特開2021-3710(P2021-3710A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-3710(P2021-3710A)
(43)【公開日】2021年1月14日
(54)【発明の名称】金型作動用カム装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/40 20060101AFI20201211BHJP
【FI】
   B30B1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-117150(P2019-117150)
(22)【出願日】2019年6月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】西脇 直樹
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA01
4E090CA07
4E090EB01
4E090HA05
(57)【要約】
【課題】大きな駆動力による加工が必要である成形品に対しても、良好に加工を行なうことが可能な金型作動用カム装置を提供する。
【解決手段】金型作動用カム装置40は、駆動カム部材41及び従動カム部材42を備え、第一係合状態において、駆動カム部材の第一駆動カム面41aと従動カム部材の第一従動カム面42aとが摺動し、従動カム部材が、駆動カム部材41の所定の第一方向への移動量及び第一駆動カム面の傾斜角度α1に応じた移動量L2だけ第一方向と交差する第二方向に移動し、第二係合状態において、駆動カム部材の第二駆動カム面41bと従動カム部材の第二従動カム面42bとが摺動し、従動カム部材が、駆動カム部材41の第一方向への移動量及び第二駆動カム面の傾斜角度α2に応じた移動量L3だけ第二方向に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置の駆動によって金型の可動型を作動させ成形品を形成する金型作動用カム装置であって、
前記プレス装置の前記駆動によって所定の第一方向に移動可能であり、前記第一方向において連続又は離間して設けられ、平面であるとともに前記第一方向に対して異なる傾斜角度を有して形成される第一駆動カム面及び第二駆動カム面を備える駆動カム部材と、
前記第一方向と交差する第二方向に移動可能であり、前記駆動カム部材の前記第一方向への移動量に応じ前記第一駆動カム面に面同士で係合可能な第一従動カム面及び前記第二駆動カム面に面同士で係合可能な第二従動カム面を備え、前記可動型を移動させる従動カム部材と、を備え、
前記第一駆動カム面と前記第一従動カム面とが係合する状態を第一係合状態と定義し、
前記第一係合状態から前記駆動カム部材が前記第一方向へ移動した場合に前記第一係合状態が解除された状態で、且つ前記第二駆動カム面と前記第二従動カム面とが係合する状態を第二係合状態と定義し、
前記第一係合状態において前記駆動カム部材が前記第一方向に移動すると、前記第一駆動カム面と前記第一従動カム面とが摺動し、前記従動カム部材が、前記駆動カム部材の前記第一方向への前記移動量及び前記第一駆動カム面の前記傾斜角度に応じた移動量だけ前記第二方向に移動し、
前記第二係合状態において前記駆動カム部材が前記第一方向に移動すると、前記第二駆動カム面と前記第二従動カム面とが摺動し、前記従動カム部材が、前記駆動カム部材の前記第一方向への前記移動量及び前記第二駆動カム面の前記傾斜角度に応じた移動量だけ前記第二方向に移動する、金型作動用カム装置。
【請求項2】
前記従動カム部材と前記可動型とは、前記第二方向へ一体で移動する、請求項1に記載の金型作動用カム装置。
【請求項3】
前記第一係合状態において、前記駆動カム部材が前記第一方向に基準移動量だけ移動したとき、前記従動カム部材が前記第二方向に移動される前記移動量を第一移動量とし、
前記第二係合状態において、前記駆動カム部材が前記第一方向に前記基準移動量だけ移動したとき、前記従動カム部材が前記第二方向に移動される前記移動量を第二移動量とすると、
前記第一移動量は前記第二移動量よりも大きい、請求項1又は2に記載の金型作動用カム装置。
【請求項4】
前記金型作動用カム装置は、前記プレス装置に支持され、前記従動カム部材の前記第二方向への移動を案内する第一レールをさらに備え、
前記従動カム部材は、前記第一レールの重力方向上方に配置されるとともに、前記第二方向に移動する場合に前記第一レールに案内されて移動可能となるよう下部が前記第一レールに係合される、請求項1−3の何れか1項に記載の金型作動用カム装置。
【請求項5】
前記従動カム部材の前記第一従動カム面は、前記重力方向における上下方向において、前記第二従動カム面より前記第一レール側に配置される、請求項4に記載の金型作動用カム装置。
【請求項6】
前記従動カム部材は、前記重力方向において前記第二従動カム面に対応する高さに前記可動型を保持する、請求項4又は5に記載の金型作動用カム装置。
【請求項7】
前記金型作動用カム装置は、前記プレス装置に支持され、前記第一レールと協働し前記従動カム部材の前記第二方向への移動を案内する第二レールをさらに備え、
前記第二レールは、前記従動カム部材の前記重力方向上方に配置されるとともに、前記従動カム部材が前記第二方向に移動可能となるよう上部が前記第二レールに係合される、請求項4−6の何れか1項に記載の金型作動用カム装置。
【請求項8】
前記駆動カム部材は、前記第一レール側から前記重力方向上方に向かう順に、前記第一駆動カム面と、前記従動カム部材と接触しないよう形成される第一逃げ面及び第二逃げ面と、前記第二駆動カム面と、を備え、
前記従動カム部材は、前記第一レール側から前記重力方向上方に向かう順に、前記第一駆動カム面と対応し前記第一係合状態において前記第一駆動カム面と対向し係合する前記第一従動カム面と、前記第二駆動カム面と対応し前記第二係合状態において前記第二駆動カム面と対向し係合する前記第二従動カム面と、を備える請求項4−7の何れか1項に記載の金型作動用カム装置。
【請求項9】
前記駆動カム部材が備える前記第二逃げ面は、
前記駆動カム部材が移動する前記第一方向に対し傾斜する傾斜面で形成される、請求項8に記載の金型作動用カム装置。
【請求項10】
前記駆動カム部材が備える前記第二逃げ面と前記第二駆動カム面とは所定の突状曲面で形成される第一曲面部によって接続され、
前記従動カム部材の前記第二従動カム面と前記重力方向における上方の端面とは、所定の突状曲面で形成される第二曲面部によって接続され、
前記第一係合状態において前記駆動カム部材がさらに前記第一方向に移動し、前記第一係合状態から脱離する状態に遷移する場合、
