境測定を行ってもよい。この場合、移動端末2のコントローラ22は、ステップS104及びS105の処理を省略し、ステップS101〜S103、S106及びS107の処理のみを実行してもよい。これによっても、管理装置3のコントローラ31が、移動端末2から受信した温度等の測定値を参照して、温度等の測定値の空間分布を表すマップを生成できる。その結果、作業場A1を移動する作業者M1の作業環境を好適に管理することができる。
【0066】
〔管理装置3の構成〕
次に、本実施形態における管理装置3の構成について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る管理装置3の構成を示すブロック図である。
管理装置3は、図4に示すように、コントローラ31と、主メモリ32と、補助メモリ33と、通信インタフェース34と、入出力インタフェース35と、を備えたコンピュータである。コントローラ31、主メモリ32、補助メモリ33、通信インタフェース34、及び入出力インタフェース35は、バス38を介して互いに接続されている。コントローラ31としては、例えば、単一又は複数のマイクロプロセッサ、単一又は複数のデジタルシグナルプロセッサ、単一又は複数のマイクロコントローラ、又はこれらの組み合わせが用いられる。主メモリ32としては、例えば、単一又は複数の半導体RAM(random access memory)が用いられる。補助メモリ33としては、例えば、単一又は複数のHDD(Hard Disk Drive)、単一又は複数のSSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせが用いられる。また、補助メモリ33の一部又は全部は、通信インタフェース34を介して接続されたネットワーク上のストレージであってもよい。通信インタフェース34は、インターネット等のWANWbを介して、移動端末2に接続される。入出力インタフェース35としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)インタフェース、赤外線やBluetooth(登録商標)等の近距離通信インタフェース、又はこれらの組み合わせが用いられる。
【0067】
入出力インタフェース35には、例えば、入力装置36及び出力装置37が接続される。入力装置36としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、マイク、又はこれらの組み合わせ等が用いられる。出力装置37としては、例えば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカ、又はこれらの組み合わせが用いられる。図1の例では、出力装置37は、ディスプレイを備える表示装置である。なお、管理装置3は、ノート型コンピュータのように、入力装置36として機能するキーボート及びタッチパッド、並びに、出力装置37として機能するディスプレイを内蔵していてもよい。また、管理装置3は、スマートフォン又はタブレット型コンピュータのように、入力装置36及び出力装置37として機能するタッチパネルを内蔵していてもよい。
【0068】
補助メモリ33には、後述するステップS201〜S205の各処理をコントローラ31に実行させるためのプログラムP2が格納されている。コントローラ31は、補助メモリ33に格納されたプログラムP2を主メモリ32上に展開し、主メモリ32上に展開されたプログラムP2に含まれる各命令を実行することによって、後述するステップS201〜S205の各処理に含まれる各ステップを実行する。また、補助メモリ33には、後述するステップS201〜S205の各処理を実行するためにコントローラ31が参照する各種データが格納されている。
【0069】
なお、ここでは、内部記憶媒体である補助メモリ33に格納されているプログラムP2に従ってコントローラ31が後述するステップS201〜S205の各処理を実行する形態について説明したが、これに限定されない。すなわち、外部記録媒体に格納されているプログラムP2に従ってコントローラ31が後述するステップS201〜S205の各処理を実行する形態を採用してもよい。この場合、外部記録媒体としては、コンピュータが読み取り可能な「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブル論理回路等を用いることができる。あるいは、通信インタフェース34を介して接続されるネットワーク上から取得したプログラムP2に従ってコントローラ31が後述するステップS201〜S205の各処理を実施する形態を採用してもよい。この場合、ネットワークとしては、例えば、インターネット、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、又はこれらの少なくとも一部の組み合わせ等を用いることができる。
