【解決手段】光半導体装置は、半導体レーザチップを搭載する主面を有する誘電体基板と、主面上に設けられたグランドパターンと、グランドパターンと対向する対向辺を有し主面上に設けられた実装パターンと、側辺が、対向辺の延長上の領域から離間して配置された抵抗体と、対向辺の延長上の領域に位置し、グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンと、実装パターン上に配置された容量素子とを備える。
前記抵抗体の一端は前記実装パターンと電気的に接続され、前記抵抗体の他端は、前記実装パターンより幅が狭く前記グランドパターンから延長された突出部と電気的に接続されてなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光半導体装置。
前記突出部および前記抵抗体を挟んで前記グランドパターンと対向して配置され、前記グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンを備える、請求項6に記載の光半導体装置。
前記突出部および前記抵抗体が配置される領域を挟んで前記グランドパターンと対向して配置され、前記グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンを備える、請求項11に記載のキャリア。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、実施形態の内容を列記して説明する。本開示の一実施形態に係る第1の光半導体装置は、半導体レーザチップと、半導体レーザチップを搭載する主面を有する誘電体基板と、主面上に設けられたグランドパターンと、グランドパターンと対向する対向辺を有し主面上に設けられた実装パターンと、側辺が、対向辺の延長上の領域から離間して配置された抵抗体と、対向辺の延長上の領域に位置し、グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンと、実装パターン上に配置された容量素子と、を備える。
【0013】
本開示の一実施形態に係る第2の光半導体装置は、半導体レーザチップと、半導体レーザチップを搭載する主面を有する誘電体基板と、主面上に設けられたグランドパターンと、主領域と主領域より幅が狭い突出部とを有し、主領域のグランドパターンと対向する対向辺の延長上に突出部の側辺を有し、主面上に設けられた実装パターンと、側辺がグランドパターンと対向するとともに、突出部の延長上に配置された抵抗体と、実装パターンの主領域上に配置された容量素子と、を備える。
【0014】
本開示の一実施形態に係る第1のキャリアは、半導体レーザチップを搭載する主面を有する誘電体基板と、主面上に設けられたグランドパターンと、容量素子が配置される上面を有し、グランドパターンと対向する対向辺を有し主面上に設けられた実装パターンと、実装パターンと接続される抵抗体が配置される領域と、対向辺の延長上の領域に位置し、グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンと、を備える。
【0015】
本開示の一実施形態に係る第2のキャリアは、半導体レーザチップを搭載する主面を有する誘電体基板と、主面上に設けられたグランドパターンと、容量素子が配置される上面を有する主領域と主領域より幅が狭い突出部とを有し、主領域のグランドパターンと対向する対向辺の延長上に突出部の側辺を有し、主面上に設けられた実装パターンと、突出部の延長上であって抵抗体が配置される領域と、を備える。
【0016】
これらの光半導体装置及びキャリアでは、誘電体基板の主面上に半導体レーザチップが搭載され、半導体レーザチップには高周波の駆動信号が提供される。更に、この高周波の信号経路を終端するため、誘電体基板の主面上には容量素子及び抵抗体が設けられる。
【0017】
このような光半導体装置及びキャリアにおいて、容量素子に接続される実装パターン及び抵抗体と、グランドパターンとの隙間の間隔がEO特性に大きく影響することを本発明者は見出した。すなわち、実装パターン及び抵抗体とグランドパターンとの隙間が部分的に大きく空いていると、当該部分に生じる浮遊容量に起因する共振によって、EO特性が部分的に落ち込む(不連続になる)。これにより、EO特性の平坦性が損なわれてしまう。そこで、上記の光半導体装置及びキャリアでは、抵抗体が実装パターンの対向辺の延長上の領域から離間して配置され、グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンが、実装パターンの対向辺の延長上の領域に配置されている。又は、実装パターンが、主領域と主領域より幅が狭い突出部とを有し、突出部の側辺が、主領域のグランドパターンと対向する対向辺の延長上にあり、抵抗体は、突出部の延長上に配置され、その側辺がグランドパターンと対向している。これにより、実装パターン及び抵抗体とグランドパターンとの隙間が小さくなるので、EO特性の落ち込みを低減し、不連続点を低減してEO特性をより平坦に近づけることができる。
【0018】
上記第1の光半導体装置において、延長グランドパターンは、抵抗体を挟んでその両側に配置されてもよい。同様に、上記第1のキャリアにおいて、延長グランドパターンは、抵抗体が配置される領域を挟んでその両側に配置されてもよい。
