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特開2021-33382多次元クロス度数表の秘匿変換処理による個票データの匿名化装置、プログラム、及び手法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-33382(P2021-33382A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】多次元クロス度数表の秘匿変換処理による個票データの匿名化装置、プログラム、及び手法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20210201BHJP
【FI】
   G06F21/62 354
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】58
(21)【出願番号】特願2019-149284(P2019-149284)
(22)【出願日】2019年8月16日
(71)【出願人】
【識別番号】504167986
【氏名又は名称】独立行政法人統計センター
(72)【発明者】
【氏名】伊原 一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】個人を識別する情報を除去した個票データについて多次元クロス度数表を集計して秘匿処理を行い、秘匿済み度数表の再現性を維持したまま個票データ形式に変換することによって個票データの安全性確保と集計結果の再現性維持を実現する個票データの匿名化装置、プログラム及び手法を提供する。
【解決手段】手法は、個票データから選択した属性項目の全ての組合わせについて多次元クロス度数表を集計し、リスクセルを含む属性組合わせの消去及び丸め処理等の秘匿処理を行い、属性項目の組合わせごとに総数と内訳合計について差分計算を行って内訳と差分の度数に応じたレコードを出力することで、度数表の再現性を維持したまま個票データ形式に変換することによって個票データを匿名化する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人等の属性項目により構成される個票データから多次元クロス度数表を集計して秘匿処理を行い、属性項目の組み合わせごとに総数と内訳合計の差分を計算して内訳と差分の度数に応じた属性レコードを出力することによって個票データ形式に変換することを特徴とする、個票データの匿名化手法を実現するためのプログラムを実行できるようにコンピュータにインストールした匿名化処理装置
【請求項2】
個人等の属性項目により構成される個票データから多次元クロス度数表を集計して秘匿処理を行い、属性項目の組み合わせごとに総数と内訳合計の差分を計算して内訳と差分の度数に応じた属性レコードを出力することによって個票データ形式に変換することを特徴とする、個票データの匿名化手法をコンピュータ上で実現するためのプログラム
【請求項3】
個人等の属性項目により構成される個票データから多次元クロス度数表を集計して秘匿処理を行い、属性項目の組み合わせごとに総数と内訳合計の差分を計算して内訳と差分の度数に応じた属性レコードを出力することによって個票データ形式に変換することを特徴とする、個票データの匿名化手法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の名称
多次元クロス度数表の秘匿変換処理による個票データの匿名化装置、プログラム、及び手法
【0002】
2.技術分野
本発明は、統計分野における統計調査及びアンケート調査等の個票データについて、個人情報を含むリスクレコードを匿名化し、プライバシー保護の観点から安全にデータ利用を行うことができるようにするための匿名化技術に関するものである。本発明を用いることで、統計調査及びアンケート調査等の個票データにおける個人や世帯等について、孤立した属性を持つリスクレコードの匿名化を行うことが可能となる。
【背景技術】
【0003】
3.背景技術
統計調査やアンケート調査等において、個人情報が含まれる個票データを用いて統計表の集計や分析を行う場合は、個人や世帯等を識別できる情報を除去した上で利用する必要がある。しかし、個票データから単純に個人や世帯等の識別情報を除去するだけでは個人情報の秘匿は不十分であり、個人や世帯等の属性別度数表において度数が1や2などのように少ない場合は個人が特定される可能性があるリスクセルとなるため、さらに秘匿処理を加える必要がある。
統計分野では、統計表の秘匿処理は統計を集計するための製表技術の一部として用いられており、結果表の集計前に個票データのリスクレコードの匿名化処理を行う方法が事前秘匿と呼ばれるのに対して、集計後の統計表においてリスクセルの安全処理を行う方法は事後秘匿と呼ばれている。
個票データにおけるリスクレコードは、結果表集計後に検出されることから、集計結果表の秘匿処理は集計後の集計結果表上で事後秘匿として行うのが一般的であるが、事後秘匿は全ての表に矛盾が生じないように行う必要がある。これに対して、事前秘匿は集計前の個票データ上でリスクレコードの匿名化処理を行うことで集計表間に矛盾が生じる心配がなくなることや、個票データを利用する際に公表結果表と矛盾なく分析を行うことができるメリットがある。
【0004】
3.1 一般的な匿名化手法
統計データの個票データを用いて分析を行う際に、最も重要となるのはデータの安全性と結果の再現性であり、匿名化処理を行ったデータはプライバシー保護の観点から安全であると同時に集計結果の再現性を維持する必要がある。データの安全性の観点からは、匿名化処理によって削られる情報が多いほど安全性は高くなるが、データの有用性が下がるという問題が生じるため、十分な安全性を確保しつつ、結果表の再現性を実現する方法が求められる。
個人情報を含む個票データの一般的な匿名化手法としては、(1)粗分類化、(2)レコード削除(Suppression)、(3)移し換え(度数が大きい属性等への属性変更)、(4)交換(Swapping)、(5)並び替え(Permutation)、(6)置き換え(リサンプリング)、(7)水増し、(8)乱数撹乱、(9)合成法(乱数合成値による置き換え)等が知られている。
【0005】
3.2 一般的な匿名化手法の問題点
(1) 粗分類化
個人や世帯等の個票データにおいて、属性項目別の度数が極端に少ない場合は、個人が特定されるリスクが高いため、個票データの匿名化手法として、属性項目の分類を粗くして粗分類化を行うことで孤立したレコードを匿名化する手法が用いられる。リスクレコードが含まれる属性分類の上端を粗くするトップコーディングや、下端を粗くするボトムコーティングは粗分類化の手法に含まれる。粗分類化の手法を用いると、属性項目の組合わせが増えるほど分類を粗くする必要があるため、細かい属性分類による集計ができなくなることから、集計結果の再現性に問題がある。
【0006】
(2) レコード削除
属性項目別の度数が極端に少ないリスクレコードについて、粗分類化を行う代わりにリスクレコードを単純に削除する方法が用いられる場合がある。しかし、リスクレコードを単純に削除してしまうと公表結果表の合計値との差分からリスクレコードの逆算が可能であり、単純削除ではリスクレコードの秘匿は行えないという問題がある。これを回避するために無作為に選んだ非リスクレコードを合わせて削除することでリスクレコードを特定できないようにするお供秘匿の手法が用いられる。しかし、この方法では本来は削除する必要のないレコードまで削除することになるため、秘匿後のデータを集計しても基データと同じ結果表を得ることができないという問題が生じる。さらに、同一の表を繰り返し集計する場合は集計の都度に異なるレコードが無作為に削除されるため、秘匿パターンの異なる複数の表を照合することで、削除されたレコードの値がわかってしまうという安全性の問題がある。
また、属性別の度数が基準以上になるように一定度数未満のレコードを一律に削除して秘匿処理を行うと、組合わせによる属性が詳細になるほど削除されるレコードが増えていき、有効なレコード数が基データと比べて大幅に減少して集計結果が一致しなくなることから、集計結果の再現性に問題が生じる。
【0007】
(3) 移し換え
リスクレコードの属性項目について、近隣レコードと同じ属性に変更する移し換えの方法が用いられる場合があるが、移し換えによって歪みが生じるため、公表結果表(真値)との差分によって秘匿内容が露出してしまうことがあり、安全性に問題がある。また、匿名化処理後のデータは歪みを含むため、集計結果の再現性に問題がある。
【0008】
(4) 交換(スワッピング)
部分的に共通な属性項目を持つレコードについて、非共通属性項目をレコード単位で交換することで、リスクレコードを匿名化する方法。レコード数および共通属性項目の集計値が変わらないというメリットがあるが、より詳細な属性項目の組合わせで集計結果表が公表されている場合は、真値との差から交換内容が判明してしまうことがある。また、同じ個票データを繰り返して匿名化すると、交換レコードの組合わせの差分からリスクレコードが特定されてしまう可能性があり、安全性の問題がある。また、共通項目以外の詳細な集計を行うと、公表結果表(真値)と一致しないため、集計結果の再現性に問題が生じる。
【0009】
(5) 並び替え
2レコード間で行う交換(スワッピング)について、リスクレコードと共通な属性項目を持つグループ内で並び替えを行うことでリスクレコードの匿名化を行う手法。複数レコードのグループ内で項目の並び替えを行うことで、スワッピングよりも安全性が高くなることが期待できるが、安全性の問題が完全に解消されるわけではないため、交換(スワッピング)と同様に安全性と集計結果の再現性に問題が生じる。
【0010】
(6) 置き換え(リサンプリング)
別の方法として、リスクレコードを削除する代わりにリサンプリングした他のレコードで置き換える方法があるが、同じ集計結果表を繰り返し作成すると、異なる乱数パターンの組み合わせでリサンプリングされるため、リスクレコードが集計結果表の差分によって特定されてしまうという問題や、公表されている集計結果表との差により、置き換えたレコードの値が逆算されるという問題が生じる。また、リサンプリングによって置き換えられたレコードがノイズとなるため、秘匿後のデータを集計しても基データと同じ結果表を得ることができなくなることから、集計結果の再現性に問題がある。
【0011】
(7) 水増し
リスクレコードを削除する代わりに、同じ属性項目のレコードを重複させて水増しすることで見かけ上の安全性を確保する方法があるが、水増しによって集計結果表に歪みが生じるため、集計結果の再現性に問題がある。
【0012】
(8) 乱数撹乱
リスクレコードが含まれる属性項目の組合わせについて、乱数によるノイズを加えることによって、安全性を確保する乱数撹乱の手法がある。ノイズは、レコード単位で加える場合と項目ごとに加える場合がある。リスクレコードのみにノイズを加えると公表結果表との差分によりノイズが特定できてしまうため、安全性を高めるために複数レコードもしくは全レコードにノイズを加える必要があるが、ノイズが混入したデータは正確な結果表を集計できないため、集計結果の再現性に問題がある。
【0013】
(9) 合成法
乱数撹乱による方法の1つとして、平均値(統計量)等が基データと一致するように乱数を発生させた合成値を用いる方法があるが、平均以外の標準偏差や相関係数等の統計量も全て一致するような合成値を作成する方法は実現されていないため、再現性が不十分となる。また、統計量を緻密に再現するとリスクレコードを逆算できる場合や、項目間の矛盾や異常値によりリスクレコードが特定できる可能性があるため、安全性に問題がある。
【0014】
3.3 匿名化技術関連の既存特許
匿名化関連の既存特許に用いられている手法は、大別して(1)粗分類化、(2)乱数撹乱、(3)レコード水増し、(4)秘密計算、(5)複合法等に分けられる。
【0015】
3.3.1 粗分類化
粗分類化のベースとなる考え方はk匿名化と呼ばれており、個人情報を含む個票データの中に件数の少ない孤立レコードが存在すると個人が特定されるリスクとなるが、同じ属性のレコードがk件以上存在すれば個人を特定できなくなるため安全とされる。k匿名化を利用して個票データの中の同じ属性のレコードが複数存在するように属性分類を粗くする方法が粗分類化と呼ばれている。
粗分類化の手法を用いた特許技術は2013年から2017年までに以下の特許が取得許可されている。粗分類化の考え方については、k匿名化の概念が定義される以前から統計の製表技術分野において用いられている手法であり、関連特許は単純な粗分類化を行うのではなく、これをベースにした応用技術となっている。
粗分類化関連の手法(自動分類、削除等を含む)を用いている例として、特許文献(1)〜(18)が挙げられる。
【0016】
3.3.2 乱数撹乱
個人情報を含むデータの匿名化手法として、乱数によるノイズをデータに含めることで匿名化を行う撹乱手法が用いられる。ノイズによる乱数撹乱は、基データの分類区分を変更せずに利用できるというメリットがある一方で、データにノイズが含まれることになるため、分析結果が必ずしも正しい値に一致しないという問題があり、対策としてノイズの平均値がゼロになるように撹乱を行う手法等が用いられる。
乱数撹乱による匿名化技術は、諸外国(オーストラリア等)において統計表の標準的な秘匿手法として用いられているが、日本では以下の関連特許が取得されており、粗分類化の代替手法として利用されている。
乱数撹乱関連の手法を用いている例として、特許文献(19)〜(21)が挙げられる。
【0017】
3.3.3 レコード水増し
乱数による撹乱手法は乱数に起因する異常値やはずれ値が発生して実際のデータと性質が異なるデータになるという問題がある。そこで、ノイズを加えて撹乱する代わりに、リスクレコードと同様の性質を持つレコードを水増ししてL多様性秘匿を行う方法が用いられる。リスクレコードと同じ属性のレコードを水増しすることで、重複IDを含むデータも秘匿できるというメリットがある。
水増しによる匿名化技術は以下の特許が取得されているが、匿名化データの集計結果が変わってしまうというデミリットが大きいため、統計分野の匿名化技術として用いることはできない。
レコード水増し関連の手法を用いている例として、特許文献(22)が挙げられる。
【0018】
3.3.4 秘密計算
秘密計算は、個人情報が含まれるデータを暗号化し、複数データに分散して保存した上で、暗号化したまま複合せずに統計量を計算する手法。利用者は個票を見ないで計算処理を行うため、データ利用時の安全性を高めることができるが、秘密計算自体には集計結果を匿名化する機能がないため、集計結果から個人情報が特定されることを防ぐために別途、集計結果の出力制限機能が必要となる。
秘密計算関連の手法を用いている例として、特許文献(23)が挙げられる。
【0019】
3.3.5 複合手法
複合手法は、上記の粗分類化、乱数撹乱、秘密計算、置換、削除等を組合わせるか、選択して匿名化処理を行う手法で、複合手法を用いている例として、特許文献(24)〜(27)が挙げられる。
【0020】
3.4 既存特許の問題点
匿名化技術関連の既存特許については、それぞれ下記の問題がある。
(1) 粗分類化
匿名化技術関連の既存特許の内、粗分類化については集計に用いる分類を粗くしてしまうため、例えば各歳年齢が区分の粗い10歳階級になったり、都道府県が区分の粗い地方別になったりするなど、基データの集計結果表を再現できなくなるという問題がある。
【0021】
(2) 乱数撹乱
乱数撹乱については、ノイズ(偽データ)が混入することで結果表の再現性を維持できないため、統計データの秘匿には適さない。また、反復利用すると差分によって秘匿が露出する可能性があり、安全性を確保できない。
【0022】
(3) レコード水増し
レコード水増しについては、匿名化後の集計結果が変わってしまうため、統計データの秘匿には適さないという問題がある。
【0023】
(4) 秘密計算
秘密計算については、暗号化して統計計算を行う技術であることから利用時の安全性向上に貢献できるが、結果の安全性を確保するための技術ではないため、匿名化データの作成技術としては利用できないという問題がある。
【0024】
統計分野の個票データのリスクレコード匿名化の技術については、安全性を確保しつつ、基データと同等の統計表の再現性を維持できる技術が十分に確立されていないのが現状となっている。
【0025】
3.5 先行技術文献
個票データの匿名化に関連する先行技術の文献として、特許文献と特許以外の非特許文献がある。
3.5.1 特許文献
個票データの匿名化に関連する先行技術の特許文献として、以下が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】(1) 特許6127774(2017年 日本電気株式会社) 情報処理装置、及び、データ処理方法(特徴:病名を有効期間で粗分類化し、個人属性をk匿名化)
【特許文献2】(2) 特許6097774(2017年 ソフトバンク株式会社) 匿名化処理方法、匿名化処理プログラム、及び匿名化処理装置(特徴:データを空間距離でグループ化し、追加レコードをグループ代表値で分類)
【特許文献3】(3) 特許6079783(2017年 日本電気株式会社) 匿名化を実行する情報処理装置及び匿名化方法、及びプログラム(特徴:l多様性を満たすグループの遷移ベクトルの類似度を用いた秘匿)
【特許文献4】(4) 特許6078437(2017年 株式会社日立ソリューションズ) パーソナル情報匿名化システム(特徴:抽象化(粗分類化)によるk匿名化を行うための一般化階層木の編集)
【特許文献5】(5) 特許6065833(2017年 日本電気株式会社) 分散匿名化システム、分散匿名化装置及び分散匿名化方法(特徴:グループごとに追加したダミーレコードが分散するように個人属性を粗分類化)
【特許文献6】(6) 特許6015658(2016年 日本電気株式会社) 匿名化装置、及び、匿名化方法(特徴:個人属性の粗分類化による秘匿)
【特許文献7】(7) 特許6007969(2016年 日本電気株式会社) 匿名化装置及び匿名化方法(特徴:複数あるデータ提供元が特定されないように粗分類化)
【特許文献8】(8)特許5974858(2016年 富士通株式会社) 匿名化処理方法及び装置(特徴:データブロックの距離計算による粗分類化)
【特許文献9】(9)特許5875536(2016年 日本電信電話株式会社) 匿名化装置、匿名化方法、プログラム(特徴:文字列の遷移確率行列を用いた秘匿(粗分類化))
【特許文献10】(10)特許5875535(2016年 日本電信電話株式会社) 匿名化装置、匿名化方法、プログラム(特徴:文字列の遷移確率またはハミング距離を用いた秘匿(粗分類化))
【特許文献11】(11)特許5858292(2016年 日本電気株式会社) 匿名化装置及び匿名化方法(特徴:レコードを汎化(粗分類化)して追加する場合に、基データの一部にも同じ汎化規則を適用)
【特許文献12】(12)特許5782637(2015年 西日本電信電話株式会社) 属性選択装置、情報匿名化装置、属性選択方法、情報匿名化方法、属性選択プログラム、及び情報匿名化プログラム(特徴:一般化属性の出現率と残存率による選択と粗分類化によるk匿名化)
【特許文献13】(13)特許5684165(2015年 株式会社日立製作所) 個人情報匿名化装置および方法(特徴:多肢選択属性の個人情報の一般化階層木による抽象化(粗分類化))
【特許文献14】(14)特許5626733(2014年 株式会社日立製作所) 個人情報匿名化装置及び方法(特徴:一般化階層木により匿名化したデータの増分レコードを匿名化)
【特許文献15】(15)特許5492296(2014年 株式会社日立製作所) 個人情報匿名化装置(特徴:個人情報の一般化階層木による抽象化(粗分類化))
【特許文献16】(16)特許5416614(2014年 KDDI株式会社) 公開情報のプライバシー保護装置、公開情報のプライバシー保護方法およびプログラム(特徴:一般化(粗分類化)によるレコード流量nを考慮した(k+n)匿名化)
【特許文献17】(17)特許5288066(2013年 日本電気株式会社) 匿名化装置(特徴:汎化(粗分類化)による特異グループについて、他グループの一部を加えて汎化処理)
【特許文献18】(18)特許5282121(2013年 エヌイーシー(チャイナ)カンパニー,リミテッド) データ匿名化の方法と装置(特徴:2レコード間の距離計算を行い、一般化及び削除によるk匿名化)
【特許文献19】(19)特許6002712(2016年 日本電信電話株式会社) 情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム(特徴:ダミーデータによるデータベースの匿名化)
【特許文献20】(20)特許5983611(2016年 日本電気株式会社) 匿名化装置、匿名化方法、及びそのためのプログラムを記録した記録媒体(特徴:匿名性が閾値を満たすように改変した不正確な解析結果を出力)
【特許文献21】(21)特許5962472(2016年 富士通株式会社) 匿名化データ生成方法、装置及びプログラム(特徴:直近データブロックを結ぶ線分上の点を乱数選択)
【特許文献22】(22) 特許6015777(2016年 富士通株式会社) 秘匿化データ生成方法及び装置(特徴:データブロック内レコードの水増しによるL多様性秘匿)
【特許文献23】(23) 特許6009698(2016年 日本電信電話株式会社) 秘密計算方法、秘密計算システム、ランダム置換装置及びプログラム(特徴:乱数により暗号化したデータを分散して秘密計算)
【特許文献24】(24)特許6000175(2016年 日本電信電話株式会社) 匿名化システム、匿名化装置、利用者装置、匿名化方法、およびプログラム(特徴:固体情報を複数に分割し、変換、置換、削除等によるPk匿名化処理)
【特許文献25】(25)特許5979004(2016年 日本電気株式会社) 情報処理システム及び匿名化方法(特徴:汎化、切落し、分離、置換、摂動等の処理順序を匿名化ポリシーに従って選択)
【特許文献26】(26)特許5758315(2015年 日本電信電話株式会社) 匿名データ提供システム、匿名データ装置、及びそれらが実行する方法(特徴:削除、置換、乱数撹乱等により匿名化したデータをフィールドごとに分割して秘密計算)
【特許文献27】(27)特許5670366(2015年 日本電信電話株式会社) 匿名データ提供システム、匿名データ装置、それらが実行する方法、およびプログラム(特徴:削除、置換、乱数撹乱等により匿名化したデータをフィールドごとに分割して秘密計算(空集合を含む))
【非特許文献】
【0027】
【非特許文献1】3.5.2 非特許文献特許以外の関連文献は多数あるが、特に以下を挙げる。(1) 個人特定のリスクを低減させる匿名化技術(2016年、千田、オペレーションズ・リサーチVol.61 No.5)
【非特許文献2】(2) ミクロデータにおける匿名化技法の適用可能性の検証―全国消費実態調査と家計調査を用いて―(2014年、伊藤、村田、高野、統計研究彙報第71号)
【非特許文献3】(3) 集計表におけるセル秘匿問題とその研究動向(2003年、瀧、統計数理(2003)第51巻第2号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
4.発明の概要
個票データについてプライバシー保護のための匿名化を行うための既存手法は、安全性の確保と集計結果の再現性の維持を両立する技術が十分に確立されておらず、安全性を確保できても分布に歪みやノイズを生じるため、集計すると基の個票データと同等の分布の度数表を得ることができないなどの問題がある。本発明は基の個票データについてプライバシー保護の観点から安全性を確保しつつ、基の個票データを集計して得られる秘匿度数表の再現性を維持することができる、個票形式の匿名化データを作成するための手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、個票データについて多次元クロス度数表を集計して秘匿処理を行った上で、総数と内訳合計の差分計算を行い、多次元秘匿度数表の再現性を維持したまま個票データ形式に変換することで、匿名化した個票データを作成する手段を用いている。
本発明による個票データの匿名化手法は、個票データと多次元クロス度数表について、個票データから多次元クロス度数表の集計処理と、多次元クロス度数表から個票形式データへの変換処理を可逆的に行うことで、多次元クロス度数表の秘匿処理を匿名化データに反映させると共に、匿名化データを集計して得られる度数表について多次元クロス秘匿度数表の再現性を維持することを可能とする。
【0030】
5.匿名化装置
匿名化装置は、市販のパーソナルコンピュータ(以下、PCという。)に匿名化処理プログラムをインストールし、入力データと出力データを保存する記憶装置を接続して構成する。プログラムのインストールは電子媒体を介して行うが、インストールの方法はインターネット等のネットワーク経由でもPCへのプレインストールの方法でもよい。
利用者は、PCにインストールされた実行形式ファイルのプログラムを実行することで装置を起動し、実行画面のメニューから入力データとしてPCに接続された記憶媒体上の個票データのファイル名を指定し、安全基準(K)、丸め基数(B)、及び変換縮尺(R)等のパラメータを指定して処理を実行し、作成した匿名化データのファイル名を指定して出力データとして保存する(図1)。
なお、多次元クロス度数表の秘匿手法については、実施形態として消去秘匿及び丸め秘匿を用いているが、度数表の秘匿手法は多様に存在することから、度数表について属性別の内訳合計と総数の差分計算を行うことができる手法であれば、どのような秘匿手法を用いてもよい。
【0031】
6.匿名化処理プログラム
個票データの秘匿処理を行うための匿名化処理プログラムは、(1)多次元度数表集計処理部、及び(2)秘匿変換処理部を構成する各プログラムにより構成する(図2)。
多次元度数表集計処理部は、個票データを入力データとし、(1)多次元クロス度数表集計プログラムにより構成する(図3.1)。秘匿変換処理部は、多次元クロス度数表を入力データとし、(2)消去秘匿、(3)丸め秘匿、(4)差分計算、及び(5)個票形式変換の各プログラムにより構成する(図3.2)。
(1)多次元度数表集計処理部については、個票データを入力データとして用いて多次元度数表を集計することから、外部アクセスから遮断された閉鎖環境で利用することを想定している。(2)秘匿変換処理部については秘匿処理を行う機能と度数表を個票形式に変換する機能を有しており、多次元度数表の秘匿処理については閉鎖環境で行う必要がある。ただし、秘匿処理後の秘匿度数表を入力データとして個票データ形式に変換する場合は、外部アクセスが可能な解放環境で利用する可能性を視野に入れた設計としている。プログラム作成については、どのようなプログラミング言語を用いてもよい。
【0032】
6.1多次元クロス度数表集計プログラム
多次元クロス度数表集計プログラムは、属性フィールドの全ての組合わせごとに内訳合計の計算処理を行う。計算方法としては、合計キーを付与したデータを基データに結合し、属性キーで並び替えを行った上で、同一属性ごとに度数及び加重度数の合算を行う方法を用いて、再帰計算により全組合わせ別の合計計算処理を行う(図4.1)。
(1) 前処理
下記の前処理を行う。
・処理対象とする属性項目フィールドを選択
・不要なフィールドを除去
・フィールドに加重度数(Weight)が無い場合は加重度数(Weight)フィールドを追加し、各レコードの値を1にセット
・度数(Freauency)フィールドを追加して、各レコードの値を1にセット
(2) フィールド番号j = 0
指定したフィールドについて、カウンターjの初期化を行う。
(3) 処理フィールドj = j+1
処理対象となる指定フィールドをカウンターjによりカウントする。
(4) 全レコードコピーD1
入力ファイルの全レコードをコピーしてファイルD1として出力する。
(5) レコード番号i = 0
入力レコードのカウンターiについて初期化を行う。
(6) レコード読込
個票データのレコード読込を行う。
(7) i = i + 1
処理対象となるレコードをカウンターiによりカウントする。
(8) 属性j番目分類=”~”
処理対象となるレコードについて、属性j番目の属性を合計符号”~”に置き換える。
(9) 最終レコード?
全レコードについて処理が完了したか判定を行う。
Yes ⇒処理(6)
No ⇒処理(10)
(10) 結合D1+全レコード
属性i番目について処理済の全レコードをファイルD1に結合する。
(11) クロス属性並び替え
結合ファイルについて、属性別に並び替えを行う。
(12) 属性別度数合算
属性項目の同一組合せごとに度数(Frequency)の合算処理を行う。
(13) 属性別加重度数合算
属性項目の同一組合せごとに加重度数(Weight)の合算処理を行う。
(14) 処理対象データ置換
再帰計算を行うために、処理対象データを処理済データに置き換える。
(15) 最終フィールド?
全フィールドについて処理が完了したか判定を行う。
Yes ⇒終了
No ⇒処理(3)
【0033】
6.2消去秘匿プログラム
消去秘匿プログラムは、属性項目の組合わせごとに分類符号を付与して分類符号ごとの最小度数の検査を行い、最小度数が安全基準Kに満たない場合は、その属性項目組合わせのレコードについて内訳をゼロ値に置き換えることで多次元クロス度数表の消去秘匿処理を行う(図4.2)。
【0034】
属性組合わせ符号付与(2A)
(1)レコード番号i=0
レコード番号のカウンタiを初期化する。
(2)レコード読込
対象ファイルについて、属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)をレコード読込。
(3) i = i + 1
カウンタiを+1増分する。
(4)属性番号j=0
属性番号jを初期化する。
(5) j = j + 1
属性番号jを+1増分する。
(6)番号j 分類”~”?
属性番号jのフィールドについて、分類=”~”かどうかを判定する。
Yes ⇒処理(8)
No ⇒処理(7)
(7)符号F0 j桁目=”0”
分類符号F0のj桁目を”0”に設定する。
(8)符号F0 j桁目=”~”
分類符号F0のj桁目を”~”に設定する。
(9)j番全属性?
属性番号jについて、全て処理したか判定する。
Yes ⇒処理(9)
No ⇒処理(5)
(10)レコード出力
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)をレコード出力。
(11)全レコード?
全レコードについて、処理が完了したか判定する。
Yes ⇒処理(12)
No ⇒処理(2)
(12)符号F0順 並び替え
分類符号F0でレコードを並び替える。
【0035】
組合わせ別最小度数検査(2B)
(13)レコード読込
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、度数(Frequency)についてレコード読込
(14) Key = F0
分類符号F0をKeyに代入
(15)最小度数=度数
最小度数に度数(Frequency)を代入
(16)レコード読込
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、度数(Frequency)についてレコード読込
(17) Key = F0?
分類符号F0とKeyの一致判定
Yes ⇒処理(20)
No ⇒処理(18)
(18) Key,最小度数出力
Keyと最小度数をレコード出力
(19) Key = F0
分類符号F0をKeyに代入
(20)度数>最小?
度数>最小度数の大小判定
Yes ⇒処理(22)
No ⇒処理(21)
(21)最小度数=度数
最小度数に度数(Frequency)を代入
(22)最終レコード?
全レコードの終了判定
Yes ⇒処理(23)
No ⇒処理(16)
(23) Key,最小度数出力
Keyと最小度数をレコード出力
【0036】
リスク表内訳消去(2C)
(24)基準値K設定
最小度数の基準値Kの設定
(25)レコード読込
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)をレコード読込
(26) Key = F0
KeyにF0を代入
(27)F0最小度数読込
分類符号F0をKeyとする最小度数読込
(28)度数>最小?
度数(Frequency)>最小度数の判定
Yes ⇒処理(30)
No ⇒処理(29)
(29)度数=0
度数(Frequency)に0を代入
(30)レコード出力
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)をレコード出力
(31)レコード読込
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)をレコード読込
(32) Key = F0?
Key = F0の判定
Yes ⇒処理(35)
No ⇒処理(33)
(33)F0最小度数読込
分類符号F0をKeyとする最小度数読込
(34) Key = F0
KeyにF0を代入
(35)度数>最小?
度数(Frequency)>最小度数の判定
Yes ⇒処理(37)
No ⇒処理(36)
(36)度数=0
度数(Frequency)に0を代入
(37)レコード出力
分類符号F0、属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)をレコード出力
(38)最終レコード?
最終レコードの判定
Yes ⇒終了
No ⇒処理(31)
【0037】
6.3丸め秘匿プログラム
丸め秘匿プログラムは、消去秘匿処理済みの多次元クロス度数表について、丸め基数Bで除算して小数点以下を四捨五入することにより度数及び加重度数の丸め処理を行い、度数表の秘匿を補強する(図4.3)。
【0038】
丸め秘匿
(1)基数B設定
丸め基数B値を設定
(2)レコード読込
丸め処理対象データのレコード読込
(3)度数基数B丸め
度数(Frequency)を基数B値で丸め処理
計算式:Frequency = Int(Frequency / B ) * B
関数Int() は整数値計算
(4)加重度数基数B丸め
加重度数(Weight)を基数B値で丸め処理
計算式:Weight = Int(Weight / (Sum(Weight) / Sum(B))) * (Sum(Weight) / Sum(B))
関数Int() は整数値計算
関数Sum() は全レコードの合計値計算
(5)レコード出力
属性項目、加重度数(Weight)、度数(Frequency)のレコード出力
(6)最終レコード?
最終レコードの判定
Yes ⇒終了
No ⇒処理(2)
【0039】
6.4差分計算プログラム
差分計算プログラムは、内訳合計と総数の差分計算を行う。差分計算は、度数表集計の逆処理を行う方法で計算し、属性項目の組合わせごとの内訳について正負の符号を反転させて合計と合算していくことで、全ての属性項目の組合わせごとの差分計算を再帰計算により行う。正負を反転させた内訳は、属性フィールドを合計符号“〜”に置き換えて、基の度数表データと結合し、属性項目別に並び替えを行った上で、同一属性キーごとに度数及び加重度数の合算を行うことで差分を計算する(図4.4)。
【0040】
差分計算
(1)フィールド番号j = 0
フィールド番号jの初期化
(2) j = j + 1
フィールド番号jの+1増分
(3)対象データ コピーC1
入力データをC1にコピー
(4)レコード番号i = 0
レコード番号iの初期化
(5)レコード読込
属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequnecy)のレコード読込
(6) i = i + 1
レコード番号iの+1増分
(7)番号j分類=”~”?
フィールド番号jの属性項目について、合計符号判定
Yes ⇒処理(12)
No ⇒処理(8)
(8)属性j分類=”~”
フィールド番号jの属性項目を合計符号”~”に置き換え
(9)度数 正負反転
度数(Frequency)の値を正負反転
(10)加重度数 正負反転
加重度数(Weight)の値を正負反転
(11)レコード出力D1
属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequnecy)のレコード出力
(12)最終レコード?
最終レコードの判定
Yes ⇒処理(13)
No ⇒処理(5)
(13)結合 C1+D1
出力データC1とD1の結合
(14)属性項目別並び替え
結合データの属性項目別並び替え
(15)属性別度数合算
属性項目別度数の合算
(16)属性別加重度数合算
属性項目別加重度数の合算
(17)対象データ置換
対象データを結合データで置換
(18)最終フィールド?
最終フィールドの判定
Yes ⇒終了
No ⇒処理(2)
【0041】
6.5個票形式変換プログラム
個票形式変換プログラムは、差分計算を行った度数表の内訳と差分について、縮尺Rで度数または加重度数を除算して整数化した値を出力レコード数とし、度数または加重度数を出力レコード数で除算した値をウェイトとして、属性ごとにレコード出力を行う(図4.5)。
【0042】
個票形式変換
(1)縮尺R設定
度数ベースか加重度数ベースかを選択して縮尺Rを設定
(2)レコード読込
属性項目(F1〜Fj)、加重度数(Weight)、度数(Frequency)のレコード読込
(3)属性”~” NULL置換
レコードの属性項目が”~”のフィールドをNULLに置換
(4)出力数n=Int(度数/R)
出力数nの計算
度数ベースの場合 :n=Int(Frequency / R)
加重度数ベースの場合:n=Int(Weight / R)
関数Int()は整数値計算
(5)n>1?
n>1の判定
Yes ⇒処理(7)
No ⇒処理(6)
(6)出力数n= 1
n= 1を設定
(7)レコード番号j = 0
レコード番号jの初期化
(8) j = j + 1
レコード番号jの+1増分
(9)ウェイトW = Weight / J
出力ウェイトWの計算
計算式:W = Weight / J
(10)レコード出力
属性項目(F1〜Fj)、出力ウェイト(Weight=W)のレコード出力
(11) j = n?
レコード番号j>nの判定
Yes ⇒処理(12)
No ⇒処理(8)
(12)最終レコード?
最終レコードの判定
Yes ⇒終了
No ⇒処理(2)
【0043】
7.個票データの匿名化手法
個票データの匿名化手法について、本発明における実施形態の1つとして(1)基データの前処理、(2)多次元度数表集計、(3)全項目組合わせ検査及びリスク表の内訳消去、(4)多次元度数表の丸め処理による秘匿補強、(5)多次元度数表の個票データ形式変換の順に処理を行う。
【0044】
7.1 基データの前処理
入力に用いる個票データは、統計調査やアンケート調査等の調査票の内容を入力した男女、年齢、世帯類型等の個人属性や世帯属性の項目から成る。氏名や個人番号、世帯番号等の識別情報が含まれている場合には前処理としてあらかじめその情報を削除しておく必要がある。
【0045】
個票データのファイルはどのような形式でもよいが、本発明の装置では簡便のためCSV(コンマ区切り)形式のファイルを用いている。データの先頭行はフィールド名とし、2行目以降を個人あるいは世帯ごとの分類符号や分類ラベルのデータとする。フィールド名については、最終項目をWeightフィールドとし、標本調査の場合は復元ウェイト、全数調査の場合はWeightを1とする。Weightフィールドがない場合はWeightを1と見なして処理を行う。前処理としては、ファイル読込みと丸め基数等のパラメータ設定を行う。また、Weightフィールドの後に1レコードを1度数とするFrequencyフィールドを設定し、単純度数の集計に用いる。
【0046】
例)CSV形式の個票データ
F1 Gender, F2 Age, Weight, Frequency
a)男, a)20〜29歳, 1, 1
a)男, b)30〜39歳, 1, 1
b)女, d)50〜59歳, 1, 1
b)女, e)60〜69歳, 1, 1
a)男, c)40〜49歳, 1, 1
(以下省略)

