特開2021-38499(P2021-38499A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2021038499-使い捨てマスク 図000003
  • 特開2021038499-使い捨てマスク 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-38499(P2021-38499A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】使い捨てマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20210212BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20210212BHJP
【FI】
   A41D13/11 Z
   A62B18/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2020-149527(P2020-149527)
(22)【出願日】2020年9月7日
(71)【出願人】
【識別番号】309013141
【氏名又は名称】豊川 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100207996
【弁理士】
【氏名又は名称】豊川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】豊川 直樹
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185CB11
2E185CC32
(57)【要約】
【課題】人体の重要部分である鼻背部を保護することができる使い捨てマスクを提供する。
【解決手段】鼻背部及びその近傍を覆う鼻背保護部材6であって、鼻背保護部材6はマスク背面側に取り付けられている。そして、鼻背保護部材6は、マスク着用時に顔面形状に合わせて変位させることができるノーズフィット部4に設けられている。ここで、例えば、鼻背を覆う逆三角形部分を有するマスクに鼻背保護部材を適用し、この逆三角形部分の裏面側に正面から見えないように鼻背保護部材を設けても良い。鼻背保護部材6は略嘴形状にされている。鼻背保護部材6の材質は、軟質樹脂である。鼻背保護部材は、硬質材料からなる基部と、該基部の背面側に設けられている軟質樹脂からなるクッション層と、を有するようにしても良い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻背部及びその近傍を覆う鼻背保護部材であって、
前記鼻背保護部材はマスク背面側のノーズフィット部に取り付けられていることを特徴とする使い捨てマスク。
【請求項2】
前記鼻背保護部材は、略嘴形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【請求項3】
前記鼻背保護部材は、軟質樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【請求項4】
前記鼻背保護部材は、硬質材料からなる基部と、該基部の背面側に形成されている軟質樹脂からなるクッション層とを有していることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨てマスクに関する。より詳しくは、ウィルスや花粉などの吸い込みを防止するための使い捨てマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風邪をひいている人が他人にウィルスを移すのを防止したり、人々がウィルスや花粉を吸引するのを防止したりする目的で使い捨てマスクが製造販売及び使用されている。
ところで、昨今、コロナウィルス感染症が拡大し、外出時には使い捨てマスクを着用するのが一般的になっている。現行の使い捨てマスクには不織布が用いられている。そして、マスク装着時に鼻形状に合わせてマスクを形状固定できるようにマスク上部側にノーズフィットが設けられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このノーズフィットは、塑性変形可能な細帯形状の部材であり、顔面の形状に合わせて変形させても変形後の形状で安定するため、マスクと顔面との隙間が減り、ウィルスに対する防御性がより高まる。
【0003】
鼻筋ともいわれる鼻背における目より少し低い所に、自然な美しい3次元曲面を有する人々がいる。この鼻背中央部にある3次元曲面は、鼻の中心線となる峰部分と、なだらかな山形状とが合わさったような形状をしている。そして、鼻の左右にはなだらかな山裾が広がる。鼻背中央部は顔の中心部であり、初対面時の心証形成に大きな影響を与える。
【0004】
ある人の鼻背部分が何らかの外的負荷により変形すると、その変形した鼻を見た者には幻滅感が発生する。対面者の表情や反応からその人は自然と対面者を直視しにくくなっていく。人と対面するときに顔を背けてしゃべったり、目の動きが泳いで視線を背けてからしゃべったりするようになる。正対視が困難になる。
【0005】
江戸時代であれば、武士階級であれば、鼻背が潰れていてはもはや上司に対して面を上げることができ難くなり、拝謁し難くなり、損得関係上、家督を子に譲ることになる。
我が国の戦国時代に活躍した武具である面頬には、鼻背を覆っているものもあり、鼻背は保護の必要の高い部位である(例えば、特許文献2参照)。「鼻っ柱を圧し折る」という言葉があるほどである。なお、烏天狗の嘴面にも鼻背を覆うものが知られている。
【0006】
