本発明の一実施形態による積層型電子部品は、本体の外表面のうち、電極層及び導電性樹脂層が配置されていない領域に配置される本体カバー部と、上記本体カバー部から外部電極の導電性樹脂層とめっき層の間に延長される延長部とを含むSi有機化合物層を含むことにより、曲げ強度及び耐湿信頼性を向上させることができる。
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで交互に積層される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記積層方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び前記第1面から前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第1内部電極と連結される第1電極層、前記第1電極層上に配置される第1導電性樹脂層、及び前記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含み、前記本体の第3面に配置される第1接続部と、前記第1接続部から前記第1面、前記第2面、前記第5面及び前記第6面上の一部まで延長される第1バンド部とを含む第1外部電極と、
前記第2内部電極と連結される第2電極層、前記第2電極層上に配置される第2導電性樹脂層、及び前記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含み、前記本体の第4面に配置される第2接続部と、前記第2接続部から前記第1面、前記第2面、前記第5面及び前記第6面上の一部まで延長される第2バンド部とを含む第2外部電極と、
前記本体の外表面のうち、前記第1電極層及び前記第2電極層と前記第1導電性樹脂層及び前記第2導電性樹脂層が配置されていない領域に配置される本体カバー部、前記本体カバー部から前記第1バンド部の第1導電性樹脂層と前記第1めっき層との間に延長されて配置される第1延長部、及び前記本体カバー部から前記第2バンド部の第2導電性樹脂層と前記第2めっき層との間に延長されて配置される第2延長部を含むSi有機化合物層と、を含む、積層型電子部品。
前記第1バンド部の前記第1電極層上における前記第1導電性樹脂層の厚さをTa、前記第1延長部の厚さをTbと定義するとき、Tb/Taは0.5以上0.9以下である、請求項1又は2に記載の積層型電子部品。
前記第1めっき層及び前記第2めっき層上にそれぞれ配置される第1追加めっき層及び第2追加めっき層をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
誘電体層、及び前記誘電体層を間に挟んで交互に積層される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記積層方向に互いに対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、互いに対向する第3面及び第4面、及び前記第1面から前記第4面と連結され、互いに対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第1内部電極と連結される第1電極層、前記第1電極層上に配置される第1導電性樹脂層、及び前記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層を含み、前記本体の第3面に配置される第1接続部と、前記第1接続部から前記第1面、前記第2面、前記第5面及び前記第6面上の一部まで延長される第1バンド部とを含む第1外部電極と、
前記第2内部電極と連結される第2電極層、前記第2電極層上に配置される第2導電性樹脂層、及び前記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層を含み、前記本体の第4面に配置される第2接続部と、前記第2接続部から前記第1、第2、第5及び第6面上の一部まで延長される第2バンド部とを含む第2外部電極と、
前記本体の外表面のうち、前記第1電極層及び前記第2電極層と前記第1導電性樹脂層及び前記第2導電性樹脂層が配置されていない領域に配置される本体カバー部、前記本体カバー部から前記第1導電性樹脂層と前記第1めっき層との間に延長されて配置される第1延長部、及び前記本体カバー部から前記第2導電性樹脂層と前記第2めっき層との間に延長されて配置される第2延長部を含むSi有機化合物層と、を含み、
前記第1延長部及び前記第2延長部はそれぞれ第1及び第2開口部を含む、積層型電子部品。
前記第1バンド部の前記第1電極層上における前記第1導電性樹脂層の厚さをTa、前記第1延長部の厚さをTbと定義するとき、Tb/Taは0.5以上0.9以下である、請求項8から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
前記第1めっき層及び前記第2めっき層上にそれぞれ配置される第1追加めっき層及び第2追加めっき層をさらに含む、請求項8から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0019】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、X方向は、第2方向、L方向又は長さ方向、Y方向は、第3方向、W方向又は幅方向、Z方向は、第1方向、積層方向、T方向又は厚さ方向と定義することができる。
【0021】
積層型電子部品
図1は本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図2は
