(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-34225(P2021-34225A)
(43)【公開日】2021年3月1日
(54)【発明の名称】電力ヒューズ
(51)【国際特許分類】
H01H 85/147 20060101AFI20210201BHJP
【FI】
H01H85/147
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2019-153113(P2019-153113)
(22)【出願日】2019年8月23日
(71)【出願人】
【識別番号】510101697
【氏名又は名称】功得電子工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Conquer Electoronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】邱鴻智
【テーマコード(参考)】
5G502
【Fターム(参考)】
5G502AA01
5G502AA09
5G502BA03
5G502BC02
5G502BC04
5G502BC12
5G502BD03
5G502BD06
5G502CC03
(57)【要約】
【課題】 ヒューズエレメントが溶断する場合にアーク放電が発生することを防ぐ電力ヒューズを提供することを課題とする。
【解決手段】 両端に、貫通孔を穿設してなる第1キャップ体をそれぞれ設けた筒状体と、該筒状体内に設けられ、かつ両端が該第1キャップ体の該貫通孔を通過して外方向に延伸する第1ヒューズエレメントを含んでなる溶断ユニットと、一方の面に凹状部を具え、他方の面に導線を具えるとともに、該凹状部が該第1キャップ体の外側に当接する複数の第2キャップ体と、を含み、該第1ヒューズエレメントの両端が該第1キャップ体と該第2キャップ体との間に位置して該第1ヒューズエレメントの両端間の距離を延長させることを特徴とする電力ヒューズ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に、貫通孔を穿設してなる第1キャップ体をそれぞれ設けた筒状体と、
該筒状体内に設けられ、かつ両端が該第1キャップ体の該貫通孔を通過して外方向に延伸する第1ヒューズエレメントを含んでなる溶断ユニットと、
一方の面に凹状部を具え、他方の面に導線を具えるとともに、該凹状部が該第1キャップ体の外側に当接する複数の第2キャップ体と、を含み、
該第1ヒューズエレメントの両端が該第1キャップ体と該第2キャップ体との間に位置して該第1ヒューズエレメントの両端間の距離を延長させる
ことを特徴とする電力ヒューズ。
【請求項2】
前記筒状体が中空の円柱体であるか、もしくは中空の長方体である
ことを特徴とする請求項1に記載の電力ヒューズ。
【請求項3】
前記第1キャップ体と、該第1ヒューズエレメントの両端と、及び該第2キャップ体とを溶接して連結する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力ヒューズ。
【請求項4】
両端に、貫通孔を穿設してなる第1キャップ体をそれぞれ設けた筒状体と、
該筒状体内に設けられ、かつ一端が該貫通孔を通過して外方向に延伸する第1ヒューズエレメントと、及び該筒状体内に設けられ、該第1ヒューズエレメントに連結するとともに、一端が該貫通孔を通過して外方向に延伸する第2ヒューズエレメントとを含んでなり、かつ該第1ヒューズエレメントの融点が該第2ヒューズエレメントより低い溶断ユニットと、
一方の面に凹状部を具え、他方の面に導線を具えるとともに、該凹状部が該第1キャップ体の外側に当接する複数の第2キャップ体と、を含み、
該第1ヒューズエレメントと該第2ヒューズエレメントとの一端が該第1キャップ体と該第2キャップ体との間に位置する
ことを特徴とする電力ヒューズ。
【請求項5】
前記第1ヒューズエレメントと該第2ヒューズエレメントとの間に第3ヒューズエレメントを設け、かつ該第2ヒューズエレメントの融点が該第3ヒューズエレメントより低い
ことを特徴とする請求項4に記載の電力ヒューズ。
【請求項6】
前記筒状体が中空の円柱体であるか、もしくは中空の長方体である
ことを特徴とする請求項4に記載の電力ヒューズ。
【請求項7】
前記第1キャップ体と、該溶断ユニットと、及び該第2キャップ体とを溶接して連結する
ことを特徴とする請求項4に記載の電力ヒューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気回路の保護素子に関し、特にアクティブに加熱する方式の電力ヒューズに関する。
【背景技術】
【0002】
電力ヒューズは電子製品、もしくは電気機器に広く応用され、電子製品や電気機器に定格以上の大電流が流れて破壊されることを防いでいる。電力ヒューズの原理は、電気抵抗によってジュール熱が発生して溶断して回路を開くことにある。即ち、適宜なインピーダンスを具えた導電性の電力ヒューズに電流が流れる場合、定格を超える電流が流れると熱が発生し、過熱で溶断し、回路が開いて電流の電子製品や電気機器への流入を防ぐ。溶断後のインピーダンスが高いほど回路を開く効果が高まる。通常、電力ヒューズの断面積が大きいほどインピーダンスは低くなり、定格電流値は高くなる。電力ヒューズと保護する回路とを直列し、定格電流値の範囲内で使用する場合、電圧の降下と温度の上昇は少ないほどよい。電力ヒューズが定格を超える大電流が流れることによって加熱され、完全に溶断する前にアーク放電が発生する。それは瞬間的であって、かつ局部的な高エネルギーであり、強い破壊力を有する。この点は電力ヒューズのレイアウトを作成上考慮しなければならない重要な要素である。
