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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-37995(P2021-37995A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】収容袋及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/16 20060101AFI20210212BHJP
【FI】
   B65D33/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-160379(P2019-160379)
(22)【出願日】2019年9月3日
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】岡本 衛
(72)【発明者】
【氏名】田村 正幸
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BC18
3E064EA04
3E064HN05
3E064HU10
(57)【要約】
【課題】収用袋における一対のフィルム部の塗工境界どうしの位置合わせの負担を軽減する。
【解決手段】収容袋10の一対のフィルム部11の縁側部11bどうしを合わせて溶着することで、複数の間欠溶着部14と連結溶着部15を含む溶着パターン13を形成する。各フィルム部11における縁側部11bの外縁部分11dは離型層12が設けられていない非塗工部R2であり、それより内側の部分は離型層12が設けられた塗工部R1である。間欠溶着部14を縁長方向へ間隔を置いて並べる。間欠溶着部14の少なくとも一部は塗工部R1に配置する。連続溶着部15は、非塗工部R2に配置し、縁長方向へ連続させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋内室を画成するとともに縁側部どうしが合わせられた一対のフィルム部と、
これらフィルム部の前記縁側部どうしを溶着してなる溶着パターンと、を備え、
各フィルム部における前記縁側部の外縁部分は離型層が設けられていない非塗工部であり、各フィルム部における前記非塗工部より内側の部分は前記袋内室を向く内面に離型層が設けられた塗工部であり、
前記溶着パターンが、複数の間欠溶着部と、連続溶着部とを含み、
前記間欠溶着部が前記縁側部に沿う縁長方向へ間隔を置いて並べられ、かつ前記間欠溶着部の少なくとも一部は前記塗工部に配置されており、
前記連続溶着部は、前記非塗工部に配置されて前記縁長方向へ連続して延びていることを特徴とする収容袋。
【請求項2】
前記各間欠溶着部が、長手方向を前記縁長方向と交差させて前記塗工部と前記非塗工部とに跨る細長形状であることを特徴とする請求項1に記載の収容袋。
【請求項3】
前記縁側部の縁長方向と直交する縁幅方向における前記間欠溶着部の長さが、一方のフィルム部の塗工部と非塗工部との境と、他方のフィルム部の塗工部と非塗工部との境との許容ずれ量より大きいことを特徴とする請求項2に記載の収容袋。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の収容袋の製造方法であって、
前記間欠溶着部を超音波溶着によって形成し、
前記連続溶着部を熱溶着によって形成することを特徴とする収容袋製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム部の縁側部を溶着してなる収容袋及びその製造方法に関し、特にフィルム部が離型層の塗工部と非塗工部とに区分けされた収容袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の収容袋は一対のフィルム部を含む。これらフィルム部における折り目及び開口を除く縁側部どうしが合わせられて溶着されている。溶着手段としては、ヒートシール(熱溶着)が一般的である。
一方、収容対象の内容物がホットメルト接着剤などの粘着性物である場合、フィルム部の内面にシリコーン等の離型層が塗工されることが多いが、離型層があるとヒートシールしにくい。そこで、フィルム部におけるヒートシールすべき縁側部には離型層を塗工しないようにしている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献2には、縁側部を超音波溶着によってシールした袋が開示されている。超音波溶着によれば、離型層の塗工部であっても溶着可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−101931号公報
