本発明の一側面によるコイル部品は、支持基板と、上記支持基板の一面と接触するように配置された第1導電層、及び上記支持基板の一面から離隔するように上記第1導電層に配置された第2導電層を含むコイル部と、上記支持基板及び上記コイル部が埋設される本体と、を含み、上記第1導電層の一側面は、上記第2導電層の一側面よりも上記第2導電層の幅方向の中央にさらに近く配置される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で用いられた用語は、単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定する意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などという用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指すためのものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。また、明細書全体において、「上に」とは、対象部分の上または下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。
【0012】
また、結合とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合だけを意味するのではなく、他の構成が各構成要素間に介在して、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触する場合までを包括する概念として用いる。
【0013】
図面に示された各構成のサイズ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。
【0014】
図面において、L方向は第1方向または長さ方向、W方向は第2方向または幅方向、T方向は第3方向または厚さ方向と定義することができる。
【0015】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施例よるコイル部品について説明する。添付図面を参照して説明するにあたり、同一であるか、または対応する構成要素に対しては同一の図面符号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0016】
電子機器には、様々な種類の電子部品が用いられるが、このような電子部品の間には、ノイズ除去などを目的に、様々な種類のコイル部品が適切に用いられることができる。
【0017】
すなわち、電子機器におけるコイル部品は、パワーインダクタ(Power Inductor)、高周波インダクタ(HF Inductor)、通常のビーズ(General Bead)、高周波用ビーズ(GHz Bead)、コモンモードフィルタ(Common Mode Filter)などとして用いられることができる。
【0018】
図1は本発明の一実施例によるコイル部品を概略的に示す図であり、
図2は
図1のI−I'線に沿った断面を概略的に示す図であり、
図3は
図1のII−II'線に沿った断面を概略的に示す図であり、
図4は
図2のAを拡大したものを示す図である。
【0019】
図1〜
図4を参照すると、本発明の第1実施例によるコイル部品1000は、本体100、支持基板200、コイル部300、及び外部電極400、500を含み、絶縁膜600をさらに含むことができる。
【0020】
本体100は、本実施例によるコイル部品1000の全体的な外観をなし、その内部には支持基板200及びコイル部300が埋設される。
【0021】
本体100は、全体的に六面体状に形成されることができる。
【0022】
図1〜
図3を基準に、本体100は、長さ方向Lに互いに向かい合う第1面101及び第2面102、幅方向Wに向かい合う第3面103及び第4面104、厚さ方向Tに向かい合う第5面105及び第6面106を含む。本体100の第1面〜第4面101、102、103、104はそれぞれ、本体100の第5面105と第6面106とを連結する本体100の壁面に相当する。以下では、本体100の両端面は本体の第1面101及び第2面102を意味し、本体100の両側面は本体の第3面103及び第4面104を意味することができる。また、本体100の一面は本体100の第6面106を意味し、本体100の他面は本体100の第5面105を意味することができる。尚、以下では、本体100の上面及び下面はそれぞれ、
図1〜
図3方向を基準に定めた本体100の第5面105及び第6面106を意味することができる。
【0023】