前記第一曲面部と前記第二曲面部とが係合し相互に摺動しながら、前記第一駆動カム面と前記第一従動カム面との係合が脱離されるとともに、前記第二駆動カム面と前記第二従動カム面とが係合する前記第二係合状態に移行する、請求項8又は9に記載の金型作動用カム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型作動用カム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1,2に示すように、カム機構を用いて金型の可動型を作動させることにより、成形品を形成する金型作動用のカム装置が有る。通常、このようなカム装置を用いることにより、プレス装置の駆動方向とは異なる方向に成形品を形成するための可動型(又は工具)を作動させることができる(特許文献1参照)。特許文献1の技術では、カム装置が備える駆動カム部材をプレス装置によって上下方向に駆動させることにより、従動カム部材を水平方向に移動させる。これにより、従動カム部材に固定された工具(可動型)によって成形品を水平方向にプレスし所望の形状に形成する。
【0003】
ところが、特許文献1のカム装置では、駆動カム部材及び従動カム部材がそれぞれ各カム面を一つずつしか有していない。つまり、カム装置は、一段のカム機構で構成されている。このため、従動カム部材を作動させる際、工具と成形品との間の距離が大きく離れていても、工具(従動カム部材)が成形品に到達するまでの間では、成形品を加工するときの工具(従動カム部材)の速度と同じ(遅い)速度で移動させることになる。このため、加工時間が長くなるという課題がある。
【0004】
これに対し、特許文献2のカム装置では、シリンダ装置によって駆動される二段のカム機構を備えている。カム機構は、傾斜角度が異なる二種類のカム面と一個のローラとがそれぞれ線接触で当接し、プレス軸(工具)に駆動力を伝達するよう構成されている。これにより、プレス軸を成形品に接近させる空走時においては、一段目のカム面とローラとを線接触で係合させ、プレス軸(可動型)を初期の待機位置から加工位置まで素早く移動させる。また、プレス軸によって成形品を加工する際には、カム機構を切替え、二段目のカム面とローラとを線接触で係合させ、プレス軸(工具)を成形品に押し当て成形する。これにより、加工時間の短縮化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−135526号公報
【特許文献2】特開平07−024529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2のカム装置では、上述したように、二段階の各カム面とローラとを線接触で当接させて駆動力を伝達する。このため、カム機構を介し、駆動力をプレス軸に伝達させる際、線接触するカム面及びローラの表面には大きな応力が発生する。これにより、カム機構を介して大きな駆動力を伝達させプレス軸により成形品の加工を行なう場合、加工が困難となる虞がある。
【0007】
本発明は、大きな駆動力による加工が必要である成形品に対しても、良好に加工を行なうことが可能な金型作動用カム装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る金型作動用カム装置は、プレス装置の駆動によって金型の可動型を作動させ成形品を形成する金型作動用カム装置であって、前記プレス装置の前記駆動によって所定の第一方向に移動可能であり、前記第一方向において連続又は離間して設けられ、平面であるとともに前記第一方向に対して異なる傾斜角度を有して形成される第一駆動カム面及び第二駆動カム面を備える駆動カム部材と、前記第一方向と交差する第二方向に移動可能であり、前記駆動カム部材の前記第一方向への移動量に応じ前記第一駆動カム面に面同士で係合可能な第一従動カム面及び前記第二駆動カム面に面同士で係合可能な第二従動カム面を備え、前記可動型を移動させる従動カム部材と、を備え、前記第一駆動カム面と前記第一従動カム面とが係合する状態を第一係合状態と定義し、前記第一係合状態から前記駆動カム部材が前記第一方向へ移動した場合に前記第一係合状態が解除された状態で、且つ前記第二駆動カム面と前記第二従動カム面とが係合する状態を第二係合状態と定義する。
【0009】
そして、前記第一係合状態において前記駆動カム部材が前記第一方向に移動すると、前記第一駆動カム面と前記第一従動カム面とが摺動し、前記従動カム部材が、前記駆動カム部材の前記第一方向への前記移動量及び前記第一駆動カム面の前記傾斜角度に応じた移動量だけ前記第二方向に移動し、前記第二係合状態において前記駆動カム部材が前記第一方向に移動すると、前記第二駆動カム面と前記第二従動カム面とが摺動し、前記従動カム部材が、前記駆動カム部材の前記第一方向への前記移動量及び前記第二駆動カム面の前記傾斜角度に応じた移動量だけ前記第二方向に移動する。
【0010】
このように、本発明の金型作動用カム装置では、二つの係合状態として第一係合状態及び第二係合状態を備える。第一係合状態では、駆動カム部材の第一駆動カム面と従動カム部材の第一従動カム面とが面同士、即ち面接触で係合する。また、第二係合状態においても、駆動カム部材の第二駆動カム面と従動カム部材の第二従動カム面とが面同士(面接触)で係合する。従って、駆動カム部材から従動カム部材に大きな駆動力が伝達される際に、何れの係合状態が適用され各カム面同士が摺動されても、各カム面の面圧は低い値に抑制可能であるため大きな駆動力の伝達が可能となる。これにより、大きな駆動力が必要な成形品に対しても、良好に加工を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る金型作動ユニットの概要図である。
図2】成形の対象となるインターミディエイトシャフトを備えるステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
図3図2のIII−III矢視断面図である。
図4】インターミディエイトシャフトの外軸の外形形状を成形する際における可動型の作動状態を説明する図である。
図5】駆動カム部材及び従動カム部材の形状を説明するための図である。
図6】駆動カム部材及び従動カム部材の第一係合状態における一状態の図である。
図7】第一係合状態から脱離した状態を説明する図である。
図8】第二係合状態における一状態の図である。
図9A】第一駆動カム面及び第二駆動カム面の各傾斜角度の設定について説明する第一の図である。
図9B】第一駆動カム面及び第二駆動カム面の各傾斜角度の設定について説明する第二の図である。
図10】第一実施形態に係る金型作動用カム装置の作動のフローチャートである。
図11A】変形例1にかかる駆動カム部材及び従動カム部材の第一係合状態における一状態の図である。