図1のI−I'線に沿った断面図であり、
図3は本発明の一実施形態による誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図であり、
図4は
図2のP領域を拡大した図である。
【0022】
以下、
図1〜
図4を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111、及び上記誘電体層を間に挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極121、122を含み、上記積層方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面3、4、及び第1〜第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第1内部電極と連結される第1電極層131a、上記第1電極層上に配置される第1導電性樹脂層131b、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層131cを含み、上記本体の第3面に配置される第1接続部A1と、上記第1接続部から上記第1、第2、第5及び第6面上の一部まで延長される第1バンド部B1とを含む第1外部電極131と、上記第2内部電極と連結される第2電極層132a、上記第2電極層上に配置される第2導電性樹脂層132b、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層132cを含み、上記本体の第4面に配置される第2接続部A2と、上記第2接続部から上記第1、第2、第5及び第6面上の一部まで延長される第2バンド部B2とを含む第2外部電極と、上記本体の外表面のうち、上記第1及び第2電極層と第1及び第2導電性樹脂層が配置されていない領域に配置される本体カバー部143、上記本体カバー部から上記第1バンド部の第1導電性樹脂層と第1めっき層の間に延長されて配置される第1延長部141、及び上記本体カバー部から上記第2バンド部の第2導電性樹脂層と第2めっき層の間に延長されて配置される第2延長部142を含むSi有機化合物層140と、を含む。
【0024】
本体110は、誘電体層111と内部電極121、122が交互に積層されて形成されることができる。
【0025】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図面に示すように、本体110は、六面体状やこれと類似した形状からなることができる。また、本体110は、焼成過程で本体110に含まれるセラミック粉末の収縮により、完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0026】
本体110は、厚さ方向(Z方向)に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、長さ方向(X方向)に互いに対向する第3及び第4面3、4、及び第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、幅方向(Y方向)に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0027】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。
【0029】
上記誘電体層111を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0030】
本体110は、上記本体110の内部に配置され、上記誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部と、上記容量形成部の上部及び下部に形成される保護層112、113と、を含むことができる。
【0031】
上記容量形成部は、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層することで形成することができる。
【0032】
上記上部保護層112及び下部保護層113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的には物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0033】
上記上部保護層112及び下部保護層113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同一の材料を含むことができる。
【0034】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される。
【0035】
内部電極121、122は誘電体層を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。
【0036】
第1及び第2内部電極121、122は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0037】
図2を参照すると、第1内部電極121は、第4面4と離隔され、第3面3に露出し、第2内部電極122は、第3面3と離隔され、第4面4に露出することができる。本体の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0038】