【0019】
上記第1の光半導体装置は、抵抗体の両側に位置する延長グランドパターンの間を接続するボンディングワイヤを更に備えてもよい。
【0020】
上記第1の光半導体装置において、実装パターンと抵抗体との間には、実装パターンより幅が狭い突出部が配置されてもよい。同様に、上記第1のキャリアにおいて、実装パターンと抵抗体が配置される領域との間には、実装パターンより幅が狭い突出部が配置されてもよい。
【0021】
上記第1の光半導体装置において、抵抗体の一端は実装パターンと電気的に接続され、抵抗体の他端は、実装パターンより幅が狭くグランドパターンから延長された突出部と電気的に接続されてもよい。
【0022】
上記第2の光半導体装置及び上記第2のキャリアは、突出部および抵抗体を挟んでグランドパターンと対向して配置され、グランドパターンと電気的に接続された延長グランドパターンを備えてもよい。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光半導体装置及びキャリアの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、本開示の一実施形態に係る光半導体装置1Aの構成を示す平面図である。本実施形態の光半導体装置1Aは、光通信システムの光送信器に搭載されるものである。
図1に示されるように、光半導体装置1Aは、誘電体基板10、コプレーナ線路11、グランドパターン13、バイアスパターン14、実装パターン15、容量素子16及び19、薄膜抵抗体(Thin Film Resistor:TFR)17、ボンディングワイヤ18a〜18d、及び半導体レーザチップ20を備える。このうち、誘電体基板10、コプレーナ線路11、グランドパターン13、バイアスパターン14、及び実装パターン15は、本実施形態のキャリア2Aを構成する。
【0025】
半導体レーザチップ20は、レーザダイオードと光変調器とが共通基板上に集積されたモノリシック構造を有する。半導体レーザチップ20は、レーザダイオードにバイアス電流を供給するためのアノード電極に接続されたパッド21と、光変調器に駆動電流を供給するためのアノード電極に接続されたパッド22とを有する。これらのパッド21,22は、例えばAuメッキによって形成される。
【0026】
誘電体基板10は、四角形の平板状(基板状)の部材であって、主面10a、互いに対向する一対の側面10c及び10d、並びに互いに対向する一対の端面10e及び10fを有する。一対の側面10c及び10dは、第1の方向(以下、縦方向という)に沿ってそれぞれ延びており、縦方向と交差する第2の方向(以下、横方向という)に並んで配置されている。一対の端面10e及び10fは、側面10cと側面10dとを繋ぐように横方向に沿ってそれぞれ延びており、縦方向に並んで配置されている。誘電体基板10は、半導体レーザチップ20を主面10a上の端面10e寄りの位置に搭載する。誘電体基板10は、例えば窒化アルミニウム(AlN)といった誘電体からなる。誘電体基板10の厚さは0.3mm以上であり、一実施例では0.45mmである。誘電体基板10の横方向の寸法は例えば1.0mmであり、誘電体基板10の縦方向の寸法は例えば2.0mmである。
【0027】
コプレーナ線路11は、伝送線路の例である。なお、本実施形態における伝送線路の形態はコプレーナ線路に限られず、他に様々な線路形態を採用することができる。コプレーナ線路11は、信号線路12及びグランドパターン13を含んで構成される。信号線路12は、主面10a上において、端面10f寄りの位置から端面10e寄りの位置にわたって縦方向に延びる導電性金属膜である。端面10f寄りの部分はワイヤボンディングのためのパッド12aとなっており、このパッド12aには、図示しないパッケージのリード端子に電気的に接続されるためのボンディングワイヤの一端が接合される。また、他方の端面10e寄りの部分はワイヤボンディングのためのパッド12bとなっており、このパッド12bと半導体レーザチップ20のパッド22とは、ボンディングワイヤ18aを介して電気的に接続される。
【0028】
縦方向における信号線路12の中心より端面10e側の部分(パッド12bを含む)は、半導体レーザチップ20と側面10cとの間に配置されている。また、縦方向における信号線路12の中心より端面10f側の部分(パッド12aを含む)は、側面10cから僅かに離れているが、側面10dからの距離よりも側面10cからの距離の方が短い。従って、全体的に、信号線路12は一方の側面10cに近い領域に偏って設けられている。
【0029】
グランドパターン13は、主面10a上において、横方向における信号線路12の両側に均一な間隔をあけて設けられた導電性金属膜である。本実施形態では、グランドパターン13は、信号線路12、バイアスパターン14、及び実装パターン15の形成領域を除く主面10a上のほぼ全域に設けられている。信号線路12に対して側面10d側に位置するグランドパターン13には、半導体レーザチップ20のための第1搭載領域、及び容量素子19のための第2搭載領域が画定されている。半導体レーザチップ20はグランドパターン13の第1搭載領域上に実装され、半導体レーザチップ20の裏面電極(カソード)がグランドパターン13と導電接続される。容量素子19はグランドパターン13の第2搭載領域上に実装され、容量素子19の裏面電極がグランドパターン13と導電接続される。信号線路12の両側に位置するグランドパターン13のそれぞれには、図示しないパッケージのグランド用リード端子に電気的に接続されるためのボンディングワイヤの一端が接合される。