【0070】
〔管理装置3による管理処理の流れ〕
以上のように構成される管理装置3による管理処理(管理方法)の流れについて、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態に係る管理装置3による管理処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0071】
ステップS201において、管理装置3のコントローラ31は、環境測定を行う測定処理により得られた測定値、及び、当該測定処理が実行された位置を示す位置情報を、通信インタフェース34を介して、作業者M1に装着された各移動端末2から受信する(受信処理)。
【0072】
ステップS202において、管理装置3のコントローラ31は、ステップS201において受信した測定値及び位置情報を参照して、作業場A1における測定値の空間分布を表すマップを生成する(生成処理)。一例として、管理装置3のコントローラ31は、作業場A1における有害物質の空間分布を表すマップを生成する。なお、ここでは、管理装置3のコントローラ31は、管理区分が重畳されていないマップを生成する。
【0073】
ステップS203において、管理装置3のコントローラ31は、各単位作業場A2の管理区分を特定する(管理区分特定処理)。一例として、管理装置3のコントローラ31は、各単位作業場A2における環境測定により得られた測定値(粉じんセンサ21aによって測定された粉じんの濃度)の平均値又は最大値を、遊離ケイ酸等の有害物質に対応する予め定められた管理濃度と比較することによって、各単位作業場A2の管理区分を特定する。
【0074】
ステップS204において、管理装置3のコントローラ31は、ステップS203において特定された各単位作業場A2の管理区分を、ステップS202において生成した作業場A1における測定値の空間分布を表すマップに重畳する。これにより、管理装置3のコントローラ31は、作業場A1に含まれる各単位作業場A2の管理区分が識別可能に表示されているマップを生成する(生成処理)。
【0075】
ステップS205において、管理装置3のコントローラ31は、生成したマップを、入出力インタフェース35を介して、出力装置37に表示する。
【0076】
ステップS205の後、管理装置3のコントローラ31は、ステップS201から上述の処理を繰り返す。管理装置3のコントローラ31は、ステップS201において、新たな測定処理が実行された測定値、及び、新たな測定処理が実行された位置を示す位置情報を、各移動端末2から受信する度に、ステップS202において新たな測定処理が実行された位置に対応する測定値を、新たな測定処理により得られた測定値に置き換えることによって、作業場A1における最新の測定値の空間分布を表すマップを生成する。
【0077】
なお、上述の例では、管理装置3のコントローラ31は、ステップS201〜S205の全ての処理を実行しているが、本実施形態ではこれに限定されない。上述のように、管理装置3のコントローラ31は、ステップS201から上述の処理を繰り返す(ループする)場合、管理装置3のコントローラ31は、特定のループ(以下、「管理区分特定ループ」とも記載する)においてのみステップS203を実行し、それ以外のループにおいてステップS203を省略する構成を採用してもよい。ここで、ステップS203が実行される頻度、すなわち、全ループ数に対する管理区部特定ループ数の割合は、例えば、数十分の1である。
【0078】
これにより、管理者M2は、作業場A1を移動する作業者M1の作業環境を効率的且つ好適に管理することができる。なお、管理区分特定ループ以外のループのステップS204において、管理装置3のコントローラ31は、直近の管理区分特定ループにおいて実行されるステップS203にて特定された管理区分を測定値の空間分布を示すマップに重畳する。また、管理区分特定ループ以外のループのステップS205において、管理装置3のコントローラ31は、直近の管理区分特定ループにおいて実行されるステップS203にて特定された管理区分が重畳されているマップを表示する。この場合、管理装置3のコントローラ31は、最初のループを管理区分特定ループとし、ステップS203の処理を実行してもよい。これにより、常に管理区分が重畳されているマップを表示することができる。
【0079】