【特許文献2】実開昭59−115747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
離型層の塗工部と非塗工部とに区分けされたフィルム部どうしをヒートシールする際は、これらフィルム部における塗工境界(塗工部と非塗工部との境)どうしが一致するように位置合わせする必要があった。少しでもずれがあると、片方のフィルム部の非塗工部の一部が袋内室に露出し、該露出非塗工部分に内容物がくっ付くおそれがあった。しかし、2つのフィルム部の塗工境界どうしを正確に一致させるのは容易でない。
本発明は、かかる事情に基づき、収容袋におけるフィルム部の塗工境界どうしの位置合わせの要求精度を緩和して、位置合わせの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、前記課題を解決するために、鋭意研究考察を行った。
超音波溶着によって連続的に線溶着を行う場合、溶着時の加圧力が大きいとピンホール(貫通孔)やエッジ切れ(端部破断)などの破断が起きやすい。前記加圧力を小さくすれば破断しないようにできるが、溶着強度が足らず、内容物の押し出し圧等によって簡単に破袋するおそれがある。
一方、超音波溶着を間欠的に行えば加圧力を大きくしてもピンホールなどの破断を防止できる。間欠的な溶着部は、気体や低粘度物の通り抜けを阻止し得ないが、固体や高粘度物を堰き止める機能を発揮し得る。
本発明は、かかる知見及び考察に基づいてなされたものであり、
袋内室を画成するとともに縁側部どうしが合わせられた一対のフィルム部と、
これらフィルム部の前記縁側部どうしを溶着してなる溶着パターンと、を備え、
各フィルム部における前記縁側部の外縁部分は離型層が設けられていない非塗工部であり、各フィルム部における前記非塗工部より内側の部分は前記袋内室を向く内面に離型層が設けられた塗工部であり、
前記溶着パターンが、複数の間欠溶着部と、連続溶着部とを含み、
前記間欠溶着部が前記縁側部に沿う縁長方向へ間隔を置いて並べられ、かつ前記間欠溶着部の少なくとも一部は前記塗工部に配置されており、
前記連続溶着部は、前記非塗工部に配置されて前記縁長方向へ連続して延びている収容袋を特徴とする。
【0007】
当該収容袋によれば、固体や高粘度の内容物が外縁側へ移動されようとしたときは、間欠溶着部によって堰き止められる。したがって、非塗工部の一部(露出非塗工部分)が袋内室に露出していても該露出非塗工部分に内容物が接するのを抑制又は防止できる。このため、2つのフィルム部における塗工部と非塗工部との境(塗工境界)どうしが正確に位置合わせされていなくてもよく、位置合わせの負担を軽減できる。
内容物からの揮発成分などが間欠溶着部どうしの間を通り抜けて外へ漏れようとしたときは、連続溶着部によって漏れを阻止できる。かつ連結溶着部によって、外部からの空気や塵埃などの侵入を阻止できる。
【0008】
前記各間欠溶着部が、長手方向を前記縁長方向と交差させて前記塗工部と前記非塗工部とに跨る細長形状であることが好ましい。
前記縁側部の縁長方向と直交する縁幅方向における前記間欠溶着部の長さが、一方のフィルム部の塗工部と非塗工部との境(塗工境界)と、他方のフィルム部の塗工部と非塗工部との境(塗工境界)との許容ずれ量より大きいことが好ましい。
これによって、2つのフィルム部の塗工境界どうしがずれていたとしても、前記許容ずれ量の範囲内であれば、間欠溶着部がこれら塗工境界を跨ぐようにでき、間欠溶着部による堰き止め機能によって、内容物が前記露出非塗工部分に接するのを確実に抑制又は防止できる。
許容ずれ量は、例えば製品の品質が確保され得る範囲内で設定される。間欠溶着部の縁幅方向の長さに応じて許容ずれ量を設定してもよい。
【0009】
前記フィルム部の互いに直交する2つの縁側部にそれぞれ前記溶着パターンが設けられ、これら2つの縁側部の間欠溶着部が、互いに平行かつ対応する縁側部の縁長方向に対して斜めに延びていることが好ましい。
これによって、2つの縁側部どうしが交わるコーナーにおいて、これら縁側部の間欠溶着部どうしが十字に交差するのを回避でき、十字交差による破断を防止できる。
