(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2021-38639(P2021-38639A)
(43)【公開日】2021年3月11日
(54)【発明の名称】折り畳み式スラブ中柱複合節点及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/30 20060101AFI20210212BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20210212BHJP
E04C 3/18 20060101ALI20210212BHJP
E04C 3/36 20060101ALI20210212BHJP
【FI】
E04B1/30 Z
E04B1/58 508Z
E04C3/18
E04C3/36
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-124933(P2020-124933)
(22)【出願日】2020年7月22日
(11)【特許番号】特許第6802595号(P6802595)
(45)【特許公報発行日】2020年12月16日
(31)【優先権主張番号】201910832774.3
(32)【優先日】2019年9月4日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牟犇
(72)【発明者】
【氏名】王燕
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲藝▼
(72)【発明者】
【氏名】李尊▲強▼
(72)【発明者】
【氏名】王永洪
【テーマコード(参考)】
2E125
2E163
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AA57
2E125AB12
2E125AB16
2E125AC16
2E125AC23
2E125AE16
2E125AG03
2E125AG04
2E125BA42
2E125BB06
2E125BB13
2E125BC02
2E125BE06
2E125BE08
2E125BF05
2E125CA03
2E125CA14
2E163FA02
2E163FA12
2E163FF31
2E163FF44
(57)【要約】
【課題】本発明は、折り畳み式スラブ中柱複合節点及びその組立方法を提供することを目的とする。
【解決手段】木材・鋼材の併用構造を採用し、折り畳み式スラブ、組立式柱梁複合節点により、施工品質を保証し、施工効率を高め、構造の耐震性能を向上させる。折り畳み式スラブ中柱複合節点は、木材鋼材複合柱及び角形木梁、木材鋼材複合柱及び角形木梁を接合するための接合コンポーネント、並びに木材鋼材複合柱、角形木梁及び接合コンポーネントが共に接合され且つ支持する折り畳み式木製スラブを含む。接合コンポーネントは、両端がそれぞれ横方向鉄筋及び長手方向突出鉄筋に接合されるねじ山スリーブ、及びツイン環状板を含む。ツイン環状板は、十字形溝を有する上側環状板及び下側環状板を備え、環状板の継ぎ目部には蟻接ぎ溝が設けられ、上側環状板と下側環状板の接合部分の十字根本部には角形板が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材鋼材複合柱(1)及び角形木梁(2)、前記木材鋼材複合柱(1)及び前記角形木梁(2)を接合するための接合コンポーネント(4)、並びに前記木材鋼材複合柱(1)、前記角形木梁(2)及び前記接合コンポーネント(4)が共に接合され且つ支持する折り畳み式木製スラブ(3)を含み、
前記木材鋼材複合柱(1)は中空の十字形外木柱(5)を備え、前記十字形外木柱(5)には鋼スリーブ(8)が嵌め込まれており、前記鋼スリーブ(8)には内木柱(19)が嵌め込まれており、前記内木柱(19)内には柱縦方向鉄筋(6)が貫設されており、横方向鉄筋(7)の内側端は前記十字形外木柱(5)を貫通して前記鋼スリーブ(8)に固設され、前記横方向鉄筋(7)の外側端にはテーパねじ山が設けられており、前記十字形外木柱(5)の十字面の両側には前記接合コンポーネント(4)を接合するための第1ボルト孔(12)が設けられており、
前記折り畳み式木製スラブ(3)は、隣接する2枚の木板の間に回転軸(16)が接続されており、各木板のへり繋ぎ合わせ部には前記角形木梁(2)、前記接合コンポーネント(4)を接合するための第3ボルト孔(14)が設けられており、