本体100は、後述する外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.65mmの厚さを有するように形成されることができるが、これに制限されるものではない。または、本体100は、外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が2.0mmの長さ、1.6mmの幅、及び0.55mmの厚さを有するように形成されることができる。または、本体100は、外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が2.0mmの長さ、1.2mmの幅、及び0.55mmの厚さを有するように形成されることができる。または、本体100は、外部電極400、500が形成された本実施例によるコイル部品1000が1.2mmの長さ、1.0mmの幅、及び0.55mmの厚さを有するように形成されることができる。但し、上述した本実施例によるコイル部品1000のサイズは、例示的なものに過ぎないため、上述したサイズ以外のサイズで形成された場合を本発明の範囲から除外させることはない。
【0024】
本体100は、磁性体粉末P及び絶縁樹脂Rを含むことができる。具体的には、本体100は、絶縁樹脂R、及び絶縁樹脂Rに分散した磁性体粉末Pを含む磁性複合シートを一つ以上積層した後、磁性複合シートを硬化することによって形成されることができる。但し、本体100は、磁性体粉末Pが絶縁樹脂Rに分散した構造に加えて、他の構造を有することもできる。例えば、本体100は、フェライトのような磁性材料からなることもできる。
【0025】
磁性体粉末Pは、例えば、フェライトまたは金属磁性粉末であることができる。
【0026】
フェライト粉末は、一例として、Mg−Zn系、Mn−Zn系、Mn−Mg系、Cu−Zn系、Mg−Mn−Sr系、Ni−Zn系などのスピネル型フェライト、Ba−Zn系、Ba−Mg系、Ba−Ni系、Ba−Co系、Ba−Ni−Co系などの六方晶型フェライト類、Y系などのガーネット型フェライト、及びLi系フェライトのうち少なくとも一つ以上であることができる。
【0027】
金属磁性粉末は、鉄(Fe)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、及びニッケル(Ni)からなる群より選択されたいずれか一つ以上を含むことができる。例えば、金属磁性粉末は、純鉄粉末、Fe−Si系合金粉末、Fe−Si−Al系合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−Ni−Mo系合金粉末、Fe−Ni−Mo−Cu系合金粉末、Fe−Co系合金粉末、Fe−Ni−Co系合金粉末、Fe−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Si系合金粉末、Fe−Si−Cu−Nb系合金粉末、Fe−Ni−Cr系合金粉末、Fe−Cr−Al系合金粉末のうち少なくとも一つ以上であることができる。
【0028】
金属磁性粉末は、非晶質または結晶質であることができる。例えば、金属磁性粉末は、Fe−Si−B−Cr系非晶質合金粉末であってもよいが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0029】
フェライト及び金属磁性粉末はそれぞれ、平均直径が約0.1μm〜30μmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0030】
本体100は、絶縁樹脂Rに分散した2種類以上の磁性体粉末Pを含むことができる。ここで、磁性体粉末Pが異なる種類とは、絶縁樹脂Rに分散した磁性体粉末が直径、組成、結晶性、及び形状のうち少なくとも一つで互いに区別されることを意味する。一例として、本体100は、直径が互いに異なる2以上の磁性体粉末Pを含むことができる。
【0031】
絶縁樹脂Rは、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独または混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
本体100は、後述する支持基板200及びコイル部300を貫通するコア110を含む。コア110は、磁性複合シートを積層及び硬化する工程において、磁性複合シートの少なくとも一部がコイル部300の貫通孔を充填することによって形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0033】
支持基板200は本体100に埋設される。支持基板200は、後述するコイル部300を支持する構成である。
【0034】