【0010】
本発明方法は、前記収容袋を製造する方法であって、
前記間欠溶着部を超音波溶着によって形成し、
前記連続溶着部を熱溶着によって形成することを特徴とする。
これによって、離型層の塗工部であっても間欠溶着部の接合強度を十分に高くできる。非塗工部の外縁部分は熱溶着(ヒートシール)によって確実に溶着できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収容袋におけるフィルム部の塗工境界どうしの位置合わせの要求精度を緩和して、位置合わせの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る収容袋の正面図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿う、前記収容袋の断面図である。
図3図3は、図1の円部IIIを拡大して示す正面図である。
図4図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図5図5は、図3のV−V線に沿う断面図である。
図6図6は、前記収容袋の製造工程を解説的に示す斜視図である。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る収容袋の側縁部の一部を拡大して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(図1図7)>
図1及び図2は、第1実施形態に係る収容袋10を示したものである。
収容袋10の内容物9は、例えばホットメルト接着剤(粘着性物)である。ホットメルト接着剤は、収容袋10への充填時には加熱溶融されることによって流動性ないしは粘性を付与されており、その後、冷却されることで硬化して固形物となる。
【0014】
収容袋10は1枚の樹脂フィルム19によって構成されている。樹脂フィルム19の材質は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂でもよく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(登録商標)、その他の樹脂であってもよい。樹脂フィルム19は、前記ホットメルト接着剤の充填時の加熱温度で溶けない程度の耐熱性を有していることが好ましい。耐熱性の観点からは、6ナイロン(登録商標)、66ナイロン(登録商標)などが好適である。
樹脂フィルム19が、複数の樹脂層を積層したラミネートフィルムであってもよい。ラミネートフィルムにはアルミなどの金属バリア層が含まれていてもよい。
【0015】
樹脂フィルム19が2つ折りにされることで、一対のフィルム部11が構成されている。フィルム部11が折り目10fを介して一体に連なっている。折り目10fは、収容袋10の底縁部に配置されている。なお、折り目10fの配置部位は、底縁部に限らず、側方の縁部でもよく、上縁部でもよい。
一対のフィルム部11が互いに対向して、互いの間に袋内室10cが画成されている。袋内室10cに前記ホットメルト接着剤からなる内容物9が収容される。
なお、図において、樹脂フィルム19の厚みは誇張されている。
【0016】
図1及び図2に示すように、フィルム部11は、塗工部R1と、非塗工部R2とに区画されている。塗工部R1は、フィルム部11における折り目10f以外の縁側部11b,11eの外縁部分11dより内側の部分に設定されている。図1等において、塗工部R1は網掛け模様で示す。
縁側部11b,11eは、後記溶着パターン13が設けられた範囲と対応する。外縁部分11dとは、各縁側部11b,11eにおける長手方向(以下「縁長方向」と称す)と直交する縁幅方向の中間部より外縁側の部分を指す。
【0017】
非塗工部R2は、フィルム部11の縁側部11b,11eにおける外縁部分11dに設定されている。縁側部11b,11eの縁幅方向の中間部に塗工部R1と非塗工部R2の境Rb(塗工境界)が配置されている。塗工境界Rbは、対応する縁側部11b,11eの縁長方向に沿って延びている。
【0018】
図2に示すように、フィルム部11の塗工部R1においては、袋内室10cに面する内面11cに離型層12が形成されている。離型層12は、例えばシリコーン樹脂にて構成されている。離型層12の厚さは、好ましくは1μm以下である。離型層12は、内面11cにおける外縁部分11dより内側の部分の全域にわたって被膜されている。