【0030】
バイアスパターン14は、主面10a上において、側面10d寄り且つ端面10f寄りの位置に設けられた導電性金属膜である。バイアスパターン14と容量素子19の表面電極とは、ボンディングワイヤ18cを介して電気的に接続される。容量素子19の表面電極と半導体レーザチップ20のパッド21とは、ボンディングワイヤ18bを介して電気的に接続される。なお、バイアスパターン14には、図示しないパッケージの電源用リード端子に電気的に接続されるためのボンディングワイヤの一端が接合される。半導体レーザチップ20のパッド21には、バイアスパターン14、ボンディングワイヤ18b,18cを介して、バイアス電流が供給される。容量素子19は、バイアス電流のノイズを低減するためのバイパスコンデンサとして機能する。容量素子19の容量値は、例えば2nFである。
【0031】
実装パターン15、容量素子16、及び薄膜抵抗体17は、高周波信号の伝送経路を終端するためのインピーダンス整合回路を構成する。実装パターン15は、主面10a上において、端面10e寄り且つ側面10d寄りの位置に設けられた導電性金属膜である。実装パターン15は、信号線路12に対して側面10d側に位置するグランドパターン13と隣り合って設けられている。なお、2つのパターンが互いに隣り合って設けられているとは、それらのパターンの間に他のパターンが設けられておらず、誘電体または空気を介して互いの縁が対向している状態をいう。
【0032】
実装パターン15は、主領域15a及び突出部15bを含む。主領域15aは、長方形状または正方形状といった平面形状を有し、容量素子16を搭載する上面を有する。従って、主領域15aの面積は容量素子16の裏面面積よりも大きい。主領域15aの辺15cは端面10eに沿って延在しており、主領域15aの別の辺15dは側面10dに沿って延在している。主領域15aの辺15cと対向する辺15e、及び辺15dと対向する辺15fは、隙間を介してグランドパターン13と対向し、グランドパターン13に沿って延在している。なお、辺15fは、本開示においてグランドパターン13と対向する対向辺である。突出部15bは、薄膜抵抗体17を介してグランドパターン13と電気的に接続される部分であって、実装パターン15の一部が突出されてなる。本実施形態の突出部15bは、主領域15aの辺15eの中央部から、薄膜抵抗体17に向けて縦方向に突出している。突出部15bの一対の側辺15g,15hは、共に縦方向に延在している。横方向における突出部15bの幅は、同方向における主領域15aの幅よりも狭い。
【0033】
薄膜抵抗体17は、主面10a上に成膜された膜状の抵抗体である。薄膜抵抗体17の構成材料は例えば窒化タンタル(TaN)である。薄膜抵抗体17の抵抗値は例えば50Ωである。薄膜抵抗体17は、縦方向に延在し、突出部15bとグランドパターン13との間に設けられている。薄膜抵抗体17の一端は、突出部15bと接触することにより突出部15bと電気的に接続されている。薄膜抵抗体17の他端は、グランドパターン13と接触することによりグランドパターン13と電気的に接続されている。より具体的には、薄膜抵抗体17は正方形状または長方形状といった平面形状を有する。薄膜抵抗体17の一辺は、横方向に延びており突出部15bと接している。薄膜抵抗体17の該一辺と対向する別の一辺は、横方向に延びておりグランドパターン13と接している。縦方向に延びる薄膜抵抗体17の一対の側辺17a,17bは、辺15fの延長上の領域から離間して配置され、隙間を介して延長グランドパターン13a,13bと対向し、延長グランドパターン13a,13bに沿って延在している。一例では、平面視において側辺17aと側辺15gとは一直線上に位置し、側辺17bと側辺15hとは一直線上に位置する。
【0034】
キャリア2Aは、一対の延長グランドパターン13a,13bを更に備える。延長グランドパターン13a,13bは、グランドパターン13と電気的に接続されている。本実施形態では、延長グランドパターン13a,13bは、グランドパターン13と一体的に設けられている。延長グランドパターン13bは辺15fの延長上の領域に位置し、延長グランドパターン13a,13bは、横方向において突出部15b及び薄膜抵抗体17を挟んでその両側に位置する。これにより、突出部15bと延長グランドパターン13a,13bとがコプレーナ線路を構成し、薄膜抵抗体17と延長グランドパターン13a,13bとがコプレーナ線路を構成する。具体的には、延長グランドパターン13aは正方形状または長方形状といった平面形状を有する。延長グランドパターン13aの一辺は、突出部15bの側辺15g及び薄膜抵抗体17の側辺17aと対向しており、側辺15g,17aに沿って延在している。また、延長グランドパターン13aの別の一辺は、主領域15aの辺15eと対向しており、辺15eに沿って延在している。延長グランドパターン13bの一辺は、突出部15bの側辺15h及び薄膜抵抗体17の側辺17bと対向しており、側辺15h,17bに沿って延在している。また、延長グランドパターン13bの別の一辺は、主領域15aの辺15eと対向しており、辺15eに沿って延在している。