支持基板200は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂または感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成されるか、またはかかる絶縁樹脂にガラス繊維や無機フィラーのような補強材が含まれた絶縁材料で形成されることができる。一例として、支持基板200は、銅箔積層板(Copper Clad Laminate、CCL)、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build−up Film)、FR−4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、PID(Photo Imageable Dielectric)などの絶縁材料で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0035】
無機フィラーとして、シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO
4)、タルク、泥、マイカ粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO
3)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、及びジルコン酸カルシウム(CaZrO
3)からなる群より選択された少なくとも一つ以上が用いられることができる。
【0036】
支持基板200が補強材を含む絶縁材料で形成される場合、支持基板200は、より優れた剛性を提供することができる。支持基板200がガラス繊維を含まない絶縁材料で形成される場合、支持基板200は、コイル部300の全厚さを薄型化するのに有利である。支持基板200が感光性絶縁樹脂を含む絶縁材料で形成される場合には、コイル部300を形成するための工程数が減少して生産コストの削減に有利であり、微細なビアを形成することができる。
【0037】
支持基板200の厚さは、20μm超過40μm未満であることができ、より好ましくは25μm以上35μm以下であることができる。支持基板200の厚さが20μm以下の場合には、支持基板200の剛性を確保することが困難となって、製造工程の過程で後述するコイル部300を支持することが難しくなる。これに対し、支持基板200の厚さが40μm以上で形成される場合には、コイル部品を薄型化するのに不利であり、同一の体積の本体内で支持基板200が占める体積が増加して高容量のインダクタンスを実現するのに不利である。
ここで、支持基板200の厚さとは、本体100の幅方向Wの中央部における長さ方向−厚さ方向の断面(L−T断面)に対する光学顕微鏡写真を基準に、支持基板200の一面(図の方向を基準に支持基板200の下面)に相当する線分の一地点から厚さ方向Tに法線を延長したとき、上記法線が支持基板200の他面(図の方向を基準に支持基板200の上面)に相当する線分と接触する他地点までの距離を意味することができる。
または、支持基板200の厚さとは、本体100の幅方向Wの中央部における長さ方向−厚さ方向の断面(L−T断面)に対する光学顕微鏡写真を基準に、 支持基板200の一面(
図2の方向を基準に支持基板200の下面)に相当する線分の複数の一地点のそれぞれから法線を延長したとき、上記複数の法線が 支持基板200の他面(
図2の方向を基準に支持基板200の上面)に相当する線分と接触する複数の他地点までの距離の算術平均を意味することができる。
【0038】
コイル部300は、支持基板200に配置された平面スパイラル状のコイルパターン311、312を含み、本体100に埋設されてコイル部品の特性を発現する。例えば、本実施例のコイル部品1000がパワーインダクタとして活用される場合、コイル部300は、電場を磁場で保存して出力電圧を維持することにより、電子機器の電源を安定させる役割を果たすことができる。
【0039】
コイル部300は、コイルパターン311、312及びビア320を含む。具体的には、
図1、
図2、及び
図3の方向を基準に、本体100の第6面106と向かい合う支持基板200の下面に第1コイルパターン311が配置され、支持基板200の上面に第2コイルパターン312が配置される。ビア320は、支持基板200を貫通して第1コイルパターン311及び第2コイルパターン312にそれぞれ接触連結される。これにより、コイル部300は、全体的にコア110を中心に一つ以上のターン(turn)を形成した一つのコイルとして機能することができる。
【0040】
コイルパターン311、312はそれぞれ、コア110を軸に、少なくとも一つのターン(turn)を形成した平面スパイラル状を有することができる。一例として、第1コイルパターン311は、
図2の方向を基準に、支持基板200の下面においてコア110を軸に少なくとも一つのターン(turn)を形成することができる。
【0041】
図2及び