すなわち、第1内部電極121は、第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は、第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結される。これにより、第1内部電極121は、第4面4から一定の距離離隔して形成され、第2内部電極122は、第3面3から一定の距離離隔して形成される。
【0039】
第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0040】
図3を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷された誘電体層111と、第2内部電極122が印刷された誘電体層111とを厚さ方向(Z方向)に交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0041】
第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム−銀(Pd−Ag)合金などの貴金属材料、及びニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質を含む導電性ペーストを用いて形成することができる。
【0042】
上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
外部電極131、132は、本体110に配置され、第1及び第2電極層131a、132a、第1及び第2導電性樹脂層131b、132b、及び第1及び第2めっき層131c、132cを含む。
【0044】
外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含む。
【0045】
第1外部電極131は、第1電極層131a、第1導電性樹脂層131b、及び第1めっき層131cを含み、第2外部電極132は、第2電極層132a、第2導電性樹脂層132b、及び第2めっき層132cを含むことができる。
【0046】
第1外部電極131をその配置位置に応じた領域に区分して説明すると、第1外部電極131は、本体の第3面3に配置される第1接続部A1と、第1接続部A1から第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6の一部まで延長されるバンド部B1と、を含む。
【0047】
同様に、第2外部電極132をその配置位置に応じた領域に区分して説明すると、第2外部電極132は、本体の第4面4に配置される第2接続部A2と、第2接続部A2から第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6の一部まで延長されるバンド部B2と、を含む。
【0048】
一方、第1及び第2電極層131a、132aは、金属などのように電気導電性を有するものであればいかなる物質を用いて形成してもよい。ここで、電気的特性や構造的安定性などを考慮して、具体的な物質を決定することができる。
【0049】
例えば、第1及び第2電極層131a、132aは、導電性金属とガラスを含むことができる。
【0050】
第1及び第2電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量を形成するために上記内部電極と電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された1つ以上であることができる。
【0051】
上記第1及び第2電極層131a、132aは、上記導電性金属粉末にガラスフリットを添加して設けられた導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0052】
第1及び第2電極層131a、132aが導電性金属とガラスを含む場合には、接続部A1、A2とバンド部B1、B2が接するコナー部の厚さが薄く形成されたり、又はバンド部B1、B2の先端と本体110の間の浮き現象が発生したりする可能性があるため、耐湿信頼性が特に問題になることがある。そのため、第1及び第2電極層131a、132aが導電性金属とガラスを含む場合、本発明による耐湿信頼性の向上効果がより効果的であり得る。
【0053】
また、第1及び第2電極層131a、132aは、原子層堆積(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層堆積(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いて形成することもできる。
【0054】
また、第1及び第2電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方法を用いて形成することもできる。
【0055】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属とベース樹脂を含むことができる。
【0056】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1及び第2電極層131a、132aと電気的に連結されるようにする役割を果たす。
【0057】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、第1及び第2電極層131a、132aと電気的に連結されることができる材料であれば特に制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群より選択された1つ以上を含むことができる。