鼻背部に矢が飛んで来ても戦人は瞬時に鏃を避け、眼球を潰してでも鼻背部を保護するものと考えられる。独眼であれば眼帯で失明部分を隠せるが、潰れた鼻背を隠す行為にはごまかしが発生するので、潰れた鼻背をそのまま見せることになる。
また、外観の美観低下による大幅損失だけでなく、機能的にみても眼球側の方が安全である。鏃が鼻を貫けば、後頭部へ鏃が入り込み脳幹を損傷する。一方、目は左右一対あるし、眼の奥の骨を突き抜けて片側の脳に損傷を負ってもリハビリによる回復が期待できる。
【0007】
日常生活において、人は急所である鼻背部がさらけ出された状態にある。例えば、この部分に拳の中指の第二関節の凸部を瞬時に当て、大きな力積のエネルギを加えると、次のような流れが想定される。すなわち、軟骨と通常の硬い骨とを有する鼻背に力積を加えると、軟骨が寸時だけ凹み、硬い骨にクラックが入る。衝撃直後に不安感の中、鼻背を確認すると、鼻背が潰れていないように見え安心感を抱く。また、痛みも感じない。
【0008】
そのため、睡眠中に不意打ちパンチされても、気づき難いし、気づいても犯人を取り押さえることが困難である。例えば、列車などで睡眠しているとき、鼻背に向けて瞬時の力積を加えるパンチを繰り出された場合、パンチに気づいても半信半疑となり相手を特定して取り押さえることができない事態になることが想定される。
【0009】
そして、鼻背部を変形させられた人はいつも鼻が気になるようになり、指先の腹で鼻背をいじるようになる。左右の対称性の崩れは経時的に増していき、ひいては、鼻の穴の形状が左右で相違し、醜くなる。
【0010】
また、鼻背付近が凹むと、鼻に閉塞感が発生し、耳がやや遠くなり、唾液が多くなって口がごもりがちになる場合がある。鼻でなく口で息をするようになると、口から息を対面者に吐きかける事態が生じ、口臭で対人相手の心証を低下させるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2017−190549号公報
【特許文献2】実開昭60−153200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来の使い捨てマスクは、人生の急所ともいえる鼻背部に対して衝撃が加わった場合の対策はなされていない。
一方、コロナウィルス感染症の流行している昨今では改良マスクのアイデアが多くの人から創出されていると考えられる。改良の一般的な方法としては、部品点数を増やして何らかの機能を付加することが挙げられる。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、人体の重要部分である鼻背部を保護することができる使い捨てマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者は、このような課題に対して鋭意研究を重ねた結果、樹脂で鼻背を覆う部材を形成して使い捨てマスクに取り付けることにより、不意打ちパンチから鼻背を保護することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
本発明の使い捨てマスクでは、鼻背部及びその近傍を覆う鼻背保護部材であって、前記鼻背保護部材はマスク背面側のノーズフィット部に取り付けられていることを特徴とする。
この構成によれば、鼻背部を覆う鼻背保護部材が、鼻背部に向かってくる外来物の衝撃を受け止め、鼻背部への衝撃を軽減させることができる。そのため、拳を繰り出して鼻背に衝撃を加えようとする者の犯行を予防することができる。なお、本発明で鼻背部とは、主に鼻背の中央部をいう。 また、鼻背部の近傍とは、鼻背部の周囲になる鼻の隆起面などを含んだ部分をいい、面頬や、鼻背を覆う嘴面などで覆われる部分をいう。
【0016】
また、本発明の使い捨てマスクでは、前記鼻背保護部材は、略嘴形状をしていることを特徴とする。
この構成によれば、鼻背保護部材が略嘴形状をしているので、外観が格好良く、湾曲した嘴で飛来物を弾き返すことができ、鼻背部は確実に保護される。ここで、略嘴形状とは、一対からなる嘴の上半分の形状をいう。
【0017】
また、本発明の使い捨てマスクでは、前記鼻背保護部材は、軟質樹脂であることを特徴とする。
この構成によれば、軟質樹脂の変形により、外来物による衝撃を吸収でき、鼻背部を保護することが可能である。また、鼻と軟質樹脂との接触面積は硬質樹脂を用いた場合に比べて大きいので、局所応力を軽減できる。
また、軟質樹脂の形状を概ね顔面の形状に合わせて形成しておけば、マスクと顔面との隙間からの空気の流通を減少させることができ、ウィスル防御効果が増す。
【0018】
また、本発明の使い捨てマスクでは、前記鼻背保護部材は、硬質材料からなる基部と、該基部の背面側に形成されている軟質樹脂からなるクッション層とを有していることを特徴とする。
強い衝撃力を発生させる異物が飛んで来ても硬質材料の基部で弾き返すことが可能であり、鼻は軟質材料であるクッション層と隣接しているので、基部への異物の衝突によりクッション層が鼻と接触しても鼻への衝撃は少ない。基部の材質としては、軽金属や樹脂などを用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の使い捨てマスクでは、人体の重要部分である鼻背部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の使い捨てマスク着用時の一実施形態を示す説明図である。
図2図2は、図1の使い捨てマスクの鼻背保護部材を示す説明図である。図2(a)は正面図であり、図2(b)は背面図であり、図2(c)は側面図である。