図4を参照すると、支持基板200の一面と直交する断面を基準に、コイルパターン311、312の各ターン(turn)は、幅(width、Wb)に対する厚さ(height、T1)の割合であるアスペクト比(Aspect Ratio、A/R)が6以上であることができる。ここで、コイルパターン311、312の各ターン(turn)の幅Wbは25μm以上であり、厚さT1が200μm以上であることができる。コイルパターン311、312の複数のターンのうち、隣接するターン間の離隔距離(space、S)は、8μm以上15μm以下であることができる。但し、本発明の範囲が上述した数値に制限されるものではない。一方、後述のように、第1導電層の厚さT2は、第2導電層(T1−T2)の厚さよりも非常に薄く形成されるため、第2導電層の厚さ(T1−T2)とコイルパターン311、312の厚さT1を互いに同一のものに近似させることができる。また、上述した第1導電層と第2導電層との間の厚さ差により、コイルパターン311、312の断面を基準に、第2導電層が占める面積が、第1導電層が占める面積よりも比較的大きいため、コイルパターン311、312の幅は第2導電層の幅Wbを意味し、隣接するターン(turn)間の離隔距離は隣接するターンの第2導電層間の離隔距離Sを意味することができる。
ここで、各ターンの厚さT1とは、一例として、本体100の長さ方向Lの中央部における幅方向−厚さ方向の断面(W−T断面)に対する光学顕微鏡写真に示された第1コイルパターン311のいずれかのターン(turn)を基準に、支持基板200の一面(
図2の方向を基準に支持基板200の下面)と接する上記一つのターンの一面に相当する線分の一地点から厚さ方向Tに法線を延長したとき、上記法線が上記一つのターンの一面と向かい合う上記一つのターンの他面に相当する線分と接触する他地点までの距離を意味することができる。
または、各ターンの厚さT1とは、一例として、本体の長さ方向Lの中央部における幅方向−厚さ方向の断面(W−T断面)に対する光学顕微鏡写真に示された第1コイルパターン311のいずれか一つのターン(turn)を基準に、支持基板200の一面(
図2の方向を基準に支持基板200の下面)と接する上記一つのターンの一面に相当する線分の複数の一地点から厚さ方向Tに複数の法線を延長したとき、上記複数の法線が上記一つのターンの一面と向かい合う上記一つのターンの他面に相当する線分と接触する複数の他地点までの距離の算術平均を意味することができる。
または、各ターンの厚さとは、本体の長さ方向Lの中央部における幅方向−厚さ方向の断面(W−T断面)に対する光学顕微鏡写真を基準に、上記断面写真に示された複数のターンのそれぞれの厚さを上述な方法で算出し、且つこれを算術平均したものであることができる。
【0042】
コイルパターン311、312の端部はそれぞれ、後述する第1及び第2外部電極400、500と連結される。すなわち、第1コイルパターン311の端部は第1外部電極400と連結され、第2コイルパターン312の端部は第2外部電極500と連結される。
【0043】
一例として、第1コイルパターン311の端部は本体100の第1面101に露出し、第2コイルパターン312の端部は本体100の第2面102に露出して、本体100の第1及び第2面101、102にそれぞれ配置された第1及び第2外部電極400、500と接触連結されることができる。
【0044】
コイル部300は、支持基板200の一面に接触するように配置された第1導電層、及び支持基板200の一面から離隔するように第1導電層に配置された第2導電層を含む。具体的には、コイル部300の第1及び第2コイルパターン311、312はそれぞれ、第1導電層及び第2導電層を含む。一方、以下では、説明の重複を避けるために、第2コイルパターン312を中心に、第1導電層及び第2導電層について説明する。但し、かかる説明は、第1コイルパターン311にもそのまま適用することができる。
【0045】
第2コイルパターン312は、
図2〜
図4の方向を基準に、支持基板200の上面に接触配置された第1導電層312a、及び支持基板200の上面から離隔するように第1導電層312aに配置された第2導電層312bを含む。
【0046】
第1導電層312aは、第2導電層312bを電解めっきで形成するためのシード層から形成されることができる。シード層は、支持基板200に無電解めっきまたはスパッタリングを行うことにより形成することができる。シード層をスパッタリングなどで形成した場合には、第1導電層312aを構成する材料の少なくとも一部が支持基板200に浸透した形を有することができる。これは、支持基板200において第1導電層312aを構成する金属材料の濃度が本体100の厚さ方向Tに沿って差が発生することが確認できる。
【0047】
第1導電層312aは、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、及び銅(Cu)のうち少なくとも一つを含むことができる。第1導電層312aは、モリブデン(Mo)/チタン(Ti)のように、複数層の構造で形成されることができるが、これに制限されるものではない。
【0048】