前記角形木梁(2)は、その内部に貫入された長手方向突出鉄筋(10)を備え、前記長手方向突出鉄筋(10)の外側端にはねじ山が設けられており、
前記接合コンポーネント(4)は、両端がそれぞれ前記横方向鉄筋(7)及び前記長手方向突出鉄筋(10)に接合されるねじ山スリーブ(9)、及びツイン環状板(11)を含み、
前記角形木梁(2)の端部の両側面上には前記ツイン環状板(11)を接合するための第2ボルト孔(13)が設けられており、前記角形木梁(2)の頂部には前記折り畳み式木製スラブ(3)が固設される第3ボルト孔(14)が設けられており、
前記ツイン環状板(11)は、十字形の上側環状板(123)及び下側環状板(456)を備え、前記上側環状板(123)、前記下側環状板(456)の接合部の十字根本部には角形板(15)が設けられており、前記角形板(15)には重ねてから固設される第4ボルト孔(20)が設けられており、前記上側環状板(123)、前記下側環状板(456)の十字根本部に近接する内側端には前記十字形外木柱(5)を接合するための第1ボルト孔(12)が設けられており、前記上側環状板(123)、前記下側環状板(456)の端部外側には前記角形木梁(2)を接合するための第2ボルト孔(13)が設けられており、前記上側環状板(123)、前記下側環状板(456)の頂端には前記角形木梁(2)、前記折り畳み式木製スラブ(3)を接合するための第3ボルト孔(14)が設けられていることを特徴とする、折り畳み式スラブ中柱複合節点。
【請求項2】
前記ツイン環状板(11)の前記上側環状板(123)、前記下側環状板(456)は、前記十字形外木柱(5)と外形が同じ十字形溝(21)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の折り畳み式スラブ中柱複合節点。
【請求項3】
前記上側環状板(123)と前記下側環状板(456)の連結部のへりに、差し込み接ぎに用いる蟻溝(23)、蟻ほぞ(24)が対称に設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の折り畳み式スラブ中柱複合節点。
【請求項4】
前記折り畳み式木製スラブ(3)は、柱近接側スラブ(17)と角形スラブ(18)が回転軸(16)により接合され、前記柱近接側スラブ(17)は柱近接側に前記十字形外木柱(5)とぴったり合うW形切り欠きを有しており、隣接する4枚の前記柱近接側スラブ(17)のW形切り欠きにより十字形切り欠き(22)が構成されることを特徴とする、請求項3に記載の折り畳み式スラブ中柱複合節点。
【請求項5】
十字形外木柱(5)中に鋼スリーブ(8)を入れ、横方向鉄筋(7)を溶接して固定し、内木柱(19)を埋め入れ且つその中に柱縦方向鉄筋(6)を挿入する第1工程と、
角形木梁(2)中に長手方向突出鉄筋(10)を挿入し且つ鉄筋を突出させる第2工程と、
組立てられた木材鋼材複合柱(1)及び前記角形木梁(2)の鉄筋突出部分をねじ山スリーブ(9)で連結する第3工程と、
上側環状板(123)、下側環状板(456)を連結部の蟻接ぎ溝(23)、(24)によって差し込み接ぎし、角形板(15)部で繋ぎ合わせて固定して、ツイン環状板(11)を組み立てる第4工程と、
前記十字形外木柱(5)は十字形溝(21)を貫通して前記ツイン環状板(11)に嵌め入れられており、ボルトで前記ツイン環状板(11)と前記十字形外木柱(5)、前記角形木梁(2)のそれぞれを固定接合する第5工程と、
隣接する4枚の折り畳み式木製スラブ(3)で前記十字形外木柱(5)を囲み、ボルトで柱近接側スラブ(17)、角形スラブ(18)及び前記ツイン環状板(11)、前記角形木梁(2)の重ね固定接合を行う第6工程と、を工程に含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の折り畳み式スラブ中柱複合節点の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の折り畳み式スラブ中柱の木材鋼材複合節点に関するものであり、建築施工分野に属する。
【背景技術】
【0002】
環境保護理念が徐々に普及するにつれて、建築業界の施工・生産では、質や効率の向上、省エネ・排出削減の実現が必然的な要求となったため、木材鋼材複合構造が登場した。
【0003】
伝統に立脚した木造建築は、高い耐久性、比較的高い耐震性能や、材料を調達しやすい、施工速度が速いなどの特長を有し得る一方、防火・防湿面に欠点がある。
