【解決手段】金属製品の払出装置は、金型によって金属板から打ち抜かれて得られた金属製品を支持する支持部と、金属製品を搬出するように構成された搬出路と、支持部に支持されている金属製品を搬出路に押し出すように構成されたプッシャとを備える。搬出路の床部は、床面から上方に向けて突出する突出部とを含む。突出部は、搬出路の上流端部又は搬出路の中間部に配置されており、プッシャによって搬出路に押し出された金属製品が乗り越え可能に構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る実施形態の一例について、図面を参照しつつより詳細に説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
[積層鉄心の製造装置の構成]
まず、
図1及び
図2を参照して、積層鉄心の製造装置100について説明する。製造装置100は、帯状の金属板MS(電磁鋼板)から金属製品を製造するように構成されている。金属製品は、例えば、固定子積層鉄心、回転子積層鉄心などの積層鉄心1(
図2参照)であってもよい。製造装置100は、
図1に示されるように、アンコイラー110と、送出装置120と、打抜装置130と、コントローラCtr(制御部)とを備える。
【0014】
アンコイラー110は、コイル材111を回転自在に保持するように構成されている。コイル材111は、金属板MSがコイル状(渦巻状)に巻回されたものである。送出装置120は、金属板MSを上下から挟み込む一対のローラ121,122を含む。一対のローラ121,122は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて回転及び停止し、金属板MSを打抜装置130に向けて間欠的に順次送り出すように構成されている。
【0015】
打抜装置130は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。打抜装置130は、送出装置120によって間欠的に送り出される金属板MSを複数のパンチにより順次打ち抜き加工して、複数の打抜部材Wを形成するように構成されている。打抜装置130は、打ち抜き加工によって得られた複数の打抜部材Wを順次積層して積層鉄心1を製造するように構成されている。
【0016】
打抜装置130(金型)は、ベース131と、下型132と、ダイプレート133と、ストリッパ134と、上型135と、天板136と、プレス機137(駆動部)とを含む。
【0017】
ベース131は、床面上に設置されており、ベース131に載置された下型132を支持する。下型132は、下型132に載置されたダイプレート133を保持する。下型132は、
図2に示されるように、金属板MSから打ち抜かれた材料(例えば、打抜部材W、廃材等)が通過可能な排出孔132aを含む。排出孔132aは、下型132の所定の位置に設けられており、鉛直方向に沿って延びている。打抜部材Wが排出される排出孔132aには、後述する払出装置10が配置されている。
【0018】
ダイプレート133は、複数のパンチPと共に金属板MSをプレス加工するように構成されている。ダイプレート133は、複数のダイD(金型)を含む。複数のダイDはそれぞれ、各パンチPに対応する位置に配置されており、対応するパンチPが挿通可能なダイ孔Daを含む。
【0019】
ストリッパ134は、各パンチPで金属板MSを打ち抜く際に、金属板MSをダイプレート133との間で挟持するように構成されている。ストリッパ134は、各パンチPが金属板MSを加工する際に各パンチPに食いついた金属板MSを、各パンチPから引き剥がすように構成されている。上型135は、ストリッパ134の上方に位置している。上型135には、各パンチPの基端部が取り付けられている。
【0020】
天板136は、上型135の上方において上型135を保持している。プレス機137は、天板136の上方に位置している。プレス機137のピストンは、天板136に接続されており、コントローラCtrからの指示信号に基づいて動作する。プレス機137が動作すると、ピストンが伸縮して、ストリッパ134、上型135、天板136、各パンチPが全体的に上下動する。
【0021】
コントローラCtrは、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて、送出装置120、打抜装置130及び払出装置10をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、これらに当該指示信号をそれぞれ送信する。