外縁部分11dすなわち非塗工部R2には離型層12が設けられていない。
【0019】
図1及び図2に示すように、2つのフィルム部11の側方の縁側部11bどうし及び上側の縁側部11eどうしが合わせられている。図2に示すように、理想的には、これらフィルム部11の塗工境界Rbがちょうど一致されている。
図4及び図5に示すように、実際には、製造誤差などによって、2つのフィルム部11の塗工境界Rbがずれることもある。
【0020】
図1及び図2に示すように、収容袋10の3つの縁側部11b,11b,11eには、それぞれ縁長方向に沿って溶着パターン13が形成されている。図2及び図3に示すように、溶着パターン13は、多数(複数)の間欠溶着部14と、連結溶着部15とを含む。間欠溶着部14は、超音波溶着によって形成されたものである。連続溶着部15は、熱溶着(ヒートシール)によって形成されたものである。これら溶着部14,15においては、一対のフィルム部11どうしが溶着されて接合一体化されている。
【0021】
各間欠溶着部14は、対応する縁側部11b,11eの縁幅方向へ延びる細長形状(短線状)になっている。複数の間欠溶着部14が、対応する縁側部11b,11eの縁長方向に間隔をおいて、好ましくは等間隔で並べられている。
【0022】
図3に示すように、隣接する間欠溶着部14どうしの配置ピッチP14は、好ましくはP14=0.1mm〜3mm程度であり、より好ましくはP14=0.5〜2mm程度である。
間欠溶着部14の縁幅方向の長さL14は、例えばL14=1mm〜10mm程度である。 好ましくは、図4に示すように、間欠溶着部14の長さは、製造誤差などによる塗工境界Rbのずれ量ΔRbの許容値(以下「許容ずれ量ΔRbmax」)より大きい(L14>ΔRbmax)。
【0023】
図3に示すように、間欠溶着部14の少なくとも一部は塗工部R1に配置されている。詳しくは、各間欠溶着部14は、フィルム部11の塗工部R1と非塗工部R2とに跨っている。図4に示すように、2つのフィルム部11の塗工境界Rbどうしがずれている場合であっても、前記長さ関係(L14>ΔRbmax)のために、間欠溶着部14は、一方(図4の上側)のフィルム部11の塗工部R1と非塗工部R2とに跨るとともに、他方(図4の下側)のフィルム部11の塗工部R1と非塗工部R2にも跨っている。
【0024】
図3に示すように、隣接する間欠溶着部14どうし間には、非接合部16が形成されている。非接合部16においては、フィルム部11どうしが接合されていない。
図5に示すように、製造誤差などによって、2つのフィルム部11の塗工境界Rbどうしがずれていた場合、片方のフィルム部11の非塗工部R2の一部(露出非塗工部分R2a)が、非接合部16の内部を介して袋内室10cに露出され得る。
【0025】
図1に示すように、連結溶着部15は、対応する縁側部11b,11eの縁長方向に沿って連続して延びている。図2及び図3に示すように、連続溶着部15は、非塗工部R2に配置されている。さらに詳しくは、連続溶着部15は、対応する縁側部11b,11eにおける間欠溶着部14よりも外縁側(図3において右側)に離れて配置されている。
【0026】
収容袋10は、次のようにして製造される。
図6に示すように、樹脂フィルム19の原反である連続樹脂フィルム19Xを用意する。該連続樹脂フィルム19Xを袋製造装置2にセットする。袋製造装置2は、送り方向MDの上流側から順に、パターン塗工機20、折り機構22、第1超音波溶着機30、第1熱溶着機40、内容物充填機構50、第2超音波溶着機30B、第2熱溶着機40B、切断機構60を備えている。
【0027】
袋製造装置2の搬送機構(図示省略)によって、連続樹脂フィルム19Xをロール19Rから繰り出し、送り方向MDへ送る。
該連続樹脂フィルム19Xの内面の塗工部R1となる領域(図6の網掛け模様)には、パターン塗工機20によって離型層12を塗工する。
続いて、折り機構22によって、連続樹脂フィルム19Xを幅方向の中央部において2つ折りにする。これによって、一対のフィルム部11,11となるべき部分どうしが重ね合わされる。
これらフィルム部11,11となるべき部分の塗工境界Rbどうしは、間欠溶着部14の長さL14より小さい範囲(ΔRbmax)内で、ずれが許容される。したがって、パターン塗工機20による塗工工程、及び折り機構22による2つ折り工程の要求精度を緩和でき、精度確保の負担を軽減できる。