【0004】
また、例えば先行特許出願における組み立て式新型コンクリート柱、梁構造及び組立接合方法という名称の特許文献1では、プレキャストコンクリート側柱、プレキャストコンクリート中柱及びプレキャストコンクリート梁構造が含まれており、以下ではプレキャストコンクリート側柱、プレキャストコンクリート中柱及びプレキャストコンクリート梁をそれぞれプレキャスト側柱、プレキャスト中柱及びプレキャスト梁と略称する。そのうち、プレキャスト側柱の柱頂部には柱頂グラウト溝が設けられており、内部には柱縦方向鉄筋が配置されており、柱縦方向鉄筋の下端は柱スリーブに延び入っている。底部には柱底グラウト溝が設けられており、底部の外側には側柱鉄筋通し溝が設けられており、側柱鉄筋通し溝の上部には柱を貫通する梁鉄筋貫通孔が設けられており、頂部には底部梁鉄筋連結用側柱予備鉄筋が設けられている。プレキャスト中柱の頂部には柱頂グラウト溝が設けられており、底部には柱底グラウト溝及び梁鉄筋貫通孔が設けられており、頂部には底部梁鉄筋連結用中柱予備鉄筋が設けられている。プレキャスト側柱及びプレキャスト中柱内は、側柱の高さ方向に沿って柱外側せん断補強筋及び柱内側せん断補強筋が設けられている。またプレキャスト梁の長さ方向に沿って、先端が予め埋め込まれたねじ山付鋼棒及び梁せん断補強筋が均一に設けられており、プレキャスト梁の底部には底部梁鉄筋が設けられている。
【0005】
上述の案では、主にプレキャストコンクリート構造と鉄筋接合構造が採用されており、従来においてよく見られる組立式スラブ設計技術と比較した場合、材料が調達しにくく、モジュール化による重ね接合施工を行うことができず、施工速度が遅いうえに、より重要な点として、鋼接合節点の強度を向上させるために溶接施工を行わなければならず、施工品質の保証が難しくなる。さらに、節点全体の重量が大きく、耐荷力は相対的に小さい。
【0006】
要約すると、従来技術における建築物の節点技術は、業界内での広範な普及・標準化度が低い。本特許出願は、これに鑑みて提出されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願公開第201510106368.0号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の折り畳み式スラブ中柱複合節点及びその組立方法は、上述の従来技術に存在する問題を解決すべく、木材鋼材構造を併用した折り畳み式スラブ、組立式柱梁複合節点を採用し、機械式鋼材接合方式によって節点強度の向上、溶接の施工品質問題の低減、全体の耐荷力の向上及び節点の破壊確率の低減を達成することを設計の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の設計目的を実現するために、上述の折り畳み式スラブ中柱複合節点は、主に木材鋼材複合柱及び角形木梁、木材鋼材複合柱及び角形木梁を接合するための接合コンポーネント、並びに木材鋼材複合柱、角形木梁及び接合コンポーネントが共に接合され且つ支持する折り畳み式木製スラブを含む。
【0010】
上述の木材鋼材複合柱は中空の十字形外木柱を備え、十字形外木柱には鋼スリーブが嵌め込まれており、鋼スリーブには内木柱が嵌め込まれており、内木柱内には柱縦方向鉄筋が貫設されており、横方向鉄筋の内側端は十字形外木柱を貫通して鋼スリーブに固設され、横方向鉄筋の外側端にはテーパねじ山が設けられており、十字形外木柱の十字面の両側には接合コンポーネントを接合するための第1ボルト孔が設けられている。
【0011】
上述の折り畳み式木製スラブは、隣接する2枚の木板の間に回転軸が接続されており、各木板のへり繋ぎ合わせ部には、角形木梁、接合コンポーネントを接合するための第3ボルト孔が設けられている。
【0012】
上述の角形木梁は、その内部に貫入された長手方向突出鉄筋を備え、長手方向突出鉄筋の外側端にはねじ山が設けられている。
【0013】
上述の接合コンポーネントは、両端がそれぞれ横方向鉄筋及び長手方向突出鉄筋に接合されるねじ山スリーブ、及びツイン環状板を含む。
【0014】
角形木梁の端部の両側面上にはツイン環状板を接合するための第2ボルト孔が設けられており、角形木梁の頂部には折り畳み式木製スラブが固設される第3ボルト孔が設けられている。
【0015】