【0035】
ボンディングワイヤ18dは、横方向に延在して突出部15bを跨いでおり、一対の延長グランドパターン13a,13bの間を電気的に接続する。従って、ボンディングワイヤ18dの電位はグランドパターン13と同電位となる。なお、
図2に示すように、ボンディングワイヤ18dは適宜省かれてもよい。
【0036】
実装パターン15とグランドパターン13との隙間の幅Waは、薄膜抵抗体17が設けられた領域を除いて、当該隙間のいずれの箇所においても共振周波数であるλ/4(λは共振周波数の波長)以下であり、具体的には20μm以上60μm以下である。すなわち、主領域15aの辺15fとグランドパターン13との隙間の幅、及び主領域15aの辺15eとグランドパターン13との隙間の幅は、いずれも20μm以上60μm以下である。突出部15bの側辺15gとグランドパターン13との隙間の幅、及び突出部15bの側辺15hとグランドパターン13との隙間の幅もまた、いずれも20μm以上60μm以下である。一例では、これらの幅は全て一定の大きさに設定される。一実施例では、隙間の幅は40μmである。また、
図1、
図2において、突出部15b及び薄膜抵抗体17の各々と延長グランドパターン13a(13b)との隙間の幅が20μm以上60μm以下である限りにおいて、突出部15b及び薄膜抵抗体17の各横幅(側辺と交差する方向の幅)は互いに異なってもよい。例えば、突出部15bの横幅が、薄膜抵抗体17の横幅より大きくてもよく、或いは小さくてもよい。さらには、延長グランドパターン13bのみ形成されていてもよい。
【0037】
また、薄膜抵抗体17とグランドパターン13との隙間の幅Wbは、互いに接続される部位を除いて、当該隙間のいずれの箇所においてもλ/4以下であり、具体的には20μm以上60μm以下である。すなわち、薄膜抵抗体17の側辺17aとグランドパターン13との隙間の幅、及び薄膜抵抗体17の側辺17bとグランドパターン13との隙間の幅は、いずれも20μm以上60μm以下である。一例では、これらの幅は全て一定の大きさに設定される。
【0038】
なお、上述した信号線路12、グランドパターン13、バイアスパターン14、及び実装パターン15は、いずれもAuメッキにより形成され、誘電体基板10側から、Ti膜、Pt膜、及びAu膜を含んでいる。Ti膜の厚さは例えば0.1μmである。Pt膜の厚さは例えば0.2μmである。Au膜の厚さは例えば1μmである。
【0039】
容量素子16は、実装パターン15の主領域15a上に実装される。具体的には、容量素子16は、表面電極と、表面電極とは反対側に設けられた裏面電極とを有する。容量素子16の裏面電極は、実装パターン15の主領域15aと対向しており、半田等の導電性接着剤を介して主領域15aと導電接合されている。容量素子16の表面電極は、ボンディングワイヤ18aを介して半導体レーザチップ20のパッド22と電気的に接続されている。容量素子16の容量値は、例えば90nF以上120nF以下であり、一実施例では100nFである。容量素子16は、高周波信号の終端回路において、直流成分を阻止し高周波成分のみ通過させる。
【0040】
図3は、光半導体装置1Aを備える光送信器2の構成例を示す平面図である。この光送信器2は、光半導体装置1Aに加えて、パッケージ61、レンズ62、配線基板63、及びTEC(Thermo Electric Cooler)68を備える。パッケージ61は、略直方体状の箱体であり、光半導体装置1A、レンズ62、及び配線基板63を収容する。パッケージ61の後端には、リード端子から延びる端子67が並んでいる。また、パッケージ61の後端に設けられたフィードスルー69上には、コプレーナ線路を構成する信号線路65及びグランドパターン66が設けられている。
【0041】
TEC68は、パッケージ61の底面上に設けられている。TEC68は、光送信器2の外部から供給される駆動電力に応じて、上面に設けられた部品の温度を制御する部材である。TEC68の上面には、電気絶縁性のプレート68aが設けられている。プレート68a上には、光半導体装置1Aの裏面の寸法形状に対応する金属パターン、レンズ62の裏面の寸法形状に対応する金属パターン、及び、配線基板63の裏面の寸法形状に対応する金属パターンが設けられている。光半導体装置1Aは、その裏面がプレート68a上の金属パターンに導電性接着剤を介して接合されることにより、プレート68a上に実装される。同様に、レンズ62及び配線基板63は、それらの裏面がプレート68a上の各金属パターンに導電性接着剤を介して接合されることにより、プレート68a上に実装される。
【0042】
レンズ62は、半導体レーザチップ20の光出射端面と光学的に結合されており、半導体レーザチップ20から出射されたレーザ光Pをコリメートする。コリメートされたレーザ光Pは、図示しない光出力ポートを通ってパッケージ61の外部へ出力される。
【0043】