【0028】
前記重ね合わせた状態の連続樹脂フィルム19Xを、側方の縁側部11b用の超音波溶着機30に導入する。
超音波溶着機30は、ホーン31と、受け部32を有している。これらホーン31と受け部32とが、連続樹脂フィルム19Xの搬送ラインを挟んで対峙している。ホーン31は、超音波振動駆動部33によって超音波振動される。受け部32は、円形の回転盤34と、箱形の軸受け部35を有している。軸受け部35に回転盤34が中心軸まわりにフリー回転可能に支持されている。回転盤34の外周部には平目ローレット36が形成されている。平目ローレット36の凹凸のピッチは、間欠溶着部14のピッチP14と一致している。平目ローレット36の幅は、間欠溶着部14の長さL14と対応している。
【0029】
前記超音波溶着機30によって、側方の縁側部11bの間欠溶着部14を形成する。
詳しくは、平目ローレット36が、二つ折りの連続樹脂フィルム19Xにおける1の縁側部11bとなるべき部分の塗工境界Rbを跨ぐように位置決めする。平目ローレット36は間欠溶着部14の長さL14に対応する幅を有しているから、容易に位置決めできる。2つのフィルム部11,11となるべき部分の塗工境界Rb,Rbどうしが互いにずれていても(図4参照)、許容ずれ量ΔRbmax以内であれば、平目ローレット36が、両方のフィルム部11の塗工境界Rb,Rbを跨ぐようにできる。
【0030】
そして、回転盤34とホーン31との間に、前記縁側部11bとなるべき部分を挟み付けて、加圧力を付与するとともに、ホーン31を超音波振動させる。併行して、ホーン31及び受け部32を、連続樹脂フィルム19Xに対して側方の縁側部11bの縁長方向(図6において上下方向)へ相対移動させる。移動に伴って回転盤34が転動される。
なお、図6においては、作図の都合上、ホーン31及び受け部32をフィルム部11から離して図示する。
これによって、前記1の縁側部11bとなるべき部分に平目ローレット36の形状が転写され、間欠溶着部14が形成される。
2つのフィルム部11,11となるべき部分の塗工境界Rb,Rbどうしが互いにずれていても、間欠溶着部14が縁幅方向へ延びることで両方の塗工境界Rb,Rbを跨ぐようにできる。
【0031】
溶着手段として超音波溶着を採用することによって、溶着領域の一部に離型層12があってもフィルム部11どうしを確実に溶着できる。
間欠溶着部14を間欠的ないしは不連続的に形成することによって、超音波溶着の加圧力をある程度高くしても、フィルム部11にピンホールやエッジ切れその他の破断が生じるのを防止できる。加圧力を高くすることによって間欠溶着部14の接合強度を高めることができる。
【0032】
次に、連続樹脂フィルム19Xを、収容袋10の左右の縁側部11b,11bどうしの間隔分のストロークだけ送り方向MDへ送る。これによって、超音波溶着機30が、もう1つの縁側部11bとなるべき部分と対向する位置に配置される。そして、超音波溶着機30によって、もう1つの縁側部11bの間欠溶着部14及び非接合部16を先程と同様にして形成する。間欠溶着部14が塗工境界Rbを確実に跨ぐようにでき、精度確保の負担を軽減できる点は同様である。
【0033】
このとき、先程の1ストローク先行する縁側部11bとなるべき部分は、熱溶着機40のヒートシールバー41とシール受け42との間に配置される。ヒートシールバー41及びシール受け42は、上下に延びている。該熱溶着機40によって、前記縁側部11bの連続溶着部15が形成される。連続溶着部15は、離型層12が無い非塗工部R2に形成されるから、フィルム部11どうしを確実に熱溶着(ヒートシール)できる。
このようにして、前記縁側部11bとなるべき部分に間欠溶着部14及び連続溶着部15を含む溶着パターン13が形成される。ひいては、連続樹脂フィルム19Xの一部分に仕掛り収容袋10Xが形成される。この段階の仕掛り収容袋10Xは、上縁側部11eが未シール状態で、かつ内容物9が入っていない空の状態である。
【0034】
熱溶着機40よりも送り方向MDの下流側においては、内容物充填機構50によって内容物充填を行う。
内容物充填機構50は、袋開口部51と、充填ノズル52を備えている。袋開口部51は、一対の吸盤53と、図示しない吸盤駆動部を含む。