Gender:性別、Age:年齢階級、Weight:復元ウェイト、Frequency:単純度数
【0047】
7.2 多次元クロス度数表集計
度数表については、選択した属性項目ごとに度数を集計し、さらに、項目の全組み合わせごとに合計値を計算して多次元クロス度数表を集計する。
度数表は多次元クロス度数表として立体的に作成する必要があり、入力データの再帰処理により属性項目の全ての組み合わせについて合計計算を行う。計算方法としては、第1番目の属性項目について合計符号(“〜”)に置き換えたレコードを入力データに追加して出力し、次にこの出力データを入力データとして用いる再帰処理により、第2番目の属性項目を合計符号(“〜”)に置き換えたレコードを入力データに追加して出力し、これを全ての属性項目について繰り返すことで多次元クロス度数表を立体的に集計する。
多次元クロス度数表は後述の差分計算を行う際に1セル1レコードのセルデータ形式に変換する必要があるが、プログラム上は多次元クロス度数表を直接セルデータ形式で作成することによってセルデータ形式への変換を省略している。
なお、ここでは再帰計算による多次元クロス度数集計について説明しているが、属性項目の全ての組合わせ別に合計を求める方法であれば、再帰計算を用いない方法で集計してもよい。
【0048】
多次元クロス度数の再帰計算方法
属性項目F1,F2,・・・,Fjのj次元データについて、属性項目の組合わせ別にレコード単位の度数(FrequencyまたはWeight)を合算して合計度数nを集計し、第i番目までの属性別度数niを求める。属性別度数niは、単純度数の場合はレコードごとのFrequency、加重度数の場合はレコードごとのWeightを属性項目の組合わせ別に合算して求める。得られた属性別度数niについて、以下の再帰計算により属性項目の組合わせ別の多次元クロス度数を集計する。