【0022】
[払出装置の構成]
続いて、
図2〜
図4を参照して、払出装置10の構成について説明する。払出装置10は、打抜装置130によって形成された複数の打抜部材W(積層鉄心1)を排出孔132a内において支持して、打抜装置130の外部に払い出すように構成されている。払出装置10は、
図2及び
図3に示されるように、昇降シリンダ20(支持部)と、プッシャ30と、搬出路40とを含む。
【0023】
昇降シリンダ20は、支持台21(支持部)と、直動機構22(他の駆動部)とを含む。支持台21は、ダイDのダイ孔Daの直下に配置されている。支持台21は、パンチP及びダイDによって金属板MSから打ち抜かれた打抜部材Wを支持するように構成されている。
【0024】
直動機構22は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて、支持台21を鉛直方向に沿って直線的に動作させるように構成されている。直動機構22は、例えば、支持台21上に打抜部材Wが一枚ずつ積み重ねられるごとに支持台21を間欠的に下方に移動させるように構成されている。支持台21上において複数の打抜部材Wが所定枚数積層されることにより、積層鉄心1が形成される。直動機構22は、パンチP及びダイDによって金属板MSから打ち抜かれた打抜部材Wを支持するための上昇位置と、積層鉄心1を搬出路40に払い出すための下降位置との間で支持台21を昇降させるように構成されている。直動機構22は、例えば、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、電動アクチュエータ、電磁ソレノイドなどであってもよい。
【0025】
プッシャ30は、押出部材31と、直動機構32(駆動部)とを含む。押出部材31は、積層鉄心1を支持している支持台21が下降位置にあるときに、積層鉄心1の周面に当接して積層鉄心1を押し出すように構成されている。直動機構32は、コントローラCtrからの指示信号に基づいて、押出部材31を水平方向に沿って直線的に動作させるように構成されている。直動機構32は、例えば、油圧アクチュエータ、空圧アクチュエータ、電動アクチュエータ、電磁ソレノイドなどであってもよい。
【0026】
搬出路40は、排出孔132aの下部と連通しており、水平方向に沿って延びている。搬出路40は、下型132の一部で構成された天壁及び側壁と、下型132に取り付けられた板状の底壁41(底部)とで構成されている。積層鉄心1は、当該天壁、当該側壁及び底壁41で囲まれた空間内を通過可能である。
【0027】
底壁41は、
図2〜
図4に示されるように、床面Sから上方に向けて突出する突起42(突出部、傾斜部)を含む。突起42は、搬出路40の上流端部に配置されている。すなわち、突起42は、底壁41のうち昇降シリンダ20寄りの端部に配置されている。
【0028】
突起42は、下降位置にある支持台21からプッシャ30によって押し出された積層鉄心1が乗り越え可能に構成されている。突起42は、例えば、突出部42aと、傾斜部42bとを含んでいてもよい。
【0029】
突出部42aは、床面Sに対して階段状(ステップ状)を呈していてもよい。すなわち、突出部42aのうち搬出路40の下流端部側の側面(下流側側面)は、床面Sに対して交差するように延びていてもよい。床面Sと突出部42aの下流側側面とがなす角度は、90°程度であってもよいし、90°未満であってもよいし、90°以上であってもよい。すなわち、搬出路40の下流端部側に向かうにつれて突出部42aの高さが小さくなるように、突出部42aの下流側側面が傾斜していてもよい。
【0030】
突出部42aは、
図3及び
図4に例示されるように、搬出路40の幅方向に沿って延びていてもよい。突出部42aの下流側側面は、上方から見たときに積層鉄心1の外形に対応した形状を呈していてもよい。
図3及び
図4に例示されるように、積層鉄心1が円筒状を呈している場合には、突出部42aの下流側側面は、上方から見たときに、搬出路40の上流端部に向けて凹む円弧状を呈していてもよい。あるいは、突出部42aの下流側側面は、上方から見たときに直線状を呈していてもよい。
【0031】
傾斜部42bは、突出部42aよりも搬出路40の上流端部側に位置している。傾斜部42bは、