また、上述の例では、管理装置3のコントローラ31は、ステップS202において、測定値の空間分布を表すマップとして有害物質の空間分布を表すマップを生成しているが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、管理装置3のコントローラ31は、ステップS202において、例えば、有害物質の空間分布を表すマップの代わりに、温度等の測定値の空間分布を表すマップを生成してもよい。この場合、管理装置3のコントローラ31は、ステップS203及びステップS204の処理を省略し、ステップS201、S202及びS205の処理のみを実行してもよい。これによっても、管理装置3のコントローラ31は、温度等の測定値の空間分布を表すマップを生成できる。その結果、作業場A1を移動する作業者M1の作業環境を好適に管理することができる。
【0080】
〔作業場における測定値の空間分布を表すマップ〕
次に、本実施形態において生成される、作業場における測定値の空間分布を表すマップの一例について、図6〜9を参照して説明する。
【0081】
(作業場における測定値の空間分布を表すマップの表示例1)
まず、作業場における測定値の空間分布を表すマップの表示例1について、図6〜8を参照して説明する。図6は、本発明の実施形態1において生成される、作業場A5における測定値の空間分布(有害物質の空間分布)を表すマップMaの表示画面の一例(第1の画面S1)を示す図である。図7は、本実施形態において生成される、マップMaの選択領域Z1における濃度の経時変化を表すグラフの一例を示す図である。図8は、本実施形態において生成される、マップMaの選択領域Z2における安全快適性を表すアメニティメータの一例を示す図である。
【0082】
図6のマップMaでは、複数のボタンB1〜B5から構成されるボタンBのうち、粉じん濃度に関するボタンB1が選択され、粉じんの濃度が複数の段階に識別可能に表示されている。粉じんに含まれる遊離ケイ酸等の有害物質の濃度は、粉じんの濃度に比例するため、マップMaは、粉じんの濃度を表示することによって、作業場A5における有害物質の空間分布を表している。これにより、各単位作業場A6を含む広域の作業場A5の状態を直感的に把握できる。また、マップMaには、各移動端末2、原料庫O3及び設備O4が表示されている。このように、各移動端末2がマップMaに表示されていることにより、管理者M2は、各移動端末2を装着している各作業者M1を好適に管理することができる。なお、管理者M2は、入力装置36を介して、図6の複数のボタンB1〜B5の何れかを選択することができる。なお、上述の例では、第1の画面S1にボタンB1〜B5が表示されており、管理者M2は、例えば、ボタンB5からボタンB1〜B4の何れかを選択することによって、画面を切り替えることができる。ただし、本実施形態ではこれに限定されず、第1の画面S1にボタンB1〜B5の代わりに、タブが表示されており、選択されたタブに応じて画面が切り替わるようになっていてもよい。
【0083】
また、図6に示すように、マップMaには、作業場A5に含まれる各単位作業場A6の第1管理区分I、第2管理区分II及び第3管理区分IIIが識別可能に表示されている。ここで、第1管理区分Iとは、例えば、管理濃度を超える危険率(粉じんの濃度の平均値)が5%よりも小さいか、又は、粉じんの発散源(例えば、原料庫O3)に近い位置の粉じんの濃度の最大値が管理濃度より低い管理区分を指す。第2管理区分IIとは、粉じんの濃度の平均値が管理濃度以下であるか、又は、粉じんの発散源に近い位置の粉じんの濃度の最大値が管理濃度の1.5倍以下である管理区分を指す。第3管理区分IIIとは、粉じんの濃度の平均値が管理濃度を超えるか、又は、粉じんの発散源に近い位置の粉じんの濃度の最大値が管理濃度の1.5倍を超える管理区分を指す。
【0084】
上述のように、マップMaに識別可能に表示されている、各単位作業場A6の第1管理区分I、第2管理区分II及び第3管理区分IIIを管理者M2が確認することにより、管理者M2は、作業場A5を移動する作業者M1をより好適に管理することができる。
【0085】
一例として、管理者M2は、第1管理区分IがマップMaに表示されている場合、作業者M1の現状の管理状態の継続的維持に努める。また、管理者M2は、第2管理区分IIがマップMaに表示されている場合、原料庫O3、設備(施設)O4、及び管理方法の少なくとも1つの点検を行い、点検の結果に基づき、作業環境を改善するために必要な措置を講ずるように努める。また、管理者M2は、第3管理区分IIIがマップMaに表示されている場合、原料庫O3、設備(施設)O4、及び管理方法の少なくとも1つの点検を行い、点検の結果に基づき、作業環境を改善するために必要な措置を講ずるように努める。また、管理者M2は、作業者M1に有効な呼吸用保護具を使用させる。また、管理者M2は、産業医が必要と認めた場合には、作業者M1の健康診断の実施、及び、作業者M1の健康の維持の保持を図るために必要な措置を講ずる。また、管理者M2は、環境改善の措置を講じた後、再度作業環境測定を行い、第3管理区分IIIが、第1管理区分I又は第2管理区分IIになったか否かを確認する。
【0086】