図11B】変形例1にかかる駆動カム部材及び従動カム部材の第二係合状態における一状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1.第一実施形態)
(1−1.概要)
本発明に係る金型作動用カム装置40の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、金型作動用カム装置40(以後、カム装置40とのみ称す)は、金型作動ユニット8に設けられる装置である。金型作動ユニット8は、プレス装置10を用いて成形品を形成する装置である。
【0013】
なお、本実施形態において、金型作動ユニット8により成形する成形品は、図2に示すステアリング装置90が備えるインターミディエイトシャフト5であるものとする。インターミディエイトシャフト5は、ステアリングシャフト2の一部である。そこで、説明の都合上、ステアリング装置90及び、成形の対象となるインターミディエイトシャフト5について最初に簡単に説明しておく。ただし、ステアリング装置90及びインターミディエイトシャフト5自体は公知の製品であるため、詳細な説明については省略する。
【0014】
図2はステアリング装置90の概略構成を示す模式図である。図2に示すように、ステアリング装置90は、ステアリングホイール等の操舵部材1と、操舵部材1の操作に連動して車輪(図示せず)を操舵するステアリング機構A1と、操舵部材1の操舵力をステアリング機構A1に伝達するステアリングシャフト2とを備える。
【0015】
ステアリングシャフト2は、操舵部材1に連結されたコラムシャフト3と、コラムシャフト3に自在継手4を介して連結されたインターミディエイトシャフト5とを備える。本実施形態では、このインターミディエイトシャフト5を金型作動ユニット8による成形の対象とする。
【0016】
伸縮軸であるインターミディエイトシャフト5は、自在継手4と接続され、例えば、炭素鋼またはアルミニウム合金等によって中空筒状に形成された外軸80(スリーブ)と、自在継手6と接続され、例えば、外軸80と軸方向に相対摺動可能で且つ一体回転可能に嵌合されて回転トルクの伝達が可能な内軸60とを備える。内軸60も、例えば、炭素鋼またはアルミニウム合金等によって形成される。
【0017】
図3に示すように、外軸80の内周には、内軸60の軸心から放射状に形成された四箇所の軸方向の溝81が、伸縮範囲(伸縮ストローク)の全長にわたって、軸心周りに等間隔に形成される。また、内軸60の外周には、外軸80の四箇所の溝81と噛合するよう四個の歯61が形成される。また、内軸60の歯61の表面には、樹脂被膜70が被覆されている。樹脂被膜70は、合成樹脂を用いて形成されている。この合成樹脂として、ポリアミド、ポリアセタールなどの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を例示することができる。
【0018】
すなわち、回転トルクを伝達するための非円形の外周形状として、四個の軸方向の歯61を有する内軸60には、歯61の軸方向の全長に、外軸80の溝81との間の摺動抵抗を減少させるための樹脂が被覆されている。なお、本実施形態では、樹脂被膜70が内軸60の歯61の表面に設けられる例を例示して説明した。しかしこの態様には限らない。樹脂被膜70は、内軸60の歯61の表面及び外軸80の溝81の表面の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0019】
そして、インターミディエイトシャフト5の組み付けにおいては、内軸60の表面に樹脂被膜70が形成された状態で、例えば、作業者が自らの手で外軸80を樹脂被膜70(内軸60)の外周側に挿嵌する。しかしながら、このとき、樹脂被膜70と外軸80の内周面との間には、若干の隙間が生じる。そこで本実施形態では、金型作動ユニット8を用いて、後述する金型50の八個の可動型51を作動させ、可動型51を図4に示すように外軸80の外周面の各箇所に所定のプレス荷重で押し当てる。これによって、外軸80の外形形状を変形させ、外軸80の内周面と樹脂被膜70との間の隙間を良好に詰め、良好な作動性及び耐久性を備えたインターミディエイトシャフト5を製造する。
【0020】
(1−2.金型作動ユニット8)
次に、金型作動ユニット8について説明する。図1に示すように、金型作動ユニット8は、プレス装置10と、第一支持部材20と、第二支持部材30と、金型作動用カム装置40と、金型50とを備える。プレス装置10は、公知で且つ市販のプレス装置でよく、方式も液圧式や機械式等どのようなものでもよい。本実施形態において、プレス装置10は、液圧式のうち油圧式のプレス装置とする。なお、公知の装置であるため構造及び作動原理等についての詳細な説明は省略する。
【0021】
図1に示すように、プレス装置10の本体11は、油圧室12及びスライド軸13等の油圧機構を収容する油圧機構収容部14と、床上に固定される装置支持部15と、上下方向に延在し油圧機構収容部14と装置支持部15とを連結する連結部16とを備える。油圧機構収容部14は、図略の制御装置と接続される。そして、制御装置の指令によって、サーボ油圧ポンプが作動され、油圧機構収容部14内の油圧室12に所定圧の油圧が供給される。
【0022】
これにより、油圧機構収容部14内に備えるスライド軸13が図1における下方に向けて作動される。このとき、本実施形態では、スライド軸13に対し、発生させることが可能な加圧力の大きさは、例えば、5t〜20t程度であるものとする。
【0023】
装置支持部15は、油圧機構収容部14の下方で且つ油圧機構収容部14と離間した位置で床上に固定される。油圧機構収容部14と装置支持部15との間の空間には、金型作動用カム装置40、及び金型50等が配置される。そして、装置支持部15は、油圧機構収容部14との間を連結部16によって一体的に連結されることにより、剛体として油圧機構収容部14を支持する。
【0024】
第一支持部材20は、図1における上下方向(重力方向における上下方向と同じ)においてプレス装置10の本体11に対して相対移動可能となるよう本体11に支持される。このとき、「上下方向」が、本実施形態における「所定の第一方向」に相当する。第一支持部材20は、例えば、鉄系の金属材料によって円板状に形成される。ただし、この態様には限らず、第一支持部材20の材質及び形状は任意に設定してもよい。
【0025】
詳細については後に述べるが、本実施形態においては、第一支持部材20には、金型作動用カム装置40が備える駆動カム部材41が、下方に垂下するよう第一支持部材20の円板の中心軸C1を中心とする同一円周上に概ね等間隔で八個固定される(ただし、図1においては、四箇所のみ記載)。なお、このとき、駆動カム部材41の配置については、成形される成形物の形状によって決まるものであるため、任意に設定すればよい。これにより、駆動カム部材41は、第一支持部材20と、図1における上下方向(第一方向)に一体移動される。前述したように、駆動カム部材41の詳細な説明については、後に行なう。