第2導電層312bは、シード層に開口部を有するめっきレジストを形成した後、電解めっきでめっきレジストの開口部に導電性材料を充填することによって形成されることができる。
【0049】
めっきレジストは、めっきレジスト形成用材料をシード層に形成した後、フォトリソグラフィ工程を行うことにより、複数のターン(turn)を有する平面らせん状に形成された開口部、及び隣接する開口部間に配置された絶縁壁を含む形で形成されることができる。めっきレジストは、液状の感光性材料をシード層に塗布するか、またはシートタイプの感光性材料をシード層に積層することによって形成されることができる。めっきレジストの開口部の幅(または隣接する絶縁壁間の離隔距離)は、コイルパターン311、312の幅Wbに相当し、絶縁壁の幅は、上述したコイルパターン311、312のターン(turn)間の離隔距離Sに相当する。絶縁壁の厚さは、上述したコイルパターン311、312の厚さに相当する。めっきレジストは、剥離液によって剥離が可能な感光性絶縁材料(PID:Photo Imageable dielectric)を含む。例えば、環状ケトン化合物及びヒドロキシ基を有するエーテル化合物を主成分として含む感光性材料を含むことができる。この際、環状ケトン化合物は、例えば、シクロペンタノンなどであることができ、ヒドロキシ基を有するエーテル化合物は、例えば、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどであることができる。または、めっきレジストは、ビスフェノール系エポキシ樹脂を主成分として含む感光性材料を含むことができる。この際、ビスフェノール系エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールAノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテルビスフェノールAポリマー樹脂などであることができる。但し、本発明の範囲がこれに限定されるものではなく、めっきレジストは、剥離液によって剥離することができるものであれば、いかなるものであっても適用することができる。一方、本発明の場合、めっきレジストの開口部を充填する電解めっき層は、めっきレジストの厚さ(絶縁壁の厚さ)よりも低く形成されることができる。この場合、第2導電層312bの幅Wbは、第2導電層312bの厚さ方向に沿った第2導電層312bの上部及び下部で一定であることができる。
【0050】
第2導電層312bは銅(Cu)を含むことができる。一例として、第2導電層312bは、電解銅めっきを介して銅(Cu)からなることができるが、本発明の範囲がこれに制限されるものではない。第2導電層312b及び第1導電層312aは、互いに異なる金属からなることができる。第2導電層312bは、単一の電解めっき工程を介して単一の層からなることができ、複数回の電解めっき工程を介して複数の層からなることもできる。
【0051】
第1導電層312aは、第2導電層312bに比べて薄く形成される。具体的には、第1導電層312aの厚さT2は50nm以上10μm以下であることができる。第1導電層312aの厚さT2が50nm未満の場合には、第2導電層312bを電解めっきで形成することが難しくなる可能性がある。
【0052】
図4を参照すると、第1導電層312aの一側面は、第2導電層312bの一側面よりも第2導電層312bの幅方向の中央Cにさらに近く配置される。具体的には、第2導電層312bの一側面から第1導電層312aの一側面までの距離aが0を超えるため、第2導電層312bの一側面よりも第2導電層312bの幅方向の中央Cにさらに近く配置される。結果として、第1導電層312aの幅Waは、第2導電層312bの幅Wbよりも小さく形成される。一方、第1導電層312aの一側面と向かい合う第1導電層312aの他側面も、第2導電層312bの他側面よりも第2導電層312bの幅方向の中央Cにさらに近く配置される。第1導電層312aは、シード層に第2導電層312bを形成した後、剥離液を用いてめっきレジストを化学的に除去し、シードエッチング液を用いてシード層を選択的に除去することにより形成される。シードエッチング液は、シード層と反応し、第2導電層312bの電解めっき層とは反応しない。結果として、シード層を選択的に除去して形成された第1導電層312aは、一側面が第2導電層312bの一側面よりも内側に配置される形を有することができる。
【0053】
図4を参照すると、第2導電層312bの幅Wbに対する第2導電層312bの一側面から第1導電層312aの一側面までの距離aの割合は、0超過0.45未満であることができる。上記割合が0の場合には、第1導電層312a及び第2導電層312bが互いに同一の金属材料からなって、上述したシードエッチング液によってシード層及び第2導電層312bがともに除去される。この場合、第2導電層312bの導体損失が原因となって部品の特性が悪くなる可能性がある。これに対し、上記割合が0.45以上の場合には、シード層が過度にエッチングされて、第2導電層312bが支持基板から分離されて不良が発生するおそれがある。制限されない例として、第2導電層312bの幅Wbが100μmの場合には、第2導電層312bの一側面から第1導電層312aの一側面までの距離aは、0μm超過45μm未満であることができる。