属性別度数ni
F1 F2 ・・・ Fjn(FrequencyまたはWeightの合計)
C1,1 C1,2 ・・・ C1,jn1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,jn2
C3,1 C3,2 ・・・ C3,jn3
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,jni
【0049】
第1番目の再帰計算
F1 F2 ・・・ Fjn(FrequencyまたはWeightの合計)
~ C1,2 ・・・ C1,jn1
~ C2,2 ・・・ C2,jn2
~ C3,2 ・・・ C3,jn3
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,jni
C1,1 C1,2 ・・・ C1,jn1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,jn2
C3,1 C3,2 ・・・ C3,jn3
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,jni

上記の出力データについて、同一属性別に度数n(FrequencyまたはWeightの合計)の足し上げを行う。合計を示す分類符号”〜”は、他の記号を用いてもよい。
【0050】
第2番目の再帰計算
入力データとして第1番目の再帰計算結果を用いて計算処理を行う。

F1 F2 ・・・ Fjn(FrequencyまたはWeightの合計)
~ ~ ・・・ C1,jn1
~ ~ ・・・ C2,jn2
~ ~ ・・・ C3,jn3
・・・
~ ~ ・・・ Ci,jni
C1,1 ~ ・・・ C1,jn1
C2,1 ~ ・・・ C2,jn2
C3,1 ~ ・・・ C3,jn3
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,jni
~ C1,2 ・・・ C1,jn1
~ C2,2 ・・・ C2,jn2
~ C3,2 ・・・ C3,jn3
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,jni
C1,1 C1,2 ・・・ C1,jn1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,jn2
C3,1 C3,2 ・・・ C3,jn3
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,jni

上記の出力データについて、同一属性別に度数n(FrequencyまたはWeight)の足し上げを行う。
【0051】
第j番目の再帰計算
F1 F2 ・・・ Fj n(FrequencyまたはWeightの合計)
~ ~ ・・・ ~ n1
~ ~ ・・・ ~ n2
~ ~ ・・・ ~ n3
・・・
~ ~ ・・・ ~ ni
C1,1 ~ ・・・ ~ n1
C2,1 ~ ・・・ ~ n2
C3,1 ~ ・・・ ~ n3
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ ni
~ C1,2 ・・・ ~ n1
~ C2,2 ・・・ ~ n2
~ C3,2 ・・・ ~ n3
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ ni
C1,1 C1,2 ・・・ ~ n1
C2,1 C2,2 ・・・ ~ n2
C3,1 C3,2 ・・・ ~ n3
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ ~ ni

・・・(途中省略)

~ ~ ・・・ C1,j n1
~ ~ ・・・ C2,j n2
~ ~ ・・・ C3,j n3
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j ni
C1,1 ~ ・・・ C1,j n1
C2,1 ~ ・・・ C2,j n2
C3,1 ~ ・・・ C3,j n3
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j ni
~ C1,2 ・・・ C1,j n1
~ C2,2 ・・・ C2,j n2
~ C3,2 ・・・ C3,j n3
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j ni
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2
C3,1 C3,2 ・・・ C3,j n3
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni
・・・(以下省略)
【0052】
上記の出力データについて、同一属性別に度数n(FrequencyまたはWeight)の足し上げを行う。再帰計算をj回繰り返し、同一属性別に度数の足し上げ計算を行うことにより、項目の全ての組合わせについて度数の合計を計算する。

再帰計算の結果
F1 F2 ・・・ Fj n(FrequencyまたはWeightの合計)
~ ~ ・・・ ~ t(~,~,・・・,~)
~ ~ ・・・ C1,j t(~,~,・・・,C1,j)
~ ~ ・・・ C2,j t(~,~,・・・,C2,j)
~ ~ ・・・ C3,j t(~,~,・・・,C3,j)
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j t(~,~,・・・,Ci,j)
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ t(~,C1,2,・・・,~)
~ C2,2 ・・・ ~ t(~,C2,2,・・・,~)
~ C3,2 ・・・ ~ t(~,C3,2,・・・,~)
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ t(~,Ci,2,・・・,~)
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j t(~,C1,2,・・・,C1,j)
~ C2,2 ・・・ C2,j t(~,C2,2,・・・,C2,j)
~ C3,2 ・・・ C3,j t(~,C3,2,・・・,C3,j)
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j t(~,Ci,2,・・・Ci,j)
・・・
C1,1 ~ ・・・ ~ t(C1,1,~ ,・・・,~)
C2,1 ~ ・・・ ~ t(C2,1,~ ,・・・,~)
C3,1 ~ ・・・ ~ t(C3,1,~ ,・・・,~)
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ t(Ci,1,~ ,・・・,~)
・・・
C1,1 ~ ・・・ C1,j t(C1,1,~ ,・・・,C1,j)
C2,1 ~ ・・・ C2,j t(C2,1,~ ,・・・,C2,j)
C3,1 ~ ・・・ C3,j t(C3,1,~ ,・・・,C3,j)
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j t(Ci,1,~ ,・・・,Ci,j)
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ ~ t(C1,1,C1,2,・・・,~)
C2,1 C2,2 ・・・ ~ t(C2,1,C2,2,・・・,~)
C3,1 C3,2 ・・・ ~ t(C3,1,C3,2,・・・,~)
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ ~ t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2
C3,1 C3,2 ・・・ C3,j n3
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni

合計度数t(Ci,1,Ci,2,・・・,Ci,j)は、属性(Ci,1,Ci,2,・・・,Ci,j)のレコードについて、度数を合算した値を示す。
【0053】
例)
属性項目F1(a1,a2)とF2(b1,b2,b3)の2次元データについて、下記の度数が得られた場合の2次元クロス度数表計算

F1 F2 n(FrequencyまたはWeightの合計)
a1 b1 n1
a1 b2 n2
a1 b3 n3
a2 b1 n4
a2 b2 n5
a2 b3 n6
【0054】
(1)第1番目の再帰計算
F1 F2 n(FrequencyまたはWeightの合計)
~ b1 n1
~ b2 n2
~ b3 n3
~ b1 n4
~ b2 n5
~ b3 n6
a1 b1 n1
a1 b2 n2
a1 b3 n3
a2 b1 n4
a2 b2 n5
a2 b3 n6

上記の出力データについて、同一属性別に度数n(FrequencyまたはWeightの合計)の合算を行う。

計算結果
F1 F2 n(FrequencyまたはWeightの合計)
~ b1 n1 + n4
~ b2 n2 + n5
~ b3 n3 + n6
a1 b1 n1
a1 b2 n2
a1 b3 n3
a2 b1 n4
a2 b2 n5
a2 b3 n6
【0055】
(2)第2番目の再帰計算
F1 F2 n(FrequencyまたはWeightの合計)
~ ~ n1 + n4
~ ~ n2 + n5
~ ~ n3 + n6
a1 ~ n1
a1 ~ n2
a1 ~ n3
a2 ~ n4
a2 ~ n5
a2 ~ n6
~ b1 n1 + n4
~ b2 n2 + n5
~ b3 n3 + n6
a1 b1 n1
a1 b2 n2
a1 b3 n3
a2 b1 n4
a2 b2 n5
a2 b3 n6

上記の出力データについて、同一属性別に度数n(FrequencyまたはWeightの合計)の足し上げを行う。

計算結果
F1 F2 n(FrequencyまたはWeightの合計)
~ ~ n1+n2+n3+n4+n5+n6
a1 ~ n1+n2+n3
a2 ~ n4+n5+n6
~ b1 n1+n4
~ b2 n2+n5
~ b3 n3+n6
a1 b1 n1
a1 b2 n2
a1 b3 n3
a2 b1 n4
a2 b2 n5
a2 b3 n6
【0056】
7.3 多次元クロス度数表の秘匿処理
度数表の秘匿手法としては多様な方法が存在するが、個票データを直接的に処理して匿名化する事前秘匿の場合と異なり、集計後に行う度数表の秘匿処理は度数表の一部を秘匿しても、縦計、横計などの合計や、他の項目との組合わせの値を用いることで、秘匿した値が逆算されてしまうことがある。このため、本発明では、度数表のリスクセルの値が逆算できないように、属性項目の全ての組合わせについてリスク検査を行い、リスクセルを含む属性項目の組合わせについて、クロス表単位で内訳を消去する消去秘匿の方法を用いている。この方法を用いることにより、多次元クロス度数表の他の部分からリスクセルが逆算できないように秘匿処理を行うことができる。
ただし、クロス表単位で内訳を消去する方法は、高い安全性が期待できる一方で、消去されるセル数が多いため、度数表の有用性が著しく低下するという問題がある。そこで、本発明では、消去秘匿と丸め秘匿により複合的に秘匿処理を行い、最小限の消去秘匿を行った多次元クロス度数表の各セルについて丸め処理を加えることで、多次元クロス秘匿度数表の安全性と有用性を維持する方法を用いている。消去秘匿と丸め秘匿による複合的な秘匿処理を行うことで、個票データの有用性を維持しつつ、より高い秘匿効果を得られることが期待できる。
【0057】
7.3.1 属性項目の全組合わせ検査及び消去秘匿
多次元クロス度数表の消去秘匿は、属性項目の組合わせごとに多次元クロス度数表の最小セルの検査を行い、最小セルが基準を下回っている場合はその属性項目の組合わせについて内訳度数を全てゼロ値に置き換えて消去することで秘匿を行う方法である。
多次元クロス度数表には、属性項目のあらゆる組合わせについて、合計及び内訳の度数が集計されて含まれていることから、集計対象となるレコードの属性項目について全ての組合わせでリスク検査を行って、最小セルが基準を下回るようなリスクセルが含まれている場合は、その組み合わせの度数表をリスク表と判定する。リスクセルが含まれているリスク表については、該当のリスクセルを消去するだけでは安全性が十分に確保できないため、リスクセルを含む組合わせ表を表単位で消去することで秘匿を行う必要がある。このため、消去秘匿を行う場合は、多次元クロス度数表のリスクセルを含む属性項目の組合わせについて全てのセルの内訳度数を消去することで消去秘匿を行う。
例えば、安全基準を3度数以上とする場合について、性別と年齢について多次元クロス度数表を集計して性別の内訳度数と年齢の内訳度数の最小セルがそれぞれ3以上となっているが、性別と年齢をクロスした内訳度数の最小セルが1となっていて安全基準を満たさないような場合については、性別と年齢をクロスした度数表はリスクセルを含むリスク表となるため、性別と年齢をクロスした内訳度数を全てゼロ値に置き換えを行い、性別と年齢をクロスしない表についてのみの内訳度数を残すことで多次元クロス度数表の秘匿を行う。
消去秘匿を行うデータについて、属性項目がnull値となっているレコードが含まれている場合については、null値の度数を秘匿対象から除外して処理を行う。これは、null値を秘匿対象としてしまうとnull値が1レコード1属性フィールドのみに含まれているような場合にそのフィールドを含む組合わせが全て消去対象となってしまい、秘匿が正常に行われないためである。一般に、null値のフィールドはその属性項目が不詳である場合と解釈されるが、不詳であること自体は秘匿対象ではないと見なして処理を行っている。属性項目が不詳の場合についても孤立レコードが秘匿対象となる場合は不詳の項目をnull値とするのではなく、不詳の符合を付与してnull値と区別する必要がある。
【0058】
例)
ある個票データについて、就業状態と性別、年齢をクロスした3次元クロス表を集計したところ、下記のクロス度数表が得られたとする。安全基準を3とすると、クロス表の最小セルは「60〜69歳の女」の度数が1、「60〜69歳の男」の度数が2となっているため、就業状態と性別、年齢の3項目をクロスすることによりリスクセルが発生することがわかる。