【0058】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれる導電性金属は、球状粉末及びフレーク状粉末のうち1以上を含むことができる。すなわち、導電性金属は、フレーク状粉末のみからなくてもよく、又は球状粉末のみからなくてもよい。あるいは、フレーク状粉末と球状粉末が混合された形であることもできる。
【0059】
ここで、球状粉末は、完全な球形ではない形も含むことができる。一例として、長軸と短軸の長さの比(長軸/短軸)が1.45以下である形を含むことができる。
【0060】
フレーク状粉末は、長く平らな形を有する粉末を意味し、特に制限されるものではないが、例えば、長軸と短軸の長さの比(長軸/短軸)が1.95以上であることができる。
【0061】
上記球状粉末及びフレーク状粉末の長軸と短軸の長さは、積層型電子部品の幅Y方向の中央部で切断したX及びZ方向の断面(L−T断面)を走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)でスキャンして得られたイメージから測定することができる。
【0062】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性を確保し、衝撃吸収の役割を果たす。
【0063】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂は、接合性及び衝撃吸収性を有し、導電性金属粉末と混合してペーストを製造することができるものであれば特に制限されない。ベース樹脂は、例えば、エポキシ系樹脂を含むことができる。
【0064】
第1及び第2めっき層131c、132cは、実装特性を向上させる役割を果たす。また、第1及び第2めっき層131c、132cは、曲げ応力が発生したとき、ピールオフ(peel−off)されて曲げクラックを防止する役割を果たすことができる。
【0065】
第1めっき層131cは、Niめっき層又はSnめっき層であることができ、第2めっき層132cも、Niめっき層又はSnめっき層であることができる。
【0066】
また、第1及び第2めっき層131c、132c上にそれぞれ第1及び第2追加めっき層131d、132dがさらに配置されることができる。この場合、第1及び第2めっき層131c、132cはNiめっき層であり、第1及び第2追加めっき層131d、132dはSnめっき層であることができる。
【0067】
また、第1及び第2めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0068】
Si有機化合物層140は、本体の外表面のうち、第1及び第2電極層131a、132aと第1及び第2導電性樹脂層131b、132bが配置されていない領域に配置される本体カバー部143、上記本体カバー部143から上記第1バンド部B1の第1導電性樹脂層131bと第1めっき層131cの間に延長されて配置される第1延長部141、及び上記本体カバー部143から上記第2バンド部B2の第2導電性樹脂層132bと第2めっき層132cの間に延長されて配置される第2延長部142を含む。
【0069】
Si有機化合物層140は、積層型電子部品100が基板に実装された状態で、熱的/物理的衝撃によって基板が変形する場合に発生する応力が本体110に伝達されることを抑制するとともに、亀裂を防止する役割を果たす。
【0070】
また、Si有機化合物層140は、水分の浸透経路を遮断して耐湿信頼性を向上させる役割を果たす。
【0071】
第1及び第2導電性樹脂層131b、132bに含まれるベース樹脂も衝撃吸収の役割を一部果たすものの、第1導電性樹脂層131bと第2導電性樹脂層132bが絶縁されるように配置する必要があるため、その役割に限界が存在する。
【0072】
これに対し、本体カバー部143は、導電性金属を含まず、絶縁性であるため、本体の外表面のうち、第1及び第2電極層131a、132aが配置されていない領域に配置されて、より広い領域に配置されることにより、衝撃吸収及び応力伝播の抑制にも有効である。
【0073】
また、本体カバー部143は、本体110の微細な気孔又はクラックを満たすことにより、水分が本体の外表面を介して本体内部に浸透することを防止することができる。
【0074】
第1延長部141は、本体カバー部143から上記第1バンド部B1の第1導電性樹脂層131bと第1めっき層131cの間に延長されて配置されて、応力が本体110に伝達されることを抑制するとともに、亀裂を防止する役割を果たす。
【0075】
また、第1延長部141は、第1バンド部B1に配置された第1導電性樹脂層131bの先端と本体110の間の浮き現象が発生することを抑制することで、耐湿信頼性を向上させる役割を果たす。
【0076】
第2延長部142は、本体カバー部143から上記第2バンド部B2の第2導電性樹脂層132bと第2めっき層132cの間に延長されて配置されて、応力が本体110に伝達されることを抑制することで、亀裂を防止する役割を果たす。
【0077】
また、第2延長部142は、第2バンド部B2に配置された第2導電性樹脂層132bの先端と本体110との間の浮きが発生することを抑制するとともに、耐湿信頼性を向上させる役割を果たす。
【0078】
尚、Si有機化合物層140の延長部141、142は、第1及び第2めっき層131c、132cとの結合力が低いため、曲げ応力が発生したとき、 第1及び第2めっき層131c、132cのピールオフ(peel−off)を誘導することにより、曲げクラックを防止する役割を果たすことができる。
【0079】
但し、延長部141、142と第1及び第2めっき層131c、132cの間の結合力が低すぎる場合には、弱い曲げ応力にもピールオフ(peel−off)が発生し、曲げクラックを効果的に防止することができない場合が発生することがある。