【0054】
第2導電層312bの幅Wbに対する第1導電層312aの幅Waの割合は、0.1超過1未満であることができる。第2導電層312bの幅Wbに対する第1導電層312aの幅Waの割合が0.1以下の場合には、第2導電層312bが支持基板から分離されて不良が発生する可能性がある。第2導電層312bの幅Wbに対する第1導電層312aの幅Waの割合が1以上の場合には、第2導電層312bの導体損失が原因となって部品の特性が悪くなるか、または隣接するターン(turn)間にショート(short)が発生するおそれがある。制限されない例として、第2導電層312bの幅Wbが100μmの場合には、第1導電層312aの幅Waは10μm超過100μm未満であることができる。
【0055】
ビア320は、少なくとも一つ以上の導電層を含むことができる。一例として、ビア320を電解めっきで形成する場合には、ビア320は、支持基板200を貫通するビアホールの内壁に形成されたシード層、及びシード層が形成されたビアホールを充填する電解めっき層を含むことができる。ビア320のシード層及びコイルパターン311、312を形成するためのシード層は、同一工程でともに形成されて相互一対に形成されるか、または異なる工程で形成されて両者の間に境界が形成されることがある。ビア320は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、またはこれらの合金などの導電性材料を含むことができる。
【0056】
外部電極400、500は、単層または複数層の構造で形成されることができる。一例として、第1外部電極400は、銅(Cu)を含む第1層、第1層上に配置され、ニッケル(Ni)を含む第2層、及び第2層上に配置され、スズ(Sn)を含む第3層で構成されることができる。ここで、第1〜第3層はそれぞれ、めっきで形成できるが、これに制限されるものではない。他の例として、第1外部電極400は、銀(Ag)などの導電性粉末と樹脂を含む樹脂電極、及び樹脂電極上にめっき形成されたニッケル(Ni)/スズ(Sn)めっき層を含むことができる。
【0057】
外部電極400、500は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性材料で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0058】
絶縁膜600は、支持基板200及びコイル部300に形成されることができる。絶縁膜600は、コイル部300を本体100から絶縁させるためのものであって、パリレンなどの公知の絶縁材料を含むことができる。絶縁膜600に含まれる絶縁材料は、いかなるものであってもよく、特に制限されない。絶縁膜600は、気相蒸着法などの方法で形成されることができるが、これに制限されるものではなく、絶縁フィルムを支持基板200の両面に積層することによって形成されることもできる。前者の場合、絶縁膜600は、支持基板200及びコイル部300の表面に沿ってコンフォーマル(conformal)な膜の形で形成されることができる。後者の場合、絶縁膜600は、コイルパターン311、312の隣接するターンとターンとの間の空間を満たす形で形成されることができる。一方、本発明において、絶縁膜600は、選択的な構成であるため、本実施例によるコイル部品1000の動作条件下で本体100が十分な絶縁抵抗を確保することができれば、絶縁膜600は省略されてもよい。
【0059】
本実施例によるコイル部品1000は、めっきレジスト除去工程、及び選択的シード層除去工程を、化学溶液を用いて行う。すなわち、めっきレジストは、剥離液または第1エッチング液で除去され、シード層は、第2エッチング液またはシードエッチング液で除去される。したがって、めっきレジスト及びシード層をレーザーでともに除去する場合と比較して、支持基板200が損なわれることを防止することができ、支持基板200の剛性を維持することができる。
【0060】
また、本実施例によるコイル部品1000は、シード層及び電解めっき層が互いに異なる金属からなり、シードエッチング液はシード層と反応し、電解めっき層とは反応しない。これにより、選択的シード層除去工程では、電解めっき層である第2導電層312bの導体損失が発生しないため、部品の特性が低下することを防止することができる。
【0061】
図5は本発明の一実施例によるコイル部品の第1変形例を概略的に示すものであって、
図4に対応する図であり、