【0026】
第二支持部材30は、プレス装置10の本体11が備える装置支持部15の上面に移動不能に固定される。第二支持部材30は、第一支持部材20と同様に、例えば、鉄系の金属材料によって円板状に形成される。ただし、この態様には限らず、第一支持部材20と同様に第二支持部材30の材質及び形状は任意に設定してもよい。
【0027】
第二支持部材30は、上面において金型50の一部、及び後に詳述する金型作動用カム装置40が備える八本の第一レール31を支持する(図1参照)。ただし、図1においては、第一レール31は、二箇所のみ記載している。なお、このとき、金型50の一部(固定型)とは、インターミディエイトシャフト5の内軸60である。つまり、本実施形態では、インターミディエイトシャフト5の内軸60を金型として利用する。そして、内軸60は、第二支持部材30の上面において、所定の手段によって、取り付け、取り外し自在に固定される。このとき、所定の手段はどのようなものでもよい。
【0028】
図には示さないが、八本の第一レール31は第二支持部材30の円板の中心軸C2を概ね中心として放射状に配置される。ただし、この第一レール31の配置位置についてはあくまで一例を示しただけであり、成形される成形物の形状によって任意に変更されるものである。
【0029】
さらに、金型作動用カム装置40が備える八個の従動カム部材42が、八本の第一レール31の上方にそれぞれ配置される。ただし、図1では、従動カム部材42は二本のみ記載している。そして、図1に示すように従動カム部材42の下端面(下部)に設けられた第一係止部43が、第一レール31の延在方向に案内されて移動可能なように第一レール31の溝31aに係止される。第一係止部43はどのような形状であってもよい。
【0030】
また、第二支持部材30は、周方向において各第一レール31の間における外周面の所定の位置から上方に向かって延在する八個の腕部33を備える(図1には二個のみ記載)。八個の腕部33は、それぞれ従動カム部材42の上端面を超えた位置まで延在された後、第二支持部材30の中心軸C2方向に向かって直角に屈曲される屈曲腕34を備える。そして各屈曲腕34からは、近傍の二個の従動カム部材42のうち一方の従動カム部材42の上方を覆う位置まで第二支持部材30の上面と平行な平面部35が延在されて形成される(図1参照)。
【0031】
そして、各平面部35の各下面には、後に詳述する金型作動用カム装置40が備える八本の第二レール32(図1では二本のみ記載)がそれぞれ一本ずつ支持され固定される(図1参照)。つまり、八本の第二レール32は、第二支持部材30を介してプレス装置10に支持されているといえる。八本の第二レール32は、従動カム部材42の重力方向上方に配置されるとともに、従動カム部材42が上下方向(第一方向)と交差する第二方向に移動可能となるよう上部が第二レール32に係合される。
【0032】
八本の第二レール32は、第二支持部材30の円板の中心軸C2方向から見たとき八本の第一レール31と同じ位置、即ち、八本の第一レール31と重複した状態で放射状に配置される(図略)。そして、図1に示すように、従動カム部材42の上端面(上部)に設けられた第二係止部44が、第二レール32の延在方向に案内されて移動可能なように第二レール32の溝32aに係止される。
【0033】
これにより、第二支持部材30は、八個の従動カム部材42を、それぞれ対応する各第一レール31及び各第二レール32を介して支持する。つまり、第二レール32は、第一レール31と協働し、延在方向への従動カム部材42の移動の案内を行なう。
【0034】
なお、八個の従動カム部材42は、上述した八個の駆動カム部材41が下方(第一方向)に移動した際、各駆動カム部材41とそれぞれ一対一で対応し係合するよう形成されるとともに配置される。また、第一レール31及び第二レール32の延在方向に沿って移動する八個の従動カム部材42の移動方向は、それぞれ対応する各駆動カム部材41の移動方向である上下方向(第一方向)と直交する(交差する方向に相当)第二方向である。
【0035】
また、第一レール31及び第二レール32は、第二支持部材30の円板の中心軸C2を概ね中心として放射状に配置されると説明した。ただし、第一レール31及び第二レール32の配置位置についてはあくまで一例を示しただけであり、成形される成形物の形状によって任意に変更される。
【0036】
(1−3.金型作動用カム装置40)
次に、本発明に係る金型作動用カム装置40について説明する。金型作動用カム装置40は、上述したようにプレス装置10の駆動によって金型50の可動型51を作動させ、成形品であるインターミディエイトシャフト5を形成する装置である。金型作動用カム装置40は、何れも上述した八個の駆動カム部材41、八個の従動カム部材42、八本の第一レール31及び八本の第二レール32等を備える。
【0037】
駆動カム部材41は、上述した様に、第一支持部材20の下面に垂下された状態で第一支持部材20に八個支持される。駆動カム部材41は、プレス装置10の駆動によって第一支持部材20と共に上下方向(第一方向)に移動可能である。図5に示すように、駆動カム部材41は、第一駆動カム面41a及び第二駆動カム面41bを備える。このとき、八個の駆動カム部材41は、各第一駆動カム面41a、及び第一駆動カム面41aより上方に配置される各第二駆動カム面41bが、第一支持部材20の中心軸C1側を向くよう第一支持部材20に配置され固定される。
【0038】
図5に示すように、各駆動カム部材41において、第一駆動カム面41a及び第二駆動カム面41bは、上下方向において、隣接せず、別の二つの逃げ面(第一逃げ面41c、第二逃げ面41d)を間に介在させた状態で設けられる。つまり、各駆動カム部材41は、第二支持部材30に設けられた第一レール31側から重力方向上方に向かって順番に、第一駆動カム面41aと、いかなる場合にも従動カム部材42と接触しないよう形成される第一逃げ面41c及び第二逃げ面41dと、第二駆動カム面41bと、を備える。
【0039】
本実施形態において、第二逃げ面41dは、図5に示すように、駆動カム部材41が移動する上下方向(第一方向)に対し、傾斜を有する傾斜面で形成される。従って、駆動カム部材41の肉部が増加し断面係数が大きくなる。これにより、第二逃げ面41dは、従動カム部材42と接触しないという目的を達成しながら、駆動カム部材41の強度を確保することができる。
【0040】