【0080】
したがって、第1及び第2延長部141、142に開口部を形成し、第1及び第2めっき層131c、132cが開口部を介して第1及び第2導電性樹脂層131b、132bと接触するようにすることにより、所定の結合力を確保してより効果的に曲げクラックを防止することもできる。
【0081】
一方、Si有機化合物層140は、誘電体層と内部電極を含む本体110に第1及び第2電極層131a、132aと第1及び第2導電性樹脂層131b、132bを形成した後、本体110の露出した外表面、及び第1及び第2導電性樹脂層131b、132b上にSi有機化合物層を形成し、第1及び第2導電性樹脂層131b、132bの接続部A1、A2上に形成されたSi有機化合物層140を除去することによって形成することができる。
【0082】
Si有機化合物層140を除去する方法として、例えば、レーザー(laser)加工、機械研磨、乾式エッチング(dry etching)、湿式エッチング(wet etching)、テープ(Tape)保護層を用いたシャドー蒸着(Shadowing deposition)方法などを用いることができる。
【0083】
Si有機化合物層140は、アルコキシシラン(Alkoxy Silane)を含むことができる。
【0084】
これにより、Si有機化合物層140は、複数の炭化ケイ素結合構造を含むポリマー(polymer)の形を有し、疎水性(hydrophobicity)を有する。
【0085】
アルコキシシラン(Alkoxy Silane)は、水分の浸透及び汚染を防止し、いくつかの無機基質に浸透して硬化されて、製品を保護するとともに、耐久性を増加させる役割を果たす。また、アルコキシシラン(Alkoxy Silane)は、ヒドロキシ基(OH)と反応して強い化学結合が形成されて、耐久性を向上させることができる。
【0086】
また、エポキシ樹脂や無機化合物と比較したとき、エポキシ樹脂は、撥水効果がないため、水分の浸透を効果的に抑制することが難しく、硬化時に多量のCO
2ガスが発生するため、浮きの問題が発生する可能性がある。また、無機化合物には、本体の表面への塗布時に、ヒドロキシ基と反応することができる官能基がないため、本体表面に粘着されることが難しく、化学結合が行われないため、本発明への適用が困難となりうる。
【0087】
したがって、Si有機化合物層140がアルコキシシラン(Alkoxy Silane)を含むようにすることにより、微細な気孔やクラックを満たす効果をより向上させることができ、曲げ応力及び耐湿信頼性をさらに向上させることができる。
【0088】
第1バンド部B1の第1電極層131a上における第1導電性樹脂層131bの厚さをTa、第1延長部141の厚さをTbと定義するとき、Tb/Taは0.5以上0.9以下であることができる。
【0089】
図4は
図2のP領域を拡大した図である。
図4を参照して、第1バンド部B1の第1電極層131a上における第1導電性樹脂層131b、及び第1延長部141の厚さについて詳細に説明する。但し、第2バンド部B2の第2電極層132a上における第2導電性樹脂層132b、及び第2延長部142の厚さに対してもその説明が同様に適用することができる。
【0090】
第1バンド部B1の第1電極層131a上における第1導電性樹脂層131bの厚さTaに対する第1延長部141の厚さtbの比(Tb/Ta)を変更しながら、サンプルチップを製造した後、曲げ強度及びESR(等価直列抵抗、Equivalent series resistance)を評価してそれぞれ下記表1及び表2に記載した。
【0091】
曲げ強度は、圧電効果(ピエゾ効果)を介した曲げ強度測定法を用いており、基板に積層セラミックキャパシタのサンプルを実装した後、曲げ時に圧下を受ける中心部における圧下前と圧下後の距離差を6mmに設定して、サンプルチップにクラックが発生したか否かを観察し、全サンプルチップの数に対するクラックが発生したサンプルチップの数を記載したものである。
【0092】
また、ESR評価は、サンプルチップを−55℃で30分維持し、125℃まで昇温してから30分維持することを1サイクルにして500サイクルを適用した後、ESRが50mΩを超えたサンプルチップを不良と判断し、全サンプルチップの数に対するESRが不良であるサンプルチップの数を記載したものである。
【0094】
上記表1を参照すると、Tb/Taが0.3である試験番号1は、合計300個のうち3個のサンプルチップでクラックが発生した。
【0095】
これに対し、Tb/Taが0.5以上である試験番号2〜6は、クラックが発生したサンプルチップの数が0個であるため、曲げ強度に優れることが確認できる。
【0097】
上記表2を参照すると、Tb/Taが1.1である試験番号5は、合計1600個のうち5個のサンプルチップでESR不良が発生し、Tb/Taが1.3である試験番号6は、合計1600個のうち12個のサンプルチップでESR不良が発生した。
【0098】
これに対し、Tb/Taが0.9以下である試験番号1〜4は、ESR不良が発生したサンプルチップの数が0個であるため、ESR特性に優れることが確認できる。
【0099】
したがって、曲げ強度を向上させるとともに、優れたESR特性を確保するためには、第1バンド部B1の第1電極層131a上における第1導電性樹脂層131bの厚さTaに対する第1延長部141の厚さtbの比(Tb/Ta)が0.5以上0.9以下を満たすようにすることが好ましい。
【0100】
図5は本発明の他の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、
図6は