配線基板63は、光半導体装置1Aとフィードスルー69との間に配置されている。配線基板63上には、コプレーナ線路を構成する信号線路63a及びグランドパターン63bが設けられている。信号線路63aは縦方向に延びており、その一端はボンディングワイヤ74を介して光半導体装置1Aの信号線路12のパッド12aと電気的に接続されている。また、信号線路63aの他端は、ボンディングワイヤ77を介してフィードスルー69の信号線路65と電気的に接続されている。なお、フィードスルー69の信号線路65には、図示しないリードピンを介して、パッケージ61の外部から駆動信号が提供される。
【0044】
グランドパターン63bは、信号線路63aの両側に所定の間隔をあけて設けられ、その一端はボンディングワイヤ73を介して光半導体装置1Aのグランドパターン13と電気的に接続されている。また、グランドパターン63bの他端は、ボンディングワイヤ75を介してフィードスルー69のグランドパターン66と電気的に接続されている。なお、フィードスルー69のグランドパターン66は、図示しないリードピンを介して、パッケージ61外部のグランド配線と電気的に接続される。
【0045】
バイアスパターン14は、ボンディングワイヤ71を介して一つの端子67と電気的に接続されている。該端子67には、図示しないリードピンを介して、パッケージ61の外部からバイアス電圧が提供される。
【0046】
以上に説明した本実施形態の光半導体装置1A及びキャリア2Aによって得られる効果について説明する。この光半導体装置1Aでは、誘電体基板10の主面10a上に半導体レーザチップ20が搭載され、半導体レーザチップ20には、コプレーナ線路11及びボンディングワイヤ18aを介して高周波の駆動信号が提供される。更に、この高周波の信号経路を終端するため、誘電体基板10の主面10a上には容量素子16及び薄膜抵抗体17が設けられている。コプレーナ線路11から半導体レーザチップ20へ延びるボンディングワイヤ18aの先端は更に容量素子16上まで延伸され、容量素子16の一方の電極に接続される。容量素子16の他方の電極は、実装パターン15及び薄膜抵抗体17を介してグランドパターン13に接続される。
【0047】
このような光半導体装置1A及びキャリア2Aにおいては、容量素子16に接続される実装パターン15及び薄膜抵抗体17と、グランドパターン13との隙間の間隔が、EO特性に大きく影響する。
図10は、比較例として、光半導体装置100を示す平面図である。この光半導体装置100と本実施形態の光半導体装置1Aとの相違点は、グランドパターンの形状である。すなわち、光半導体装置100のグランドパターン13は、光半導体装置1Aのグランドパターン13と異なり、一対の延長グランドパターン13a,13bを含んでいない。従って、実装パターン15の突出部15bとグランドパターン13との隙間が、主領域15aとグランドパターン13との隙間に比べて格段に大きくなっている。また、光半導体装置100では、抵抗117の横幅は突出部15bの横幅よりも小さい。従って、抵抗117とグランドパターン13との隙間は、突出部15bとグランドパターン13との隙間よりも更に大きくなっている。
【0048】
図4は、本実施形態および比較例のS
21特性のシミュレーション結果を示すグラフである。この図において、縦軸はS
21特性(単位:dB)を表し、横軸は周波数(単位:GHz)を表す。また、図中のグラフG11は比較例(
図10を参照)の特性を示し、グラフG12は本実施形態(ボンディングワイヤ18dが設けられない場合、
図2を参照)の特性を示し、グラフG13は本実施形態(ボンディングワイヤ18dが設けられた場合、
図1を参照)の特性を示す。
図4を参照すると、比較例(グラフG11)においては、30GHz付近にS
21特性の落ち込み(Dip)が生じていることがわかる。これに対し、本実施形態(ボンディングワイヤ18dが設けられない場合、グラフG12)においては、比較例よりもS
21特性の落ち込み(Dip)が緩和されている。そして、本実施形態(ボンディングワイヤ18dが設けられた場合、グラフG13)においては、S
21特性の落ち込み(Dip)が更に緩和されている。なお、
図4では隙間の幅を40μmで一定としたが、20μm以上60μm以下の範囲内においては、同等のシミュレーション結果が得られた。
【0049】
図5の(a)及び(b)は、本実施形態の作用を説明するために、容量素子16付近の等価回路を示す図である。これらの図において、インダクタL1〜L3は実装パターン15が有するインダクタンスを模擬するものであり、容量C1は実装パターン15の主領域15aとグランドパターン13との隙間により生じる寄生容量である。
図5の(a)に示すように、比較例においては、実装パターン15及び抵抗117とグランドパターン13との隙間が部分的に大きく空いているため、当該部分に浮遊容量C2が生じる。高周波電流Fが流れると、この浮遊容量C2に起因して共振が生じる。この共振によって高周波損失(リーク)が発生し、
図4のグラフG11のようにEO特性が部分的に落ち込む(不連続になる)と考えられる。従って、比較例においてはEO特性の平坦性が損なわれてしまう。
【0050】