図2〜
図4に例示されるように、突出部42aと一体化されていてもよい。あるいは、傾斜部42bは、突出部42aと一体化されておらず、所定間隔をもって離間していてもよい。
【0032】
傾斜部42bは、搬出路40の上流端部から下流端部に向かうにつれて高さが高くなるように傾斜していてもよい。すなわち、傾斜部42bのうち搬出路40の上流端部側の側面は、床面Sに対して傾斜するように延びる傾斜面であってもよい。突出部42aの上面と当該傾斜面との交線(境界線)は、上方から見たときに積層鉄心1の外形に対応した形状を呈していてもよい。
図3及び
図4に例示されるように、積層鉄心1が円筒状を呈している場合には、当該交線は、上方から見たときに、搬出路40の下流端部に向けて凹む円弧状を呈していてもよい。あるいは、当該交線は、上方から見たときに直線状を呈していてもよい。傾斜部42bは、
図3及び
図4に例示されるように、搬出路40の幅方向に沿って延びていてもよい。
【0033】
[払出装置の動作]
続いて、
図2、
図5〜
図7を参照して、払出装置10の動作について説明する。まず、
図2に示されるように、コントローラCtrからの支持信号に基づいて、直動機構22が支持台21を制御する。例えば、パンチP及びダイDによって金属板MSから打ち抜かれた打抜部材Wが一枚ずつ支持台21上に積み重ねされるごとに、一枚の打抜部材Wの厚さのぶんだけ支持台21が間欠的に下方に降下するように、直動機構22が支持台21を制御する。これにより、支持台21上に積層鉄心1が形成される。
【0034】
続いて、
図5に示されるように、コントローラCtrからの支持信号に基づいて、直動機構22が支持台21を制御する。例えば、下降位置に至るまで支持台21が降下するように、直動機構22が支持台21を制御する。支持台21が下降位置にある場合、支持台21の上面は、床面Sよりも上方に位置していてもよい。あるいは、支持台21が下降位置にある場合、支持台21の上面は、床面Sと突起42の上面との間の高さに位置していてもよい。
【0035】
続いて、
図6及び
図7に示されるように、コントローラCtrからの支持信号に基づいて、直動機構32が押出部材31を制御する。例えば、支持台21上の積層鉄心1を押出部材31によって底壁41上に押し出すように、直動機構32が押出部材31を搬出路40に向けて進出動作させてもよい。例えば、積層鉄心1の全体が突起42よりも搬出路40の下流端部側に位置するまで積層鉄心1を押出部材31によって押し出すように、直動機構32が押出部材31を進出動作させてもよい。その後、押出部材31が初期位置に戻るように、直動機構32が押出部材31を退行動作させる。以上により、払出装置10による一連の動作が完了する。
【0036】
[作用]
以上の例によれば、突起42を乗り越えるまでプッシャ30によって押し出された積層鉄心1は、突起42の存在により、昇降シリンダ20側に戻り難くなる。そのため、積層鉄心1の搬出路40からの後戻りを抑制することが可能となる。
【0037】
以上の例によれば、突起42は、底壁41の幅方向に沿って延びうる。この場合、突起42と積層鉄心1との接触面積がより広くなるので、積層鉄心1が安定した姿勢のまま突起42を乗り越えることが可能となる。
【0038】
以上の例によれば、搬出路40の上流端部から搬出路の下流端部に向かうにつれて高さが高くなるように傾斜する傾斜部42bが、突出部42aよりも搬出路40の上流端部側に配されうる。この場合、傾斜部42bの存在により、積層鉄心1が突起42をより容易に乗り越えることが可能となる。
【0039】
以上の例によれば、上方から見たときの突出部42aの上面と傾斜部42bの傾斜面との交線は、下流端部側に向けて窪みうる。この場合、積層鉄心1が突出部42aを乗り越える際に、傾斜部42bの窪みに沿って積層鉄心1が移動しやすくなる。そのため、積層鉄心1が突出部42aをよりスムーズに乗り越えることが可能となる。
【0040】
以上の例によれば、直動機構32は、積層鉄心1の全体が突起42よりも搬出路40の下流端部側に位置するまで押出部材31を進出動作させうる。この場合、積層鉄心1がプッシャ30によって強制的に突起42を通過するので、積層鉄心1の搬出路40からの後戻りをより効果的に抑制することが可能となる。
【0041】