また、第一駆動カム面41a及び第二駆動カム面41bは、共に平面で形成されるとともに、異なる傾斜角度α1、α2を有して形成される。このとき、傾斜角度α1、α2とは、上下方向に対する各カム面41a、41bの相対角度である。そして、第一駆動カム面41aにおける傾斜角度α1の方が、第二駆動カム面41bにおける傾斜角度α2よりも大きくなるよう形成される。傾斜角度α1、α2の詳細については後に説明する。
【0041】
次に、従動カム部材42について説明する。図1に示すように、八個の従動カム部材42は、上述したように、八本の第一レール31の上方にそれぞれ配置され、従動カム部材42の下端面に設けられた第一係止部43が、第一レール31の延在方向に案内されて移動するよう第一レール31の溝31aに係止される。
【0042】
八個の従動カム部材42は、対応する駆動カム部材41の各第一駆動カム面41a、及び第一駆動カム面41aと対向するように、第二支持部材30の中心軸C2と背向する側、即ち、第二支持部材30における径方向外側に向かって第一従動カム面42a及び第二従動カム面42bが形成される(図5参照)。第一従動カム面42a及び第二従動カム面42bは、第一レール31側から重力方向上方に向かって順番に隣接、つまり連続して形成される。
【0043】
そして、駆動カム部材41が下方(第一方向)に向かって移動する場合に、第一方向への移動量に応じ、第一従動カム面42a及び第二従動カム面42bが、それぞれ対応する第一駆動カム面41a及び第二駆動カム面41bとそれぞれ面同士で順番に係合する。
【0044】
具体的には、駆動カム部材41が上下方向における下方に向かって移動すると、図6に示すように初めに、第一従動カム面42aと対応する第一駆動カム面41aが第一従動カム面42aと係合し、図6に示す第一係合状態を形成する。その後、第一係合状態において、駆動カム部材41がさらに下方に移動することによって、図7に示すように、第一係合状態が解除される。図7においては、破線が、初めに第一係合状態が形成された状態を示し、実線が、第一駆動カム面41aが下方に移動したことにより、第一係合状態が解除された状態を示している。
【0045】
そして、その後、駆動カム部材41がさらに下方に移動することによって、第二従動カム面42bと対応する第二駆動カム面41bが第二従動カム面42bと係合し、図8に示す第二係合状態を形成する。第二係合状態は、第一係合状態が解除された状態でもある。図8においては、破線が、初めに第一係合状態が解除された状態を示す。そして、実線が、第一駆動カム面41aがさらに下方に移動し、第二係合状態が形成された状態で第二係合状態の終点位置まで移動した状態を示している。
【0046】
詳細に説明すると、駆動カム部材41が上下方向における下方(第一方向)に向かって移動すると、係合するカム面41a、42a同士が相対的に摺動し、従動カム部材42が、駆動カム部材41の下方への移動量L1A、及び第一係合状態における第一駆動カム面41aの傾斜角度α1に応じた移動量L2だけ上下方向(第一方向)と直交する第二方向に移動する。
【0047】
このとき、第一係合状態において、移動量L2だけ移動させることにより、従動カム部材42における第二従動カム面42bと背向する面、即ち、中心軸C2側の面に固定され従動カム部材42と一体移動する金型50の可動型51を、第二方向に空走させた後、外軸80の予め設定された所定の位置に当接させる。
【0048】
また、第一係合状態の解除後、駆動カム部材41が上下方向における下方に向かってさらに移動すると、係合するカム面41b、42b同士が相対的に摺動し、従動カム部材42が、駆動カム部材41の下方への移動量L1B、及び第二係合状態における第二駆動カム面41bの傾斜角度α2に応じた移動量L3だけ上下方向と直交する第二方向に移動する。
【0049】
第二係合状態において、従動カム部材42を移動量L3だけ移動させることにより、可動型51によって、外軸80の外側面をプレス装置によって発生させた所定の加圧力によって押圧する。このとき、係合するカム面41b、42bは、大きな面積を有した平面同士が係合し摺動することによって、駆動カム部材41から従動カム部材42及び可動部51に駆動力を伝達する。つまり、摺動時における各カム面41b、42bの面圧を低い値に抑制できる。このため、係合したカム面41b、42bによって、大きな駆動力の伝達が可能である。これにより、可動型51と内軸60(固定型)とによって外軸80を所定の駆動力で挟み込み、外軸80の外形を所望の形状に変形させ、外軸80の内周面と樹脂被膜70との間の隙間を良好に縮小させることができる。このとき、移動量L3は、例えば、0.5mm以下程度の大きさである。
【0050】
なお、各傾斜角度α1、α2は、各図に示した角度に限らず、下記の条件を満たせばどのような角度で設定してもよい。つまり、図9Aに示すように、第一係合状態において、駆動カム部材41が下方向(第一方向)に基準移動量BL(破線と実線との間)だけ移動したとき、従動カム部材42が上下方向と直交(交差)する第二方向に移動される移動量を第一移動量BL1(図略)とする。また、図9Bに示すように、第二係合状態において、駆動カム部材41が下方向に基準移動量BL(破線と実線との間)だけ移動したとき、従動カム部材42が上下方向と直交(交差)する第二方向に移動される移動量を第二移動量BL2とする。そして、第一移動量BL1が第二移動量BL2よりも大きくなるよう第一駆動カム面41a及び第二駆動カム面41bの各傾斜角度α1、α2を設定すればよい(BL1>BL2)。なお、基準となる基準移動量BLの大きさは、任意に設定すればよい。
【0051】
このように設定されることにより、第一係合状態においては、従動カム部材42、即ち従動カム部材42と一体移動する可動型51は、第一駆動カム面41aの上下方向(第一方向)への移動量に対して大きく移動するので、加工を行なわない空走時間を短縮できる。また、第二係合状態においては、従動カム部材42(可動型51)は、第一駆動カム面41aの下方向(第一方向)への移動量に対して、第一係合状態における場合よりも小さく移動するので、力強く確実に外軸80の外側の面を押圧できる。
【0052】
また、図5に示すように、駆動カム部材41が備える第二逃げ面41dと第二駆動カム面41bとの間は所定の突状曲面で形成される第一曲面部41eによって接続される。また、従動カム部材42の第二従動カム面42bと重力方向における上方の端面との間は、所定の突状曲面で形成される第二曲面部42cによって接続される。このとき、第一曲面部41e及び第二曲面部42cは、単に曲面であればよく、一定のRを有して形成されていなくてもよい。ただし、一定のRで形成されていてもよい。
【0053】
