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特開2021-34146ハーメチックシールを有する部品の製造方法およびガラスタブレット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-34146(P2021-34146A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】ハーメチックシールを有する部品の製造方法およびガラスタブレット
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/20 20060101AFI20210201BHJP
   C03C 29/00 20060101ALI20210201BHJP
   H01R 9/16 20060101ALI20210201BHJP
【FI】
   H01R43/20 Z
   C03C29/00
   H01R9/16 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-150200(P2019-150200)
(22)【出願日】2019年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】片桐 宗和
(72)【発明者】
【氏名】中島 有紀
【テーマコード(参考)】
4G061
5E063
5E086
【Fターム(参考)】
4G061AA09
4G061BA06
4G061CA03
4G061CB05
4G061CB13
4G061CD05
4G061CD06
4G061CD16
4G061DA26
5E063HB01
5E086PP27
5E086PP48
5E086QQ03
(57)【要約】
【課題】残渣が生じることがないように酸洗浄を行うことができる微小なハーメチックシールを有する部品の製造方法を提供する。
【解決手段】ガラス顆粒を円筒状に成形し、軸線方向の端部であって中空部と同一軸線上に凹部が生じるようにガラスタブレットを形成するタブレット形成ステップS1を有する。ガラスタブレットの中空部にリードピンを挿入するとともに筐体の貫通孔にガラスタブレットを装填する装填ステップS2を有する。ガラスタブレットを加熱して溶融させた後に冷却し、貫通孔の孔壁面とリードピンとの間をガラスで満たす焼成ステップS3を有する。焼成ステップS3は、ガラスタブレットが溶けることにより、ガラスの端面が凹形状となるように実施される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス顆粒を円筒状に成形し、軸線方向の端部であって中空部と同一軸線上に凹部が生じるようにガラスタブレットを形成するタブレット形成ステップと、
前記ガラスタブレットの前記中空部にリードピンを挿入するとともに筐体の貫通孔に前記ガラスタブレットを装填する装填ステップと、
前記ガラスタブレットを加熱して溶融させた後に冷却し、前記貫通孔の孔壁面と前記リードピンとの間をガラスで満たす焼成ステップとを有し、
前記焼成ステップは、前記ガラスタブレットが溶けることにより、前記ガラスの端面が凹形状となるように実施されることを特徴とするハーメチックシールを有する部品の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のハーメチックシールを有する部品の製造方法を実施するにあたり使用するガラスタブレットであって、
筐体の貫通孔に嵌合する周壁と、
リードピンが挿入されるピン孔と、
前記周壁におけるハーメチックシール外側の端面に開口する環状の溝とを有していることを特徴とするガラスタブレット。
【請求項3】
請求項1記載のハーメチックシールを有する部品の製造方法を実施するにあたり使用するガラスタブレットであって、
筐体の貫通孔に嵌合する周壁と、
リードピンが挿入されるピン孔と、
前記周壁におけるハーメチックシール外側の端面に形成されたテーパー状の凹面とを有していることを特徴とするガラスタブレット。
【請求項4】
請求項1記載のハーメチックシールを有する部品の製造方法を実施するにあたり使用するガラスタブレットであって、
筐体の貫通孔に嵌合する周壁と、
リードピンが挿入されるピン孔と、
前記周壁におけるハーメチックシール外側の端面に段差が生じるように形成された凹部とを有していることを特徴とするガラスタブレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス表面が凹形状になるハーメチックシールを有する部品の製造方法およびガラスタブレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の筐体をリードピンが貫通する部分をシールする方法として、リードピン貫通部がガラスによって封止されるハーメチックシールがある。ハーメチックシールを有する部品を製作するためには、特許文献1に記載されているように、筐体の貫通孔内に円筒形状のガラスタブレットとリードピンとを装着し、焼成炉等でガラスタブレットを溶かして行う。ガラスタブレットが溶けた後に冷却されて凝固することにより、筐体の封着部分にリードピンが貫通した状態で封着部分がガラスによって封止される。特許文献1には、断面円弧状の突状に形成されたプラグを焼成時にガラスの表面に押し付けてガラスの表面を凹形状に形成する技術が開示されている。
【0003】