以上の例によれば、突起42は、搬出路40の上流端部に配置されうる。この場合、プッシャ30の進出量(ストローク量)が小さくても積層鉄心1が突起42を乗り越えることが可能となる。
【0042】
以上の例によれば、支持台21は、直動機構22によって間欠的に下方に移動しうる。この場合、金属板MSから打抜部材Wが打ち抜かれる際、打抜部材WがパンチPと支持台21との間で常に挟持される。そのため、打抜部材Wにおける反りの発生を抑制することが可能となる。
【0043】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0044】
積層鉄心1が底壁41から昇降シリンダ20側に後戻りすることを抑制できれば、突起42の形状は特に限定されない。突起42は、例えば、少なくとも一本の突出ピンで構成されていてもよい。突起42が複数の突出ピンで構成されている場合、当該複数の突出ピンは、底壁41の幅方向において直線に沿って並んでいてもよいし、曲線に沿って並んでいてもよい。
【0045】
突起42は、搬出路40の下流端部以外の場所に配置されていてもよい。例えば、突起42は、搬出路40の上流端部と下流端部との間の中間部に配置されていてもよい。突起42が上流端部に配置されている場合には、突起42は、傾斜部42bを含んでいなくてもよい。あるいは、突起42が中間部に配置されている場合には、突起42は、傾斜部42bを含んでいてもよい。
【0046】
積層鉄心1が突起42を超えることができれば、直動機構32は、押出部材31が突起42と同程度の位置に至るまで押出部材31を進出動作させてもよいし、押出部材31が突起42の手前の位置まで押出部材31を進出動作させてもよい。積層鉄心1が突起42を超えることができれば、直動機構32は、押出部材31の先端面(積層鉄心1と当接する主面)の少なくとも一部が突起42よりも搬出路40の下流端部側に至るまで、押出部材31を進出動作させてもよい。押出部材31の先端面は、平面状を呈していてもよいし、曲面状を呈していてもよい。
【0047】
支持台21は、上下動可能とされていなくてもよい。
【0048】
払出装置10は、積層鉄心1以外の金属製品(例えば、非積層型の回転子鉄心、非積層型の固定子鉄心)を払い出すように構成されていてもよい。積層鉄心1が固定子積層鉄心である場合、複数の鉄心片が組み合わされてなる分割型の鉄心ブロックであってもよいし、非分割型の鉄心ブロックであってもよい。非分割型の固定子積層鉄心は、円環状を呈する打抜部材Wが複数積層されたものであってもよい。あるいは、非分割型の固定子積層鉄心は、一つのヨークに複数のティースが設けられており、ティース間において折り曲げられることによって環状となる折り曲げ型の打抜部材が複数積層されたものであってもよい。
【0049】
図8に示されるように、搬出路40は、突起42に代えて、少なくとも一つの開閉機構43(開閉部)を含んでいてもよい。搬出路40は、一対の開閉機構43を含んでいてもよい。この場合、各開閉機構43はそれぞれ、搬出路40の各側壁に配置されていてもよい。
【0050】
開閉機構43は、可動部材43aと、付勢部材43bとを含んでいる。可動部材43aは、例えば、搬出路40の側壁に設けられた凹部132b内に配置されていてもよい。可動部材43aは、例えば、平板状を呈していてもよいし、棒状を呈していてもよい。可動部材43aのうち上流側の端部は、搬出路40に対して回転可能に取り付けられている。
【0051】
付勢部材43bは、バネ等の弾性変形可能な部材である。付勢部材43bは、可動部材43aのうち下流側の端部と搬出路40(凹部132b)の側壁との間に取り付けられている。すなわち、付勢部材43bは、可動部材43aのうち下流側の端部を搬出路40の内側に向けて付勢している。
【0052】
プッシャ30によって積層鉄心1が搬出路40に押し出されると、積層鉄心1が可動部材43aを押しのけながら下流側に進行する。このとき、可動部材43aが凹部132b内に引っ込む。そのため、開閉機構43は、積層鉄心1の通過を許容する開状態となる。積層鉄心1が可動部材43aよりも下流側にまで到達すると、付勢部材43bの付勢力により、可動部材43aが再び搬出路40の内側に迫り出す。そのため、開閉機構43は、下流側から上流側への積層鉄心1の移動を阻害する閉状態となる。
【0053】
図8に示される例によれば、開閉機構43を通過した積層鉄心1は、開閉機構43の存在により、昇降シリンダ20側に戻り難くなる。そのため、積層鉄心1の搬出路40からの後戻りを抑制することが可能となる。