クロス度数表(3次元の場合)
性別 年齢 総数 a)有業 b)無業
総数 総数 100 53 47
総数 a)20〜29歳 19 11 8
総数 b)30〜39歳 24 15 9
総数 c)40〜49歳 23 15 8
総数 d)50〜59歳 18 9 9
総数 e)60〜69歳 9 3 6
総数 f)70歳以上 7 0 7
a)男 総数 50 32 18
a)男 a)20〜29歳 10 6 4
a)男 b)30〜39歳 13 10 3
a)男 c)40〜49歳 12 9 3
a)男 d)50〜59歳 8 5 3
a)男 e)60〜69歳 4 2 2
a)男 f)70歳以上 3 0 3
b)女 総数 50 21 29
b)女 a)20〜29歳 9 5 4
b)女 b)30〜39歳 11 5 6
b)女 c)40〜49歳 11 6 5
b)女 d)50〜59歳 10 4 6
b)女 e)60〜69歳 5 1 4
b)女 f)70歳以上 4 0 4
【0059】
この表について、1セル1レコードのセルデータ形式(総数については符号「〜」とする。)に変換し、属性の組合わせごとに分類符号を付与する。分類符号は、それぞれの属性項目について合計の項目を「〜」、内訳の項目を「0」として表す。

セルデータ形式のクロス度数表(3次元の場合)
F0符号 F1就業状態 F2性別 F3年齢 n(Frequency合計)
~~~ ~ ~ ~ 100
~~0 ~ ~ a)20〜29歳 19
~~0 ~ ~ b)30〜39歳 24
~~0 ~ ~ c)40〜49歳 23
~~0 ~ ~ d)50〜59歳 18
~~0 ~ ~ e)60〜69歳 9
~~0 ~ ~ f)70歳以上 7
~0~ ~ a)男 ~ 50
~00 ~ a)男 a)20〜29歳 10
~00 ~ a)男 b)30〜39歳 13
~00 ~ a)男 c)40〜49歳 12
~00 ~ a)男 d)50〜59歳 8
~00 ~ a)男 e)60〜69歳 4
~00 ~ a)男 f)70歳以上 3
~0~ ~ b)女 ~ 50
~00 ~ b)女 a)20〜29歳 9
~00 ~ b)女 b)30〜39歳 11
~00 ~ b)女 c)40〜49歳 11
~00 ~ b)女 d)50〜59歳 10
~00 ~ b)女 e)60〜69歳 5
~00 ~ b)女 f)70歳以上 4
0~~ a)有業 ~ ~ 53
0~0 a)有業 ~ a)20〜29歳 11
0~0 a)有業 ~ b)30〜39歳 15
0~0 a)有業 ~ c)40〜49歳 15
0~0 a)有業 ~ d)50〜59歳 9
0~0 a)有業 ~ e)60〜69歳 3
00~ a)有業 a)男 ~ 32
000 a)有業 a)男 a)20〜29歳 6
000 a)有業 a)男 b)30〜39歳 10
000 a)有業 a)男 c)40〜49歳 9
000 a)有業 a)男 d)50〜59歳 5
000 a)有業 a)男 e)60〜69歳 2
00~ a)有業 b)女 ~ 21
000 a)有業 b)女 a)20〜29歳 5
000 a)有業 b)女 b)30〜39歳 5
000 a)有業 b)女 c)40〜49歳 6
000 a)有業 b)女 d)50〜59歳 4
000 a)有業 b)女 e)60〜69歳 1
0~~ b)無業 ~ ~ 47
0~0 b)無業 ~ a)20〜29歳 8
0~0 b)無業 ~ b)30〜39歳 9
0~0 b)無業 ~ c)40〜49歳 8
0~0 b)無業 ~ d)50〜59歳 9
0~0 b)無業 ~ e)60〜69歳 6
0~0 b)無業 ~ f)70歳以上 7
00~ b)無業 a)男 ~ 18
000 b)無業 a)男 a)20〜29歳 4
000 b)無業 a)男 b)30〜39歳 3
000 b)無業 a)男 c)40〜49歳 3
000 b)無業 a)男 d)50〜59歳 3
000 b)無業 a)男 e)60〜69歳 2
000 b)無業 a)男 f)70歳以上 3
00~ b)無業 b)女 ~ 29
000 b)無業 b)女 a)20〜29歳 4
000 b)無業 b)女 b)30〜39歳 6
000 b)無業 b)女 c)40〜49歳 5
000 b)無業 b)女 d)50〜59歳 6
000 b)無業 b)女 e)60〜69歳 4
000 b)無業 b)女 f)70歳以上 4
【0060】
分類符号ごとの最小セルについてリスクチェックを行うと、下記の検査結果が得られる。

検査結果(就業状態/性別/年齢)
符号 最小度数
[000] 1
[~00] 3
[0~0] 3
[~~0] 7
[00~] 18
[0~~] 47
[~0~] 50
[~~~] 100
【0061】
この検査結果から、組合わせ分類[000]は度数1のリスクセルを含むリスク表となっていることがわかる。そこで、分類[000]の組合わせについては内訳度数を全てゼロ値に置き換えることで消去秘匿を行う。

F0符号 F1就業状態 F2性別 F3年齢 n(Frequency合計)
~~~ ~ ~ ~ 100
~~0 ~ ~ a)20〜29歳 19
~~0 ~ ~ b)30〜39歳 24
~~0 ~ ~ c)40〜49歳 23
~~0 ~ ~ d)50〜59歳 18
~~0 ~ ~ e)60〜69歳 9
~~0 ~ ~ f)70歳以上 7
~0~ ~ a)男 ~ 50
~00 ~ a)男 a)20〜29歳 10
~00 ~ a)男 b)30〜39歳 13
~00 ~ a)男 c)40〜49歳 12
~00 ~ a)男 d)50〜59歳 8
~00 ~ a)男 e)60〜69歳 4
~00 ~ a)男 f)70歳以上 3
~0~ ~ b)女 ~ 50
~00 ~ b)女 a)20〜29歳 9
~00 ~ b)女 b)30〜39歳 11
~00 ~ b)女 c)40〜49歳 11
~00 ~ b)女 d)50〜59歳 10
~00 ~ b)女 e)60〜69歳 5
~00 ~ b)女 f)70歳以上 4
0~~ a)有業 ~ ~ 53
0~0 a)有業 ~ a)20〜29歳 11
0~0 a)有業 ~ b)30〜39歳 15
0~0 a)有業 ~ c)40〜49歳 15
0~0 a)有業 ~ d)50〜59歳 9
0~0 a)有業 ~ e)60〜69歳 3
00~ a)有業 a)男 ~ 32
000 a)有業 a)男 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
00~ a)有業 b)女 ~ 21
000 a)有業 b)女 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
0~~ b)無業 ~ ~ 47
0~0 b)無業 ~ a)20〜29歳 8
0~0 b)無業 ~ b)30〜39歳 9
0~0 b)無業 ~ c)40〜49歳 8
0~0 b)無業 ~ d)50〜59歳 9
0~0 b)無業 ~ e)60〜69歳 6
0~0 b)無業 ~ f)70歳以上 7
00~ b)無業 a)男 ~ 18
000 b)無業 a)男 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
00~ b)無業 b)女 ~ 29
000 b)無業 b)女 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)

上記の方法により消去秘匿を行ったクロス度数表について、合計と内訳の差分計算と個票形式への変換を行うことで、リスクセルに関する情報を含まない個票形式のデータを得ることができる。
【0062】
7.3.2 多次元度数表の丸め秘匿
(1) 多次元度数表の丸め秘匿
多次元クロス度数表において、度数が安全基準に満たない場合、そのセルに含まれるデータは度数表におけるリスクセル、個票データにおけるリスクレコードとなるため、度数表の丸め処理を行うことで、リスクレコードを含むセルの秘匿を行うことができる。例として、丸め基数5で四捨五入による丸め処理を行う場合は、度数を基数5で除算して小数点以下を四捨五入した値に基数5を乗じることで度数表の丸め処理を行う。

丸め処理の計算式

t(C1,C2, ,・・・,Ci)’ = ROUND( t(C1,C2, ,・・・,Ci) )

注)ROUND( )は、丸め処理を行う関数を表す。

丸め処理の計算結果
F1 F2 ・・・ Fj N’
~ ~ ・・・ ~ t(~,~,・・・,~)’
~ ~ ・・・ C1,j t(~,~,・・・,C1,j)’
~ ~ ・・・ C2,j t(~,~,・・・,C2,j)’
~ ~ ・・・ C3,j t(~,~,・・・,C3,j)’
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j t(~,~,・・・,Ci,j)’
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ t(~,C1,2,・・・,~)’
~ C2,2 ・・・ ~ t(~,C2,2,・・・,~)’
~ C3,2 ・・・ ~ t(~,C3,2,・・・,~)’
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ t(~,Ci,2,・・・,~)’
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j t(~,C1,2,・・・,C1,j)’
~ C2,2 ・・・ C2,j t(~,C2,2,・・・,C2,j)’
~ C3,2 ・・・ C3,j t(~,C3,2,・・・,C3,j)’
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j t(~,Ci,2,・・・Ci,j)’
・・・
C1,1 ~ ・・・ ~ t(C1,1,~ ,・・・,~)’
C2,1 ~ ・・・ ~ t(C2,1,~ ,・・・,~)’
C3,1 ~ ・・・ ~ t(C3,1,~ ,・・・,~)’
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ t(Ci,1,~ ,・・・,~)’
・・・
C1,1 ~ ・・・ C1,j t(C1,1,~ ,・・・,C1,j)’
C2,1 ~ ・・・ C2,j t(C2,1,~ ,・・・,C2,j)’
C3,1 ~ ・・・ C3,j t(C3,1,~ ,・・・,C3,j)’
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j t(Ci,1,~ ,・・・,Ci,j)’
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ ~ t(C1,1,C1,2,・・・,~)’
C2,1 C2,2 ・・・ ~ t(C2,1,C2,2,・・・,~)’
C3,1 C3,2 ・・・ ~ t(C3,1,C3,2,・・・,~)’
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ ~ t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1’
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2’
C3,1 C3,2 ・・・ C3,j n3’
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni’
【0063】
例)多次元クロス度数表の丸め処理(2次元の場合)
F1 F2 Nf (Frequency)
~ ~ (n1+n2+n3+n4+n5+n6)’ = ROUND(n1+n2+n3+n4+n5+n6)
a1 ~ (n1+n2+n3)’ = ROUND(n1+n2+n3)
a2 ~ (n4+n5+n6)’ = ROUND(n4+n5+n6)
~ b1 (n1+n4)’ = ROUND(n1+n4)
~ b2 (n2+n5)’ = ROUND(n2+n5)
~ b3 (n3+n6)’ = ROUND(n3+n6)
a1 b1 (n1)’ = ROUND(n1)
a1 b2 (n2)’ = ROUND(n2)
a1 b3 (n3)’ = ROUND(n3)
a2 b1 (n4)’ = ROUND(n4)
a2 b2 (n5)’ = ROUND(n5)
a2 b3 (n6)’ = ROUND(n6)

注)ROUND( ) は丸め処理を行う関数を表す。
【0064】
例)丸め基数5の四捨五入の場合
度数 丸め値 丸め計算
0 0 Round( 0 / 5 ) * 5 = 0
1 0 Round( 1 / 5 ) * 5 = 0
2 0 Round( 2 / 5 ) * 5 = 0

3 5 Round( 3 / 5 ) * 5 = 5
4 5 Round( 4 / 5 ) * 5 = 5
5 5 Round( 5 / 5 ) * 5 = 5
6 5 Round( 6 / 5 ) * 5 = 5
7 5 Round( 7 / 5 ) * 5 = 5

8 10 Round( 8 / 5 ) * 5 = 10
9 10 Round( 9 / 5 ) * 5 = 10
10 10 Round(10 / 5 ) * 5 = 10

注)Round() は、小数点以下を四捨五入で丸める関数を示す。
【0065】
例)多次元クロス度数表(2次元の場合)
年齢 総数 a)男 b)女
総数 100 50 50
a)20〜29歳 19 10 9
b)30〜39歳 24 13 11
c)40〜49歳 23 12 11
d)50〜59歳 18 8 10
e)60〜69歳 9 4 5
f)70歳以上 7 3 4