ここで、マップMaの右下の単位作業場A6は、第3管理区分IIIとなっている。また、当該単位作業場A6の原料庫O3付近の選択領域Z1における粉じんの濃度が特に高くなっており、環境状態が悪化している。この場合、上述したように、管理者M2は、出力装置37に表示されたマップMaの右下の単位作業場A6における原料庫O3付近の選択領域Z1を、入力装置36を介して選択してもよい。
【0087】
また、マップMaの選択領域Z1及びZ2等の各選択領域は、マップMaを表示した第1の画面S1から、図7に示す粉じん等の濃度の経時変化のグラフを示す第2の画面S2、又は、図8に示す安全快適性を表すアメニティメータを示す第3の画面S3へと遷移させるためのUI要素として機能する。そのため、管理者M2が、上述のように選択領域Z1を第2の画面S2となるように選択することによって、第2の画面S2へと遷移する。図7の左側に示す第2の画面S2aは、マップMaの選択領域Z1における粉じんの濃度の経時変化を表すグラフを表示しており、図7の右側に示す第2の画面S2bは、マップMaの選択領域Z1における粉じんの濃度、温度及び湿度を表すグラフを表示している。第2の画面S2aから、管理者M2は、狭域である選択領域Z1における粉じんの濃度を認識することができる。また、第2の画面S2bのように、粉じんの濃度に加え、温度及び湿度を同時に表示することによって、粉じんの濃度と、温度と、湿度との相関関係を管理者M2は容易に認識することができる。その結果、管理者M2は、選択領域Z1の作業環境をより好適に管理することができる。なお、管理装置3のコントローラ31は、例えば、入力装置36を介した管理者M2の指示に応じて、第2の画面S2aから第2の画面S2bとなるように第2の画面S2を切り替えることができる。
【0088】
また、管理者M2が、出力装置37に表示されたマップMaの設備O4付近の選択領域Z2を選択した場合、図8に示す第3の画面S3へと遷移する。図8では、選択領域Z2の安全快適性をアメニティメータによって表示しているため、管理者M2は、狭域である選択領域Z2の安全快適性をより好適に把握することができる。
【0089】
なお、上述の例では、マップMaは、作業場A5における最新の測定値の空間分布(有害物質の最新の空間分布)を表すマップであるが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、管理装置3は、例えば、予め定められた期間における粉じんの濃度及び位置情報を参照して、測定値の空間分布(有害物質の空間分布)を表すマップを生成してもよい。
【0090】
また、上述の例では、管理区分は、I〜IIIに示す数値によってマップMaに識別可能に表示されているが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では管理区分がマップMa上に表示されていなくてもよいし、管理区分は、マップMa上に表示されている場合も、識別可能に表示されていれば、任意の形態によって表示されていてもよい。また、上述の例では、管理区分は、3段階に分かれているが、本実施形態ではこれに限定されず、管理区分は、任意の段階に分けられていてもよい。
【0091】
また、上述の例では、図7の右側に示す第2の画面S2bは、マップMaの選択領域Z1における粉じんの濃度、温度及び湿度を表すグラフを表示しているが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、温度及び湿度に加え、又は、代わりに、光センサ21c及び音センサ21d等の各種センサによって検出されたデータの値を第2の画面S2bに表示してもよい。これにより、管理者M2は、粉じんの濃度と、各種センサによって検出された各種データとの相関関係を容易に認識することができる。これによっても、管理者M2は、選択領域Z1の作業環境をより好適に管理することができる。
【0092】
また、上述の例では、マップMaの選択領域Z1及びZ2等の各選択領域は、図8に示すように、粉じん濃度、VOC(ガス濃度)、照度、騒音、快適度及びWBGT(暑さ指数)を基準とした安全快適性を表すアメニティメータを示す第3の画面S3へと遷移させるためのUI要素として機能している。ただし、本実施形態ではこれに限定されない。
【0093】
また、管理装置3のコントローラ31は、各単位作業場A6のうち、何れかの単位作業場A6の粉じん濃度が高くなった場合に、図6の第1の画面S1に、上述の単位作業場A6の粉じん濃度が高くなったことを示す警告(アラーム)表示を行ってもよい。例えば、管理装置3のコントローラ31は、何れかの単位作業場A6の粉じん濃度の平均値又は最大値が、遊離ケイ酸に対応する予め定められた管理濃度の80%に達した場合に、図6の第1の画面S1に、注意表示を行い、管理濃度に達した場合(瞬間)に、第1の画面S1に、警告(アラーム)表示を行ってもよい。このように、上述の単位作業場A6の粉じん濃度が高くなったことを注意表示及び警告表示等によって通知することにより、管理者M2は、単位作業場A6の作業環境をより好適に管理することができる。また、上述のように、単位作業場A6の粉じん濃度が管理濃度の80%に達した場合に達した時点で、注意表示を行うことにより、当該粉じん濃度が高くなったことを事前に通知することができる。