このように、第一曲面部41e及び第二曲面部42cが形成されることにより、第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとが係合した第一係合状態において、駆動カム部材41がさらに下方向(第一方向)に移動し、第一係合状態から脱離する状態に遷移する場合、図7に示すように、第一曲面部41eと第二曲面部42cとが係合し相互に摺動しながら、第一係合状態における第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとの係合をスムーズに脱離させることできる。これにより、第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが係合する第二係合状態にスムーズに移行させることができる。ただし、この態様に限らず、第一曲面部41eと第二曲面部42cは有していなくてもよい。この場合、第一係合状態が解除された後に、駆動カム部材41がさらに下方向(第一方向)に移動したのちに第二係合状態が形成されてもよい。これによっても十分な効果は得られる。
【0054】
(1−4.作用)
次に作用について、図10のフローチャートに基づき説明する。なお、前提として、金型作動ユニット8が備える第二支持部材30には、上述したように、内軸60が中心軸C2と軸線が位置するよう固定されているものとする(図1参照)。このとき、内軸60の上方部分には、図3に示すように、表面に樹脂被膜70が形成されている。そして、樹脂被膜70の外側には、外軸80が挿嵌されている。
【0055】
なお、以降の説明においては、駆動カム部材41及び従動カム部材42の作動について説明する際、説明の都合上、多くの場合、それぞれ一個の駆動カム部材41及び従動カム部材42について説明している。しかし、実際には、残りの駆動カム部材41及び従動カム部材42も同様の作動内容であるため、説明を省略するものであることを予め断っておく。
【0056】
第一工程S10では、金型作動ユニット8の制御装置が図略の制御装置の指令によりプレス装置10を作動させる。これにより、図略のサーボ油圧ポンプが作動され、油圧機構収容部14内の油圧室12に所定圧の油圧が供給され、油圧機構収容部14内に備えるスライド軸13が図1における上下方向の下方(第一方向)に向けて作動される。これにより、第一支持部材20に固定された八個の駆動カム部材41が一斉に第一支持部材20と一体で下降する。
【0057】
第二工程S20では、図6図7に示すように、まず、駆動カム部材41の第一駆動カム面41aと、従動カム部材42の第一従動カム面42aとが係合し第一係合状態が形成される。そして、図7に示すように、第一係合状態が形成された状態で、駆動カム部材41がさらに下方に向かって所定の速度で移動すると、係合するカム面41a、42a同士が相対的に摺動し、従動カム部材42が、駆動カム部材41の下方(第一方向)への移動量L1A、及び第一係合状態にある第一駆動カム面41a(第一従動カム面42a)の傾斜角度α1に応じた移動量L2だけ上下方向(第一方向)と直交する第二方向(図7、矢印A方向参照)に移動する。
【0058】
なお、このとき、第一駆動カム面41a及び第一従動カム面42aはともに、第二駆動カム面41b及び第二従動カム面42bよりも上下方向において下方である第一レール31側の低い位置に形成されている。これにより、第一係合状態においては、第一駆動カム面41aが第一従動カム面42aを上方からの成分を有して押圧する際、従動カム部材42が安定して駆動カム部材41との係合状態を維持しながら移動できる。このため、移動量L2を大きくするため、傾斜角度α1が、さらに大きく設定されても、従動カム部材42は安定して上下方向と直交する第二方向に移動できる。
【0059】
また、このとき、従動カム部材42は、第一レール31及び第二レール32に案内される。つまり、従動カム部材42は、第一レール31及び第二レール32が延在される方向であるとともに上下方向(第一方向)と直交する第二方向に案内される。これにより、従動カム部材42はさらに安定して上下方向と直交する第二方向に移動できる。また、このとき、駆動カム部材41の下方向への移動量L1Aが、カム面41a、42a同士の係合を解除させる距離である場合、従動カム部材42の移動量L2は、従動カム部材42に固定された可動型51の外軸80側の所定の位置に当接する移動量である。
【0060】
第三工程S30では、図7に示すように、第一係合状態において、駆動カム部材41がさらに下方向(第一方向)に移動し、第一係合状態から脱離される状態に遷移する。この場合、上述したように、第一曲面部41eと第二曲面部42cとが係合し相互に摺動しながら、第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとの係合をスムーズに脱離させる。これにより、第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが係合する第二係合状態にスムーズに移行させることができる。
【0061】
第四工程S40では、図8に示すように、第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとが第一係合状態から脱離したのちに、第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが第二係合状態を形成する。そして、第二係合状態が形成された状態で、駆動カム部材41がさらに下方に向かって所定の速度で移動すると、係合するカム面41b、42b同士が相対的に摺動し、従動カム部材42が、駆動カム部材41の下方への移動量L1B、及び第二係合状態にある第二駆動カム面41b(第二従動カム面42b)の傾斜角度α2に応じた移動量L3だけ上下方向(第一方向)と直交する第二方向(図8、矢印B方向参照)に移動する。
【0062】
上記において、移動量L1Bは、従動カム部材42の移動量L3が、外軸80の外形面を変形させるのに必要な移動量となるよう制御される。このような制御によって、外軸80は径方向外側に八方向から各可動型51によって押圧され変形されて所望の形状に成形される(図4参照)。また、駆動カム部材41及び従動カム部材42の係合を、カム面の傾斜角度に応じて二段階(第一係合状態及び第二係合状態)とすることにより、成形物(外軸80)を加工しない空走部分では従動カム部材42を大きく移動させ、成形物を加工する部分では従動カム部材42を小さく移動させるようにした。これにより、従来技術のように、加工しない空走部分において従動カム部材42大きく移動させるため、プレス装置以外にシリンダ装置等を設ける必要がないためコスト低減を図ることができる。
【0063】