【0054】
図8に示される例において、可動部材43aは、付勢部材43bによって自律的に開状態と閉状態との間で変動しうる。そのため、積層鉄心1が開閉機構43を通過した後は、付勢部材43bによって開閉機構43が自動的に閉状態とされるので、積層鉄心1が昇降シリンダ20側に戻り難くなる。したがって、動力源を用いて開閉機構43を動作させることなく、積層鉄心1の搬出路40からの後戻りを抑制することが可能となる。
【0055】
図8に示される例において、直動機構32は、積層鉄心1の全体が開閉機構43(可動部材43a)よりも搬出路40の下流端部側に位置するまで押出部材31を進出動作させうる。この場合、積層鉄心1がプッシャ30によって強制的に開閉機構43を通過するので、積層鉄心1の搬出路40からの後戻りをより効果的に抑制することが可能となる。
【0056】
図8に示される例において、開閉機構43は、搬出路40の上流端部に配置されうる。この場合、プッシャ30の進出量(ストローク量)が小さくても積層鉄心1が開閉機構43を通過することが可能となる。
【0057】
図8に示される例においても、開閉機構43は、搬出路40の下流端部以外の場所に配置されていてもよい。
【0058】
図8に示される例においても、積層鉄心1が開閉機構43を通過することができれば、直動機構32は、押出部材31が開閉機構43と同程度の位置に至るまで押出部材31を進出動作させてもよいし、押出部材31が開閉機構43の手前の位置まで押出部材31を進出動作させてもよい。積層鉄心1が突起42を超えることができれば、直動機構32は、押出部材31の先端面の少なくとも一部が開閉機構43よりも搬出路40の下流端部側に至るまで、押出部材31を進出動作させてもよい。
【0059】
図8に示される例において、開閉機構43は、付勢部材43bに代えて、可動部材43aを搬出路40に向けて進退させるように構成された駆動源を含んでいてもよい。
【0060】
図8に示される例において、可動部材43aは、底壁41から搬出路40内に突出するように移動可能に構成されていてもよいし、搬出路40の天壁から搬出路40内に突出するように移動可能に構成されていてもよい。
【0061】
[他の例]
例1.本開示の一つの例に係る金属製品の払出装置(10)は、金型(130,D)によって金属板(MS)から打ち抜かれて得られた金属製品(1)を支持する支持部(20)と、金属製品(1)を搬出するように構成された搬出路(40)と、支持部(20)に支持されている金属製品(1)を搬出路に押し出すように構成されたプッシャ(30)とを備える。搬出路(40)の床部(41)は、床面(S)から上方に向けて突出する突出部(42)とを含む。突出部(42)は、搬出路(40)の上流端部又は搬出路の中間部に配置されており、プッシャ(30)によって搬出路(40)に押し出された金属製品(1)が乗り越え可能に構成されている。この場合、突出部を乗り越えるまでプッシャによって押し出された金属製品は、突出部の存在により、支持部側に戻り難くなる。そのため、金属製品の搬出路からの後戻りを抑制することが可能となる。
【0062】
例2.例1の装置(10)において、突出部(42,42a)は床部の幅方向に沿って延びていてもよい。この場合、突出部と金属製品との接触面積がより広くなるので、金属製品が安定した姿勢のまま突出部を乗り越えることが可能となる。
【0063】
例3.例1又は例2の装置(10)において、床部(41)は、上流端部から搬出路(40)の下流端部に向かうにつれて高さが高くなるように傾斜する傾斜部(42b)を含み、傾斜部(42b)は、突出部(42a)よりも上流端部側に配置されていてもよい。この場合、傾斜部の存在により、金属製品が突出部をより容易に乗り越えることが可能となる。
【0064】
例4.例3の装置(10)において、突出部(42a)及び傾斜部(42b)は一体的に接続されており、上方から見たときの突出部(42a)と傾斜部(42b)との境界線は、下流端部側に向けて窪んでいてもよい。この場合、金属製品が突出部を乗り越える際に、傾斜部の窪みに沿って金属製品が移動しやすくなる。そのため、金属製品が突出部をよりスムーズに乗り越えることが可能となる。
【0065】