吸盤53が、収容袋10Xの両フィルム部11をそれぞれ吸着した後、互いに引き離される。これによって、収容袋10Xの上側の縁側部11eが開口される。該開口された縁側部11eの上方に充填ノズル52が臨む。
続いて、ホットメルト接着剤(内容物9)を加熱溶融状態で充填ノズル52から吐出して、収容袋10X内の袋内室10cに充填する。
充填後、吸盤53の吸着を解除する。
充填された溶融状態のホットメルト接着剤が非接合部16内に入り込もうとしても、非接合部16内は極めて狭隘であり、かつホットメルト接着剤自体が粘度を有しているために、入り込みを制限される。
【0035】
内容物充填機構50よりも送り方向MDの下流側においては、超音波溶着機30B及び熱溶着機40Bによって上縁側部11eの封止が行われる。
超音波溶着機30Bは、前記超音波溶着機30に対して、向きが90度異なっている点を除き、超音波溶着機30と同一構造になっている。
該超音波溶着機30Bによって、上縁側部11eの間欠溶着部14及び非接合部16を形成する。間欠溶着部14が塗工境界Rbを確実に跨ぐようにでき、精度確保の負担を軽減できる点などは、側方の縁側部11bの超音波溶着と同様である。
【0036】
熱溶着機40Bは、前記熱溶着機40に対して向きが90度異なり、送り方向MDに沿って水平に延びている点を除き、熱溶着機40と同一構造になっている。
該熱溶着機40Bによって、上縁側部11eの連続溶着部15を形成する。
これによって、上縁側部11eに溶着パターン13が形成される。このようにして、収容袋10Xの4つの縁が閉塞され、その内部にホットメルト接着剤(内容物9)が封入される。
【0037】
熱溶着機40Bよりも送り方向MDの下流側には切断機構60が設けられている。該切断機構60のカッターによって連続樹脂フィルム19Xから収容袋10を切り出す。
このようにして、内容物9(ホットメルト接着剤)入りの収容袋10が得られる。
【0038】
収容袋10における間欠溶着部14は、内容物9の堰き止め機能を担う。
すなわち、図4の白抜き矢印にて示すように、内容物9が、非塗工部R2側へ移動されようとしたときは、間欠溶着部14によって堰き止められる。間欠溶着部14は接合強度が高く、かつ縁幅方向に延びているために、縁幅方向の力に対して強い抗力を発現し得る。したがって、内容物9を確実に堰き止めることができる。この結果、内容物9が外部へ押し出されるのを阻止でき、収容袋10の破袋を防止することができる。
【0039】
図5に示すように、製袋時の位置決め誤差などによって非塗工部R2の一部(露出非塗工部分R2a)が袋内室10cに露出していたとしても、間欠溶着部14の堰き止め機能によって、内容物9が露出非塗工部分R2aまで達するのを阻止できる。よって、内容物9が露出非塗工部分R2aに粘着されるのを防止できる。逆に言うと、2つのフィルム部11,11における塗工境界Rbどうしが正確に位置合わせされていなくてもよく、位置合わせの精度確保の負担を軽減できる。
【0040】
内容物9からの揮発成分を含む気体その他の低粘度流体は、非接合部16内に入り込み得るが、非接合部16内が狭隘であるために、大きな流通抵抗を受けて十分に減勢される。たとえ非接合部16を通り抜けたとしても、連結溶着部15によって袋内室10cから漏れ出るのが阻止される。
さらに、連結溶着部15によって、外部の空気や塵埃などが袋内室10cの内部に浸入するのを防止できる。
【0041】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を簡略化する。
<第2実施形態(図7)〜間欠溶着部の変形態様(1)>
図7に示すように、第2実施形態の収容袋10Bにおいては、溶着パターン13Bの各間欠溶着部18が小さい円形状ないしはスポット状に形成されている。間欠溶着部18は、塗工部R1における塗工境界Rb側の部分(縁側部の)に配置されている。つまり、間欠溶着部18の全体が塗工部R1に配置されており、塗工境界Rbを跨いでいない。多数(複数)の間欠溶着部18が、対応する縁側部11b(又は11e)の縁長方向に間隔を置いて一列に並べられている。
収容袋10Bにおいても、間欠溶着部18によって、内容物9が非塗工部R1へ向かうのを堰き止めることができる。
なお、間欠溶着部18は縁長方向だけでなく縁幅方向にも分布されていてもよい。間欠溶着部18が、複数列に並べられていてもよく、三角格子又は四角格子状に配置されていてもよい。一部の間欠溶着部18が非塗工部R2に配置されていてもよい。