なお、このとき、上述したように可動型51は、従動カム部材42において、第一従動カム面42aより上方に配置される第二従動カム面42bと背向する面、即ち、中心軸C2側の面に固定されている。このため、可動型51は、第二駆動カム面41bによって、従動カム部材42が上下方向(第一方向)と直交する第二方向に付勢されると、可動型51には、従動カム部材42から効率よく押圧力が伝達され、効率的に外軸80の成形ができる。
【0064】
(1−5.第一実施形態による効果)
上記第一実施形態によれば、金型作動用カム装置40は、プレス装置10の駆動によって金型50の可動型51を作動させ成形品を形成する装置である。金型作動用カム装置40は、プレス装置10の駆動によって所定の第一方向(重力方向における上下方向)に移動可能であり、第一方向において離間して設けられ、平面であるとともに第一方向に対して異なる傾斜角度α1、α2を有して形成される第一駆動カム面41a及び第二駆動カム面41bを備える駆動カム部材41を備える。
【0065】
また、金型作動用カム装置40は、第一方向と直交(交差)する第二方向に移動可能であり、駆動カム部材41の第一方向への移動量L1A、L1Bに応じ第一駆動カム面41aに面同士で係合可能な第一従動カム面42a及び第二駆動カム面41bに面同士で係合可能な第二従動カム面42bを備え、可動型51を移動させる従動カム部材42を備える。そして、第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとが係合する状態を第一係合状態と定義し、第一係合状態から駆動カム部材41が第一方向へ移動した場合に第一係合状態が解除された状態で、且つ第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが係合する状態を第二係合状態と定義する。
【0066】
そして、第一係合状態において駆動カム部材41が第一方向(重力方向下方)に移動すると、第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとが摺動し、従動カム部材42が、駆動カム部材41の第一方向への移動量L1A及び第一駆動カム面41aの傾斜角度α1に応じた移動量L2だけ重力方向と直交する第二方向に移動する。また、第二係合状態において駆動カム部材41が重力方向下方(第一方向)に移動すると、第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが摺動し、従動カム部材42が、駆動カム部材41の重力方向下方への移動量L1B及び第二駆動カム面41bの傾斜角度α2に応じた移動量L3だけ第一方向と直交(交差)する第二方向に移動する。これにより、可動型51を第二方向に移動させ成形品(外軸80)を成形する。
【0067】
このように、金型作動用カム装置40では、二つの係合状態として第一係合状態及び第二係合状態を備える。第一係合状態では、駆動カム部材41の第一駆動カム面41aと従動カム部材42の第一従動カム面42aとが面同士で係合する。そして、第一係合状態によって可動型51を成形品の近傍まで素早く移動させることができる。また、第二係合状態では、駆動カム部材41の第二駆動カム面41bと従動カム部材42の第二従動カム面42bとが面同士で係合する。第二係合状態において、駆動カム部材41から従動カム部材42に大きな駆動力が伝達される際、各カム面41b、42b同士が摺動されても、面同士であるため、各カム面41b、42bの面圧は低い値に抑制され大きな駆動力の伝達が可能となる。これにより、大きな駆動力が必要な成形品に対しても、確実に加工を行なうことができる。即ち、上記第一実施形態では、二段階の係合状態を備える金型作動用カム装置40を用いることにより、可動型51を成形品の近傍まで素早く移動させることと、大きな駆動力によって成形品に対して良好に加工を行なうこととを両立させることができる。
【0068】
また、上記第一実施形態によれば、第一方向と直交(交差)する第二方向に従動カム部材42と可動型51とは一体で移動する。これにより、成形品には可動型51を介して精度よく成形が行なえる。
【0069】
また、上記第一実施形態によれば、駆動カム部材41が重力方向下方(第一方向)に移動したとき、最初に第一係合状態が形成され、駆動カム部材41が第一方向(下方向)にさらに移動し、第一係合状態が解除された後に第二係合状態が形成されるとした場合、第一係合状態において、駆動カム部材41が第一方向に基準移動量BLだけ移動したとき、従動カム部材42が第一方向と交差する第二方向に移動される移動量を第一移動量BL1とし、第二係合状態において、駆動カム部材41が第一方向に基準移動量BLだけ移動したとき、従動カム部材42が第二方向に移動される移動量を第二移動量BL2とすると、第一移動量BL1は第二移動量BL2よりも大きい。
【0070】
このように、第一係合状態と第二係合状態とでは、駆動カム部材41が同じ第一方向に同じ基準移動量BLだけ移動したときに、従動カム部材42が第二方向に移動される移動量が異なる。このような構成によって、駆動源が一つだけであるにもかかわらず、従動カム部材42の二段階の移動パターンを形成できる。
【0071】
また、上記第一実施形態によれば、金型作動用カム装置40は、プレス装置10に支持され、従動カム部材42の第一方向と交差する第二方向への移動を案内する第一レール31をさらに備え、従動カム部材42は、第一レール31の重力方向上方に配置されるとともに、第一方向と交差(直交)する第二方向に移動する場合に第一レール31に案内されて移動可能となるよう下部が第一レール31に係合される。これにより、従動カム部材42は、重力方向下方の第一レール31によって安定して支持されつつ、第二方向に安定して移動できる。
【0072】
また、上記第一実施形態によれば、従動カム部材42の第一従動カム面42aは、重力方向における上下方向(第一方向)において、第二従動カム面42bより第一レール31側に配置される。これにより、第一係合状態においては、第一駆動カム面41aが第一従動カム面42aを上方からの成分を有して押圧する際、従動カム部材42が安定して係合状態を維持できる。このため、従動カム部材42の移動量L2を大きくするため、傾斜角度α1が大きく設定されても、従動カム部材42は安定して上下方向(第一方向)と直交する第二方向に移動できる。
【0073】
また、上記第一実施形態によれば、従動カム部材42は、重力方向において第二従動カム面42に対応する高さに可動型51を保持する。このため、第二係合状態が形成され、第二駆動カム面41bが、従動カム部材42の第二従動カム面42bと係合し摺動することにより、従動カム部材42及び可動型51が重力方向(第一方向)と直交する第二方向に移動する際、駆動カム部材41からの駆動力が従動カム部材42及び可動型51を介して効果的に外軸80に伝達される。