これに対し、本実施形態の光半導体装置1A及びキャリア2Aでは、グランドパターン13と電気的に接続された一対の延長グランドパターン13a,13bを設けることによって、実装パターン15及び薄膜抵抗体17とグランドパターンとの隙間を一様にしている。具体的には、薄膜抵抗体17が設けられた領域を除く実装パターン15とグランドパターンとの隙間の幅Wa、及び、互いに接続される部位を除く薄膜抵抗体17とグランドパターンとの隙間の幅Wbを、当該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下としている。これにより、
図5の(b)に示すように、浮遊容量C2が一定の大きさの寄生容量C1になる。これにより、高周波電流Fの全経路にわたって電界強度が一定となり、上述した共振現象が緩和されて高周波損失が低減すると考えられる。また、光半導体装置1Aでは、抵抗体とグランドパターンとの隙間が20μm以上60μm以下であれば、抵抗体として薄膜抵抗体17以外のもの、例えばチップ抵抗を用いてもよい。
【0051】
以上に説明したとおり、本実施形態の光半導体装置1A及びキャリア2Aによれば、EO特性の落ち込みを低減し、不連続点を低減してEO特性をより平坦に近づけることができる。
【0052】
本実施形態のように、実装パターン15は、容量素子16を搭載する主領域15aと、主領域15aから薄膜抵抗体17に向けて突出する突出部15bとを含み、グランドパターン13は、突出部15bの両側に位置する一対の延長グランドパターン13a,13bを含んでもよい。突出部15bは製造上の観点から薄膜抵抗体17に向けて突出する。これは、(1)薄膜抵抗体17の両側に製造上ののりしろを設けること、及び(2)容量素子16を実装する際のろう材の流れ止め(TaN)を付加することを目的とする。また、突出部15bが薄膜抵抗体17に向けて突出している場合、グランドパターン13が突出部15bの両側に位置する一対の延長グランドパターン13a,13bを含むことにより、突出部15bにおける高周波特性を安定させ、EO特性の落ち込みを更に低減することができる。
【0053】
図1に示した例のように、光半導体装置1Aは、突出部15bを跨いで一対の延長グランドパターン13a,13b同士を互いに電気的に接続するボンディングワイヤ18dを備えてもよい。この場合、突出部15bにおける高周波特性を更に安定させ、EO特性の落ち込みをより効果的に低減することができる。
【0054】
本実施形態のように、容量素子16の容量は90nF以上120nF以下であってもよい。このような比較的大きな容量の素子では、そのサイズも大きくなり、実装パターン15も広くなる。その場合、
図10の比較例では、実装パターン15とグランドパターン13との隙間が部分的に更に拡がることとなる。本実施形態の光半導体装置1Aによる効果は、このような場合に特に有効である。
【0055】
(第1変形例)
図6及び
図7は、上記実施形態の一変形例に係る光半導体装置1B及び1Cをそれぞれ示す平面図である。光半導体装置1Bは、上記実施形態のキャリア2Aに代えて、キャリア2Bを備える。光半導体装置1Cは、上記実施形態のキャリア2Aに代えて、キャリア2Cを備える。キャリア2B及び2Cと上記実施形態のキャリア2Aとの相違点は、実装パターン及びグランドパターンの平面形状である。
【0056】
図6に示すように、キャリア2Bの実装パターン15Aにおいては、突出部15bが、主領域15aにおける辺15eの中央部ではなく、辺15f寄りの部分(図示例では辺15eにおける辺15f側の端部)から突出している。すなわち、本変形例の突出部15bの側辺15hは、主領域15aのグランドパターン13と対向する辺15fの延長上に設けられている。薄膜抵抗体17は、その側辺17bがグランドパターン13と対向するとともに、突出部15bの延長上に配置されている。この場合、グランドパターン13に対する、実装パターン15Aの主領域15a及び突出部15bの隙間の幅は一定になる。また、薄膜抵抗体17が突出部15bの延長上に配置されることから、薄膜抵抗体17とグランドパターン13との隙間の幅も、実装パターン15Aの主領域15aおよび突出部15bに対するグランドパターン13との隙間の幅に近似する。このため、これら隙間における寄生容量の差が小さくなる。これにより、
図1に示された実施形態と同様に、EO特性の落ち込みを低減することができる。
【0057】
更に、キャリア2Bは、横方向において突出部15b及び薄膜抵抗体17の片側に位置する延長グランドパターン13aを備える。延長グランドパターン13aは、グランドパターン13と電気的に接続され、突出部15b及び薄膜抵抗体17と誘電体基板10の側面10dとの間に設けられている。すなわち、延長グランドパターン13aは、突出部15bおよび薄膜抵抗体17を挟んでグランドパターン13と対向して配置されている。図示例では、延長グランドパターン13aはグランドパターン13と一体的に設けられている。延長グランドパターン13aが設けられることにより、さらにEO特性を改善することができる。
【0058】