【0094】
また、管理装置3のコントローラ31は、過去の測定処理により得られた測定値(過去の測定値)と、新たな測定処理により得られた測定値との相関関係を参照して、粉じん濃度の変化を予測してもよい。例えば、管理装置3のコントローラ31は、図1に示す予め定められた複数の測定ポイントA3等において測定した過去の測定値のうち、新たな測定処理により得られた測定値と相関関係が高い測定値を抜出し、過去の測定値の変位量がどのように変化したかを参照して、粉じん濃度の変化を予測してもよい。これにより、管理者M2は、単位作業場A6の作業環境をより好適に管理することができる。
【0095】
(作業場における測定値の空間分布を表すマップの表示例2)
次に、作業場における測定値の空間分布を表すマップの表示例2について、図9を参照して説明する。図9は、本発明の実施形態1において生成される、作業場A5における測定値の空間分布(温度の空間分布)を表すマップMbの表示画面の一例(第4の画面S4)を示す図である。
【0096】
図9のマップMbでは、複数のボタンB1〜B5から構成されるボタンBのうち、温度に関するボタンB5が選択され、20℃〜40℃までの温度が、10段階で識別可能に表示されている。マップMbは、図3のステップS103において、移動端末2が温湿度センサ21eによって、環境測定を行った場合の、作業場A5における温度の測定値の空間分布を表している。これにより、各単位作業場A6を含む広域の作業場A5の状態を直感的に把握できる。また、マップMbには、マップMaと同様に、各移動端末2、原料庫O3及び設備O4が表示されている。このように、各移動端末2がマップMbに表示されていることにより、管理者M2は、有害物質の空間分布を表すマップMaと同様に、各移動端末2を装着している各作業者M1を好適に管理することができる。なお、上述の例では、20℃〜40℃までの温度が、マップMbに10段階で区切り表示されているが、本実施形態ではこれに限定されない。本実施形態では、管理者M2は、作業場A5の環境に応じて、温度範囲及び段階の数を任意に設定できる。
【0097】
なお、管理者M2は、例えば、入力装置36を介して、粉じん濃度に関するボタンB1が選択されている状態から、温度に関するボタンB5を選択し直すことによって、図6のマップMaから図9のマップMbに表示を切り替えることができる。また、マップMaと同様に、マップMbには、第2の画面S2及び第3の画面S3へと遷移させるためのUI要素として機能する、選択領域Z1及びZ2等の各選択領域が表示されていてもよい。
【0098】
〔ソフトウェアによる実現例〕
移動端末2及び管理装置3の制御ブロック(特にコントローラ22及び31)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0099】
後者の場合、移動端末2及び管理装置3は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等をさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワーク及び放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0100】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1 管理システム
2 移動端末
3 管理装置
21a 粉じんセンサ
21b 加速度センサ
21c 光センサ
21d 音センサ
21e 温湿度センサ
22、31 コントローラ
23、32 主メモリ
24、33 補助メモリ
25a、25b、34 通信インタフェース
L LAN
Wa、Wb WAN
23、35 入出力インタフェース
27、36 入力装置
28、37 出力装置
29、38 バス
A1、A5 作業場
A2、A6 単位作業場
A3 測定ポイント
A4 初期位置
B ビーコンの発信機(無線標識)
M1 作業者
M2 管理者
Ma、Mb マップ
O1、O3 原料庫
O2、O4 設備
P1、P2 プログラム
R 管理室
S1 第1の画面
S2、S2a、S2b 第2の画面
S3 第3の画面
Z1、Z2 選択領域
図1
図2
図3
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図9