図6は本発明の一実施例によるコイル部品の第2変形例を概略的に示すものであって、
図4に対応する図である。
【0062】
図5及び
図6を参照すると、本発明の一実施例によるコイル部品の第1及び第2変形例は、第1導電層312aの一側面が、支持基板200と接する第1導電層312aの一面側よりも第2導電層312bと接する第1導電層312aの他面側において第2導電層312bの幅方向の中央Cにさらに近く配置される。すなわち、第1導電層312aの幅Wa'、Wa''は、
図5及び
図6方向を基準に、下部に行くほど増加することができる。シードエッチング液でシード層を選択的に除去する工程において、シード層の厚さ方向を基準に、シード層の上部側を下部側と比較すると、シード層の上部側はシードエッチング液によって比較的長い時間の間露出するようになる。したがって、シード層が選択的にエッチング除去されて形成された第1導電層312aの幅Wa'、Wa''は、下部に行くほど増加することができる。
【0063】
一方、
図4〜
図6を参照すると、本変形例の場合には、第1導電層312aの一側面は、支持基板200の一面と直交する断面において曲線状を有する。したがって、本変形例において、第1導電層312aの一側面が第2導電層312bの一側面よりも第2導電層312bの幅方向の中央Cにさらに近く配置されるとは、
図5及び
図6の方向を基準に、第1導電層312aの一側面の上部領域が第2導電層312bの一側面よりも第2導電層312bの幅方向の中央Cにさらに近く配置されることを意味することができる。また、本変形例において、第2導電層312bの一側面から第1導電層312aの一側面までの距離a'、a''は、第2導電層312bの一側面から第1導電層312aの一側面から上部領域までの距離を意味することができる。
【0064】
本発明の一実施例によるコイル部品の第2変形例は、第1導電層の一面側における第1導電層の一側面が、第2導電層の一側面の外側に配置される。すなわち、
図6を参照すると、支持基板200の一面と直交する断面を基準に、第1導電層312aの一側面の下部は第2導電層312bの一側面の外側に配置される。これにより、第1導電層312aの下部の幅は、第2導電層312bの幅よりも大きくなり得る。
【0065】
下記表1は、6以上のアスペクト比及び15μm以下のターン間離隔距離を設計寸法にして、コイルパターンの製造方法を異ならせた場合の不良有無、及び支持基板が損なわれたか否かを示すものである。下記実験例1〜3は、後述する方法だけを異ならせ、残りの条件(例えば、コイルパターンの総ターン数、シードパターンまたはシード層の材料及び厚さ、シードパターンまたはシード層の形成方法、電解めっき時のめっき電流など)は同様にして製造されたものである。コイルパターンの不良有無は、隣接するターンの電解めっき層間の離隔距離が15μm以下であるか否かを基準に判断した。支持基板が損なわれたか否かに対しては、支持基板の一面のうちコイルパターンのターンが形成された領域とコイルパターンのターンが形成されない領域との間の高さ差があるか否かを基準に判断した。
【0067】
実験例1は、支持基板の一面に平面スパイラル状のシードパターンを形成し、シードパターンのターンとターンとの間にめっきレジストの絶縁壁が配置されるようにめっきレジストを形成した後、電解めっきでめっきレジストの開口部を充電することによりコイルパターンを形成したものである。実験例2は、支持基板の一面全体にシード層を形成し、シード層の平面スパイラル状の開口部を有するめっきレジストを形成し、電解めっきで開口部を充填し、めっきレジスト及びシード層をレーザーでともに除去することにより、コイルパターンを形成したものである。実験例3は、実験例2と同様に、コイルパターンを形成し、且つ第1エッチング液を用いてめっきレジストを除去し、第2エッチング液を用いてシード層を選択的に除去したものである。
【0068】
実験例1の場合には、支持基板が損なわれていなかったが、コイルパターンに不良が発生した。これは、コイルパターンのターンとターンとの間の離隔距離が減少するにつれて、シードパターンのターンとターンとの間にめっきレジストを配置する工程でアライメントを合わせることが難しかったためである。
【0069】
実験例2の場合には、コイルパターンに不良が発生しなかったが、支持基板が損なわれた。これは、めっきレジスト及びシード層を除去する工程で、レーザーの照射量を調整することが難しかったためである。
【0070】
実験例1及び2とは異なり、本発明の一実施例によるコイル部品の製造方法である実験例3の場合には、コイルパターンに不良が発生せず、支持基板も損なわれなかった。
【0071】
以上、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、または削除などにより本発明を多様に修正及び変更させることができるものであり、これも本発明の権利範囲内に含まれると言える。