ところで、筐体の封着部分には、ガラスの焼成時に酸化膜が生じることがある。この酸化膜は、酸によって洗浄されて除去されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−12584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、筐体の封着部分を酸によって洗浄したとしても、筐体とガラスとの境界の隅部分に酸化物が残渣として残るおそれがあった。封着部分に酸洗浄の残渣が付着していると、残渣から筐体の腐食が進むようになる。
このような不具合は、特許文献1に記載されているようにガラスの表面に突状の型(プラグ)を押し付けてガラスの表面を凹形状に形成することにより解消することができる。しかし、特許文献1に開示されている技術は、例えば圧力センサの筐体の封着部分に適用することはできない。この理由は、圧力センサの筐体の貫通孔は微小であり、この貫通孔に挿入可能なプラグを作ることが難しいからである。
【0006】
本発明の目的は、残渣が生じることがないように酸洗浄を行うことができる微小なハーメチックシールを有する部品の製造方法およびこの製造方法に使用するガラスタブレットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係るハーメチックシールを有する部品の製造方法は、ガラス顆粒を円筒状に成形し、軸線方向の端部であって中空部と同一軸線上に凹部が生じるようにガラスタブレットを形成するタブレット形成ステップと、前記ガラスタブレットの前記中空部にリードピンを挿入するとともに筐体の貫通孔に前記ガラスタブレットを装填する装填ステップと、前記ガラスタブレットを加熱して溶融させた後に冷却し、前記貫通孔の孔壁面と前記リードピンとの間をガラスで満たす焼成ステップとを有し、前記焼成ステップは、前記ガラスタブレットが溶けることにより、前記ガラスの端面が凹形状となるように実施されることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るガラスタブレットは、前記ハーメチックシールを有する部品の製造方法を実施するにあたり使用するガラスタブレットであって、筐体の貫通孔に嵌合する周壁と、リードピンが挿入されるピン孔と、前記周壁におけるハーメチックシール外側の端面に開口する環状の溝とを有していてもよい。
【0009】
本発明に係るガラスタブレットは、前記ハーメチックシールを有する部品の製造方法を実施するにあたり使用するガラスタブレットであって、筐体の貫通孔に嵌合する周壁と、リードピンが挿入されるピン孔と、前記周壁におけるハーメチックシール外側の端面に形成されたテーパー状の凹面とを有していてもよい。
【0010】
本発明に係るガラスタブレットは、前記ハーメチックシールを有する部品の製造方法を実施するにあたり使用するガラスタブレットであって、筐体の貫通孔に嵌合する周壁と、リードピンが挿入されるピン孔と、前記周壁におけるハーメチックシール外側の端面に段差が生じるように形成された凹部とを有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、ガラスタブレットが溶融して凝固することによりガラスの端面が凹形状となり、ガラスの端面と貫通孔の孔壁面とのなす角度が鈍角になる。このため、ガラスと貫通孔との境界に隅部が生じることがない。このようにガラスの端面を凹形状に形成するにあたって型となる部品は不要である。
したがって、本発明によれば、残渣が生じることがないように酸洗浄を行うことができる微小なハーメチックシールを有する部品の製造方法およびこの製造方法に使用するガラスタブレットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るハーメチックシールを有する部品の製造方法によって形成されたハーメチック部品の断面図である。
図2】ガラスタブレットの断面図である。
図3】焼成後の要部の断面図である。
図4】本発明に係るハーメチックシールを有する部品の製造方法を説明するためのフローチャートである。
図5】ガラスタブレットの変形例を示す断面図である。
図6】ガラスタブレットの変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るハーメチックシールを有する部品の製造方法およびガラスタブレットの一実施の形態を図1図4を参照して詳細に説明する。
図1に示す部品1は、圧力センサの一部を構成する有底円筒状の筐体2と、筐体2の壁3を貫通する複数のリードピン4とを備えている。筐体2は、金属材料によって形成されており、円筒部5の内側がハーメチックシール内側の封止空間となるように使用される。
【0014】
リードピン4は、筐体2の壁3に穿設された貫通孔6に挿入され、封止用のガラス7を介して筐体2に保持されている。リードピン4は、外面の全域に金メッキが施されたものを使用することができる。
【0015】
ガラス7は、ガラスタブレット11(図2参照)が溶融した後に凝固したもので、貫通孔6の孔壁面とリードピン4とに密着している。このように溶けて凝固したガラス7で貫通孔6内が満たされることによって、ハーメチックシール12が構成される。ガラス7のハーメチックシール外側(図1においては上側)の端面7aは、図3に示すように、凹形状に形成されている。この実施の形態でいう凹形状は、断面円弧状の凹部13がリードピン4を中心として環状に延びるような形状である。ガラス7の端面7aと貫通孔6の孔壁面とのなす角度θ1は鈍角である。また、ガラス7の端面7aとリードピン4とのなす角度θ2は鈍角である。
【0016】