【0042】
<間欠溶着部の変形態様(2)>
第1実施形態(図1図6)の変形態様として、溶着パターン13の細長形状の間欠溶着部が、対応する縁側部11b,11eにおける縁長方向及び縁幅方向に対して斜めに延びていてもよい。
斜め間欠溶着部の傾斜角度は、縁長方向に対して好ましくは45°程度である。各縁側部11b,11eにおける複数の斜め間欠溶着部どうしは、縁長方向に間隔を置いて、好ましくは等間隔で平行に並べられる。各斜め間欠溶着部は、塗工部R1と非塗工部R2とに跨る。斜め間欠溶着部の縁幅方向に沿う長さは、フィルム部11の塗工境界Rbどうしの許容ずれ量ΔRbmaxより大きい。
隣接する斜め間欠溶着部どうし間には、細長状の非接合部が縁長方向及び縁幅方向に対して斜めに形成される。
斜め間欠溶着部は、前記平目ローレット36に代えて斜めローレットを有する超音波溶着機を用いることで形成される。
【0043】
好ましくは、収容袋10における3つの縁側部11b,11b,11eの斜め間欠溶着部どうしの傾斜方向は、互いに一致している。直交する2つの縁側部11b,11eが交わるコーナー部においては、これら2つの縁側部11b,11eの溶着パターン13の斜め間欠溶着部どうしが、互い違いに、かつ平行に配置される。つまり、側方の縁側部11bの溶着パターン13の隣接する2つの斜め間欠溶着部の間に、上縁側部11eの溶着パターン13の斜め間欠溶着部が配置され、かつ上縁側部11eの溶着パターン13の隣接する2つの斜め間欠溶着部の間に、側方の縁側部11bの溶着パターン13の斜め間欠溶着部が配置される。これら直交する2つの縁側部11b,11eの溶着パターン13の斜め間欠溶着部どうしの間に、狭い非接合部が斜めに形成される。
なお、前記コーナー部において、2つの縁側部11b,11eの斜め間欠溶着部どうしが部分的に重なっていてもよい。
当該変形態様によれば、コーナー部において2つの縁側部11b,11eの超音波溶着による間欠溶着部どうしが交差するのを回避できる。これによって、超音波溶着部の交差による破断を防止できる。
【0044】
<収容袋の変形態様(ピロー包装)>
本発明の収容袋は、三方袋ないしは平袋に限らず、例えばピロー包装でもよい。該ピロー包装においては、例えば背面部が、左右2つの背面フィルム部(袋内室を画成する一対のフィルム部)によって構成されている。背面部の幅方向の中央部において、これら2つの背面フィルム部の縁側部どうしが重ねられ、本発明に係る溶着パターンを介して接合される。
前記ピロー包装の上下の縁側部においては、表面部のフィルム部と前記各背面フィルム部とが本発明に係る溶着パターンを介して接合される。これら表面部のフィルム部と各背面フィルム部とは「袋内室を画成する一対のフィルム部」を構成する。
【0045】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、溶着パターンは、実施形態のパターンに限られない。間欠溶着部における外縁側の端部と連結溶着部とが互いに連なっていてもよい。間欠溶着部と連結溶着部とが交差していてもよい。溶着パターンが不規則であってもよい。
収容袋の製造方法及び製造装置は、実施形態のものに限らず、適宜改変できる。熱溶着と超音波溶着を同時に行ってもよい。熱溶着後に超音波溶着を行ってもよい。1つの超音波溶着機で直交する縁側部11d,11eを超音波溶着してもよい。
内容物9は、ホットメルト接着剤に限らず、粘性溶剤、粘性食品その他の粘着性物であってもよい。さらに、粘着性物に限らず、粉体、粒状物でもよく、液体でもよく、固体でもよい。
複数の実施形態(変形態様を含む)を互いに組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えばホットメルト接着剤の包装体に適用できる。
【符号の説明】
【0047】
R1 塗工部
R2 非塗工部
R2a 露出非塗工部分
Rb 塗工境界(境)
ΔRb ずれ量
9 内容物
10,10B 収容袋
10c 袋内室
11 フィルム部
11b 縁側部
11d 外縁部分
11e 縁側部
12 離型層
13,13B 溶着パターン
14 間欠溶着部
15 連結溶着部
16 非接合部
18 間欠溶着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7