度数表の丸め処理(丸め基数5の場合)
年齢 総数 a)男 b)女
総数 100 50 50
a)20〜29歳 20 10 10
b)30〜39歳 25 15 10
c)40〜49歳 25 10 10
d)50〜59歳 20 10 10
e)60〜69歳 10 5 5
f)70歳以上 5 5 5
【0066】
(2) 丸め秘匿の基数と安全性
四捨五入による丸め秘匿に用いる丸め基数は、5以上とする必要がある。これは、5未満の基数で丸め処理を行った場合は十分な秘匿ができない可能性があるためである。丸め基数を5とした場合、丸め値が5となる基の度数は3〜7の範囲で存在しており、基の度数がいくつであるかを丸め値のみから特定することはできない。度数表は個々の属性別のセル値だけではなく、合計値も丸める必要があり、度数表のセルの基の度数が1または2の場合で切捨てとなる場合も他のセルの丸めによる切捨てと切上げが混在することで切捨てとなったセルを特定することはできないため、丸め基数5以上で丸め処理を行った度数表はリスクデータの特定可能性という観点からある程度の安全性が確保できることが期待できる。ただし、個票データの属性別分布によっては丸め基数5でも秘匿強度がやや不十分な場合があり得るため、プログラム上は丸め基数の安全基準をデフォルトで10としている。丸め基数については安全基準をさらに大きく設定することで、より高い安全性を確保することが可能である。
【0067】
丸め処理による丸め誤差は表全体に等確率で発生するため、丸め処理を行うと統計表としての精度は下がるものの有意な歪みは発生しないことが期待でき、有効桁数を十分に確保できれば科学的な観点で歪みのない表として利用することができる。
度数表の丸め処理は統計表を秘匿する方法としては一般的に用いられる手法であるが、その対象は個票データではなく集計済みの統計表であるため、そのままでは個票データの秘匿に利用することはできない。本発明における度数表を個票形式に変換する方法を応用して初めて有効な手法として個票データの秘匿に転用することが可能となる。
本発明では簡便のため単純な丸め処理による秘匿を用いているが、他にも乱数丸め等の手法を転用することも可能である。また、統計表を秘匿する手法は丸め秘匿以外にも多様に存在しており、本発明による度数表を個票形式に変換する方法を応用することで、様々な統計表の秘匿手法を個票データの秘匿手法として転用することが可能となる。
なお、丸め処理の方法には「四捨五入」以外に「切上げ」あるいは「切捨て」を用いることも可能であるが、丸め処理が異なる度数表を作成してしまうと差分によってリスクデータを特定できる可能性が生じるため、度数表の丸め処理の方法は統一して用いる必要がある。
【0068】
(3) 丸め秘匿の脆弱性
多次元クロス度数表は、秘匿手法として丸め処理を行うことで、ある程度の安全性が確保できることが期待できる。しかし、丸め秘匿を行っていない結果表が事前に公表されている場合については、丸め処理を行っていない合計値から内訳の逆算が可能となるケースがある。
例えば、内訳が5と1で合計が6の組合わせの場合、基数5で丸め処理を行った内訳は5と0で合計は5となるが、丸めていない合計が6であることが公表されている場合は、丸めた内訳が5と0となる組合わせは、内訳5と1、または内訳6と0しか存在しないため、1度数のセルが特定される可能性が生じるという問題がある。同様に、10と1、あるいは100と1といった組合わせについても1度数のセルが特定されてしまう可能性がある。
このため、度数表の秘匿処理としては、丸め秘匿のみでは秘匿強度が不十分になることから、他の秘匿手法を組合わせて秘匿補強を行う必要がある。
【0069】
7.3.3 多次元度数表の複合秘匿
多次元クロス度数表の消去秘匿はリスクセルを含む属性項目について、項目組合わせの表単位で消去することになるため、秘匿の安全性を上げるために消去秘匿の安全基準を大きくしてしまうと多次元クロス度数表に含まれる情報が大幅に削られることになり、データの有用性が損なわれることになる。そこで、消去秘匿の安全基準は必要最小限に留めて、丸め秘匿等の補強手法を併用して複合秘匿を行うことで安全性と有用性のバランスを図る必要がある。
複合秘匿の場合の手順としては、多次元クロス度数表の集計を行った上で、(1)消去秘匿、(2)丸め秘匿(複合秘匿)、(3)差分計算、(4)個票形式変換の順で秘匿処理を行うことで秘匿済みの個票データを作成する。
【0070】
例)消去秘匿と丸め秘匿による複合秘匿
(1)多次元クロス度数表の消去秘匿(3次元の場合)
F0符号 F1就業状態 F2性別 F3年齢 n(Frequency合計)
~~~ ~ ~ ~ 100
~~0 ~ ~ a)20〜29歳 19
~~0 ~ ~ b)30〜39歳 24
~~0 ~ ~ c)40〜49歳 23
~~0 ~ ~ d)50〜59歳 18
~~0 ~ ~ e)60〜69歳 9
~~0 ~ ~ f)70歳以上 7
~0~ ~ a)男 ~ 50
~00 ~ a)男 a)20〜29歳 10
~00 ~ a)男 b)30〜39歳 13
~00 ~ a)男 c)40〜49歳 12
~00 ~ a)男 d)50〜59歳 8
~00 ~ a)男 e)60〜69歳 4
~00 ~ a)男 f)70歳以上 3
~0~ ~ b)女 ~ 50
~00 ~ b)女 a)20〜29歳 9
~00 ~ b)女 b)30〜39歳 11
~00 ~ b)女 c)40〜49歳 11
~00 ~ b)女 d)50〜59歳 10
~00 ~ b)女 e)60〜69歳 5
~00 ~ b)女 f)70歳以上 4
0~~ a)有業 ~ ~ 53
0~0 a)有業 ~ a)20〜29歳 11
0~0 a)有業 ~ b)30〜39歳 15
0~0 a)有業 ~ c)40〜49歳 15
0~0 a)有業 ~ d)50〜59歳 9
0~0 a)有業 ~ e)60〜69歳 3
00~ a)有業 a)男 ~ 32
000 a)有業 a)男 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
00~ a)有業 b)女 ~ 21
000 a)有業 b)女 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
0~~ b)無業 ~ ~ 47
0~0 b)無業 ~ a)20〜29歳 8
0~0 b)無業 ~ b)30〜39歳 9
0~0 b)無業 ~ c)40〜49歳 8
0~0 b)無業 ~ d)50〜59歳 9
0~0 b)無業 ~ e)60〜69歳 6
0~0 b)無業 ~ f)70歳以上 7
00~ b)無業 a)男 ~ 18
000 b)無業 a)男 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
00~ b)無業 b)女 ~ 29
000 b)無業 b)女 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
【0071】
(2) 多次元度数表の丸め秘匿(丸め基数5の場合)
F0符号 F1就業状態 F2性別 F3年齢 n(Frequency合計)
~~~ ~ ~ ~ 100
~~0 ~ ~ a)20〜29歳 20
~~0 ~ ~ b)30〜39歳 25
~~0 ~ ~ c)40〜49歳 25
~~0 ~ ~ d)50〜59歳 20
~~0 ~ ~ e)60〜69歳 10
~~0 ~ ~ f)70歳以上 5
~0~ ~ a)男 ~ 50
~00 ~ a)男 a)20〜29歳 10
~00 ~ a)男 b)30〜39歳 15
~00 ~ a)男 c)40〜49歳 10
~00 ~ a)男 d)50〜59歳 10
~00 ~ a)男 e)60〜69歳 5
~00 ~ a)男 f)70歳以上 5
~0~ ~ b)女 ~ 50
~00 ~ b)女 a)20〜29歳 10
~00 ~ b)女 b)30〜39歳 10
~00 ~ b)女 c)40〜49歳 10
~00 ~ b)女 d)50〜59歳 10
~00 ~ b)女 e)60〜69歳 5
~00 ~ b)女 f)70歳以上 5
0~~ a)有業 ~ ~ 55
0~0 a)有業 ~ a)20〜29歳 10
0~0 a)有業 ~ b)30〜39歳 15
0~0 a)有業 ~ c)40〜49歳 15
0~0 a)有業 ~ d)50〜59歳 10
0~0 a)有業 ~ e)60〜69歳 5
00~ a)有業 a)男 ~ 30
000 a)有業 a)男 a)20〜29歳 0
000 a)有業 a)男 b)30〜39歳 0
000 a)有業 a)男 c)40〜49歳 0
000 a)有業 a)男 d)50〜59歳 0
000 a)有業 a)男 e)60〜69歳 0
00~ a)有業 b)女 ~ 20
000 a)有業 b)女 a)20〜29歳 0
000 a)有業 b)女 b)30〜39歳 0
000 a)有業 b)女 c)40〜49歳 0
000 a)有業 b)女 d)50〜59歳 0
000 a)有業 b)女 e)60〜69歳 0
0~~ b)無業 ~ ~ 45
0~0 b)無業 ~ a)20〜29歳 10
0~0 b)無業 ~ b)30〜39歳 10
0~0 b)無業 ~ c)40〜49歳 10
0~0 b)無業 ~ d)50〜59歳 10
0~0 b)無業 ~ e)60〜69歳 5
0~0 b)無業 ~ f)70歳以上 5
00~ b)無業 a)男 ~ 20
000 b)無業 a)男 a)20〜29歳 0
000 b)無業 a)男 b)30〜39歳 0
000 b)無業 a)男 c)40〜49歳 0
000 b)無業 a)男 d)50〜59歳 0
000 b)無業 a)男 e)60〜69歳 0
000 b)無業 a)男 f)70歳以上 0
00~ b)無業 b)女 ~ 30
000 b)無業 b)女 a)20〜29歳 0
000 b)無業 b)女 b)30〜39歳 0
000 b)無業 b)女 c)40〜49歳 0
000 b)無業 b)女 d)50〜59歳 0
000 b)無業 b)女 e)60〜69歳 0
000 b)無業 b)女 f)70歳以上 0
【0072】
(3)複合秘匿済多次元度数表の差分計算(属性符号「〜」は差分を示す。)
F1就業状態 F2性別 F3年齢 n(Frequency合計)
a)有業 a)男 〜 30
a)有業 b)女 〜 20
a)有業 〜 a)20〜29歳 10
a)有業 〜 b)30〜39歳 15
a)有業 〜 c)40〜49歳 15
a)有業 〜 d)50〜59歳 10
a)有業 〜 e)60〜69歳 5
a)有業 〜 〜 -50
b)無業 a)男 〜 20
b)無業 b)女 〜 30
b)無業 〜 a)20〜29歳 10
b)無業 〜 b)30〜39歳 10
b)無業 〜 c)40〜49歳 10
b)無業 〜 d)50〜59歳 10
b)無業 〜 e)60〜69歳 5
b)無業 〜 f)70歳以上 5
b)無業 〜 〜 -55
〜 a)男 a)20〜29歳 10
〜 a)男 b)30〜39歳 15
〜 a)男 c)40〜49歳 10
〜 a)男 d)50〜59歳 10
〜 a)男 e)60〜69歳 5
〜 a)男 f)70歳以上 5
〜 a)男 〜 -55
〜 b)女 a)20〜29歳 10
〜 b)女 b)30〜39歳 10
〜 b)女 c)40〜49歳 10
〜 b)女 d)50〜59歳 10
〜 b)女 e)60〜69歳 5
〜 b)女 f)70歳以上 5
〜 b)女 〜 -50
〜 〜 a)20〜29歳 -20
〜 〜 b)30〜39歳 -25
〜 〜 c)40〜49歳 -20
〜 〜 d)50〜59歳 -20
〜 〜 e)60〜69歳 -10
〜 〜 f)70歳以上 -10
〜 〜 〜 105
【0073】
(4)個票データ形式変換(縮尺1の場合)
F1就業状態 F2性別 F3年齢 Weight
a)有業 a)男 〜 1 ( 30レコード出力)
a)有業 b)女 〜 1 ( 20レコード出力)
a)有業 〜 a)20〜29歳 1 ( 10レコード出力)
a)有業 〜 b)30〜39歳 1 ( 15レコード出力)
a)有業 〜 c)40〜49歳 1 ( 15レコード出力)
a)有業 〜 d)50〜59歳 1 ( 10レコード出力)
a)有業 〜 e)60〜69歳 1 ( 5レコード出力)
a)有業 〜 〜 -1 ( 50レコード出力)
b)無業 a)男 〜 1 ( 20レコード出力)
b)無業 b)女 〜 1 ( 30レコード出力)
b)無業 〜 a)20〜29歳 1 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 b)30〜39歳 1 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 c)40〜49歳 1 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 d)50〜59歳 1 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 e)60〜69歳 1 ( 5レコード出力)
b)無業 〜 f)70歳以上 1 ( 5レコード出力)
b)無業 〜 〜 -1 ( 55レコード出力)
〜 a)男 a)20〜29歳 1 ( 10レコード出力)
〜 a)男 b)30〜39歳 1 ( 15レコード出力)
〜 a)男 c)40〜49歳 1 ( 10レコード出力)
〜 a)男 d)50〜59歳 1 ( 10レコード出力)
〜 a)男 e)60〜69歳 1 ( 5レコード出力)
〜 a)男 f)70歳以上 1 ( 5レコード出力)
〜 a)男 〜 -1 ( 55レコード出力)
〜 b)女 a)20〜29歳 1 ( 10レコード出力)
〜 b)女 b)30〜39歳 1 ( 10レコード出力)
〜 b)女 c)40〜49歳 1 ( 10レコード出力)
〜 b)女 d)50〜59歳 1 ( 10レコード出力)
〜 b)女 e)60〜69歳 1 ( 5レコード出力)
〜 b)女 f)70歳以上 1 ( 5レコード出力)
〜 b)女 〜 -1 ( 50レコード出力)
〜 〜 a)20〜29歳 -1 ( 20レコード出力)
〜 〜 b)30〜39歳 -1 ( 25レコード出力)
〜 〜 c)40〜49歳 -1 ( 20レコード出力)
〜 〜 d)50〜59歳 -1 ( 20レコード出力)
〜 〜 e)60〜69歳 -1 ( 10レコード出力)
〜 〜 f)70歳以上 -1 ( 10レコード出力)
〜 〜 〜 1 (105レコード出力)
【0074】
7.4 多次元クロス秘匿度数表の個票データ形式変換
秘匿処理を行った多次元クロス秘匿度数表は、差分計算を行った上で個票データ形式に変換処理を行う。
【0075】
(1)差分計算
丸め処理を行った度数表は丸め誤差のため、総数と内訳合計が一致しない場合が多い。そこで、総数と内訳合計の差分について計算を行う。
差分計算については、多次元クロス度数表の逆処理により再帰計算を行う。すなわち、第1番目の属性項目について合計符号(“〜”)の度数をゼロ値、それ以外の度数をマイナスとして属性項目を合計符号(“〜”)に置き換えたレコードを入力データのレコードに追加して出力し、次にこの出力データを入力データとして用いる再帰処理により、第2番目の属性項目について合計符号(“〜”)の度数をゼロ値、それ以外の度数をマイナスとして属性項目を合計符号(“〜”)に置き換えたレコードを入力データのレコードに追加して出力し、これを全ての属性項目について第j番目まで繰り返すことで多次元クロス度数表の立体的な差分計算を行う。差分計算において総数符号(“〜”)は差分を示す差分符号として扱い、計算後にnull値に置換えを行う。
なお、プログラム上は計算量と計算時間を節約するため、再帰計算の都度、同一属性レコードごとに出力データの度数について足し上げ計算を行っている。また、ここでは再帰計算による多次元クロス度数表の差分計算について説明しているが、属性項目の全ての組合わせ別に差分を求める方法であれば、再帰計算を用いない方法で計算してもよい。
【0076】
第1番目の再帰差分計算
再帰計算による多次元クロス度数表データについて丸め処理を行って、入力データとして用いる。

[前段]入力データを変更せずに出力
F1 F2 ・・・ Fj n’
~ ~ ・・・ ~ t(~,~,・・・,~)’ 第1項が~
~ ~ ・・・ C1,j t(~,~,・・・,C1,j)’ 第1項が~
~ ~ ・・・ C2,j t(~,~,・・・,C2,j)’ 第1項が~
~ ~ ・・・ C3,j t(~,~,・・・,C3,j)’ 第1項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j t(~,~,・・・,Ci,j)’ 第1項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ t(~,C1,2,・・・,~)’ 第1項が~
~ C2,2 ・・・ ~ t(~,C2,2,・・・,~)’ 第1項が~
~ C3,2 ・・・ ~ t(~,C3,2,・・・,~)’ 第1項が~
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ t(~,Ci,2,・・・,~)’ 第1項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j t(~,C1,2,・・・,C1,j)’ 第1項が~
~ C2,2 ・・・ C2,j t(~,C2,2,・・・,C2,j)’ 第1項が~
~ C3,2 ・・・ C3,j t(~,C3,2,・・・,C3,j)’ 第1項が~
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j t(~,Ci,2,・・・,Ci,j)’ 第1項が~
・・・
C1,1 ~ ・・・ ~ t(C1,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がC1,1
C2,1 ~ ・・・ ~ t(C2,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がC2,1
C3,1 ~ ・・・ ~ t(C3,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がC3,1
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ t(Ci,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がCi,1
・・・
C1,1 ~ ・・・ C1,j t(C1,1,~ ,・・・,C1,j)’ 第1項がC1,1
C2,1 ~ ・・・ C2,j t(C2,1,~ ,・・・,C2,j)’ 第1項がC2,1
C3,1 ~ ・・・ C3,j t(C3,1,~ ,・・・,C3,j)’ 第1項がC3,1
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j t(Ci,1,~ ,・・・,Ci,j)’ 第1項がCi,1
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ ~ t(C1,1,C1,2,・・・,~)’ 第1項がC1,1
C2,1 C2,2 ・・・ ~ t(C2,1,C2,2,・・・,~)’ 第1項がC2,1
C3,1 C3,2 ・・・ ~ t(C3,1,C3,2,・・・,~)’ 第1項がC3,1
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ ~ t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’ 第1項がCi,1
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1’ 第1項がC1,1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2’ 第1項がC2,1
C3,1 C3,2 ・・・ C3,j n3’ 第1項がC3,1
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni’ 第1項がCi,1

[後段]入力データを変更して出力(変更前)
~ ~ ・・・ ~ 0 第1項が~
~ ~ ・・・ C1,j 0 第1項が~
~ ~ ・・・ C2,j 0 第1項が~
~ ~ ・・・ C3,j 0 第1項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j 0 第1項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ 0 第1項が~
~ C2,2 ・・・ ~ 0 第1項が~
~ C3,2 ・・・ ~ 0 第1項が~
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ 0 第1項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j 0 第1項が~
~ C2,2 ・・・ C2,j 0 第1項が~
~ C3,2 ・・・ C3,j 0 第1項が~
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j 0 第1項が~
・・・
~ ~ ・・・ ~ -t(C1,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がC1,1
~ ~ ・・・ ~ -t(C2,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がC2,1
~ ~ ・・・ ~ -t(C3,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がC3,1
・・・
~ ~ ・・・ ~ -t(Ci,1,~ ,・・・,~)’ 第1項がCi,1
・・・
~ ~ ・・・ C1,j -t(C1,1,~ ,・・・,C1,j)’ 第1項がC1,1
~ ~ ・・・ C2,j -t(C2,1,~ ,・・・,C2,j)’ 第1項がC2,1
~ ~ ・・・ C3,j -t(C3,1,~ ,・・・,C3,j)’ 第1項がC3,1
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j -t(Ci,1,~ ,・・・,Ci,j)’ 第1項がCi,1
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ -t(C1,1,C1,2,・・・,~)’ 第1項がC1,1
~ C2,2 ・・・ ~ -t(C2,1,C2,2,・・・,~)’ 第1項がC2,1
~ C3,2 ・・・ ~ -t(C3,1,C3,2,・・・,~)’ 第1項がC3,1
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ -t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’ 第1項がCi,1
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j -n1’ 第1項がC1,1
~ C2,2 ・・・ C2,j -n2’ 第1項がC2,1
~ C3,2 ・・・ C3,j -n3’ 第1項がC3,1
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j -ni’ 第1項がCi,1

上記の出力データについて、同一属性別に度数Nの足し上げを行う。
【0077】
第2番目の再帰差分計算
入力データとして、第1番目の再帰差分計算結果を入力に用いる。