次に、ハーメチックシール12を有する部品1を製造する方法を図4に示すフローチャートを参照して説明する。この部品1を製造するにあたっては、先ず、タブレット形成ステップS1を実施し、図2に示すような形状のガラスタブレット11を形成する。図2に示すガラスタブレット11は、筐体2(図1参照)の貫通孔6に嵌合する周壁14と、リードピン4が挿入されるピン孔15と、周壁14におけるハーメチックシール外側(図2においては上側)の端面14aに開口する環状の溝16とを有している。
【0017】
このガラスタブレット11を形成するためには、先ず、バインダー入りのガラス顆粒を円筒状に成形する。この成形は、軸線方向の端部であって中空部(ピン孔15)と同一軸線上に凹部(環状の溝16)が生じるように行う。そして、成形後のガラスタブレット11について仮焼成を行い、バインダーを脱離させる。
このようにガラスタブレット11が形成された後、装填ステップS2を実施する。装填ステップS2においては、ガラスタブレット11の中空部(ピン孔15)にリードピン4を挿入するとともに、筐体2の貫通孔6にガラスタブレット11を装填する。
【0018】
次に、焼成ステップS3を実施する。焼成ステップS3においては、筐体2をリードピン4およびガラスタブレット11とともに焼成炉(図示せず)に挿入し、焼成炉内で加熱してガラスタブレット11を溶融させ、その後に冷却して凝固させる。焼成ステップS3でガラスタブレット11が溶けることにより、環状の溝16の角がなだらかになり、ガラス7の端面7aが図3に示すように凹形状になる。
【0019】
焼成ステップS3が終了した後、酸洗浄ステップS4が実施される。酸洗浄ステップS4においては、筐体2を酸洗浄用の洗浄液(図示せず)に浸漬して酸洗浄を行う。この実施の形態においては、ガラス7と貫通孔6の孔壁面とのなす角度が鈍角になるとともに、ガラス7とリードピン4とのなす角度が鈍角になっているから、貫通孔6内の全域が洗浄液で十分に洗浄される。このため、酸洗浄後に残渣が生じることがない。
酸洗浄ステップS4が終了することによりハーメチックシール12を有する部品1が完成する。
【0020】
このように構成されたハーメチックシール12を有する部品1の製造方法およびこの製造方法に用いるガラスタブレット11によれば、ガラスタブレット11が溶融して凝固することによりガラス7の端面7aが凹形状になる。この実施の形態においては、ガラス7の端面7aと貫通孔6の孔壁面とのなす角度θ1が鈍角になるとともに、ガラス7の端面とリードピン4とのなす角度θ2が鈍角になる。このため、ガラス7と貫通孔6との境界と、ガラス7とリードピン4との境界に隅部が生じることがない。このようにガラス7の端面7aを凹形状に形成するにあたって型となる部品は不要である。
したがって、この実施の形態によれば、残渣が生じることがないように酸洗浄を行うことができる、微小なハーメチックシールを有する部品の製造方法およびこの製造方法に使用するガラスタブレットを提供することができる。
【0021】
(ガラスタブレットの凹部の変形例)
ガラスタブレット11の端面に形成する凹部は、図5および図6に示すように形成することができる。これらの図において、図1図3によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図5(A)および図6(A)は、筐体に装填される以前のガラスタブレットの断面図であり、図5(B)および図6(B)は、焼成後のハーメチックシール部分の断面図である。
【0022】
図5(A)に示すガラスタブレット21は、筐体2(図1参照)の貫通孔6に嵌合する周壁14と、リードピン4が挿入されるピン孔15と、周壁14におけるハーメチックシール外側の端面に形成されたテーパー状の凹面とを有している。
図6(A)に示すガラスタブレット31は、筐体2(図1参照)の貫通孔6に嵌合する周壁14と、リードピン4が挿入されるピン孔15と、周壁14におけるハーメチックシール外側の端面に段差が生じるように形成された凹部32とを有している。
【0023】
図5(A)および図6(A)に示すガラスタブレット21,31が溶融して凝固すると、図5(B)および図6(B)に示すように、ガラス7のハーメチックシール外側に凹曲面23,33が形成される。これらの凹曲面23,33と貫通孔6の孔壁面とのなす角度は鈍角になる。このため、ガラス7と貫通孔6との境界部分に酸洗浄後に残渣が生じることはない。なお、この場合、凹曲面23,33とリードピン4との境界に隅部24,34が生じ、隅部24,34に酸洗浄後に残渣が生じるおそれがある。しかし、この場合は、リードピン4として金メッキが施されたものを使用することにより、リードピン4が腐食されることを防ぐことができる。
【0024】
上述した実施の形態においては、両端の形状が異なるガラスタブレット11,21,31を貫通孔6に1個挿入する例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはない。すなわち、両端が平坦な円柱状の第1のガラスタブレットと、例えばリング状の第2のガラスタブレットとを組み合わせて貫通孔6に挿入することができる。このような2個のガラスタブレットを使用したとしても上述した実施の形態を採るときと同等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0025】
1…ハーメチックシールを有する部品、2…筐体、4…リードピン、6…貫通孔、7…ガラス、S3…焼成ステップ、7a…端面、11,21,31…ガラスタブレット、14…周壁、15…ピン孔(中空部)、16…環状の溝(凹部)、22…凹面(凹部)、32…凹部、S1…タブレット形成ステップ、S2…装填ステップ、S3…焼成ステップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6