図3図3は、図2の鼻背保護部材の変形例を示す説明図である。図3(a)は正面図であり、図3(b)は背面図であり、図3(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明の使い捨てマスク着用時の一実施形態を示している。本実施形態の使い捨てマスク1は、主に不織布からなるマスク本体2に、耳に引っかけてマスク本体2を保持するための一対のゴム紐3が設けられている。マスク本体2の上部側にはノーズフィット部4が設けられている。このノーズフィット部4には、マスク幅方向に沿った細帯形状のノーズフィット5が不織布間に設けられている。
【0023】
このノーズフィット5としては、例えばポリオレフィン系の樹脂素材である三井化学社製の「テクノロート(登録商標)」を用いることができる。この素材は針金のように自由に折り曲げることができ、形状を保つ特性を有している。また、ノーズフィットとして、例えば、塑性変形可能な薄板金属を用いることもできる。この場合、マスク正面側に設ける方が背面側に設ける場合に比べて安全である。
【0024】
ノーズフィット部4のマスク背面側には、鼻背保護部材6が設けられている。例えば、ノーズフィット部4の付近に両面テープを貼り付けて鼻背保護部材6をマスク本体2に固定することができる。鼻背保護部材6は、使い捨てマスク1に固定するので、軽量であることが好ましい。
【0025】
この鼻背保護部材6は、鼻背部及びその近傍を覆うものである。この鼻背部を覆う鼻背保護部材6が、鼻背部に向かってくる拳などの外来物の衝撃を受け止め、鼻背部への衝撃を軽減させることができる。
【0026】
この鼻背保護部材6は、図2に示すように、略嘴形状をしている。ここで、略嘴形状とは、一対からなる嘴の上半分の形状をいう。略嘴形状をしているため、外観が格好良く、湾曲した嘴で飛来物を弾き返すことができ、鼻背が確実に保護される。
【0027】
鼻背保護部材6の材質としては、軟質樹脂が用いられている。軟質樹脂としては、アイボン産業社製の「すけるくん(登録商標)」が知られている(例えば、特許3834576号公報参照)。
【0028】
軟質樹脂を用いているので、軟質樹脂の変形により、拳の指の折り曲げ部分などが鼻背部に衝突するときの衝撃を吸収でき、鼻背部を保護することができる。また、鼻と軟質樹脂との接触面積は硬質樹脂を用いた場合に比べて大きいので、局所応力を軽減でき、鼻背部の変形を阻止し易い。
ここで、軟質樹脂の形状を概ね顔面の形状に合わせて形成しておけば、マスクと顔面との隙間からの空気の流通を減少させることができ、ウィスル防御効果が増す。
【0029】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0030】
上述した実施形態では、鼻背保護部材6として、軟質樹脂を用いた例について説明したが、図3に示すように、硬質材料からなる基部7と、該基部7の背面側に形成されている軟質樹脂からなるクッション層8とを有するようにしても良い。
【0031】
この構成では、強い衝撃力を発生させる異物が飛んで来ても硬質材料の基部7で弾き返すことが可能である。また、鼻は軟質材料であるクッション層8と隣接しているので、基部7への異物の衝突によりクッション層8が鼻と接触しても鼻への衝撃は少ない。基部7の材質としては、軽金属や樹脂などを用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、使い捨てマスクに利用することができる。例えば、ウィルスや花粉などの吸い込みを防止するための使い捨てマスクに用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 使い捨てマスク
2 マスク本体
3 ゴム紐
4 ノーズフィット部
5 ノーズフィット
6 鼻背保護部材
7 基部
8 クッション層
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021年1月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻背部を覆う鼻背保護部材を有する使い捨てマスクであって、
前記鼻背保護部材はマスク背面側に取り付けられていることを特徴とする使い捨てマスク。
【請求項2】
ノーズフィット部を有し、
前記鼻背保護部材は前記ノーズフィット部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【請求項3】
前記鼻背保護部材は、略嘴形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【請求項4】
前記鼻背保護部材は、軟質樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【請求項5】
前記鼻背保護部材は、硬質材料からなる基部と、該基部の背面側に設けられている軟質樹脂からなるクッション層と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の使い捨てマスク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
また、本発明の使い捨てマスクでは、前記鼻背保護部材は、硬質材料からなる基部と、該基部の背面側に設けられている軟質樹脂からなるクッション層と、を有していることを特徴とする。
強い衝撃力を発生させる異物が飛んで来ても硬質材料の基部で弾き返すことが可能であり、鼻は軟質材料であるクッション層と隣接しているので、基部への異物の衝突によりクッション層が鼻と接触しても鼻への衝撃は少ない。基部の材質としては、軽金属や樹脂などを用いることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
上述した実施形態では、鼻背保護部材6として、軟質樹脂を用いた例について説明したが、図3に示すように、硬質材料からなる基部7と、該基部7の背面側に設けられている軟質樹脂からなるクッション層8と、を有するようにしても良い。