例5.例1〜例4のいずれかの装置(10)において、プッシャ(30)は、金属製品(1)の周面に当接する押出部材(31)と、金属製品(1)の全体が突出部(42)よりも搬出路(40)の下流端部側に位置するまで押出部材(31)を進出動作させるように構成された駆動部(32)とを含んでいてもよい。この場合、金属製品がプッシャによって強制的に突出部を通過するので、金属製品の搬出路からの後戻りをより効果的に抑制することが可能となる。
【0066】
例6.例1〜例5のいずれかの装置(10)において、突出部(42)は上流端部に配置されていてもよい。この場合、プッシャの進出量(ストローク量)が小さくても金属製品が突出部を乗り越えることが可能となる。
【0067】
例7.本開示の他の例に係る金属製品の払出装置(10)は、金型(130,D)によって金属板MS)から打ち抜かれて得られた金属製品(1)を支持する支持部(20)と、金属製品(1)を搬出するように構成された搬出路(40)と、支持部(20)に支持されている金属製品(1)を搬出路(40)に押し出すように構成されたプッシャ(30)とを備える。搬出路(40)は、搬出路(40)内に迫り出して金属製品(1)の通過を阻害する閉状態と、搬出路(40)から引っ込んで金属製品(1)の通過を許容する開状態との間で変動可能に構成された開閉部(43)を含む。開閉部(43)は、搬出路(40)の上流端部又は搬出路(40)の中間部に配置されている。この場合、開閉部が開状態にあるときに金属製品が開閉部を通過するようにプッシャで金属製品を押し出し、続いて、開閉部が閉状態となることにより、開閉部を通過した当該金属製品は、開閉部の存在により、支持部側に戻り難くなる。そのため、金属製品の搬出路からの後戻りを抑制することが可能となる。
【0068】
例8.例7の装置(10)において、開閉部(43)は、閉状態と開状態との間で移動可能に構成された可動部材(43a)と、可動部材(43a)を搬出路(40)の内側に向けて付勢するように構成された付勢部材(43b)とを含んでいてもよい。この場合、付勢部材によって開閉部が自律的に開状態と閉状態との間で変動する。そのため、プッシャが金属製品を開閉部に向けて押し出すと、金属製品が開閉部を押しのけながら開閉部を通過する。金属製品が開閉部を通過した後は、付勢部材によって開閉部が閉状態とされるので、金属製品が支持部側に戻り難くなる。したがって、動力源を用いて開閉部を動作させることなく、金属製品の搬出路からの後戻りを抑制することが可能となる。
【0069】
例9.例7又は例8の装置(10)において、プッシャ(30)は、金属製品(1)の周面に当接する押出部材(31)と、金属製品(1)の全体が開閉部(43)よりも搬出路(40)の下流端部側に位置するまで押出部材(31)を進出動作させるように構成された駆動部(32)とを含んでいてもよい。この場合、例4と同様の作用効果が得られる。
【0070】
例10.例7〜例9のいずれかの装置(10)において、開閉部(43)は上流端部に配置されていてもよい。この場合、例5と同様の作用効果が得られる。
【0071】
例11.例1〜例10のいずれかの装置(10)は、金属板(MS)から打ち抜かれた打抜部材(W)が支持部(20,21)に積み重ねられるごとに支持部(20,21)を間欠的に下方に移動させるように構成された他の駆動部(22)をさらに備えていてもよい。この場合、金属板から打抜部材が打ち抜かれる際、打抜部材が金型のパンチと支持部との間で常に挟持される。そのため、打抜部材における反りの発生を抑制することが可能となる。
【0072】
例12.本開示の他の例に係る金属製品の製造方法は、金型によって金属板を打ち抜くことによって金属製品を支持部上に形成することと、搬出路の床面から上方に向けて突出する突出部であって、搬出路の上流端部又は搬出路の中間部に配置された突出部を、金属製品が乗り越えるように、支持部に支持されている金属製品をプッシャによって支持部から搬出路に押し出すこととを含む。この場合、例1と同様の作用効果が得られる。
【0073】
例13.本開示の他の例に係る金属製品の製造方法は、金型によって金属板を打ち抜くことによって金属製品を支持部上に形成することと、搬出路内に迫り出して金属製品の通過を阻害する閉状態と、搬出路から引っ込んで金属製品の通過を許容する開状態との間で変動可能に構成された開閉部であって、搬出路の上流端部又は搬出路の中間部に配置された開閉部を、金属製品が通過するように、支持部に支持されている金属製品をプッシャによって支持部から搬出路に押し出すこととを含む。この場合、例6と同様の作用効果が得られる。