[前段]入力データを変更せずに出力
F1 F2 ・・・ Fj n’
~ ~ ・・・ ~ t(~,~,・・・,~)’ 第2項が~
~ ~ ・・・ C1,j t(~,~,・・・,C1,j)’ 第2項が~
~ ~ ・・・ C2,j t(~,~,・・・,C2,j)’ 第2項が~
~ ~ ・・・ C3,j t(~,~,・・・,C3,j)’ 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j t(~,~,・・・,Ci,j)’ 第2項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ t(~,C1,2,・・・,~)’ 第2項がC1,2
~ C2,2 ・・・ ~ t(~,C2,2,・・・,~)’ 第2項がC2,2
~ C3,2 ・・・ ~ t(~,C3,2,・・・,~)’ 第2項がC3,2
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ t(~,Ci,2,・・・,~)’ 第2項がCi,2
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j t(~,C1,2,・・・,C1,j)’ 第2項がC1,2
~ C2,2 ・・・ C2,j t(~,C2,2,・・・,C2,j)’ 第2項がC2,2
~ C3,2 ・・・ C3,j t(~,C3,2,・・・,C3,j)’ 第2項がC3,2
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j t(~,Ci,2,・・・,Ci,j)’ 第2項がCi,2
・・・
C1,1 ~ ・・・ ~ t(C1,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
C2,1 ~ ・・・ ~ t(C2,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
C3,1 ~ ・・・ ~ t(C3,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ t(Ci,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
・・・
C1,1 ~ ・・・ C1,j t(C1,1,~ ,・・・,C1,j)’第2項が~
C2,1 ~ ・・・ C2,j t(C2,1,~ ,・・・,C2,j)’第2項が~
C3,1 ~ ・・・ C3,j t(C3,1,~ ,・・・,C3,j)’第2項が~
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j t(Ci,1,~ ,・・・,Ci,j)’第2項が~
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ ~ t(C1,1,C1,2,・・・,~)’ 第2項がC1,2
C2,1 C2,2 ・・・ ~ t(C2,1,C2,2,・・・,~)’ 第2項がC2,2
C3,1 C3,2 ・・・ ~ t(C3,1,C3,2,・・・,~)’ 第2項が~
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ ~ t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’ 第2項がCi,2
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1’ 第2項がC1,2
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2’ 第2項がC2,2
C3,1 C3,2 ・・・ C3,j n3’ 第2項がC3,2
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni’ 第2項がCi,2

~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C1,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C2,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C3,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j 0 第2項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ 0 第2項がC1,2
~ C2,2 ・・・ ~ 0 第2項がC2,2
~ C3,2 ・・・ ~ 0 第2項がC3,2
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ 0 第2項がCi,2
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j 0 第2項がC1,2
~ C2,2 ・・・ C2,j 0 第2項がC2,2
~ C3,2 ・・・ C3,j 0 第2項がC3,2
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j 0 第2項がCi,2
・・・
~ ~ ・・・ ~ -t(C1,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
~ ~ ・・・ ~ -t(C2,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
~ ~ ・・・ ~ -t(C3,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ ~ -t(Ci,1,~ ,・・・,~)’ 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ C1,j -t(C1,1,~ ,・・・,C1,j)’第2項が~
~ ~ ・・・ C2,j -t(C2,1,~ ,・・・,C2,j)’第2項が~
~ ~ ・・・ C3,j -t(C3,1,~ ,・・・,C3,j)’第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j -t(Ci,1,~ ,・・・,Ci,j)’第2項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ -t(C1,1,C1,2,・・・,~)’ 第2項がC1,2
~ C2,2 ・・・ ~ -t(C2,1,C2,2,・・・,~)’ 第2項がC2,2
~ C3,2 ・・・ ~ -t(C3,1,C3,2,・・・,~)’ 第2項がC3,2
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ -t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’ 第2項がCi,2
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j -n1’ 第2項がC1,2
~ C2,2 ・・・ C2,j -n2’ 第2項がC2,2
~ C3,2 ・・・ C3,j -n3’ 第2項がC3,2
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j -ni’ 第2項がCi,2
【0078】
[後段]入力データを変更して出力(変更前)
~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C1,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C2,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C3,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ ~ -t(~,C1,2,・・・,~)’ 第2項がC1,2
~ ~ ・・・ ~ -t(~,C2,2,・・・,~)’ 第2項がC2,2
~ ~ ・・・ ~ -t(~,C3,2,・・・,~)’ 第2項がC3,2
・・・
~ ~ ・・・ ~ -t(~,Ci,2,・・・,~)’ 第2項がCi,2
・・・
~ ~ ・・・ C1,j -t(~,C1,2,・・・,C1,j)’ 第2項がC1,2
~ ~ ・・・ C2,j -t(~,C2,2,・・・,C2,j)’ 第2項がC2,2
~ ~ ・・・ C3,j -t(~,C3,2,・・・,C3,j)’ 第2項がC3,2
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j -t(~,Ci,2,・・・,Ci,j)’ 第2項がCi,2
・・・
C1,1 ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
C2,1 ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
C3,1 ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
・・・
C1,1 ~ ・・・ C1,j 0 第2項が~
C2,1 ~ ・・・ C2,j 0 第2項が~
C3,1 ~ ・・・ C3,j 0 第2項が~
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j 0 第2項が~
・・・
C1,1 ~ ・・・ ~ -t(C1,1,C1,2,・・・,~)’ 第2項がC1,2
C2,1 ~ ・・・ ~ -t(C2,1,C2,2,・・・,~)’ 第2項がC2,2
C3,1 ~ ・・・ ~ -t(C3,1,C3,2,・・・,~)’ 第2項が~
・・・
Ci,1 ~ ・・・ ~ -t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’ 第2項がCi,2
・・・
C1,1 ~ ・・・ C1,j -n1’ 第2項がC1,2
C2,1 ~ ・・・ C2,j -n2’ 第2項がC2,2
C3,1 ~ ・・・ C3,j -n3’ 第2項がC3,2
・・・
Ci,1 ~ ・・・ Ci,j -ni’ 第2項がCi,2

~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C1,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C2,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C3,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ ~ -0 第2項がC1,2
~ ~ ・・・ ~ -0 第2項がC2,2
~ ~ ・・・ ~ -0 第2項がC3,2
・・・
~ ~ ・・・ ~ -0 第2項がCi,2
・・・
~ ~ ・・・ C1,j -0 第2項がC1,2
~ ~ ・・・ C2,j -0 第2項がC2,2
~ ~ ・・・ C3,j -0 第2項がC3,2
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j -0 第2項がCi,2
・・・
~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ ~ 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ C1,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C2,j 0 第2項が~
~ ~ ・・・ C3,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j 0 第2項が~
・・・
~ ~ ・・・ ~ -(-t(C1,1,C1,2,・・・,~)’) 第2項がC1,2
~ ~ ・・・ ~ -(-t(C2,1,C2,2,・・・,~)’) 第2項がC2,2
~ ~ ・・・ ~ -(-t(C3,1,C3,2,・・・,~)’) 第2項がC3,2
・・・
~ ~ ・・・ ~ -(-t(Ci,1,Ci,2,・・・,~)’) 第2項がCi,2
・・・
~ ~ ・・・ C1,j -(-n1’) 第2項がC1,2
~ ~ ・・・ C2,j -(-n2’) 第2項がC2,2
~ ~ ・・・ C3,j -(-n3’) 第2項がC3,2
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j -(-ni’) 第2項がCi,2

上記の出力データについて、同一属性別に度数N’の足し上げを行う。
【0079】
第j番目の再帰差分計算
入力データとして、第j−1番目の再帰差分計算結果を入力に用いる。

[前段]入力データを変更せずに出力
F1 F2 ・・・ Fj n’
~ ~ ・・・ ~ t(~,~,・・・,~)’ 第j項が~
~ ~ ・・・ C1,j t(~,~,・・・,C1,j)’ 第j項がC1,j
~ ~ ・・・ C2,j t(~,~,・・・,C2,j)’ 第j項がC2,j
~ ~ ・・・ C3,j t(~,~,・・・,C3,j)’ 第j項がC3,j
・・・
~ ~ ・・・ Ci,j t(~,~,・・・,Ci,j)’ 第j項がCi,j
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ t(~,C1,2,・・・,~)’ 第j項が~
~ C2,2 ・・・ ~ t(~,C2,2,・・・,~)’ 第j項が~
~ C3,2 ・・・ ~ t(~,C3,2,・・・,~)’ 第j項が~
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ t(~,Ci,2,・・・,~)’ 第j項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ C1,j t(~,C1,2,・・・,C1,j)’ 第j項がC1,j
~ C2,2 ・・・ C2,j t(~,C2,2,・・・,C2,j)’ 第j項がC2,j
~ C3,2 ・・・ C3,j t(~,C3,2,・・・,C3,j)’ 第j項がC3,j
・・・
~ Ci,2 ・・・ Ci,j t(~,Ci,2,・・・,Ci,j)’ 第j項がCi,j

・・・(以下省略)

[後段]入力データを変更して出力(変更前)
~ ~ ・・・ ~ 0 第j項が~
~ ~ ・・・ ~ -(t(~,~,・・・,C1,j)’) 第j項がC1,j
~ ~ ・・・ ~ -(t(~,~,・・・,C2,j)’) 第j項がC2,j
~ ~ ・・・ ~ -(t(~,~,・・・,C3,j)’) 第j項がC3,j
・・・
~ ~ ・・・ ~ -(t(~,~,・・・,Ci,j)’) 第j項がCi,j
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ 0 第j項が~
~ C2,2 ・・・ ~ 0 第j項が~
~ C3,2 ・・・ ~ 0 第j項が~
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ 0 第j項が~
・・・
~ C1,2 ・・・ ~ -(t(~,C1,2,・・・,C1,j)’) 第j項がC1,j
~ C2,2 ・・・ ~ -(t(~,C2,2,・・・,C2,j)’) 第j項がC2,j
~ C3,2 ・・・ ~ -(t(~,C3,2,・・・,C3,j)’) 第j項がC3,j
・・・
~ Ci,2 ・・・ ~ -(t(~,Ci,2,・・・,Ci,j)’) 第j項がCi,j

・・・(以下省略)

上記の出力データについて、同一属性別に度数n’の足し上げを行う。
【0080】
例)
属性項目F1(a1,a2)とF2(b1,b2,b3)の2次元クロス度数表について、丸め処理後に差分計算を行う場合

F1 F2 n(Frequency合計)
~ ~ (n1+n2+n3+n4+n5+n6)’
a1 ~ (n1+n2+n3)’
a2 ~ (n4+n5+n6)’
~ b1 (n1+n4)’
~ b2 (n2+n5)’
~ b3 (n3+n6)’
a1 b1 (n1)’
a1 b2 (n2)’
a1 b3 (n3)’
a2 b1 (n4)’
a2 b2 (n5)’
a2 b3 (n6)’
【0081】
第1番目の再帰差分計算
F1 F2 n’
[前段]
~ ~ +(n1+n2+n3+n4+n5+n6)’
a1 ~ +(n1+n2+n3)’
a2 ~ +(n4+n5+n6)’
~ b1 +(n1+n4)’
~ b2 +(n2+n5)’
~ b3 +(n3+n6)’
a1 b1 +(n1)’
a1 b2 +(n2)’
a1 b3 +(n3)’
a2 b1 +(n4)’
a2 b2 +(n5)’
a2 b3 +(n6)’

[後段]
~ ~ 0
~ ~ -(n1+n2+n3)’
~ ~ -(n4+n5+n6)’
~ b1 0
~ b2 0
~ b3 0
~ b1 -(n1)’
~ b2 -(n2)’
~ b3 -(n3)’
~ b1 -(n4)’
~ b2 -(n5)’
~ b3 -(n6)’

上記の出力データについて、同一属性別に度数n’の足し上げを行う。

第1番目の再帰差分計算結果
F1 F2 n’
~ ~ +(n1+n2+n3+n4+n5+n6)’ - (n1+n2+n3)’ - (n4+n5+n6)’
~ b1 +(n1+n4)’ - (n1)’ - (n4)’
~ b2 +(n2+n5)’ - (n2)’ - (n5)’
~ b3 +(n3+n6)’ - (n3)’ - (n6)’
a1 ~ +(n1+n2+n3)’
a2 ~ +(n4+n5+n6)’
a1 b1 +(n1)’
a1 b2 +(n2)’
a1 b3 +(n3)’
a2 b1 +(n4)’
a2 b2 +(n5)’
a2 b3 +(n6)’
【0082】
第2番目の再帰差分計算
F1 F2 n’
[前段]
~ ~ +(n1+n2+n3+n4+n5+n6)’-(n1+n2+n3)’-(n4+n5+n6)’
a1 ~ +(n1+n2+n3)’
a2 ~ +(n4+n5+n6)’
~ b1 +(n1+n4)’-(n1)’-(n4)’
~ b2 +(n2+n5)’-(n2)’-(n5)’
~ b3 +(n3+n6)’-(n3)’-(n6)’
a1 b1 +(n1)’
a1 b2 +(n2)’
a1 b3 +(n3)’
a2 b1 +(n4)’
a2 b2 +(n5)’
a2 b3 +(n6)’

[後段]
~ ~ 0
a1 ~ 0
a2 ~ 0
~ ~ -(+(n1+n4)’-(n1)’-(n4)’)
~ ~ -(+(n2+n5)’-(n2)’-(n5)’)
~ ~ -(+(n3+n6)’-(n3)’-(n6)’)
a1 ~ -(n1)’
a1 ~ -(n2)’
a1 ~ -(n3)’
a2 ~ -(n4)’
a2 ~ -(n5)’
a2 ~ -(n6)’

上記の出力データについて、同一属性別に度数n’の足し上げを行う。

第2番目の再帰差分計算結果
F1 F2 n’
~ ~ +(n1+n2+n3+n4+n5+n6)’-(n1+n2+n3)’-(n4+n5+n6)’
-(n1+n4)’+(n1)’+(n4)’-(n2+n5)’+(n2)’+(n5)’
-(n3+n6)’+(n3)’+(n6)’
a1 ~ +(n1+n2+n3)’-(n1)’-(n2)’-(n3)’
a2 ~ +(n4+n5+n6)’-(n4)’-(n5)’-(n6)’
~ b1 +(n1+n4)’-(n1)’-(n4)’
~ b2 +(n2+n5)’-(n2)’-(n5)’
~ b3 +(n3+n6)’-(n3)’-(n6)’
a1 b1 +(n1)’
a1 b2 +(n2)’
a1 b3 +(n3)’
a2 b1 +(n4)’
a2 b2 +(n5)’
a2 b3 +(n6)’
【0083】
(2) 個票データ形式変換
差分計算を行った多次元クロス度数表について、個票データ形式に変換を行う。その際に、総数よりも内訳合計が大きい場合は差分が負値になるため、負値のセルについてはWeightの値をマイナスとすることで総数と内訳合計が一致するように変換を行う。
個票形式への変換は、差分表をセルごとの属性項目と度数を用いて1セルを1レコードとするセルデータ形式で作成し、次にセルデータについてセルごとの属性レコードを度数分出力することで個票データ形式に変換する。
【0084】
差分表セルデータ
F1 F2 ・・・ Fj n’
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni

個票形式データ
F1 F2 ・・・ Fj Weight
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j 1
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j 1
・・・
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j 1 (n1回レコード出力)

C2,1 C2,2 ・・・ C2,j 1
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j 1
・・・
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j 1 (n2回レコード出力)

・・・

Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j 1
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j 1
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j 1 (ni回レコード出力)
【0085】
秘匿処理を行って得られた個票データ形式の秘匿データについて、度数集計を行うと基の個票データを集計して丸め処理を行った度数表と一致する度数表を得ることができる。秘匿データは丸め処理を行った度数表を変換して作成するため、丸め処理を行った度数表が安全であれば得られた秘匿データも安全であるといえる。
下記の例では、2次元の個票データについてクロス度数表の集計を行った上で、(1)丸め処理、(2)差分計算、(3)差分表、(4)セルデータ形式、(5)個票データ形式の順に秘匿処理を行っている。
【0086】
例)多次元クロス度数表(2次元の場合)
年齢 総数 a)男 b)女
総数 100 50 50
a)20〜29歳 19 10 9
b)30〜39歳 24 13 11
c)40〜49歳 23 12 11
d)50〜59歳 18 8 10
e)60〜69歳 9 4 5
f)70歳以上 7 3 4