図5のII−II'線に沿った断面図であり、
図7は本発明の他の一実施形態による積層型電子部品の変形例を概略的に示す斜視図であり、
図8は
図7のIII−III'線に沿った断面図である。
【0101】
以下、
図5〜
図8を参照して、本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'及びその変形例100''について説明する。但し、重複する説明を避けるために、本発明の一実施形態による積層型電子部品100と共通する説明は省略する。
【0102】
本発明の他の一実施形態による積層型電子部品100'は、誘電体層111、及び上記誘電体層を間に挟んで交互に積層される第1及び第2内部電極121、122を含み、上記積層方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面3、4、及び第1〜第4面と連結され、互いに対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第1内部電極と連結される第1電極層131a、上記第1電極層上に配置される第1導電性樹脂層131b、及び上記第1導電性樹脂層上に配置される第1めっき層131cを含み、上記本体の第3面に配置される第1接続部C1と、上記第1接続部から上記第1、第2、第5及び第6面上の一部まで延長される第1バンド部B1とを含む第1外部電極131と、上記第2内部電極と連結される第2電極層132a、上記第2電極層上に配置される第2導電性樹脂層132b、及び上記第2導電性樹脂層上に配置される第2めっき層132cを含み、上記本体の第4面に配置される第2接続部C2と、上記第2接続部から上記第1、第2、第5及び第6面上の一部まで延長される第2バンド部B2とを含む第2外部電極と、上記本体の外表面のうち、上記第1及び第2電極層と第1及び第2導電性樹脂層が配置されていない領域に配置される本体カバー部143、上記本体カバー部から上記第1導電性樹脂層と第1めっき層の間に延長されて配置される第1延長部141'、及び上記本体カバー部から上記第2導電性樹脂層と第2めっき層の間に延長されて配置される第2延長部142'を含むSi有機化合物層140'と、を含み、且つ上記第1及び第2延長部141'、142'はそれぞれ第1及び第2開口部H1、H2を含む。
【0103】
第1めっき層131cは、第1開口部H1を介して上記第1導電性樹脂層131bと接触し、第2めっき層132cは、上記第2開口部H2を介して第2導電性樹脂層132bと接触することができる。すなわち、第1開口部H1には第1めっき層131cが満たされ、第2開口部H2には第2めっき層132cが満たされた形であることができる。
【0104】
一方、Si有機化合物層140'は、誘電体層と内部電極を含む本体110に第1及び第2電極層131a、132a及び第1及び第2導電性樹脂層131b、132bを形成した後、本体110の露出した外表面、及び第1及び第2導電性樹脂層131b、132b上にSi有機化合物層を形成し、第1及び第2導電性樹脂層131b、132b上に形成されたSi有機化合物層の一部を除去することにより、第1及び第2開口部H1、H2を形成することで形成することができる。
【0105】
開口部H1、H2が形成される領域を除去する方法として、例えば、レーザー(laser)加工、機械研磨、乾式エッチング(dry etching)、湿式エッチング(wet etching)、テープ(Tape)保護層を用いたシャドー蒸着(Shadowing deposition)方法などを用いることができる。
【0106】
このとき、第1開口部H1の面積は第1延長部141'の面積の20〜90%であり、第2開口部H2の面積は第2延長部142'の面積の20〜90%であることができる。
【0107】
第1開口部H1の面積が第1延長部141'の面積の20%未満の場合には、第1電極層131aと第1導電性樹脂層131bの間の電気的連結性が低下し、ESRが増加する可能性がある。これに対し、第1開口部H1の面積が第1延長部141'の面積の90%を超えると、Si有機化合物層140'の曲げ強度及び耐湿信頼性の向上効果が不十分であるおそれがある。
【0108】
第2開口部H2の面積が第2延長部142'の面積の20%未満の場合には、第2電極層132aと第2導電性樹脂層132bの間の電気的連結性が低下し、ESRが増加する可能性がある。これに対し、第2開口部H2の面積が第2延長部142'の面積の90%を超えると、Si有機化合物層140'の曲げ強度及び耐湿信頼性の向上効果が不十分であるおそれがある。
【0109】
一方、第1開口部H1は、上記第1電極層の第1バンド部B1及び第1接続部C1のうちいずれか以上に配置され、第2開口部H2は、上記第2バンド部B2及び第2接続部C2のいずれか以上に配置されることができる。
【0110】
図6に示すように、第1接続部141'は、第1開口部H1が第1接続部C1のみに配置され、第2連結部142'は、第2開口部H2が第2接続部C2のみに配置された形であることができる。
【0111】
また、
図8に示すように、第1連結部141''は、第1開口部H1が第1接続部C1及び第1バンド部B1の両方に配置され、第2連結部142''は、第2開口部H2が第2接続部C2及び第2バンド部B2の両方に配置された形であることができる。
【0112】
一方、開口部H1、H2の形及び個数は、特に限定されず、例えば、円状、四角状、楕円形、角が丸い四角状などの形を有することができ、不規則な形を有することもできる。
【0113】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。