上述のツイン環状板は、十字形の上側環状板及び下側環状板を備え、上側環状板、下側環状板の木材鋼材複合柱に近接する接合部には角形板が設けられており、角形板には重ねてから固設される第4ボルト孔が設けられており、上側環状板、下側環状板の十字根本部に近接する内側端には十字形外木柱を接合するための第1ボルト孔が設けられており、上側環状板、下側環状板の外側端には角形木梁を接合するための第2ボルト孔が設けられており、上側環状板、下側環状板の頂端には角形木梁、折り畳み式木製スラブを接合するための第3ボルト孔が設けられている。
【0016】
上記の基本的な設計構想の通り、従来の鉄筋コンクリート構造と比較すると、本出願では木材鋼材複合構造を採用し、鋼構造と木構造を互いに組み合わせる方式により、材料各々の優れた特性を最大限に発揮させており、建築物全体の耐震性、防災性能に対して極めて重要な作用を有する。
【0017】
木材鋼材構造が併用された折り畳み式スラブ中柱複合節点は、2種類の材料により結合され、材料同士の相互補完を実現しており、木構造の強度が顕著に向上し、鋼構造中に木構造を加えることで構造の自重を軽くすることができ、単位質量構造の強度を向上させるのに有利であると同時に、極めて高い耐久性を具備する。モジュール化構造は材料を調達しやすく、施工速度も速い。梁、柱の接合部に機械式鋼材接合を採用することで、節点強度が向上するだけでなく、溶接施工がもたらす品質問題を低減することもでき、木製柱の構造中に鋼構造を加えることで、木構造全体の耐荷力が顕著に向上し、複合節点全体が高強度を具備し、節点の破壊確率を一定程度低減し、節点に回復性を備えさせることができる。
【0018】
上述の木材鋼材複合柱は、中実木柱と比べて鋼スリーブの強度が大きく改善され、且つ十字形外木柱中に設置された横方向鉄筋が応力性能及び耐震性能を大幅に向上させることができるため、純粋な木構造と比べて、単位質量における耐荷力がより高い。木材鋼材複合柱の内木柱は、柱縦方向鉄筋によって木製梁の耐圧及び引張強度が増強され、且つ単位質量における耐震性能を比較的優れたものにしている。
【0019】
上述の角形木梁は、梁内の長手方向鉄筋を備え、梁の引張強度を顕著に増強することができ、角形木梁単位質量における耐震性能を比較的優れたものにしている。
【0020】
上述の折り畳み式スラブ中には回転軸が設けられており、隣接する2つのスラブ同士の繋ぎ合わせを減らすことで良好な組み付け性を備え、それに応じて施工効率が向上し、建築費が低減され、建築施工における標準化、製品化レベルが高くなる。
【0021】
上述の接合コンポーネントは、ねじ山式鉄筋スリーブ構造を採用して十字形外木柱と角形木梁の機械的接合を行うものであり、接合方式が簡便で行いやすく、溶接加工を必要としないため、施工品質や施工効率が大きく改善される。ツイン環状板は、構造が同じ上下環状板を重ね合わせ接合して成り、ツイン環状板はねじ山スリーブをベースとした二次補強接合であり、且つ梁・柱との間の接合節点部の強度が顕著に補強され、これにより地震中の梁・柱節点の溶接部におけるせん断破壊を減少させるのに比較的優れており、良好な耐震性能を具備している。
【0022】
接合の安定性及び支持・負荷能力をさらに高めるため、比較的好適な改良案として、ツイン環状板の上側環状板、下側環状板は十字形外木柱と外形が同じ十字形溝を備える。この十字形溝により、全体の組立が完成した後の木材鋼材複合柱が接合コンポーネントを貫通し、最終的に中柱複合節点の基本接合方式を形成することができる。
【0023】
従来の鉄筋溶接工法の代替として、ねじ山スリーブと梁内鉄筋、柱内鉄筋の機械的接合をベースに、ツイン環状板によって梁・柱の二次接合を行い、スラブと梁・柱との間に中間補強固定式接合を形成することで、溶接施工品質の問題を回避することができる。
【0024】
上側環状板と下側環状板の接合の安定性を高めるために、上側環状板と下側環状板の連結部のへりに、差し込み接ぎに用いる蟻溝と蟻ほぞを対称に設けることができ、蟻接ぎ溝構造によって差し込み接ぎ式の安定した接合を両者に実現する。
【0025】
上述の接合コンポーネントの改良を補助し、スラブ複合構造の支持能力及び木材利用率を高めるために、以下の好適な案及び改良案を採用することができる。
【0026】
上述の折り畳み式木製スラブは、柱近接側スラブと角形スラブが回転軸により接合され、柱近接側スラブは、柱近接側に十字形外木柱とぴったり合うW形切り欠きを有しており、隣接する4枚の柱近接側スラブのW形切り欠きにより十字形切り欠きが構成される。
【0027】