(1)度数表の丸め処理(丸め基数5の場合)
年齢 総数 a)男 b)女
総数 100 50 50
a)20〜29歳 20 10 10
b)30〜39歳 25 15 10
c)40〜49歳 25 10 10
d)50〜59歳 20 10 10
e)60〜69歳 10 5 5
f)70歳以上 5 5 5

(2)差分計算(2次元の場合)
年齢 総数 a)男 b)女 差分
総数 100 50 50 0
a)20〜29歳 20 10 10 0
b)30〜39歳 25 15 10 0
c)40〜49歳 25 10 10 5
d)50〜59歳 20 10 10 0
e)60〜69歳 10 5 5 0
f)70歳以上 5 5 5 -5
差分 -5 -5 0 0

(3)差分表
年齢 a)男 b)女 差分
a)20〜29歳 10 10 0
b)30〜39歳 15 10 0
c)40〜49歳 10 10 5
d)50〜59歳 10 10 0
e)60〜69歳 5 5 0
f)70歳以上 5 5 -5
差分 -5 0 0

(4)セルデータ形式
F1性別 F2年齢 n(Frequency合計)
a)男 a)20〜29歳 10
a)男 b)30〜39歳 15
a)男 c)40〜49歳 10
a)男 d)50〜59歳 10
a)男 e)60〜69歳 5
a)男 f)70歳以上 5
a)男 差分 -5
b)女 a)20〜29歳 10
b)女 b)30〜39歳 10
b)女 c)40〜49歳 10
b)女 d)50〜59歳 10
b)女 e)60〜69歳 5
b)女 f)70歳以上 5
差分 c)40〜49歳 5
差分 f)70歳以上 -5

(5)個票データ形式
F1性別 F2年齢 Weight
a)男 a)20〜29歳 1 (10レコード出力)
a)男 b)30〜39歳 1 (15レコード出力)
a)男 c)40〜49歳 1 (10レコード出力)
a)男 d)50〜59歳 1 (10レコード出力)
a)男 e)60〜69歳 1 ( 5レコード出力)
a)男 f)70歳以上 1 ( 5レコード出力)
a)男 差分 -1 ( 5レコード出力)
b)女 a)20〜29歳 1 (10レコード出力)
b)女 b)30〜39歳 1 (10レコード出力)
b)女 c)40〜49歳 1 (10レコード出力)
b)女 d)50〜59歳 1 (10レコード出力)
b)女 e)60〜69歳 1 ( 5レコード出力)
b)女 f)70歳以上 1 ( 5レコード出力)
差分 c)40〜49歳 1 ( 5レコード出力)
差分 f)70歳以上 -1 ( 5レコード出力)

注)差分については、属性区分をnull値に置き換えて出力する。
【0087】
7.5 ウェイト付データの秘匿
標本調査の個票データの場合は、母集団復元のためのウェイト付データを扱う必要がある。ウェイト付データの場合は、加重度数表を集計して秘匿処理を行う。
【0088】
7.5.1 ウェイト付データの丸め秘匿
統計調査等が標本調査の場合、個票データには母集団推定のための復元ウェイトが付与されている。この復元ウェイトは、抽出率の逆数に比推定乗率を乗算して計算されており、度数に復元ウェイトを乗算して積算することにより母集団度数の推定を行うことができる。例えば、1%標本の抽出調査の場合、標本1度数は母集団100度数に相当することになり、度数にウェイトを乗算して計算した加重度数を母集団の推定度数として用いる。

属性別加重度数データ
F1 F2 ・・・ Fj n(Weight合計)
C1,1 C1,2 ・・・ C1,j n1 n1 = Σ(f1m * w1m)
C2,1 C2,2 ・・・ C2,j n2 n2 = Σ(f2m * w2m)
C3,1 C3,2 ・・・ C3,j n3 n3 = Σ(f3m * w3m)
・・・
Ci,1 Ci,2 ・・・ Ci,j ni ni = Σ(fim * wim)

ni:属性iの加重度数合計
fim:属性iの度数
wim:属性iのウェイト

基の個票データがウェイト付データの場合は、上記について前述の再帰計算による度数表集計、丸め処理、差分計算、個票データ形式への変換を行う。
【0089】
母集団度数については、ウェイトで除算することにより標本度数の推定に用いることが可能であるため、ウェイトを用いて計算した加重度数についてもリスクレコードの秘匿を行う必要がある。加重度数を秘匿する場合は、単純に標本度数の安全基準を丸め基数としてしまうと秘匿強度が不十分であり、安全基準に復元ウェイトを乗算した値を丸め基数として丸め処理を行う必要がある。
加重度数の丸め処理の方法としては、属性区分別の最大ウェイトに安全基準度数を乗じて丸め基数とする方法や、属性区分別の平均ウェイトに安全基準度数を乗じた値を丸め基数とする方法、全体の平均ウェイトに安全基準度数を乗じた値を丸め基数とする方法などが考えられる。
基の個票データにおいて、ウェイトが突出して高い属性区分が存在する場合は属性区分別ごとの平均ウェイトに安全基準度数を乗じた値を丸め基数に設定することで安全に丸め処理を行うことができるが、丸め基数が属性区分別にまちまちであると全体平均の有効桁数が不明確になるデメリットがある。このため、本発明の秘匿装置では全体の平均ウェイトに安全基準度数を乗じた値をウェイト付個票データの場合の丸め基数として処理を行っている。

丸め基数B = 平均ウェイトW * 安全基準度数S
丸め度数Nij’ = ROUND( Nij / B ) * B

ただし、全体の平均ウェイトは整数ではなく小数点以下の端数を含む場合が多いため、10の累乗値またはその2分の1の値から、平均ウェイトを切り上げた最も近い値を計算してデフォルトの候補値としてプログラムの実行画面に表示される設計にしている。
【0090】
例)CSV形式データ(ウェイトが一律100の場合)
F1Gender, F2 Age, Weight
a)男, a)20〜29歳, 100
a)男, b)30〜39歳, 100
b)女, d)50〜59歳, 100
b)女, e)60〜69歳, 100
a)男, c)40〜49歳, 100
(以下省略)

Gender:性別、Age:年齢階級、Weight:復元ウェイト
【0091】
例)多次元クロス度数表(ウェイトが一律100で2次元の場合)

年齢 総数 a)男 b)女
総数 10000 5000 5000
a)20〜29歳 1900 1000 900
b)30〜39歳 2400 1300 1100
c)40〜49歳 2300 1200 1100
d)50〜59歳 1800 800 1000
e)60〜69歳 900 400 500
f)70歳以上 700 300 400
【0092】
例)度数表の丸め処理(ウェイトが一律100で安全基準5の場合)
年齢 総数 a)男 b)女
総数 10000 5000 5000
a)20〜29歳 2000 1000 1000
b)30〜39歳 2500 1500 1000
c)40〜49歳 2500 1000 1000
d)50〜59歳 2000 1000 1000
e)60〜69歳 1000 500 500
f)70歳以上 500 500 500

丸め基数B = 平均ウェイト100*安全基準5
=100*5
=500

丸め度数
nij’ = ROUND( nij / B ) * B= ROUND( nij / 500 ) * 500
【0093】
7.5.2 ウェイト付データの複合秘匿
多次元クロス度数表の消去秘匿を行う際に、秘匿処理を行う個票データにウェイトが付与されている場合は、ウェイト付度数を集計し、平均ウェイトで除算した値を最小セルの判定に用いる。従って、標本の度数に加えてウェイト付度数を平均ウェイトで除算した値について最小セルが安全基準を満たさない場合は、消去秘匿による秘匿処理を行う。消去秘匿による秘匿処理を行う場合は、消去秘匿の安全基準を必要最小限に留めて、丸め秘匿を併用して複合秘匿を行うことで安全性と有用性のバランスを図る。

ウェイト付データの複合秘匿は以下の手順で行う。
(1) 多次元クロス加重度数表の集計
(2) セルデータの分類符号付与
(3) リスクチェック
(4) 消去秘匿
(5) 複合秘匿(丸め秘匿)
(6) 差分計算
(7) セルデータ形式の差分表作成
(8) 個票データ形式への変換
【0094】
(1) 多次元クロス加重度数表の例(ウェイトが一律100で3次元の場合)
性別 年齢 総数 a)有業 b)無業
総数 総数 10000 5300 4700
総数 a)20〜29歳 1900 1100 800
総数 b)30〜39歳 2400 1500 900
総数 c)40〜49歳 2300 1500 800
総数 d)50〜59歳 1800 900 900
総数 e)60〜69歳 900 300 600
総数 f)70歳以上 700 0 700
a)男 総数 5000 3200 1800
a)男 a)20〜29歳 1000 600 400
a)男 b)30〜39歳 1300 1000 300
a)男 c)40〜49歳 1200 900 300
a)男 d)50〜59歳 800 500 300
a)男 e)60〜69歳 400 200 200
a)男 f)70歳以上 300 0 300
b)女 総数 5000 2100 2900
b)女 a)20〜29歳 900 500 400
b)女 b)30〜39歳 1100 500 600
b)女 c)40〜49歳 1100 600 500
b)女 d)50〜59歳 1000 400 600
b)女 e)60〜69歳 500 100 400
b)女 f)70歳以上 400 0 400
【0095】
(2) セルデータの分類符号付与
F0分類 F1就業状態 F2性別 F3年齢 加重度数nw
~~~ 総数 総数 総数 10000
~~0 総数 総数 a)20〜29歳 1900
~~0 総数 総数 b)30〜39歳 2400
~~0 総数 総数 c)40〜49歳 2300
~~0 総数 総数 d)50〜59歳 1800
~~0 総数 総数 e)60〜69歳 900
~~0 総数 総数 f)70歳以上 700
~0~ 総数 a)男 総数 5000
~00 総数 a)男 a)20〜29歳 1000
~00 総数 a)男 b)30〜39歳 1300
~00 総数 a)男 c)40〜49歳 1200
~00 総数 a)男 d)50〜59歳 800
~00 総数 a)男 e)60〜69歳 400
~00 総数 a)男 f)70歳以上 300
~0~ 総数 b)女 総数 5000
~00 総数 b)女 a)20〜29歳 900
~00 総数 b)女 b)30〜39歳 1100
~00 総数 b)女 c)40〜49歳 1100
~00 総数 b)女 d)50〜59歳 1000
~00 総数 b)女 e)60〜69歳 500
~00 総数 b)女 f)70歳以上 400
0~~ a)有業 総数 総数 5300
0~0 a)有業 総数 a)20〜29歳 1100
0~0 a)有業 総数 b)30〜39歳 1500
0~0 a)有業 総数 c)40〜49歳 1500
0~0 a)有業 総数 d)50〜59歳 900
0~0 a)有業 総数 e)60〜69歳 300
0~0 a)有業 総数 f)70歳以上 0
00~ a)有業 a)男 総数 3200
000 a)有業 a)男 a)20〜29歳 600
000 a)有業 a)男 b)30〜39歳 1000
000 a)有業 a)男 c)40〜49歳 900
000 a)有業 a)男 d)50〜59歳 500
000 a)有業 a)男 e)60〜69歳 200
000 a)有業 a)男 f)70歳以上 0
00~ a)有業 b)女 総数 2100
000 a)有業 b)女 a)20〜29歳 500
000 a)有業 b)女 b)30〜39歳 500
000 a)有業 b)女 c)40〜49歳 600
000 a)有業 b)女 d)50〜59歳 400
000 a)有業 b)女 e)60〜69歳 100
000 a)有業 b)女 f)70歳以上 0
0~~ b)無業 総数 総数 4700
0~0 b)無業 総数 a)20〜29歳 800
0~0 b)無業 総数 b)30〜39歳 900
0~0 b)無業 総数 c)40〜49歳 800
0~0 b)無業 総数 d)50〜59歳 900
0~0 b)無業 総数 e)60〜69歳 600
0~0 b)無業 総数 f)70歳以上 700
00~ b)無業 a)男 総数 1800
000 b)無業 a)男 a)20〜29歳 400
000 b)無業 a)男 b)30〜39歳 300
000 b)無業 a)男 c)40〜49歳 300
000 b)無業 a)男 d)50〜59歳 300
000 b)無業 a)男 e)60〜69歳 200
000 b)無業 a)男 f)70歳以上 300
00~ b)無業 b)女 総数 2900
000 b)無業 b)女 a)20〜29歳 400
000 b)無業 b)女 b)30〜39歳 600
000 b)無業 b)女 c)40〜49歳 500
000 b)無業 b)女 d)50〜59歳 600
000 b)無業 b)女 e)60〜69歳 400
000 b)無業 b)女 f)70歳以上 400
【0096】
(3) リスクチェック
安全基準を3としてウェイト100を乗じた300よりも最小値が小さい組合せについてリスクチェックを行う。リスクチェックにより、項目組合わせの分類[000]についてリスクセルを含むことがわかる。

分類 最小値
[000] 100
[~00] 300
[0~0] 300
[~~0] 700
[00~] 1800
[0~~] 4700
[~0~] 5000
[~~~] 10000
【0097】
(4) 消去秘匿
多次元クロス加重度数表のリスクセルを含む分類[000]について、加重度数をゼロ値に置き換えて消去秘匿を行う。

F0分類 F1就業状態 F2性別 F3年齢 加重度数nw
~~~ 総数 総数 総数 10000
~~0 総数 総数 a)20〜29歳 1900
~~0 総数 総数 b)30〜39歳 2400
~~0 総数 総数 c)40〜49歳 2300
~~0 総数 総数 d)50〜59歳 1800
~~0 総数 総数 e)60〜69歳 900
~~0 総数 総数 f)70歳以上 700
~0~ 総数 a)男 総数 5000
~00 総数 a)男 a)20〜29歳 1000
~00 総数 a)男 b)30〜39歳 1300
~00 総数 a)男 c)40〜49歳 1200
~00 総数 a)男 d)50〜59歳 800
~00 総数 a)男 e)60〜69歳 400
~00 総数 a)男 f)70歳以上 300
~0~ 総数 b)女 総数 5000
~00 総数 b)女 a)20〜29歳 900
~00 総数 b)女 b)30〜39歳 1100
~00 総数 b)女 c)40〜49歳 1100
~00 総数 b)女 d)50〜59歳 1000
~00 総数 b)女 e)60〜69歳 500
~00 総数 b)女 f)70歳以上 400
0~~ a)有業 総数 総数 5300
0~0 a)有業 総数 a)20〜29歳 1100
0~0 a)有業 総数 b)30〜39歳 1500
0~0 a)有業 総数 c)40〜49歳 1500
0~0 a)有業 総数 d)50〜59歳 900
0~0 a)有業 総数 e)60〜69歳 300
0~0 a)有業 総数 f)70歳以上 0
00~ a)有業 a)男 総数 3200
000 a)有業 a)男 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 a)男 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
00~ a)有業 b)女 総数 2100
000 a)有業 b)女 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 a)有業 b)女 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
0~~ b)無業 総数 総数 4700
0~0 b)無業 総数 a)20〜29歳 800
0~0 b)無業 総数 b)30〜39歳 900
0~0 b)無業 総数 c)40〜49歳 800
0~0 b)無業 総数 d)50〜59歳 900
0~0 b)無業 総数 e)60〜69歳 600
0~0 b)無業 総数 f)70歳以上 700
00~ b)無業 a)男 総数 1800
000 b)無業 a)男 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 a)男 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
00~ b)無業 b)女 総数 2900
000 b)無業 b)女 a)20〜29歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 b)30〜39歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 c)40〜49歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 d)50〜59歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 e)60〜69歳 0 (ゼロ値置換)
000 b)無業 b)女 f)70歳以上 0 (ゼロ値置換)
【0098】
(5) 複合秘匿(丸め秘匿)
安全基準を5とし、ウェイト100を乗じた500を丸め基数として加重度数の丸め秘匿を行う。