【0003】
また、電力ヒューズの両端の溶接点の距離が近いと、電力ヒューズが溶断しても、両端の溶接点にアーク放電効果が発生して回路を保護する効果が失われる。この点も従来の電力ヒューズの毛店である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、ヒューズエレメントが溶断する場合にアーク放電が発生することを防ぐ電力ヒューズを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明による電力ヒューズは、筒状体と、溶断ユニットと、複数の第2キャップ体とを含んでなり、該筒状体の両端には、貫通孔を穿設してなる第1キャップ体をそれぞれ設ける。該溶断ユニットは、該筒状体内に設けられ、かつ両端が該第1キャップ体の該貫通孔を通過して外方向に延伸する第1ヒューズエレメントを含んでなる。該複数の第2キャップ体は、一方の面に凹状部を具え、他方の面に導線を具えるとともに、該凹状部が該第1キャップ体の外側に当接する。また、該第1ヒューズエレメントの両端が該第1キャップ体と該第2キャップ体との間に位置して該第1ヒューズエレメントの両端間の距離を延長させる。よって、該第1溶断ユニットが溶断した後、アーク放電が発生することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による電力ヒューズを示した斜視図である。
【
図2】
図1に開示する電力ヒューズの断面構造を示した説明図である。
【
図3】この発明の第2の実施の形態による電力ヒューズの断面構造を示した説明図である。
【
図4】この発明の第3の実施の形態による電力ヒューズの断面構造を示した説明図である。
【
図5】この発明の第4の実施の形態による電力ヒューズを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0007】
この発明の内容と効果を説明するために、具体的な例を挙げ、図面を参照して詳述する。
図1は第1の実施の形態による電力ヒューズであって、筒状体10と、溶断ユニット20と、及び複数の第2キャップ体30とを具えてなる。それぞれの部材に関しては以下に述べる通りである。
【0008】
筒状体10は両端に第1キャップ体11をそれぞれ設けてなり、それぞれの第1キャップ体11には貫通孔111を穿設する。筒状体10は中空の円柱体であるが、中空の長方体であってもよい。
【0009】
図1、
図2に開示するように、溶断ユニット20は、筒状体10内に設ける第1ヒューズエレメント21を含んでなり、第1ヒューズエレメント21の両端は、それぞれの貫通孔111を通過して外方向に延伸する。
【0010】
第2キャップ体30は、それぞれ一方の面に凹状部31を具え、他方の面に導線32を具える。但し、必要に応じて導線32を設けない第2キャップ体30としてもよい。
【0011】
それぞれの第2キャップ体30の凹状部31は、第1キャップ体11の外側に当接し、第1ヒューズエレメント21は両端が第1キャップ体11と第2キャップ体30との間に位置して第1ヒューズエレメント21の両端間の距離を延長させる。
【0012】
第1キャップ体11と、溶断ユニット20と、及び第2キャップ体30とを溶接して連結する。溶接ポイントは筒状体10の外側の第1キャップ体11と第2キャップ体30との間に位置する。よって、「外部溶接」と称する。係る構成によって第1ヒューズエレメント21の両端の間の距離が延長し、第1ヒューズエレメント21が溶断する際にアーク放電が発生して完全に回路を開くことができなくなるという現象を効率よく防ぐことができる。
【実施例2】
【0013】
図3に第2の実施の形態を開示する。第2の実施の形態においては、一部の部材、もしくは構造が第1の実施の形態と同様である。よって、同様の部分については詳述しないことを予め述べておく。
【0014】
第2の実施の形態において、ヒューズエレメント20は、第1ヒューズエレメント21と、及び第1ヒューズエレメント21に連結する第2ヒューズエレメント22とを含む。第1ヒューズエレメント21は融点が第2ヒューズエレメント22よりも短く、第1ヒューズエレメント21と第2ヒューズエレメント22とを筒状体10内に設ける。また、第1ヒューズエレメント21と第2ヒューズエレメント22とは、一端がそれぞれ貫通孔111を通過して外方向に延伸する。
【0015】
この発明の他の特徴として、必要に応じて融点の異なる第1ヒューズエレメント21と第2ヒューズエレメント22とを組み合わせて保護の目的を達成することが挙げられる。
【実施例3】
【0016】
また、
図4に開示するように、第1ヒューズエレメント21と第2ヒューズエレメント22との間に第3ヒューズエレメント23を設けてもよい。この場合、第2ヒューズエレメント22は融点が第3ヒューズエレメント23より低くする。また、第1ヒューズエレメント21と、第2ヒューズエレメント22と、第3ヒューズエレメント23とは、線状か、もしくはバネ状か、もしくはプレート状のヒューズエレメントであってもよい。
【実施例4】
【0017】
図5は、この発明の第4の実施の形態による電力ヒューズの斜視図である。第4の実施の形態においては、電力ヒューズが円柱状ではなく長方体に変更し、かつ第2キャップ体30には導線32を設けず。他なる仕様の回路に応用するのに適するようにした。
【符号の説明】
【0018】
10 筒状体
11 第1キャップ体
111 貫通孔
20 溶断ユニット
21 第1ヒューズエレメント
22 第2ヒューズエレメント
23 第3ヒューズエレメント
30 第2キャップ体
31 凹状部
32 導線