上述の折り畳み式木製スラブの通り、隣接する4枚の柱近接側スラブは木材鋼材複合柱の外周を取り囲み、角形スラブは柱近接側スラブの外側を取り囲む。繋ぎ合わせ式スラブ固定方式は、スラブの施工効率を効果的に高めると同時に、スラブと梁・柱相互の固定接合をより改善し、循環型建築を実現することができる。
【0028】
折り畳み式スラブ中柱複合節点の構造設計の応用を基に、本出願は同時に以下の対応する組立方法を提出する。
【0029】
第1工程で、十字形外木柱中に鋼スリーブを入れ、横方向鉄筋を溶接して固定し、内木柱を埋め入れ且つその中に柱縦方向鉄筋を挿入する。
【0030】
第2工程で、角形木梁中に長手方向突出鉄筋を挿入し且つ鉄筋を突出させる。
【0031】
第3工程で、組立てられた木材鋼材複合柱及び角形木梁の鉄筋突出部分をねじ山スリーブで連結する。
【0032】
第4工程で、上側環状板、下側環状板を蟻接ぎ溝構造によって差し込み接ぎし、角形板部で繋ぎ合わせて固定して、ツイン環状板を組み立てる。
【0033】
第5工程で、十字形外木柱は十字形溝を貫通してツイン環状板に嵌め入れられており、ボルトでツイン環状板と十字形外木柱、角形木梁のそれぞれを固定接合する。
【0034】
第6工程で、隣接する4枚の折り畳み式木製スラブの柱近接側スラブで十字形外木柱を囲み、ボルトで柱近接側スラブ、角形スラブ及びツイン環状板、角形木梁の重ね固定接合を行う。
【発明の効果】
【0035】
上述の通り、本出願の折り畳み式スラブ中柱複合節点及びその組立方法は、以下の利点を有する。
【0036】
1、新規の組立式木材鋼材複合節点を提出し、異なる建築材料の利用率を高め、材料同士の長所を相互補完することで、豊かな現代建築システムが実現される。
【0037】
2、繋ぎ合わせ式節点の設計により、施工の生産化、施工期間の短縮、建築費の低減が実現される。
【0038】
3、部材を予め製造することができ、施工プロセスが簡略化され、施工効率が向上する。
【0039】
4、鋼構造の機械的接合コンポーネントを用いて梁・柱節点を接合することで、鋼構造の溶接により生じる品質問題が効果的に回避され、鋼構造接合コンポーネントの強度の高さにより節点の応力性能が高まる。
【0040】
5、折り畳み式スラブにより、スラブの組み立て式迅速施工、施工工程の簡略化、施工期間の短縮、建築費の低減が実現され、良好な経済性を具備している。
【0041】
6、木材鋼材複合構造の設計により、構造全体の耐荷力が高まり、部材の耐震性能、破壊時の回復性が強化され、建築の発展における循環型の要件が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下の図を基に本出願についてさらに説明する。
【0043】
【
図1】本出願の組立梁式木材鋼材複合節点の構造概略図である。
【
図2】木材鋼材複合柱の構造及び組立過程概略図である。
【
図6】ねじ山スリーブが鉄筋を連結する過程の概略図である。
【
図7】ねじ山スリーブを用いて柱と梁を連結する全体概略図である。
【
図10】ツイン環状板を接合した後の構造概略図である。
【
図11】折り畳み式木製スラブの部材分解概略図である。
【
図12】隣接する折り畳み式木製スラブの組立概略図である。
【
図13】折り畳み式木製スラブ複合節点の組立概略図である。
【
図14】本出願の折り畳み式スラブ中柱複合節点の組立プロセス全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0044】
以下、図を基に本出願の実施例について詳細に説明する。
【0045】
図1〜
図12に示す通り、折り畳み式スラブ中柱複合節点は、主に木材鋼材複合柱1、角形木梁2、折り畳み式木製スラブ3及び接合コンポーネント4を含む。
【0046】
上述の木材鋼材複合柱1は中空の十字形外木柱5を備え、十字形外木柱5には円形の鋼スリーブ8が嵌め込まれており、鋼スリーブ8には円形の内木柱19が嵌め込まれており、内木柱19内には柱縦方向鉄筋6が貫設されており、横方向鉄筋7の内側端は十字形外木柱5を貫通して鋼スリーブ8に溶接固定され、横方向鉄筋7の外側端にはテーパねじ山が設けられており、十字形外木柱5の十字面の両側には接合コンポーネント4を接合するための第1ボルト孔12が設けられている。
【0047】
上述の角形木梁2はその内部に貫入された長手方向突出鉄筋10を備え、長手方向突出鉄筋10の外側端にはテーパねじ山が設けられている。角形木梁2の端部の両側面上には接合コンポーネント4を接合するための第2ボルト孔13が設けられている。角形木梁2の頂部には折り畳み式木製スラブ3を接合するための第3ボルト孔14が設けられている。