図7に示すように、キャリア2Cの実装パターン15Bにおいては、突出部15bが、主領域15aにおける辺15eの中央部ではなく、辺15d寄りの部分(図示例では辺15eにおける辺15d側の端部)から突出しており、側面10dと隣り合っている。そして、キャリア2Cは、横方向において突出部15b及び薄膜抵抗体17の片側に位置する延長グランドパターン13bを備える。延長グランドパターン13bは、グランドパターン13と電気的に接続されている。本変形例では、延長グランドパターン13bは、グランドパターン13と一体的に設けられている。延長グランドパターン13bは、辺15fの延長上の領域に位置する。薄膜抵抗体17の側辺17bは、辺15fの延長上の領域から離間して配置され、延長グランドパターン13bと対向し、延長グランドパターン13bに沿って延在している。延長グランドパターン13bは、誘電体基板10の側面10dとの間に突出部15b及び薄膜抵抗体17を挟む位置に設けられている。
【0059】
本変形例においても、実装パターン15A,15Bとグランドパターンとの隙間の幅は、薄膜抵抗体17が設けられた領域を除いて、当該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下である。一例では、この幅は全て一定の大きさに設定される。また、薄膜抵抗体17とグランドパターンとの隙間の幅は、互いに接続される部位を除いて、当該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下である。一例では、この幅は全て一定の大きさに設定される。また、
図6及び
図7において、突出部15b及び薄膜抵抗体17それぞれと延長グランドパターン13a(13b)との隙間の幅が20μm以上60μm以下である限りにおいて、突出部15b及び薄膜抵抗体17の各横幅(側辺と交差する方向の幅)は互いに異なってもよい。例えば、突出部15bの横幅が薄膜抵抗体17の横幅より大きくてもよく、或いは小さくてもよい。
【0060】
本変形例のように、突出部15bは、横方向における主領域15aの何れの位置から突出していてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
図8は、本変形例におけるS
21特性のシミュレーション結果を示すグラフである。この図において、縦軸はS
21特性(単位:dB)を表し、横軸は周波数(単位:GHz)を表す。また、図中のグラフG31は光半導体装置1B(
図6を参照)の特性を示し、グラフG32は光半導体装置1C(
図7を参照)の特性を示す。
図8を参照すると、本変形例においても上記実施形態(グラフG12)と同様に、比較例(グラフG11)と比べてS
21特性の落ち込み(Dip)が緩和されていることがわかる。
【0061】
(第2変形例)
図9は、上記実施形態の別の変形例に係る光半導体装置1Dを示す平面図である。光半導体装置1Dは、上記実施形態のキャリア2Aに代えて、キャリア2Dを備える。キャリア2Dと上記実施形態のキャリア2Aとの相違点は、実装パターン及びグランドパターンの平面形状である。
図9に示すように、キャリア2Dの実装パターン15Cは、主領域15aのみを含み、突出部15bを含まない。故に、実装パターン15Cは、正方形状または長方形状といった平面形状を有する。そして、本変形例のグランドパターン13は、突出部13cを含む。突出部13cは、一対の延長グランドパターン13a,13bの間において、グランドパターン13から延長され、薄膜抵抗体17に向けて突出している。横方向における突出部13cの幅は、同方向における実装パターン15Cの幅よりも狭い。薄膜抵抗体17は、実装パターン15Cとグランドパターン13の突出部13cとの間に設けられる。具体的には、薄膜抵抗体17の一端は実装パターン15Cと電気的に接続しており、薄膜抵抗体17の他端はグランドパターン13の突出部13cと電気的に接続している。
【0062】
一対の延長グランドパターン13a,13bは、横方向において薄膜抵抗体17及び突出部13cの両側に設けられている。延長グランドパターン13aの一辺は、薄膜抵抗体17の側辺17a及び突出部13cの側辺13dと対向しており、側辺17a,13dに沿って延在している。延長グランドパターン13bの一辺は、薄膜抵抗体17の側辺17b及び突出部13cの側辺13eと対向しており、側辺17b,13eに沿って延在している。
【0063】
本変形例においても、実装パターン15Cとグランドパターンとの隙間の幅は、薄膜抵抗体17が設けられた領域を除いて、当該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下である。一例では、この幅は全て一定の大きさに設定される。また、薄膜抵抗体17とグランドパターンとの隙間の幅は、互いに接続される部位を除いて、当該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下である。一例では、この幅は全て一定の大きさに設定される。また、突出部13c及び薄膜抵抗体17それぞれと延長グランドパターン13a(13b)との隙間の幅が20μm以上60μm以下である限りにおいて、突出部13c及び薄膜抵抗体17の各横幅(側辺と交差する方向の幅)は互いに異なってもよい。例えば、突出部13cの横幅が薄膜抵抗体17の横幅より大きくてもよく、或いは小さくてもよい。
【0064】
本変形例のように、実装パターン側でなくグランドパターン側において、薄膜抵抗体17に向けて突出する部分を設けてもよい。そして、実装パターンの主領域15aに薄膜抵抗体17が直接に接続されてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0065】