【0074】
また、上記第一実施形態によれば、金型作動用カム装置40は、プレス装置10に支持され、第一レール31と協働し従動カム部材42の第二方向への移動を案内する第二レール32をさらに備え、第二レール32は、従動カム部材42の重力方向上方に配置されるとともに、従動カム部材42が第一方向(上下方向)と交差する第二方向に移動可能となるよう上部が第二レール32に係合される。これにより、従動カム部材42は、より安定して第二方向に移動できる。
【0075】
また、上記第一実施形態によれば、駆動カム部材41は、第一レール31側から重力方向上方に向かう順に、第一駆動カム面41aと、従動カム部材42と接触しないよう形成される第一逃げ面41c及び第二逃げ面41dと、第二駆動カム面41bと、を備え、従動カム部材42は、第一レール31側から重力方向上方に向かう順に、第一駆動カム面41aと対応し第一係合状態において第一駆動カム面41aと対向し係合する第一駆動カム面41aと、第二駆動カム面41bと対応し第二係合状態において第二駆動カム面41bと対向し係合する第二従動カム面42bと、を備える。これにより、第一駆動カム面41aと第一駆動カム面41aとの係合、及び第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとの係合が確実に行なえる金型作動用カム装置40が得られる。
【0076】
また、上記第一実施形態によれば、駆動カム部材41が備える第二逃げ面41dは、駆動カム部材41が移動する第一方向に対し傾斜する傾斜面で形成される。従って、駆動カム部材41の肉部が増加し断面係数が大きくなる。これにより、第二逃げ面41dは、従動カム部材42と接触しないという目的を達成しながら、駆動カム部材41の強度を確保することができる。
【0077】
また、上記第一実施形態によれば、駆動カム部材41が備える第二逃げ面41dと第二駆動カム面41bとは所定の突状曲面で形成される第一曲面部41eによって接続され、従動カム部材42の第二従動カム面42bと重力方向における上方の端面とは、所定の突状曲面で形成される第二曲面部42cによって接続され、第一駆動カム面41a及び第一従動カム面42aが係合した第一係合状態において駆動カム部材41がさらに第一方向に移動し、第一係合状態から脱離する状態に遷移する場合、第一曲面部41eと第二曲面部42cとが係合し相互に摺動しながら、第一駆動カム面41aと第一従動カム面42aとの係合が脱離されるとともに、第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが係合する第二係合状態に移行する。これにより、第二駆動カム面41bと第二従動カム面42bとが係合する第二係合状態にスムーズに移行させることができる。
【0078】
(2.その他)
(2−1.変形例1)
なお、上記実施形態においては、駆動カム部材41及び従動カム部材42では、重力方向における下方のカム面41a、42aによって第一係合状態を形成し、上方のカム面41b、42bによって第二係合状態を形成した。しかしながら、この態様には限らず、変形例1として、図11Aに示すように、従動カム部材142の重力方向における下方の第二従動カム面142bによって第二係合状態を形成し、図11Bに示すように、上方の第一従動カム面142aによって第一係合状態を形成してもよい。
【0079】
このとき、駆動カム部材141は、逃げ面を備えていないが、第一係合状態を形成する第一駆動カム面141aは、第二係合状態を形成する第二駆動カム面より下方に位置し、上記実施形態と同様である。また、このとき、第一駆動カム面141a(第一従動カム面142a)の傾斜角度α3は、第二駆動カム面141b(第二従動カム面142b)の傾斜角度α4より大きいものとする。このような構成によっても、第一係合状態時における従動カム部材142の安定度は減少するものの、コスト低減に対して相応の効果が得られる。
【0080】
(2−2.変形例2)
また、上記実施形態では、金型作動用カム装置40は、下方における第一レール31だけではなく、上方にも第二レール32を設けて従動カム部材42をレールの延在方向に案内するものとして説明したが、この態様には限らない。変形例2(図略)として、金型作動用カム装置40は、従動カム部材42の上方を支持する第二レール32を備えていなくてもよい。特に、第一実施形態における金型作動用カム装置40では、駆動カム部材41及び従動カム部材42の各カム面同士の係合においては、上述した様に、従動カム部材42の移動が大きく、安定が要求される第一係合状態が、第一レール31近傍の低い位置で形成されるため、第二レール32を有していなくても、移動時において、従動カム部材42は十分な安定が得られる。
【0081】
(2−3.変形例3)
また、上記実施形態では、可動型51が、従動カム部材42と一体的に移動する態様について説明した。しかしこの態様には限らず、変形例3(図略)として、可動型は、リンク等が介在された状態で従動カム部材42と連結されていてもよい。つまり、従動カム部材42の移動によりリンク等の介在物を作動させ、リンク等の介在物の作動により外軸80を成形しても良い。これによっても同様の効果が得られる。
【0082】
(2−4.変形例4)
また、上記実施形態では、金型作動ユニット8により成形する成形品は、ステアリング装置90が備えるインターミディエイトシャフト5であるものとして説明したが、この態様には限らない。変形例4(図略)として金型作動ユニット8により成形する成形品は、可動型を押しつけ、外形を変形させることにより外形を形成するものであればどのようなものでもよい。また、可動型の数も、本実施形態のように複数でなくてもよく、一個であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
5;インターミディエイトシャフト、 8;金型作動ユニット、 10;プレス装置、 31;第一レール、 32;第二レール、 40;金型作動用カム装置、 41、141;駆動カム部材、 41a、141a;第一駆動カム面、 41b、141b;第二駆動カム面、 41c;第一逃げ面、 41d;第二逃げ面、 41e;第一曲面部、 42、142;従動カム部材、 42a、142a;第一従動カム面、 42b、142b;第二従動カム面、 42c;第二曲面部、 50;金型、 51;可動型、 60;内軸、 80;外軸、 81;溝、 BL;基準移動量、 BL1;第一移動量、 BL2;第二移動量、 C1、C2;中心軸、 L1A、L1B、L2、L3;移動量、 α1−α4;傾斜角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B