【0048】
上述の折り畳み式木製スラブ3は、隣接する2枚の木板の間に回転軸16が接続されており、各木板のへり繋ぎ合わせ部には角形木梁2、接合コンポーネント4を接合するための第3ボルト孔14が設けられている。特に、柱近接側スラブ17と角形スラブ18は回転軸16により接合され、柱近接側スラブ17は柱近接側に十字形外木柱5とぴったり合うW形切り欠きを有しており、隣接する4枚の柱近接側スラブ17のW形切り欠きにより十字形切り欠き22が構成される。
【0049】
上述の接合コンポーネント4は、両端がそれぞれ横方向鉄筋7及び長手方向突出鉄筋10に接合されるテーパねじ山スリーブ9、及びツイン環状板11を含む。上述のツイン環状板11は、構造が同じで互いに向き合わせて重ね合わせ接合される十字形の上側環状板123及び下側環状板456を備え、蟻溝23、蟻ほぞ24によって差し込み接ぎされ、上側環状板123、下側環状板456を接合する十字根本部には角形板15が設けられており、上側環状板123、下側環状板456は十字形外木柱5と外形が同じ十字形溝21を備える。角形板15は、上下環状板を重ねてから固設するための第4ボルト孔20を備える。上側環状板123、下側環状板456の十字根本部に近接する内側端には、十字形外木柱5を接合するための第1ボルト孔12が設けられている。上側環状板123、下側環状板456の外側端には、角形木梁2を接合するための第2ボルト孔13が設けられている。上側環状板123、下側環状板456の頂端には、角形木梁2、折り畳み式木製スラブ3を接合するための第3ボルト孔14が設けられている。
【0050】
図13に示す通り、上述の折り畳み式スラブ中柱複合節点の構造設計を基に、以下の工程に従って複合節点の組立方法を実施する。
【0051】
第1工程で、十字形外木柱5中に鋼スリーブ8を入れ、横方向鉄筋7を溶接して固定し、内木柱19を埋め入れ且つその中に柱縦方向鉄筋6を挿入する。
【0052】
第2工程で、角形木梁2中に長手方向突出鉄筋10を挿入し且つ鉄筋を突出させる。
【0053】
第3工程で、組立てられた木材鋼材複合柱1及び角形木梁2の鉄筋突出部分をねじ山スリーブ9で連結する。
【0054】
第4工程で、上側環状板123、下側環状板456を蟻溝23、蟻ほぞ24によって差し込み接ぎし、角形板15部で繋ぎ合わせて固定して、ツイン環状板11を組み立てる。
【0055】
第5工程で、十字形外木柱5は十字形溝21を貫通してツイン環状板11に嵌め入れられており、ボルトでツイン環状板11と十字形外木柱5、角形木梁2のそれぞれを固定接合する。
【0056】
第6工程で、隣接する4枚の折り畳み式木製スラブ3の柱近接側スラブ17で十字形外木柱5を囲み、ボルトで柱近接側スラブ17、角形スラブ18及びツイン環状板11、角形木梁2の重ね固定接合を行う。
【0057】
本出願において、木構造は加工しやすく、軽質且つ高強度であり、良好な耐震性能を具備する。鋼構造の材質は、均一性、強度、塑性、靭性が極めて優れており、且つ構造中の梁・柱部材をボルトによって接合することができ、節点部材の取り換えを可能とし、構造全体の寿命を向上させる。複合節点には角形木梁が採用されており、H形梁よりもせん断耐性に優れる。さらに、角形木梁中には鉄筋が設置されており、柱の応力性能を向上させる。施工において、完全な組立式施工、施工速度の向上、施工期間の短縮、建築費の低減が実現される。木材鋼材中柱複合節点は、木構造中で鋼材が補助することで木構造の耐引張、耐圧、耐屈曲性能が強化され、地震作用下において構造に良好な耐震性能を具備させる。
【0058】
上述の通り、図を基に説明を行った形態の内容は、類似の技術形態に派生可能である。但し、本発明の構造を逸脱しない形態の内容は、いずれも本出願における技術形態の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0059】
1 木材鋼材複合柱
2 角形木梁
3 折り畳み式木製スラブ
4 接合コンポーネント
5 十字形外木柱
6 柱縦方向鉄筋
7 横方向鉄筋
8 鋼スリーブ
9 ねじ山スリーブ
10 長手方向突出鉄筋
11 ツイン環状板
12 第1ボルト孔
13 第2ボルト孔
14 第3ボルト孔
15 角形板
16 回転軸
17 柱近接側スラブ
18 角形スラブ
19 内木柱
20 第4ボルト孔
21 十字形溝
22 十字形切り欠き
23 蟻溝
24 蟻ほぞ
123 上側環状板
456 下側環状板
【外国語明細書】