本開示による光半導体装置及びキャリアは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態ではレーザダイオードと光変調器とによる間接変調方式が例示されているが、レーザダイオードを駆動する直接変調方式であっても、本開示を適用できる。その場合には、コプレーナ線路の信号線路はレーザダイオードの電極に接続される。
【0066】
[付記]
本開示の実施形態に係る光半導体装置は、半導体レーザチップと、半導体レーザチップを搭載する主面を有する誘電体基板と、主面上に設けられたグランドパターンと、主面上に設けられ、ワイヤを介して半導体レーザチップの一の電極と電気的に接続された伝送線路と、グランドパターンと隣り合って主面上に設けられた実装パターンと、表面電極及び表面電極とは反対側に設けられた裏面電極を有し、裏面電極は実装パターンと対向して実装パターンと接合され、表面電極はワイヤを介して半導体レーザチップの一の電極と電気的に接続された容量素子と、主面上に設けられ、実装パターンに接続された一端、及びグランドパターンに接続された他端を有する抵抗体と、を備えてもよい。グランドパターンは、抵抗体の両側又は片側に延在して配置される延長グランドパターンを有する。実装パターンと延長グランドパターンとの隙間の幅、及び抵抗体と延長グランドパターンとの隙間の幅は、これらの隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下である。
【0067】
この光半導体装置では、誘電体基板の主面上に半導体レーザチップが搭載され、半導体レーザチップには、伝送線路及びボンディングワイヤを介して高周波の駆動信号が提供される。更に、この高周波の信号経路を終端するため、誘電体基板の主面上には容量素子及び抵抗体が設けられている。伝送線路から半導体レーザチップへ延びるワイヤの先端は更に容量素子上まで延伸され、容量素子の一方の電極に接続される。容量素子の他方の電極は、実装パターン及び抵抗体を介してグランドパターンに接続される。
【0068】
このような光半導体装置において、容量素子に接続される実装パターン及び抵抗体と、グランドパターンとの隙間の間隔がEO特性に大きく影響することを本発明者は見出した。すなわち、実装パターン及び抵抗体とグランドパターンとの隙間が部分的に大きく空いていると、当該部分に生じる浮遊容量に起因する共振によって、EO特性が部分的に落ち込む(不連続になる)。これにより、EO特性の平坦性が損なわれてしまう。そこで、上記の光半導体装置では、抵抗体が設けられた領域を除く実装パターンとグランドパターンとの隙間の幅、及び互いに接続される部位を除く抵抗体とグランドパターンとの隙間の幅を、当該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下としている。本発明者の知見によれば、これによりEO特性の落ち込みを低減し、不連続点を低減してEO特性をより平坦に近づけることができる。
【0069】
上記の光半導体装置は、抵抗体の一端が接続する実装パターンの一部が突出されてなる突出部を更に備えていてもよい。また、抵抗体或いは突出部の両側又は片側には、延長グランドパターンが設けられていてもよい。また、突出部と延長グランドパターンとの隙間の幅は、該隙間のいずれの箇所においても20μm以上60μm以下であってもよい。この場合、突出部は製造上の観点から設けられる。本発明者の知見によれば、突出部が設けられる場合、突出部の両側または片側に位置する延長グランドパターンによりコプレーナ線路(共平面回路)を構成することで、高周波信号がコプレーナ線路を伝送して放射損失などが小さくなり、突出部における高周波特性を安定させ、EO特性の落ち込みを更に低減することができる。この場合、突出部と延長グランドパターンとの隙間の幅は、いずれの箇所においても20μm以上60μm以下である。
【0070】
上記の光半導体装置において、抵抗体と延長グランドパターン、および突出部と延長グランドパターンのうち少なくとも1つの組は、コプレーナ線路(共平面回路)を構成してもよい。この場合、高周波特性を安定させ、EO特性の落ち込みを更に低減することができる。
【0071】
伝送線路は、半導体レーザチップに沿って設けられ、且つ伝送線路の両側に配置されたグランドパターンによりコプレーナ線路を構成してもよい。この場合、高周波特性を安定させ、EO特性の落ち込みを更に低減することができる。
【0072】
上記の光半導体装置において、延長グランドパターンは抵抗体或いは突出部の両側に設けられており、光半導体装置は、抵抗体或いは突出部を跨いで両側の延長グランドパターン同士を互いに電気的に接続するボンディングワイヤを更に備えてもよい。この場合、高周波特性を更に安定させ、EO特性の落ち込みをより効果的に低減することができる。
【0073】
上記の光半導体装置において、容量素子の容量は90nF以上120nF以下であってもよい。このような比較的大きな容量の素子では、そのサイズも大きくなり、実装パターンも広くなる。上記の光半導体装置による効果は、このような場合に特に有効である。