F1就業状態 F2性別 F3年齢 加重度数nw
総数 総数 総数 10000
総数 総数 a)20〜29歳 2000
総数 総数 b)30〜39歳 2500
総数 総数 c)40〜49歳 2500
総数 総数 d)50〜59歳 2000
総数 総数 e)60〜69歳 1000
総数 総数 f)70歳以上 500
総数 a)男 総数 5000
総数 a)男 a)20〜29歳 1000
総数 a)男 b)30〜39歳 1500
総数 a)男 c)40〜49歳 1000
総数 a)男 d)50〜59歳 1000
総数 a)男 e)60〜69歳 500
総数 a)男 f)70歳以上 500
総数 b)女 総数 5000
総数 b)女 a)20〜29歳 1000
総数 b)女 b)30〜39歳 1000
総数 b)女 c)40〜49歳 1000
総数 b)女 d)50〜59歳 1000
総数 b)女 e)60〜69歳 500
総数 b)女 f)70歳以上 500
a)有業 総数 総数 5500
a)有業 総数 a)20〜29歳 1000
a)有業 総数 b)30〜39歳 1500
a)有業 総数 c)40〜49歳 1500
a)有業 総数 d)50〜59歳 1000
a)有業 総数 e)60〜69歳 500
a)有業 a)男 総数 3000
a)有業 a)男 a)20〜29歳 0
a)有業 a)男 b)30〜39歳 0
a)有業 a)男 c)40〜49歳 0
a)有業 a)男 d)50〜59歳 0
a)有業 a)男 e)60〜69歳 0
a)有業 b)女 総数 2000
a)有業 b)女 a)20〜29歳 0
a)有業 b)女 b)30〜39歳 0
a)有業 b)女 c)40〜49歳 0
a)有業 b)女 d)50〜59歳 0
a)有業 b)女 e)60〜69歳 0
b)無業 総数 総数 4500
b)無業 総数 a)20〜29歳 1000
b)無業 総数 b)30〜39歳 1000
b)無業 総数 c)40〜49歳 1000
b)無業 総数 d)50〜59歳 1000
b)無業 総数 e)60〜69歳 500
b)無業 総数 f)70歳以上 500
b)無業 a)男 総数 2000
b)無業 a)男 a)20〜29歳 0
b)無業 a)男 b)30〜39歳 0
b)無業 a)男 c)40〜49歳 0
b)無業 a)男 d)50〜59歳 0
b)無業 a)男 e)60〜69歳 0
b)無業 a)男 f)70歳以上 0
b)無業 b)女 総数 3000
b)無業 b)女 a)20〜29歳 0
b)無業 b)女 b)30〜39歳 0
b)無業 b)女 c)40〜49歳 0
b)無業 b)女 d)50〜59歳 0
b)無業 b)女 e)60〜69歳 0
b)無業 b)女 f)70歳以上 0
【0099】
(6) 差分計算
総数と内訳合計について、差分計算を行う。

性別 年齢 a)有業 b)無業 n’
a)男 a)20〜29歳 0 0 1000
a)男 b)30〜39歳 0 0 1500
a)男 c)40〜49歳 0 0 1000
a)男 d)50〜59歳 0 0 1000
a)男 e)60〜69歳 0 0 500
a)男 f)70歳以上 0 0 500
a)男 差分 3000 2000 -5500
b)女 a)20〜29歳 0 0 1000
b)女 b)30〜39歳 0 0 1000
b)女 c)40〜49歳 0 0 1000
b)女 d)50〜59歳 0 0 1000
b)女 e)60〜69歳 0 0 500
b)女 f)70歳以上 0 0 500
b)女 差分 2000 3000 -5000
差分 a)20〜29歳 1000 1000 -2000
差分 b)30〜39歳 1500 1000 -2500
差分 c)40〜49歳 1500 1000 -2000
差分 d)50〜59歳 1000 1000 -2000
差分 e)60〜69歳 500 500 -1000
差分 f)70歳以上 0 500 -1000
差分 差分 -5000 -5500 10500
【0100】
(7) セルデータ形式の差分表作成
セルデータ形式の差分表を作成する。(差分は〜で表す。)

F1就業状態 F2性別 F3年齢 n’
a)有業 a)男 〜 3000
a)有業 b)女 〜 2000
a)有業 〜 a)20〜29歳 1000
a)有業 〜 b)30〜39歳 1500
a)有業 〜 c)40〜49歳 1500
a)有業 〜 d)50〜59歳 1000
a)有業 〜 e)60〜69歳 500
a)有業 〜 〜 -5000
b)無業 a)男 〜 2000
b)無業 b)女 〜 3000
b)無業 〜 a)20〜29歳 1000
b)無業 〜 b)30〜39歳 1000
b)無業 〜 c)40〜49歳 1000
b)無業 〜 d)50〜59歳 1000
b)無業 〜 e)60〜69歳 500
b)無業 〜 f)70歳以上 500
b)無業 〜 〜 -5500
〜 a)男 a)20〜29歳 1000
〜 a)男 b)30〜39歳 1500
〜 a)男 c)40〜49歳 1000
〜 a)男 d)50〜59歳 1000
〜 a)男 e)60〜69歳 500
〜 a)男 f)70歳以上 500
〜 a)男 〜 -5500
〜 b)女 a)20〜29歳 1000
〜 b)女 b)30〜39歳 1000
〜 b)女 c)40〜49歳 1000
〜 b)女 d)50〜59歳 1000
〜 b)女 e)60〜69歳 500
〜 b)女 f)70歳以上 500
〜 b)女 〜 -5000
〜 〜 a)20〜29歳 -2000
〜 〜 b)30〜39歳 -2500
〜 〜 c)40〜49歳 -2000
〜 〜 d)50〜59歳 -2000
〜 〜 e)60〜69歳 -1000
〜 〜 f)70歳以上 -1000
〜 〜 〜 10500
【0101】
(8) 個票データ形式への変換
ウェイト(例:縮尺100)を指定して個票形式に変換する。

F1就業状態 F2性別 F3年齢 Weight
a)有業 a)男 〜 100 ( 30レコード出力)
a)有業 b)女 〜 100 ( 20レコード出力)
a)有業 〜 a)20〜29歳 100 ( 10レコード出力)
a)有業 〜 b)30〜39歳 100 ( 15レコード出力)
a)有業 〜 c)40〜49歳 100 ( 15レコード出力)
a)有業 〜 d)50〜59歳 100 ( 10レコード出力)
a)有業 〜 e)60〜69歳 100 ( 5レコード出力)
a)有業 〜 〜 -100 ( 50レコード出力)
b)無業 a)男 〜 100 ( 20レコード出力)
b)無業 b)女 〜 100 ( 30レコード出力)
b)無業 〜 a)20〜29歳 100 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 b)30〜39歳 100 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 c)40〜49歳 100 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 d)50〜59歳 100 ( 10レコード出力)
b)無業 〜 e)60〜69歳 100 ( 5レコード出力)
b)無業 〜 f)70歳以上 100 ( 5レコード出力)
b)無業 〜 〜 -100 ( 55レコード出力)
〜 a)男 a)20〜29歳 100 ( 10レコード出力)
〜 a)男 b)30〜39歳 100 ( 15レコード出力)
〜 a)男 c)40〜49歳 100 ( 10レコード出力)
〜 a)男 d)50〜59歳 100 ( 10レコード出力)
〜 a)男 e)60〜69歳 100 ( 5レコード出力)
〜 a)男 f)70歳以上 100 ( 5レコード出力)
〜 a)男 〜 -100 ( 55レコード出力)
〜 b)女 a)20〜29歳 100 ( 10レコード出力)
〜 b)女 b)30〜39歳 100 ( 10レコード出力)
〜 b)女 c)40〜49歳 100 ( 10レコード出力)
〜 b)女 d)50〜59歳 100 ( 10レコード出力)
〜 b)女 e)60〜69歳 100 ( 5レコード出力)
〜 b)女 f)70歳以上 100 ( 5レコード出力)
〜 b)女 〜 -100 ( 50レコード出力)
〜 〜 a)20〜29歳 -100 ( 20レコード出力)
〜 〜 b)30〜39歳 -100 ( 25レコード出力)
〜 〜 c)40〜49歳 -100 ( 20レコード出力)
〜 〜 d)50〜59歳 -100 ( 20レコード出力)
〜 〜 e)60〜69歳 -100 ( 10レコード出力)
〜 〜 f)70歳以上 -100 ( 10レコード出力)
〜 〜 〜 100 (105レコード出力)
【0102】
7.5.3 出力データの変換縮尺
前述の方法により加重度数について丸め処理を行う場合、秘匿処理の対象となる加重度数は標本度数に比べて大きな値になるため、これをそのまま個票形式に変換すると膨大なレコード数になってしまうことが多い。そこで、変換縮尺を指定することで、標本相当のレコード数に変換する機能を付与している。
具体的には、個票データ形式に変換する際に変換縮尺を指定し、母集団ベースの場合は加重度数を変換縮尺で除算した値をレコード数とし、ウェイト1.0に変換縮尺を乗じた値を各レコードのウェイトとして変換を行う。また、標本ベースの場合は属性区分別に基の個票データの標本数をレコード数とし、加重度数を基の個票データの標本数で除算した値をウェイトとして変換を行う。丸め基数と変換縮尺が一致している場合、丸め基数が整数であれば変換後のウェイトも丸め基数と同じ整数値になるメリットがある。
ウェイト付データの丸め処理は加重度数の丸め基数による除算で行っており、変換縮尺の処理は加重度数の変換縮尺による除算で行うことから、丸め処理と変換縮尺の処理には共通する部分が多い。丸め処理の場合はウェイトがゼロ値になる属性は秘匿上の観点からウェイトゼロ値のレコードとして出力しない。また、変換縮尺の処理についても秘匿上の観点からゼロ値を出力しない処理としており、基の個票データにウェイトがゼロ値のレコードが含まれている場合は、変換後の標本レコード数は基のレコード数と一致しなくなる。
なお、秘匿処理を行った出力データには四捨五入による丸め誤差の差分レコードが含まれるため、変換後の標本レコード数は変換前のレコード数よりも多くなるのが通常である。
【0103】
例)差分表(ウェイトが一律100で丸め基数500の場合)
年齢 a)男 b)女 n’
a)20〜29歳 1000 1000 0
b)30〜39歳 1500 1000 0
c)40〜49歳 1000 1000 500
d)50〜59歳 1000 1000 0
e)60〜69歳 500 500 0
f)70歳以上 500 500 -500
差分 -500 0 0
【0104】
(1) セルデータ形式の差分表
F1性別 F2年齢 n'
a)男 a)20〜29歳 1000
a)男 b)30〜39歳 1500
a)男 c)40〜49歳 1000
a)男 d)50〜59歳 1000
a)男 e)60〜69歳 500
a)男 f)70歳以上 500
a)男 差分 -500
b)女 a)20〜29歳 1000
b)女 b)30〜39歳 1000
b)女 c)40〜49歳 1000
b)女 d)50〜59歳 1000
b)女 e)60〜69歳 500
b)女 f)70歳以上 500
b)女 差分 0
差分 a)20〜29歳 0
差分 b)30〜39歳 0
差分 c)40〜49歳 500
差分 d)50〜59歳 0
差分 e)60〜69歳 0
差分 f)70歳以上 -500
差分 差分 0
【0105】
(2)個票データ形式(縮尺100の場合)
F1性別 F2年齢 Weight
a)男 a)20〜29歳 100 (10レコード出力)
a)男 b)30〜39歳 100 (15レコード出力)
a)男 c)40〜49歳 100 (10レコード出力)
a)男 d)50〜59歳 100 (10レコード出力)
a)男 e)60〜69歳 100 ( 5レコード出力)
a)男 f)70歳以上 100 ( 5レコード出力)
a)男 差分 -100 ( 5レコード出力)
b)女 a)20〜29歳 100 (10レコード出力)
b)女 b)30〜39歳 100 (10レコード出力)
b)女 c)40〜49歳 100 (10レコード出力)
b)女 d)50〜59歳 100 (10レコード出力)
b)女 e)60〜69歳 100 ( 5レコード出力)
b)女 f)70歳以上 100 ( 5レコード出力)
b)女 差分 0
差分 a)20〜29歳 0
差分 b)30〜39歳 0
差分 c)40〜49歳 100 ( 5レコード出力)
差分 d)50〜59歳 0
差分 e)60〜69歳 0
差分 f)70歳以上 -100 ( 5レコード出力)
差分 差分 0

注)差分の属性については、分類区分をnull値として出力する。
【発明の効果】
【0106】
8.発明の効果
本発明により、統計調査及びアンケート調査等の個票データにおけるリスクレコードを秘匿して匿名化個票データを作成する手段を提供し、個票データを利用する際に個人が特定されるリスクを減免させることが可能となる。また、本発明による匿名化装置を用いることで、個票データ等について以下の利用方法が可能となる。

(1) 秘匿データ作成(標準機能)
個票データ⇒匿名化装置⇒匿名化データ
匿名化装置を利用して、個票データから匿名化データを作成する。

(2) 秘匿データの再利用
個票データ⇒匿名化装置⇒親匿名化データ⇒項目選択⇒匿名化装置⇒匿名化データ
匿名化装置を利用して親匿名化データを作成し、匿名化装置を再適用して匿名化データを作成

(3) 秘匿度数表作成
個票データ⇒匿名化装置⇒秘匿度数表
匿名化装置を利用して、個票データから秘匿度数表を作成

(4) 秘匿度数表の再利用
個票データ⇒匿名化装置⇒秘匿度数表⇒匿名化装置⇒匿名化データ
匿名化装置を利用して秘匿度数表を作成し、匿名化装置を再適用して匿名化データを作成

(5) 秘匿データ変換
多次元クロス度数表⇒匿名化装置⇒匿名化データ
匿名化装置を利用して、外部作成した多次元クロス度数表から匿名化データを作成
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1】(図1)機器構成図 秘匿装置は、市販のパーソナルコンピュータ(PC)にプログラムをインストールし、入出力データと中間データを保存する記憶装置を接続して構成する。
図2】(図2)プログラムの流れ図(全体) 個票データの匿名化処理プログラムは、多次元度数表集計処理部と秘匿変換処理部により構成する。
図3】(図3.1)多次元度数表集計処理部のブロック図 多次元度数表集計処理部は、個票データを読み込んで集計処理を行い、後段の秘匿変換処理において入力に用いる多次元クロス度数表を作成する。
図4】(図3.2)秘匿変換処理部のブロック図 秘匿変換処理部は、多次元クロス度数表を読み込んで削除秘匿、丸め秘匿、差分計算及び個票データ形式変換を行い、個票データから作成した多次元クロス度数表の秘匿処理を行って、個票データ形式に変換する。
図5】(図4.1)多次元クロス度数集計プログラムの流れ図 多次元クロス度数集計プログラムは、個票データを入力して多次元クロス度数表を集計する。
図6】(図4.2A)消去秘匿プログラム処理2A(属性組合わせ符号付与)の流れ図 (図4.2)多次元クロス度数集計プログラムの流れ図 消去秘匿プログラムは、多次元クロス度数表について度数チェックを行い、安全基準を満たさない属性項目の組合せについて、内訳をゼロ値に置き換えることで削除秘匿を行う。
図7】(図4.2B)消去秘匿プログラム処理2B(組合わせ別最小度数検査)の流れ図 (図4.2)多次元クロス度数集計プログラムの流れ図 消去秘匿プログラムは、多次元クロス度数表について度数チェックを行い、安全基準を満たさない属性項目の組合せについて、内訳をゼロ値に置き換えることで削除秘匿を行う。
図8】(図4.2C)消去秘匿プログラム処理2C(リスク表内訳消去)の流れ図 (図4.2)多次元クロス度数集計プログラムの流れ図 消去秘匿プログラムは、多次元クロス度数表について度数チェックを行い、安全基準を満たさない属性項目の組合せについて、内訳をゼロ値に置き換えることで削除秘匿を行う。
図9】(図4.3)丸め秘匿プログラムの流れ図 丸め秘匿プログラムは、多次元クロス度数表について度数の丸め処理を行い、丸め秘匿により度数表の秘匿強度を補強する。
図10】(図4.4)差分計算プログラムの流れ図 差分計算プログラムは、属性の全ての組合せについて、内訳合計と総数の差分計算を行う。
図11】(図4.5)個票形式変換プログラムの流れ図 個票形式変換プログラムは、属性組合せごとの内訳度数と差分度数を用いて、度数表を個票形式データに変換する。
【産業上の利用可能性】
【0108】
7.産業上の利用可能性
本発明を用いることにより、統計調査等の個票データの利用において、集計や分析をより安全に行うことが可能となることが期待できる。具体的には、「公的統計の整備に関する基本的な計画(平成30年3月6日閣議決定)」において、統計調査の二次利用として、オンサイト集計、オンデマンド集計等が挙げられており、これらに関連する研究開発業務に利用できる可能性がある他、統計センターが行っているオーダーメード集計、匿名データ作成等の業務においても利用できる可能性がある。
また、行政記録を用いて統計を作成する場合の秘匿手法として用いることができる可能性がある他、インターネットの普及に伴い急速に利用が増えているビッグデータ等の利用においても個人情報の保護が重要な課題となっており、個人情報保護の観点でデータの安全性を向上させるために本発明が利用できる可能性が期待できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11